2010年人口センサスにみる中国の人口動態の特徴

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目次はじめに 1. 中国の少子高齢化 人口ボーナス論と中国経済 中国の人口ボーナスの課題 人口ボーナスと地域間経済格差 はじめに , demographic dividend 15 6

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2011 年度第 63 回日本人口学会 2011 年 6 月 12 日 カンボジアの職業別人口構造 総務省統計研修所西文彦 注 ) 本資料に記載されている内容は すべて個人の見解に基づくものである 1 本報告の目的 カンボジアの人材の状況に視点を置いて 持続的な経済成長の可能性を検証する 人口ボーナ

表紙

対中円借款と中国の開発政策-日本の政策、中国の政策-

先進国化する中国 東南アジアの大都市 ~ メガシティ ( 大都市 ) からメガリージョン ( 大都市圏 ) へ ~ 要 旨 調査部環太平洋戦略研究センター 主任研究員 大泉啓一郎 GDP 8,000 10,00

人口 世帯に関する項目 (1) 人口増加率 0.07% 指標の説明 人口増加率 とは ある期間の始めの時点の人口総数に対する 期間中の人口増加数 ( 自然増減 + 社会増減 ) の割合で 人口の変化量を総合的に表す指標として用いられる 指標の算出根拠 基礎データの資料 人口増加率 = 期間中の人口増

図表 02 の 01 の 1 世界人口 地域別 年 図表 2-1-1A 世界人口 地域別 年 ( 実数 1000 人 ) 地域 国 世界全体 2,532,229 3,038,413 3,69

の損失額は前年同期比 86.5% となった 次に企業のコスト上昇ペースが早く 1-2 月の業 界全体の主要業務原価は 9862 億元 前年同期比で 715 億元増加し 収入の 90.9% となっ た (3) 固定資産投資の成長率は大幅に失速した 第 1 四半期 電子情報産業固定資産投資は昨年の高成長

人口動態から見た2025年問題

本章のまとめ 第 4 章当市の人口推移 本章のまとめ 現在までの人口推移は以下のとおりである 1. 人口の減少当市の人口は平成 23 年 7 月 (153,558 人 ) を頂点に減少へ転じた 平成 27 年 1 月 1 日時点の人口は 151,412 人である 2. 人口増減の傾向年齢 3 区分で

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別紙2

資料 7 1 人口動態と子どもの世帯 流山市人口統計資料 (1) 総人口と年少人口の推移流山市の人口は 平成 24 年 4 月 1 日現在 166,924 人で平成 19 年から増加傾向で推移しています 人口増加に伴い 年尐人口 (15 歳未満 ) 及び年尐人口割合も上昇傾向となっています ( 人

人 ) 195 年 1955 年 196 年 1965 年 197 年 1975 年 198 年 1985 年 199 年 1995 年 2 年 25 年 21 年 215 年 22 年 225 年 23 年 235 年 24 年 第 1 人口の現状分析 過去から現在に至る人口の推移を把握し その背

第 2 章 産業社会の変化と勤労者生活

親と同居の未婚者の最近の状況(2016 年)

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平成 25 年 3 月 27 日 国立社会保障 人口問題研究所 ( 厚生労働省所管 ) から 日本の地域別将来推計 人口 ( 平成 25 年 3 月推計 ) が公表されました これに基づく石川県関係分の概要は次のとおりです 目次 1 石川県の将来推計人口 1 2 県内市町 地域の将来推計人口 5 3

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本文

ア北方一作区北方一作区は 黒龍江省 吉林省 遼東半島を除く遼寧省の大部分 河北省北部 山西省北部 寧夏回族自治区 甘粛省 陝西省北部 青海省 新疆ウィグル自治区および内モンゴル自治区の8 省 3 自治区であり 作付面積は全国の5 割以上を占めてい る この地域は 降霜日が年間 100~150 日程度

ふくい経済トピックス ( 就業編 ) 共働き率日本一の福井県 平成 2 2 年 1 0 月の国勢調査結果によると 福井県の共働き率は % と全国の % を 1 1 ポイント上回り 今回も福井県が 共働き率日本一 となりました しかし 2 0 年前の平成 2 年の共働き率は

以上転入 人口のあゆみ 人口の推移と年齢別転入 転出数 平成 9 年 月に市の人口は 万人を突破しました 市は大正 年に人口約 万人でスタートし 昭和 年には 万人 昭和 年には 0 万人になりました 終戦直後の昭和 0 年 月には 0 万人まで減少しましたが その後 高度経済成長期 ( 昭和 0

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中国の都市化はどこまで進んできたのか

長野県の少子化の現状と課題

速いペースの引き上げ続く中国では 各地で最低賃金の引き上げが進んでいます 人的資源社会保障部は 2011 年 6 月に公布した 人的資源および社会保障事業発展の第 12 次五カ年計画要綱 ( 人社部発 [2011]71 号 ) で 第 12 次五カ年計画期間中 (2011~2015 年 ) における

我が国中小企業の課題と対応策

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第 2 章近江八幡市を取り巻く状況と今後の課題 1 データからみえる地域福祉の状況 1 人口の状況近江八幡市は 平成 22 年 3 月に旧近江八幡市と旧安土町が合併し 人口 8 万人を超える市となりました 旧市町の人口を合計した数値を見ると 平成 12 年から平成 22 年は横ばいで推移していますが

図表 1 人口と高齢化率の推移と見通し ( 億人 ) 歳以上人口 推計 高齢化率 ( 右目盛 ) ~64 歳人口 ~14 歳人口 212 年推計 217 年推計

資料 4 明石市の人口動向のポイント 平成 27 年中の人口の動きと近年の推移 参考資料 1: 人口の動き ( 平成 27 年中の人口動態 ) 参照 ⑴ 総人口 ( 参考資料 1:P.1 P.12~13) 明石市の総人口は平成 27 年 10 月 1 日現在で 293,509 人 POINT 総人口

Ⅲ 結果の概要 1. シングル マザー は 108 万人我が国の 2010 年における シングル マザー の総数は 108 万 2 千人となっており 100 万人を大きく超えている これを世帯の区分別にみると 母子世帯 の母が 75 万 6 千人 ( 率にして 69.9%) 及び 他の世帯員がいる世

調査結果の概要 1 人口 (1) 本県の人口 平成 30(2018) 年 10 月 1 日現在の本県の総人口は 1,952,926 人 ( 男 973,794 人 女 979,132 人 ) で 平成 29(2017) 年 10 月 1 日現在に比べ9,037 人の減少 ( 男 3,309 人減少

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奥尻町人口ビジョン

全国人口センサス で 総人口が 億人を突破し 1940 年代より 1 億人も増加していたことや人口の自然増加率が % 台で推移していたことが判明した 建国後の 3 年回復期 (1949~195 年 ) に国民生活が安定したのを背景に出生率が回復したうえ 医療 衛生環境の改善により死亡率が顕著に低下し

