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206 年実施卒後教育プログラム ( 日泌総会 ) 領域等タイトル日時単位 日泌総会卒後 日泌総会卒後 2 日泌総会卒後 3 日泌総会卒後 4 日泌総会卒後 8 日泌総会卒後 9 日泌総会卒後 0 日泌総会卒後 日泌総会卒後 2 日泌総会卒後 3 日泌総会卒後 4 日泌総会卒後 5 日泌総会卒後 6

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国立病院機構京都医療センター  泌尿器科 医療連携のための排尿障害診療ガイドライン

京都医療センター排尿障害診療パス【第5版_ 改訂】 

3 尿意切迫感 : 急に起こり抑えられない強い尿意で我慢することができないという愁訴である. 水に触れたり, 流れる音を聞いたり, 水の流れを見たりすると誘発されることが多い. 正常者が感じる排尿を我慢していて徐々に増強する強い尿意とは異なり, 予測できない突然起こる強い尿意である. 4 切迫性尿失

背部痛などがあげられる 詳細な問診が大切で 臨床症状を確認し 高い確率で病気を診断できる 一方 全く症状を伴わない無症候性血尿では 無症候性顕微鏡的血尿は 放置しても問題のないことが多いが 無症候性肉眼的血尿では 重大な病気である可能性がある 特に 50 歳以上の方の場合は 膀胱がんの可能性があり

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目 次 CONTENTS 1. はじめに 3 2. 下部尿路症状 4 3. 疫学 5 4. 排尿の仕組み 6 5. 下部尿路機能の分類 7 6. 蓄尿障害の疾患 病態 治療 8 1 腹圧性尿失禁 8 2 切迫性尿失禁と過活動膀胱 10 Ⅰ. 抗コリン薬 13 1 トルテロジン 13 2 ソリフェナシ

前立腺特異抗原 (PSA) 軽度上昇症例におけるα1アドレナ Titleリン受容体遮断薬内服によるPSAの変化について : 前立腺肥大症 / 下部尿路症と前立腺癌の比較 Author(s) 花井, 禎 ; 松本, 成史 ; 小路, 直 ; 臼井, 幸男 ; 唐, 小燕良成 ; 井口, 正典 ; 植村


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経支配は副交感神経優位に切り替わる10) 排尿を決意すると, 副交感神経終末からアセチルコリンが放出され, 膀胱はムスカリン (M) 受容体を介した作用により収縮し, 尿が排出される7) 抗コリン薬はこのアセチルコリンのムスカリン (M) 受容体への結合を遮断することで, 膀胱の異常収縮を抑制する

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( 例 : 投与 2 週後 以後 3 ヶ月ごと ) に施行することが望ましい さらに 前述の排尿状態悪化の可能性 その場合の自覚症状について患者に十分に説明を行い 排尿困難にかかわる症状を自覚した場合には すみやかに受診するように指導することも早期発見 早期対応のポイントである 2. 副作用の概要

泌尿器科領域講習 2015 年実施卒後教育プログラム 日泌総会卒後 1 日泌総会卒後 2 日泌総会卒後 3 日泌総会卒後 4 日泌総会卒後 5 日泌総会卒後 6 日泌総会卒後 7 日泌総会卒後 8 日泌総会卒後 9 日泌総会卒後 10 日泌総会卒後 11 日泌総会卒後 12 日泌総会卒後 13 日泌

領域等タイトル日時単位 卒後 卒後 2 卒後 3 卒後 4 卒後 8 卒後 9 卒後 0 卒後 卒後 2 卒後 3 卒後 4 卒後 5 卒後 6 卒後 7 卒後 8 卒後 9 尿路感染症 性感染症ガイドライン 4 月 23 日 ( 土 )8:20-9:50.5 VUR の診断と治療 4 月 23 日

前立腺と下部尿路の生理

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( 本カードは常に携帯いただくか おくすり手帳に貼ることもできます ) ( 本カードは常に携帯いただくか おくすり手帳に貼ることもできます ) カードの作り方カードの作り方下の図のように下の図のようにおつくりください おつくりください 本カードは必ず服用カード常に携帯ください患者さんへ医療機関を受診

院内がん登録における発見経緯 来院経路 発見経緯がん発見のきっかけとなったもの 例 ) ; を受けた ; 職場の健康診断または人間ドックを受けた 他疾患で経過観察中 ; 別の病気で受診中に偶然 がん を発見した ; 解剖により がん が見つかった 来院経路 がん と診断された時に その受診をするきっ

