Taro-16.道徳(杉本)

Similar documents
Taro-小学校第5学年国語科「ゆる

4 研究主題との関連 自分を見つめ 友達の思いを大切にする子供の育成 道徳授業の充実を通して 研究主題に迫るために 4 年生では子供たちの目指すべき児童像を 自分の思いを見つめる子 友達の思いに気付く子とした また 目指すべき具体的な児童像を 資料の世界観に浸り 登場人物に自分を重ねながら登場人物の

< F2D93B993BF8E7793B188C E6A7464>

(3) 資料について本資料は混雑したお店で孫が積んである段ボールを崩してしまい困っているおばあさんの代わりに わたし とその友達の友子が 整理していると 事情の知らない店員に叱られてしまう その後 おばあさんにお礼を言われたが わたし と友子はすっきりしないで帰る 数日後 店員からお詫びの手紙が来た

う来なかった 翌々日の月曜日 あきらは じゅんに いいよ と返事をもらったのに どうしてこなかったのか と詰め寄った それに対して じゅんからは いいよ って 断ったじゃないか という返事が返ってきた という内容である ここでは 文字だけで思いを伝える難しさと 相手の立場をよく考えて情報を発信する大

道徳学習指導案

2年生学級活動(性に関する指導)指導案

平成 30 年 6 月 8 日 ( 金 ) 第 5 校時 尾道市立日比崎小学校第 4 学年 2 組外国語活動 指導者 HRT 東森 千晶 JTE 片山 奈弥津 単元名 好きな曜日は何かな? ~I like Mondays.~ 本単元で育成する資質 能力 コミュニケーション能力 主体性 本時のポイント

<4D F736F F D C91CC8CB C88A778F4B8EC091488E9697E A AC97A782B982E782D082AA82B58FAC8A778D5A816A2E646F6378>

生徒用プリント ( 裏 ) なぜ 2 人はケンカになってしまったのだろう? ( 詳細編 ) ユウコは アツコが学校を休んだので心配している 具合の確認と明日一緒に登校しようという誘いであった そのため ユウコはアツコからの いいよ を 明日は登校できるものと判断した 一方 アツコはユウコに対して 心

必要性 学習指導要領の改訂により総則において情報モラルを身に付けるよう指導することを明示 背 景 ひぼう インターネット上での誹謗中傷やいじめ, 犯罪や違法 有害情報などの問題が発生している現状 情報社会に積極的に参画する態度を育てることは今後ますます重要 目 情報モラル教育とは 標 情報手段をいか

Microsoft Word - 24授業実践.docx

平成 28 年度全国学力 学習状況調査の結果伊達市教育委員会〇平成 28 年 4 月 19 日 ( 火 ) に実施した平成 28 年度全国学力 学習状況調査の北海道における参加状況は 下記のとおりである 北海道 伊達市 ( 星の丘小 中学校を除く ) 学校数 児童生徒数 学校数 児童生徒数 小学校

(4) ものごとを最後までやりとげて, うれしかったことがありますか (5) 自分には, よいところがあると思いますか

第 3 学年道徳学習指導案 1 主題名どうすることが正しいか 1-(3) 勇気 平成 27 年 9 月 11 日 ( 金 ) 第 3 学年 2 組 34 名 授業者久米亨 2 資料名 思いきって言ったらどうなるの? ( 出典 : 光文書院 ) 3 主題設定の理由 (1) ねらいとする価値について中学

H26関ブロ美術プレ大会学習指導案(完成版)

6. 調査結果及び考察 (1) 児童生徒のスマホ等の所持実態 1 スマホ等の所持実態 54.3% 49.8% 41.9% 32.9% % 78.7% 73.4% 71.1% 76.9% 68.3% 61.4% 26.7% 29.9% 22.1% % 中 3 中 2 中 1

いろいろな衣装を知ろう

<4D F736F F D E A96E291E889F08C C88A778F4B2E646F6378>

主語と述語に気を付けながら場面に合ったことばを使おう 学年 小学校 2 年生 教科 ( 授業内容 ) 国語 ( 主語と述語 ) 情報提供者 品川区立台場小学校 学習活動の分類 B. 学習指導要領に例示されてはいないが 学習指導要領に示される各教科 等の内容を指導する中で実施するもの 教材タイプ ビジ

<4D F736F F D20819A82B982E782D082AA82B58FAC8A778D5A2E646F6378>

群教セ I01-08 平 集 特 情緒障害 中学校自閉症 情緒障害特別支援学級における人と関わる意識を高める支援の工夫 自己肯定感を高めるための振り返りと ソーシャルスキルトレーニングを通して 特別研修員田子賢一 Ⅰ 研究テーマ設定の理由 自閉症 情緒障害特別支援学級の生徒は 社会生活

内容 児童 経験したことや調べたことから選んで話す 内容 ( 考え ) を分かりやすく話す はっきりした発音で声の大きさを考えて話す 丁寧な言葉を使って話す 相手の顔を見ながら話す 大事なこと

Microsoft Word - 【確認】アンケート結果HP.docx


Microsoft Word - 小学校第6学年国語科「鳥獣戯画を読む」

1

生徒自身, 思いやりをもった行動ができたと感じていても, 相手の立場に立った行動になっていないこともあるこのキャストの心情を考えることで, 相手の気持ちや立場に共感し, 相手のことを考えた上でキャストがとった思いやりある行動, 親切な行為を学ばせたい (4) 生徒の実態と関わらせた指導の方策 ( 指

