情報社会の中で良好な人間関係を築いていこうとする児童の育成 道徳の授業において 思いやりの心 を育てる情報モラル指導の工夫を通して 研究員美土里小学校杉本雅之 研究の概要 本研究は 情報社会の中で良好な人間関係を築いていこうとする児童を育てることをねらいとしたものである 具体的には 日常生活の中の問題を取り上げた 思いやりの心 を育てる教材と情報ツールを題材とした 思いやりの心 を育てる教材を関連付けることで 情報社会においても日常社会と同じように思いやりの心を持って接していくことで良好な人間関係が築いていけることに気付けるよう 指導の工夫を図った Ⅰ 主題設定の理由 今回の学習指導要領の改訂に伴い 小学校学習指導要領解説道徳編に改めて道徳教育の基本的な在り方が示された 社会全体のモラルの低下への対処 家庭や地域社会の教育機能の低下への対処 社会体験 自然体験の不足への対処 社会の変化に伴う様々な課題への対処 といった児童の道徳性の発達を阻害している現象への対応をいかに行うかが課題であるとも述べられている また 改善の具体的事項が 10 項目にわたって示され その中に ( キ ) 社会における情報化が急速に進展する中 インターネット上の 掲示板 への書き込みによる誹謗中傷やいじめといった情報化の影の部分に対応するため 発達の段階に応じて情報モラルを取り扱う とあり 前述の 社会の変化に伴う様々な課題への対処 の一つとして 情報モラル教育 の必要性が明示されている 本学級の児童は 困っている友達がいると進んで声をかけてあげることのできる児童が多い その反面 相手の気持ちを考えず自分本位の発言をしたり 相手を傷つけるような言葉を言ったりしてトラブルになることがあり 日常生活において思いやりの心が十分に育っているとは言い難い また 携帯電話やパソコンの利用率は低いものの これらのツールへの関心は高く ほとんどの児童が自分自身の携帯電話を持ちたいと考え メール機能やインターネット機能を使いたいとも考えている パソコンや携帯電話は 使い方を間違えなければたいへん便利なツールであるが それを有効に活用するためには利用する側の適切な判断力が必要とされる ところが 本学級の児童は情報ツールの便利さには気付いているが それに対するリテラシーは乏しい このような実態の中で 子どもたちに情報社会を健全に生きる方法を教えていくことは喫緊の課題である 日々様々に発達し続ける情報社会において トラブルを回避するノウハウを教えていくだけでは追いつかないのが現状である そこで 子どもたちが 情報ツールを安心して活用できるために 道徳の時間における情報モラル指導が重要になってくる 近年問題になっている情報ツールを介した人間関係のトラブルの根底にあるものは ツールの向こう側にいる人への思いやりの欠如であり 思いやりの心を持って接していれば多くの問題は防ぐことができる 子どもたちがこれから先経験するかもしれない様々な問題を未然に防ぎ トラブルに巻き込まれないようにするために 情報社会の中でも日常社会と同じように 思いやりの心を持って人と接していくことが大切なことに気付かせたい 以上のことから 道徳の授業において 思いやりの心 を育てる情報モラル指導の工夫をしていくことで 児童は情報社会の中でも良好な人間関係を築いていけるようになると考え本主題を設定した
Ⅱ 研究のねらい 道徳の授業において 思いやりの心 を育てる情報モラル指導の工夫をしていくことが 情報社 会の中で良好な人間関係を築いていける児童を育てることに有効であることを 実践を通して明らか にする Ⅲ 研究の見通し 1. 日常生活にかかわる 言葉 を題材にした教材を用いて 話し合い活動を工夫した 思いやりの心 を育てる道徳授業を行うことで 児童は相手の気持ちを考え 相手を嫌な気持ちにする言葉を言わないようにしたり 相手を認める言葉がけを進んでしたりしようとする気持ちになるであろう 2. 情報ツールを介した 言葉 を題材にした教材を開発して 話し合い活動を工夫した 思いやりの心 を育てる道徳授業を行うことで 児童は情報ツールを介した相手の気持ちを考え 相手を嫌な気持ちにする言葉を使わないようにしたり 相手を認める言葉を進んで使おうとしたりする気持ちになるであろう 研究構想図 Ⅳ 研究の内容と方法 1. 