バイアス補正済 FTS SWIR レベル 2 プロダクト (V02.x5) に関する留意事項 2017/10/26 NIES GOSAT プロジェクト 1. はじめに NIES GOSAT プロジェクトでは JAXA から提供された FTS レベル 1B プロダクト (V161.160 と V161.161) から FTS SWIR レベル 2 プロダクト ( 以下 SWIR L2 プロダクト という ) を作成し 2009 年 4 月 23 日から 2017 年 2 月 28 日までの観測期間を対象として一般ユーザ (GU) へ公開しています 2009 年 4 月 23 日から 2015 年 8 月 2 日までの期間の SWIR L2 プロダクトの二酸化炭素とメタンのカラム量 (XCO 2 と XCH 4) について 全量炭素カラム観測ネットワーク (TCCON) で公開されている地上観測データを用いて バイアス補正処理した結果をバイアス補正済 FTS SWIR レベル 2 プロダクト ( 以下 補正済 SWIR L2 プロダクト という ) として公開します SWIR L2 プロダクトと補正済 SWIR L2 プロダクトのバージョンの対応を表 1-1 に示します 表 1-1: SWIR L2 プロダクトと補正済 SWIR L2 プロダクトのバージョン対応 観測期間 SWIR L2 プロダクト 補正済 SWIR L2 プロダクト 2009/04/23 ~ 2014/05/24 V02.21 V02.25 2014/06/16 ~ 2014/12/14 V02.31 V02.35 2015/02/01 ~ 2015/08/02 V02.40 V02.45 2. SWIR L2 プロダクトと TCCON データとのマッチアップ SWIR L2 プロダクトに格納されている各 FTS スキャンの観測時刻と観測位置に対応する TCCON データを下記の条件により選定しました FTS 視野中心の位置に対して緯度 経度ともに 5 度以内の TCCON サイトを選出する FTS スキャンの観測時刻に対して前後 30 分以内の TCCON データの平均値を算出する FTS 視野中心の位置に対して最短距離にある TCCON サイトのデータを選出する TCCON データは 下記の URL の下部にある Download All GGG2014 Data ボタンから取得できますが 不定期に更新されており 取得時期によりデータが異なる場合があります TCCON データアーカイブサイト (http://tccondata.org/) 本バイアス補正処理で参照した TCCON データの一覧を表 2-1 に示します FTS 視野内陸率 が 100% を陸域 (60% 以上 100% 未満の混在域は対象としません ) 0% を海域としたマッチアップ 結果の FTS スキャン数を表 2-2 と表 2-3 に示します - 1 -
表 2-1: バイアス補正処理で参照した TCCON データ * サイトコード サイト名 ファイル名 ae Ascension Island ae20120522_20161221.public.nc bi Białystok bi20090313_20150803.public.nc br Bremen br20070115_20151209.public.nc ci Pasadena ci20120920_20161003.public.nc db Darwin db20050828_20160129.public.nc df Edwards df20130720_20160630.public.nc fc Four Corners fc20130316_20131004.public.nc gm Garmisch gm20070716_20160129.public.nc if Indianapolis if20120823_20121201.public.nc iz Izaña iz20070518_20160127.public.nc jf JPL jf20110519_20130701.public.nc js Saga js20110728_20160228.public.nc ka Karlsruhe ka20100419_20160129.public.nc lh Lauder (120HR) lh20040629_20101209.public.nc ll Lauder (125HR) ll20100202_20160802.public.nc oc Lamont oc20080706_20161003.public.nc or Orléans or20090829_20151115.public.nc pa Park Falls pa20040602_20160925.public.nc ra Reunion Island ra20110916_20161101.public.nc rj Rikubetsu rj20131116_20160129.public.nc so Sodankylä so20090516_20161003.public.nc tk Tsukuba (125HR) tk20110804_20160119.public.nc wg Wollongong wg20080626_20160119.public.nc * Anmeyond Eureka Manaus Ny-Ålesund Paris は Inoue et al. [2016] と合わせるために参照対象から除外しています - 2 -