相対的貧困率の動向: 2006, 2009, 2012年

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2014人口学会発表資料2

平成28年版高齢社会白書(概要版)

(2) 高齢者の福祉 ア 要支援 要介護認定者数の推移 介護保険制度が始まった平成 12 年度と平成 24 年度と比較すると 65 歳以上の第 1 号被保険者のうち 要介護者又は要支援者と認定された人は 平成 12 年度末では約 247 万 1 千人であったのが 平成 24 年度末には約 545 万

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2013年7月3日

このジニ係数は 所得等の格差を示すときに用いられる指標であり 所得等が完全に平等に分配されている場合に比べて どれだけ分配が偏っているかを数値で示す ジニ係数は 0~1の値をとり 0 に近づくほど格差が小さく 1に近づくほど格差が大きいことを表す したがって 年間収入のジニ係数が上昇しているというこ

中国における所得格差の研究 : 広東省を例にして A Study on Income Disparities in China:with Special Reference to Guangdong Province 王娜 ( 中央大学大学院経済学研究科博士後期課程 ) Na WANG, Docto

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第 2 章高齢者を取り巻く現状 1 人口の推移 ( 文章は更新予定 ) 本市の総人口は 今後 ほぼ横ばいで推移する見込みです 高齢者数は 増加基調で推移し 2025 年には 41,621 人 高齢化率は 22.0% となる見込みです 特に 平成 27 年以降は 後期高齢者数が大幅に増加する見通しです

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統計トピックスNo.92急増するネットショッピングの実態を探る


0. ポイント低いが, 宮城県では 歳代における出生率の低さが, 京都府では0 歳代の低さが影響しており, その要因が異なる. 次に, 平均出生年齢と合計特殊出生率との関係をみたものが図 である. 概して, 平均出生年齢と合計特殊出生率との間には負の相関関係がみられる. ただし, 各都道府県が直線上

35

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2030年のアジア

一 目 でわかる 中 国 経 済 地 図 第 2 版 [215 年 までの 展 望 ] 矢 吹 晋 編 蒼 蒼 社

はじめに中国では成長率の低下傾向が続くなか 足元では特に不動産市場の減速が鮮明になっている 中国の不動産市場は 経済に占める割合が大きく また過剰在庫など問題も多く抱えているとみられることから 今後の減速の程度と経済全体への影響が注目されている 本稿では 不動産市場のなかで割合が大きく 足元で最も減

表 3 の総人口を 100 としたときの指数でみた総人口 順位 全国 94.2 全国 沖縄県 沖縄県 東京都 東京都 神奈川県 99.6 滋賀県 愛知県 99.2 愛知県 滋賀県 神奈川

ポイント 〇等価尺度法を用いた日本の子育て費用の計測〇 1993 年 年までの期間から 2003 年 年までの期間にかけて,2 歳以下の子育て費用が大幅に上昇していることを発見〇就学前の子供を持つ世帯に対する手当てを優先的に拡充するべきであるという政策的含意 研究背景 日本に

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2. 男女別の無償労働の貨幣評価額無償労働の貨幣評価額を男女別にみると ( 図表 2-2) 2006 年時点の女性の構成比は OC 法では 80.5% RC-S 法では 83.7% RC-G 法では 84.7% となっている また 時系列では 女性の構成比が次第に低下してきていることが分かるが これ

【資料1-1】人口ビジョン編・表紙(案) 省略版

労働市場分析レポート第 43 号平成 26 年 10 月 31 日 マッチング指標を用いたマッチング状況の分析 労働市場における労働力需給調整を評価するための指標として 就職率や充足率があるが 求人倍率が上昇する時には 就職率が上昇し充足率が低下するなどの動きがみられ それぞれ単独の利用には注意が必

目次 今後 30 年間は東京の消費人口は減少しない ( 横ばい ) 今後 30 年間の社会的変化 1) 多様性の拡大 ( 哲学的変化 ) 2) 人間の行動の未来予測の精度向上 ( 技術的変化 ) 3) 多品種少量生産 / 分散配送型への産業構造転換 ( 経済的変化 ) 結論 1) 今後 30 年間の

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Title 中国の家庭部門における燃料使用量の推計と室内空気汚染の影響評価 ( Dissertation_ 全文 ) Author(s) 郭, 敏娜 Citation Kyoto University ( 京都大学 ) Issue Date URL

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利用上の注意 1 本文及び図表中の数値は 表章単位未満で四捨五入しており 表章単位未満を含んだ数値から算出している このため 総計と内訳の計とは必ずしも一致しない場合がある 2 割合は 特に注記のない限り 分母から不詳を除いて算出している 3 - は該当数値がないもの はマイナスを意味する 目次 石

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1,104 TORONTO 958 CHICAGO PHILADELPHIA SAN FRANCISCO BOSTON NY 5 th AVE 798 LOS ANGELES NY SOHO ( 予定

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━  目 次  ━

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ヘッジ付き米国債利回りが一時マイナスに-為替変動リスクのヘッジコスト上昇とその理由

はじめに 当財団では これまで 212 年と 15 年に 沖縄県の 5 年先までの将来推計人口を推計してきたが その後 5 年毎に公表される国勢調査および都道府県別生命表の 215 年の統計が公表されたことから同統計のほか 人口動態調査や住民基本台帳人口移動報告などの年次統計なども直近のデータに更新

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 第1節 国における子育て環境の現状と今後の課題         

( 万人 ) 図 1 12 大都市の人口の推移 H 注 1) 各 10 月 1 日現在の推計人口

エコノミスト便り

( 人口のピークは 225 年に ) 平成 27(215) 年国勢調査による東京の人口は 1,352 万人となり 前回の平成 22(21) 年国勢調査 (1,316 万人 ) と比べ 約 36 万人増加した 一方 全国の人口は1 億 2,79 万人となり 前回の1 億 2,86 万人から約 96 万

出生数と合計特殊出生率の推移

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目次 はじめに 1. 経済特区の設置と過去 30 年間の発展過程 綱要 と広東省政府の対応 第 12 次 5 カ年計画 での位置付けとライバル地域の発展戦略 おわりに はじめに

