ザガーロ使用上の注意の解説

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p 13

使用上の注意 1. 慎重投与 ( 次の患者には慎重に投与すること ) 1 2X X 重要な基本的注意 1TNF 2TNF TNF 3 X - CT X 4TNFB HBsHBcHBs B B B B 5 6TNF 7 8dsDNA d

1)~ 2) 3) 近位筋脱力 CK(CPK) 高値 炎症を伴わない筋線維の壊死 抗 HMG-CoA 還元酵素 (HMGCR) 抗体陽性等を特徴とする免疫性壊死性ミオパチーがあらわれ 投与中止後も持続する例が報告されているので 患者の状態を十分に観察すること なお 免疫抑制剤投与により改善がみられた

添付文書情報 の検索方法 1. 検索条件を設定の上 検索実行 ボタンをクリックすると検索します 検索結果として 右フレームに該当する医療用医薬品の販売名の一覧が 販売名の昇順で表示されます 2. 右のフレームで参照したい販売名をクリックすると 新しいタブで該当する医療用医薬品の添付文書情報が表示され

葉酸とビタミンQ&A_201607改訂_ indd

モビコール 配合内用剤に係る 医薬品リスク管理計画書 (RMP) の概要 販売名 モビコール 配合内用剤 有効成分 マクロゴール4000 塩化ナトリウム 炭酸水素ナトリウム 塩化カリウム 製造販売業者 EA ファーマ株式会社 薬効分類 提出年月 平成 30 年 10 月 1.1. 安全

Ⅰ. 改訂内容 ( 部変更 ) ペルサンチン 錠 12.5 改 訂 後 改 訂 前 (1) 本剤投与中の患者に本薬の注射剤を追加投与した場合, 本剤の作用が増強され, 副作用が発現するおそれがあるので, 併用しないこと ( 過量投与 の項参照) 本剤投与中の患者に本薬の注射剤を追加投与した場合, 本

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クラリチンドライシロップ 1% クラリチン錠 10mg クラリチンレディタブ錠 10mg 第 1 部申請書等行政情報及び添付文書に関する情報 (7) 同種同効品一覧 シェリング プラウ株式会社

スライド 1

医薬品の添付文書等を調べる場合 最後に 検索 をクリック ( 下部の 検索 ボタンでも可 ) 特定の文書 ( 添付文書以外の文書 ) の記載内容から調べる場合 検索 をクリック ( 下部の 検索 ボタンでも可 ) 最後に 調べたい医薬品の名称を入力 ( 名称の一部のみの入力でも検索可能

スライド 1

2. 改訂内容および改訂理由 2.1. その他の注意 [ 厚生労働省医薬食品局安全対策課事務連絡に基づく改訂 ] 改訂後 ( 下線部 : 改訂部分 ) 10. その他の注意 (1)~(3) 省略 (4) 主に 50 歳以上を対象に実施された海外の疫学調査において 選択的セロトニン再取り込み阻害剤及び

タペンタ 錠 25mg タペンタ 錠 50mg タペンタ 錠 100mg に係る 販売名 タペンタ 錠 25mg タペンタ 錠 50mg 医薬品リスク管理計画書 (RMP) の概要 有効成分 タペンタ 錠 100mg 製造販売業者 ヤンセンファーマ株式会社 薬効分類 821 提出年月 平成 30 年

オクノベル錠 150 mg オクノベル錠 300 mg オクノベル内用懸濁液 6% 2.1 第 2 部目次 ノーベルファーマ株式会社

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5_使用上の注意(37薬効)Web作業用.indd

IF 利用の手引きの概要 日本病院薬剤師会 1. 医薬品インタビューフォーム作成の経緯医療用医薬品の基本的な要約情報として医療用医薬品添付文書 ( 以下 添付文書と略す ) がある 医療現場で医師 薬剤師等の医療従事者が日常業務に必要な医薬品の適正使用情報を活用する際には 添付文書に記載された情報を

用法 用量 発作性夜間ヘモグロビン尿症における溶血抑制 mg mg mg mg kg 30kg 40kg 20kg 30kg 10kg 20kg 5kg 10kg 1900mg mg mg mg

減量・コース投与期間短縮の基準

資料 3 1 医療上の必要性に係る基準 への該当性に関する専門作業班 (WG) の評価 < 代謝 その他 WG> 目次 <その他分野 ( 消化器官用薬 解毒剤 その他 )> 小児分野 医療上の必要性の基準に該当すると考えられた品目 との関係本邦における適応外薬ミコフェノール酸モフェチル ( 要望番号

3. 安全性本治験において治験薬が投与された 48 例中 1 例 (14 件 ) に有害事象が認められた いずれの有害事象も治験薬との関連性は あり と判定されたが いずれも軽度 で処置の必要はなく 追跡検査で回復を確認した また 死亡 その他の重篤な有害事象が認められなか ったことから 安全性に問

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ロペラミド塩酸塩カプセル 1mg TCK の生物学的同等性試験 バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにロペラミド塩酸塩は 腸管に選択的に作用して 腸管蠕動運動を抑制し また腸管内の水分 電解質の分泌を抑制して吸収を促進することにより下痢症に効果を示す止瀉剤である ロペミン カプセル

改訂後 ⑴ 依存性連用により薬物依存を生じることがあるので 観察を十分に行い 用量及び使用期間に注意し慎重に投与すること また 連用中における投与量の急激な減少ないし投与の中止により 痙攣発作 せん妄 振戦 不眠 不安 幻覚 妄想等の離脱症状があらわれることがあるので 投与を中止する場合には 徐々に

た 18 歳以上の AD/HD 患者を対象に 日本人を含むアジア人によるプラセボ対照二重盲検比較試験及びその長期継続投与試験が現在実施されており 本剤の製造販売者によれば これらの試験成績に基づき 本剤の成人期 AD/HD 患者への追加適応に関する承認事項一部変更承認申請が行われる予定とされている

より詳細な情報を望まれる場合は 担当の医師または薬剤師におたずねください また 患者向医薬品ガイド 医療専門家向けの 添付文書情報 が医薬品医療機器総合機構のホームページに掲載されています

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ータについては Table 3 に示した 両製剤とも投与後血漿中ロスバスタチン濃度が上昇し 試験製剤で 4.7±.7 時間 標準製剤で 4.6±1. 時間に Tmaxに達した また Cmaxは試験製剤で 6.3±3.13 標準製剤で 6.8±2.49 であった AUCt は試験製剤で 62.24±2

症例報告書の記入における注意点 1 必須ではない項目 データ 斜線を引くこと 未取得 / 未測定の項目 2 血圧平均値 小数点以下は切り捨てとする 3 治験薬服薬状況 前回来院 今回来院までの服薬状況を記載する服薬無しの場合は 1 日投与量を 0 錠 とし 0 錠となった日付を特定すること < 演習

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レクタブル 2 mg 注腸フォーム 14 回に係る医薬品リスク管理計画書 (RMP) の概要 販売名 レクタブル 2 mg 注腸フ 有効成分 ブデソニド ォーム14 回 製造販売業者 EA ファーマ株式会社 薬効分類 提出年月 平成 29 年 10 月 1.1. 安全性検討事項 重要な特

ハイゼントラ20%皮下注1g/5mL・2g/10mL・4g/20mL

ピルシカイニド塩酸塩カプセル 50mg TCK の生物学的同等性試験 バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにピルジカイニド塩酸塩水和物は Vaughan Williams らの分類のクラスⅠCに属し 心筋の Na チャンネル抑制作用により抗不整脈作用を示す また 消化管から速やかに

シプロフロキサシン錠 100mg TCK の生物学的同等性試験 バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにシプロフロキサシン塩酸塩は グラム陽性菌 ( ブドウ球菌 レンサ球菌など ) や緑膿菌を含むグラム陰性菌 ( 大腸菌 肺炎球菌など ) に強い抗菌力を示すように広い抗菌スペクトルを

ヒアルロン酸ナトリウム架橋体製剤 特定使用成績調査

目次 C O N T E N T S 1 下痢等の胃腸障害 下痢について 3 下痢の副作用発現状況 3 最高用量別の下痢の副作用発現状況 3 下痢の程度 4 下痢の発現時期 4 下痢の回復時期 5 下痢による投与中止時期 下痢以外の胃腸障害について 6 下痢以外の胃腸障害の副

第1回肝炎診療ガイドライン作成委員会議事要旨(案)

D961H は AstraZeneca R&D Mӧlndal( スウェーデン ) において開発された オメプラゾールの一方の光学異性体 (S- 体 ) のみを含有するプロトンポンプ阻害剤である ネキシウム (D961H の日本における販売名 ) 錠 20 mg 及び 40 mg は を対象として

査を実施し 必要に応じ適切な措置を講ずること (2) 本品の警告 効能 効果 性能 用法 用量及び使用方法は以下のとお りであるので 特段の留意をお願いすること なお その他の使用上の注意については 添付文書を参照されたいこと 警告 1 本品投与後に重篤な有害事象の発現が認められていること 及び本品

(別添様式)

医師主導治験 急性脊髄損傷患者に対する顆粒球コロニー刺激因子を用いたランダム化 プラセボ対照 二重盲検並行群間比較試験第 III 相試験 千葉大学大学院医学研究院整形外科 千葉大学医学部附属病院臨床試験部 1

