『タブー視しない高齢者介護と性(仮)』第1章*5

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染症であり ついで淋菌感染症となります 病状としては外尿道口からの排膿や排尿時痛を呈する尿道炎が最も多く 病名としてはクラミジア性尿道炎 淋菌性尿道炎となります また 淋菌もクラミジアも検出されない尿道炎 ( 非クラミジア性非淋菌性尿道炎とよびます ) が その次に頻度の高い疾患ということになります

イルスが存在しており このウイルスの存在を確認することが診断につながります ウ イルス性発疹症 についての詳細は他稿を参照していただき 今回は 局所感染疾患 と 腫瘍性疾患 のウイルス感染検査と読み方について解説します 皮膚病変におけるウイルス感染検査 ( 図 2, 表 ) 表 皮膚病変におけるウイ

胞の腫大の 2 つが 正しい病理診断のためのキーワードでした 形質細胞浸潤の目立つ炎症を病理学的に亜急性炎症といいますが この場合 亜急性皮膚炎の診断は臨床の役に立ちません 病理学的に疑うべきは梅毒です 梅毒スピロヘータ ( トレポネーマ パリドゥム ) に対する抗体を利用した免疫染色が決め手になり

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婦人科がん検診Q&A

最初に事後指導項目規定をお示し致します これらは 陰性スメアに対して行っております まず 取り扱い項目は要医療 要治療の 2 項目あります 要医療扱いの細胞所見は 一つ目に 炎症を伴う強度細胞異型の見られるもの 二つ目として 萎縮像に炎症を伴った強度細胞異型の認められるもの 三つ目として 核異型の伴

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ヒト慢性根尖性歯周炎のbasic fibroblast growth factor とそのreceptor

平成 26 年度事業計画書 自平成 26 年 4 月 1 日 至平成 27 年 3 月 31 日 公益財団法人性の健康医学財団

2017 年 3 月臨時増刊号 [No.165] 平成 28 年のトピックス 1 新たに報告された HIV 感染者 AIDS 患者を合わせた数は 464 件で 前年から 29 件増加した HIV 感染者は前年から 3 件 AIDS 患者は前年から 26 件増加した ( 図 -1) 2 HIV 感染者

第58回日本臨床細胞学会 Self Assessment Slide

検査を行っています 検査方法は 血液検査や尿検査です ただし 確定診断ではないので 感染の疑いがある場合は さらに一般の医療機関で検査することが必要です なぜパートナーも一緒に治療しなければいけないのですか? 性感染は セックスで感染します このため 自分だけが治療しても パートナーが感染していれば

後などに慢性の下痢をおこしているケースでは ランブル鞭毛虫や赤痢アメーバなどの原虫が原因になっていることが多いようです 二番目に海外渡航者にリスクのある感染症は 蚊が媒介するデング熱やマラリアなどの疾患で この種の感染症は滞在する地域によりリスクが異なります たとえば デング熱は東南アジアや中南米で

子宮頸がん死亡数 国立がん研究センターがん対策情報センターHPより

日本における子宮頸がん検診の時代的背景 1982 年老人保健法にて 20 年かけて子宮頸がんを半減させる 30 歳以上の女性を対象受診間隔は 1 年に 1 回費用は行政が全額負担 1998 年地方交付税による財源措置に変更費用の一部個人負担が必要となる 2004 年子宮頸がん検診の見直し受診対象年齢


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方法について教えてください A 妊娠中の接種に関する有効性および安全性が確立されていないため 3 回接種を完了する前に妊娠していることがわかった場合には一旦接種を中断し 出産後に残りの接種を行うようにしてください 接種が中断しても 最初から接種し直す必要はありません 具体的には 1 回目接種後に妊娠

2014 年 7 月 16 日放送 細菌性膣症についての最新の話題 富山大学産科婦人科教授齋藤滋細菌性膣症の概念細菌性膣症 (Bacterial vagiosis) は 以前は非特異的膣炎 ガードネレラ膣炎 ヘモフィルス膣炎などとして知られていましたが 現在では乳酸桿菌である Lactobacill

2017 年 8 月 9 日放送 結核診療における QFT-3G と T-SPOT 日本赤十字社長崎原爆諫早病院副院長福島喜代康はじめに 2015 年の本邦の新登録結核患者は 18,820 人で 前年より 1,335 人減少しました 新登録結核患者数も人口 10 万対 14.4 と減少傾向にあります

手術や薬品などを用いて 人工的に胎児とその付属物を母体外に排出することです 実施が認められるのは 1 妊娠の継続又は分娩が 身体的又は経済的理由により母体の健康を著しく害する恐れがあるもの 2 暴行もしくは脅迫によって妊娠の場合母体保護法により母体保護法指定医だけが施行できます 妊娠 22 週 0