研究の内容 (1) 情報社会の中で良好な人間関係を築いていこうとする児童 について情報社会の中で良好な人間関係を築いていこうとする児童の姿を以下のように考えた 1 日常生活の中の他者とのコミュニケーションの場において 相手の気持ちを考え 相手を嫌な気持ちにする言葉を言わないようにしたり 相手を認める言葉がけを進んでしたりする児童 2 情報ツールを介した他者とのコミュニケーションの場において 相手の気持ちを考え 相手を嫌な気持ちにする言葉を使わないようにしたり 相手を認める言葉を進んで使ったりする児童 ( 学級活動 ) コンピュータによる疑似体験 ( 日常の指導 ) 言葉のトラブルへの指導よい言葉がけへの賞賛友達のよいところさがし 見通し2 思いやりの心を育てる道徳授業 2 情報ツールを介した他者とのコミュニケーションの場において 相手を嫌な気持ちにさせる言葉を使わない 相手を認める言葉を進んで使う 見通し 1 思いやりの心を育てる道徳授業 1 日常生活の中の他者とのコミュニケーションの場において 相手を嫌な気持ちにさせる言葉を使わない 相手を認める言葉を進んで使う ( 学校行事や学級活動との関連 ) ( 人権集中学習 ) 人権の花束 ほかほかタイム (2) 道徳の授業において 思いやりの心 を育てる情報モラル指導の工夫について児童の日常生活の中でのトラブルは 言葉 に因るものが多い また 社会で問題となっている情報ツールを介したトラブルも 言葉 が原因となっているものが多くを占めている そこで 児童の実態 困っている友達に声をかけたり 助けたりすることができる 相手の気持ちを考えた言動がとれないことがある 情報ツールの便利さに気づき 利用したいと考えている 情報ツールに対するリテラシーは乏しい ( 運動会 ) 友達を認める言葉がけ 社会的背景 コミュニケーション能力の低下 メール依存 匿名性を悪用した掲示板への書き込みによる誹謗中傷やいじめなどの様々な問題
日常生活の中の問題を取り上げた 思いやりの心 を育てる道徳授業も情報ツールを題材とした 思いやりの心 を育てる道徳授業も 言葉 を問題にした資料を用いて行うようにしていく そうすることによって 児童は日常生活の中でも情報ツールを介してでも相手のことを思いやった言葉を使うことが 良好な人間関係を築いていく上で大切なことであることに気付くであろう また 話し合い活動を工夫することにより 多様な考えに気付き 相手のことを思いやったよりよい言葉を選んでいくことができるようになると考える 2. 研究の方法 (1) 授業実践計画 対 象 藤岡市立美土里小学校 4 年 1 組 29 名 実 施 期 間 平成 23 年 10 月上旬 ~ 平成 24 年 1 月 価 値 項 目 2-(2) 思いやり (2) 抽出児童グループの集まりに来なかった児童に対して グループをやめていい といった発言を A 女してトラブルになったことがある どのような言葉を使ったら相手に嫌な思いをさせずに済むのか気付かせていきたい 思ったことはすぐに口にしてしまう傾向がある そのため 人間関係のトラブルを起こ B 男すことがある 自分の内面と向かい合わせ 自分の行動によって相手が傷ついているだけでなく 自分自身も嫌な思いをしていることに気付かせていきたい 何かに熱中すると話しかけてきた相手にきちんと返事をしないことがある それがよく C 男ないことに気付いているが直せないでいる 話し合い活動の中心として活躍させ 多くの子がより高い価値に気付けるような発言を促していきたい (3) 検証計画検証項目 検 証 の 視 点 検証の方法 見通し1 日常生活において 相手を傷つける言葉を言ったときの気持 活動状況の観察 ( 検証授業 1) ちを考える話し合い活動をすることは 相手を思いやった言動 ワークシートの をしようとする心情を育てることに有効であったか 分析 一件のメールについて 送った側の気持ちと貰った側の受け 活動状況の観察 見通し2 取り方を考えさせてからメールの文を考える話し合い活動をす ワークシートの ( 検証授業 2) ることは 相手の気持ちを思いやった言葉遣いをしようとする 分析 心情を育てることに有効であったか Ⅴ 研究の実践と考察 1. 研究の実践 (1) 主題名 相手の気持ちを考えて 2-(2) 思いやり (2) ねらいとする価値について社会生活を円滑に送る上で大切なことはたくさんあるが その中の一つに 他者を思いやり親切にする ということがある それは 人は自分一人だけの力で生きているのではなく 必ず他者とかかわって生きているからである 他者と良好な人間関係を築いていくためには 相手が困っているとき