日本医薬品安全性学会 COI 開示 筆頭発表者 : 加藤祐太 演題発表に関連し 開示すべき COI 関連の企業などはありません

あった AUCtはで ± ng hr/ml で ± ng hr/ml であった 2. バイオアベイラビリティの比較およびの薬物動態パラメータにおける分散分析の結果を Table 4 に示した また 得られた AUCtおよび Cmaxについてとの対数値

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改訂後 ( 下線 : 追加記載 ) 改訂前 ( 下線 : 削除 ) 使用上の注意 1) 腎障害のある患者 [ 高い血中濃度が持続するおそれがある ]( 用法 用量に関連する使用上の注意 の項参照 ) 2)~ 4) 現行のとおり テオフィリン リトナビル 中枢神経抑制剤アルコール ( 飲酒 ) ピルシ

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副作用収集状況 市販直後調査期間中 (2011 年 4 月 11 日 ~2011 年 10 月 31 日 ) に収集された副作用は 200 例 258 件でした そのうち 重篤な副作用は 8 例 14 件でした 副作用の内訳を表 1 に示します 重篤な副作用は 高カルシウム血症 3 件 意識変容状態

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タフィンラーカプセル50mg/75mg、メキニスト錠0.5mg/2mg 添付文書改訂のお知らせ

改訂前 用法 用量 多発性骨髄腫デキサメタゾンとの併用において 通常 成人にはレナリドミドとして 1 日 1 回 25 mg を 21 日間連日経口投与した後 7 日間休薬する これを 1 サイクルとして投与を繰り返す なお 患者の状態により適宜減量する 5 番染色体長腕部欠失を伴う骨髄異形成症候群

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1. 医薬品リスク管理計画を策定の上 適切に実施すること 2. 国内での治験症例が極めて限られていることから 製造販売後 一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は 全 症例を対象に使用成績調査を実施することにより 本剤使用患者の背景情報を把握するとともに 本剤の安全性及び有効性に関するデータを

別紙様式 (Ⅱ)-1 添付ファイル用 本資料の作成日 :2016 年 10 月 12 日商品名 : ビフィズス菌 BB( ビービー ) 12 安全性評価シート 食経験の評価 1 喫食実績 ( 喫食実績が あり の場合 : 実績に基づく安全性の評価を記載 ) による食経験の評価ビフィズス菌 BB-12

糖尿病経口薬 QOL 研究会研究 1 症例報告書 新規 2 型糖尿病患者に対する経口糖尿病薬クラス別の治療効果と QOL の相関についての臨床試験 施設名医師氏名割付群記入年月日 症例登録番号 / 被験者識別コード / 1/12

検査項目情報 トータルHCG-β ( インタクトHCG+ フリー HCG-βサブユニット ) ( 緊急検査室 ) chorionic gonadotropin 連絡先 : 基本情報 ( 標準コード (JLAC10) ) 基本情報 ( 診療報酬 ) 標準コード (JLAC10)

膿疱性乾癬の効能追加 ( 承認事項の 部変更承認 ) に伴う改訂 改訂内容 ( 該当部のみ抜粋 ) 警告 1.~3. 4. 関節リウマチ患者では, 本剤の治療を行う前に, 少なくとも 1 剤の抗リウマチ薬等の使用を十分勘案すること. また, 本剤についての十分な知識とリウマチ治療の経験をもつ医師が使

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2017 年 1 月 12 日放送 第 115 回日本皮膚科学会総会 13 教育講演 37-2 男性型脱毛症治療の新しい展開 東京女子医科大学皮膚科准教授常深祐一郎男性型脱毛症男性型脱毛症 (androgenetic alopecia: AGA) は思春期以降に始まり徐々に進行する脱毛症で 額の生え

医薬品の適正使用に欠かせない情報です

デベルザ錠20mg 適正使用のお願い

20(1) 重篤な肝障害の報告症例数の推移 2000 年 2 月に緊急安全性情報を発出した以後も重篤な肝障害が毎年 20 例前後報告されております ( 図 1 参照 ) また ユリノーム R 3) 錠服用患者様における肝機能検査の実施状況について調査した結果 投与開始後に一度も肝機能検査が実施されな

301226更新 (薬局)平成29 年度に実施した個別指導指摘事項(溶け込み)

審査結果 平成 23 年 4 月 11 日 [ 販 売 名 ] ミオ MIBG-I123 注射液 [ 一 般 名 ] 3-ヨードベンジルグアニジン ( 123 I) 注射液 [ 申請者名 ] 富士フイルム RI ファーマ株式会社 [ 申請年月日 ] 平成 22 年 11 月 11 日 [ 審査結果

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(2) レパーサ皮下注 140mgシリンジ及び同 140mgペン 1 本製剤については 最適使用推進ガイドラインに従い 有効性及び安全性に関する情報が十分蓄積するまでの間 本製剤の恩恵を強く受けることが期待される患者に対して使用するとともに 副作用が発現した際に必要な対応をとることが可能な一定の要件

重篤な副作用は 自然流産の 1 例 1 件であった 本症例は 本剤服用後も性交があり どの時点での妊娠か判断できず 本剤と自然流産との関連は評価できないと考えた 非重篤な副作用のうち 使用上の注意から予測できない副作用は 腹部膨満及び月経困難症各 2 件 腹部不快感 口内炎 ざ瘡 尿臭異常 月経障害

改訂後 ( 下線部 : 追記又は変更 ) ( 重大な副作用 失神 意識喪失 (0.1% 未満注 ) ): 血圧低下に伴う一過性の意識喪失等があらわれることがあるので, 観察を十分に行い, 異常が認められた場合には, 投与を中止し適切な処置を行うこと 肝機能障害, 黄疸 ( いずれも 0.1% 未満注

DRAFT#9 2011

(3) 摂取する上での注意事項 ( 該当するものがあれば記載 ) 機能性関与成分と医薬品との相互作用に関する情報を国立健康 栄養研究所 健康食品 有効性 安全性データベース 城西大学食品 医薬品相互作用データベース CiNii Articles で検索しました その結果 検索した範囲内では 相互作用

(2) 健康成人の血漿中濃度 ( 反復経口投与 ) 9) 健康成人男子にスイニー 200mgを1 日 2 回 ( 朝夕食直前 ) 7 日間反復経口投与したとき 血漿中アナグリプチン濃度は投与 2 日目には定常状態に達した 投与 7 日目における C max 及びAUC 0-72hの累積係数はそれぞれ

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販売名 ベージニオ 錠に係る医薬品リスク管理計画書 (RMP) の概要 ベージニオ錠 50mg ベージニオ錠 100mg ベージニオ錠 150mg 有効成分 アベマシクリブ 製造販売業者 日本イーライリリー株式会社 薬効分類 提出年月 平成 30 年 9 月 ( 別紙様式 ) 1.1

食欲不振 全身倦怠感 皮膚や白目が黄色くなる [ 肝機能障害 黄疸 ] 尿量減少 全身のむくみ 倦怠感 [ 急性腎不全 ] 激しい上腹部の痛み 腰背部の痛み 吐き気 [ 急性膵炎 ] 発熱 から咳 呼吸困難 [ 間質性肺炎 ] 排便の停止 腹痛 腹部膨満感 [ 腸閉塞 ] 手足の筋肉の痛み こわばり

ダラツムマブってどんな薬? 初発の患者さん ( 初めて治療を受ける患者さん ) の治験募集についてー 米国で承認された ダラツムマブ という新薬について Q&A 形式でご紹介します Q&A の監修は 名古屋市立大学病院血液 腫瘍内科診療部長飯田真介先生です Q1 ダラツムマブという薬が米国で承認され

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リクスビス使用上の注意解説_ pdf

改訂後改訂前 << 効能 効果に関連する使用上の注意 >> 関節リウマチ 1. 過去の治療において 少なくとも1 剤の抗リウマチ薬 ( 生物製剤を除く ) 等による適切な治療を行っても 疾患に起因する明らかな症状が残る場合に投与すること 2. 本剤とアバタセプト ( 遺伝子組換え ) の併用は行わな

菌種 報告年 株数 MIC(μg/mL) Range MIC50 MIC > ( 幾何平均 ) C.tropicalis >

試験デザイン :n=152 試験開始前に第 VIII 因子製剤による出血時止血療法を受けていた患者群を 以下のい ずれかの群に 2:2:1 でランダム化 A 群 (n=36) (n=35) C 群 (n=18) ヘムライブラ 3 mg/kg を週 1 回 4 週間定期投与し その後 1.5 mg/k

相互作用DB


1. 重篤な不正出血の発現状況 ( 患者背景 ) (1) 患者背景 ( 子宮腺筋症 子宮筋腫合併例の割合 ) 重篤な不正出血発現例の多くは子宮腺筋症を合併する症例でした 重篤な不正出血を発現した 54 例中 48 例 (88.9%) は 子宮腺筋症を合併する症例でした また 子宮腺筋症 子宮筋腫のい

フィナステリド錠0.2mg・1mg「SN」

2. 改訂内容と改訂理由 (1) 効能 効果 改訂後 ( 下線部 : 改訂部分 ) 効能 効果 気管支喘息 ( 既存治療によっても喘息症状をコントロールできない難治の患者に限る ) 既存治療で効果不十分な好酸球性多発血管炎性肉 改訂前 効能 効果 気管支喘息 ( 既存治療によっても喘息症状をコントロ