平成23 年10 月平成 23 年 10 月 15 日発行広島市医師会だより ( 第 546 号付録 ) 3. 性器クラミジア感染症 ( 病原体 :C. トラコマティス ) の特徴 (1) 感染経路成人は性行為により感染します また 新生児は出生時に産道感染します クラミジアは円柱上皮細胞に感染して

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緑膿菌 Pseudomonas aeruginosa グラム陰性桿菌 ブドウ糖非発酵 緑色色素産生 水まわりなど生活環境中に広く常在 腸内に常在する人も30%くらい ペニシリンやセファゾリンなどの第一世代セフェム 薬に自然耐性 テトラサイクリン系やマクロライド系抗生物質など の抗菌薬にも耐性を示す傾

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サーバリックス の効果について 1 サーバリックス の接種対象者は 10 歳以上の女性です 2 サーバリックス は 臨床試験により 15~25 歳の女性に対する HPV 16 型と 18 型の感染や 前がん病変の発症を予防する効果が確認されています 10~15 歳の女児および

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ベセスダシステム2001の報告様式 ーASC-US、ASC-Hの細胞像と臨床的意義ー

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別記様式 7-2 感染症発生動向調査 ( インフルエンザ定点 ) 調査期間平成年月日 月日医療機関名 : 性別 歳 歳以上 合計 ( 注 ) *

10,000 L 30,000 50,000 L 30,000 50,000 L 図 1 白血球増加の主な初期対応 表 1 好中球増加 ( 好中球 >8,000/μL) の疾患 1 CML 2 / G CSF 太字は頻度の高い疾患 32

高知赤十字病院医学雑誌第 2 2 巻第 1 号 年 5 原著 尿細胞診 Class Ⅲ(AUC) の臨床細胞学的検討 ~ 新報告様式パリシステムの適用 ~ 1 黒田直人 1 水野圭子 1 吾妻美子 1 賴田顕辞 2 奈路田拓史 1 和田有加里 2 宇都宮聖也 2 田村雅人

消化性潰瘍(扉ページ)

微生物学的検査 >> 6B. 培養同定検査 >> 6B615. 検体採取 患者の検査前準備検体採取のタイミング記号添加物 ( キャップ色等 ) 採取材料採取量測定材料リグアニジン塩酸塩尿 5 ml 検体ラベル ( 単項目オーダー時 ) ホンハ ンテスト 注 外 N60 ク

子宮頸がん 1. 子宮頸がんについて 子宮頸がんは子宮頸部に発生するがんです ( 図 1) 約 80% は扁平上皮がんであり 残りは腺がんですが 腺がんは扁平上皮がんよりも予後が悪いといわれています 図 1 子宮頸がんの発生部位 ヒトパピローマウイルス (HPV) 感染は子宮頸がんのリスク因子です

一般内科

検体採取 患者の検査前準備 検体採取のタイミング 記号 添加物 ( キャップ色等 ) 採取材料 採取量 測定材料 F 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( 青 細 ) 血液 3 ml 血清 H 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( ピンク ) 血液 6 ml 血清 I 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( 茶色 )

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目的と方法 目的 大学生の性に関する意識と行動のアンケート調査を行い 大学生の性感染症予防教育の基礎とする 対象 千葉大学西千葉キャンパス ( メインキャンパス ) にて定期健康診断 ( 平成 21 年 4 月 2 日から 5 月 14 日までのべ 21 日間 ) を受診した学部学生 ( 留学生除く

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2009年8月17日

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マンスリー・ヘルシートピックス(2015年4月号)

多量の性器出血があったとき 装着後数ヵ月以降に月経時期以外の 発熱をともなう下腹部痛があったとき 性交時にパートナーが子宮口の除去糸に触れ 陰茎痛を訴えたとき 脱出やずれが疑われる * 症状があるとき ( 出血や下腹部の痛み 腰痛の症状が続くなど ) * ご自身で腟内の除去糸を確認して脱出の有無を確

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研究協力施設における検討例 病理解剖症例 80 代男性 東京逓信病院症例 1 検討の概要ルギローシスとして矛盾しない ( 図 1) 臨床診断 慢性壊死性肺アスペルギルス症 臨床経過概要 30 年前より糖尿病で当院通院 12 年前に狭心症で CABG 施行 2 年前にも肺炎で入院したが 1 年前に慢性

子宮頸がん予防ワクチンとヘルスリテラシー

診療科 血液内科 ( 専門医取得コース ) 到達目標 血液悪性腫瘍 出血性疾患 凝固異常症の診断から治療管理を含めた血液疾患一般臨床を豊富に経験し 血液専門医取得を目指す 研修日数 週 4 日 6 ヶ月 ~12 ヶ月 期間定員対象評価実技診療知識 1 年若干名専門医取得前の医師業務内容やサマリの確認