には 声をかけてあげたり 助けてあげたりすることが大切であるし 肉体的にも精神的にも傷つけたりしないことや 嫌な気持ちにさせないように振る舞うことが必要である そこで まず直接対話の場で相手を傷つけたとき 相手を傷つけてしまった後悔から自分自身も傷ついていることに気付かせ 相手を思いやる気持ちが大切であることに気付かせていきたい 次に 相手と直接顔を合わせていないコミュニケーションの場において自分の気持ちを言葉だけで伝えるためには 自分の気持ちを一方的に話す ( 書く ) だけではなく 相手の気持ちに配慮した言葉も必要であること まず相手を認め その上で自分の気持ちや考えを伝えるコミュニケーションが大切であることに気付かせたい (3) 思いやりの心 を育てる道徳授業 1 1 ねらい相手の気持ちを考えた言葉を使うことの大切さに気付くことができる 2 展開 ( 略案 ) 学習活動 発問 中心発問指導上の留意点 詩 つめたいことば を読みながら話し合う 黒板に拡大した資料を掲示し 範読する つめたいことば という詩から どん 資料は全部見せず 分割して提示し 感想を聞きながら進 なことを想像したり 感じたりしますか めていく 心につきささる というのは どうい 話し合いの際に意見を言いやすいように 初めにワークシうことでしょうか ートに自分の考えを記入させる 話し合いの様子を見ながら 適宜 何がもどってきたの? 何がつきささっているの? などと投げかける つめたいことば をいってしまった わた するのはやめて 私は されるのが嫌 などといし は この後どうしたらよいのか考える った自分が困っている ( 嫌がっている ) 気持ちを伝える言葉 この後 わたし はどうしたらよいと思を児童から出させたい いますか 心にもどってきてわたしの相手にむかってブーメランだつめたいことばはつめたいあたまにきてめたいことばつき切であることに気付くことができる つ 思いやりの心 を育てる道徳授業る図1 資料 図 2 授業風景 (4) 思いやりの心 を育てる道徳授業 2 1 ねらい メールを使ったコミュニケーションの場で 相手のことを考えた言葉を使うことが大
2 展開 ( 略案 ) 学習活動 発問 中心発問指導上の留意点 どんなメールをすればトラブルにならなかったのか考え ワークシートに書く どんなメールだったら トラブルにならなかったのだろう 相手を嫌な気持ちにさせないメールをグループで考える さちこをいやな気持ちにさせず 自分の気持ちも伝えられる一番よいメールを考えよう 実際にメールを送るつもりで メール画面に見立てたワークシートを用意し それに記入させる 記入できない児童には 相手を嫌な気持ちにさせないようにするにはどんな言葉を使ったらよいのか投げかける グループで相手に配慮しながら自分の気持ちを伝えるメールを考えさせる 相手に配慮する言葉 自分の気持ちを伝える言葉が含まれているかチェックしながら 必要に応じてアドバイスする グループで考えたメールを発表する 発表の後 なぜそのようなメールにしたのか問いかけ 相 手に配慮するために気を付けたこと 自分の気持ちをきちん と伝えるために気を付けたことを聞き出す 図 3 思いやりの心 を育てる道徳授業 2 資料 ( 自作 ) 2. 研究の結果と考察 (1) 日常生活において 相手を傷つける言葉を言ったときの気持ちを考える話し合い活動をすることは 相手を思いやった言動をしようとする心情を育てることに有効であったか ( 見通し1) 初めに 詩の中の 心につきささる という言葉の意味についてグループで話し合わせた つめたいことば を言ったら 相手も言い返してくるので その言葉が戻ってきてつきささる という考えがほとんどであったが C 男のグループでは 本児が中心になり 言ってしまって後から悪かっ