3 第 3 学年及び第 4 学年の評価規準 集団活動や生活への関心 意欲態度 集団の一員としての思考 判断 実践 学級の生活上の問題に関心 楽しい学級をつくるために を持ち 他の児童と協力して意 話し合い 自己の役割や集団と 欲的に集団活動に取り組もう してよりよい方法について考 としている え 判

平成 年度佐賀県教育センタープロジェクト研究小 中学校校内研究の在り方研究委員会 2 研究の実際 (4) 校内研究の推進 充実のための方策の実施 実践 3 教科の枠を越えた協議を目指した授業研究会 C 中学校における実践 C 中学校は 昨年度までの付箋を用いた協議の場においては 意見を出

1. 研究主題 学び方を身につけ, 見通しをもって意欲的に学ぶ子どもの育成 ~ 複式学級における算数科授業づくりを通して ~ 2. 主題設定の理由 本校では, 平成 22 年度から平成 24 年度までの3 年間, 生き生きと学ぶ子どもの育成 ~ 複式学級における授業づくり通して~ を研究主題に意欲的

6 年 No.8 You can see Daibutsu! 1/7 単元の目標 主な言語材料 できることを紹介する表現や感情を表す表現が分かる 修学旅行でできることについて具体物などを見せながら伝え合う 音声で十分に慣れ親しんだ簡単な語句や基本的な表現で書かれたものの意味が分かり できることについ

Microsoft Word - 6年国語「パネルディスカッションをしよう」

道徳の時間学習指導案 指導者 T1 長手英克 T2 浜井綾子 1 学年第 4 学年 15 名 2 主題名本当の友達 B 友情, 信頼 3 ねらいなつみに逆上がりを教えようと思うようになったてつおの気持ちを考えることを通して, 友達には自分とは違ったよさがあり, それぞれが力を発揮すると一人ではできな

5 児童の実態と主題に迫るための手だて (1) 児童の実態本学級の児童は明るく 男女の仲もよい いろいろな場面で声を掛け合ったり 仕事を手伝ったりできる児童も多い 話し合い活動では 友達の意見のいいところを取り上げて考えをまとめることができたり 人の意見を聞いて自分の考えを変えることができたりする児

いきたいと考える 第二に ビデオに撮ったインタビューの様子を繰り返し見て振り返ることで パターンに沿った質問だけでなく 自分なりの質問を考える活動に発展させていきたい そのために ビデオ視聴による振り返りを3 回行う また 自己評価だけでなく 他者評価により互いの良さを確認することで 話すことへの自

課題研究の進め方 これは,10 年経験者研修講座の各教科の課題研究の研修で使っている資料をまとめたものです 課題研究の進め方 と 課題研究報告書の書き方 について, 教科を限定せずに一般的に紹介してありますので, 校内研修などにご活用ください

解答類型

小学校国語について

第 5 学年 社会科学習指導案 1 単元名自動車をつくる工業 2 目標 我が国の自動車工業の様子に関心を持って意欲的に調べ, 働く人々の工夫や努力によって国民生活を支える我が国の工業生産の役割や発展について考えようとしている ( 社会的事象への関心 意欲 態度 ) 我が国の自動車工業について調べた事

(2) 指導の実際 1 話すこと 聞くこと の実践ア協働による教材研究の柱 モデルの提示について対話のためのスキルの定着や対話の深まりを目指し, 教師や代表グループによる対話のモデルを提示し, 気付いたことや発見したことを基に自分たちの対話や話合いの様子を振り返らせ, 学びの充実を図るようにする 共

1 対象児童 省略 2 児童の実態 省略 発達障害 情緒障害通級指導教室自立活動学習指導案 コミュニケーションに課題のある児童の指導 平成 30 年 11 月 6 日 ( 火 ) 第 5 校時 3 指導観これまでに通級指導教室では 落ち着いた環境の中で 精神的安定を図り 本来持っている能力を発揮し

平成26年度調査研究活動報告書

られる 日常の生活場面でも, そのことを裏付けるような行動が時折見られることがある (3) 教材について 1 教材名 手品師 出典 : 新しい道徳 6 東京書籍 2 価値 A-(2) 正直, 誠実 3 教材について本教材は, あまり売れない手品師が大劇場のステージに立てるチャンスを捨て, 男の子と交

3 学年 2 組道徳学習指導案平成 2 4 年 6 月 2 1 日 ( 木 ) 5 校時指導者教諭山口文 1 主題名心のこもった言動をとる 2 - ( 1 ) 礼儀 2 資料名 無言化現象 3 主題設定の理由 ( 1 ) ねらいとする道徳的価値についてニュースなどでよく耳にすることの一つに 隣に住ん

(4) ものごとを最後までやり遂げて, うれしかったことがありますか (5) 難しいことでも, 失敗を恐れないで挑戦していますか

解説 1-1 SNS での不用意な発言によりトラブルになった事例 軽い気持ちで書き込んだ言葉でも 相手をひどく傷つけてしまうことがあります 友達限定だからと安心して軽い気持ちで書き込んだ悪口が 思わぬ形で広がりトラブルにつながることがあります 平成 23 年 12 月現在 国内ネットユーザー 9,5