BTMU(China)経済週報

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第 3 章 2010 年人口センサスにみる中国の人口動態の特徴 大泉啓一郎 はじめに本稿は 2010 年に実施された中国の人口センサス ( 中国語で人口普査 ) の結果を用いて 近年の人口動態の特徴を明らかにするものである 人口動態が中国のマクロ経済に及ぼす影響は 人口ボーナス や 高齢化 の観点から 最近注目されるようになってきた たとえば 1970 年末から実施してきた 一人っ子政策 により出生率が長期間にわたって低水準で推移してきたため 生産年齢人口 (15~64 歳 ) は 2015 年をピークに減少へ転じる見込みであり 1 これに伴う労働力人口の減少が経済成長を抑制するとの見方がある 他方 低水準の出生率に加えて 平均寿命の伸長により 今後高齢化が加速する 2010 年の高齢化率 (65 歳以上の人口比率 ) は 8.4% であり すでに 高齢化社会 に移行している 国連の人口推計 ( 中位推計 ) によれば 2027 年に 高齢化率は 14% を突破し 中国は 高齢社会 に移行する見込みである 2 (UN [2012]) 増加する高齢者の生活をいかに支えていくかは マクロ経済にかかわる重要な問題である このような人口減少や高齢化が経済に及ぼす影響について 中国政府は危機感を強めている たとえば 未富先老 ( 高所得国に移行する前に高齢化が深刻化する ) という言葉を頻繁に使うようになったのは その証左であり 2013 年 11 月に開催された中国共産党中央委員会第 3 回全体会議 ( 三中全会 ) で 一人っ子政策の規制緩和を決定したのは 具体的対処の一例である 長期経済成長のモデルでは 人口規模を説明変数とすることが多いが 少子化や高齢化など人口構成の変化にも目を配る必要があろう 加えて 中国のように広大な面積と人口を抱える国については 国レベルで統合されたデータだけでなく 地域ごとの人口動態にも目を配る必要がある 本稿はそのためのデータ整理を目的とする 本稿の構成は以下の通りである 第 1 節では 中国の人口センサスの概要について述べ 本稿が扱うデータの特徴と観察区分について述べる 第 2 節では 人口規模と世帯 都市人口 第 3 節では 人口構成の変化 ( 生産年齢人口比率と高齢化率 ) 第 4 節では 教育水準と就労構造 第 5 節では 出生率 第 6 節では 国内人口移動について考察する また 巻末には 過去 3 回の人口センサス (1990 年 2000 年 2010 年 ) 及び 1% 人口サンプル調査 (1995 年 2005 年 ) による人口データの比較表を添付した ( このうち 1990 年版は研究所所蔵の人口普査 他はウェブ公開 ) 1 生産年齢人口比率は 2010 年の 73.5% をピークにすでに低下に転じている 生産年齢人口の定義を 15 ~59 歳にするなら 人口では 2011 年 比率は 2009 年をピークに低下に向かっている 2 一般的に高齢人口が 7% を超えた社会を 高齢化社会 14% を超えた社会を 高齢社会 と呼ぶ 56

第 1 節中国の人口センサスと観察区分 中国では 過去に 1953 年 64 年 82 年 90 年 2000 年 2010 年の 6 回の人口センサスと 1987 年 95 年 2005 年の 3 回の1% 人口サンプル調査を実施してきた 3 1982 年以降の人口センサスは 国連 (UNFPA) の協力を得て実施されており 国際基準に沿った調査となっている 2010 年の人口センサスは 1000 万人の調査員を動員した大規模なもので 2010 年 11 月 1 日午前 0 時を基準とする 常住人口主義 に基づいている 同人口センサスは 全数調査とサンプル調査から構成され その結果は 国務院人口普査協力室 国家統計局人口和就業統計司編 中国 2010 年人口普査資料 ( 上冊 中冊 下冊 ) として公表されている そこに含まれる表は 国家統計局のホームページからもダウンロードできる (http://www.stats.gov.cn/tjsj/pcsj/) 表 1. 中国の行政単位 (2012 年 ) 地級区画数 県級区画数 地級市 市轄区 県級市 市轄区 県 自治県 全国 333 285 2,852 860 367 856 1,453 117 北京市 - - 16 14-16 2 - 天津市 - - 16 13-15 3 - 河北省 11 11 172 37 22 36 107 6 山西省 11 11 119 23 11 23 85 - 内モンゴル自治区 12 9 101 21 11 21 17 - 遼寧省 14 14 100 56 17 56 19 8 吉林省 9 8 60 20 20 20 17 3 黒龍江省 13 12 128 64 18 64 45 1 上海市 - - 17 16-18 1 - 江蘇省 13 13 102 55 23 54 24 - 浙江省 11 11 90 32 22 32 35 1 安徽省 16 16 105 43 6 44 56 - 福建省 9 9 85 26 14 26 45 - 江西省 11 11 100 19 10 19 70 - 山東省 17 17 138 48 30 49 60 - 河南省 17 17 159 50 21 50 88 - 湖北省 13 12 103 38 24 38 38 2 湖南省 14 13 122 35 16 34 64 7 広東省 21 21 121 56 23 54 39 3 広西チワン族自治区 14 14 109 34 7 34 56 12 海南省 3 3 20 4 6 4 4 6 重慶市 - - 38 19-19 15 4 四川省 21 18 181 45 14 43 118 4 貴州省 9 6 88 13 7 10 56 11 雲南省 16 8 129 13 11 12 76 29 チベット自治区 7 1 74 1 1 1 72 - 陝西省 10 10 107 24 3 24 80 - 甘粛省 14 12 86 17 4 17 58 7 青海省 8 1 43 4 2 4 30 7 寧夏回族自治区 5 5 22 9 2 8 11 - 新疆ウイグル自治区 14 2 101 11 22 11 62 6 ( 出所 ) 中国統計年鑑 2013 年版 3 過去の人口センサスの特徴は 川俣 [1992] を参照 57

本稿の分析は 主として 2010 年の人口センサスを用いるが 2000 年の人口センサスと比較し 近年の変化を示すことに注力した また 時系列的変化を明確にするため 巻末の添付表には 1990 年の人口センサス及び 1995 年と 2005 年の 1% 人口サンプル調査の結果も併記した 中国の省や自治区のなかには 国レベルに相当する人口を有する地域があり 省レベルでの人口動態だけでは その変化が適切に把握できない可能性がある たとえば 広東省の人口は 1 億人を超えている そこで 本稿では 国務院人口普査協力室 国家統計局人口和就業統計司編 中国 2010 年人口普査分県資料 を用いて 地級市区の人口動態にも注目した 地級市区とは 省 自治区直下の行政区分であり 333 カ所存在する ( 表 1) 本稿では これに直轄市 4 市を合わせた 337 カ所を対象とし 人口動態の地理的分布を地図上に示した 第 2 節人口規模と世帯 都市人口 (1) 人口規模過去 6 回の人口センサスによる人口推移は表 2の通りである 表 2. 中国の人口の変化 人口 ( 万人 ) 男性 女性 1953 58,260 30,190 28,070 1964 69,458 35,652 33,806 1982 100,818 51,944 48,874 1990 113,051 58,165 54,886 2000 124,261 64,028 60,234 2010 133,281 68,233 65,048 ( 注 ) 数字は各人口センサス 1953 年 1964 年 1982 年 1990 年は 7 月 1 日午前 0 時 2000 年 2010 年は 11 月 1 日午前 0 時 ( 出所 ) 中国 1990 年人口普査資料 中国 2000 年人口普査資料 中国 2010 年人口普査資料 中国統計年鑑 より作成 中国の総人口は 1953 年の 5 億 8260 万人から 2000 年には 2 倍以上の 12 億 4261 万 58

