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1- 擁壁断面の形状 寸法及び荷重の計算 ( 常時 ) フェンス荷重 1 kn/m 1,100 0 上載荷重 10 m kn/ 3, (1) 自重 地表面と水平面とのなす角度 α=0.00 壁背面と鉛直面とのなす角度 θ=.73 擁壁

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目次 1章 設計条件 1.1 一般事項 適用基準 1.3 形式 形状寸法 1.5 使用材料 土砂 1.7 載荷荷重 雪荷重 1.9 その他荷重 水位 1.11 浮力 土圧 1.13 水圧 基礎の

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FC 正面 1. 地震入力 1-1. 設計基準 準拠基準は以下による 建築設備耐震設計 施工指針 (2005 年版 ): 日本建築センター FH = KH M G KH: 設計用水平震度 KH = Z KS W : 機械重量 FV = KV M G = 機械質量 (M) 重力加速度 (G) KV =

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L 型擁壁 (CP-WALL) 構造図 S=1/30 CP-WALL(C タイプ ) H=600~700 断面図 正面 背面図 H T1 T2 T4 T3 T4 H2 H1 100 B1 B2 T5 H 連結穴 M16 背面 水抜孔 φ75 正面 水抜孔 φ90 h1 h2 製品寸法表

L 型擁壁 L 型擁壁 国土交通省大臣認定擁壁 KLウォール3 型軽量タイプ擁壁 T-LLウォール ALWⅡ( 道路土工擁壁工指針 /24 年度版対応 ) 特徴宅地面積の有効利用 前壁が垂直なため 敷地境界までの土地の有効利用が可能です 経済的な断面設計 合理的設計によりシンプルな構造になっており施

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第 3 章 間知ブロック積み擁壁の標準図 133

参考資料 -1 補強リングの強度計算 1) 強度計算式 (2 点支持 ) * 参考文献土木学会昭和 56 年構造力学公式集 (p410) Mo = wr1 2 (1/2+cosψ+ψsinψ-πsinψ+sin 2 ψ) No = wr1 (sin 2 ψ-1/2) Ra = πr1w Rb = π

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6 章擁壁工 6.1 プレキャスト擁壁工 6.2 補強土壁工 ( テールアルメ工 多数アンカー工 ) 6.3 ジオテキスタイル工 6.4 場所打擁壁工 場所打擁壁 (1) 場所打擁壁 (2) 1-6-1

( 第 10 刷まで反映 ) 擁壁工指針 ( 平成 24 年度版 ) の訂正 箇所修正前修正後 p.3 上から 9 行目と 10 行 目の間 地盤材料試験の方法と解説 なお, これらの基準 指針類が改定され, 地盤材料試験の方法と解説 舗装の構造に関する技術基準 同解説 ( 平成 13 年 ; 日本

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L 型擁壁 (CP-WALL) 構造図 S=1/30 CP-WALL(B タイプ ) H=1900~2500 断面図 正面 背面図 製品寸法表 適用 製品名 H H1 H2 B 各部寸法 (mm) B1 B2 T1 T2 T3 T4 T5 水抜孔位置 h1 h2 参考質量 (kg) (

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第 3 章擁 壁

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第 5 章 擁壁工 第 1 節総説 1.1 適用の範囲 本章は擁壁の設計に適用するが, ここに定めていない事項については表 に記す関係図書等を参考にするものとする. 擁壁は, 道路土工- 擁壁工指針 により設計することを原則とし, その他の関係図書はこれを補完するように利用する. 表 -

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H23 基礎地盤力学演習 演習問題

( 設計条件 1 単位体積重量 コンクリートの単位体積重量 4(KN/m 裏込土の単位体積重量 γ 17(KN/m 土質条件 裏込土の内部摩擦角 φ 5( ( 砂質土 壁面摩擦角 δ 1.5 ( ( 透水マット使用 1/φ 地表面傾斜角 β 0( 砕石の場合は/3φ 壁背面の鉛直面に対する角度 α