前立腺の変化を知る

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NCCN2010.xls

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上原記念生命科学財団研究報告集, 28 (2014)

POS薬歴がすぐ書ける「薬暦スキルアップ」虎の巻 専門疾患篇

蓄尿時には平滑筋は弛緩括約筋は収縮 排尿時には平滑筋は収縮括約筋は弛緩する この連動がうまくいってはじめてスムーズな排尿が可能である 正常な蓄尿とそのポイント尿がたまる (100ml くらい尿がたまると尿意を感じる 普段は大体 ml くらいで排尿しているはずなので 健常者では回数は 5

2 下部尿路症状景知識図 1 排尿に関する神経支配 Ⅱ 尿 排尿 神経 排尿 神経 神経 神経 神経 神経 吉田修, 東間紘, 村井勝編. 泌尿器疾患の最新医療, 先端医療技術研究所,2003; p179 5) より引用 これらの一連の排尿機能に何らかの異常を来して起きる症状を下部尿路症状と呼ぶが,

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国際医療福祉大学 診療情報管理学科

頻尿の原因 石原順就 泌尿器科部長

過活動膀胱とは 尿意切迫感 があり 頻尿 夜間頻尿 や 時に 切迫性尿失禁 がある状態を過活動膀胱といいます 過活動膀胱は 膀胱が勝手に縮んだり 過敏な働きをするために起こります 尿意切迫感 頻尿 夜間頻尿 切迫性尿失禁 それまで何もなかったのに 突然トイレに行きたくなり がまんが難しい症状 日中

前立腺癌は男性特有の癌で 米国においては癌死亡者数の第 2 位 ( 約 20%) を占めてい ます 日本でも前立腺癌の罹患率 死亡者数は急激に上昇しており 現在は重篤な男性悪性腫瘍疾患の1つとなって図 1 います 図 1 初期段階の前立腺癌は男性ホルモン ( アンドロゲン ) に反応し増殖します そ

Microsoft PowerPoint 年10月大分排尿ケア-中修.pptx

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2. 転移するのですか? 悪性ですか? 移行上皮癌は 悪性の腫瘍です 通常はゆっくりと膀胱の内部で進行しますが リンパ節や肺 骨などにも転移します 特に リンパ節転移はよく見られますので 膀胱だけでなく リンパ節の検査も行うことが重要です また 移行上皮癌の細胞は尿中に浮遊していますので 診断材料や

Title 前立腺肥大症に対するナフトピジルとタムスロシンの臨床効果の比較 Author(s) 羽入, 修吾 ; 波田野, 彰彦 ; 西山, 勉 ; 小原, 健司 ; 高橋, Citation 泌尿器科紀要 (2010), 56(9): Issue Date URL

泌尿紀要 56 : ,2010 年 209 前立腺肥大症患者の夜間頻尿と睡眠障害に対するナフトピジルの有用性について 岩城秀出洙 1, 成田充弘 2 1, 曽我弘樹坂野祐司 3, 小西平 4 2, 岡田裕作 1 豊郷病院泌尿器科, 2 滋賀医科大学泌尿器科 3 社会保険滋賀病院泌尿器科

適応病名とレセプト病名とのリンクDB

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平成14年度研究報告

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質問ページ 泌尿器領域の超音波検査について知りたいこと 疑問に思っていることがございましたら枠内 に記入し 当日の受付時にご提出ください 講義の後半で 回答させて頂きます

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連携ニュ−ス発刊にあたって

はじめに 前立腺癌に対する永久留置法による小線源療法は一口で言うと 弱い放射線を出す小さな線源を前立腺内に埋め込み 前立腺内部から癌の治療を行うものです ただし すべての前立腺癌に適応できるものではありません この説明書は小線源療法についての概説です よくお読みになった上で ご不明の点があれば担当医

移動は車椅子 移乗には一部介助必要 更衣には一部介助必要 生活状況食事は箸で自力摂取 入浴は一部介助が必要 会話可能だが排泄失敗時 混乱 興奮がみられる アセスメント日中の排尿回数が少ないこと 1 回排尿量が多いことから 溢流性尿失禁は考えにくく 腹圧性及び切迫性尿失禁の症状はみられないことから 機