科学的根拠に基づいた子宮頸がん予防 井上正樹 * 1. はじめに 子宮頸がん検診 は 我が国では 1982 年に老人健康法が定められ 全国で始められました 子宮頸がん死亡率の低下のみならず がん検診を我が国に定着させた主導的役割は大きいと思われます その後 厚労省も 有効な検診 と評価しています 1

背部痛などがあげられる 詳細な問診が大切で 臨床症状を確認し 高い確率で病気を診断できる 一方 全く症状を伴わない無症候性血尿では 無症候性顕微鏡的血尿は 放置しても問題のないことが多いが 無症候性肉眼的血尿では 重大な病気である可能性がある 特に 50 歳以上の方の場合は 膀胱がんの可能性があり

系統看護学講座 クイックリファレンス 2013年7月作成

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別紙 1 新型インフルエンザ (1) 定義新型インフルエンザウイルスの感染による感染症である (2) 臨床的特徴咳 鼻汁又は咽頭痛等の気道の炎症に伴う症状に加えて 高熱 (38 以上 ) 熱感 全身倦怠感などがみられる また 消化器症状 ( 下痢 嘔吐 ) を伴うこともある なお 国際的連携のもとに

蚊を介した感染経路以外にも 性交渉によって男性から女性 男性から男性に感染したと思われる症例も報告されていますが 症例の大半は蚊の刺咬による感染例であり 性交渉による感染例は全体のうちの一部であると考えられています しかし 回復から 2 ヵ月経過した患者の精液からもジカウイルスが検出されたという報告

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東邦大学学術リポジトリ タイトル別タイトル作成者 ( 著者 ) 公開者 Epstein Barr virus infection and var 1 in synovial tissues of rheumatoid 関節リウマチ滑膜組織における Epstein Barr ウイルス感染症と Epst

院内がん登録における発見経緯 来院経路 発見経緯がん発見のきっかけとなったもの 例 ) ; を受けた ; 職場の健康診断または人間ドックを受けた 他疾患で経過観察中 ; 別の病気で受診中に偶然 がん を発見した ; 解剖により がん が見つかった 来院経路 がん と診断された時に その受診をするきっ

32 子宮頸癌 子宮体癌 卵巣癌での進行期分類の相違点 進行期分類の相違点 結果 考察 1 子宮頚癌ではリンパ節転移の有無を病期判定に用いない 子宮頚癌では0 期とⅠa 期では上皮内に癌がとどまっているため リンパ節転移は一般に起こらないが それ以上進行するとリンパ節転移が出現する しかし 治療方法

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33 NCCN Guidelines Version NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines ) (NCCN 腫瘍学臨床診療ガイドライン ) 非ホジキンリンパ腫 2015 年第 2 版 NCCN.or


したことによると考えられています 4. ピロリ菌の検査法ピロリ菌の検査法にはいくつかの種類があり 内視鏡を使うものとそうでないものに大きく分けられます 前者は 内視鏡を使って胃の組織を採取し それを材料にしてピロリ菌の有無を調べます 胃粘膜組織を顕微鏡で見てピロリ菌を探す方法 ( 鏡検法 ) 先に述

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乳腺40 各論₂ 化膿性乳腺炎 (suppulative mastitis) 臨床像 授乳の際に乳頭の擦過創や咬傷から細菌が侵入し, 乳房に感染症を生じるものである 乳汁 排出不良によって起こるうっ滞性乳腺炎とは区別する 起炎菌は連鎖球菌や黄色ブドウ球菌である 自発痛, 腫脹, 硬結, 圧痛, 発赤

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肝臓の細胞が壊れるる感染があります 肝B 型慢性肝疾患とは? B 型慢性肝疾患は B 型肝炎ウイルスの感染が原因で起こる肝臓の病気です B 型肝炎ウイルスに感染すると ウイルスは肝臓の細胞で増殖します 増殖したウイルスを排除しようと体の免疫機能が働きますが ウイルスだけを狙うことができず 感染した肝

子宮頸がんと子宮体がん 卵管 子宮体癌 子宮頸癌 子宮体癌 自覚症状初期は無症状不正性器出血 好発年齢 30~40 代 (20~30 代で急増 ) 閉経後の 50 代以降 卵巣 子宮頸癌 リスクファクター 高リスク型 HPV 感染 肥満 高血圧 糖尿病 未経産婦 エストロゲン製剤の長期使用など 腟

