第 1 節 妊娠の経緯 ~ 年齢別の分析を中心に ~ 妊娠の経緯について妊娠時年齢別にみると 年齢が上がるにつれて 不妊治療が増 え 35 歳以上になると 3 人に 1 人が不妊治療によって妊娠している 第 1 子を持 つ時期は 20 代後半から 30 代前半が適切なタイミングだと考えており 子ども

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5 教5-1 教員の勤務時間と意識表 5 1 ( 平均時間 経年比較 教員年齢別 ) 中学校教員 調査年 25 歳以下 26 ~ 30 歳 31 ~ 40 歳 41 ~ 50 歳 51 ~ 60 歳 7:22 7:25 7:31 7:30 7:33 7:16 7:15 7:23 7:27 7:25

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❷ 学校の宿題をする時間 宿題に取り組む時間は すべての学年で増加した 第 1 回調査と比較すると すべての学年で宿題をする時間は増えている 宿題に取り組むはおよ そ 40~50 分で学年による変化は小さいが 宿題を しない 割合はになると増加し 学年が上がるに つれて宿題を長時間する生徒としない生

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次に 母親の年齢別 出生順位別の出生数をみていきましょう 図 2-1は母親の年齢別に第 1 子出生数をみるグラフです 第 1 子の出生数は20 年間で1,951 人 (34.6%) 減少しています 特に平成 18 年から平成 28 年にかけて減少率が大きく 年齢別に見ると 20~24 歳で44.8%

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「教育資金贈与信託」、資産の世代間移行を後押し

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第1章第2章第3章第4章第5章第6章資料編1 第章 はじめての妊娠 出産と親準備 持田聖子

第 1 節 妊娠の経緯 ~ 年齢別の分析を中心に ~ 妊娠の経緯について妊娠時年齢別にみると 年齢が上がるにつれて 不妊治療が増 え 35 歳以上になると 3 人に 1 人が不妊治療によって妊娠している 第 1 子を持 つ時期は 20 代後半から 30 代前半が適切なタイミングだと考えており 子ども の数は 2 3 人を希望する割合が多い 第 1 子妊娠年齢の高齢化第 2 回調査 (2011 年 ) では 妊娠期妻の第 1 子妊娠時年齢は 17 歳から 46 歳で 平均年齢は 30.4 歳である 第 1 回調査 (2006 年 ) の平均年齢は 29.4 歳なので 妊娠時年齢の平均値は5 年間で1 歳上昇した 妊娠時年齢を 4 区分に分けて経年でみると 25 ~ 29 歳 と 30 ~ 34 歳 が各 5.5 ポイント 5.3 ポイント減少し 35 歳以上 が 11.3 ポイント増えて 20.4% になっている ( 図 1-1-1) 男性についても 妊娠期夫で経年比較すると 30 ~ 34 歳 が約 10 ポイント減少した分 35 歳以上 が増加し 32.6% となっている 男女ともに 第 1 子の妊娠時年齢が高齢化し 35 歳以上での妊娠の割合がとくに増加している 本節では 妊娠の経緯や理由について 妊娠時の年齢を4 区分 (24 歳以下 / 25 ~ 29 歳 / 30 ~ 34 歳 / 35 歳以上 ) に分け 年齢による特徴をみていく 妊娠の経緯 にまかせていた 計画的に妊娠した 子どもができなかったので 夫婦であるいはどちらかが不妊治療を受けた 望んではいなかったが 子どもができてしまった の4 項目でたずねた 妊娠期妻全体では 自然にまかせていた が 55.1% でもっとも多く 各理由の割合は経年でほとんど変化がなかった ( 図 1-1-2) 2011 年について 妊娠時年齢別にみると 不妊治療による妊娠は年齢層が上がると増加し 35 歳以上 では 29.7% と 約 3 人に 1 人である 一方 望んではいなかったが 子どもができてしまった のは 24 歳以下 のみが 12.2% と1 割を超えている 不妊治療を受けた平均期間は ( 表 1-1 -1) 妊娠期妻全体では 19.9 か月であるが 治療期間も年齢が高くなると長くなり 35 歳以上 では 29 か月 (2 年 5か月 ) となっている 第 1 子がなかなかできず 不妊治療を受けるのは 精神的にも経済的にも負担が大きい 不妊治療の割合が増え 特別なものではなくなっていくなかで 公的な助成や 信頼できる相談サービスのより一層の充実が望まれるだろう おなかの赤ちゃんの妊娠の経緯を 自然 18

