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ORYZA OIL & FAT CHEMICAL CO., LTD. ポリアミン POLYAMINE 爪, 毛髪ケア, アンチエイジング食品素材 ポリアミン -P ( 水溶性粉末, 食品用途 ) Ver.1.0 MM

爪, 毛髪ケア, アンチエイジング素材ポリアミン POLYAMINE 1. はじめに ポリアミンは, 体内でアミノ酸から合成される 2 つ以上のアミノ基をもつ物質です ポリアミンはすべての動物やヒトの細胞内で, 成長期に盛んに合成されます 核酸合成やタンパク質の合成促進作用 1) だけでなく, 抗酸化作用 2,3) や抗アレルギー作用 4,5), また糖化反応を抑える 6,7) など様々な機能を合わせ持ち, 現在ではポリアミンに関する非常に多くの研究が行われています このポリアミンを食事から得ようとすると, 鳥のレバーや納豆, キノコ類や大豆などの摂取が考えられますが, これらの食品を摂取していても, 加齢に伴い体内のポリアミン含量は低下していきます 現在, わが国においてアレルギー疾患患者数が非常に多くなっています その原因として, 日本人が昔から親しんできた納豆や豆腐といったポリアミン高含有食品の摂取量の減尐が,1 つの原因ではないかと推測されています また, 近年では抗炎症作用に基く動脈硬化抑制作用 8,9) や, 発毛促進作用 10,11) などポリアミンの新たな生理機能も報告されています この度, オリザ油化では世界において年間供給量が多い小麦胚芽に含有されるポリアミンの研究を行い, 爪の成長に重要なケラチノサイトの角化やケラチン産生促進作用を見出しました 近年, ネイルケアやネイルアートの関心が高まる中, 爪の健康が重要視されています 爪の健康や髪のツヤ促進などの機能を訴求した素材は今日までまだ市場にはほとんどありません 弊社のポリアミンを指先の爪から, 毛髪まで全身をケアできる美容及びアンチエイジング素材として幅広くご活用下さい 引用文献 1) Roseeuw D.I. et al., Epidermal keratinocytes actively maintain their intracellular polyamine levels. Cell Tissue Kinet. 16, 493-504 (1983). 2) Ha H.C. et al., The natural polyamine spermine functions directly as a free radical scavenge. Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 95, 11140-45 (1998). 3) Fujisawa S. et al., Kinetic evaluation of polyamines as radical scavengers. Anticancer Res. 25, 965-70 (2005). 4) Soda K. et al., Spermine, a natural polyamine, suppresses LFA-1 expression on human lymphocyte. J. Immunol. 175, 237-45 (2005). 1

5) Zhang M. et al., Spermine inhibits proinflammatory cytokine synthesis in human mononuclear cells:a counterregulatory mechanism that restrains the immune response. J. Exp. Med. 185, 1759-68 (1997). 6) Gugliucci A. et al., The polyamines spermine and spermidine protect proteins from structural and functional damage by AGE precursors: a new role for old molecules?life Sci. 72, 2603-16 (2003). 7) Gugliucci A., Alternative antiglycation mechanisms: are spermine and f ructosamine-3-ki nase part of a carbonyl damage control pathway?. Med. Hypotheses. 64. 2603-16 (2005). 8) Soda K., Polyamine intake, dietary pattern, and cardiovascular disease. Med. Hypotheses. 75. 299-301 (2010). 9) de la Pena N.C. et al., Inhibition of platelet aggregation by putrescine, spermidine, and spermine in hypercholesterolemic rabbits. Arch. Med. Res.,75. 299-301 (2000). 10)RamotY.et al., Polyamines and hair: a couple in search of perfection.exp. Dermatol. 19, 784-90 (2010). 11) Ramot Y., Spermidine promotes human hair growth and is a novel modulator of human epithelial stem cell functions. Plos One, 6,1-11(2011). 2. ポリアミンとは ポリアミンとは第 1 級アミノ基を 2 つ以上もつ脂肪族炭化水素の総称で, 体内には 20 種類以上のポリアミンが存在します その中でも代表的なポリアミンとしてスペルミジン, スペルミン, プトレスシンが挙げられます ( 図 1) これらはヒトを含めたすべての生物に含まれますが, 胎児や新生児の細胞では, ポリアミンの合成能力が高く, 細胞の増殖能も高くなっています また, ポリアミンは母親の母乳にも多く含まれている事がわかっています H 2 N スペルミジン H N NH 2 H 2 N N H H N NH2 スペルミン H 2 N NH 2 プトレスシン 図 1. ポリアミンの化学構造 2