自己紹介をしよう

考え 主体的な学び 対話的な学び 問題意識を持つ 多面的 多角的思考 自分自身との関わりで考える 協働 対話 自らを振り返る 学級経営の充実 議論する 主体的に自分との関わりで考え 自分の感じ方 考え方を 明確にする 多様な感じ方 考え方と出会い 交流し 自分の感じ方 考え方を より明確にする 教師

とができる児童が増えてきている 総合的な学習の時間の 私たちにできることは何だろう では 調べ学習や実際の車いす体験の学習を通して 相手の気持ちを考えて親切な行動をすることの大切さを学んできている 一方で 仲の良い友達には親切にできるが そうでない友達には同じように親切にできない児童がいる また 困

< F2D87408E7793B188C C993A190E690B6816A2E6A7464>

< F2D81758E968C8F81458E968CCC96688E7E >

< F2D8FAC90BC E AB290FC82C581768E77>

知識・技能を活用して、考えさせる授業モデルの研究

4. 単元の実際 習得 (1) 三部構成のモデル文 ゲームなんてやめなさい を提示し 子どもの意識とのズレを生む 実践を行った4 年生のクラス 38 名全員が何らかのゲームをもっていることを確認し 子どもがゲームについて感じている楽しさを十分掘り起こす その上で はじめ なか おわり の形式で書かれ

4. 題材の評価規準 題材の評価規準 については, B 日常の食事と調理の基礎 (2),(3), D 身近な消費生活 と環境 (1) の 評価規準に盛り込むべき事項 及び 評価規準の設定例 を参考に設定して いる 家庭生活への関心 意欲 態度 お弁当作りに関心をもち, おか 生活を創意工夫する能力

国語の授業で目的に応じて資料を読み, 自分の考えを 話したり, 書いたりしている

3 学校教育におけるJSLカリキュラム(中学校編)(国語科)4.指導案 6 報告文を書いて発表しよう

案3                            ⑤なかまの誘い方(小学校低学年)

難聴児童の伝える力を 高めるための指導の工夫 -iPadを活用した取り組みを通して-

Microsoft Word - 【提言2】④新聞70(最終).doc

6 年 No.22 my summer vacation. 1/8 単元の目標 主な言語材料 過去の表し方に気付く 夏休みの思い出について, 楽しかったことなどを伝え合う 夏休みの思い出について, 音声で十分に慣れ親しんだ簡単な語句や基本的な表現で書かれたものの意味が分かり, 他者に伝えるなどの目的

2 研究の歩みから 本校では平成 4 年度より道徳教育の研究を学校経営の基盤にすえ, 継続的に研究を進めてきた しかし, 児童を取り巻く社会状況の変化や, 規範意識の低下, 生命を尊重する心情を育てる必要 性などから, 自己の生き方を見つめ, 他者との関わりを深めながらたくましく生きる児童を育てる

< 心の中でおうえんしながらそっと見守ったぼく > ぼくの状況 家に用事があったけれど じっとおばあさんを見ていた < 最初に声をかけたぼく > ぼくの状況 お母さんのお手伝いをする約束を果たすため 下校を急いでいた おばあさんの状況 不自由な足を一生懸命動かして坂を上っている この間より足どりが重

<小学校 生活科>

調査の目的と概要 Ⅰ 調査の目的 札幌市の児童生徒の実態に関する基礎調査 は 札幌市の小学生 中学生 高校生の意識や心情 生活 行動などについて 継続的に調査し その実態の変容を明らかにすることにより 子どもを取り巻く社会変化や教育情勢と子どもの生活との関連性を客観的に把握し 教育施策の推進に資する

教育調査 ( 教職員用 ) 1 教育計画の作成にあたって 教職員でよく話し合っていますか 度数 相対度数 (%) 累積度数累積相対度数 (%) はい どちらかといえばはい どちらかといえばいいえ いいえ 0

第 4 学年算数科学習指導案 平成 23 年 10 月 17 日 ( 月 ) 授業者川口雄 1 単元名 面積 2 児童の実態中条小学校の4 年生 (36 名 ) では算数において習熟度別学習を行っている 今回授業を行うのは算数が得意な どんどんコース の26 名である 課題に対して意欲的に取り組むこ

Taro-10月22日道徳指導案.jtd

【あんしん安全編】スマートフォンをあんしん安全に利用するために[入門編]

Microsoft Word - 社会科

項目評価規準評価方法状況 C の生徒への対応 関心意欲態度 1 自の考えを持ち 積極的に交流 討論している 2 自らの言葉で 中学生にかりやすく紹介文を書こうとしている 交流 討論で得た仲間の意見を取り入れて 自らの考えを深めるよう促す 参考例を示したり 書き出しを例示したりして 参考にするように指

3. 単元目標 自の育てている野菜の変化の様子を観察したり 地域の人に話しかけたりしながら すすんで課題を解決することができる ( 関心 意欲 態度 ) 野菜の生長の様子や 地域のお店の様子について気付いたことを絵や文章などにかき 伝えることができる ( 思考 表現 ) お店の人にインタビューしたり

学習指導要領の領域等の平均正答率をみると 各教科のすべての領域でほぼ同じ値か わずかに低い値を示しています 国語では A 問題のすべての領域で 全国の平均正答率をわずかながら低い値を示しています このことから 基礎知識をしっかりと定着させるための日常的な学習活動が必要です 家庭学習が形式的になってい