第1は妊娠期妻妊娠期夫妊娠期妻 図 1 1 1 妊娠時の年齢 ( 経年比較 ) 図 1 1 2 妊娠の経緯 ( 経年比較 妊娠期夫注 )( ) 内はサンプル数 章全体 妊娠時年齢別 ) 妊娠期妻 19 じめての妊娠 出産と親準備表 1 1 1 不妊治療の平均期間 (2011 年全体 妊娠時年齢別 ) 妊娠期妻 全体 (142) 19.9 29 歳以下 (35) 9.7 30~34 歳 (52) 17.0 35 歳以上 (55) 29.0 ( か月 ) 注 1) 子どもができなかったので 夫婦であるいはどちらかが不妊治療を受けた と回答した人のみ回答 注 2) 無答不明の人を除いて算出した 注 3)( ) 内はサンプル数

出産を決めた理由本調査では おなかの赤ちゃんの出産を決めた理由について 17 項目から複数回答形式でたずねている そのなかから 年齢が決定要因の2 項目 年齢的にリミットを感じていたため 年齢的によいタイミングと感じたため について詳しくみていく 年齢的にリミットを感じていたため は 妊娠期妻全体では 31.4% で 2006 年の 26.4% から5.0ポイント増加している 2011 年について 各年齢層に占める回答割合をみると 24 歳以下 は 1.1% 25 ~ 29 歳 5.7% 30 ~ 34 歳 で 3 割を超え 33.4% 35 歳以上 では 80.5% と高い割合を示している ( 図 1-1-3) さらに1 歳刻みで細かく年齢別にみると 33 歳から 34 歳にかけて大きく増加し 34 歳で6 割を超える ( 図 1-1-4) 現在 35 歳以上での初産は高齢出産と定義されているが 35 歳を目前とするあたりから 妊娠の年齢的なリミットを意識し始めることがうかがわれる 一方 男性は 35 歳以上 でも 39.0% で 女性に比べて年齢的なリミットを感じている割合が少ない つぎに 年齢的によいタイミングとはいつだと感じているのだろうか 妊娠時年齢別に 年齢的によいタイミングと感じたため を 選んだ割合をみた 妊娠期妻では 25 ~ 29 歳 が 69.3% ともっとも多く ついで 30 ~ 34 歳 55.3% である ( 図 1-1-5) よいタイミングには 生物的な要因と 社会的な要因が考えられるが 第 1 子を持つ時期については 20 代後半から 30 代前半を適切なタイミングと感じているようである 男性も同様の傾向だが 35 歳以上 をよいタイミングと考える人も3 割おり 女性に比べて年齢の幅が広がっている 何人の子どもを持ちたいか理想の子どもの数をたずねたところ 妊娠期妻では どの年齢層でも 2 人 がもっとも多い ( 図 1-1-7) ついで 3 人 を希望する割合が多い 年齢別にみていくと 34 歳以下は 35 歳以上よりも 3 人 を希望する割合が多い 逆に 35 歳以上は 2 人 を希望する割合が多くなっている ここにも 今後の家族計画に際して 生物学的に妊娠できる期間がどれだけ残されているかの影響があらわれている しかし どの年齢層でも ひとりっこ (1 人 ) が理想という割合は1 割以下と少ない 年齢にかかわらず 2 人以上の子どもを持つことを理想と考えていることがわかる 20

