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Taro-通知文

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トラス筋を用いた超軽量複合構造スラブ (KS スラブ ) 1. はじめに KS スラブは, 上下面の薄肉コンクリート版をトラス筋で結合した複合スラブ構造を有し, 上下面の 薄肉コンクリートの間に発泡スチロール ( 以下,EPS) を中空型枠として用いた超軽量なスラブである ( 図 -1) KS スラブは, 群集荷重や輪荷重 T-6 までの軽荷重に対応した製品であり, 都市再開発や駅前 立体化にともなうペデストリアンデッキ用床版, 歩道橋, 水路蓋といった比較的小さな荷重が作用する 場所への適用を前提として開発した ( 図 -2) さらに, 環境負荷低減のため,KS スラブのコンクリート には, 石炭灰 (PFBC 灰 ) や高炉スラグ微粉末などの産業副産物を混入したコンクリート (EA-CRETE: NETIS 登録番号 CG-616-A,3H-CRETE:NETIS 登録番号 CB-311 ) を用いている KS スラブの主 な特徴を以下に示す 1 経済性 :T-6 までの軽荷重に特化させることで, 製作費 運搬費 全体工事費の削減に寄与できる 2 軽量性 : 上下面の薄肉コンクリート版をトラス筋で結合した複合スラブ構造を有し, スラブの軽量 化が図れる 3 作業性 : 高流動コンクリートの使用及び軽 量化による作業性の向上が図れる 4 環境負荷低減 : セメントの一部を産業副産 物に置き換えることにより, マテリアルリ サイクルを実現するとともに, 歩道橋での 高強度コンクリート 所属名 : 極東興和 ( 株 ) 発表者 : 河金甲 従来品に対して KS スラブでは,42% の CO 2 排出量の削減が図れる 5 断熱性 :EPS を中空型枠として使用しており断熱性に優れる ここでは,KS スラブの経済性, 軽量性, 環境負荷低減について詳述し, さらに, 構造性能試験結果と製作工程を紹介する トラス筋 図 -1 KS スラブ EPS( 発泡スチロール ) 2. KSスラブの概要 2.1 KSスラブの適用範囲表 -1 に KS スラブの適用範囲, 図 -3 に支間長 1m の場合の断面図を示す KS スラブには, 群集荷重に対応した KS タイプ と輪荷重 T-6 に対応した KST タイプ があり, どちらのタイプも適用支間長は 5~15m である 標準スラブ幅 図 -2 KS スラブの適用例

は, 間詰め幅 1mm を含んで 1.m と 1.25m とし, この 2 種類のスラブ幅の製品を, 適用する構造物の幅員に対して, 組み合わせて用いるのを基本とする 表 -1 適用範囲 支間 スラブ幅 活荷重 KSタイプ 5~15m 99mm,124mm 群集荷重 5.kN/m 2 KSTタイプ 5~15m 99mm,124mm T-6 2.2 軽量性 KS スラブと軽荷重スラブ橋桁 (LS 桁 ) の単位面積あたりの重量の比較を図 -4 と図 -5 に示す なお, LS 桁は T-1 荷重対応であることから, 群集荷重対応の KS タイプとの比較 ( 図 -4) では,LS 桁の適用 支間を 1 ランク下げている 例えば, 支間長 1m の KS タイプの KS スラブと LS 桁の重量を比較すると, KS スラブは, スラブ幅 99mm で 3%, スラブ幅 124mm で 34% の軽量化が図れる KST タイプになる と,KS スラブは LS 桁に対して, スラブ幅 99mm で 23%, スラブ幅 124mm で 27% の軽量化を図るこ とが可能となる 単位面積あたりの重量 (kg/m 2 ) 1 9 8 7 6 5 4 3 1 2.3 経済性 図 -3 KS スラブの断面図 ( 支間長 1m の場合 ) KS タイプスラブ幅 99mm KS タイプスラブ幅 124mm 軽荷重スラブ橋桁 5 6 7 8 9 1 11 12 13 14 15 支間長 (m) 図 -4 KS タイプの重量比較 図 -6 に示す支間長 1m, 有効幅員 5m の歩道橋について KS スラブと LS 桁の建設コストの比較を行な った なお,LS 桁は, その適用活荷重が T-1 であることから, 適用支間を 1 ランク下げた標準支間 9m 1 9 8 7 6 5 4 3 1 の LS 桁 (LS9) を用いて試算した その結果は次の通りである 単位面積あたりの重量 (kg/m 2 ) KST タイプスラブ幅 99mm KST タイプスラブ幅 124mm 軽荷重スラブ橋桁 5 6 7 8 9 1 11 12 13 14 15 支間長 (m) 図 -5 KST タイプの重量比較 KS スラブ KS1 図 -6 試算モデル ( 支間長 1.m) LS( 軽荷重スラブ橋 ) 桁 LS9