4. 粘土の圧密 4.1 圧密試験 沈下量 問 1 以下の問いに答えよ 1) 図中の括弧内に入る適切な語句を答えよ 2) C v( 圧密係数 ) を 圧密試験の結果から求める方法には 圧密度 U=90% の時間 t 90 から求める ( 5 ) 法と 一次圧密理論曲線を描いて作成される ( 6 )

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第 1 章

はじめに 宅地造成等規制法が昭和 36 年に制定されてからおよそ半世紀を経過しました この間 平成 18 年には同法制定以来初めての抜本改正が行われています この改正は 阪神 淡路大震災 ( 平成 7 年 ) 新潟県中越地震 ( 平成 16 年 ) などで被災例が多かった大規模盛土造成地に対応するの

7-2 材料 (1) 材料一般 1. アンカーの材料は JIS などの公的機関の規格により保証されているものか もしくは所要の品質や性能を有していることを確認したものとする 2. アンカーの材料を組み立てる場合には 各材料は他の材料に悪影響を与えないことを確認したものを使用する 1) 材料に関する一

AP 工法 による増設壁補強計算例 (1) 設計フロー RC 耐震改修設計指針に示された 中低層鉄筋コンクリート造建物を対象とした開口付き増設壁に AP 工法 を用いて強度抵抗型補強とする場合の補強壁 ( せん断壁 ) の設計フローを示す 周辺架構から補強壁に期待できる耐力の目安をつけ プロポーショ

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多自然 河川護岸自然 環境に調和する擁壁工ブランチブロック工法設計マニュアル - 2018 年度版 - 平成 30 年 4 月 ブランチブロック工法協会

***** 目次 ***** 1. 適用範囲 1 2. 適用基準 1 3. 設計条件 1 (1) 擁壁の形式 1 (2) 荷重 1 (3) 荷重の組合せ 1 (4) 許容応力度 1 (5) 土圧 2 (6) せん断抵抗角 ( 内部摩擦角 ) 3 (7) 壁面摩擦角 3 (8) 単位体積重量 3 (9) 基礎底面と地盤との間の摩擦係数と付着力 5 (10) 支持地盤の種類と許容支持力度 5 (11) 地震の影響 5 4. 設計計算 7 (1) 設計の考え方 7 (2) 設計フロー 8 (3) 外的安定に対する検討 ( 常時 地震時 ) 9 (4) 内的安定に対する検討 ( 地震時 ) 10 5. その他 12 (1) 擁壁天端の施工 12 6. 設計計算例 13 (1) 計算条件 13 (2) 外的安定検討に用いる荷重計算 15 (3) 外的安定照査 22 (4) 内的安定検討に用いる荷重計算 26 (5) 内的安定検討に用いる断面力の計算 27 (6) 内的安定照査 ( 応力度照査 ) 28 7. 標準設計計算結果 30 (1) 背面が水平の場合 30 (2) 背面に1:1.0 の土羽がある場合 ( 土羽高 1.0m) 30 (3) 背面に1:1.0 の土羽がある場合 ( 土羽高 2.0m) 31

1. 適用範囲 本設計マニュアルは コンクリート 2 次製品 ブランチブロック を用いた擁壁の設計 に適用する 2. 適用基準 本設計基準は 以下の指針に準じて設計を行うことを原則とする 道路土工 擁壁工指針 平成 24 年 7 月 ( 社 ) 日本道路協会 土木構造物標準設計第 2 巻 擁壁類 平成 12 年 9 月 ( 社 ) 全日本建設技術協会 3. 設計条件 (1) 擁壁の形式 もたれ式擁壁 (2) 荷重設計に当たっては 一般に次の荷重を考慮するものとする 1) 自重 2) 載荷重 3) 土圧 4) 地震の影響 (3) 荷重の組み合わせ 1 自重 + 載荷重 + 土圧 ( 常時 ) 2 自重 + 地震の影響 ( 地震時 ) ( 地震時慣性力 + 地震時土圧 ) (4) 許容応力度 1) コンクリート (N/mm 2 ) 応力度の種類 コンクリートの設計基準強度 21 24 27 30 圧縮応力度 曲げ圧縮応力度 7 8 9 10 軸圧縮応力度 5.5 6.5 7.5 8.5 コンクリートのみでせん断力を負担する場合 0.36 0.39 0.42 0.45 せん断応力度 斜引張筋と共同して負担する場合 1.6 1.7 1.8 1.9 押し抜きせん断応力度 0.85 0.9 0.95 1.0 付着応力度 異形棒鋼に対して 1.4 1.6 1.7 1.8 注 1) ブランチブロック本体の設計基準強度 24 N/mm 2 を標準とする 注 2) 天端コンクリートの設計基準強度 18 N/mm 2 を標準とする - 1 -

