12G 溶融亜鉛めっき高力六角ボルト (12GSHTB) 設計施工管理要領 平成 18 年 4 月 株式会社 N S ボルテン
1. 適用範囲この施工要領書は 建築鋼構造物に使用する12 G 溶融亜鉛めっき高力六角ボルトの現場施工に適用する この要領書に定めなき事項については 日本建築学会の 鉄骨工事技術指針 工場製作編 および 建築工事標準仕様書 JASS6 鉄骨工事 に準拠する なお 右欄外の線は 12G 溶融亜鉛めっき高力六角ボルトの施工にあたり溶融亜鉛めっき高力六角ボルト (F8T) との相違点や特に注意すべき箇所を示す 2.12G 溶融亜鉛めっき高力六角ボルト施工管理 12G 溶融亜鉛めっき高力六角ボルトの施工管理および締付施工は それぞれ溶融亜鉛めっき高力ボルト技術協会 溶融亜鉛めっき高力ボルト接合施工技術者 および 溶融亜鉛めっき高力ボルト接合施工技能者 のもとに行う 3.12G 溶融亜鉛めっき高力六角ボルト 12G 溶融亜鉛めっき高力六角ボルトのセット ( 以下 12GSHTB という ) は 建築基準法第 37 条第二号の規定に適合するものとして国土交通大臣の認定を得たものとする 12GSHTBは 12G 溶融亜鉛めっき高力六角ボルト ( 以下 ボルトという )1 個 12G 溶融亜鉛めっき高力六角ボルト用ナット ( 以下 ナットという )1 個 平座金 ( 以下 座金という ) 2 個によって構成する 12GSHTBの組合せの記号は表 1 による 表 1 12GSHTBの組合せの記号 ボルト ナット 座金 12GSHTB F12G F35G 溶融亜鉛めっきの種別は JIS H 8641( 溶融亜鉛めっき ) の 2 種 HDZ55( めっきの付着量 550g/m 2 ) に従うものとする 4. ボルトの首下長さの選定 ボルトの首下長さは 部材の締付け長さに表 2 の長さを加えたものを標準とし 5 mm 単位とする なお 首下長さが 5 mm 単位とならない場合は 2 捨 3 入とする 表 2 ボルトの首下長さの選定 (mm) ボルト種類 締付け長さに加える長さ 12GSHTB16 35 12GSHTB20 40 12GSHTB 22 45 12GSHTB 24 50-1 -
5. 設計 5.1 めっき部材の材料の材質 形状および寸法 許容応力度等使用部材の材質 形状および寸法 許容応力度等は 建築基準法 同施行令 鋼構造設計規準 ( 日本建築学会 ) による 5.2 設計ボルト張力および許容耐力 12GSHTB の設計ボルト張力および許容耐力は表 3 による 表 3 12GSHTB の設計ボルト張力および許容耐力 ボルトの種類 設計ボルト張力 kn 1 面摩擦 長期 許容せん断力 kn 許容引張力 kn 2 面摩擦 1 面摩擦 短期 2 面摩擦 12GSHTB16 133 35 70 53 106 78 118 12GSHTB20 207 55 110 83 166 122 184 12GSHTB22 256 68 136 102 204 148 222 12GSHTB24 299 80 160 120 240 176 264 注 1) 12GSHTB は設計ボルト張力を確保するように施工し せん断力は材間の摩擦力で伝える ものとする なお 上記許容せん断力は すべり係数を 0.4 として下記により求めた値である 許容せん断力 ( 長期 )=0.4 設計ボルト張力 1.5 許容引張力は 引張接合部の引張りの許容応力度 : 長期 390N/mm 2 ( 基準張力 650N/mm 2 0.6) よ り求めた値である 注 2) 肌すきが 1mm を超える場合 肌すきの第 1 列目のボルトの許容耐力は 上記の 0.5 倍とする 長期 短期 6. ボルト孔径 溶融亜鉛めっき前のボルト孔径は表 4 による 表 4 ボルト孔径 ボルトの種類 公称軸径 (d ) ボルト孔径 12GSHTB16 16 18 12GSHTB20 20 22 12GSHTB22 22 24 12GSHTB24 24 26 7.12GSHTB の取り扱い 7.1 搬入 12GSHTB は 包装の完全なものを未開封状態のまま工事現場へ搬入する 7.2 工事現場での受入れ 工事管理者は 受入れ時に荷姿 種類 等級 径 長さ ロット番号などについて確認する また 製品検査証明書により 製品の品質が発注時の条件を満足するものであることを確認する - 2 -
7.3 工事現場での取り扱い (1) 12GSHTBは 種類 径 長さ ロット番号ごとに区分し 雨水 塵埃などが付着せず 温度変化の少ない場所に保管する 積み上げる箱の段数は 5 段以下とする (2) 運搬 締付け作業にあたって 12 G SHTBはていねいに取り扱い ねじ山を損傷しないようにする 8. 接合部の組立 8.1 ボルト孔 ボルト孔はめっき前にドリルであけることとし その孔径は表 4 による 孔あけ後の孔周囲の まくれは ていねいに取り除く 8.2 摩擦面の処理摩擦面の処理は 次によるものとする これ以外の方法による場合は すべり係数が 0.40 以上確保できることを実験により確かめる (1) ブラスト処理 溶融亜鉛めっき高力ボルト接合設計施工指針付 1. 