から (3) までの具体的な予定については添付 2 の図のとおりですので申し添 えます

適応病名とレセプト病名とのリンクDB

( 本カードは常に携帯いただくか おくすり手帳に貼ることもできます ) ( 本カードは常に携帯いただくか おくすり手帳に貼ることもできます ) カードの作り方カードの作り方下の図のように下の図のようにおつくりください おつくりください 本カードは必ず服用カード常に携帯ください患者さんへ医療機関を受診

2017 年 9 月 画像診断部 中央放射線科 造影剤投与マニュアル ver 2.0 本マニュアルは ESUR 造影剤ガイドライン version 9.0(ESUR: 欧州泌尿生殖器放射線学会 ) などを参照し 前マニュアルを改訂して作成した ( 前マニュアル作成 2014 年 3 月 今回の改訂

要望番号 ;Ⅱ 未承認薬 適応外薬の要望 ( 別添様式 1) 1. 要望内容に関連する事項 要望 者 ( 該当するものにチェックする ) 優先順位 学会 ( 学会名 ; 日本ペインクリニック学会 ) 患者団体 ( 患者団体名 ; ) 個人 ( 氏名 ; ) 2 位 ( 全 4 要望中 )

販売名 製造販売業者 ジャクスタピッドカプセル 5mg 10mg 20mg に係る医薬品リスク管理計画書 (RMP) の概要 ジャクスタピッドカプセル 5mg 10mg 20mg AEGERION PHARMACEUTICALS 株式会社提出年月 有効成分 ロミタピドメシル酸塩 薬効分類 87218

Epilepsy2015

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市販直後調査平成 28 年 6 月 ~ 平成 28 年 12 月 2016 年 6 月作成 - 医薬品の適正使用に欠かせない情報です 必ずお読みください - 新医薬品の 使用上の注意 の解説 男性型脱毛症治療薬 処方箋医薬品 ( 注意 - 医師等の処方箋により使用すること ) デュタステリドカプセル 禁忌 ( 次の患者には投与しないこと ) (1) 本剤の成分及び他の 5α 還元酵素阻害薬に対し過敏症の既往歴のある患者 (2) 女性 [ 重要な基本的注意 及び 妊婦 産婦 授乳婦等への投与 の項参照 ] (3) 小児等 [ 重要な基本的注意 及び 小児等への投与 の項参照 ] (4) 重度の肝機能障害のある患者 [ 本剤は主に肝臓で代謝されるため 血中濃度が上昇するおそれがある ( 慎重投与 の項参照 ) ]

はじめに 男性型脱毛症は 男性において最もよくみられる脱毛の病型で アンドロゲンにより誘発されて頭皮の脱毛が進行するもので 男性型脱毛症の遺伝的素因を有する人々において思春期後に年齢を問わず発現します 男性型脱毛症における脱毛は 頭皮の毛包ミニチュア化が進行し 毛周期の成長期が短縮することで 太く長い硬毛が細く短い軟毛に変化し 最終的には皮膚表面から現れなくなります 1)~3) 男性型脱毛症の病因としては アンドロゲン及び遺伝的素因が挙げられます 頭皮の発毛に及ぼすアンドロゲンの影響は 5α 還元酵素 ( 以下 5AR ) によりテストステロンが活性型アンドロゲンであるジヒドロテストステロン ( 以下 DHT ) に局所及び全身で変換され テストステロンと同じアンドロゲン受容体に結合しますが その活性は最大で 5 倍高いとされています 4) また 遺伝的素因を有する人々においては 毛包のアンドロゲン受容体が活性化することで発毛に影響すると考えられています 3) デュタステリドは GlaxoWellcome 社 ( 現 GlaxoSmithKline 社 ) で開発されたΔ 1-4-azasteroid 骨格を有する 1 型及び 2 型の 5AR 阻害薬です デュタステリドはテストステロンをより活性の高い DHT に変換する 1 型及び 2 型 5AR を阻害し テストステロンから DHT への変換を抑制します 男性型脱毛症の発現に 5AR によるテストステロンから DHT への変換が関与すると考えられていることから 男性における男性型脱毛症を適応症とするデュタステリドの開発が進められました ザガーロカプセル ( 以下 本剤 ) はデュタステリドを有効成分とし 今般 男性の男性型脱毛症患者を対象とした第 Ⅱ/Ⅲ 相国際共同試験において 当該患者に対する本剤の有効性及び安全性が確認され 男性における男性型脱毛症 の効能 効果で 2015 年 9 月に承認を取得しました なお 本適応について 韓国では 2009 年 7 月に承認を取得しています 本冊子では 本剤のご使用に際しての注意事項を各項ごとに解説いたしました 本剤の適正使用の一助としてください

目次 効能 効果 1 用法 用量 1 禁忌 3 効能 効果 / 用法 用量に関連する使用上の注意 7 使用上の注意 1. 慎重投与 9 2. 重要な基本的注意 11 3. 相互作用 13 4. 副作用 15 5. 妊婦 産婦 授乳婦等への投与 21 6. 小児等への投与 21 7. 過量投与 23 8. 適用上の注意 23 9. その他の注意 25

効能 効果 男性における男性型脱毛症 用法 用量 男性成人には 通常 デュタステリドとして 0.1mg を 1 日 1 回経口投与する なお 必要に応じて 0.5mg を 1 日 1 回経口投与する 1

解説 効能 効果 / 用法 用量 本剤の男性における男性型脱毛症患者に対する有効性は 海外第 II 相試験 (ARIA2004 試験 ) 第 Ⅱ/Ⅲ 相国際共同試験 (ARI114263 試験 ) 及び国内長期投与試験 (ARI114264 試験 ) の 3 試 験の成績に基づき評価されています 米国で実施された ARIA2004 試験では プラセボを対照としデュタステリド 4 用量 (0.05mg 0.1mg 0.5mg 及び 2.5mg) 及びフィナステリド (5mg) を 24 週間投与した時の用量反応性を検討しました ARI114263 試験は日本を含むアジア 南米及びロシアの計 9 ヵ国で実施された国際共同試験で 男性における男性型脱毛症に対する本剤の有効性根拠データを得るための主要な試験です ARI114264 試験は日本で実施された長期投与試験であり ARI114263 試験で有効性と安全性が示され臨床用量の上限と想定されたデュタステリド 0.5mg を 52 週間投与した時の安全性及び忍容性を確認することを主要な目的として実施され 有効性評価は副次目的として検討されました 各試験の概略は以下のとおりです 試験番号 実施国 試験デザイン 対象患者 投与方法 被験者数 米国 ランダム化 男性型脱毛症 二重盲検 Norwood-Hamilton 並行群間比較 分類の IIIv IV 又 プラセボ対照 は V 型の男性患者 ARIA2004 ( 第 Ⅱ 相 ) ARI114263 ( 第 Ⅱ/Ⅲ 相 ) ARI114264 ( 第 Ⅲ 相 ) 日本メキシコフィリピンロシア台湾アルゼンチンタイペルーチリ ランダム化二重盲検並行群間比較プラセボ対照実薬対照 男性型脱毛症 Norwood-Hamilton 分類の IIIv IV 又は V 型の男性患者 (IVa 及び Va 型は除く ) 日本 非盲検 男性型脱毛症 Norwood-Hamilton 分類の IIIv IV 又は V 型の男性患者 (IVa 及び Va 型は除く ) Dutasteride 0.05,0.1,0.5,2.5 mg Finasteride 5 mg 又は Placebo; 1 日 1 回 ; 経口 ; 6 ヵ月間 (24 週間 ) 投与 Dutasteride 0.02,0.1,0.5mg Finasteride 1mg 又は Placebo; 1 日 1 回 ; 経口 ; 6 ヵ月間 (24 週間 ) 投与 Dutasteride 0.5 mg; 1 日 1 回 ; 経口 ; 52 週間投与 Dutasteride 0.05 mg 群 :65 例 Dutasteride 0.1 mg 群 :66 例 Dutasteride 0.5 mg 群 :61 例 Dutasteride 2.5 mg 群 :64 例 Finasteride 5 mg 群 :64 例 Placebo 群 :58 例 < 全被験者集団 > Dutasteride 0.02mg 群 :185 例 Dutasteride 0.1 mg 群 :188 例 Dutasteride 0.5mg 群 :184 例 Finasteride 1mg 群 :179 例 Placebo 群 :181 例 < 日本人部分集団 > Dutasteride 0.02 mg 群 :40 例 Dutasteride 0.1mg 群 :40 例 Dutasteride 0.5mg 群 :40 例 Finasteride 1mg 群 :40 例 Placebo 群 :40 例 Dutasteride 0.5mg:120 例 2