第1は図 1 1 3 年齢的にリミットを感じていたため (2011 年妊娠時年齢別 ) 妊娠期妻 妊娠期夫 注 1) 出産を決めた理由 17 項目 ( 複数回答 ) のうち 年齢的にリミットを感じていたため について 各年齢層ごとの回答割合 注 2)( ) 内はサンプル数 章 21 じめての妊娠 出産と親準備図 1 1 4 年齢的にリミットを感じていたため (2011 年妊娠時年齢別 ) 妊娠期妻 注 1) 出産を決めた理由 17 項目 ( 複数回答 ) のうち 年齢的にリミットを感じていたため について 各年齢層ごとの回答割合 注 2)( ) 内はサンプル数

図 1 1 5 年齢的によいタイミングと感じたため (2011 年妊娠時年齢別 ) 妊娠期妻 妊娠期夫 注 1) 出産を決めた理由 17 項目 ( 複数回答 ) のうち 年齢的によいタイミングと感じたため について 各年齢層ごとの回答割合 注 2)( ) 内はサンプル数 図 1 1 6 年齢的によいタイミングと感じたため (2011 年妊娠時年齢別 ) 妊娠期妻 注 1) 出産を決めた理由 17 項目 ( 複数回答 ) のうち 年齢的によいタイミングと感じたため について 各年齢層ごとの回答割合 注 2)( ) 内はサンプル数 22

第1は 章 23 図 1 1 7 理想の子ども数 (2011 年妊娠時年齢別 ) 妊娠期妻 じめての妊娠 出産と親準備注 )( ) 内はサンプル数

第 2 節 親になるための準備 妊娠中の行動として 喫煙と飲酒はその割合が減少した 母親学級への参加は 親 になる準備のための行動として定着した 妊娠 出産についての情報源は 携帯電 話やパソコンなどの電子媒体を通じて得るものが増えている 妊娠中の行動本節では 妊娠中の行動や親準備の状況について 経年および年齢別の特徴をみていく 図 1-2-1は 妊娠中の行動について経年比較をしたものである 体重過多や妊娠中毒症の予防などのために食生活に気を配っている と 妊婦向けの運動 ( マタニティスイミングなど ) をしている という 健康面 身体面にかかわる行動は 経年で変化はみられない 育児書を読むなど 子育て情報を集めている 妊婦向けのCDを聴いたり アロマセラピーをするなど リラックスを心がけている 胎教をしている など 出産準備や心のリラックスなどの項目は すべて頻度が減少し ほとんどない まったくない の割合が増加した 後述するが この5 年間で妊娠 出産に関する情報収集の方法が大きく変わり インターネットなどの電子媒体を通して情報を集める傾向が多くなった 子育て情報の収集については 育児書 と限定した聞きかたをしたことで 回答割合も経年で減ったのではないかとも考えられる 喫煙と飲酒が激減妊娠期妻について お酒を飲むことがある かを聞いたところ 2006 年は まったくない の割合が 84.2% だったのが 2011 年は 91.2% と 7.0 ポイント上昇した ( 図 1-2-2) 理由は本調査からはわからないが 洋酒やビール等の酒造組合では 2006 年以降 妊娠中や授乳期の飲酒に対する注意表示を広告や容器で実施し 啓発に努めているので その効果が出たことも考えられる 喫煙については 2006 年も 2011 年も 95% 以上が まったくない と回答し 胎児の健康に悪影響をおよぼす喫煙は ほぼ行われていないことがわかる 図 1-2- 3は 夫の喫煙状況だが 2011 年では 配偶者と一緒のときにたばこを吸うことが まったくない 夫は 75.3% で 2006 年の 66.6% から 8.7 ポイント増えた 厚生労働省の 国民健康 栄養調査 でも 30 代男性の喫煙率は 2006 年の 53.3% から 2011 年は 43.9% と減少が報告されているが 男性の喫煙率自体も減るとともに 副流煙の妊婦への悪影響も認知されてきたのだろう 24