表 2-2: SWIR L2 プロダクト ( 陸域 ) のマッチアップ FTS スキャン数 サイトコード XCO 2 XCH 4 V02.21 V02.31 V02.40 V02.21 V02.31 V02.40 ae 0 0 0 0 0 0 bi 306 29 160 306 29 160 br 61 3 4 61 3 4 ci 113 57 4 113 57 4 db 908 251 207 908 251 207 df 38 46 24 38 46 24 fc 136 0 0 136 0 0 gm 317 12 59 317 12 59 if 153 0 0 153 0 0 iz 86 0 0 86 0 0 jf 261 0 0 261 0 0 js 130 4 5 130 4 5 ka 236 8 74 236 8 74 lh 16 0 0 19 0 0 ll 186 24 21 189 26 21 oc 2758 134 260 2758 134 260 or 449 15 117 449 15 117 pa 492 20 43 492 20 43 ra 0 2 0 0 2 0 rj 8 28 35 8 28 35 so 153 28 0 153 28 0 tk 421 20 46 421 20 46 wg 1073 82 43 1078 90 44 合計 8301 763 1102 8312 773 1103-3 -
表 2-3: SWIR L2 プロダクト ( 海域 ) のマッチアップ FTS スキャン数 サイトコード XCO 2 XCH 4 V02.21 V02.31 V02.40 V02.21 V02.31 V02.40 ae 209 119 133 209 119 133 bi 0 0 0 0 0 0 br 0 0 0 0 0 0 ci 1 3 1 1 3 1 db 82 45 4 82 45 4 df 0 0 0 0 0 0 fc 0 0 0 0 0 0 gm 5 0 4 5 0 4 if 0 0 0 0 0 0 iz 50 31 0 50 31 0 jf 7 0 0 7 0 0 js 14 0 1 14 0 1 ka 0 0 0 0 0 0 lh 1 0 0 1 0 0 ll 5 3 0 5 3 0 oc 0 0 0 0 0 0 or 0 0 0 0 0 0 pa 0 0 0 0 0 0 ra 42 35 29 42 35 29 rj 0 5 9 0 5 9 so 0 0 0 0 0 0 tk 2 0 0 2 0 0 wg 88 0 7 88 0 7 合計 506 241 188 506 241 188-4 -
3. バイアス補正の方法 SWIR L2 プロダクトと TCCON データとのマッチアップ結果を用いて 表 1-1 に示されている期間ごとに XCO 2 と XCH 4 陸域と海域の区分に応じて Inoue et al. [2016] に記されている説明変数を用いた下記の回帰式により重回帰分析を行いました 本回帰式における説明変数に用いたパラメータを表 3-1 に示します なお 各説明変数には 全てのマッチアップ FTS スキャンの平均値からの偏差を用います バイアス補正済の XCO 2 と XCH 4 の誤差 ( 分散 ) は 下記の計算式で求めました 陸域では 各 TCCON サイトのマッチアップ FTS スキャン数に応じた重みを考慮して重回帰分析を行いましたが 海域では 重みは考慮しません また マッチアップでは 観測に応じて設定されたゲイン (H または M) を区別しません SWIR L2 プロダクトと TCCON データとの差 本重回帰分析により得られた各偏回帰係数と切片 補正済 SWIR L2 プロダクトと TCCON データとの差について 表 3-2 から表 3-5 にまとめました なお 補正済 SWIR L2 プロダクトでは 混合域 (FTS 視野内陸率が 60% 以上 100% 未満 ) の FTS スキャンに対しても 陸域の重回帰分析によるバイアス補正処理が適用されています また 期間ごとの SWIR L2 プロダクトと TCCON データ 補正済 SWIR L2 プロダクトと TCCON データとの XCO 2 と XCH 4 の散布図を付録 1 から 12 に示します - 5 -