< F2D95F18D908F FE393632E6A7464>

いとする価値 生命の尊さ と自己の生き方との関わりについて, さらに考えを深める時間としたい これは, 内容項目 生命の尊さを知り, 生命あるものを大切にすること に関する学習を道徳の時間を要にし, 関連する各教科 領域または日常生活と組み合わせて作成したものである 導入では, 生命に関する価値を確

第1学年5組 道徳学習指導案

トコラージュ というメディアの形態を提案する 本単元では 説明文の 構成メモ をフォトコラージュの形でまとめる このことにより 資料を活用して説明文を書くことが容易になる フォトコラージュとは次に示すように 2 枚以上の写真と それに対する説明文を対応させた情報伝達の形式である 本学級では 社会科の

第 2 学年道徳学習指導案 平成 27 年 6 月 12 日 ( 金 ) 第 2 学年 2 組 34 名授業者川田聡子 1 主題名友達と助け合う心 2-(3) 信頼 友情 助け合い 2 資料名 森のともだち ( 出典 : 東京書籍 みんなたのしく ) 3 主題設定の理由 (1) ねらいとする価値につ

平成27年度 小・中道徳教育 研究の実際2

Microsoft Word - 24授業実践.docx

1 高等学校学習指導要領との整合性 高等学校学習指導要領との整合性 ( 試験名 : 実用英語技能検定 ( 英検 )2 級 ) ⅰ) 試験の目的 出題方針について < 目的 > 英検 2 級は 4 技能における英語運用能力 (CEFR の B1 レベル ) を測定するテストである テスト課題においては

5. 単元について本単元は,2 年生 1 学期に学習した ともこさんはどこかな から引き続いての 話す 聞く の学習である ともこさんはどこかな では, 大事なことを落とさずに話したり聞いたりできるようにすることをねらいとして学習してきた 本単元では, これに加えて互いの話をしっかり聞いてやり取りを

た, 導入で扱うイメージキャラクターについて, デザインやネーミングの意図, 理由について疑問や関心を持つことにより, より北広島町に興味を持つことが可能となる その他, 調べる際に新聞記事を利用することにより, 記事をスクラップすることができる 記録性 に優れ, 疑問を解決するための手立て, 情報

(1) 体育・保健体育の授業を改善するために

小学校 第○学年 学級活動(給食)指導案

第4章 道徳

第 9 章 外国語 第 1 教科目標, 評価の観点及びその趣旨等 1 教科目標外国語を通じて, 言語や文化に対する理解を深め, 積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図り, 聞くこと, 話すこと, 読むこと, 書くことなどのコミュニケーション能力の基礎を養う 2 評価の観点及びその趣旨

道徳学習指導案

7 学習指導過程 段階 導入 学習活動 1 友達との絆 について考える 2 教材 心のレシーブ の範読を聞いて話し合う 主な発問と予想される児童の心の動き 友達との絆 を深めるためには何が大切だと思いますか 困っていたら助けること 一緒に遊ぶこと 仲良くすること チーム分けの時, どこかやる気のない

総合第 3 学年福山市立千年小学校指導者山本康子 単元名 何もないとは言わせない!~ 千年の町のじまんをしよう ~ 本単元で育成する資質 能力 表現力主体性 積極性 思いやり自らへの自信 1 年間指導計画 月 千年の町をじまんしよう (70 時間 )


(2) 記録用サポートブックの作り方 記録用サポートブックは 一般様式 を使って書きます 一般様式 は 項目 本人の状況 支援方法 の 3 つの枠からできています 様式一般様式支援者 : 場所 : 日付 : < 項目 > 例 ) 話を聞く( 授業中 ) 使い ポイント 方 気になるな 困ったな と思

< F2D34944E90B682CC8EC A926E8FAC816A2E6A7464>

平成 20 年度全国学力 学習状況調査回答結果集計 [ 児童質問紙 ] 松江市教育委員会 - 児童 小学校調査 質問番号 (1) 朝食を毎日食べていますか 質問事項 選択肢 その他 無回答 貴教育委員会 島根県 ( 公

Hi, friends!1 Lesson9

あったらいいな ! こんなあそび場 (わたしの町大好き)

1 自己存在感児童の生活体験や生活環境の実態 興味 関心を把握し 他教科との関連を踏まえて 様々な視点から取り組めるように課題提示の工夫を行う 2 共感的人間関係話し合いや発表会のときには 相手を大切にした聞き方と発表の仕方ができるように意識させ 支持的雰囲気の中で学び合わせる また 自分との違いや

小学校の結果は 国語 B 算数 A で全国平均正答率を上回っており 改善傾向が見られる しかし 国語 A 算数 B では依然として全国平均正答率を下回っており 課題が残る 中学校の結果は 国語 B 以外の教科で全国平均正答率を上回った ア平成 26 年度全国学力 学習状況調査における宇部市の平均正答

平成 28 年度学校評価最終報告 教職員 :20 人生徒 :309 人保護者 :233 人 [ とてもよい 青ややよい 赤やや不十分 黄緑不十分 紫 ] < 教職員 保護者共通項目アンケート > 評価項目教職員保護者 1 学校は 様々な機会を活用して 学校の様子や学習内容を地域や保護者に伝えている