(μ mol/g wt) ポリアミン ver. 1.0MM ポリアミンは細胞内でアミノ酸であるアルギニンから合成されます アルギニンは, アルギナーゼの作用でオルニチンになり, オルニチン デカルボキシラーゼ (ODC) の働きでプトレスシンに変化します さらに, プトレスシンはスペルミジンシンターゼによってスペルミジンに変換されます 最後にスペルミジンは, スペルミンシンターゼによってスペルミンに合成されます ( 図 2) ポリアミンの合成には酵素が必要ですが, 加齢に伴って, その酵素活性が低下するため, ポリアミンの合成能は低下します 12,13) ( 図 3) アルギニン ( アミノ酸 ) メチオニン オルチニン ( アミノ酸 ) オルニチンデカルボキシラーゼ (ODC) アグマチン プトレスシン スペルミジンシンターゼ S- アデノシルメチオニン (SAM) d-sam S- アデノシルメチオニンデカルボキシラーゼ スペルミジン スペルミンシンターゼ スペルミン 図 2. ポリアミンの合成経路 ポリアミン濃度 15 10 5 0 0 20 40 スペルミンスペルミジンプトレスシン 週齢 ( マウス ) 図 3. 加齢によるポリアミンの濃度変化 12) Yoshinaga K. et al., Age-related changes in polyamine biosynthesis after fasting and 3

refeeding. Exp. Gerontol.28, 565-72 (1993). 13) Scalabrino G. et al., Polyamines in mammalian ageing: an oncological problem, too? A review., Mech. Ageing Dev., 26,149-64 (1984). また, ポリアミンには図 4 に示すような全身に対して様々な機能がある事がわかっています 美容作用 動脈硬化抑制作用 脂質代謝促進作用 滋養強壮作用 細胞賦活作用 寿命延長作用 放射線保護作用 抗炎症作用 抗酸化作用 抗ストレス作用 図 4 ポリアミンの作用点 4

ポリアミン含有量 (mg/100g) ポリアミン ver. 1.0MM 3. 小麦胚芽由来のポリアミンの特徴 (1) ポリアミン含量の比較 様々な製品間でのポリアミン含量の比較を行った結果, 小麦胚芽中のポリアミン含量は, 納豆や味噌に比べて, 高いことがわかりました ( 図 5) 50 各種食品中のポリアミン含量 45 40 35 30 25 20 15 10 5 0 醤油 味噌 納豆 テンペ Blue チーズ ヨーグルト ビール 日本酒 ワイン ウーロン茶 乾燥大豆 紅茶 小麦胚芽 Okamoto A. et al., Polyamine content of ordinary foodstuffs and various fermented foods. Bios ci.biotech.biochem.61,1582-4 (1997) 図 5. ポリアミン含量の比較 また, 各種小麦製品間でポリアミン含量を比較した結果, 小麦胚芽中のポリアミン含量が同じ小麦から作られる胚乳やパンやうどんに比べて非常に高いことがわかりました ( 表 1) 年齢を重ねるごとにスペルミンやスペルミジンに変換する酵素の活性が低下するので, 高齢者がポリアミンの原料であるアルギニンやオルニチンをサプリメントとして摂取しても, スペルミンやスペルミジンの合成量や体内分布量が増加するわけではありません したがって, スペルミンやスペルミジンは高齢者では不足する傾向にあります 12,13) これらの理由から, スペルミンとスペルミジ 5