禁忌 ( 次の患者には投与しないこと ) (1) 本剤の成分及び他の 5α 還元酵素阻害薬に対し過敏症の既往歴のある患者 3

解説 禁忌 (1) 医薬品全般に対する一般的な注意事項です 本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者では 本剤の投与により更に重篤な過敏症状が発現するおそれがあります また 交叉過敏反応の発現を考慮し 他の 5α 還元酵素阻害薬 ( フィナステリド等 ) に対する過敏症の既往歴のある患者についても禁忌としました 本剤の投与に際しては問診等を行い 本剤の成分及び他の 5α 還元酵素阻害薬に対して過敏症の既往歴がある場合には 本剤を投与しないでください < 本剤の成分 > 本剤には 有効成分及び添加物として次の成分が含まれています ザガーロカプセル 0.1mg ザガーロカプセル 0.5mg 有効成分 デュタステリド 添加物 ジブチルヒドロキシトルエン 中鎖モノ ジグリセリド ゼラチン グリセリン 濃グリセリン 酸化チタン 黄色三二酸化鉄 三二酸化鉄 中鎖脂肪酸トリグリセリド レシチン ジブチルヒドロキシトルエン 中鎖モノ ジグリセリド ゼラチン グリセリン 濃グリセリン 酸化チタン 三二酸化鉄 中鎖脂肪酸トリグリセリド レシチン 4

禁忌 ( 次の患者には投与しないこと ) (2) 女性 [ 重要な基本的注意 及び 妊婦 産婦 授乳婦等への投与 の項参照] (3) 小児等 [ 重要な基本的注意 及び 小児等への投与 の項参照] (4) 重度の肝機能障害のある患者 [ 本剤は主に肝臓で代謝されるため 血中濃度が上昇するおそれがある ( 慎重投与 の項参照) ] 5

解説 禁忌 (2) ラット及びウサギにデュタステリドを経口投与した結果 雄胎児の外生殖器の雌性化が認められました 本剤の曝露により血中 DHT が低下し 男子胎児の外生殖器の発達を阻害する可能性があります したがって 女性には本剤を投与しないでください ( 妊婦 産婦 授乳婦等への投与 の項参照 ) < 胚 胎児発生に関する試験 > ラットの胚 胎児発生に関する試験 ( 妊娠 5~17 日経口投与 妊娠 0 日 = 交尾確認日 ) では 母動物の体重増加量の低値が 2.5mg/kg/ 日以上の投与群に 摂餌量の低値及び妊娠期間の延長が 12.5mg/kg/ 日以上の投与群に認められました 次世代では 0.05mg/kg/ 日以上の投与群で雄胎児 出生児の雌性化 ( 肛門生殖結節間距離の短縮 乳頭発達 尿道下裂あるいは包皮腺拡張 ) がみられ 2.5mg/kg/ 日以上の投与群では胎児体重の低値 母動物の体重増加抑制に起因した骨化遅延が認められました ウサギの胚 胎児発生に関する試験 ( 妊娠 7~29 日又は妊娠 8~29 日経口投与 妊娠 1 日 = 交尾確認日 ) では 高用量の 200mg/kg/ 日においても母動物にデュタステリド投与に起因すると考えられる影響は認められませんでした 胎児では 0.05mg/kg/ 日以上の投与群で雄胎児に尿道会陰側拡張 偏在及び腺包皮層板腹側部開口を特徴とした外生殖器の雌性化が観察され 数例において雌性化のより重度な変化として尿道下裂 ( 尿道が腹側面に開口 ) が認められました また 30mg/kg/ 日以上の投与群では頬骨癒合がみられました 禁忌 (3) 本剤は小児等に対して適応を有しておりません また この年齢集団における本剤の有効性及び安全性は確認されておりませんので 小児等には本剤を投与しないでください ( 小児等への投与 の項参照 ) なお デュタステリドは経皮吸収されることから 女性や小児はカプセルから漏れた薬剤に直接触れないよう注意してください ( 重要な基本的注意(1) の項参照) 禁忌 (4) 本剤は主に肝臓で代謝されるため 肝機能障害のある患者に投与した場合に本剤の血中濃度が上昇するおそれがあります 重度の肝機能障害のある患者には本剤を投与しないでください なお 国内外の臨床試験において 肝機能障害のある患者における本剤の使用経験はなく 薬物動態は検討されておりません ( 慎重投与 の項参照) 6

効能 効果に関連する使用上の注意 (1) 男性における男性型脱毛症のみの適応である 他の脱毛症に対する適応はない (2) 20 歳未満での安全性及び有効性は確立されていない 用法 用量に関連する使用上の注意 (1) カプセルの内容物が口腔咽頭粘膜を刺激する場合があるので カプセルは噛んだり開けたりせずに服用させること (2) 投与開始後 12 週間で改善が認められる場合もあるが 治療効果を評価するためには 通常 6 ヵ月間の治療が必要である (3) 本剤を 6 ヵ月以上投与しても男性型脱毛症の改善がみられない場合には投薬を中止すること また 6 ヵ月以上投与する場合であっても定期的に効果を確認し 継続投与の必要性について検討すること 7

解説 効能 効果に関連する使用上の注意 (1) 本剤の臨床試験成績により有効性及び安全性が確認されたのは男性における男性型脱毛症 のみです 本剤の投与を開始する前に 本剤の適応となるか患者の状態を確認してください 効能 効果に関連する使用上の注意 (2) 20 歳未満を対象とした臨床試験は実施しておらず この年齢層における本剤の安全性及び有効性は確立していません 本剤の投与を開始する前に患者の年齢を確認してください 用法 用量に関連する使用上の注意 (1) 本剤のカプセル内容物が口腔咽頭粘膜を刺激するとの報告があります 本剤を服用する際には カプセルを噛んだり開けたりせずにそのまま服用するよう指導をお願いします 用法 用量に関連する使用上の注意 (2) 本邦及び海外で実施された臨床試験において 本剤は投与開始後 12 週間で治療効果が認められました 個々の患者により効果の発現時期は異なるものの 本剤の治療効果を評価するには 通常 6 ヵ月間は本剤の投与を継続する必要があると考えられます 用法 用量に関連する使用上の注意 (3) 本剤を 6 ヵ月以上投与しても効果が認められない場合は投薬の中止を考慮してください また 漫然と長期間継続投与することのないよう 定期的に治療効果を確認し 継続投与の必要性について検討してください 8

使用上の注意 1. 慎重投与 ( 次の患者には慎重に投与すること ) 肝機能障害のある患者 [ 本剤は主に肝臓で代謝され 半減期は約 3~5 週間である 肝機能障害のある患者に投与した場合の薬物動態は検討されていない ( 薬物動態 の項参照) ] 9

解説 慎重投与本剤は主に肝臓で代謝され 半減期は約 3~5 週間と長い薬剤です 肝機能障害のある患者には慎重に投与し 重度の肝機能障害のある患者には本剤を投与しないでください ( 禁忌 (4) の項参照) なお 本剤を肝機能障害患者に投与した場合の薬物動態試験は実施しておりません 10

使用上の注意 2. 重要な基本的注意 (1) 本剤は経皮吸収されることから 女性や小児はカプセルから漏れた薬剤に触れないこと 漏れた薬剤に触れた場合には 直ちに石鹸と水で洗うこと ( 妊婦 産婦 授乳婦等への投与 及び 小児等への投与 の項参照 ) (2) 本剤は 血清前立腺特異抗原 (PSA) に影響を与えるので 前立腺癌等の検査に際しては 以下の点に注意すること また PSA の検査を受ける際には本剤の服用について検査を行う医師に知らせるよう 患者を指導すること 1) PSA 値は 前立腺癌のスクリーニングにおける重要な指標である 一般に PSA 値が基準値 ( 通常 4.0ng ml) 以上の場合には 更なる評価が必要となり 前立腺生検の実施を考慮に入れる必要がある なお 本剤投与中の患者で 本剤投与前の PSA 値が基準値未満であっても 前立腺癌の診断を除外しないように注意すること 2) 本剤投与 6 ヵ月以降の PSA 値を新たなベースラインとし その後は適宜 PSA 値を測定してベースラインからの変動を評価すること 3) デュタステリドは 前立腺肥大症患者に 0.5mg/ 日投与した場合 前立腺癌の存在下であっても 投与 6 ヵ月後に PSA 値を約 50% 減少させる したがって 本剤を 6 ヵ月以上投与している患者の PSA 値を評価する際には 測定値を 2 倍した値を目安として基準値と比較すること また PSA 値は 本剤投与中止後 6 ヵ月以内に本剤投与開始前の値に戻る なお 男性型脱毛症患者においても 臨床試験の結果から 本剤投与により PSA 値が減少すると推測される 4) 本剤投与中における PSA 値の持続的増加に対しては 前立腺癌の発現や本剤の服薬不遵守を考慮に含め 注意して評価すること 5) 本剤投与中において free total PSA 比は一定に維持されるので 前立腺癌のスクリーニングの目的で % free PSA を使用する場合には 測定値の調整は不要である 11