Transcription:

情報社会の中で良好な人間関係を築いていこうとする児童の育成 道徳の授業において 思いやりの心 を育てる情報モラル指導の工夫を通して 研究員美土里小学校杉本雅之 研究の概要 本研究は 情報社会の中で良好な人間関係を築いていこうとする児童を育てることをねらいとしたものである 具体的には 日常生活の中の問題を取り上げた 思いやりの心 を育てる教材と情報ツールを題材とした 思いやりの心 を育てる教材を関連付けることで 情報社会においても日常社会と同じように思いやりの心を持って接していくことで良好な人間関係が築いていけることに気付けるよう 指導の工夫を図った Ⅰ 主題設定の理由 今回の学習指導要領の改訂に伴い 小学校学習指導要領解説道徳編に改めて道徳教育の基本的な在り方が示された 社会全体のモラルの低下への対処 家庭や地域社会の教育機能の低下への対処 社会体験 自然体験の不足への対処 社会の変化に伴う様々な課題への対処 といった児童の道徳性の発達を阻害している現象への対応をいかに行うかが課題であるとも述べられている また 改善の具体的事項が 10 項目にわたって示され その中に ( キ ) 社会における情報化が急速に進展する中 インターネット上の 掲示板 への書き込みによる誹謗中傷やいじめといった情報化の影の部分に対応するため 発達の段階に応じて情報モラルを取り扱う とあり 前述の 社会の変化に伴う様々な課題への対処 の一つとして 情報モラル教育 の必要性が明示されている 本学級の児童は 困っている友達がいると進んで声をかけてあげることのできる児童が多い その反面 相手の気持ちを考えず自分本位の発言をしたり 相手を傷つけるような言葉を言ったりしてトラブルになることがあり 日常生活において思いやりの心が十分に育っているとは言い難い また 携帯電話やパソコンの利用率は低いものの これらのツールへの関心は高く ほとんどの児童が自分自身の携帯電話を持ちたいと考え メール機能やインターネット機能を使いたいとも考えている パソコンや携帯電話は 使い方を間違えなければたいへん便利なツールであるが それを有効に活用するためには利用する側の適切な判断力が必要とされる ところが 本学級の児童は情報ツールの便利さには気付いているが それに対するリテラシーは乏しい このような実態の中で 子どもたちに情報社会を健全に生きる方法を教えていくことは喫緊の課題である 日々様々に発達し続ける情報社会において トラブルを回避するノウハウを教えていくだけでは追いつかないのが現状である そこで 子どもたちが 情報ツールを安心して活用できるために 道徳の時間における情報モラル指導が重要になってくる 近年問題になっている情報ツールを介した人間関係のトラブルの根底にあるものは ツールの向こう側にいる人への思いやりの欠如であり 思いやりの心を持って接していれば多くの問題は防ぐことができる 子どもたちがこれから先経験するかもしれない様々な問題を未然に防ぎ トラブルに巻き込まれないようにするために 情報社会の中でも日常社会と同じように 思いやりの心を持って人と接していくことが大切なことに気付かせたい 以上のことから 道徳の授業において 思いやりの心 を育てる情報モラル指導の工夫をしていくことで 児童は情報社会の中でも良好な人間関係を築いていけるようになると考え本主題を設定した

Ⅱ 研究のねらい 道徳の授業において 思いやりの心 を育てる情報モラル指導の工夫をしていくことが 情報社 会の中で良好な人間関係を築いていける児童を育てることに有効であることを 実践を通して明らか にする Ⅲ 研究の見通し 1. 日常生活にかかわる 言葉 を題材にした教材を用いて 話し合い活動を工夫した 思いやりの心 を育てる道徳授業を行うことで 児童は相手の気持ちを考え 相手を嫌な気持ちにする言葉を言わないようにしたり 相手を認める言葉がけを進んでしたりしようとする気持ちになるであろう 2. 情報ツールを介した 言葉 を題材にした教材を開発して 話し合い活動を工夫した 思いやりの心 を育てる道徳授業を行うことで 児童は情報ツールを介した相手の気持ちを考え 相手を嫌な気持ちにする言葉を使わないようにしたり 相手を認める言葉を進んで使おうとしたりする気持ちになるであろう 研究構想図 Ⅳ 研究の内容と方法 1. 研究の内容 (1) 情報社会の中で良好な人間関係を築いていこうとする児童 について情報社会の中で良好な人間関係を築いていこうとする児童の姿を以下のように考えた 1 日常生活の中の他者とのコミュニケーションの場において 相手の気持ちを考え 相手を嫌な気持ちにする言葉を言わないようにしたり 相手を認める言葉がけを進んでしたりする児童 2 情報ツールを介した他者とのコミュニケーションの場において 相手の気持ちを考え 相手を嫌な気持ちにする言葉を使わないようにしたり 相手を認める言葉を進んで使ったりする児童 ( 学級活動 ) コンピュータによる疑似体験 ( 日常の指導 ) 言葉のトラブルへの指導よい言葉がけへの賞賛友達のよいところさがし 見通し2 思いやりの心を育てる道徳授業 2 情報ツールを介した他者とのコミュニケーションの場において 相手を嫌な気持ちにさせる言葉を使わない 相手を認める言葉を進んで使う 見通し 1 思いやりの心を育てる道徳授業 1 日常生活の中の他者とのコミュニケーションの場において 相手を嫌な気持ちにさせる言葉を使わない 相手を認める言葉を進んで使う ( 学校行事や学級活動との関連 ) ( 人権集中学習 ) 人権の花束 ほかほかタイム (2) 道徳の授業において 思いやりの心 を育てる情報モラル指導の工夫について児童の日常生活の中でのトラブルは 言葉 に因るものが多い また 社会で問題となっている情報ツールを介したトラブルも 言葉 が原因となっているものが多くを占めている そこで 児童の実態 困っている友達に声をかけたり 助けたりすることができる 相手の気持ちを考えた言動がとれないことがある 情報ツールの便利さに気づき 利用したいと考えている 情報ツールに対するリテラシーは乏しい ( 運動会 ) 友達を認める言葉がけ 社会的背景 コミュニケーション能力の低下 メール依存 匿名性を悪用した掲示板への書き込みによる誹謗中傷やいじめなどの様々な問題