溶融亜鉛めっき高力ボルト摩擦接合摩擦面の処理要領 により溶融亜鉛めっき後 ブラスト処理を施し 摩擦面の表面粗度を JIS B 0601:2001 の50μmR z( 旧 JIS B 0601:1998 の50μmRy) 以上とした後 すべり係数が 0.40 以上確保できるものを標準とする (2) その他の処理摩擦面に特別な処理を施す場合は その方法を特記し すべり試験を実施し すべり係数が 0.40 以上あることを確認する この場合のすべり試験は 付 1.12G 溶融亜鉛めっき高力六角ボルト (12 G SHTB) 摩擦接合すべり試験要領 による 8.3 摩擦面処理の注意事項 (1) 摩擦面および座金の接する面の塵埃 油 塗料 溶接スパッターなどは取り除く (2) 摩擦面には クランプきずなどの凹凸があってはならない (3) スプライスプレートを部材に仮固定する際には めっき処理をしたボルトを用いるのが望ましい 8.4 接合部の組立 (1) 接合部材のひずみ 反り 曲りなどは矯正する 矯正は 摩擦面を傷つけないように注意して行う (2) 肌すきがある場合は 表 5 に従って処理する フィラーを挿入する場合は フィラーの表面は部材と同様の処理を施し すべり係数が確保できるようにする 表 5 肌すきの処理方法 肌すき量 処理方法 1 mm 以下 処理不要 溶融亜鉛めっきをしたフィラーで 1 mm を超える場合 摩擦面処理をしたものを入れ 肌 すきを1 mm 以下にする - 3 -
(3) ボルト孔のくい違いの修正 1) ボルト孔のくい違い量が2 mm 以下の場合は リーマ掛けして修正する 修正したボルト孔の内面は 防錆塗料などを塗布する 2) ボルト孔のくい違い量が2 mm を超える場合の処置は 接合部の安全性の検討を含め工事管理者と協議して決定する (4) 組立て時の仮締めボルト建入れ直し前の部材相互の接合は中ボルト等を用い 架構の安全が確保されるよう ボルト群に対して1/3 程度 かつ 2 本以上で仮締めする 建入れ直し後の仮締めボルトは 接合面が十分密着するよう仮締めする 仮締めボルトには めっき処理をしたボルトを用いることが望ましい 9.12GSHTBの締付け 9.1 締付け施工一般 (1)12GSHTBの締付けは ボルトに異常のないことを確かめたうえ ボルト頭下およびナット下に座金を1 個づつ敷き ナットを回転させて行う (2)12GSHTBの締付けに使用する機器は よく整備されたものとし 締付け順序は部材が密着するように継手の内側から外側に向かって締付ける また 締付けは1 次締め マ-キング及び本締めの3 段階で行う (3) ボルトの挿入から本締めまでの作業は 同日中に終了することを原則とする 9.2 1 次締め (1)1 次締めは 1 継手 1 群毎に 本締めボルト挿入後直ちに行う (2)1 次締めは プレセット形トルクレンチ 電動レンチなどを用いて表 3 に示すトルクでナットを回転させて行う 表 6 1 次締めトルク (N m) ボルト種類 1 次締付けトルク 12GSHTB16 約 200 12GSHTB20 約 300 12GSHTB 22 約 300 12GSHTB 24 約 400 9.3 マ - キング 1 次締め付け後 ボルト ナット 座金及び部材にわたりマ - クを施す 図 1 マ - キングの要領 - 4 -
9.4 本締め本締めは 1 群単位の1 次締めおよびマーキング完了後を起点として ナットを90 ~120 回転させて行う ただし ボルトの長さが呼び径の5 倍を超える場合のナットの回転量は 実験により定める 10. 締付け後の検査 (1) 締付けを完了した全てのボルトについて逐次 締付け施工結果の適否を検査する (2) 各接合部のすべてのボルトについて 1 次締め後に付したマークより 所要のナット回転角量が与えられているかどうか検査する (3) ナット回転量は90 ~120 の範囲にあるものを合格とする この範囲を超えて締付けられた12GSHTBは 取り替える また ナット回転量の不足している12GSHTBについては 所要のナット回転量まで追締めする 11. 不合格ボルトの処理 締付け検査の結果 ナットと座金の共回り 軸回り ナット回転量の異常 余長の過不足が認めら れた場合は 新しいセットに取り替える 一度用いた 12GSHTB は 再利用してはならない 12. 施工管理記録の作成および提出 12G 溶融亜鉛めっき高力六角ボルト施工管理は 本要領書の 様式 -1 に示す 12G 溶融亜鉛めっき高力六角ボルト (12GSHTB) 施工管理報告書 を作成し 工事監理者に提出する 工事監理者は 本報告書により施工状況を確認したうえで 本報告書を NSボルテンに提出する 施工管理の関係を 図 2 に示す NS ボルテン 施工要領指導 施工管理報告書 工事監理者 ( ファフ リケーター ) ( ゼネコン ) 管理者任命 施工管理報告書 12G 溶融亜鉛めっき 高力六角ボルト 施工管理者 図 2 施工管理のフロー - 5 -
様式 -1 12 G 溶融亜鉛めっき高力六角ボルト接合施工管理検査報告書検査年月日設計者及び工事監理者建設業者名鉄骨製作業者名 建築物の名称 住 所 規 模 階 数 高 さ 延べ面積 * 検査確認した事項 ボルト社内検査成績書の確認適 不適 ボルトの保管管理 適 不 適 めっき鋼材の摩擦面処理状況 適 不 適 ボルトの締付け状況 適 不 適 使 用 機 器 適 不 適 現場作業員 氏名認定番号氏名認定番号 { 技能者氏名認定番号 } * 注意した事項又は指導した事項 現場責任者又はその代理者名 * 検査者氏名認定番号 ( 技術者氏名認定番号 ) 印 ( 備考 )* 欄は技術者が記入 他は現場責任者又はその代理者が記入 本原書は技術者が保管し 写しをボルトメーカー (NS ボルテン ) に送付する - 6 -