解説 重要な基本的注意 (1) ウサギにデュタステリドを 8 又は 24 時間貼付した際の血清中に未変化体が検出され経皮吸収されたことが報告されています また 毒性試験において ラット及びウサギの胚 胎児発生に関する試験で雄胎児の外生殖器の雌性化がみられ ともに奇形に対する無影響量が求められていないこと 本剤の消失半減期が長いこと ( 健康成人における単回投与時の t1/2: 89~174 時間 ) から 女性及び小児には本剤を投与しないでください ( 禁忌(2) (3) の項参照 ) 加えて 経皮吸収のデータや毒性所見及び本剤の消失半減期が長いことを勘案して 女性や小児にはカプセルから漏れた薬剤に直接触れないよう注意させ 漏れた薬剤に触れた場合には 直ちに石鹸と水で洗わせるようご指導をお願いします 重要な基本的注意 (2) PSA は前立腺癌のスクリーニングに広く使用されておりますが 本剤は血清 PSA に影響を与えるため PSA 値を評価する際には注意する必要があります 国内臨床試験において 個人差はありますが PSA 値は本剤 0.5mg 投与後 24 週でベースラインから約 50% 減少し 投与後 52 週においても同様の値でした PSA は一般的に 4.0ng/mL 以上の場合 更なる評価が必要となります 5) 本剤投与中の患者に対し 前立腺癌をスクリーニングする際には 投与 6 ヵ月以降の PSA 値を新たなベースラインとし その後は適宜 PSA 値を測定してベースラインからの変動を評価してください 前立腺肥大症患者において得られた知見からは 本剤 0.5mg/ 日投与した場合 前立腺癌の存在下であっても 投与 6 ヵ月後の PSA 値について約 50% の減少が見られました したがって 本剤を 6 ヵ月以上投与している患者の PSA 値を評価する際には 測定値を 2 倍した値を目安として基準値と比較してください 一方 free/total PSA 比 ( 遊離 PSA/ 総 PSA 比 ) については 前立腺肥大症患者を対象とした国内臨床試験において デュタステリドの投与により大きな変動は認められなかったため 本剤投与中の患者に対し 前立腺癌をスクリーニングする際に free/total PSA 比の補正は必要ないと考えられます PSA は前立腺癌のスクリーニングにおける重要な指標であり 一般に PSA 値が基準値を上回った場合にはさらなる評価が必要となることから 本剤投与中における PSA 値の持続的増加に対しては 前立腺癌の発現や本剤の服薬不遵守を考慮して 慎重に評価するようお願いします なお PSA 値は本剤投与終了後 6 ヵ月までには投与前値に戻ることが確認されています 12

使用上の注意 3. 相互作用 本剤は 主として CYP3A4 で代謝される ( 薬物動態 の項参照) 併用注意 ( 併用に注意すること ) 薬剤名等 臨床症状 措置方法 機序 危険因子 CYP3A4 阻害作用を有する薬剤リトナビル等 これらの薬剤との併用により本剤の血中濃度が上昇する可能性がある CYP3A4 による本剤の代謝が阻害される 13

解説 相互作用 ( 併用注意 ) 本剤は主として CYP3A4 で代謝されるため CYP3A4 阻害作用を有する薬剤との併用により 本剤の血中濃度が上昇する可能性があることから 併用する場合には注意する必要があります なお これら薬剤との薬物相互作用試験は実施されていませんが 前立腺肥大症患者を対象とした海外臨床試験の結果を用いた母集団薬物動態解析において CYP3A4 阻害作用を有するカルシウム拮抗薬 ( ベラパミル塩酸塩 ジルチアゼム塩酸塩 ) との併用により 本剤のクリアランスの低下が示されました ( 添付文書の 薬物動態 の項参照 ) 14

使用上の注意 4. 副作用第 Ⅱ/Ⅲ 相国際共同試験において 本剤が投与された総症例 557 例 ( 日本人 120 例を含む ) 中 95 例 (17.1%) に臨床検査値異常を含む副作用が報告された その主なものは 勃起不全 24 例 (4.3%) リビドー減退 22 例 (3.9%) 精液量減少 7 例 (1.3%) であった 日本人 120 例中 臨床検査値異常を含む副作用が報告された症例は 14 例 (11.7%) であった その主なものは リビドー減退 7 例 (5.8%) 勃起不全 6 例 (5.0%) 射精障害 2 例 (1.7%) であった ( 承認時 ) 国内長期投与試験において 本剤が投与された総症例 120 例中 20 例 (16.7%) に臨床検査値異常を含む副作用が報告された その主なものは 勃起不全 13 例 (10.8%) リビドー減退 10 例 (8.3%) 射精障害 5 例 (4.2%) であった ( 承認時 ) (1) 重大な副作用肝機能障害 黄疸 ( 頻度不明注 1) ):AST(GOT) ALT(GPT) ビリルビンの上昇等を伴う肝機能障害や黄疸があらわれることがあるので 観察を十分に行い 異常が認められた場合には 投与を中止するなど 適切な処置を行うこと (2) その他の副作用 1) 1% 以上 1% 未満頻度不明注過敏症発疹蕁麻疹 アレルギー反応 瘙痒症 限局性浮腫 血管浮腫精神神経系頭痛 抑うつ気分浮動性めまい 味覚異常 生殖系及び 性機能不全 ( リビ 乳房障害 ( 女性化乳 精巣痛 精巣腫脹 乳房障害 ドー減退 勃起不 房 乳頭痛 乳房痛 全 射精障害 ) 注 2) 乳房不快感 ) 皮膚 脱毛症 ( 主に体毛脱落 ) 多毛症 消化器腹部不快感腹痛 下痢 その他 増加注 1) 自発報告又は海外のみで認められている副作用については頻度不明とした 注 2) 投与中止後も持続したとの報告がある 倦怠感 血中クレアチンホスホキナーゼ 15

解説 副作用第 Ⅱ/Ⅲ 相国際共同試験 (ARI114263 試験 ) 及び国内臨床試験 (ARI114264 試験 ) に基づき 臨床検査値異常を含む副作用 ( 本剤との因果関係が否定されない有害事象 ) の発現頻度を算出しました また 両臨床試験において多く認められた副作用 注意喚起が必要な副作用を記載しています 性機能不全 ( リビドー減退 勃起不全 射精障害 ) については 本剤投与中止後も持続したとの報告がありますが 本剤との関連性や作用機序は不明です なお 海外のみで報告されている副作用については 頻度不明として記載しています 副作用 / 重大な副作用これまで 肝機能に関する副作用としては その他の副作用 に 肝機能異常 を記載し注意喚起を行っておりました 本剤と同一の有効成分であるアボルブカプセル0.5mg( 効能 効果 : 前立腺肥大症 ) において黄疸を伴う肝機能障害の副作用症例が報告されたため 2015 年 10 月 アボルブカプセルの添付文書が改訂されました この改訂を受けて 本剤においてもアボルブカプセル同様に 重大な副作用 に 肝機能障害 黄疸 を追記しました また それに伴い その他の副作用 の 肝機能異常 を削除しました 次頁以降に 前立腺肥大症患者にアボルブカプセルを投与した際の症例概要及び臨床試験において本剤投与群で認められた副作用の一覧表を示します 16

解説 性別年齢男 80 代 患者原疾患合併症 既往歴 < 原疾患 > 前立腺肥大症 < 合併症 > 2 型糖尿病脂質異常症 アボルブカプセル症例概要 1 日投与量投与期間 0.5mg 92 日間 薬剤性肝障害 黄疸 副作用 経過及び処置 薬剤性肝障害 黄疸 食欲減退 胃食道逆流性疾患 悪心 投与開始日 : 2 型糖尿病 前立腺肥大症 脂質異常症にて加療中であった 前立腺肥大症に対し アボルブカプセルの投与開始 併用薬としては シロドシン シタグリプチンリン酸塩水和物 プラバスタチンナトリウムが以前から投与されている 投与 92 日目 : ( 投与中止日 ) 中止 1 日後 : 再来院した際 食欲減退 苦いものが上る 皮膚に黄疸色 の症状を認めていた アボルブカプセルの投与を中止することを指示 他院の泌尿器科に紹介 血液検査を実施 高度の薬剤性肝障害を認めたので 同日 入院を指示 病院での検査では肝障害の原因は判明しなかったので 保存的に経過を見ることとした 中止 23 日後 : 肝機能検査を実施したところ AST 36 ALT 64 γ-gtp 55 T-Bil 1.3 であり 肝機能の回復を確認した 併用薬 : シロドシン シタグリプチンリン酸塩水和物 プラバスタチンナトリウム < 臨床検査値 > 検査項目名 投与投与中止投与中止 78 日目 1 日後 23 日後 AST(IU/L) 25 641 36 ALT(IU/L) 21 1193 64 T-Bil(mg/dL) 0.6 5.2 1.3 17

解説 臨床試験において認められた副作用一覧 ARI114263 試験における副作用一覧 ザガーロ 0.02mg 群 ザガーロ 0.1mg 群 ザガーロ 0.5mg 群 評価症例数 185 188 184 副作用発現例数 ( 発現率 ) 26(14%) 39(21%) 30(16%) 副作用名 発現症例数 ( 発現率 ) 生殖系および乳房障害 12(6%) 10(5%) 14(8%) 勃起不全 8(4%) 6(3%) 10(5%) 射精不能 1(<1%) 2(1%) 1(<1%) 射精障害 0 3(2%) 2(1%) 性機能不全 2(1%) 1(<1%) 1(<1%) 乳房腫大 0 1(<1%) 0 射精遅延 1(<1%) 0 0 精巣痛 0 0 1(<1%) 乳頭痛 1(<1%) 0 0 精液変色 0 0 1(<1%) 精神障害 13(7%) 14(7%) 4(2%) リビドー減退 9(5%) 9(5%) 4(2%) リビド消失 2(1%) 2(1%) 0 不安 1(<1%) 1(<1%) 0 早漏 1(<1%) 0 0 抑うつ気分 0 1(<1%) 0 うつ病 0 1(<1%) 0 神経過敏 1(<1%) 0 0 抑うつ症状 0 1(<1%) 0 胃腸障害 6(3%) 6(3%) 4(2%) 腹痛 2(1%) 4(2%) 0 上腹部痛 2(1%) 0 1(<1%) 腹部膨満 1(<1%) 1(<1%) 0 下痢 0 1(<1%) 1(<1%) 鼓腸 1(<1%) 0 0 腹部不快感 1(<1%) 0 0 消化不良 0 1(<1%) 1(<1%) 歯の知覚過敏 0 1(<1%) 0 消化管刺激症状 0 0 1(<1%) 18