ンの含量が高い小麦胚芽由来のポリアミンは, 年齢を重ねた方に特に効率良くポリアミンを摂取して頂けると思われます 表 1. 小麦原料と含有食品のポリアミン含量の比較 原料 製品 スペルミジン スペルミン プトレスシン 合計 (mg/kg) 小麦胚芽 243 134 64 441 小麦胚乳 5 1 3 9 パン 3 4 1 8 うどん 0.4 0.4 0.4 1.2 (2) 体内での吸収性 栄養素が, 消化管から体内に吸収されるためには, 消化という過程を経なくてはなりません 胃や腸から体内に吸収される物質の分子量は, 最大でも 1000 以下程度とされています ポリアミンは 250 以下なので, 低分子のアミノ酸などと同様, 腸管から効率よく吸収され, そのまま血中に移行して生体内で効率良く利用されると考えられます スペルミジンやスペルミンを分解する酵素は腸内にはありません しかし, プトレスシンを分解してしまう酵素 (Diamine Oxidase) は腸内に存在するので, 食物に含まれているプトレスシンは酵素による分解が進み, 消化管からの吸収量は低下します 一方, スペルミジンとスペルミンの分子量はプトレスシンより大きく, また消化管に分解酵素が存在しないため, 大部分がそのままの形で腸管から吸収され, 全身の組織や臓器に分布される事がわかっています したがって, スペルミジンとスペルミンの比率が高い小麦胚芽のポリアミンは, 非常に優れた製品であると考えられます 6

発現比率 ポリアミン ver. 1.0MM 4. ポリアミンの機能性と応用 (1) ケラチノサイトに及ぼす作用 1 ) ポリアミン混合物のケラチノサイトにおける作用 ヒト由来のケラチノサイトを用いて, ポリアミン各種 3 成分の混合物 ( スペルミジン : スペルミン : プトレスシン = 7 :2 :1) を用いてケラチン 1 の発現に及ぼす作用を調べました その結果, ポリアミンを添加することで, ケラチン 1 の mrna の有意な発現促進が認められました ( 図 6) ケラチン 1mR NA 3 2.5 2 1.5 1 0.5 0 Control p <0.01 ポリアミン混合物 (100 ug/ml) 図 6. ポリアミン混合物のヒトケラチノサイトにおけるケラチン 1 の mrna 発現に及ぼす作用発現比率は,β actin で補正した 平均値 ± 標準誤差,n=4 実験方法 ヒト乳房由来のケラチノサイトに, ポリアミン混合物 ( スペルミジン : スペルミン : プトレスシン = 7 :2 :1)100 μg/ ml を添加し,3 日間培養した 細胞回収後 RNA を抽出し, ケラチン 1 の発現を調べた 2 ) 各ポリアミンのケラチノサイトにおける作用 ヒト由来のケラチノサイトを用いて, ポリアミンのそれぞれの成分であるスペルミジン, スペルミンおよびプトレスシンについて, ケラチン 1 タンパクの発現に及ぼす作用を検討しました その結果, 図 7 に示すように, スペルミジンとスペルミンについては 1 mg / ml で, プトレスシンについては 0.1 mg/ml において, ケラチン 1 タンパクの発現促進が認められました 以上, 上記 1), 2) の結果より, 小麦由来のポリアミンは, タンパク質や核酸の合成を促進し, 例えば, 爪や髪の再生を助けることが示唆されました 7

スペルミジンスペルミンプトレスシン ケラチン 1 GAPDH 図 7. ポリアミンの 3 成分がケラチン 1 タンパクに及ぼす作用 実験方法 ヒト乳房由来のケラチノサイト (3 10 4 cells/ml) をプレートに播種後,24 時間前培養した ポリアミン ( スペルミジン, スペルミンおよびプトレスシン )0.1 または 1 mg/ ml を添加し,3 日間培養を行った後, 細胞を回収してケラチン 1 タンパクの発現を Western blotting により評価した (2) 爪形成促進作用 ポリアミンは表皮ケラチノサイトに豊富に存在しており, 表皮や真皮の増殖に必要です また, 爪は, 爪甲, 爪母, 爪郭, 爪床からなる角化性の上皮組織であり, 爪母は爪甲 ( いわゆる爪の部分 ) のケラチノサイトの発生部位です この部位で分化増殖したケラチノサイトが, 外側へ伸びて角化することにより, 爪甲が形成されます ( 図 8) 爪甲の強度は爪甲の厚みと曲がり具合の程度により決定され, 厚みがあるほど丈夫で, また適度に曲がっていることで, 外力に対応する力を持つ事がわかっています 爪甲が硬い理由は, 爪甲が硬ケラチンで形成されているためで, カルシウム含量が多いためではありません また爪の脂質の約 15 % はセラミドで構成されており, 爪の水分維持に重要な役割を果たしています そこで, 弊社では, ポリアミンの投与によるマウス後跂の爪形成に及ぼす作用を調べました 断面 図 8. 爪の構造 8