2) 鉄筋 応力度 部材の種類 引張応力度 荷重の組み合わせに衝突あるいは地震の影響を含まない場合 注 ) ブランチブロック本体に使用する鉄筋は SD345 を標準とする SD295A SD295B (N/mm 2 ) 一般の部材 180 180 厳しい環境下の部材 160 160 鉄筋の重ね継手長あるいは定着長を算出する場合 180 200 圧縮応力度 鉄筋の種類 荷重の組み合わせに衝突あるいは地震の影響を含む場合の許容応力度の基本値 SD345 180 200 180 200 3) 許容応力度の割り増し係数 荷重の組み合わせ 割り増し係数 地震時の影響を考慮する場合 1.50 風荷重を考慮する場合 1.25 衝突荷重を考慮する場合 1.50 (5) 土圧ブランチブロックと石材 中詰め材により一体化されたもたれ擁壁の背面に作用する土圧を試行くさび法により算定する ( 計算方法の詳細については道路土工擁壁工指針を参照 ) 右図の B H の平行四辺形を 仮想もたれ擁壁とする - 2 -

(6) せん断抵抗角 ( 内部摩擦角 ) 裏込め土の種類 せん断抵抗角粘着力注 2) φ ( ) C (kn/m 2 ) 礫質土注 1) 35 - 砂質土 30 - 粘性土 ( ただし WL<50%) 25 - 注 1) きれいな砂は礫質土の値を用いてもよい 注 2) 土圧定数をこの表から推定する場合は 粘着力 C を無視する (7) 壁背面摩擦角道路土工擁壁工指針に準拠して壁背面摩擦角 δを求める 常時 δ=2/3φ 地震時 δ=1/2φ (8) 単位体積重量 1) 土の単位体積重量 (kn/m 3 ) 地盤土質緩いもの密なもの 自然地盤 砂および砂礫 18 20 砂質土 17 19 粘性土 14 18 砂および砂礫 盛土砂質土 19 粘性土 ( ただし WL<50%) 注 ) 地下水位以下にある土の単位体積重量は それぞれ表中の値から 9 kn/m 3 を差し引いた値としてよい 20 18 2) コンクリートの単位体積重量 鉄筋コンクリート 24.5 (kn/m 3 ) 無筋コンクリート 23.0 (kn/m 3 ) 3) 水の単位体積重量 水 9.8 (kn/m 3 ) 海水 10.3 (kn/m 3 ) - 3 -

4) 石材の単位体積重量 石材による仮想もたれ擁壁部の間隙比 e は過去の施工実績や試験施工から 15~25% と なる場合が多いことが確認されている 設計計算において 外的安定については単位体積重量を小さく評価したほうが安全側 の設計となり 内的安定については単位体積重量を大きく評価したほうが安全側の設計 となる 以上のことから 仮想もたれ擁壁部石材の見かけの単位体積重量は 外的安定計算時 では e=0.25, 内的安定計算時では e=0.15 として次式により算出するものとする γ=10 n 1 1+e ( 小数点以下 1 桁に丸める ) ここに γ : 仮想もたれ擁壁部石材の見かけの単位体積重量 (kn/m 3 ) n : 石材の種類による比重 e : 仮想もたれ擁壁部石材の間隙比 外的安定計算時 間隙比 e=0.25 とし γ=10 n 1 1+0.25 内的安定計算時 間隙比 e=0.15 とし γ=10 n 1 1+0.15 ブランチブロック工法に適していると考えられる石材の比重 n の一例を下表に示す 岩種花崗岩安山岩玄武岩 比重 2.5~2.8 2.2~2.9 2.7~3.2-4 -

