函館工業高等専門学校専攻科 平成 28 年度入学者選抜前期学力試験問題 専 門 ( 環境システム工学専攻 ) ( 注意 ) 1. 問題用紙および解答用紙は試験監督者の指示があるまで開かないこと 2. 問題用紙は 1 ページから 9 ページまでである 3. 出題 8 科目の中から 3 科目を選択し解答すること 選択した 3 科目の科目名を解答用紙所定欄に記入すること 4. 解答用紙所定欄に受験番号 氏名を記入すること 5. 解答は解答用紙の所定欄に記入すること 6. 解答用紙 ( 表紙含む ) は試験終了時に回収する 7. 問題用紙は持ち帰ること
1. 物理化学 問 1.1 以下の空欄 [ 1 ]~[ 4 ] に当てはまる語句を記入しなさい a) 原子は物質を作っている最小の粒子と言われているが, 実は原子はさらに分解することができる すなわち, 原子は中心にある非常に小さな原子核と, それを取り囲む雲のような [ 1 ] から出来ている しかも, 原子核はさらに [ 2 ] と [ 3 ] という2 種類の粒子に分解される [ 2 ] は電気的に正電荷をもつが,[ 3 ] は電気的に中性である b) 物質は極めて小さな粒子の集合体である このような微小粒子の世界では特有な現象が現れる 典型的な例として, 粒子に波動性が現れ, エネルギーなどが [ 4 ] される [ 4 ] とは, ある物理量が量子の整数倍という形に表されたとき, その物理量が [ 4 ] されていると言う 問 1.2 次の各変化を熱化学方程式の形で表しなさい 1 液体の水の生成熱は 68.3kcal である 2アセチレンの燃焼熱は 312kcal である 3 二酸化硫黄 ( 気 ) の生成熱は 71kcal である 4アンモニア ( 気 )1mol を水に溶解すると 8.2kcal の熱を発生する 問 1.3 化学熱力学で極めて重要なパラメーターであるギブズエネルギー G をエン タルピー変化 H, エントロピー変化 S, 温度 T を使って定義しなさい 問 1.4 ある容器中に水素とヨウ素を 1.0mol ずつ入れてある温度に保ったところ, 次式で示される平衡に達した その時の圧力 ( 全圧 ) は 2.0[atm] で, 水素およびヨウ素が 0.40[mol] ずつ減少していたことがわかった この反応の圧平衡定数 K p を求めなさい H2 + I2 2HI 1
2. 有機化学 問 2.1 (a) 次の慣用名 (IUPAC で認められている ) で呼ばれている化合物を IUPAC 組織名 ( 組織名のうち置換基命名法を用いる ) の命名および化合物の構造を書きなさい なお 命名は日本語 英語のどちらでもよい 解答例 )ethylene( エチレン ) 解答 CH2=CH2 ethene エテン (1) acetone( アセトン ) (2) acetic acid( 酢酸 )(3) propylene( プロピレン ) (4) acetaldehyde( アセトアルデヒド )(5) acetylene( アセチレン ) (b) 次の名称をもつ化合物の構造式を書きなさい (6) 4-bromo-2-methylcyclohexanone (7) 3-methyl-3-pentenoic acid (8) 4-hydroxypentanal (9) (E)-1,2-dichloroethene (10) (R)-3-methylhexane 問 2.2 次の反応について (1)~(7) に適当な化合物または試薬を書きなさい また (8)~(10) は合成法を書きなさい SO 3 H a) (1) (2) (3) Cl b) Cl CH 3 COCl 1) NaBH 4 H + / heat (4) (5) AlCl (6) 3 2) HCl / ether - H 2 O Br c) H 3 C C CH 3 H 2 C CH 3 NaOC 2 H 5 C 2 H 5 OH (7) E2 (8) エチレンからエタノール (9) スチレンから 2- フェニルエタノール (10) アセトフェノンから 1,1- ジフェニルエタノール 2
3. 無機化学 問 3.1 ファラデー定数を求めるために以下の実験を 行なった 電解槽 A に硝酸銀 AgNO3 水溶液 電解槽 B に硫酸銅 CuSO4 水溶液を入れて 電 a b c d 極 a には銀 電極 b d には白金を用いて 5.00A で 40 分電気分解したところ 電極 b が 13.50g 増加していた なお原子量は Ag=108 Cu=63.5 である 電解槽 A AgNO3 水溶液 電解槽 B CuSO4 水溶液 (1) 電極 a d で起こる反応のイオン反応式を電子 e - を含めて書きなさい (2) ファラデー定数 [C/mol] を計算しなさい (3) (2) で計算したファラデー定数を用いて 電極 c と d で生成する物質が 気体の時は標準状態での体積 [L] 固体の時は質量[g] を計算しなさい 問 3.2 エタン C2H6 の脱水素によるエチレン C2H4 の生成反応は以下のようになっている C H C H -127kJ 2 6 2 4 H 2 1L の密閉容器にエタンをいれてある温度で平衡状態に達したとき エタンは 0.08mol/L エチレン C2H4 と水素は 0.50mol/L になっていた (1) この条件での濃度平衡定数を計算しなさい (2) 一度反応容器内を空にして エタン 1.0mol エチレン 0.2mol 水素 0.1mol を入れて (1) と同じ条件で放置した 平衡状態でのエチレンの濃度 [mol/l] を計算しなさい (3) 平衡状態にある容器に以下の1 3の条件変化を与えたら 平衡はどちらに移動するか 右 左 移動しない と答えなさい 1 反応温度を下げる 2 反応により生成したエチレンを容器から抜き取る 3 触媒を入れる 3