発現比率 ポリアミン ver. 1.0MM 1 ) マウス後跂爪付近のケラチン発現に及ぼす作用 ( ホ リアミン混合物 ) ポリアミンの混合物 ( スペルミジン : スペルミン : プトレスシン = 7 :2 :1) 10 mg/kg をマウスに 9 日間継続投与した後, 後跂爪付近のケラチン 1 の発現を調べました その結果, 図 9 に示すように, ポリアミン混合物の投与により, 後跂爪付近のケラチン 1mRNA の有意な発現促進が認められました (A) また,Western blotting の結果, ポリアミン混合物を投与した方のバンドが太くなっている事より, ポリアミン投与によるケラチン 1 タンパクの発現量の増加が認められました (B) さらに, 図 10 に示すように HE( ヘマトキシリン エオジン ) 染色像においてポリアミン混合物の投与により, 赤紫色に染色している部位 ( 点線で囲んだ部分 ) の面積が増加している事より, 表皮層から角質移行層への爪の形成促進が認められました (A) ケラチン 1 2.5 p <0.01 2 1.5 1 0.5 0 Control ポリアミン混合物 (10 mg/kg) 発現比率は,β actin で補正した 平均値 ± 標準誤差,n=3-5. (B) Control ポリアミン混合物 ケラチン 1 アクチン サンプル欠如 図 9. ポリアミン混合物のマウス後跂爪付近のケラチン 1mRNA およびタンパク発現に及ぼす作用 9

<H.E. 染色 > Control ポリアミン混合物 赤紫色に染色された点線で囲んだ面積が Control と比べて増加している事がわかります これは, 表皮層から角質移行層への爪の形成促進がなされたことを示します 図 10. ポリアミン混合物のマウス後跂爪付近の HE 染色による爪形成促進作用 実験方法 マウス (ICR, 雄,5 週齢 ) にポリアミン混合物 ( スペルミジン : スペルミン : プトレスシン = 7 :2 :1) 10 mg/ kg を 1 日 1 回 9 日間経口投与した 左後跂第 3 指の第 1 関節において,Western blotting による評価を行った また, 第 4 指から検査用標本を作成しヘマトキシリン エオジン (H.E.) 染色により爪断面の観察を行った 10

2 ) ポリアミン ( 賦形剤未添加品 ) の爪形成に及ぼす作用 ポリアミン ( 賦形剤未添加品, ポリアミン含量 : 0.2 %) の投与によるマウスの爪形成に及ぼす作用を検討しました その結果,HE 染色の爪根部の比較において, ポリアミンの投与により, 表皮層 ( 青色の顆粒を含む層 ) から角質移行層 ( 黒色点線で囲んだ赤紫色の層 ) への促進が確認でき, 爪形成の促進が認められました ( 図 11-A) また, 爪に多く含まれているケラチン 1,16 の染色を行った結果, ポリアミンを投与している群において, 角質移行部におけるケラチン 1,16 の発現増加が認められました ( 黒色点線で囲んだこげ茶色の部分の染色面積が増加 ) また,Western blotting の結果においても, ポリアミン ( 賦形剤未添加品 ) を投与した方のバンドが太くなっている事より, ケラチン 1 タンパクの発現促進が認められました ( 図 11-B) 以上の結果より, ポリアミンはケラチン 1 産生の促進や角化を促進するものと考えられました (A) 11