(9) 基礎底面と地盤との間の摩擦係数と付着力 せん断面の条件 岩または礫とコンクリート 土と基礎コンクリートの間に割り栗石または砕石を敷く場合 支持地盤の種類 摩擦係数 μ=tanφ B 付着力 C B 岩盤 0.7 考慮しない 礫層 0.6 考慮しない 砂質土 0.6 考慮しない 粘性土 0.5 考慮しない (10) 支持地盤の種類と許容支持力度 岩盤礫層砂質地盤 支持地盤の種類 許容支持力度 備考 qa (kn/m 2 ) qu (kn/m 2 ) N 値 亀裂の少ない均一な軟岩 1000 10000 以上 - 亀裂の多い硬岩 600 10000 以上 - 軟岩 土丹 300 1000 以上 - 密なもの 600 - - 密でないもの 300 - - 密なもの 300-30~50 中位なもの 200-20~30 粘性土地盤 非常に堅いもの 200 200~400 15~30 堅いもの 100 100~200 10~15 注 ) 地震時は常時値の1.5 倍とする (11) 地震の影響 1) 設計水平震度地震の影響を考慮する場合の設計水平震度は次式により算出するものとする k h=c Z k h0 ここに k h : 設計水平震度 k h0 : 設計水平震度の標準値で下表による c Z : 地域別補正係数で 道路土工要綱 巻末資料 資料 -1 地盤種別 Ⅰ 種 Ⅱ 種 Ⅲ 種レベル1 地震動 0.12 0.15 0.18 レベル2 地震動 0.16 0.20 0.24 注 ) 設計地震動のレベルについては道路土工擁壁工指針に準じる - 5 -

耐震設計上の地盤種別は 原則として地盤の特性値 T G により区分し 下表によるもの とする 地表面が基盤面と一致する場合は Ⅰ 種地盤とする 地盤種別 地盤の特性値 T G (sec) Ⅰ 種 T G < 0.2 Ⅱ 種 0.2 T G < 0.6 Ⅲ 種 0.6 T G 地盤の特性値 T G は次式により算出するものとする T G=4Σ Hi V si ここに T G : 地盤の特性値 (sec) H i :i 番目の地層の厚さ (m) V si :i 番目の地層の平均せん断弾性波速度 (m/sec) 粘性土の場合 V si = 100N i 1/3 砂質土の場合 V si = 80N i 1/3 (1 N i 25) (1 N i 50) N i : 標準貫入試験による i 番目の地層の平均 N 値 i : 当該地盤が地表面から基盤面まで n 層に区分されるときの地表面から i 番目の 地層の番号 2) 地震時慣性力の求め方 地震時慣性力は, 自重 ( 一体化する擁壁部全体の自重 )W に設計水平震度 k h を乗じた ものとし 擁壁全体断面の重心位置 G を通って水平方向に作用させる 重量 :W =B H γ(kn) 作用高 :H G=1/2H (m) - 6 -

3) 地震時土圧の求め方地震時土圧の算定には 試行くさび法において土くさびに水平方向の地震時慣性力を作用させる方法を用いるものとする ( 計算方法の詳細については道路土工擁壁工指針を参照 ) 4. 設計計算 (1) 設計の考え方本工法は ブランチブロックにより石材の一体化を図り 全体で擁壁 ( もたれ式擁壁 ) としての機能を発揮させ 斜面の安定性を確保する工法である また 別途技術資料に示すように 常時においてはブランチブロックには増加応力が見られないことが確認されており 石材だけで斜面の安定性を十分確保できることが確認されている したがって ブランチブロックに必要な機能は 地震時においても安定的に石材の一体化を図ることである すなわち 地震力を受けた石材が擁壁全面側に抜け出すことを防止することがブランチブロックに要求される機能である 以上のことから 設計として求められることは 常時 地震時についての外的安定に対する照査 地震時における石材の抜け出しを防止する内的安定に対する照査である 1) 外的安定についての検討 ( 常時 地震時 ) 1 滑動に対する照査 2 転倒に対する照査 3 支持地盤の支持力に対する照査 2) 部材の応力度検討 ( 地震時 ) 1 ブランチブロック本体の応力度照査 3) 安定計算時の安全率荷重の組み合わせ 転倒 滑動 地盤支持 地震時の影響を考慮しない場合 B/6 1.50 許容支持力以内 地震時の影響を考慮する場合 B/3 1.20 常時の1.5 倍 - 7 -