解説 ARI114263 試験における副作用一覧 ( つづき ) ザガーロ 0.02mg 群 ザガーロ 0.1mg 群 ザガーロ 0.5mg 群 副作用名 発現症例数 ( 発現率 ) 臨床検査 2(1%) 6(3%) 5(3%) 精液量減少 2(1%) 3(2%) 2(1%) トランスアミナーゼ上昇 0 2(1%) 2(1%) アラニン アミノトランスフェラーゼ増加 0 0 1(<1%) 体重増加 0 1(<1%) 0 神経系障害 2(1%) 3(2%) 1(<1%) 頭痛 0 1(<1%) 0 傾眠 1(<1%) 2(1%) 0 浮動性めまい 1(<1%) 0 1(<1%) 皮膚および皮下組織障害 2(1%) 1(<1%) 2(1%) そう痒症 0 1(<1%) 1(<1%) 毛髪成長異常 1(<1%) 0 0 多汗症 1(<1%) 0 0 発疹 0 0 1(<1%) 感染症および寄生虫症 1(<1%) 1(<1%) 3(2%) 鼻咽頭炎 1(<1%) 0 3(2%) 癜風 0 1(<1%) 0 腎および尿路障害 2(1%) 1(<1%) 0 尿意切迫 2(1%) 0 0 頻尿 1(<1%) 0 0 着色尿 0 1(<1%) 0 代謝および栄養障害 1(<1%) 0 0 食欲亢進 1(<1%) 0 0 血液およびリンパ系障害 0 0 1(<1%) 貧血 0 0 1(<1%) 筋骨格系および結合組織障害 0 0 1(<1%) 筋膜疼痛症候群 0 0 1(<1%) 呼吸器 胸郭および縦隔障害 0 1(<1%) 0 鼻閉 0 1(<1%) 0 血管障害 0 2(1%) 0 高血圧 0 2(1%) 0 心臓障害 0 0 1(<1%) 頻脈 0 0 1(<1%) 傷害 中毒および処置合併症 1(<1%) 0 0 筋断裂 1(<1%) 0 0 ( 注 ) 本剤の承認用量は 1 日 1 回 0.1 又は 0.5mg です 19

解説 ARI114263 試験における副作用一覧 ( 日本人集団 ) ザガーロ 0.02mg 群 ザガーロ 0.1mg 群 ザガーロ 0.5mg 群 評価症例数 40 40 40 副作用発現例数 ( 発現率 ) 3(8%) 5(13%) 6(15%) 副作用名 発現症例数 ( 発現率 ) 生殖系および乳房障害 1(3%) 3(8%) 4(10%) 勃起不全 1(3%) 1(3%) 4(10%) 射精障害 0 1(3%) 1(3%) 乳房腫大 0 1(3%) 0 性機能不全 0 1(3%) 0 精神障害 2(5%) 3(8%) 2(5%) リビドー減退 2(5%) 3(8%) 2(5%) 胃腸障害 1(3%) 0 1(3%) 腹部不快感 1(3%) 0 0 消化不良 0 0 1(3%) 血液およびリンパ系障害 0 0 1(3%) 貧血 0 0 1(3%) ( 注 ) 本剤の承認用量は 1 日 1 回 0.1 又は 0.5mg です ARI114264 試験における副作用一覧 副作用名 発現症例数 ( 発現率 ) 生殖系および乳房障害 17(14%) 勃起不全 13(11%) 射精障害 5(4%) 性機能不全 4(3%) 逆行性射精症 1(<1%) 精神障害 11(9%) リビドー減退 10(8%) 抑うつ気分 1(<1%) 自殺念慮 1(<1%) 神経系障害 2(2%) 頭痛 1(<1%) 感覚障害 1(<1%) 一般 全身障害および投与部位の状態 1(<1%) 疲労 1(<1%) 皮膚および皮下組織障害 1(<1%) 発疹 1(<1%) 血管障害 1(<1%) 高血圧 1(<1%) 20

使用上の注意 5. 妊婦 産婦 授乳婦等への投与 (1) 女性には投与しないこと [ ラット及びウサギにデュタステリドを経口投与した結果 雄胎児の外生殖器の雌性化がみられ 本剤の曝露により血中ジヒドロテストステロンが低下し 男子胎児の外生殖器の発達を阻害する可能性が示唆された ] (2) 本剤が乳汁中に移行するかは不明である 6. 小児等への投与 小児等には投与しないこと [ 小児等に対する適応はなく 安全性及び有効性は確立されていない ] 21

解説 妊婦 産婦 授乳婦等への投与 (1) (2) ラット及びウサギにデュタステリドを経口投与した結果 雄胎児の外生殖器の雌性化が認められました 本剤の曝露により血中 DHT が低下し 男子胎児の外生殖器の発達を阻害する可能性があります 女性には本剤を投与しないでください ( 禁忌(2) の項参照) なお 本剤の乳汁移行に関するデータは得られておりません 小児等への投与本剤は小児等に対して適応を有しておりません また この年齢集団における本剤の有効性及び安全性は確認されておりません 小児等には本剤を投与しないでください ( 禁忌(3) の項参照 ) 22

使用上の注意 7. 過量投与徴候 症状 : 健康成人男性にデュタステリドを最大 40mg 1 日 1 回 7 日間投与した臨床試験において 重大な安全性上の問題は認められなかった また 前立腺肥大症患者にデュタステリド 5mg を 1 日 1 回 6 ヵ月間投与した臨床試験で認められた副作用は デュタステリド 0.5mg 投与時に認められたものと同様であった 処置 : デュタステリドに特有の解毒剤はない 過量投与の場合には 必要に応じて適切な支持療法を行うこと 8. 適用上の注意薬剤交付時 :PTP 包装の薬剤は PTP シートから取り出して服用するよう指導すること [PTP シートの誤飲により 硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し 更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている ] 23

解説 過量投与健康成人男性にデュタステリドを最大 40mg 1 日 1 回 7 日間投与した臨床試験においても 重大な安全性上の問題は認められておりませんが 過量投与時には患者の状態を十分観察し 必要に応じ支持療法を行ってください 適用上の注意本剤は PTP 包装の薬剤です PTP シートの誤飲により 鋭角部が食道粘膜へ刺入し 更には穿孔を起こした結果 縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されています したがって 本剤を患者へ交付する際は PTP シートから取り出して服用するよう指導をお願いします なお 本剤は光及び湿気を避けるため PTP 包装のまま保存してください 24

使用上の注意 9. その他の注意 (1) 海外臨床試験において 18~52 歳の健康成人 ( デュタステリド群 :27 例 プラセボ群 : 23 例 ) を対象に 52 週間の投与期間及び 24 週間の投与後追跡期間を通して デュタステリド 0.5mg/ 日の精液特性に対する影響を評価した 投与 52 週目における総精子数 精液量及び精子運動率の投与前値からの平均減少率 ( プラセボ群の投与前値からの変化で調整 ) は それぞれ 23 26 及び 18% であり 精子濃度及び精子形態への影響は認められなかった デュタステリド群における総精子数の投与前値からの平均減少率は 24 週間の追跡期間後においても 23% のままであった しかしながら いずれの評価時期においても 全ての精液パラメータの平均値は正常範囲内であり 事前に規定した臨床的に重要な変動 (30%) には至らなかった また デュタステリド群の 2 例において 投与 52 週目に投与前値から 90% を超える精子数の減少が認められたが 追跡 24 週目には軽快した デュタステリドの精液特性に及ぼす影響が 個々の患者の受胎能に対しどのような臨床的意義をもつかは不明である (2) アカゲザルの器官形成期にデュタステリドを 2010ng/ 匹 / 日まで静脈内投与した結果 2010ng/ 匹 / 日群 ( デュタステリドを服用した男性の精液 5mL を介して 100% 吸収されると仮定した場合に 体重 50kg の女性が曝露される推定最大曝露量の 186 倍に相当する ) の雌胎児 1 例に 本薬投与との関連性は不明であるが 卵巣 卵管の不均衡発達が認められた (3) ラットのがん原性試験において 高用量 ( 臨床用量における曝露量の約 141 倍 ) 投与時に精巣間細胞腫の増加がみられた しかしながら 精巣間細胞腫及び過形成の発現に起因するラットの内分泌機構のヒトへの外挿性が低いことから ヒトに精巣間細胞腫を発現させる危険性は低いと考えられている なお マウスのがん原性試験においては デュタステリドに関連すると考えられる腫瘍の発生は認められなかった 25