(B) Control 1mg/kg ポリアミン ( 賦形剤未添加品 ) ケラチン 1 アクチン 図 11. ポリアミンのマウス爪形成に及ぼす作用 実験方法 ポリアミン賦形剤未添加品 [50 および 500 mg/kg ( ポリアミンとして 0.1 および 1mg/kg)] を 12 日間経口投与し, 左後跂第 3 指の第 1 関節において,HE 染色およびケラチン 1 染色標本を作製し評価した (3) 細胞賦活作用 ( 細胞増殖促進 ) ポリアミンは生物の細胞内では 特に RNA と相互作用することによってタンパク質や核酸の合成を促進し 細胞増殖因子として機能することから 14 ), ポリアミン含有小麦胚芽抽出物を用いて, ポリアミンのヒト皮膚繊維芽細胞における細胞賦活化作用を MTT アッセイにより評価しました 結果,0.01 %~0.1 % において有意な細胞賦活を示しました ( 図 12) ポリアミン含有小麦胚芽抽出物 図 12. ポリアミン含有小麦胚芽抽出物のヒト皮膚繊維芽細胞における細胞賦活化作用 (n=4~8) 12

実験方法 繊維芽細胞 (CAI:106-05 Lot:1314) を 1% FCS 含有 DMEM で 4 10 4 個 /ml(1 104 個 /250μl) に調製し 48 穴プレートに 250μl(1 10 4 個 ) ずつ播種した 一晩培養した後に サンプル 1.25~ 2.5μl( 試料濃度 :0.5%~1%) を各ウエルに添加し 3 日間培養後 MTT アッセイにより細胞賦活化率を算出した (4) コラーゲン産生促進作用 また, ポリアミンのコラーゲン産生能についても評価を行いました コラーゲン 産生についても, ポリアミン含有小麦胚芽抽出物による濃度依存的なコラーゲン産 生促進作用を示しました ( 図 13) 250 コラー 200 ゲン産 150 生率 100 ( %) 0 ** P<0.01, * P<0.05 T-test **; P<0.01, *; P<0.05 ** * ポリアミン含有小麦胚芽抽出物 ** ** Control 0.01 % 0.02 % 0.05 % 0.1 % (Water) 図 13. ポリアミン含有小麦胚芽抽出物のヒト皮膚繊維芽細胞におけるコラーゲン産生促進作用 (n=4~8) 実験方法 細胞賦活能の実験方法に従って,1 晩培養した繊維芽細胞 (CAI:106-05 Lot:1314) を 1% FCS 含有 DMEM で 4 10 4 個 /ml(1 10 4 個 /250μl) に調整し, サンプルと無血清 DMEM250μl を加えて 3 日間培養した その後 培地中のコラーゲン量を測定した 14) Igarashi K., Physiological functions of polyamines and regulation of polyamine content in cells. YAKUGAKU ZASSHI, 126, 455-71 (2006). 13

(5) 発毛促進作用 髪は永遠に伸び続けているのではなく, 成長期 退行期 休止期のステップを周期的に繰り返して伸長しています 成長期には毛母細胞が活発に分裂して毛髪の形成が行われますが, 退行期に入ると毛髪を作り出す源となる毛母細胞がアポトーシスをおこすため, 退行期から休止期にかけては毛髪の成長はストップします Ramot Y ら 15,16) によると, ポリアミン ( スペルミジン ) を添加することによって, 毛幹の伸長を促進することが報告されています ( 図 14: コントロールを 100 とした場合の毛幹の長さを % で表しています ) 特に, 毛髪の成長期を延長させ ( 図 15), さらに毛包中のケラチン 15 のプロモーターの発現を促進させる事が報告されています ( 図 16: 蛍光で染色された部位がポリアミンを添加する事で増加しています ) ポリアミン ( スヘ ルミシ ン ) 濃度 図 14. ポリアミン ( スペルミジン ) 添加による毛幹に及ぼす作用 成長期休止期 ( 初期 ) 休止期 ( 中期 ) 休止期 ( 後期 ) 図 15. ポリアミン ( スペルミジン ) 添加による毛周期に及ぼす作用 14