(2) ブランチブロックの設計は以下のようなフローに従って行う 計算開始 常時外的安定 荷重計算 ( 常時土圧 自重 ) 滑動 転倒 支持力に対する照査 地震時外的安定 荷重計算 ( 地震時土圧 ) 滑動 転倒 支持力に対する照査 荷重計算 ( 地震時慣性力 ) 地震時内的安定 断面力計算 応力度照査 計算終了 - 8 -

(3) 外的安定に対する検討 ( 常時 地震時 ) 1) 滑動に対する安定 Fs = 滑動に対する抵抗力滑動力 = V μ+cb B H ΣV: 擁壁底面における全鉛直荷重 (kn/m) ΣH: 擁壁底面における全水平荷重 (kn/m) μ : 擁壁底面と支持地盤の間の摩擦係数 C B : 擁壁底面と支持地盤の間の付着力 (kn/m 2 ) B : 擁壁底面の幅 (m) 安全率 Fs は常時で1.5 地震時には1.2を下回ってはならない 安全率の値が所定の安全率を満足できない場合は 原則として擁壁を大きくする 地形条件などの制約によりやむをえない場合は 基礎の根入れを深くして前面土の受働土圧を考慮するなどの方法を考慮する 2) 転倒に対する検討合力の作用点は常時は底版中央の底版幅 1/3の範囲よりも後方になければならない ( ミドルサードより後方 ) e B/6 地震時は底版中央の底版幅 2/3の範囲よりも後方になければならない e B/3 もたれ擁壁であるため 作用点の位置が上記範囲を外れている場合でも 合力の作用 点が底版中央の底面幅 1/3( 地震時の場合は 2/3) より後方にあれば 擁壁が後方 に転倒することはないと判断してよい 3) 地盤支持に対する検討道路土工擁壁工指針に準拠し 荷重の合力の作用位置 dの範囲に応じた計算式により最大地盤反力度を計算し 最大地盤反力度が許容支持力度以内であれば良い qmax qa - 9 -

(4) 内的安定に対する検討 ( 地震時 ) 1) 断面力の算定 以下の手順で枝材付根部に発生する断面力を算定する ブランチブロック 1 基当たりに作用する地震時慣性力を計算する p 0=k h γ B ここに p 0 : 単位面積当たりに作用する地震時慣性力 (kn/m 2 ) k h : 設計水平震度 γ : 仮想もたれ擁壁の見かけの単位体積重量 (kn/m 3 ) B : 仮想もたれ擁壁の奥行き幅 (m) P 0=p 0 a 1 a 2 ここに P 0 : ブランチブロック 1 基当たりに作用する地震時慣性力 (kn) a 1 : ブランチブロックの水平方向設置間隔 (1.0m を標準とする ) a 2 : ブランチブロックの鉛直方向設置間隔 (1.0m を標準とする ) 枝材 1 本当たりに作用する荷重を計算する P=P 0/3 ( 枝材 3 本が均等に荷重を負担するものとする ) ここに P : 枝材 1 本当たりに作用する地震時慣性力 (kn) 幹材に発生する軸力を計算する N=P 0 ここに N : 幹材に発生する軸力 (kn) 枝材付根部に発生する曲げモーメント せん断力を計算する M=P L/2 ( 部材中央に集中荷重が作用する片持ち梁の曲げモーメント ) S=P ( 部材中央に集中荷重が作用する片持ち梁のせん断力 ) ここに M : 枝材付根部に発生する曲げモーメント (kn m) S : 枝材付根部に発生するせん断力 (kn) L : 枝材の有効長 (m) - 10 -