人に増加した 20 世紀後半の人口増加がいかに急激であったかがわかる 2010 年の人口は 13 億 3281 万人であり 2000 年に比べて 9020 万人増加したが 倍率では 1.07 倍 年平均人口増加率では 0.7% と低水準であった 省 自治区 直轄市別にみると 2010 年に最も人口が多いのは 広東省の 1 億 432 万人で 最も少ないのはチベット自治区の 300 万人であった ( 添付表 1) 2000~2010 年の 10 年間で人口が最も増加した地域は 広東省の 1920 万人で 次いで浙江省の 850 万人 上海市の 661 万人 北京市の 604 万人の順になっている ( 図 1) 倍率では 北京市が 1.45 倍 上海市が 1.40 倍 天津市が 1.31 倍と抜きんでて高い 他方 人口の減少が認められる地域も現れた 人口減少となったのは 湖北省 ( 227 万人 ) 重慶市( 167 万人 ) 四川省( 193 万人 ) 貴州省( 50 万人 ) の 4 省であり いずれの内陸に位置する 図 1. 地域別人口の増減 ( 万人 ) 2,500 2,000 1,500 1,000 500 0 500 北京天津河北山西内モンゴル遼寧吉林黒竜江省上海江蘇浙江安徽福建江西山東河南湖北湖南広東広西海南重慶四川貴州雲南チベット陜西甘粛青海寧夏新疆 ( 出所 ) 中国 2000 年人口普査資料 中国 2010 年人口普査資料 より作成 地級市区別にみると 337 地区のうち 2000 年から 2010 年の 10 年間で人口が 1.1 倍以上に増加したのは 115 地区 1.0 倍以上 1.1 倍未満の増加は 127 地区 1.0 倍未満 ( すなわち減少 ) した地域は 95 地区であった 最も人口が増加したのは 海口市 ( 海南省 ) の 2.5 倍で 最も人口が減少したのは 崇左市 ( 広西チワン族自治区 ) で 0.4 倍であった 人口増加率の高い地域は沿海部や省都 内陸西部に位置し 人口減少地域は内 59

陸中部に多くみられる ( 図 2) 図 2. 人口増減 ( 倍 ) ~ 1.0 1.0 ~ 1.1 1.1 ~ ( 出所 ) 中国 2000 年人口普査分県資料 中国 2010 年人口普査分県資料 ) より作成 国連の人口推計 ( 中位推計 ) によれば 中国の総人口は 2031 年をピークに減少に転じ 2050 年に 13 億 8498 万人 2100 年には 10 億 8563 万人に減少する (UN 2012) ただし この推計は 合計特殊出生率が 2030 年に 1.7 強へ上昇することを前提としたものであり 出生率が現在のような低水準に留まり続ければ 人口減少に転じる時期は早まる (2) 世帯数と規模世帯数は 2000 年の 3 億 5123 万世帯から 2010 年に 4 億 1772 万世帯へ増加した ( 添付表 2) 2000~2010 年に 1.19 倍に増加したことになるが 人口の 1.07 倍より高い これは世帯規模縮小の影響を受けたものであり 平均世帯人員は 2000 年の 3.46 人から 2010 年には 3.09 人に減少した ( 添付表 3) 2010 年に世帯数が 最も多い省は広東省の 3222 万世帯で 最も少ないのはチベット自治区の 69 万世帯であった 2000~2010 年の世帯数の増加を倍率でみると 北京市が 1.7 倍と最も高く 次いで上海市が 1.6 倍 広東省が 1.5 倍と高い これら地域の世帯数増加には 世帯規模の縮小に加えて流入人口の増加が影響している 世帯規模の縮小はすべての省で確認できる 平均世帯人員は 北京市が 2.9 人から 2.5 人へ 上海市が 2.8 人から 2.5 人へ 広東省が 3.7 人から 3.1 人へと減少した 2010 年に平均世帯人員が最も多いのは チベット自治区 (4.2 人 ) であるが 2000 年 60

(4.8 人 ) と比較すれば 緩やかながらも減少している 世帯規模が縮小する一方で 単独世帯 ( 単身世帯 ) が増加している ( 添付表 4) 単独世帯比率 ( 全世帯数に対する割合 ) は 2000 年の 8.3% から 2010 年には 14.5% に上昇した ちなみに 日本の 32.4% 韓国の 23.9% 台湾の 28.8% に比べれば 中国の水準はそれほど高いものではない 4 しかし 省別にみると 北京市が 24.8% 重慶市が 22.3% 広東省が 21.9% と韓国並みの水準にある 2010 年に単独世帯比率がもっとも低いのは江西省の 8.9% であるが 同省も 2000 年の 5.8% から 3% ポイント以上も上昇している 今後も この比率は経済成長に伴い上昇することが予想される 地級市区別にみると 最も単独世帯比率の高いのは東莞市 ( 広東省 ) の 37.3% 次いで深セン市 ( 広東省 ) の 37.2% で 30% を超えるのは この 2 地区だけである 両地区で単独世帯が多いのは 出稼ぎ労働者が多いことに起因していると考えらえる そのほか 20% を超える地区は 26 地区で 10% 超 20% 以下が 236 地区 10% 以下が 73 地区であった 最も低かったのは焦作市 ( 河南省 ) の 5.6% であった 単独世帯は 沿海部や都市部だけでなく 内陸部でも確認できる ( 図 3) これは若年人口の流出に伴って 高齢者の単独世帯が増加したことによる可能性が高い 図 3. 単独世帯比率 (%) ~ 10 10 ~ 20 20 ~ ( 出所 ) 中国 2010 年人口普査分県資料 ) より作成 4 国立社会保障 人口問題研究所 日本の世帯数の将来推計 (2013 年 1 月推計 ) http://www.ipss.go.jp/pp-ajsetai/j/hprj2013/t-page.asp 61

(3) 都市人口比率中国の都市化は急速に進んでいる 2010 年の都市人口は 6 億 7001 万人であり 5 2000 年の 4 億 5877 万人より 2 億 1124 万人増加した これに伴い都市化率 ( 全人口に占める都市人口の割合 ) は 36.9% から 50.3% に上昇した ( 添付表 5) 省 自治区 直轄市別にみると 最も都市人口が多いのは広東省で 6903 万人 最も少ないのはチベット自治区で 68 万人であった 都市化率が最も高いのは上海市の 89.3% 最も低いのはチベット自治区の 24.7% と大きな格差がみられる 地級市区別に都市化率をみると 100% の深セン ( 広東省 ) から 12.7% の和田地区 ( 新疆ウイグル自治区 ) まで格差は大きい 130 の地級市区で都市化率が 50% を超え そのうち 81 が 60% を超えた 都市化率の高い地域は 沿海部 各省の省都 内モンゴル自治区に集中的に分布している ( 図 4) 図 4. 都市人口比率 (%) ~ 50 50 ~ 60 60 ~ ( 出所 ) 中国 2010 年人口普査分県資料 より作成 一般的に 都市化率は所得水準と強い相関関係にあることが知られており 中国も例外ではない 図 5は 2010 年の地級市区の都市化率と一人当たり GDP の関係をみたものであるが 強い相関関係にあることが確認できる 5 中国人口センサスは 城市 鎮 郷村の 3 つに区分した整理を行っているが 都市とは 城市 鎮を合算したものである 62