第1は図 1 2 1 妊娠中の生活 ( 経年比較 ) 妊娠期妻 章 25 じめての妊娠 出産と親準備 図 1 2 2 妊娠中の喫煙や飲酒 ( 経年比較 ) 妊娠期妻 注 ) まったくない の % 図 1 2 3 妊娠中の喫煙 ( 経年比較 ) 妊娠期夫 注 ) まったくない の % 25

親準備のためのプログラム少子化社会のなかで 自分の子どもを持つ前に 赤ちゃんに身近に接したり 世話をしたりする機会があったかどうかを聞いた結果が 表 1-2-1である 妊娠期妻は 57.2% 妊娠期夫は 42.3% が機会があったと回答している 約半数は 赤ちゃんとふれあう経験がないまま 親になることになる 妊娠 出産 産後の生活 新生児の育児などについて学ぶ場として 行政や産院などでは 母親学級 を開催している 母親学級への参加を育児期妻に聞いてみたところ 85.6% が参加したと答え 2006 年とほぼ同じ割合であった ( 図 1-2-4) 母親学級への参加は 親になる準備のための行動として定着したといえるだろう 配偶者とともに参加する 両親学級 も 2006 年 2011 年ともに 育児期夫の半数以上が参加したと回答している 年齢によって異なる妊娠 出産の情報収集源図 1-2-5は 妊娠 出産の情報を得るために利用したことがあるものについて複数回答で聞いた結果である 妊娠期妻については 2006 年 2011 年ともに第 1 位は 雑誌 (2011 年 92.8% 2006 年 94.4%) であった ついで インターネット で 2006 年 79.7% から 2011 年 86.4% と 6.7 ポイント増加した 2011 年で激増したといえるのが 携帯サイト 配信サービス で 2006 年は 17.9% だったのが 2011 年は 50.6% と 32.7 ポイント増加した 一方 経年で大きく減ったのが メーカーカタログ 通信販売カタログ (2006 年 69.0% > 2011 年 53.4%) と 新聞 (2006 年 25.5% > 2011 年 12.2%) で いずれも印刷物である ここ数年 スマートフォンやタブレット型の情報端末が登場し 電子媒体を通じた情報提供 双方向の情報交換が普及してきている その変化が妊娠 出産についての情報収集にも影響をおよぼしていると考えられる 表 1-2-2は 図 1-2-5で選択した項目から 現在よく利用している情報源を 3 項目まで答えてもらったものである 年齢層別に詳しくみてみると 雑誌 と 携帯サイト 配信サービス は 24 歳以下 の層がもっとも利用率が高く 年齢が上がるとともに低下していく とくに 携帯サイト 配信サービス は 24 歳以下 は 69.7% が利用しているのに対し 35 歳以上 は 21.4% と少ない 若い世代のほうが 携帯電話 スマートフォンを使った情報収集方法に親和性が高いようである 一方 電子媒体でも インターネット は 35 歳以上 がもっとも利用率が高く 76.7% である ( 24 歳以下 は 54.5%) また 書籍 雑誌別冊 ( ムック ) や メーカーカタログ 通信販売カタログ など 妊娠 出産関連の情報に特化した媒体の利用率は 年齢が高い層のほうが高い傾向にあった 表 1 2 1 赤ちゃんとのふれあい経験 ( 経年比較 ) 注 1) はい の % 注 2)<> は 5 ポイント以上差があるもの 2006 年 2011 年 妊娠期妻 57.7 57.2 妊娠期夫 48.7 > 42.3 育児期妻 50.9 51.1 育児期夫 43.5 45.1 (%) 26