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症例 80 歳女性 l 高血圧や心不全で当院通院中. 最近物忘れが始まったとのことで ドネペジルを開始した. l 1 ヶ月後のフォロー外来で 尿取りパットが必要になった とのことで長女さんと一緒に来院. l 内服薬 : ドネペジル 10mg/ 日 エナラプリル 2.5mg/ 日 フロセミド 20mg

在宅医療における尿路管理

3 上部尿路閉塞 腎後性腎不全景知識2. 上部尿路閉塞の原因上部尿路閉塞の原因としては結石, 悪性腫瘍, 放射線治療による炎症性狭窄などがあるが, 神経因性膀胱や前立腺肥大症などの下部尿路通過障害による尿閉状態か らでも腎後性腎不全は起こりうる 上部尿路の尿流を直接閉塞する可能性のある悪性腫瘍として

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Title 日本人男性におけるα1-Blocker 抵抗性のLUTS/BPHに対してTadalafil 追加投与の有効性の検討 Author(s) 林, 圭一郎 ; 深貝, 隆志 ; 佐々木, 春明 ; 森田, 將 ; 五十嵐古敷谷, 淳 Citation 泌尿器科紀要 = Acta urologi

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日本内科学会雑誌第98巻第12号

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第1回_建築のデザインを考える_その1

0275難病情報センターのご案内_表面#4-03

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33 NCCN Guidelines Version NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines ) (NCCN 腫瘍学臨床診療ガイドライン ) 非ホジキンリンパ腫 2015 年第 2 版 NCCN.or

前立腺癌

本文/開催および演題募集のお知らせ

健康た?よりNo109_健康た?より

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39 過活動膀胱 頻尿 尿意切迫感 尿失禁でお困りの方へ 一般社団法人日本臨床内科医会

勃起不全治療薬として承認前から大きな話題を呼んだバイアグラは 平成 11 年 3 月 23 日発売されました 希望処方価格は 25mg 1 錠 =1100 円 50mg 1 錠 =1300 円 勃起障害 =ED とは 標題に掲げた ED(Erectile Dysfunction: 勃起障害 ) とい

福島県のがん死亡の年次推移 福島県におけるがん死亡数は 女とも増加傾向にある ( 表 12) 一方 は 女とも減少傾向にあり 全国とほとんど同じ傾向にある 2012 年の全のを全国と比較すると 性では高く 女性では低くなっている 別にみると 性では膵臓 女性では大腸 膵臓 子宮でわずかな増加がみられ

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パーキンソン病における下部尿路機能障害診療

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ヘルスケア・スクエア(仮称)設立に向けて

卒前総括講義 泌尿器科①


限局性前立腺がんとは がんが前立腺内にのみ存在するものをいい 周辺組織やリンパ節への局所進展あるいは骨や肺などに遠隔転移があるものは当てはまりません がんの治療において 放射線療法は治療選択肢の1つですが 従来から行われてきた放射線外部照射では周辺臓器への障害を考えると がんを根治する ( 手術と同

佐賀県肺がん地域連携パス様式 1 ( 臨床情報台帳 1) 患者様情報 氏名 性別 男性 女性 生年月日 住所 M T S H 西暦 電話番号 年月日 ( ) - 氏名 ( キーパーソンに ) 続柄居住地電話番号備考 ( ) - 家族構成 ( ) - ( ) - ( ) - ( ) - 担当医情報 医

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ふくじゅおもて面1

脂質異常症を診断できる 高尿酸血症を診断できる C. 症状 病態の経験 1. 頻度の高い症状 a 全身倦怠感 b 体重減少 体重増加 c 尿量異常 2. 緊急を要する病態 a 低血糖 b 糖尿性ケトアシドーシス 高浸透圧高血糖症候群 c 甲状腺クリーゼ d 副腎クリーゼ 副腎不全 e 粘液水腫性昏睡

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Title 前立腺肥大症に対するTUEB (Transurethral Enucl with Bipolar) 初期治療成績の検討 Author(s) 中尾, 篤 ; 福井, 浩二 ; 東郷, 容和 ; 古倉, 浩次 Citation 泌尿器科紀要 (2010), 56(7): Is

Title 前立腺肥大症に伴う男性下部尿路症状に対するナフトピジルとシロドシンの無作為クロスオーバー試験 Author(s) 増田, 光伸 ; 神座, 慎一郎 ; 増子, 洋 ; 朝倉, 智行 ; 榛葉, Citation 泌尿器科紀要 (2012), 58(12): Issue D