図 5. 一人当たり GDP と都市人口比率 (2010 年 ) ( 都市人口比率 :%) 100 80 60 40 20 0 0 50,000 100,000 150,000 ( 一人当たり GDP: 元 ) ( 出所 ) 中国 2010 年人口普査分県資料 中国区域経済統計年鑑 2012 より作成 第 3 節人口構成 ( 生産年齢人口比率と高齢化率 ) (1) 生産年齢人口比率人口構成が経済成長に及ぼす影響について分析する枠組みとして 人口ボーナス論 (Demographic Dividend) がある これは生産年齢人口の増加あるいは比率の上昇が経済成長にプラスに寄与するという考え方である 2010 年の生産年齢人口 (15~64 歳 ) は 9 億 9256 万人であり 2000 年の 8 億 6981 万人より 1 億 2275 万人増加した 2000~2010 年の 10 年間に生産年齢人口は年間 1000 万人以上増加していることになる 生産年齢人口比率は 2000 年の 70.0% から 2010 年には 74.5% に上昇した ( 添付表 6) この水準は 世界でも最も高い水準に属する ( 世界で生産年齢人口比率が 70% を超えるのは 202 カ国中 31 カ国に過ぎない ) 省 自治区 直轄市別に生産年齢人口比率をみると 北京市 天津市 上海市はそれぞれ 82.7% 81.7% 81.3% と高水準にある 他方 最も低いのは貴州省で 66.0% 広西チワン族自治区の 69.1% が続く 63

図 6は 各省の 2000 年の生産年齢人口比率 ( 横軸 ) と 2010 年の生産年齢人口比率 ( 縦軸 ) をプロットしたものである 45 度線から上方に離れるほど 生産年齢人口比率の変化が大きかったことを示す 図から明らかなように すべての省が 45% 線の上側に位置し 人口ボーナスを享受できる人口構造にあったことがわかる ちなみに 円の大きさは一人当たり GDP の大きさを示す 図 6. 生産年齢人口比率の変化と一人当たり GDP 85 (2010 年生産年齢人口比率 :%) 80 75 70 一人当たり GDP(2000 年 ) 例 :50000 元 65 60 (2000 年生産年齢人口比率 :%) 60 65 70 75 80 85 ( 出所 ) 中国 2000 年人口普査資料 中国 2010 年人口普査資料 中国統計年鑑 より作成 地級市区別にみると 生産年齢人口比率が 66.6% を下回る地区は 16 しか存在せず 中国全体が成長に適した人口構成を有していることが確認できる 他方 70% を超えた地区は 278 地区を数え そのうち 80% を超える地区は 22 存在する とくに 東莞市 ( 広東省 ) は 89.4% と異常に高い 80% を超える地区の多くは 北京市 天津市 上海市の他 長江デルタ経済圏 珠江デルタ経済圏に位置する地級市区である 図 7 は 生産年齢人口比率と都市化率の関係をみたものであるが 両者が強い関係にあることがわかる これは 所得水準の高い都市が 他の地域からの若年人口移動を吸収することによって さらに都市化率を高めていることが原因と考えられる 64

図 7. 生産年齢人口比率と都市化率 ( 生産年齢人口比率 :%) 95 90 85 80 75 70 65 60 0 20 40 60 80 100 ( 都市化率 :%) ( 出所 ) 中国 2010 年人口普査分県資料 中国区域経済統計年鑑 2012 より作成 (2) 高齢化率出生率が低水準にとどまり 平均寿命が大幅に伸長したことを背景に 中国では高齢化が加速している 2010 年の人口センサスの調査項目は 2000 年のものとほとんど変わらないが 第 8 章に 老年人口 が加えられ 近年の中国政府の人口高齢化への関心の高まりが反映されている 6 2010 年の高齢化率 (65 歳以上の人口比率 ) は 8.9% で 2000 年の 7.1% から 1.8% ポイント上昇し 中国はすでに 高齢化社会 ( 高齢人口が 7% 以上 ) へと移行している ただし 2000 年から 2010 年の 10 年間の上昇幅は大きいものではない 省 自治区 直轄市別にみると 高齢化率が最も高いのは重慶市の 11.7% 以下江蘇省と四川省が 10.9% 安徽省が 10.2% となっている 最も低いのはチベット自治区の 5.1% で そのほか 青海省の 6.3% 寧夏回族自治区の 6.4% が低い 地域によって高齢化の進み具合が異なる ( 添付表 7) 表 3 は 2000 年と 2010 年の高齢化率の上位 10 省をみたものである 2000 年におい 6 2005 年全国 1% 調査でも 第 9 章が 老年人口 であり 21 世紀に入って中国政府が高齢化の影響を意識し始めたことを示している 65

て高齢化率が最も高かったのは上海市で 11.5% であった しかし 2010 年において上海市は第 6 位にランクを下げ 高齢化率も 10.1% に低下した これは上海市が多くの若年人口を受け入れたことに起因する ( 移動人口については後述 ) 他方 重慶市は 2000 年の 8.0%( 第 7 位 ) から 11.7%( 第 1 位 ) へ 4% ポイント近く上昇した 重慶市は人口減少地域であり 多くの若年人口が広東省などに移動したことが高齢化の加速要因となっている さらに重慶市の農村の高齢化率をみると同期間に 7.7% から 14.5% と 7% ポイント近く上昇している これは農村から重慶市以外への人口移動に加えて 重慶市内における都市への人口移動の影響を受けていると考えられる 表 3. 高齢化率の上位 10 省 自治区 直轄市 (%) 2000 年 2010 年 ( 全体 ) ( 都市 ) ( 農村 ) ( 全体 ) ( 都市 ) ( 農村 ) 1 上海市 11.5 11.3 12.6 1 重慶市 11.7 9.3 14.5 2 浙江省 8.9 7.2 10.6 2 四川省 10.9 9.0 12.3 3 江蘇省 8.8 7.5 9.8 3 江蘇省 10.9 9.1 13.6 4 北京市 8.4 8.4 8.4 4 遼寧省 10.3 10.3 10.3 5 天津市 8.4 8.6 8.0 5 安徽省 10.2 8.5 11.5 6 山東省 8.1 6.6 9.1 6 上海市 10.1 9.9 12.1 7 重慶市 8.0 7.7 8.2 7 山東省 9.8 8.2 11.5 8 遼寧省 7.9 8.0 7.8 8 湖南省 9.8 8.1 11.0 9 安徽省 7.6 6.7 7.9 9 浙江省 9.3 7.1 13.0 10 四川省 7.6 6.8 7.8 10 広西チワン族自治区 9.2 7.5 10.4 全体 7.1 6.4 7.5 全体 8.6 7.8 10.1 ( 出所 ) 中国 2000 年人口普査資料 中国 2010 年人口普査資料 より作成 地級市区別にみると 2010 年に高齢化率が 7% を超えていたのは 337 地区中 277 で全体の 82.2% に達する さらに 10% を超える地級市区は 80 を数え 全体の 23.7% を占める 高齢化率が最も高いのは南通市 ( 江蘇省 ) の 16.5% であった 高齢化率の水準を地理的分布でみると 高齢化率が高い地域が上海市以北の沿海部と 中部内陸部に集中していることがわかる ( 図 8) これら地域の高齢化の加速には 重慶市の場合と同様に人口流出が影響しているものと考えられる 66