図 16. ポリアミンのケラチン 15 発現に及ぼす作用 ( 蛍光染色による ) 15) Ramot Y. et al., Polyamines and hair: a couple in search of perfection. Exp. De rmatol. 19, 784-90 (2010). 16) Ramot Y. et al., Spermidine promotes human hair growth and is a novel modulator of human epithelial stem cell functions. Plos One, 6, e22564 (2011). (6) 皮膚老化抑制作用 ギャップ結合 (GAP junction) を介した細胞間の情報伝達は 加齢や紫外線などにより低下し 正常な皮膚機能の低下を引き起こします 17,18) また, 皮膚老化に最も深く関与しているのは細胞間経路の喪失です ポリアミンは細胞間のギャップ結合を強化し 細胞間のコミュニケーションを活性化させます ポリアミンのうち プトレスシンとスペルミジンを比較したところ スペルミジンにより強い作用が認められています 19 ) 17) Ishimura H., Improvement of intercellular communication through epidermal GAP junction by seaweed plasmodesmata extract and its application to cosmetics. FRAGRANCE J., 31(12), 100-5 (2003). 18) Provost N. et al., Ultraviolet A radiation transiently disrupts gap junctional communication in human keratinocytes. Am. J. Physiol. Cell Physio., 284 C51-9 (2003). 19) Shore L. et al., Polyamines regulate gap junction communication in connexin 43-expressing cells. Biochem. J. 357, 489-95 (2001). 15

(7) 向妊娠作用 ( 生殖能力サポート ) ポリアミンは 生殖能力に深く関与していることが知られています 20) 男性においては精子の形成や運動性の向上 女性においては卵胞の発達や排卵 ホルモン産生に関与しています さらに 胚の着床や胎盤の形成などの妊娠の過程においても重要な働きを担っています ポリアミンは生殖能力の維持, 向上に重要な栄養成分であると考えられます 20) Lefevre P. L. et al., Polyamines on the reproductive randscape. Endocr. Rev. 26, 2011-12(2011). (8) 寿命延長作用 体内のポリアミンは加齢に伴って減尐することが知られています 高ポリアミン 食 ( スペルミン :0.0075% スペルミジン :0.0223%) を 50 週間以上与えたマウ スでは 通常食または低ポリアミン食を摂取したマウスと比べて死亡率が低下しま した さらに 加齢に伴う腎糸球体の委縮を抑制し 毛皮の厚さや運動量も維持し 21, 22) ていました 21) Minois N. et al., Polyamines in aging and disease., Aging, 3, 1-17 (2011). 22) Soda K. et al., Polyamine-rich food decreases age-associated pathology and mortality in aged mice. Exp. Gerontol. 44, 727-32 (2009). (9) 抗炎症作用 スペルミンは LPS( リポポリサッカライド ) で刺激したヒト免疫細胞 ( 末梢血単核球 ) に対して 炎症性サイトカインである TNF, IL-1 および 6, MIP-1 および 1 の合成を抑制します さらに 炎症誘導物質 ( カラギーナン ) を作用させたマウスの足の裏の急性炎症に対して スペルミンは炎症抑制作用を示しました 23) ポリアミンは ヒト免疫細胞 ( 末梢血単核球 ) の細胞表面にある細胞接着分子 (LFA-1) の発現を低下させます その結果 免疫細胞が関与する慢性的な炎症反応が抑制されると考えられます 24) また, 慢性炎症はアルツハイマー病 慢性関節炎 骨粗しょう症および糖尿病などの生活習慣病との関連性が示唆されており ポリアミンはこれらに対して有効に作用すると考えられています 25) 23) Zhang M. et al., Spermine inhibits proinflammatory cytokine synthesis in human mononuclear cells: a counterregulatory mechanism that restrains the immune response. J. Exp. Med. 185, 1759-68 (1997). 16

24) Soda K. et al., Spermine, a natural polyamine, suppresses LFA-1 expression on human lymphocyte. J. Immunol. 175, 237-45 (2005). 25) Soda K. et al., ポリアミンによるアンチエイジング. Food style 21, 10(10), 43-54 (2006). (10) 動脈硬化抑制作用 マクロファージや血小板の過剰な凝集は動脈硬化の要因であると考えられています ポリアミンは ウサギ ( 正常動物および高コレステロール血症動物 ) から得られた血小板の凝集を阻害しました 作用の強さはスペルミン>スペルミジン>プトレスシンの順でした 26) また ポリアミンの抗炎症作用を通して動脈硬化を抑制する可能性が示唆されています 27) 26) Soda K. et al., Polyamine intake, dietary pattern, and cardiovascular disease. Med. Hypotheses.75.299-301 (2010). 27) De la Pena N.C., Inhibition of platelet aggregation by putrescine, spermidine,and spermine in hypercholesterolemic rabbits. Arch. Med. Res.75, 299-301 (2000). (11) 放射線保護作用 ポリアミンは放射線による障害から遺伝子を保護する作用が報告されています ポリアミンは細胞内では核に存在しており電気的に結合して存在しています 放射線によって DNA の核酸塩基が傷害されるのを, ポリアミンは遺伝子の高次構 造を変化させることで, 保護する事が報告されています 28,29) 28) Thierry D. et al., Protection against radiation-induced degradation of DNA bases by polyamines.,radiation Res. 153,29-35(2000). 29) Waters R.L. et al., Radioprotection of human cell nuclear DNA by polyamines: radiosensitivity ofchromatin is influenced by tightly bound spermine. Radiation Res. 151, 354-62(1999). 17