日常生活の中の問題を取り上げた 思いやりの心 を育てる道徳授業も情報ツールを題材とした 思いやりの心 を育てる道徳授業も 言葉 を問題にした資料を用いて行うようにしていく そうすることによって 児童は日常生活の中でも情報ツールを介してでも相手のことを思いやった言葉を使うことが 良好な人間関係を築いていく上で大切なことであることに気付くであろう また 話し合い活動を工夫することにより 多様な考えに気付き 相手のことを思いやったよりよい言葉を選んでいくことができるようになると考える 2. 研究の方法 (1) 授業実践計画 対 象 藤岡市立美土里小学校 4 年 1 組 29 名 実 施 期 間 平成 23 年 10 月上旬 ~ 平成 24 年 1 月 価 値 項 目 2-(2) 思いやり (2) 抽出児童グループの集まりに来なかった児童に対して グループをやめていい といった発言を A 女してトラブルになったことがある どのような言葉を使ったら相手に嫌な思いをさせずに済むのか気付かせていきたい 思ったことはすぐに口にしてしまう傾向がある そのため 人間関係のトラブルを起こ B 男すことがある 自分の内面と向かい合わせ 自分の行動によって相手が傷ついているだけでなく 自分自身も嫌な思いをしていることに気付かせていきたい 何かに熱中すると話しかけてきた相手にきちんと返事をしないことがある それがよく C 男ないことに気付いているが直せないでいる 話し合い活動の中心として活躍させ 多くの子がより高い価値に気付けるような発言を促していきたい (3) 検証計画検証項目 検 証 の 視 点 検証の方法 見通し1 日常生活において 相手を傷つける言葉を言ったときの気持 活動状況の観察 ( 検証授業 1) ちを考える話し合い活動をすることは 相手を思いやった言動 ワークシートの をしようとする心情を育てることに有効であったか 分析 一件のメールについて 送った側の気持ちと貰った側の受け 活動状況の観察 見通し2 取り方を考えさせてからメールの文を考える話し合い活動をす ワークシートの ( 検証授業 2) ることは 相手の気持ちを思いやった言葉遣いをしようとする 分析 心情を育てることに有効であったか Ⅴ 研究の実践と考察 1. 研究の実践 (1) 主題名 相手の気持ちを考えて 2-(2) 思いやり (2) ねらいとする価値について社会生活を円滑に送る上で大切なことはたくさんあるが その中の一つに 他者を思いやり親切にする ということがある それは 人は自分一人だけの力で生きているのではなく 必ず他者とかかわって生きているからである 他者と良好な人間関係を築いていくためには 相手が困っているとき

には 声をかけてあげたり 助けてあげたりすることが大切であるし 肉体的にも精神的にも傷つけたりしないことや 嫌な気持ちにさせないように振る舞うことが必要である そこで まず直接対話の場で相手を傷つけたとき 相手を傷つけてしまった後悔から自分自身も傷ついていることに気付かせ 相手を思いやる気持ちが大切であることに気付かせていきたい 次に 相手と直接顔を合わせていないコミュニケーションの場において自分の気持ちを言葉だけで伝えるためには 自分の気持ちを一方的に話す ( 書く ) だけではなく 相手の気持ちに配慮した言葉も必要であること まず相手を認め その上で自分の気持ちや考えを伝えるコミュニケーションが大切であることに気付かせたい (3) 思いやりの心 を育てる道徳授業 1 1 ねらい相手の気持ちを考えた言葉を使うことの大切さに気付くことができる 2 展開 ( 略案 ) 学習活動 発問 中心発問指導上の留意点 詩 つめたいことば を読みながら話し合う 黒板に拡大した資料を掲示し 範読する つめたいことば という詩から どん 資料は全部見せず 分割して提示し 感想を聞きながら進 なことを想像したり 感じたりしますか めていく 心につきささる というのは どうい 話し合いの際に意見を言いやすいように 初めにワークシうことでしょうか ートに自分の考えを記入させる 話し合いの様子を見ながら 適宜 何がもどってきたの? 何がつきささっているの? などと投げかける つめたいことば をいってしまった わた するのはやめて 私は されるのが嫌 などといし は この後どうしたらよいのか考える った自分が困っている ( 嫌がっている ) 気持ちを伝える言葉 この後 わたし はどうしたらよいと思を児童から出させたい いますか 心にもどってきてわたしの相手にむかってブーメランだつめたいことばはつめたいあたまにきてめたいことばつき切であることに気付くことができる つ 思いやりの心 を育てる道徳授業る図1 資料 図 2 授業風景 (4) 思いやりの心 を育てる道徳授業 2 1 ねらい メールを使ったコミュニケーションの場で 相手のことを考えた言葉を使うことが大