第 7 章 腎 泌尿器領域 (a) : すべての専門医が到達すべき知識 技術 (b) : すべての専門医が, さらに高度の専門性を獲得するために到達すべき知識 技術 (c) : 該当する領域において, 専門医が到達すべき知識 技術 (d) : 該当する領域において, 専門医がさらに高度の専門性を獲得

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2018 年 10 月 4 日放送 第 47 回日本皮膚アレルギー 接触皮膚炎学会 / 第 41 回皮膚脈管 膠原病研究会シンポジウム2-6 蕁麻疹の病態と新規治療法 ~ 抗 IgE 抗体療法 ~ 島根大学皮膚科 講師 千貫祐子 はじめに蕁麻疹は膨疹 つまり紅斑を伴う一過性 限局性の浮腫が病的に出没

抗精神病薬の併用数 単剤化率 主として統合失調症の治療薬である抗精神病薬について 1 処方中の併用数を見たものです 当院の定義 計算方法調査期間内の全ての入院患者さんが服用した抗精神病薬処方について 各処方中における抗精神病薬の併用数を調査しました 調査期間内にある患者さんの処方が複数あった場合 そ

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前立腺肥大症 Benign Prostatic Hyperplasia: BPH BPH の病態生理の理解のために (1) 正常前立腺の zonal anatomy An Overview Urethra Transition zone Anterior fibromuscular stroma Ejaculatory duct Central zone Peripheral zone BPH の病態生理の理解のために (2) アンドロゲン標的臓器としての前立腺 前立腺肥大症と前立腺癌の発生母地は異なる 前立腺肥大症 ( 腺腫 ) 前立腺癌 ( 腺癌 ) Transition zone より発生 Peripheral zoneより発生 (70%) Transition zoneより発生 (20%) Central zoneより発生 (10%) 肝臓 皮膚 Testosterone Type I-5AR 間脳 LH-RH CRF 下垂体 LH ACTH 精巣 副腎皮質 Corticosterone Testosterone Androstendione DHEA Testosterone Androstendione 17β-HSD DHEA 3β-HSD Type II-5AR 蛋白合成 Androgen receptorへの結合 核内 前立腺肥大症が進行して前立腺癌になるわけではない AREs への結合 mrna 前立腺細胞 BPH の病因 (1) BPH の病因 (2) 明らかなリスクファクター 加齢 - 加齢に伴う組織学的前立腺肥大症の増加 - 加齢に伴う前立腺重量の増加 アンドロゲン - 思春期前に去勢すると BPH は発生しない -5 -reductase 欠損症例では BPH は発生しない 正常前立腺 前立腺肥大症 1

BPH における下部尿路通過障害の発生機序 (1) BPH における下部尿路通過障害の発生機序 (2) (Benign Prostatic Hyperplasia) 機械的閉塞 機能的閉塞 交感神経 BPH BPE BOO (Benign Prostatic Enlargement) (Bladder Outlet Obstruction) 腺腫の増大 平滑筋成分の増加 BPH における下部尿路通過障害の発生機序 (3) BPH における下部尿路通過障害の発生機序 (4) 上皮成分の増加 間質 ( 平滑筋 ) 成分の増加 平滑筋成分の割合には個人差がある BPE が必ずしも BOO を引き起こすわけではない 薬物療法に対する反応も個人差がある ( 泌尿器科 ) 専門医向け診療アルゴリズム ( 男性下部尿路症状 前立腺肥大症診療ガイドライン 2017) ❸ 下部尿路症状を訴える中高年男性 問題ある症状 病歴 所見基本評価 ( 選択評価専門 ) ❼ ❻ ❺ 他の疾患 前立腺肥大症 前立腺肥大症を伴 わない 他疾患治療 過活動膀胱 ❽ 手術適応 ❾ 行動療法行動療法 α 1 遮断薬, 阻害薬抗コリン薬β などの薬物療法 3 作動薬などの あり なし 薬物療法 手術療法その他の治療 30 ml 以上の前立腺腫大 5α 還元酵素阻害薬併用 変更 過活動膀胱症状 抗コリン薬か β 3 作動薬の併用 ❷ 過活動膀胱診療ガイドライン ❶ 夜間頻尿が主症状 なし 夜間多尿 あり 行動療法 夜間頻尿診療ガイドライン ❹ BPH の概念の変化 BPH の診断 (1) 基本概念 - 生理学的加齢変化 疾病としての BPH から QOL を障害する状態としての BPH へ 自覚症状の評価を重視 生理学的変化の範囲から逸脱した場合 疾患 として完成 - 腎後性腎不全 ( 水腎症 ) - 尿閉 2