図 8. 高齢化率 (%) ~ 7 7 ~ 10 10 ~ ( 出所 ) 中国 2010 年人口普査分県資料 より作成 中国では 豊かになる前に高齢化が進展してしまうことを 未富先老 と呼び その対策を検討している しかし 一部の地域では それはすでに現実化しているといえる 地級市区別にみると 一人当たり GDP が 20500 元 ( 約 3000 ドル ) 以下の 132 地区のうち 高齢化率が 9% を超える地域は 55 地区も存在する これらの地域は人口流出の多い地域とほぼ一致しており 今後高齢化が加速する可能性が高い 第 4 節教育水準 就業構造 (1) 教育水準中国の人口センサスでは 6 歳以上の最終学歴について 未就学 初等教育 ( 小学校 ) 前期中等教育( 中学校に相当 ) 後期中等教育( 高校に相当 ) 大学専科 ( 短期大学もしくは専門学校に相当 ) 大学本科 大学院 に区分し 集計されている 7 小学校以下 ( 未就学と初等教育の合計 ) が 1995 年の 58.5% から 2010 年には 33.7% に低下し 他方 大学以上 ( 大学専科と大学本科 大学院の合計 ) が 2.2% 7 中国の教育制度については http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/015/siryo/05120501/007/006.htm を参照 67

から 9.5% に上昇しており この 10 年で教育水準が急速に向上していることがわかる ( 添付表 8 添付表 9) 省 自治区 直轄市別にみると 2010 年に 小学校以下 の比率が最も低いのは 北京市の 12.3% で 次いで上海市の 17.3% 天津市の 20.3% であった 他方 最も高いのはチベット自治区の 74.8% であった 大学以上 の比率が最も高いのは 北京市の 32.8% で 次いで上海市が 22.8% 天津市が 18.3% と高い 最も低いのは 貴州省とチベット自治区の 5.8% であった 次に地級市区別にみると 小学校以下 の比率が最も低いのは 深セン ( 広東省 ) の 10.1% で 北京市の 12.3% 東莞市( 広東省 ) の 14.8% がこれに続く 他方 最も高いのは ナクチュ地区 ( チベット自治区 ) の 85.4% 次いで玉樹チベット族自治州( 青海省 ) の 84.7% で内陸西部に多い 他方 大学以上 は 北京市の 32.8% が最も高く 以下南京市 ( 江蘇省 ) の 27.3% 武漢市 ( 湖北省 ) の 26.3% の順になっている 大学以上が 10% を占める地級市区が 74 地区を数えるのに対して 他方 5% 以下の地区は 270 地区と全体の 80.1% と多い 大学以上が高いのは沿海部や省都である 中国の場合 教育水準の年齢格差が大きいことに注意したい 20 歳代 ( 20~29 歳 ) の大学以上の比率は 23.2% であるのに対して 30 歳代は 12.7% 40 歳代は 7.4% 50 歳代以上は 3.8% と年齢とともに急速に低下する 他方 小学校以下は 20 歳代は 8.2% にすぎないが 30 歳代は 17.0% 40 歳代は 25.9% 50 歳代以上は 59.5% と急上昇する ( 図 9) 図 9. 最終学歴と年齢 (%) 100 80 60 小学校以下 中学 高校 40 大学以上 20 0 20 25 30 35 40 45 50 55 60 65 70 75 80 85+ ( 出所 ) 中国 2010 年人口普査資料 より作成 ( 歳 ) 68

(2) 就業構造就業調査は 全数調査ではなく サンプル調査である 人口センサスでは 業種 と 職種 に区分して整理している ここでは業種を 農林水産業 製造業 その他 に区分する 2000 年と 2010 年の人口センサスを比較すると 農林水産業 の比率は 64.4% から 48.3% へ低下した ( 添付表 10) 一般的に経済成長とともに農林水産業の就業人口比率が低下する傾向にあることが知られているが 中国も例外ではない ただし その水準は地域によって異なる 省 自治区 直轄市別にみると 最も低いのは上海市の 2.9% 北京市の 5.5% である 他方最も高いのは陝西省の 74.9% 次いで甘粛省の 71.7% で格差が大きい 地級市区別にみると深センが 0.3% 東莞市が 1.0% と極めて低水準にあるものの 30% を下回る地級市区は 57 地区しかなく 全体の 16.9% に過ぎない 他方 70% を超える地域が 79 地区あるなど 中国ではまだ農業中心の地域が多い なお これら農林水産業就業人口比率は 一人当たり GDP と強い相関関係にある ( 図 10) 図 10. 一人当たり GDP と農林水産業就業人口比率 (2010 年 ) ( 農林水産業就業人口比率 :%) 100 80 60 40 20 0 0 50,000 100,000 150,000 ( 一人当たり GDP: 元 ) ( 資料 ) 中国 2010 年人口普査分権資料 中国区域経済統計年鑑 2011 より作成 69

他方 製造業就業人口比率は 2000 年の 12.5% から 2010 年には 16.9% へ上昇した 製造業就業人口比率が最も高いのは 浙江省の 43.8% で 次いで広東省の 39.3% 上海市の 35.4% 江蘇省の 34.1% の順である ( 添付表 11) 次に地級市区別にみる 地級市区別のデータは 製造業ではなく 第 2 次産業就業人口しか発表されていない これを比較すると 東莞市 ( 広東省 ) が 76.1% 中山市 ( 広東省 ) が 67.9% 蘇州市( 江蘇省 ) が 64.2% と高い 第 2 次産業就業人口比率の高い地域は沿海以外にも 内モンゴル自治区などの内陸にも確認できる ( 図 11) ただし 内陸部では 製造業の就業人口ではなく 鉄鋼石やレアアースなどの鉱業部門の就業人口が多いためと考えられる 図 11. 第 2 次産業就業人口比率 (%) ~ 30 30 ~ 50 50 ~ ( 出所 ) 中国 2010 年人口普査分県資料 より作成 次に就業人口における年齢格差をみておきたい 図 12 は 農林水産業 製造業 その他に区分し 年齢層別にその比率をみたものである 製造業の就業人口比率は 20 ~24 歳が 28.8% と最も高く 年齢とともに低下しており サービス産業を含むその他は 16~19 歳の 26.2% から 30~34 歳の 44.4% へ上昇し その後低下に向かう 他方 農林水産業の就業人口比率は 40 歳代後半から急速に上昇している このように 40 歳代後半以降の中高年世代が 農林水産業に従事し かつ前述のように最終学歴も低いことは 年齢間所得格差の原因となっていることは想像に難くない 70