たなと思う といった意見が出され 言ってしまった側の後悔の念に気付くことができていた 次に 傷つける言葉を言ってしまった後 わたし はどうしたらよいかを考えさせ 全体で話し合った 25 名 (86%) の児童は 謝る といったことを書いていた そこで 詩の冒頭に戻り 頭にきて言ったんだから きっと相手が先に何か言ってるんだよ それでも謝れる? と投げかけた B 男は あやまれる やっぱりあやまれない あやまれって言う と発言していた C 男は それを受け お互いに悪かったね ごめんね と言う と発言していた 学習の最後に書いた感想には もし私がつめたい言 図 4 児童の書いた感想 葉を言ってしまったら 言ってしまった子にあやまり 言われたら仕返しはせずに やだ や あや まって と言おうと思いました ぼくもひどい言葉を言ってしまったことがあるので これからは 気をつけようと思った 自分が嫌なことを言ってしまったら すぐ謝ろうと思いました など 相 手を傷つける言葉は言わないようにする 言ってしまったらすぐにあやまる 言われた場合は 言い返すのではなく 嫌だという気持ちを相手に伝える といったことが書かれていた また 相 手の気持ちを考えて行動すれば この詩のようにならない (C 男 ) や 言葉をうまく使えばけんか にならない といったことを書いた児童もいるなど ねらいに迫ることが書けていた児童は 24 名 (83 %) であった ( 図 4) 他の児童も 授業中の わたし はどうしたらよいかという発問のときには あやまる もう言わない ということを書いており 相手を思いやった言動をしようとする心情 を育てることに有効であったと考える 展開後段での価値の葛藤場面にもっと時間をかけることがで きれば さらに児童の考えが深まったのではないかと考える なお 抽出児 3 人が本時の学習のまと めに書いた文は次の通りである A 女 わたしは これから自分がやられていやなことは ぜったいにしないと思いました B 男 自分が言われていやな心になったら あやまってもらう C 男 相手の気持ちを考えて行動すれば この詩のようにならない いつもれいせいでいよう (2) 一件のメールについて 送った側の気持ちと貰った側の受け取り方を考えさせてからメールの文を考える話し合い活動をすることは 相手の気持ちを思いやった言葉遣いをしようとする心情を育てることに有効であったか ( 見通し2) 初めにメールを受け取った側の気持ちを考え 相手を不快にさせる言葉に気付かせるようにした 多くの児童は受け取った側が不快な気持ちになることに共感的であったが 一部の児童には送った側の心情に寄り添う様子が見られた 続いてメールを送った側の気持ちを考えることを通して 送った側の気持ちと受け取った側の気持ちにずれがあることに気付かせた それぞれの気持ちを込めた音声資料を用いて両者の気持ちに違いがあることをより明確にしてから 相手に自分の気持ちが伝わるメール文を書かせた ( 図 5) 個人でメール文を作成する場面では 今日は楽しかった とい図 5 個人でメールを作成する児童う言葉を入れ 相手の行為を肯定的にとらえ 表現した言葉を書くことができた児童もいたが 9 時を過ぎたら携帯を使わない約束があるという事情を説明できていない児童が5 名 (17 %) おかしい または 変 という言葉を使った児童が 13 名 (45 %) おり 相
手を不快にさせた原因を解消できていない児童が半数近くいた 抽出児 3 名の書いた文は次の通りである A 女 B 男 みんな目の前にいるのにメールで話すのって ケータイ のお金がもったいないよね だから 今度からみんなでい るときは ふつうに仲良く話そうね メールを近くでするのってなんかちがうよね? なんか バカに近いよね お母さんに 9:00 になったらメールしち ゃだめだよって言われたからメールをしないでね また明 日ね 目の前にいるのになんでメールで話していたの? わた C 男しはおかしいと思うけど どう思う? あと 約束で夜 9 時をすぎたら使えないから お願いだけど きんきゅうじ ゃないなら その次の日に送ってね それぞれの児童が自分なりに考えて表現していたが 約束の件に 触れていなかったり バカ という言葉が入っていたりと トラ ブルの原因となったことが解消できていない内容であった 数名の 児童の文を紹介し それぞれのよかったところから 相手に不快な 思いをさせず自分の気持ちを伝えるために大切なことに気付かせ グループで相談しながら再度メール文を書かせた ( 図 7) その結果各グループとも 1 相手の行為に対する肯定的な表現 2 相手に不快な思いをさせる言葉を使わずに自分の気持ちを表現す る 3 