2) 応力度照査 幹材についての応力度照査 幹材について算出した軸力に対し 鉄筋のみで抵抗 ( コンクリートの引張応力度は考 慮しない ) するものとし 次式により鉄筋の引張応力度 (σ s) を算定し 許容応力度 (σ sa) に対して照査する σ s=n/σa s ここに A s : 幹材に配置する鉄筋の断面積 (mm 2 ) 枝材についての応力度照査 算出した断面力を用い 下図に示すように枝材断面 (6 角形 ) に内接する円形 RC 断 面として応力度 (σ c,τ m,σ s) を算定し 許容応力度 (σ ca,τ a,σ sa) に対して 照査する 半径 r 0=90mm 鉄筋位置 r 1=37mm の RC 円形断面 (4-D10) で応力度計算を行う 枝材の断面配筋図 応力度計算断面図 - 11 -

5. その他 (1) 擁壁天端の施工擁壁天端の施工方法については 様々な仕上げ方法があり 設置環境 景観や安全性を考慮して採用するものとする 1) 前面部石材 (etc ミカゲ長石 : 割肌 150 120 1800 棒状コンクリート製品 ) を ブランチブロック天端部に設置し その背面を割栗石 ( クラッシャーラン ) で埋 戻して仕上げる 2) 天端コンクリート ( 無筋 ) を 10cm~15cm の厚さで打設して仕上げる ( 奥行き方向打設幅 :50cm~150cm 程度 ) 3) 植生土のうを 1 段 (15cm) 積み 背面は土砂で埋戻して仕上げる 4) 天端まで自然石を積み上げる この場合の奥行き幅は 100~150cm 程度とする - 12 -

6. 設計計算例 (1) 計算条件 1) 形状寸法 2) 使用材料 コンクリート設計基準強度 :σ ck=24(n/mm 2 ) 許容応力度 : 許容曲げ圧縮応力度 σ ca=8(n/mm 2 ) 許容せん断応力度 τ a =0.39(N/mm 2 ) 鉄筋鉄筋種別 :SD345 許容応力度 : 許容曲げ引張応力度 σ sa=160(n/mm 2 ) 裏込め土( 背面土 ) 砂質土 ( 密なもの ) 単位体積重量 :γ=19.0(kn/m 3 ) 内部摩擦角 :φ=30.0( ) 粘着力 :C= 0.0(kN/m 2 ) 壁面摩擦角 : 常時 δ=2/3φ =20.0( ) 地震時 δ=1/2φ =15.0( ) - 13 -

石積み石材 花崗岩 比重 :n=2.6 単位体積重量 : 外的安定計算時 間隙比 e=0.25 γ=10.0 2.6 1 1+0.25 =20.8(kN/m 3 ) 内的安定計算時 間隙比 e=0.15 γ=10.0 2.6 1 1+0.15 =22.6(kN/m 3 ) 3) 支持地盤土質区分 : 砂質土摩擦係数 :μ=0.6 許容支持力度 :qa=300(kn/m 2 ) 4) 地震の影響当該箇所の地盤種別 :Ⅰ 種地盤とする当該箇所の地域区分 :A 地域別補正係数 c Z=1.0 対象とする地震規模 : 中規模地震設計水平震度の基本値 :k h0 =0.12(Ⅰ 種地盤, 中規模地震対応 ) 設計水平震度 :k h =1.0 0.12 =0.12-14 -

(2) 外的安定検討に用いる荷重計算 1) 躯体体積 重心 [1] ブロック割り [2] 体積 重心 2) 前面土砂体積 重心 [1] ブロック割り - 15 -

[2] 体積 重心 3) 躯体自重による作用力 [1] 常時 [2] 地震時 4) 前面土砂による作用力 [1] 常時 - 16 -

5) 自重集計 [1] 常時 [2] 地震時 6) 土圧 - 17 -

[1] 常時 - 18 -

[2] 地震時 - 19 -

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7) 躯体前面での作用力の集計 [1] 常時 [2] 地震時 8) 躯体中心での作用力の集計 - 21 -