図 12. 年齢層別産業別就業人口比率 (%) 100 80 60 40 農林水産業 製造業 その他 20 0 16-19 25-29 35-39 45-49 55-59 65-69 75+ ( 出所 ) 中国 2010 年人口普査資料 より作成 ( 歳 ) 第 5 節出生率と未婚率 (1) 合計特殊出生率中国の人口動態の急速な変化は 1970 年代末に実施された 一人っ子政策 による出生率の急速な低下と その後の長期間にわたって出生率が低水準で推移してきたことに影響を受けている 若林 (2005) によれば 中国の合計特殊出生率は 1970 年の 5.8 から 1990 年に 2.1 2000 年には 1.8 に低下した 人口センサスでは 合計特殊出生率を 1% サンプル調査 ( 抽詳調査 ) により算出している 2010 年の合計特殊出生率は 1.18 と低水準にあり 2000 年の 1.22 より低下した 8 省 自治区 直轄市のなかで 合計特殊出生率が最も低いのは北京市の 0.71 で 次いで上海市と遼寧省の 0.74 黒竜江省の 0.75 吉林省の 0.76 天津市の 0.91 の順になっており 実に 7 省で 1 を下回った ( 添付表 12) 2000 年に比べると総じて出生率は低下しているものの 改善がみられる省も少なくない 北京市 (0.67 0.71) 天津市 ( 0.88 0.91) 河北省 ( 1.29 1.31) 上海市 (0.68 0.74) 江蘇省 ( 0.97 1.05) 8 人口センサスの合計特殊出生率の信頼度には問題があるとの指摘がある 若林 [2005] は 文献調査とヒアリング調査から 2000 年の合計特殊出生率は 人口センサスでは 1.22 であったが 独自に 1.75 と推計した 71

3 安徽省 (1.06 1.34) 湖南省(1.27 1.42) 広東省(0.94 0.96) 広西チワン族自治区 (1.54 1.79) 新疆ウイグル自治区 (1.52 1.53) の 10 省で若干改善している 地級市区別の合計特殊出生率は 計算方法が異なる 全国レベルの合計特殊出生率は 15~49 歳の女性人口を対象としているのに対し 地級市区レベルのそれは 15~64 歳を対象としている そのため 後者の合計特殊出生率は 前者よりも高めに出る たとえば北京市の場合 15~49 歳を対象とした合計特殊出生率が 0.71 であったのに対して 15~64 歳を対象とした出生率は 0.83 となる 地級市区別で 出生率が最も低いのは北京市の 0.83 であり 次いで深セン ( 広東省 ) の 0.87 南京市( 江蘇省 ) の 0.91 と続き 出生率が 1 を下回ったのは 13 地区であった 他方 1 超 1.5 以下は 215 地区 1.5 超 2 以下は 116 地区で 2 を上回る地区は畢節市 ( 貴州省 ) 固原市( 寧夏回族自治区 ) 欽州市( 広西チワン族自治区 ) の 3 地区しかない ( 図 13) 図 13. 出生率 (%) ~ 1 1 ~ 1.5 1.5 ~ ( 出所 ) 中国 2010 年人口普査分県資料 ) より作成 2013 年 11 月の三中全会で一人っ子政策の一部緩和が決定された これは両親のうちどちらかが一人っ子の場合に第 2 子の出産を認めるというものであるが すでに一人っ子政策は地域によってかなり緩和されている 表 4は 今回の決定以前の産児制限を地域別にみたものであるが 今回の部分的緩和の効果は限定的であることがわかる ( 大泉 [2014]) 72

表 4. 地域別産児制限 都市部 農村部 条件付き条件付き少数民族都市部農村部緩和緩和 少数民族 北京 A A (2) - 湖北 A B (2) - 天津 A A (1) - 湖南 A B (2) - 河北 A B (2) - 広東 A B (2) - 山西 A B (2) - 広西チワン A B (2) - 内モンゴル A B (2) - 海南 A C (2) - 遼寧 A B (1) - 重慶 A A (2) - 吉林 A B (1) - 四川 A A (2) - 黒竜江省 A B (2) 3.0 貴州 A B (2) - 上海 A A (1) - 雲南 A C (2) 3.0 江蘇 A A (1) - チベット C C - 制限なし 浙江 A B (2) - 陝西 A B (2) - 安徽 A B (1) - 甘粛 A B (2) - 福建 A B (1) - 青海 A C (2) 3.0 江西 A B (2) - 寧夏 A C (2) 3.0 山東 A B (2) - 新疆 A C (2) 3.0 河南 A B (2) - ( 注 )Aは 一人っ子政策 Bは 一人目が女子の場合 第 2 子の出産が認められる Cは 無条件に第 2 子の出産が認められる (1) 夫婦のうち一方が一人っ子の場合 第 2 子の出産が認められる (2) 夫婦の双方が一人っ子の場合 第 2 子の出産が認められる 3.0は 第 3 子の出産が認められる ( 出所 ) 財新 : 新世紀専科 出生率は 都市化率と強い相関関係があり ( 図 14) 都市化が進む過程で 出生率 はさらに低下する可能性が高く 一人っ子政策が撤廃されても 出生率は回復しないかもしれない 図 14. 出生率と都市化率 ( 出生率 ) 2.5 2.0 1.5 1.0 0.5 0.0 ( 都市化率 :%) 0 20 40 60 80 100 ( 出所 ) 中国 2010 年人口普査分県資料 より作成 73

(2) 未婚率出生率の低下には 未婚化や晩婚化などの影響も注目する必要がある 30 歳の未婚化率は 1995 年の 5.4% から 2000 年に 6.3% 2005 年に 8.8% 2010 年に 13.5% と上昇傾向にあるが 40 歳の未婚率は 1.7% から 2.1% 2.1% 3.0% と上昇傾向にあるものの水準はまだ低い ただし 中国では若年層で晩婚化が急速に進んでいるといえる 男性の 30 歳の未婚率は 8.4% から 10.4% 14.0% 18.1% と急速に上昇しており 40 歳のそれは 2.6% から 3.8% 3.8% 4.9% に上昇した 他方 女性は 30 歳の未婚率は 2.4% から 2.2% 3.7% 8.8% と水準は低いものの 2005 年から 2010 年にかけての上昇幅は大きい ( 図 15) 図 15. 未婚率 ( 女性 ) の変化 (%) 40 30 2000 年 20 2005 年 2010 年 10 0 25 30 35 40 ( 歳 ) ( 出所 ) 中国 2000 年人口普査資料 2005 年全国 1% 人口抽詳調査資料 中国 2010 年人口普査資料 より作成 未婚率は 教育水準と相関関係にあり 今後 教育水準の上昇により未婚化 晩婚化が進展する可能性が高い 74