4. 分析化学 必要に応じて以下の原子量を使用すること. H:1.008,C:12.01,N:14.01,O:16.00,Na:22.99,S:32.07,Cl:35.45,K:39.10, Cu:63.55,Ag:107.9,Cd:112.4,Ba:137.3 問 4.1 次の各設問に答えなさい. 解答欄には計算式を明記し, 答えの数値は有効数字 3 桁まで示しなさい. (1) 36[%]-HCl の比重は 1.190 である. この塩酸は何 [mol/l] か. (2) NaCl 結晶の何 [g] を純水 1[l] に溶解すれば,20.0[ppm] の Na + 溶液が調整できるか. (3) 0.1[mol/l] の酢酸 ( 電離度 0.0130) の 25[ ] における ph を計算しなさい. (4) CdS の溶解度積は Ksp=2.00 10-28 である. 純水 200 [ml] 中に CdS は何 [g] 溶解しうるか. 問 4.2 次の文章を読んで問いに答えなさい. 一般に Na + などのアルカリイオンや Cl - などの陰イオンは水分子との結合力である 1 が強く, これらの塩は容易に水に溶解する. これに対して, 水分子との結合力より結晶間のイオンの結合力のほうが強い塩は水に溶けにくく, 一般に 2 と呼ばれる. これらの塩の例としては,AgCl や PbCl 2 など重金属の 3,CdS や ZnS など重金属の 4, および CaCO 3 や BaCO 3 など 5 金属の炭酸塩や CaSO 4 などの 6 がある. 純水 1[l] に溶解しうる塩の量は 7, 溶解反応の 8 は溶解度積と呼ばれる. 沈殿生成反応に基づく滴定を 9 といい, 定量するイオンと難溶性の沈殿を与える物質の標準溶液を用いる. 容量分析に用いられる沈殿反応の種類は多くない. ハロゲンイオンや NCS - などの陰イオンの定量に AgNO 3 を標準溶液に用いる 10 滴定がもっとも普通である. この場合, 指示薬として K 2 CrO 4 を用いる Mohr 法が広く行われている. (1) 空欄に適当な語を埋めなさい. (2) 文中の下線で示した Mohr 法の原理を説明しなさい. 4
5. 構造力学 問 5.1 図に示す集中荷重 P を受けるトラスの C 点の鉛直変位 y C と水平変位 x C を求めなさ い ただし, 伸び剛性は全部材 EA とする A EA B EA a C P 問 5.2 図に示す集中荷重 P を受ける静定ラーメンの A 点の鉛直変位 y A と水平変位 x A を求 めなさい ただし, 曲げ剛性は全部材 EI とする A P EI B EI C EI a D 5
6
7
7. 土質工学 問 7.1 一辺 25 cm の立方体に成形された土塊がある この土塊の質量 m は 30.31 kg この土の含水比 w は 21% 土粒子密度 s は 2.69 g/cm 3 だった 水の密度 w=1.00 g/cm 3 として以下の問いに答えなさい (1) この土の湿潤密度 t (g/cm 3 ) 乾燥密度 d (g/cm 3 ) 飽和度 Sr (%) をそれぞれ求めなさい (2) この土塊の一部を用いて標準圧密試験 ( 供試体高さ 2.0 cm 両面排水条件) を行った 圧密度 U=50% に達するまでに 12 分を要したとき この土の圧密係数 cv (cm 2 /day) を求めなさい なお 圧密度 U=50% に相当する時間係数 Tv50 は 0.197 とする 問 7.2 砂質土からなる土試料の底面に 右図のような水圧が作用する 土粒子密度 s=2.66 g/cm 3 水の密度 w=1.00 g/cm 3 水の単位体積重量 γ w =9.8 kn/m 3 間隙比 e=0.50 として以下の問いに答えなさい (1) この土試料の限界動水勾配 i c を求めなさい (2) h=45 cm を保つとき クイックサンドを起こさないためには 土試料の表面にいくらの押さえ荷重 q (kn/m 2 ) が必要となるか h 20cm 土試料 問 7.3 下図のような擁壁があり 裏込め土内の地下水位が地表面に一致している 水の単位体積重量 γ w =9.8 kn/m 3 擁壁と裏込め土の物性値を図中のとおりとして以下の問いに答えなさい (1) 図中の A 点における ( 鉛直有効 ) 土被り圧 σ' v (kpa) を求めなさい (2) ランキン土圧理論に基づいて 受働土圧係数 K P を求めなさい (3) 擁壁に対する主働土圧の合力の作用位置を地表面からの深さ d (m) を求めなさい (4) 擁壁に作用する ( 奥行き 1m あたりの ) 主働土圧の合力 P A (kn/m) と水圧の合力 U w (kn/m) を求めなさい 6m 飽和単位体積重量 sat :20.1 kn/m 3 内部摩擦角 :32 粘着力 c :0 kpa 壁面摩擦角 :0 A 点 8
8. コンクリート構造学 問 8. 図に示す長方形断面を有する鉄筋コンクリート部材を, 下面の鋼板接着によって補強することになった このことについて, 以下の問に答えなさい ただし, 図中の中立軸の位置までの距離 x=300mm は鋼板接着前後で変化しないと考えてよい また, 使用状態での検討を想定して計算は全て弾性計算で行うこととし, 鉄筋と鋼板の弾性係数 ( ヤング率 ) は等しいとする (1) 鋼板接着を行う前の状態において, 作用する曲げモーメントを M a =500kNm とするとき, 鉄筋に発生している応力度を計算しなさい (2) 鋼板接着完了後に, 曲げモーメントが増加して M b =600kNm となった このときの鉄筋の応力度, および鋼板の応力度を計算しなさい x=300m C c d2=810mm d1=700mm 中立軸 鉄筋 :D29 6 本 As=3854.4mm 2 Ts1 Ts2 b=600mm 補強鋼板 :t20mm 500mm 9