医療関係者 Version 2.0 多発性内分泌腫瘍症 2 型と RET 遺伝子 Ⅰ. 臨床病変 エムイーエヌ 多発性内分泌腫瘍症 2 型 (multiple endocrine neoplasia type 2 : MEN2) は甲状腺髄様癌 褐色細胞腫 副甲状腺機能亢進症を発生する常染色体優性遺

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1 卵胞期ホルモン検査 ホルモン分泌に関して卵巣や脳が正常に機能しているかを知る目的で測定します FSH; 卵胞刺激ホルモン脳の下垂体から分泌されて 卵子を含む卵胞を成長させる作用を持ちます 低いと卵胞の成長がおきませんが 卵巣の予備能力が低下している時には反応性に高くなります LH; 黄体化ホルモ

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2. 転移するのですか? 悪性ですか? 移行上皮癌は 悪性の腫瘍です 通常はゆっくりと膀胱の内部で進行しますが リンパ節や肺 骨などにも転移します 特に リンパ節転移はよく見られますので 膀胱だけでなく リンパ節の検査も行うことが重要です また 移行上皮癌の細胞は尿中に浮遊していますので 診断材料や

避するためには 子宮頸がん検診を定期的に受診することが必要不可欠であること 3 HPV ワクチンの長期成績は未だ確認されていないこと このため 将来的に追加接種が必要となる可能性もあること 4 10 歳未満の小児 妊娠中の女性及び高齢者に対する有効性と安全性は確立されていないこと 5 HPV は性行

70 例程度 デング熱は最近増加傾向ではあるものの 例程度で推移しています それでは実際に日本人渡航者が帰国後に診断される疾患はどのようなものが多いのでしょうか 私がこれまでに報告したデータによれば日本人渡航者 345 名のうち頻度が高かった疾患は感染性腸炎を中心とした消化器疾患が

第 7 回トキ飼育繁殖小委員会資料 2 ファウンダー死亡時の対応について ( 案 ) 1 トキのファウンダー死亡時の細胞 組織の保存について ( 基本方針 ) トキのファウンダーの細胞 組織の保存は ( 独 ) 国立環境研究所 ( 以下 国環研 ) が行う 国環研へは環境省から文書

顎下腺 舌下腺 ) の腫脹と疼痛で発症し そのほか倦怠感や食欲低下などを訴えます 潜伏期間は一般的に 16~18 日で 唾液腺腫脹の 7 日前から腫脹後 8 日後まで唾液にウイルスが排泄され 分離できます これらの症状を認めない不顕性感染も約 30% に認めます 合併症は 表 1 に示すように 無菌

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鈴木俊夫編著 高齢者介護における性的トラブル対応法 ( 仮 ) ( 黎明書房 : 052-962-3045 メール info@reimei-syobo.com 2010 年秋刊行予定 ) 第一章の 5 から抜粋して掲載します 全文を読みたい方は 上記書籍の出版をお楽しみに! 病理標本が語る性生活の姿 藤田保健衛生大学医学部第一病理学 堤寛 (Yutaka Tsutsumi M.D.) はじめに病理業務で扱う細胞標本や組織標本に究極のプライバシーが現れてしまうことがある まず 高齢者の子宮腟部擦過細胞診にみられる精子から紹介しよう 73 歳女性の細胞標本で 背景には萎縮性 ( 老人性 ) 腟炎の所見が明らかである ( 図 1 *) そこに精子が混在している( 図 1 矢印 ) 精子の数はそれほど多くない 前夜に交わされた 高齢者同士の性行為が想像される 萎縮性腟炎では腟内の乾燥があり 性行為を潤滑にする分泌液の量が激減している そのことをもろともしない 愛情いっぱいの標本なのである * 図 1: 萎縮性腟炎 (*) と精子 ( 矢印 ) ( パパニコロウ染色 ) 細胞診標本は子宮頚部粘膜表面から細胞を綿棒などでこすり取ってくる いうまでもなく 細胞診は癌や前癌病変のスクリーニングの目的で行われるが 標本の中には 当該患者さん 自身の細胞だけでなく 常在菌であるデーデルライン桿菌 ( 乳酸桿菌 ) や病原菌のほか 精子がみられることは尐なくない 前夜の性生活が如実に標本に現れるといえる 精子は その特徴的な形態から 顕微鏡下で容易に認識できる 生きのいい精子だけでなく だいぶん痛んでいる姿を見かけることもある 想像だが その場合は昨晩でなく もう尐し前の性行為を反映しているのだろう 性行為からの時間と精子形態の保存との関連性を研究した論文はあるのだろうか ( たぶんない ) ちなみに 閉経後女性の子宮腟部擦過細胞標本に精子がみられる頻度は決して尐なくない 避妊のためにコンドームを使う必要がないことを反映して 前夜の性生活の実態が 正確に 反映されていると考えられる 60 歳台女性の腟内にみられる精子は日常的だし うえに紹介した 70 歳台でも決して珍しくない 70 歳台女性に精子がみられた場合は つい拍手を送りたくなる 以下 実際の事例を紹介しつつ これまで十分に活用されてこなかった病理標本に隠された日本人の性生活の実態を 病理医の視点から探ってみたい 1