第 6 節人口移動 (1) 移動人口規模これまでみてきたように 中国において地域の人口動態は 人口移動の影響を強く受けている 人口センサスでは 常住地が戸籍地と異なるかどうかによって移動人口を把握している そして 常住地と戸籍地が異なる場合について 1 省内( 地級市区内 ) での移動 2 省内( 地級市区外 ) からの移動 3 省外 からの移動の 3 つに区分して 集計している 移動人口は 2010 年に 2 億 6094 万人で 全人口の 19.6% を占めた また 2000 年の 1 億 4439 万人に比べて 1 億 1655 万人 (1.81 倍 ) 増加した 過去 10 年間の人口移動がいかに激しかったかがわかる 2010 年において移動人口が最も多いのは 広東省の 3681 万人で 次いで浙江省 (1990 万人 ) 江蘇省(1823 万人 ) が多い これらの省は 10 年間の移動人口の変化も大きく 広東省が 1150 万人 浙江省が 1130 万人 江蘇省が 913 万人となっている そのほか増加率が高い省として 陝西省 (2.5 倍 ) 寧夏回族自治区(2.3 倍 ) があり 内陸部でも移動人口の増加がみられる ( 添付表 13) 人口規模に占める割合 ( 移動人口比率 ) をみると 国レベルでは 19.6% であるが 上海市が 55.1% 北京市が 53.5% 浙江省が 36.6% 広東省が 35.3% と際立っている 地級市区別にみると 深セン ( 広東省 ) が 82.2% 東莞市( 広東省 ) が 80.1% と突出して高い 移動人口比率が 20% を超える地級市区は 96 地区であった そのうち 40% を超える地区は 21 地区ある 分布をみると 沿海部にとどまらず 内陸部でも人の動きが活発なことがうかがえる ( 図 16) 75

図 16. 移動人口比率 (%) ~ 20 20 ~ 40 40 ~ ( 出所 ) 中国 2010 年人口普査分県資料 ) より作成 (2) 省間移動他の省から流入した人口は 2010 年に 8588 万人で 2000 年の 4242 万人から倍増した 省間移動人口は 人口全体の 6.4% 移動人口の 32.9% を占める 省間移動人口比率が高いのは 北京市 ( 人口比率 35.9% 移動人口比率 67.1% ) 天津市 ( 同 23.1% 同 60.4%) 上海市( 同 39.0% 同 59.4%) 浙江省( 同 21.7% 同 59.4%) 広東省 ( 同 20.6% 同 58.4%) 福建省( 同 11.7% 同 39.0%) である ( 添付表 14) 地級市区別にみると 省間移動人口比率が最も高いのは東莞市 ( 広東省 ) の 64.9% で 次いで深セン ( 広東省 ) が 56.0% である 全体の人口移動率と順位が入れ代っているのは 東莞市の移動人口の方が広東省外からの流入人口への依存が高いことを示している 地理的分布をみると沿海部だけでなく 新疆ウイグル地区やモンゴル自治区など内陸部でも高い地域が存在する ( 図 17) 76

図 17. 省間移動人口比率 (%) ~ 5 5 ~ 10 15 ~ ( 出所 ) 中国 2010 年人口普査分県資料 ) より作成 (3) 省内移動 ( 地級市区内外 ) 人口移動は 省間よりも省内で活発に生じている とくに農村から所得の高い都市部への移動が顕著である とくに広東省や江蘇省の省内移動は激しく 省内の人口構成をゆがめる原因になっていると考えられる 省内移動人口は 1 億 7506 万人 ( うち地級市区内が 9037 万人 地級市区外が 8469 万人 ) で 2000 年の 1 億 197 万人 ( うち地級市区内が 6563 万人 地球市区外が 3634 万人 ) から 1.7 倍増加した ( 添付表 15) 地級市区別にみると 省内人口移動比率が最も高いのはフフホト市 ( 内モンゴル自治区 ) の 42.7% で 次いで包頭市 ( 内モンゴル自治区 ) の 35.2% オルドス市( 内モンゴル自治区 ) となっており 内モンゴル自治区内の人口移動が大きい 内モンゴル自治区以外では 省 自治区の省都が上位を占めている 省間人口移動では沿海部や内陸部 省内人口移動では省都が受け入れ地域になっているといえる おわりに本稿では 人口センサスを用いて 近年の中国の人口動態を整理してきた 低い出生率に加え 国内人口移動の加速が 地域間で人口構成を異なったものにしていることが確認された また 年齢による教育格差や就労状況の格差が大きいことも判明した 加えて 若年層の未婚率の上昇や 今後の都市化の進展などを考えると 77

地域間所得格差や年齢間所得格差は さらに拡大する可能性がある これは 中国の持続的発展を考える上で重要な視点である 人口動態がマクロ経済に及ぼす影響のプロセス その把握のためのマクロ経済指標は何かなどの考察は 今後の課題としたい 参考文献 [1] 大泉啓一郎 [2007] 老いてゆくアジア 中公新書 [2] 大泉啓一郎 [2014] 中国の一人っ子政策規制緩和をどう見るか 日本総合研究所 RIM Vol.14 No.52 [3] 川俣青子 [1992] 中国 1990 年人口センサスの概要 早瀬保子編 中国の人口変動 アジア経済研究所 [4] 若林敬子 [2005] 中国の人口問題と社会的現実 ミネルヴァ書房 [5] 国務院人口普査弁公室 国家統計局人口統計司編 [1992] 中国 1990 年人口普査資料 中国統計出版社 [6] 国務院人口普査弁公室 国家統計局人口和社会科技統計司編 [2002] 中国 2000 年人口普査資料 中国統計出版社 [7] 国務院人口普査弁公室 国家統計局人口和就業統計司編 [2012] 中国 2010 年人口普査資料 中国統計出版社 [8] 国務院全国 1% 抽詳調査領導小組弁公室 国家統計局人口和就業統計司編 [2007] 2005 年全国 1% 人口抽詳調査資料 中国統計出版社 [9] 国務院人口普査弁公室 国家統計局人口和社会科技統計司編 [2002] 中国 2000 年人口普査分県資料 中国統計出版社 [10] 国務院人口普査弁公室 国家統計局人口和就業統計司編 [2012] 中国 2010 年人口普査分県資料 中国統計出版社 [11] 国家統計局国民経済総合統計司編 中国区域経済統計年鑑 2011 中国統計出版社 [12] 全国人口抽詳調査弁公室編 [1996] 全国 1% 人口抽詳調査資料 1995 中国統計出版社 [13] National Bureau of Statistics of China and East West Center(2002), Fertility Estimates for Provinces of China, 中国統計出版社 [14] United Nations[2012]World Population Prospects: The 2012 Revision. 78