(3) 外的安定照査 1) 滑動に対する照査 2) 転倒に対する照査 - 22 -

3) 支持力に対する照査 - 23 -

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(4) 内的安定計算に用いる荷重計算 1) 地震時慣性力 p 0=k h γ B ここに p 0 : 単位面積当たりに作用する地震時慣性力 (kn/m 2 ) k h : 設計水平震度 k h=0.12 γ : もたれ擁壁の見かけの単位体積重量 (kn/m 3 ) γ =22.6(kN/m 3 ) B : もたれ擁壁の奥行き幅 (m) B =1.500(m) よって p 0= 0.12 22.6 1.500 = 4.068(kN/m 2 ) 2) ブランチブロック 1 基当たりに作用する地震時慣性力 P 0=p 0 a 1 a 2 ここに P 0 : ブランチブロック 1 基当たりに作用する地震時慣性力 (kn) a 1 : ブランチブロックの水平方向設置間隔 (1.0m を標準とする ) a 2 : ブランチブロックの鉛直方向設置間隔 (1.0m を標準とする ) よって P 0= 4.068 1.0 1.0 = 4.068(kN) 3) 枝材 1 本当たりに作用する荷重 P=P 0/3 ( 枝材 3 本が均等に荷重を負担するものとする ) ここに P : 枝材 1 本当たりに作用する地震時慣性力 (kn) よって P= 4.068/3 ( 枝材 3 本が均等に荷重を負担するものとする ) = 1.356(kN) - 26 -

(5) 内的安定計算に用いる断面力の計算幹材に発生する軸力を計算する N=P 0 =1.356(kN) 枝材付根部に発生する曲げモーメント せん断力を計算する M=P L/2 ( 部材中央に集中荷重が作用する片持ち梁の曲げモーメント ) S=P ( 部材中央に集中荷重が作用する片持ち梁のせん断力 ) ここに M : 枝材付根部に発生する曲げモーメント (kn m) S : 枝材付根部に発生するせん断力 (kn) L : 枝材の有効長 (L=0.75m) よって M=1.356 0.75/2 =0.509(kN m) S=1.356(kN) - 27 -

(6) 内的安定照査 ( 応力度照査 ) 幹材についての応力度照査幹材について算出した軸力に対し 鉄筋のみで抵抗 ( コンクリートの引張応力度は考慮しない ) するものとし 次式により鉄筋の引張応力度 (σ s) を算定し 許容応力度 (σ sa) に対して照査する σ s=n/σa s ここに A s : 幹材に配置する鉄筋の断面積 (mm 2 ) 4-D13 4 126.7=506.8(mm 2 ) σ s=1.356 1000/506.8 =2.676(N/mm 2 ) σ sa =300(N/mm 2 ) OK 枝材についての応力度照査 算出した断面力を用い 下図に示すように枝材断面 (6 角形 ) に内接する円形 RC 断 面として応力度 (σ c,τ m,σ s) を算定し 許容応力度 (σ ca,τ a,σ sa) に対して 照査する 半径 r 0=90mm 鉄筋位置 r 1=37mm の RC 円形断面 (4-D10) で応力度計算を行う 枝材の断面配筋図 応力度計算断面図 σ c= 2.447(N/mm 2 ) σ sa = 12.00(N/mm 2 ) OK τ m= 0.09 (N/mm 2 ) τ a = 0.58(N/mm 2 ) OK σ s=48.024(n/mm 2 ) σ sa =300.00(N/mm 2 ) OK - 28 -

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7. 標準設計計算結果一覧表 (1) 背面が水平の場合 H (2) 背面に 1:1.0 の土羽がある場合 ( 土羽高 1.0m) 1.0m H 1.0m - 30 -

(3) 背面に 1:1.0 の土羽がある場合 ( 土羽高 2.0m) 1.0m H 2.0m - 31 -

ブランチブロック工法協会 事務局 : 株式会社高環境エンジニアリング内 151-0051 東京都渋谷区千駄ヶ谷 4-30-3 TEL:03-5413-6222 FAX:03-5413-2228