1. 子宮癌検診と精子子宮頸部擦過細胞診を利用した子宮頸癌検診は広く普及している 要精査率は 1.1% 癌発見率は 0.14% とされている つまり大部分は正常で 日常業務としては単調な作業だ スクリーニングに刺激が足りず つい単調に流れ 見逃し率が上がるやも知れない そこで 楽しく仕事をするために ( と称して ) ある病院で検診の細胞標本に精子の見つかる割合の統計をとってみた 対象者の多くは健康な主婦である 精子発見率が最も高かったのは 40~50 歳台 検査前日でもコンドームなしの性生活が営まれている何よりの証拠だ より若い年代は検診率が低いのだが 発見率も低い 検査前日は性行為を控えるか コンドームが装着されているのだろう あるとき 子宮癌検診を受けた 83 歳の女性の細胞診検体に精子を発見した まず年齢の間違いだろうと思い 担当医に聞いてみたのだが 年齢? 正しいですよ 元気なおばあちゃんでしたが 普通 検診を訪れた特定の女性を覚えていることはあまりないだろう よほど印象的な若々しい方だったに違いない 前夜のお相手はご主人だったのだろうか そこがわかる由も必要もないけれど 一とき 関係者でただただそっとエールを送り 拍手した 2.56 歳女性の流産 56 歳の女性が腹痛を伴う不正性器出血で来院した 診察上 腟内に血腫があり エコーで内膜が不規則に肥厚していた 臨床的に ( 年齢的に ) 子宮内膜癌の可能性が考えられたため 診断と治療を兼ねて 内膜掻爬術が実施された そして 顕微鏡下にみられたのは 何と 妊娠絨毛だった そう 不正出血の原因は流産だった! 3. 腟内 肛門内異物 図 2: 腟内異物 = バナナ ( 左 : 肉眼所見 右 :HE 染色 ) 軽い認知症を患う 72 歳の女性が不正出血を訴えて来院した 腟内に柔らかい異物があり 取り除いたところ 軽度の出血を認めた 実は この異物はやや細めのバナナだった ( 図 2) 顕微鏡的に バナナ表面に細菌感染を伴っており ( 図 2 右 矢印 ) その刺激が出血と関連していたのかも知れない 顕微鏡形態は 急遽 対照標本として作製した市販のバナナのそれに一致した 2

図 3: 肛門内異物 56 歳の男性が苦痛を訴えて夜間救急センターに来院した 異物が肛門から抜けなくなったという 外科的に取り出された異物は ウインナーソーセージのガーゼ巻き だった 表面に便が付着した しろもの を図 3に示そう 解説は無用だろう ウーム 人間は面白い ( 中略 ) 8. トリコモナスと子宮全摘あるとき 婦人科病棟の入院患者から採取された子宮腟部擦過細胞診標本を何気なく覗いた 子宮筋腫の診断で明日に子宮切除術が予定されている 48 歳の女性から採取された標本だった そこには トリコモナス原虫がうじゃうじゃとたかっていた 今どき珍しいくらい 多数の腟トリコモナスが観察された 著者は名だたる顕微鏡標本のコレクター そこで この方の細胞診検体をさかのぼってさがしてみた これまでに外来で数回子宮腟部擦過細胞診が行われていた ところが 以前の標本には1 匹のトリコモナス原虫もいなかった 子宮切除の目的で入院する直前にこの方がとった性行為は どうやらいつものセックスパートナーとは違う相手だった可能性が高い はてさて この方の性行動やいかに? むろん 腟トリコモナス症に対する薬物療法はきちんと行われ 退院後も継続されるであろう性活動によって トリコモナス症が広がることは予防された と私は信じる 腟トリコモナスは生殖器寄生性を示す鞭毛を有する原生動物 ( 原虫 ) である 腟トリコモナス症は性感染症であり 男女間のピンポン感染が問題となる この原虫は世界中にみられる 以前 ケニアの田舎の診療所で ケニア人女性の尿中で鞭毛運動で活発に動き回るトリコモナスをみせてもらったのは印象的だった 臨床症状としては 黄緑色で生臭いにおいのする泡状のおりものが大量にみられる かゆみやヒリヒリする痛みを伴うことがある 細胞診では 炎症性背景がめだち しばしば 大砲の弾 のような好中球の塊を認める 嫌気的なトリコモナス原虫は表層系細胞を好み 表層系細胞に接して 豊富なグリコーゲンを栄養源として増殖する デーデルライン桿菌は消失し 腟内はアルカリに傾く つい先日 60 歳女性の子宮腟部擦過細胞診標本に多数のトリコモナス原虫を見いだした 閉経後の萎縮性上皮細胞を背景に 多数の腟トリコモナスの感染がみられた ( 図 11 矢印 ) 図 11: トリコモナス腟炎 ( パパニコロウ染色 ) 大腸菌と思われる長桿菌の感染を伴っていた 矢印 =トリコモナス原虫 3