第1はじめての妊娠 出産と親準備図 1-2-4 母親学級 両親学級への参加 ( 経年比較 ) 育児期妻 育児期夫 注 ) 複数回答 図 1-2-5 妊娠 出産の情報を得るために利用したことがあるもの ( 経年比較 ) 妊娠期妻 章注 ) はい ( 参加 ) の % 表 1-2-2 現在 よく利用している情報源 (2011 年年齢別 ) 妊娠期妻 全体 (907) 注 1) 利用したことがある と選択した項目中 3 項目まで選択 注 2)( ) 内はサンプル数 24 歳以下 (66) 25~29 歳 (280) 30~34 歳 (321) 35 歳以上 (210) 雑誌 73.8 81.8 79.3 71.7 67.1 インターネット 70.2 54.5 70.0 71.3 76.7 携帯サイト 配信サービス 34.4 69.7 40.7 30.8 21.4 書籍 雑誌別冊 ( ムック ) 32.6 27.3 27.5 34.0 40.0 メーカーカタログ 通信販売カタログ 22.6 10.6 20.0 25.5 25.7 テレビ ラジオ 9.2 10.6 9.6 11.2 4.8 妊婦向けの運動などの習い事 4.9 0.0 3.6 7.2 4.8 店員 店頭 3.7 6.1 2.1 3.1 6.2 新聞 2.4 1.5 2.5 2.2 3.3 ビデオ DVD 0.4 0.0 0.7 0.0 1.0 その他 3.1 3.0 2.1 1.6 6.7 (%) 27

第 3 節 出産体験 里帰り出産は 20 代で多く 年齢が上がると減少する傾向がみられる 分娩の様式は 大多数が自然分娩だが 35 歳以上では帝王切開の比率が高まり 緊急帝王切開で出産した人は 出産時の体験をふり返ったときの評価がきわめて低い この出産時の体験は 後の育児観にも影響をおよぼしている 里帰り出産この節では 出産についてのさまざまな実態と 出産時の体験が育児にどのように影響しているか育児期のデータで考察する 日本では 妻が実家に帰って出産をする習わしがあるが 里帰りしての出産はどのくらい行われているのだろうか 図 1-3-1をみると 全体では 40.5% で 2006 年の 41.9% とほぼ同じである 育児期妻について 出産時の年齢層別にみると 24 歳以下 25 29 歳 は 4 割以上が里帰り出産をしているのに対し 30 34 歳 は 4 割弱となり 35 歳以上 は 33.7% に減る この結果の背景としては 出産時年齢が高い妻の場合は その親も高齢化しており 出産や産後をサポートしにくく 里帰りの割合が低くなるのではないかと推測される 今後 出産が高齢 化するなかで 里帰り出産の習慣も減っていくのかどうか そして 実家の親に代わる産後のサポートをだれが担うのか 注視する必要があるだろう 出産した施設出産した施設について 育児期妻に聞いたものが図 1-3-2である 経年でみても傾向は変わらず 開業医の産院 と 総合病院 大学病院の産婦人科 を合わせると 97.4% となる 助産院はわずか 1.6% である 出産時年齢層別にみると 34 歳までは 開業医の産院 での出産が 6 割前後でもっとも多いが 35 歳以上 は 総合病院 大学病院の産婦人科 が 53.7% でもっとも多くなる 28

第1は1-3-1 全体 出産時年齢別 ) 図 1-3-2 出産した施設 ( 経年比較 全体 出産時年齢別 ) 29 注 1) はい の% 注 2)( ) 内はサンプル数 育児期妻 育児期妻 じめての妊娠 出産と親準備注 1) その他 は 自宅 海外の病院 診療所など その他 の合計 注 2)( ) 内はサンプル数