解説 その他の注意 (1) 精子形成における DHT の役割は明らかではありませんが 本剤の精子形成に対する影響を考察する上での参考として 本剤の精液パラメータへの影響について検討した海外臨床試験成績を記載しました 本試験における精液パラメータ ( 総精子数 精子濃度 精液量 精子運動率及び精子形態 ) の成績より 本剤投与後の精子形成において臨床的に重要な変動は認められませんでした しかしながら 本剤の精液特性に及ぼす影響が 個々の患者の受胎能に対して どのような臨床的意義をもつかは不明です その他の注意 (2) 本剤は女性に対する適応を有する薬剤ではありませんが ウサギにおいて経皮吸収が確認されていること 最大臨床用量 ( デュタステリド 0.5mg/ 日 ) でヒト精液中に最高 14ng/mL の濃度で検出されていることから 妊娠初期あるいは妊娠の可能性がある女性が カプセルから漏れた薬剤に接触あるいは精液を介して偶発的に曝露された場合に 男子胎児の外生殖器の発達が阻害される可能性があります しかしながら 精液を介した曝露に関しては 精液中 ( 精液量 :5mL) の未変化体が子宮及び膣粘膜より 100% 吸収されると仮定した際の女性 (50kg) における曝露量の約 186 倍 (2010ng/ 匹 / 日 ) を 5α 還元酵素のアミノ酸配列及び生化学的特性がヒトと類似しているアカゲザルの器官形成期に静脈内投与しても 雄胎児の雌性化は認められませんでした また 本剤はヒト血漿中及び精液中蛋白との結合率が高く (>96%) 子宮や膣からの吸収量が低下することが考えられることから 精液を介した子宮曝露によりヒト男子胎児の外生殖器の発達に影響を及ぼす可能性は低いと考えられます その他の注意 (3) ラット及びマウスにおいて 2 年間経口投与によるがん原性試験を実施しました ラットでは 7.5mg/kg/ 日では有意な腫瘍の発現頻度の増加はみられませんでしたが 53mg/kg/ 日 ( 最大臨床用量投与時における曝露量の約 141 倍 ) で精巣間細胞腫の発現頻度の増加がみられ 視床下部 - 下垂体 - 精巣軸を介した循環黄体形成ホルモン (LH) 量の上昇に起因した二次的影響と考えられました 循環 LH 量を上昇させ 長期投与によりラットの精巣間細胞腫の発現率を増加させる薬物 ( 抗アンドロゲン ドーパミン作動薬及びカルシウムチャネル拮抗薬等 ) については これらの薬物に対するヒトの感受性はラットに比べ量的に低く ( ラットの間細胞当たりの LH 受容体数はヒトの 14 倍 ) ヒトの精巣間細胞腫の自然発生は極めて稀であることから ヒトへの外挿性は低く 精巣間細胞腫発現の危険性は低いとされています したがって 本剤においてもヒト精巣間細胞腫の発現率を増加させる危険性は低いと考えられます 一方 雌においては 高用量 ( 最大臨床用量投与時における曝露量の約 162 倍 ) においても本剤に起因すると考えられる腫瘍及び過形成の発現頻度の増加は認められませんでした また マウスでは がん原性を示唆する変化は認められませんでした 26

使用上の注意 9. その他の注意 ( 続き ) (4) デュタステリドを投与された前立腺肥大症患者で男性乳癌が報告されている デュタステリドと男性乳癌の発現との関連性は不明である なお 前立腺肥大症患者を対象とした 2~4 年間の海外臨床試験 (4325 例 ) において 3 例の乳癌が報告された このうち デュタステリドが投与された症例では 2 例 ( 曝露期間 10 週間 11 ヵ月 ) プラセボのみが投与された症例では 1 例報告されている 国内臨床試験での報告はない (5) 白人を主体とした 50~75 歳の男性 8231 例 ( 生検により前立腺癌が陰性かつ PSA 値 2.5 ~10.0ng ml) を対象とした 4 年間の国際共同試験 ( 日本人 57 例を含む ) において Modified Gleason Score * 8~10 の前立腺癌の発現率がプラセボ群 (0.5%) に対しデュタステリド群 (1.0%) において高かった ( 相対リスク 2.06[95% 信頼区間 :1.13-3.75]) との報告がある * 組織学的悪性度の指標 27

解説 その他の注意 (4) デュタステリドと男性乳癌の発現との関連性は不明ですが 前立腺肥大症患者を対象とした 海外臨床試験において男性乳癌が報告されたため 本項にその旨の情報を記載しました その他の注意 (5) 前立腺癌の発現リスクが高い男性を対象とし 前立腺生検で検出される前立腺癌の発現リスク減少に対する本剤の有効性及び安全性を評価することを目的とした国際共同試験 (REDUCE 試験 ) を実施しました ( 日本人 57 例を含む ) 6), 7) Modified Gleason Score が 8~10 の前立腺癌の発現率はプラセボ群及び本剤群ともに低かったものの その発現率はプラセボ群と比較して本剤群で高い 8) との結果が示されたため この結果を記載しました なお 本剤の効能 効果は 男性における男性型脱毛症 であり 前立腺癌の発現リスク減少に関連する効能 効果については 国内外で承認を取得しておりません 28

参考文献 1) Courtois M, Loussouarn G, Hourseau C, et al. Hair cycle and alopecia. Skin Pharmacol. 1994;7(1-2):84-9 2) Krause K, Foitzik K. Biology of the hair follicle: the basics. Semin Cutan Med Surg. 2006;25(1):2-10 3) Sinclair R. Male pattern androgenetic alopecia. BMJ. 1998;317(7162):865-9 4) Eicheler W, Dreher M, Hoffmann R, et al. Immunohistochemical evidence for differential distribution of 5 alpha-reductase isoenzymes in human skin. Br J Dermatol. 1995;133(3):371-6 5) 前立腺癌診療ガイドライン2012 年版 日本泌尿器科学会編 (2012) 6) Andriole GL, et al.:n Engl J Med,362,1192-1202(2010) 7) Akaza H, et al.:jpn J Clin Oncol,41,417-423(2011) 8) Theoret MR, et al.:n Engl J Med,365,97-99(2011) 29

販売名 一般名 ( 詳細は添付文書をご参照下さい ) 和名ザガーロカプセル 0.1mg ザガーロカプセル 0.5mg 洋名 和名 洋名 ZAGALLO Capsules デュタステリド Dutasteride 承認番号 22700AMX01012000 22700AMX01013000 承認年月 2015 年 9 月 薬価収載薬価基準未収載 販売開始 2016 年 6 月 規制区分劇薬 処方箋医薬品 禁忌 ( 次の患者には投与しないこと ) (1) 本剤の成分及び他の 5α 還元酵素阻害薬に対し過敏症の既往歴のある患者 (2) 女性 [ 重要な基本的注意 及び 妊婦 産婦 授乳婦等への投与 の項参照 ] (3) 小児等 [ 重要な基本的注意 及び 小児等への投与 の項参照 ] (4) 重度の肝機能障害のある患者 [ 本剤は主に肝臓で代謝されるため 血中濃度が上昇するおそれがある ( 慎重投与 の項参照 ) ] 1. 組成 販売名ザガーロカプセル 0.1mg ザガーロカプセル 0.5mg 1 カプセル中のデュタステリド含量 0.1mg 0.5mg 添加物 ジブチルヒドロキシトルエン 中鎖モノ ジグリセリド ゼラチン グリセリン 濃グリセリン 酸化チタン 黄色三二酸化鉄 三二酸化鉄 中鎖脂肪酸トリグリセリド レシチン ジブチルヒドロキシトルエン 中鎖モノ ジグリセリド ゼラチン グリセリン 濃グリセリン 酸化チタン 三二酸化鉄 中鎖脂肪酸トリグリセリド レシチン 組成 性状 2. 性状本剤は淡橙色又は淡紅色不透明の長楕円形の軟カプセル剤であり 識別コード及び形状は下記のとおりである 販売名識別コード外形質量 ザガーロカプセル0.1mg GS TFH 淡橙色 599mg 全長 : 約 19.3mm 厚さ : 約 6.6mm ザガーロカプセル0.5mg GS MUF 淡紅色 599mg 全長 : 約 19.3mm 厚さ : 約 6.6mm 男性における男性型脱毛症 効能 効果 効能 効果に関連する使用上の注意 (1) 男性における男性型脱毛症のみの適応である 他の脱毛症に対する適応はない (2) 20 歳未満での安全性及び有効性は確立されていない 男性成人には 通常 デュタステリドとして 0.1mg を 1 日 1 回経口投与する なお 必要に応じて 0.5mg を 1 日 1 回経口投与する 用法 用量 用法 用量に関連する使用上の注意 (1) カプセルの内容物が口腔咽頭粘膜を刺激する場合があるので カプセルは噛んだり開けたりせずに服用させること (2) 投与開始後 12 週間で改善が認められる場合もあるが 治療効果を評価するためには 通常 6 ヵ月間の治療が必要である (3) 本剤を 6 ヵ月以上投与しても男性型脱毛症の改善がみられない場合には投薬を中止すること また 6 ヵ月以上投与する場合であっても定期的に効果を確認し 継続投与の必要性について検討すること