上述のように トリコモナス原虫はエストロゲンの影響を受けた表層型扁平上皮細胞のグリコーゲンを栄養源とする この患者さんの標本にはオレンジ色に染まる表層系細胞はほとんどなかった 大腸菌との混合感染することによる嫌気的条件下で初めて感染が成立した可能性がある それにしても どのような性行動が閉経後のトリコモナス感染と関係するのか とても興味深い 9. 避妊リングと歯肉アメーバ症 53 歳女性がおりもの ( 帯下 ) の増加を訴えて来院した 10 年来 避妊リング (IUD) を 入れっぱなしにしていた 婦人科医は とりはずした IUD の周囲に付着する白色の滲出物 を塗抹して細胞診断に提出した そこにみえたのは 炎症反応を伴う放線菌のコロニー ( 図 12*) と好中球を貪食するアメーバだった ( 図 12 矢印 :PCR で歯肉アメーバ DNA が証明 された ) 図 12: 子宮内膜の歯肉アメーバ感染症 ( パパニコロウ染色 ) このアメーバは その形態所見と PCR 解析 結果から 口腔内 特に歯肉間隙に常在する 非病原性の歯肉アメーバと判明した アメー バ数は 歯槽膿漏患者で特別に多い 歯肉ア メーバは赤痢アメーバと同じく ミトコンド リアを欠く嫌気的生物であり その増殖には 嫌気的環境が必須である IUD という異物に 付着するように増殖する偏性嫌気性菌である 放線菌 ( フィラメント状のグラム陽性長桿菌で 口腔内に常在する ) の感染があって初め て歯肉アメーバの増殖環境が整う 本患者の放線菌と歯肉アメーバの由来は セックスパ ートナーの口腔である オーラルセックスはこの病態の必要条件だが 十分条件ではない これまでに このような事例を数例経験している IUD のような異物を体内に入れっぱ なしで忘れてしまう女性が意外に多いのは ちょっと驚きである ( 中略 ) 12. クラミジア性咽頭炎 結膜炎 そして直腸炎クラミジア症は最も広く蔓延する性感染症である 男性に非淋菌性尿道炎をきたす 女性に比較的症状がでにくいことが 本疾患の蔓延の主因である 女性では 子宮頚管炎にとどまらず 不妊症の重要な原因となる卵管炎をきたす 病理検体としては 子宮腟部擦過細胞診標本においてクラミジア性封入体に遭遇する頻度が最も高い ( 図 14 矢印 : 星雲状封入体 ) クラミジア性卵管炎では 卵管はソーセージ様に著しく腫大し 内腔に膿をためる卵管留膿腫 ( りゅうのうしゅ ) の形をとる ( 図 15) 免疫染色によって 卵管上皮の細胞質内に円形のクラミジア性封入体が証明される 4

図 14: クラミジア性子宮頚管炎 ( 左 : パパニコロウ染色右 : クラミジア抗原 ) 34 歳女性の子宮頚部擦過細胞所見で 化生細胞の細胞質内に クラミジア抗原陽性の 星雲状封入体 が認められる ( 矢印 ) 図 15: 卵管クラミジア症による卵管留膿腫 ( 肉眼所見 左 : 表面右 : 割面 ) 36 歳女性の手術切除例で ソーセージ状に腫大 拡張 する卵管が特徴的である 20 歳の女子学生が 咽頭痛を主訴に来院した 扁桃の腫大を認め 表面にびらん性変化を伴っていた 悪性リンパ腫の可能性を疑われて生検が行われた 顕微鏡的には 反応性 ( 非腫瘍性 ) のリンパ装置腫大がみられ 免疫染色で 表面上皮の細胞質の一部にクラミジア抗原が証明された ( 図 16) オーラルセックスによって感染したクラミジア性咽頭炎と最終診断された クラミジア性咽頭炎は無症状の場合が尐なくないが 本例は濃厚感染ゆえに症状をきたしたと考えられた 一般に 免疫染色でクラミジア性封入体が見いだされる頻度はそれほど高くない 図 16 補足 : 扁桃生検 ( 反応性リンパ増生 : 左 * 印 ) 図 16: クラミジア性咽頭炎 ( 左 :HE 染色 右 : クラミジア抗原 ) で 重層扁平上皮細胞の一部にクラミジア封入体が 確認される ( 右図 矢印 ) 20 歳の男子学生が 1 週間前からの右目の充血 違和感を訴えて来院した 下眼瞼結膜の充血が目立ち 顆粒状を呈していた 結膜擦過が行われ 迅速ギムザ染色 (Diff-Quik 染色 ) でクラミジア性結膜炎と診断された ( 図 17) 組織学的には リンパ濾胞の形成を伴う濾胞性結膜炎が特徴である 複数の女性と性交渉があり 2 週間前から排尿時痛が持続していた 手 図 17: クラミジア性結膜炎 ( 迅速ギムザ染色 ) 20 歳男性の結膜擦過所見 結膜上皮の細胞質内に クラミジア性封入体が確認される ( 矢印 ) 指を介した接触感染とみなされた 外陰部を触 ったその手でやたらに目を擦らないこと! 5