2 展開 ( 略案 ) 学習活動 発問 中心発問指導上の留意点 どんなメールをすればトラブルにならなかったのか考え ワークシートに書く どんなメールだったら トラブルにならなかったのだろう 相手を嫌な気持ちにさせないメールをグループで考える さちこをいやな気持ちにさせず 自分の気持ちも伝えられる一番よいメールを考えよう 実際にメールを送るつもりで メール画面に見立てたワークシートを用意し それに記入させる 記入できない児童には 相手を嫌な気持ちにさせないようにするにはどんな言葉を使ったらよいのか投げかける グループで相手に配慮しながら自分の気持ちを伝えるメールを考えさせる 相手に配慮する言葉 自分の気持ちを伝える言葉が含まれているかチェックしながら 必要に応じてアドバイスする グループで考えたメールを発表する 発表の後 なぜそのようなメールにしたのか問いかけ 相 手に配慮するために気を付けたこと 自分の気持ちをきちん と伝えるために気を付けたことを聞き出す 図 3 思いやりの心 を育てる道徳授業 2 資料 ( 自作 ) 2. 研究の結果と考察 (1) 日常生活において 相手を傷つける言葉を言ったときの気持ちを考える話し合い活動をすることは 相手を思いやった言動をしようとする心情を育てることに有効であったか ( 見通し1) 初めに 詩の中の 心につきささる という言葉の意味についてグループで話し合わせた つめたいことば を言ったら 相手も言い返してくるので その言葉が戻ってきてつきささる という考えがほとんどであったが C 男のグループでは 本児が中心になり 言ってしまって後から悪かっ

たなと思う といった意見が出され 言ってしまった側の後悔の念に気付くことができていた 次に 傷つける言葉を言ってしまった後 わたし はどうしたらよいかを考えさせ 全体で話し合った 25 名 (86%) の児童は 謝る といったことを書いていた そこで 詩の冒頭に戻り 頭にきて言ったんだから きっと相手が先に何か言ってるんだよ それでも謝れる? と投げかけた B 男は あやまれる やっぱりあやまれない あやまれって言う と発言していた C 男は それを受け お互いに悪かったね ごめんね と言う と発言していた 学習の最後に書いた感想には もし私がつめたい言 図 4 児童の書いた感想 葉を言ってしまったら 言ってしまった子にあやまり 言われたら仕返しはせずに やだ や あや まって と言おうと思いました ぼくもひどい言葉を言ってしまったことがあるので これからは 気をつけようと思った 自分が嫌なことを言ってしまったら すぐ謝ろうと思いました など 相 手を傷つける言葉は言わないようにする 言ってしまったらすぐにあやまる 言われた場合は 言い返すのではなく 嫌だという気持ちを相手に伝える といったことが書かれていた また 相 手の気持ちを考えて行動すれば この詩のようにならない (C 男 ) や 言葉をうまく使えばけんか にならない といったことを書いた児童もいるなど ねらいに迫ることが書けていた児童は 24 名 (83 %) であった ( 図 4) 他の児童も 授業中の わたし はどうしたらよいかという発問のときには あやまる もう言わない ということを書いており 相手を思いやった言動をしようとする心情 を育てることに有効であったと考える 展開後段での価値の葛藤場面にもっと時間をかけることがで きれば さらに児童の考えが深まったのではないかと考える なお 抽出児 3 人が本時の学習のまと めに書いた文は次の通りである A 女 わたしは これから自分がやられていやなことは ぜったいにしないと思いました B 男 自分が言われていやな心になったら あやまってもらう C 男 相手の気持ちを考えて行動すれば この詩のようにならない いつもれいせいでいよう (2) 一件のメールについて 送った側の気持ちと貰った側の受け取り方を考えさせてからメールの文を考える話し合い活動をすることは 相手の気持ちを思いやった言葉遣いをしようとする心情を育てることに有効であったか ( 見通し2) 初めにメールを受け取った側の気持ちを考え 相手を不快にさせる言葉に気付かせるようにした 多くの児童は受け取った側が不快な気持ちになることに共感的であったが 一部の児童には送った側の心情に寄り添う様子が見られた 続いてメールを送った側の気持ちを考えることを通して 送った側の気持ちと受け取った側の気持ちにずれがあることに気付かせた それぞれの気持ちを込めた音声資料を用いて両者の気持ちに違いがあることをより明確にしてから 相手に自分の気持ちが伝わるメール文を書かせた ( 図 5) 個人でメール文を作成する場面では 今日は楽しかった とい図 5 個人でメールを作成する児童う言葉を入れ 相手の行為を肯定的にとらえ 表現した言葉を書くことができた児童もいたが 9 時を過ぎたら携帯を使わない約束があるという事情を説明できていない児童が5 名 (17 %) おかしい または 変 という言葉を使った児童が 13 名 (45 %) おり 相