使用上の注意 1. 慎重投与 ( 次の患者には慎重に投与すること ) 肝機能障害のある患者 [ 本剤は主に肝臓で代謝され 半減期は約 3 ~ 5 週間である 肝機能障害のある患者に投与した場合の薬物動態は検討されていない ( 薬物動態 の項参照) ] 2. 重要な基本的注意 (1) 本剤は経皮吸収されることから 女性や小児はカプセルから漏れた薬剤に触れないこと 漏れた薬剤に触れた場合には 直ちに石鹸と水で洗うこと ( 妊婦 産婦 授乳婦等への投与 及び 小児等への投与 の項参照 ) (2) 本剤は 血清前立腺特異抗原 (PSA) に影響を与えるので 前立腺癌等の検査に際しては 以下の点に注意すること また PSAの検査を受ける際には本剤の服用について検査を行う医師に知らせるよう 患者を指導すること 1)PSA 値は 前立腺癌のスクリーニングにおける重要な指標である 一般に PSA 値が基準値 ( 通常 4.0ng/mL) 以上の場合には 更なる評価が必要となり 前立腺生検の実施を考慮に入れる必要がある なお 本剤投与中の患者で 本剤投与前のPSA 値が基準値未満であっても 前立腺癌の診断を除外しないように注意すること 2) 本剤投与 6 ヵ月以降のPSA 値を新たなベースラインとし その後は適宜 PSA 値を測定してベースラインからの変動を評価すること 3) デュタステリドは 前立腺肥大症患者に 0.5mg/ 日投与した場合 前立腺癌の存在下であっても 投与 6 ヵ月後にPSA 値を約 50% 減少させる したがって 本剤を 6 ヵ月以上投与している患者のPSA 値を評価する際には 測定値を 2 倍した値を目安として基準値と比較すること また PSA 値は 本剤投与中止後 6 ヵ月以内に本剤投与開始前の値に戻る なお 男性型脱毛症患者においても 臨床試験の結果から 本剤投与によりPSA 値が減少すると推測される 4) 本剤投与中におけるPSA 値の持続的増加に対しては 前立腺癌の発現や本剤の服薬不遵守を考慮に含め 注意して評価すること 5) 本剤投与中において free/total PSA 比は一定に維持されるので 前立腺癌のスクリーニングの目的で % free PSAを使用する場合には 測定値の調整は不要である 3. 相互作用本剤は 主としてCYP3A4で代謝される ( 薬物動態 の項参照 ) 併用注意 ( 併用に注意すること ) 薬剤名等臨床症状 措置方法機序 危険因子 CYP3A4 阻害作用を有する薬剤リトナビル等 これらの薬剤との併用により本剤の血中濃度が上昇する可能性がある CYP3A4 による本剤の代謝が阻害される 4. 副作用第 Ⅱ/Ⅲ 相国際共同試験において 本剤が投与された総症例 557 例 ( 日本人 120 例を含む ) 中 95 例 (17.1%) に臨床検査値異常を含む副作用が報告された その主なものは 勃起不全 24 例 (4.3%) リビドー減退 22 例 (3.9%) 精液量減少 7 例 (1.3 %) であった 日本人 120 例中 臨 床検査値異常を含む副作用が報告された症例は14 例 (11.7%) であった その主なものは リビドー減退 7 例 (5.8%) 勃起不全 6 例 (5.0%) 射精障害 2 例 (1.7%) であった ( 承認時 ) 国内長期投与試験において 本剤が投与された総症例 120 例中 20 例 (16.7%) に臨床検査値異常を含む副作用が報告された その主なものは 勃起不全 13 例 (10.8%) リビドー減退 10 例 (8.3%) 射精障害 5 例 (4.2%) であった ( 承認時 ) (1) 重大な副作用肝機能障害 黄疸 ( 頻度不明注 1) ):AST(GOT) ALT (GPT) ビリルビンの上昇等を伴う肝機能障害や黄疸があらわれることがあるので 観察を十分に行い 異常が認められた場合には 投与を中止するなど 適切な処置を行うこと (2) その他の副作用 1 % 以上 1 % 未満頻度不明注 1) 過敏症 精神神経系 生殖系及び乳房障害 発疹 頭痛 抑うつ気分 性機能不全乳房障害 ( リビドー ( 女性化乳減退 勃起房 乳頭痛 不全 射精乳房痛 乳障害 ) 注 2) 房不快感 ) 蕁麻疹 アレルギー反応 瘙痒症 限局性浮腫 血管浮腫浮動性めまい 味覚異常精巣痛 精巣腫脹 脱毛症 ( 主に体皮膚毛脱落 ) 多毛症消化器腹部不快感腹痛 下痢倦怠感 血中クその他レアチンホスホキナーゼ増加注 1) 自発報告又は海外のみで認められている副作用については頻度不明とした 注 2) 投与中止後も持続したとの報告がある 5. 妊婦 産婦 授乳婦等への投与 (1) 女性には投与しないこと [ ラット及びウサギにデュタステリドを経口投与した結果 雄胎児の外生殖器の雌性化がみられ 本剤の曝露により血中ジヒドロテストステロンが低下し 男子胎児の外生殖器の発達を阻害する可能性が示唆された ] (2) 本剤が乳汁中に移行するかは不明である 6. 小児等への投与小児等には投与しないこと [ 小児等に対する適応はなく 安全性及び有効性は確立されていない ] 7. 過量投与徴候 症状 : 健康成人男性にデュタステリドを最大 40mg 1 日 1 回 7 日間投与した臨床試験において 重大な安全性上の問題は認められなかった また 前立腺肥大症患者にデュタステリド 5mgを 1 日 1 回 6 ヵ月間投与した臨床試験で認められた副作用は デュタステリド0.5mg 投与時に認められたものと同様であった 処置 : デュタステリドに特有の解毒剤はない 過量投与の場合には 必要に応じて適切な支持療法を行うこと

使用上の注意 8. 適用上の注意薬剤交付時 :PTP 包装の薬剤は PTP シートから取り出して服用するよう指導すること [PTP シートの誤飲により 硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し 更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている ] 9. その他の注意 (1) 海外臨床試験において 18~52 歳の健康成人 ( デュタステリド群 :27 例 プラセボ群 :23 例 ) を対象に 52 週間の投与期間及び 24 週間の投与後追跡期間を通して デュタステリド 0.5mg/ 日の精液特性に対する影響を評価した 投与 52 週目における総精子数 精液量及び精子運動率の投与前値からの平均減少率 ( プラセボ群の投与前値からの変化で調整 ) は それぞれ 23 26 及び 18% であり 精子濃度及び精子形態への影響は認められなかった デュタステリド群における総精子数の投与前値からの平均減少率は 24 週間の追跡期間後においても 23% のままであった しかしながら いずれの評価時期においても 全ての精液パラメータの平均値は正常範囲内であり 事前に規定した臨床的に重要な変動 (30%) には至らなかった また デュタステリド群の 2 例において 投与 52 週目に投与前値から 90% を超える精子数の減少が認められたが 追跡 24 週目には軽快した デュタステリドの精液特性に及ぼす影響が 個々の患者の受胎能に対しどのような臨床的意義をもつかは不明である (2) アカゲザルの器官形成期にデュタステリドを 2010ng/ 匹 / 日まで静脈内投与した結果 2010ng/ 匹 / 日群 ( デュタステリドを服用した男性の精液 5mL を介して 100% 吸収されると 仮定した場合に 体重 50kg の女性が曝露される推定最大曝露量の 186 倍に相当する ) の雌胎児 1 例に 本薬投与との関連性は不明であるが 卵巣 卵管の不均衡発達が認められた (3) ラットのがん原性試験において 高用量 ( 臨床用量における曝露量の約 141 倍 ) 投与時に精巣間細胞腫の増加がみられた しかしながら 精巣間細胞腫及び過形成の発現に起因するラットの内分泌機構のヒトへの外挿性が低いことから ヒトに精巣間細胞腫を発現させる危険性は低いと考えられている なお マウスのがん原性試験においては デュタステリドに関連すると考えられる腫瘍の発生は認められなかった (4) デュタステリドを投与された前立腺肥大症患者で男性乳癌が報告されている デュタステリドと男性乳癌の発現との関連性は不明である なお 前立腺肥大症患者を対象とした 2 ~ 4 年間の海外臨床試験 (4325 例 ) において 3 例の乳癌が報告された このうち デュタステリドが投与された症例では 2 例 ( 曝露期間 10 週間 11 ヵ月 ) プラセボのみが投与された症例では 1 例報告されている 国内臨床試験での報告はない (5) 白人を主体とした 50~75 歳の男性 8231 例 ( 生検により前立腺癌が陰性かつ PSA 値 2.5~ 10.0ng/mL) を対象とした 4 年間の国際共同試験 ( 日本人 57 例を含む ) において Modified Gleason Score * 8 ~10 の前立腺癌の発現率がプラセボ群 (0.5%) に対しデュタステリド群 (1.0%) において高かった ( 相対リスク 2.06 [95% 信頼区間 :1.13-3.75]) との報告がある * 組織学的悪性度の指標

ZAGLR0051-D1606D 改訂年月 2016 年 6 月