31 歳の男性が1ヶ月前から続く下痢を主訴に来院した 大腸内視鏡で 直腸にアフタを伴うイクラ状の小隆起が多発し 肛門に近いほど発赤が強かった 直腸粘膜の擦過標本でクラミジア抗原が陽性だった 組織学的には リンパ濾胞形成の目立つ直腸炎として認識される ( 図 18*) この若き男性がホモセクシャルであることは確実であり 図 18: クラミジア性直腸炎 (HE 染色 ) 31 歳男性 直腸生検でリンパ装置 (*) の過形成を伴う HIV 抗体検査が必要である 一般には クラ非特異的炎症所見を認める 内視鏡的に 直腸下部にミジア性直腸炎は若い女性に多い 当然ながイクラ状の結節性粘膜病変が多発するら アナルセックスが原因である 若年者における ( いや ときには中年以降の人にもみられる!) このような非定型的なクラミジア感染症には ちょっとため息 ( 中略 ) 17. ヒトパピローマウイルス感染症の感染経路 43 歳の女性が子宮頚癌検診で異常を指摘され 精査の結果 中等度異形成と診断された 患者さんはインターネットで検索した結果 子宮頚部の異形成がヒトパピローマウイルス (HPV) による性感染症であることを知った 自分は夫以外の男性を知らないので うつ されたのが夫であることは明確であること そして 夫がいつかどこかで 自分以外の女 性から HPV の感染を受けたことも間違いないことを正確に理解した 許せない! という気 持ちと 今さらどうしようもないとあきらめる気持ちが錯綜するという 夫を問いつめよ 図 26: 中等度異形成 (43 歳女性の子宮腟部生検 ) ( 左 :HE 染色 右 :HPV ゲノムの局在 ) うとする自分と質問を飲み込みた い自分がいて つらいと嘆く 病理標本はうそをつかないので 事実関係は明瞭である 図 26 に生 検組織所見を示そう 前癌病変としての中等度異形成 病変部に一致して HPV ウイルス ゲノムが核内にドット状に観察さ れる 癌原性 HPV として矛盾し ない所見であった ( 中略 ) 図 26 補足 : 異型を示す傍基底型細胞が粘膜の下 2/3 を占めている In situ hybridization 法によって HPV ゲノムが異型細胞の核内に証明される 6