表 3-1: 回帰式における説明変数に用いたパラメータ パラメータ 説明 FTS SWIR L2 処理で同時推定したエアロゾル光学的厚さ FTS SWIR L2 処理で同時推定した地表面気圧と参照した地表面気圧の差 1/cos( 太陽天頂角 )+1/cos( 衛星天頂角 ) で計算したエアマス FTS SWIR L2 処理で同時推定した O 2A バンドの地表面アルベド XCO 2 XCH 4 陸域 海域 陸域 海域 〇 〇 〇 〇 〇 〇 - - 〇 〇 - - 〇 - - - 参考文献 Inoue, M., I. Morino, O. Uchino, T. Nakatsuru, Y. Yoshida, T. Yokota, D. Wunch, P. O. Wennberg, C. M. Roehl, D. W. T. Griffith, V. A. Velazco, N. M. Deutscher, T. Warneke, J. Notholt, J. Robinson, V. Sherlock, F. Hase, T. Blumenstock, M. Rettinger, R. Sussmann, E. Kyrö, R. Kivi, K. Shiomi, S. Kawakami, M. De Mazière, S. G. Arnold, D. G. Feist, E. A. Barrow, J. Barney, M. Dubey, M. Schneider, L. T. Iraci, J. R. Podolske, P. W. Hillyard, T. Machida, Y. Sawa, K. Tsuboi, H. Matsueda, C. Sweeney, P. P. Tans, A. E. Andrews, S. C. Biraud, Y. Fukuyama, J. V. Pittman, E. A. Kort, and T. Tanaka (2016), Bias corrections of GOSAT SWIR XCO 2 and XCH 4 with TCCON data and their evaluation using aircraft measurement data, Atmos. Meas. Tech., 9, 3491-3512, https://doi.org/10.5194/amt-9-3491-2016. 略語 AOT FTS GOSAT JAXA NIES SWIR TCCON Aerosol Optical Thickness Fourier Transform Spectrometer Greenhouse gases Observing SATellite Japan Aerospace Exploration Agency National Institute for Environmental Studies Short-Wavelength Infrared Total Carbon Column Observation Network - 6 -
表 3-2: SWIR L2 プロダクト ( 陸域 XCO 2) のバイアス補正処理結果 SWIR L2 プロダクト重回帰分析補正済 SWIR L2 プロダクト 観測期間に対応するバージョン V02.2x V02.3x V02.4x TCCON データとの差の平均値 (ppm) -0.781-1.308-1.545 TCCON データとの差の標準偏差 (ppm) 2.172 2.072 2.151 TCCON データとの相関係数 0.884 0.555 0.730 (ppm) 6.780 14.522 7.435 偏回帰係数 (ppm/hpa) 0.280 0.187 0.308 (ppm) -0.013-0.451 0.978 (ppm) 2.044-1.232 1.579 切片 (ppm) 0.726 1.316 1.526 (ppm) 1.337 5.451 3.048 偏回帰係数の標準偏差 (ppm/hpa) 0.006 0.022 0.017 (ppm) 0.064 0.238 0.223 (ppm) 0.416 1.546 1.015 切片の標準偏差 (ppm) 0.022 0.073 0.057 自由度調整済決定係数 0.202 0.118 0.252 TCCON データとの差の平均値 (ppm) -0.174 0.092-0.142 TCCON データとの差の標準偏差 (ppm) 1.924 1.957 1.838 TCCON データとの相関係数 0.915 0.589 0.801 表 3-3: SWIR L2 プロダクト ( 海域 XCO 2) のバイアス補正処理結果 SWIR L2 プロダクト重回帰分析補正済 SWIR L2 プロダクト 観測期間に対応するバージョン V02.2x V02.3x V02.4x TCCON データとの差の平均値 (ppm) -1.778-2.197-1.908 TCCON データとの差の標準偏差 (ppm) 1.715 1.472 2.312 TCCON データとの相関係数 0.830 0.299 0.740 (ppm) -17.490-7.295-32.068 偏回帰係数 (ppm/hpa) 0.240 0.207 0.424 (ppm) -6.685-1.241-7.724 (ppm) - - - 切片 (ppm) 1.778 2.197 1.908 (ppm) 2.829 3.813 4.673 偏回帰係数の標準偏差 (ppm/hpa) 0.014 0.023 0.032 (ppm) 1.124 1.944 0.907 (ppm) - - - 切片の標準偏差 (ppm) 0.058 0.081 0.105 自由度調整済決定係数 0.411 0.267 0.613 TCCON データとの差の平均値 (ppm) 0.000 0.000 0.000 TCCON データとの差の標準偏差 (ppm) 1.312 1.252 1.427 TCCON データとの相関係数 0.875 0.338 0.724-7 -