BPH の診断 (2) 自覚症状の評価 (1) 既往歴, 合併症および服用薬剤のチェック 自覚症状の評価 直腸診 前立腺特異抗原 (PSA) 測定 前立腺超音波検査 ( 前立腺体積の評価 ) 尿流量測定 残尿量測定 下部尿路症状 ((lower urinary tract symptom; LUTS) 排尿症状 (voiding symptom) 畜尿症状 (storage symptom) 排尿後症状 (post micturition symptom) 下部尿路症状の概念 年齢 性別 原疾患の種類 } を問わない 自覚症状の評価 (2) LUTS の定量化 国際前立腺症状スコア (IPSS) QOL インデックス 自覚症状の評価 (3) 目的 - BPHの 診断 には使用しない BPHに特徴的なLUTSは存在しない 重症度判定 治療効果判定 異なる施設間でのデータの比較 IPSS 自覚症状の評価 (4) 0-7 mild ( 軽症 ) 治療を考慮する必要なし 8-19 moderate ( 中等症 ) 苦痛の強い症例に対しては 治療を考慮する必要あり 20-35 severe ( 重症 ) 治療を考慮する必要あり 自覚症状の評価 (5) なぜ下部尿路閉塞を引き起こす BPH に畜尿症状 ( 頻尿 尿意切迫 尿失禁 ) が合併するのか? 排尿筋過活動 特発性 ( 下部尿路通過障害に続発 ) 神経因性 ( 潜在的な脳血管障害など ) 残尿量の増加 膀胱のコンプライアンス低下による有効膀胱容量の減少 溢流性尿失禁 尿路感染症 夜間尿量の増加 (ADH 分泌低下 ) 睡眠障害 安易な対症療法 ( 抗コリン薬 ) は病状の悪化を招く 3

直腸診 PSA (Prostate Specific Antigen) 前立腺癌の検出 前立腺体積の主観的な推測 腺腔 癌 BPH 正常 前立腺上皮細胞より産生 逸脱酵素 癌特異的ではない 前立腺癌の 90% で上昇 前立腺肥大症の 20-30% で上昇 癌の疑いがある場合 生検が必要 基底膜 血管 上皮 基底細胞 経直腸的超音波検査 (TRUS) 尿流量測定 (1) 前立腺推定体積の算出 ( 前立腺癌の検出 ) 正常 尿流量 (ml/sec) 最大尿流量 (Qmax) BPH 時間 (sec) 尿流量測定 (2) 臨床的な BPH の診断 最大尿流量の解釈 15 ml/sec 以上閉塞の可能性は少ない (20%) 10-15ml/sec 不明確 (50%) 10ml/sec 未満閉塞の可能性が高い (80%) 膀胱排尿筋収縮力障害 前立腺体積の増大 (TRUS) 典型的 BPH LUTS (IPSS) 下部尿路閉塞 (Qmax) 4

既往歴 合併症 服用薬剤のチェック 神経因性膀胱 糖尿病 直腸癌 脊髄 脳血管障害 神経疾患 尿道狭窄 前立腺癌 尿路感染症 膀胱癌 下部尿管結石 加齢による膀胱機能異常 副作用として排尿障害を引き起こす薬剤 1. 感冒薬 9. 抗精神病薬 2. 睡眠薬 精神安定薬 10. 鎮痛薬 3. 気管支拡張薬 11. 鎮痙薬 4. 不整脈治療薬 12. 筋弛緩薬 5. 抗ヒスタミン薬 13. パ キンソン病治療薬 6. 消化性潰瘍治療薬 14. 抗結核薬 7. 血圧降下薬 15. 頻尿 尿失禁治療薬 8. 抗うつ薬 16. 麻薬 BPH の治療 (1) BPH の治療 (2) 治療適応症例および治療のゴール LUTS の QOL の向上 臨床効果 VLAP HoLEP PVP TUR-P 開放手術 医学的に見た場合の外科的治療の絶対適応 腎機能低下 繰り返す尿路感染症 高度の残尿 溢流性尿失禁 コントロール不能な血尿 温熱 高温度療法 薬物療法 HIFU 合併症 薬物療法 BPH の治療 (3) 1 受容体の分布 作用 前立腺サイズ 効果 副作用 1-blocker 平滑筋 速効 起立性低血圧 1D 膀胱排尿筋 阻害薬 抗アンドロゲン剤 平滑筋 血管内皮速効勃起 上皮 遅効 ED 前立腺癌のマスク 5α 還元酵素阻害剤上皮遅効女性化乳房 1A 1B 前立腺平滑筋 血管平滑筋 5