20. 脳トキソプラズマ症を発症した男性の不思議な行動パターン 54 歳の男性 商売の目的で東南アジアを頻繁に訪問していた 1 年前 タイの 現地妻 がエイズで死亡した 右片麻痺とふらつき感を主訴に 息子とともに来院した CT 検査で 大脳および小脳に多発する腫瘤性陰影を認めた 抗 HIV 抗体陽性で 末梢血 CD4 が激減していた その後 呼吸困難が急激に進行して死亡した 剖検で 脳トキソプラズマ症が確定した ( 図 30) この男性の入院前の行動パターンが独特で 性感染症対策の困難さを端的に表していた 来院の 3 週間前にこの人は右の指先に違和感を覚えた この時点で彼は ついに来た と自覚したようだった つまり エイズを覚悟したのだが すぐには来院せず HIV 抗体検査もせずに 彼がとった行動がタイ図 30: 脳トキソプラズマ症 ( 左 : 肉眼所見 右 :HE 染色 ). 旅行だった 目的は明確で 最後エイズに伴う 54 歳男性の致死的日和見感染症で 左前頭葉のチャンスをエンジョイしてくる下面の壊死性脳病変 ( 矢印 ) にトキソプラズマ感染が証明されるつもりだったという しかも 25 歳の息子を連れての 記念すべき 旅行だったという そんな目的の旅行にのこのことついて行く息子も息子だと思う こうして HIV は密かに広がって行く 結語一風かわった原稿依頼を受け これまでまとめたくてもなかなかチャンスのなかった事例を一気にまとめてみた たいへんユニークな内容になったと自負している ここでおわかりのように 病理標本はすこぶる客観性が高く 人間の不思議な性行動に関する事実を正確に反映している 隠したくても 動かぬ証拠になることさえあろう とくに 産婦人科で採取される子宮腟部擦過細胞診標本は広く行われている癌のスクリーニング検査である これを 単に癌のスクリーニング法としてだけ応用するのはちょっともったいない! が私の持論である 日本人の性生活の実態調査に利用するとともに 患者さんに対する適切な性生活の指導資料としてももっと有効に活用すべきではなかろうか 参考文献 1) 堤寛. 感染症病理アトラス. 文光堂 東京 2000( 全 349 ページ ).(2010 復刻版発行 ) 2) Tsutsumi Y. Pathology of infectious diseases (CD-ROM: web page in English).2003 http://info.fujita-hu.ac.jp/~tsutsumi/ 3) Tsutsumi Y. Application of the immunoperoxidase method for histopathological diagnosis of infectious diseases. Acta Histochem Cytochem 1994; 27: 547-560. 4) 堤寛. 性感染症 (STD). 顕微鏡による同定. 免疫組織化学と in situ hybridization 法. 臨床検査 1996; 40: 679-686. 7

図説明 図 1: 萎縮性腟炎と精子 ( パパニコロウ染色 ).73 歳女性の子宮腟部擦過細胞所見で 加齢性変化を背景に 精子 ( 矢印 ) が散在している 図 2: 腟内異物 : バナナ ( 左 : 肉眼所見 右 :HE 染色 ).72 歳女性の腟内にあったのはバナナだった 顕微鏡的に 細菌感染 ( 矢印 ) を伴うバナナの実であることが確認された 図 3: 肛門内異物.56 歳男性の肛門内に挿入後に嵌頓していたのは ウインナーソーセージのガーゼ巻きだった! 図 11: トリコモナス腟炎 ( パパニコロウ染色 ).60 歳女性の子宮頚部擦過細胞所見で トリコモナス原虫 ( 矢印 ) が大腸菌 ( 矢頭 ) と混合感染している 閉経後のトリコモナス症は珍しい 図 12: 子宮内膜の歯肉アメーバ感染症 ( パパニコロウ染色 ).53 歳女性に挿入されていた IUD の周囲に付着していた浸出物で 放線菌の顆粒 ( コロニー : 印 ) とともに 歯肉アメーバ栄養体 ( 好中球を貪食する ) が観察される ( 矢印 ) PCR で歯肉アメーバ DNA が証明された 図 14: クラミジア性子宮頚管炎 ( 左 : パパニコロウ染色 右 : クラミジア抗原 ). 34 歳女性の子宮頚部擦過細胞所見で 化生細胞の細胞質内にクラミジア抗原陽性の 星雲状封入体 が認められる ( 矢印 ) 図 15: 卵管クラミジア症による卵管留膿腫 ( 肉眼所見 左 : 表面 右 : 割面 ). 36 歳女性の手術切除例で ソーセージ状に腫大 拡張する卵管が特徴的である 図 16: クラミジア性咽頭炎 ( 左 :HE 染色 右 : クラミジア抗原 ).20 歳女性の扁桃生検 ( 反応性リンパ増生 : 印 ) で 重層扁平上皮細胞の一部にクラミジア封入体が確認される ( 矢印 ) 図 17: クラミジア性結膜炎 ( 迅速ギムザ染色 ).20 歳男性の結膜擦過所見で 結膜上皮の細胞質内にクラミジア性封入体が確認される ( 矢印 ) 図 18: クラミジア性直腸炎 (HE 染色 ).31 歳男性の直腸生検で リンパ装置 ( 印 ) の過形成を伴う非特異的炎症所見を認める 内視鏡的に 直腸下部にイクラ状の結節性粘膜病変が多発する 図 26: 中等度異形成 ( 左 :HE 染色 右 :HPV ゲノムの局在 ).43 歳女性の子宮腟部生検で 異型を示す傍基底型細胞が粘膜の下 2/3 を占めている In situ hybridization 法によって HPV ゲノムが異型細胞の核内に証明される 図 30: 脳トキソプラズマ症 ( 左 : 肉眼所見 右 :HE 染色 ). エイズに伴う 54 歳男性の致死的日和見感染症で 左前頭葉下面の壊死性脳病変 ( 矢印 ) にトキソプラズマ感染が証明される 8