自分の立場をきちんと相手に伝える ( 家庭での約束を相手に 知らせる ) 表現 といったことを踏まえた文を作ることができた また 自分の気持ちを一方的に言うのではなく 相手に投げかける 表現をしている班もあった 発表の際にどんなことを考えながらそ のような文にしたのか理由を尋ねた それぞれの班とも 遊んで楽しかったことを相手に伝える 相 手が嫌な気持ちになる言葉を使わないように 家の約束をちゃん と相手に伝える 疑問に思ったことを相手に質問するようにし た といった理由であった 個人では半数近くの児童が相手への配 慮が不十分な表現であったが グループでの話し合いをする中で相 手の気持ちに配慮して表現を工夫することが大切なことに気付ける ようになった ( 図 8) 学習の最後に書いた感想には メールをするときは 相手の気 持ちを考えて送った方がいいと思いました やっぱり口でいった方 が気持ちが伝わっていいと思いました メールをするようになっ たら 言葉に気をつけてしようと思った メールだけじゃなくて 電話の時にも言葉に気をつけようと思う 携帯電話を持っても メールばかりしないで直接人と話そうと思う など 相手に配慮 した言葉を使うようにしたい 16 名 (56 %) メールの使い方を 考えたい 10 名 (35 %) といったことが書かれていた その他の 児童も ( メールするとき ) 使わない方がよい言葉が分かった あ んなメールもらったら私も腹が立つ など 言葉を選ぶ重要性に気 図 6 児童の書いたメール文 図 7 グループでメールを考える児童 図 8 グループで作成したメール
付いている内容であり 相手の気持ちを思いやった言葉遣いをしようとする心情を育てることに有効であった ( 図 9) 抽出児 3 人が本時の学習のまとめに書いた文は次の通りである 友達といるのにどうしてメールで話すの? と思いました 私 A 女が携帯を持ったら 会っていないときにする 嫌な思いをさせないように気をつける B 男メールでは気持ちが伝わらない文があるんだと思いました 相手の気持ちを考えないとと思いました やっぱり メールなどで話すことより 口で話した方がいいと C 男改めて思いました あと 内容などを考えて話さないといけないことも改めて感じました Ⅵ 研究の成果と今後の課題 図 9 児童の感想 1 研究の成果 日常生活の中で けんかした相手の気持ちを考え 話し合わせたことにより 児童は相手が傷ついていることに気付き 悪口を言い返すのではなく 悪口を言われて嫌だ という気持ちを相手に伝えていくことが大切であることに気付くことができた このことから 思いやりの心を育てることができ 学校生活において相手を傷つける言動が減ってきた 直接向かい合って話していればトラブルにはならなかった事例について自作教材を用いたことで 児童は情報ツールは便利だが万能ではないこと 使い方を間違えるとトラブルになってしまうことに気付くことができた また 情報ツールを介することによって起きてしまうトラブルを防ぐ方法を考え 話し合わせたことにより 言葉だけでは自分の意図が伝わりにくいこと どのような言葉を使えば相手を傷つけないのかを考えさせることができ それには 相手への配慮が必要であることに気付かせることができた メールをするときは使い方を考える メールより直接話す方が気持ちが伝わる 相手に配慮した言葉を使う など 授業後の子どもたちの感想から 情報ツールを介した場合にも思いやりの心を持ち 良好な人間関係を築いていこうとする児童を育成することができた 2 今後の課題 自分が思いやりの心をもって相手に接していても 相手も同じ気持ちでいなければ情報ツールを介したトラブルは起こってしまう 情報社会の中でのトラブルをどのように解決していったらよいのかを学ぶ授業も開発していきたい 義務教育 9 年間の道徳の授業の中で どの学年でどんな価値項目で教えていけばより効果的な情報モラル指導ができるのか 発達段階を踏まえた系統的な指導計画の作成を検討していきたい 主な参考文献等 11 の徳を教える小学校中学年編 諸富祥彦 尾高正浩 土田雄一編著 ( 明治図書 ) 子どもの ICT 利用実態調査 Benesse 教育研究開発センター http://benesse.jp/berd/center/open/report/ict_riyou/hon/index.html