初期値を 100 とした相対含量 (%) ポリアミン残存率 (%) ポリアミン ver. 1.0MM 5. ポリアミンの熱安定性 ポリアミン ( 賦形剤未添加品 ) の熱安定性を検討した結果,1 時間の加温 (80 ) によっても変化がみられず, 通常の食品加工温度に対して安定であることが分かりました ( 図 14) また,1 時間の加熱 (100 ) によっては 2 割の含量低下がみられたことから, 100 以上での長期間の加熱にはご注意下さい 100 80 60 80 100 40 20 0 0 1 時間 (hr) 図 14. ポリアミンの熱安定性 6. ポリアミンの ph 安定性 ポリアミン ( 賦形剤未添加品 ) を蒸留水に溶解させ,pH 調整し, 非遮光下, 室温で 1 週間保存後, ポリアミン含量を測定しました その結果, ポリアミンは ph 9 においては約 1 割の含量低下が見られましたが, 酸性から中性領域では安定であることがわかりました ( 図 15) 非遮光, 室温 120 100 80 60 40 20 0 3 4 5 6 7 8 9 ph 1 週間後 図 15. ポリアミンの ph 安定性 18

ポリアミン濃度相対値 (%) ポリアミン ver. 1.0MM 7. ポリアミンの保存安定性 ポリアミン ( 賦形剤 50 % 品 ) について,5,25,40 での保存安定性を調べました 4 ヶ月目で, ポリアミン含量は 5,25 で含量は減尐せず,40 においてもほとんど減尐はみられておりません ( 図 16) 120 110 100 90.0 80.0 70.0 60.0 50.0 0 1 2 3 4 5 保存期間 ( ヶ月 ) 5 25 40 8. ポリアミンの推奨摂取量 図 16. ポリアミンの保存安定性 ポリアミン ( 賦形剤未添加品 ) の爪形成に及ぼす作用の実験結果より, 一日あたり, ポリアミン -P として,70 mg / 日以上の使用をおすすめします 19

9. ポリアミンの栄養成分 分析項目 ポリアミン-P (100 g あたり ) 分析方法 水分 1.3 g 減圧加熱乾燥法 タンパク質 9.0 g 燃焼法 ( たんぱく質換算係数 :6.25) 脂質 0.1 g 酸分解法 灰分 17.5 g 直接灰化法 糖質 72.1g 100g ( たんぱく質 + 脂質 + 水分 + 灰分 ) エネルギー 336 kcal 修正アトウォーター 食物繊維 5.2g プロスキー法 ナトリウム 3654mg 原子吸光光度法 食塩相当量 9.31g ナトリウム換算値 * エネルギー換算係数 : たんぱく質 4; 脂質 9; 糖質 4; 食物繊維 2 ポリアミン -P は栄養成分分析値からの計算値試験依頼先 : 財団法人日本食品分析センター 試験成績書発行年月日平成 23 年 8 月 24 日試験成績書発行番号第 201108100038 号 10. ポリアミンの安全性 (1) 残留農薬 残留農薬について, 食品衛生法および農薬取締法に準じて,529 項目の農薬の有無を調べました その結果, 全項目において基準値 ( 検出限界値 ) 以下であることが判明しました 試験依頼先 : 株式会社マシス食品安全評価分析センター試験成績書発行年月日 : 平成 23 年 9 月 5 日 (2) 急性毒性 (LD 50 ) 体重 30 g 前後,5 週齢の ddy 系雄雌マウスに, ポリアミン ( 賦形剤未添加品 ) を 2,000 mg/kg の用量で経口投与し, 温度 23±2, 湿度 50±10%, 飼料, 水自由摂取の条件下で 14 日間飼育しました コントロール群との比較をおこなったところ, 異常な体重変化はみられず, また試験終了後の剖検においても臓器に異常は認められませんでした 従って, 雌雄マウスに対するポリアミン ( 賦形剤未添加品 ) の LD 50 値は 2,000 mg/kg 以上です 20