主桁工 KS スラブは LS 桁より製品幅が大きく主桁本数が減少するために,1 割程度のコスト縮減 運搬工 架設工 軽量化により 2 割程度のコスト縮減 横組工 KS スラブは独立版で設計していることから横締めが不要となり,8 割程度のコスト縮減以上の結果から, 橋体工の直接工事費で比べると KS スラブは LS 桁と比較して 2 割程度のコスト縮減が見込まれる 2.4 環境負荷低減 図 -6 に示した歩道橋について KS スラブと LS 桁の主桁製作による CO 2 排出量を試算した 試算は文 献 1) に準じて行った 表 -2 に CO 2 排出量の試算結果を示す セメント製作時に大量の CO 2 が排出されることはよく知られている 今回の試算においても, コンク リート供給による CO 2 排出量が KS スラブと LS 桁ともに全体の排出量の大部分を占めている 一方, KS スラブのコンクリート使用量は,LS 桁のコンクリート使用量の 71% (1.6/14.9=.71) である さらに, KS スラブは, セメントの一部を高炉スラグ微粉末や石炭灰 (PFBC 灰 ) 等の産業副産物に置換した高流 動コンクリートを用いている ために, セメントの使用量を 少なくすることができる こ のことで, 表 -2 より KS スラ ブのコンクリート供給による CO 2 排出量が LS 桁に比べて 大幅に削減できている その 結果として, 主桁製作による CO 2 の総排出量は,KS スラブ は LS 桁に比べて約 42% 少な く,KS スラブは環境負荷低減 に貢献できることがわかる 主要資材 資材運搬 機材使用 項目 コンクリート PC 鋼材 鉄筋 燃料消費によるもの 機械消耗によるもの 工場 表 -2 m3 CO 2 排出量の試算結果 数量 CO 2 排出量 (kg CO 2 ) 単位 KSスラブ LS 桁 KSスラブ LS 桁 1.6 14.9 t 26.5 37.2 kg 347 1,4 kg 696 472 時間 13.3 13.3 時間 13.3 13.3 t 26.5 37.2 3395 6269 - - 523 1567 326 221 527 527 221 221 454 637 KS スラブ :σ ck =5N/mm 2 L S 桁 :σ ck =7N/mm 2 KS スラブ :1S15.2 L S 桁 :1S12.7 KS スラブ :SD295A SR235 L S 桁 :SD295A 11t トラック 備考 電気 重油 軽油 合計 - - - 5447 9443 42.3% 3. 構造性能試験既往の報告 2) において,KS タイプの曲げ特性, せん断特性, 押抜きせん断特性を示した ここでは,KST タイプの曲げ特性と横組構造性能確認試験の結果を報告する 3.1 曲げ載荷試験 KS スラブの曲げ特性を明らかにするため, 静的曲げ載荷試験を行った 試験状況を写真 -1 に, 試験体概要を図 -7 に示す 試験には, 輪荷重対応タイプ (KST タイプ ) を用い,2 点集中荷重により載荷した 図 -8 に KS スラブが破壊に至るまでの荷重と支間中央たわみの関係を示す 図中に示したたわみの計算値は, トラス筋の影響を無視し, 全断面有効時, すなわちひび割れ発生前の弾性域でのたわみ量を算出したものである 図から, 弾性域でのたわみの挙動は実測値と計算値がほぼ一致していることがわかる 曲げひび割れ発生荷重については, 実測値が計算値と比較して約 18% 増大した さらに, 荷重 写真 -1 曲げ載荷試験状況 図 -7 試験体概要