手を不快にさせた原因を解消できていない児童が半数近くいた 抽出児 3 名の書いた文は次の通りである A 女 B 男 みんな目の前にいるのにメールで話すのって ケータイ のお金がもったいないよね だから 今度からみんなでい るときは ふつうに仲良く話そうね メールを近くでするのってなんかちがうよね? なんか バカに近いよね お母さんに 9:00 になったらメールしち ゃだめだよって言われたからメールをしないでね また明 日ね 目の前にいるのになんでメールで話していたの? わた C 男しはおかしいと思うけど どう思う? あと 約束で夜 9 時をすぎたら使えないから お願いだけど きんきゅうじ ゃないなら その次の日に送ってね それぞれの児童が自分なりに考えて表現していたが 約束の件に 触れていなかったり バカ という言葉が入っていたりと トラ ブルの原因となったことが解消できていない内容であった 数名の 児童の文を紹介し それぞれのよかったところから 相手に不快な 思いをさせず自分の気持ちを伝えるために大切なことに気付かせ グループで相談しながら再度メール文を書かせた ( 図 7) その結果各グループとも 1 相手の行為に対する肯定的な表現 2 相手に不快な思いをさせる言葉を使わずに自分の気持ちを表現す る 3 自分の立場をきちんと相手に伝える ( 家庭での約束を相手に 知らせる ) 表現 といったことを踏まえた文を作ることができた また 自分の気持ちを一方的に言うのではなく 相手に投げかける 表現をしている班もあった 発表の際にどんなことを考えながらそ のような文にしたのか理由を尋ねた それぞれの班とも 遊んで楽しかったことを相手に伝える 相 手が嫌な気持ちになる言葉を使わないように 家の約束をちゃん と相手に伝える 疑問に思ったことを相手に質問するようにし た といった理由であった 個人では半数近くの児童が相手への配 慮が不十分な表現であったが グループでの話し合いをする中で相 手の気持ちに配慮して表現を工夫することが大切なことに気付ける ようになった ( 図 8) 学習の最後に書いた感想には メールをするときは 相手の気 持ちを考えて送った方がいいと思いました やっぱり口でいった方 が気持ちが伝わっていいと思いました メールをするようになっ たら 言葉に気をつけてしようと思った メールだけじゃなくて 電話の時にも言葉に気をつけようと思う 携帯電話を持っても メールばかりしないで直接人と話そうと思う など 相手に配慮 した言葉を使うようにしたい 16 名 (56 %) メールの使い方を 考えたい 10 名 (35 %) といったことが書かれていた その他の 児童も ( メールするとき ) 使わない方がよい言葉が分かった あ んなメールもらったら私も腹が立つ など 言葉を選ぶ重要性に気 図 6 児童の書いたメール文 図 7 グループでメールを考える児童 図 8 グループで作成したメール

付いている内容であり 相手の気持ちを思いやった言葉遣いをしようとする心情を育てることに有効であった ( 図 9) 抽出児 3 人が本時の学習のまとめに書いた文は次の通りである 友達といるのにどうしてメールで話すの? と思いました 私 A 女が携帯を持ったら 会っていないときにする 嫌な思いをさせないように気をつける B 男メールでは気持ちが伝わらない文があるんだと思いました 相手の気持ちを考えないとと思いました やっぱり メールなどで話すことより 口で話した方がいいと C 男改めて思いました あと 内容などを考えて話さないといけないことも改めて感じました Ⅵ 研究の成果と今後の課題 図 9 児童の感想 1 研究の成果 日常生活の中で けんかした相手の気持ちを考え 話し合わせたことにより 児童は相手が傷ついていることに気付き 悪口を言い返すのではなく 悪口を言われて嫌だ という気持ちを相手に伝えていくことが大切であることに気付くことができた このことから 思いやりの心を育てることができ 学校生活において相手を傷つける言動が減ってきた 直接向かい合って話していればトラブルにはならなかった事例について自作教材を用いたことで 児童は情報ツールは便利だが万能ではないこと 使い方を間違えるとトラブルになってしまうことに気付くことができた また 情報ツールを介することによって起きてしまうトラブルを防ぐ方法を考え 話し合わせたことにより 言葉だけでは自分の意図が伝わりにくいこと どのような言葉を使えば相手を傷つけないのかを考えさせることができ それには 相手への配慮が必要であることに気付かせることができた メールをするときは使い方を考える メールより直接話す方が気持ちが伝わる 相手に配慮した言葉を使う など 授業後の子どもたちの感想から 情報ツールを介した場合にも思いやりの心を持ち 良好な人間関係を築いていこうとする児童を育成することができた 2 今後の課題 自分が思いやりの心をもって相手に接していても 相手も同じ気持ちでいなければ情報ツールを介したトラブルは起こってしまう 情報社会の中でのトラブルをどのように解決していったらよいのかを学ぶ授業も開発していきたい 義務教育 9 年間の道徳の授業の中で どの学年でどんな価値項目で教えていけばより効果的な情報モラル指導ができるのか 発達段階を踏まえた系統的な指導計画の作成を検討していきたい 主な参考文献等 11 の徳を教える小学校中学年編 諸富祥彦 尾高正浩 土田雄一編著 ( 明治図書 ) 子どもの ICT 利用実態調査 Benesse 教育研究開発センター http://benesse.jp/berd/center/open/report/ict_riyou/hon/index.html