分娩の様式分娩の様式について聞いたところ 全体では 78.5% が 自然分娩 であった ( 図 1-3-3) 予定帝王切開 が 7.4% 緊急帝王切開 は 11.3% であった 年齢別にみると 34 歳までは 自然分娩 が 8 割以上であるが 35 歳以上 では 自然分娩 は 69.7% となり 帝王切開の比率が予定 緊急ともに増加する とくに 緊急帝王切開 は 17.1% となり 他の年齢層に比べて高い割合になっている 35 歳以上の初産は高齢出産と定義されているが 分娩時のリスクも若い年齢層と比べて高くなっていることがわかる 出産体験図 1-3-4は 育児期妻に出産時の気持ちを振り返って聞いたものである * 1) 全体では お産全体を通して リラックスすることができた という項目と お産の間 幸せな気持ちがした という出産時の幸福感に関する項目の値が高く ( あてはまる + まあ 45.0% 43.6%) 4 割強である 一方 お産を自分でコントロールすることができた お産全体を通して 自分が望んでいたように進んだ は 出産の間に 自分の身体の持つ力を信じて委ねることができたかどうかを測るための項目であるが これらは 23.0% 36.7% といずれも 4 割を切っている 出産の進行は その場になってみないとわからないものであり 出産前に想像していたとおりにはならなかった人が多いということだろう 同じ出産後の感情でも お産の後すぐに また産みたいと思った は 29.5% だった この5 項目すべてに回答した人を対象に 回答を得点化し 合計 15 点以上を 高得点群 合計 11 ~ 14 点を 中得点群 10 点以下を 低得点群 に分けた 図 1-3- 5は その全体での分布と 出産の様式との関係をみたものである 全体では 高得点群は 17.7% 中得点群 35.5% 低得点群 46.8% で 出産体験得点が低い人が約半数になる 分娩の様式別にみると 自然分娩 と あらかじめ帝王切開手術を行うことを知っている 予定帝王切開 は全体の傾向と大きく変わらないが 予想しなかった手術によって出産した 緊急帝王切開 の場合は 低得点群が約 8 割にも達している *1) 本項目は 菅原ますみ 三砂ちづるらが出産時の体験をはかる指標 ( 出産体験尺度 ) として設定したものを一部使用している 30

第1産と親準備図 1-3-3 分娩の様式 (2011 年全体 出産時年齢別 ) 育児期妻 )( ) 内はサンプル数 章注 図 1-3-4 出産体験 (2011 年 ) 育児期妻 はじめての妊娠 出 図 1-3-5 出産体験得点 (2011 年全体 分娩の様式別 ) 育児期妻 注 1) 出産体験についての5 項目の回答を得点化し 高得点群 (15 点以上 ) 中得点群 (11 ~ 14 点 ) 低得点群 (10 点以下 ) の3 群に分けて分析 1 項目でも無答不明の人は除く 注 2)( ) 内はサンプル数 31

出産体験得点 出産体験は育児に影響を及ぼす長くても3 日間程度で終わる出産であるが その体験は その後の母親の育児観に影響をおよぼすのだろうか 図 1-3-6と図 1-3-7は 出産体験得点の3 群と育児観との関係をみたものである グループによって育児観に有意な差があったのが 子どもを育てることに充実感を味わっている と 子育てが楽しいと心から思う という子育て充実感を測る項目である 子どもを育てることに充実感を味わっている は 高得点群は 68.5% が あてはまる と回答しているが 低得点群は 43.4% で 25.1 ポイントの差が生じている 子育てが楽しいと心から思う も同様の傾向で 高得点群 56.7% に対し 低得点群は 26.9% と 29.8 ポイントの差が生じている この結果から 緊急帝王切開を受けた人や自然分娩でも長く続く陣痛に苦しんだ人など 過酷な出産を体験した母親については 産後 および育児生活において 母親の精神的なケアなどのサポートが必要であるといえる 図 1-3-6 子どもを育てることに充実感を味わっている (2011 年出産体験得点別 ) 育児期妻 産体験得点育児期妻出 注 1) 出産体験についての5 項目の回答を得点化し 高得点群 (15 点以上 ) 中得点群 (11 ~ 14 点 ) 低得点群 (10 点以下 ) の3 群に分けて分析 1 項目でも無答不明の人は除く 注 2)( ) 内はサンプル数 図 1-3-7 子育てが楽しいと心から思う (2011 年出産体験得点別 ) 注 1) 出産体験についての5 項目の回答を得点化し 高得点群 (15 点以上 ) 中得点群 (11 ~ 14 点 ) 低得点群 (10 点以下 ) の3 群に分けて分析 1 項目でも無答不明の人は除く 注 2)( ) 内はサンプル数 32