134kN, たわみ 329mm で圧縮縁のコンクリートが圧縮破壊 ( 写真 -2) することで終局に至ったが, 曲げ耐力の計算値と実測値を比較すると, 実測値の方が 8% 大きくなった なお, 曲げ耐力は, コ ンクリート標準示方書準拠して計算した 以上より, 既往の設計計算手法を用いて KS スラブの曲げ挙動を評価できることがわかる 荷重 (kn) 14 1 1 8 曲げひび割れ発生 6 3) に 4 実測値 破壊 たわみの計算値 ひび割れ発生荷重の計算値 曲げ耐力の計算値 1 3 4 たわみ (mm) 図 -8 荷重とたわみの関係 写真 -2 破壊状況 3.2 横組構造性能確認試験 KS スラブでは, 荷重の作用時に隣接する KS スラブとの間でたわみ差が発生しないように間詰めモルタルでせん断力を伝達させる横組構造を採用している その横組構造の性能を確認する目的で,2 枚の KS スラブを用いて載荷試験を実施した 試験概要を図 -9 に, 試験状況を写真 -3 に示す 通常,KS スラブは目地幅 1~mm で配置するが, 通常使用する目地幅の約 2 倍 (4mm) に設定して, 目地に不利な条件で試験を実施した 目地幅 4mm で並列して配置した 2 枚の KS スラブのうち 1 枚に輪荷重が作用するように載荷を行い, 載荷荷重は 34kN とした ( 設計輪荷重 (T6 後輪荷重相当 )24kN, 衝撃係数.345 24 (1+.345)=32.3kN) 輪荷重載荷時のたわみ分布を図 -1 に示す この図から, たわみは一直線上に分布しており, 目違い ( 段差 ) は発生していないことがわかる さらに, スラブ 2 枚で荷重に抵抗すると仮定して算出した計算値と実測値が非常に近いことから, 間詰めにより 2 枚のKSスラブが一体となって抵抗することが確認できる 目地寸法 4 6 5 図 -9 試験概要 間詰め中央からの距離 (mm) -1-75 -5-25 25 5 75 1. 1. KS スラブ 写真 -3 載荷状況 載荷板 ( 5mm) たわみ (mm) 2. 3. 4. 5. 6. 7. 実測値 計算値 ( スラブ 1 枚で抵抗 ) 計算値 ( スラブ 2 枚で抵抗 ) たわみ分布 図 -1 たわみ分布

4. 製作工程 写真-4 に KS スラブの製作工程写真を示す ①PC 鋼線緊張 ②鉄筋 EPS 組立 ④コンクリート打設 ⑤コンクリートの品質管理 ⑦脱枠 ⑧プレストレス導入 ③型枠組立 ⑥養生 ⑨完成 写真-4 KSスラブ製作工程 5. おわりに KS スラブは 上下面の薄肉コンクリート版の間に EPS を配置したサンドイッチ構造となっている そのため 防振 吸音 断熱などの効果が期待でき 土中防振壁や住宅外壁材への適用も検討している また 軽量性を生かし 浮体構造物の製品化も併せて実施していく予定である なお KS スラブは 6 年 7 月に島根県の新技術活用支援制度 しまね ハツ 建設ブランド の 選考において フィールド実証工事指定として実施する技術と判断された さらに 8 年 2 月に国土 交通省の NETIS に登録された 登録番号 CG-716 参考文献 1) RAMS 平成 13-15 年度構造物の維持補修技術に関する研究成果報告書 Vol.5 4.6 2) 牛尾亮太 トラス筋を用いた軽量スラブ KS スラブ 平成 19 年度中国地方建設技術開発交流会発 表論文(広島県会場) pp.16-6.1 3) (社)土木学会 7 年制定コンクリート標準示方書 設計編 8.3