(3) 突然復帰変異原性試験 (Ames 試験 ) ポリアミン ( 賦形剤未添加品 ) について, ネズミチフス菌 (Salmonella typhimurium) TA100,TA98 を用いて, 代謝活性化法および直接法で,Ames 試験を実施しました その結果 19.5~5,000 g/plate の濃度において 変異原性は認められませんでした 11. ポリアミンの応用例 利用方法健康食品食品 具体例ソフトカプセル, 錠剤, ハードカプセル等キャンディー, グミ, 錠菓, クッキー, ウエハース, ドリンク等 12. 荷姿 ポリアミン-P, ( 水溶性粉末, 食品用途 ) 5 kg 内装 : アルミ袋外装 : ダンボール包装 13. 保管方法 高温多湿を避け, 室温, 冷暗所にて密封状態で保管してください 14. 表示例 < 食品 > 製品名表示名ポリアミン P ポリアミン含有小麦胚芽抽出物又は小麦胚芽抽出物 澱粉分解物 クエン酸 クエン酸 Na * 食品表示については所轄の保健所, 及び地方農政局にご確認下さい 21

製品規格書 製品名ポリアミン -P 食品 本品は, イネ科コムギ (Triticum aestivum) の胚芽からクエン酸水溶液で抽出して得られた抽出物を, 粉末化したものである 本品は定量するとき, ポリアミンを 0.15 % 以上含む 本品は水溶性である 性状 淡黄色 ~ 淡褐色の粉末で, わずかに特有なにおい ポリアミン含量 0.15 % 以上 (HPLC 法 ) 乾燥減量 10.0 % 以下 ( 衛生試験法 1 g,105,2 時間 ) 純度試験 (1) 重金属 20 ppm 以下 ( 硫化ナトリウム比色法 ) (Pb として ) (2) ヒ素 1 ppm 以下 ( 食品添加物公定書, 第 3 法, 装置 B ) (As 2 O 3 として ) 一般生菌数 1 10 3 個 /g 以下 ( 衛生試験法, 標準寒天培地 ) 真菌数 1 10 2 個 /g 以下 ( 衛生試験法, ポテトデキストロース寒天培地 クロラムフェニコール添加 ) 大腸菌群陰性 ( 衛生試験法,BGLB 培地 ) 組成成分含有量 小麦胚芽抽出物 44 % 澱粉分解物 40 % クエン酸 8 % クエン酸ナトリウム 8 % 合計 100 % 賞味期限 製造後 2 年間 保管方法 高温 直射日光を避け 換気が可能な湿気のない冷暗所にて密封状態で 保管する 22

商品企画から OEM 生産までお気軽にご相談ください ポリアミン ver. 1.0MM オリザ油化は, 健康に役立つ機能性をもつ食品素材の開発をめざしています 多品種の機能性食品素材を生産し, 多くの食品情報を有しております お気軽にお問い合わせください 製造発売元 : オリザ油化株式会社 本社 493-8001 愛知県一宮市北方町沼田 1 番地 TEL(0586)86-5141( 代表 ) FAX(0586)86-6191 URL/http://www.oryza.co.jp/ E-mail: info@oryza.co.jp 東京営業所 101-0041 東京都千代田区神田須田町 1-24-10 大東京ビル 5F TEL(03)5209-9150 FAX(03)5209-9151 E-mail: tokyo@oryza.co.jp 本資料は 学術的なデータ等に基づき作成しておりますが 当該製品を配合した消費者向け製品への表現については 健康増進法や薬事法等の関連法規に従うようご注意下さい * 本書の無断複写, 及び流用は, 著作権法上の例外を除き禁じられています * 本カタログに記載された内容は, 都合により変更させていただくことがあります 制定日 2011 年 10 月 1 日 23