表 3-4: SWIR L2 プロダクト ( 陸域 XCH 4) のバイアス補正処理結果 SWIR L2 プロダクト重回帰分析補正済 SWIR L2 プロダクト 観測期間に対応するバージョン V02.2x V02.3x V02.4x TCCON データとの差の平均値 (10-3 ppm) -5.520-8.475-8.724 TCCON データとの差の標準偏差 (10-3 ppm) 15.131 13.460 14.821 TCCON データとの相関係数 0.818 0.889 0.683 偏回帰係数 (10-3 ppm) -54.982-30.659-64.288 切片 (10-3 ppm) 5.166 8.052 8.296 偏回帰係数の標準偏差 (10-3 ppm) 9.794 34.215 23.406 切片の標準偏差 (10-3 ppm) 0.166 0.498 0.446 自由度調整済決定係数 0.004 0.000 0.006 TCCON データとの差の平均値 (10-3 ppm) -0.354-0.423-0.428 TCCON データとの差の標準偏差 (10-3 ppm) 15.112 13.458 14.776 TCCON データとの相関係数 0.820 0.888 0.682 表 3-5: SWIR L2 プロダクト ( 海域 XCH 4) のバイアス補正処理結果 SWIR L2 プロダクト重回帰分析補正済 SWIR L2 プロダクト 観測期間に対応するバージョン V02.2x V02.3x V02.4x TCCON データとの差の平均値 (10-3 ppm) 0.556 3.563 2.015 TCCON データとの差の標準偏差 (10-3 ppm) 13.269 11.427 14.064 TCCON データとの相関係数 0.843 0.677 0.581 偏回帰係数 (10-3 ppm) -110.276-16.219-140.275 切片 (10-3 ppm) -0.556-3.563-2.015 偏回帰係数の標準偏差 (10-3 ppm) 26.991 33.788 44.019 切片の標準偏差 (10-3 ppm) 0.581 0.737 1.002 自由度調整済決定係数 0.030-0.003 0.047 TCCON データとの差の平均値 (10-3 ppm) 0.000 0.000 0.000 TCCON データとの差の標準偏差 (10-3 ppm) 13.055 11.422 13.695 TCCON データとの相関係数 0.851 0.675 0.531-8 -
付録 1. TCCON データとの陸域 XCO 2 の散布図 ( 上 : SWIR L2 プロダクト V02.21 下 : 補正済 SWIR L2 プロダクト V02.25) - 9 -
付録 2. TCCON データとの海域 XCO 2 の散布図 ( 上 : SWIR L2 プロダクト V02.21 下 : 補正済 SWIR L2 プロダクト V02.25) - 10 -
付録 3. TCCON データとの陸域 XCO 2 の散布図 ( 上 : SWIR L2 プロダクト V02.31 下 : 補正済 SWIR L2 プロダクト V02.35) - 11 -
付録 4. TCCON データとの海域 XCO 2 の散布図 ( 上 : SWIR L2 プロダクト V02.31 下 : 補正済 SWIR L2 プロダクト V02.35) - 12 -
付録 5. TCCON データとの陸域 XCO 2 の散布図 ( 上 : SWIR L2 プロダクト V02.40 下 : 補正済 SWIR L2 プロダクト V02.45) - 13 -
付録 6. TCCON データとの海域 XCO 2 の散布図 ( 上 : SWIR L2 プロダクト V02.40 下 : 補正済 SWIR L2 プロダクト V02.45) - 14 -
付録 7. TCCON データとの陸域 XCH 4 の散布図 ( 上 : SWIR L2 プロダクト V02.21 下 : 補正済 SWIR L2 プロダクト V02.25) - 15 -
付録 8. TCCON データとの海域 XCH 4 の散布図 ( 上 : SWIR L2 プロダクト V02.21 下 : 補正済 SWIR L2 プロダクト V02.25) - 16 -
付録 9. TCCON データとの陸域 XCH 4 の散布図 ( 上 : SWIR L2 プロダクト V02.31 下 : 補正済 SWIR L2 プロダクト V02.35) - 17 -
付録 10. TCCON データとの海域 XCH 4 の散布図 ( 上 : SWIR L2 プロダクト V02.31 下 : 補正済 SWIR L2 プロダクト V02.35) - 18 -
付録 11. TCCON データとの陸域 XCH 4 の散布図 ( 上 : SWIR L2 プロダクト V02.40 下 : 補正済 SWIR L2 プロダクト V02.45) - 19 -
付録 12. TCCON データとの海域 XCH 4 の散布図 ( 上 : SWIR L2 プロダクト V02.40 下 : 補正済 SWIR L2 プロダクト V02.45) - 20 -