アンドロゲン標的臓器としての前立腺 デュタステリド 間脳 LH-RH CRF 下垂体 LH ACTH 肝臓 皮膚 精巣 副腎皮質 Testosterone フィナステリド Testosterone Androstendione 抗アンドロゲン剤 Corticosterone DHEA アリルエストレノール Type I-5AR Testosterone Androstendione 17β-HSD DHEA 3β-HSD Type II-5AR 蛋白合成 Androgen receptorへの結合核内 AREsへの結合 mrna 前立腺細胞 Screening Single-blind 4-week placebo run-in ベースライン CombAT 試験デザイン Double-blind タムスロシン 0.4 mg デュタステリド 0.5 mg 主要評価項目 : 併用 24 ヶ月 IPSS 前立腺体積 30 ml 以上 48 ヶ月 尿閉外科治療 Safety follow-up Roehrborn CG, et al, Eur Urol 2010, 57:123 IPSS の変化 0-1 -2 併 (n=1,610) デュタステリド (n=1,623) タムスロシン (n=1,611) IPSS 平均変化量 -3-4 -5-6 -7-8 0 6 12 18 24 30 36 42 48 投与期間 ( ヵ月 ) Roehrborn CG, et al, Eur Urol 2010, 57:123 IPSS 平均変化量 0-1 -2-3 -4-5 -6-7 -8 投与前の前立腺体積別の IPSS の 30 <42 ml 42 <58 ml 58 ml 0 6 12 18 24 30 36 42 48 0 6 12 18 24 30 36 42 48 0 6 12 18 24 30 36 42 48 投与期間 ( ヵ月 ) 併用デュタステリドタムスロシン 前立腺肥大症の薬物療法の種類と目的 ( 泌尿器科 ) 専門医向け診療アルゴリズム ( 男性下部尿路症状 前立腺肥大症診療ガイドライン 2017) ❸ 下部尿路症状を訴える中高年男性 問題ある症状 病歴 所見基本評価 ( 選択評価専門 ) ❷ ❶ α1 遮断薬 併用 5α 還元酵素阻害薬 機能的閉塞 機械的閉塞 下部尿路症状の 疾患進行の抑制 ❼ ❻ ❺ 他の疾患 前立腺肥大症 前立腺肥大症を伴 わない 他疾患治療 過活動膀胱 ❽ 手術適応 ❾ 行動療法行動療法 α 1 遮断薬, 阻害薬抗コリン薬β などの薬物療法 3 作動薬などの あり なし 薬物療法 手術療法その他の治療 30 ml 以上の前立腺腫大 5α 還元酵素阻害薬併用 変更 過活動膀胱症状 抗コリン薬か β 3 作動薬の併用 過活動膀胱診療ガイドライン 夜間頻尿が主症状 なし 夜間多尿 あり 行動療法 夜間頻尿診療ガイドライン ❹ 6

ベースラインからの変化の作用機序 (1) PDE-5 の阻害による cgmp の増加により 平滑筋の弛緩作用を示す α1 遮断薬 6 種類 ナフトピジル (A) シロドシン (A) タムスロシン (A) テラゾシン (A) ウラピジル (A) プラゾシン (C1) TAABO ASSIST ADDITION 抗コリン薬 8 種類 プロピベリン (A) オキシブチニン (A) トルテロジン (A) ソリフェナシン (A) プロパンテリン (B) イミダフェナシン (A) フェソテロジンオキシブチニンテープ BPH では NO 作動神経が減少 副交感神経非アドレナリン非コリン作動性 L-アルギニン nnos L- シトルリン GTP 5 GMP NO グアニル酸シクラーゼ cgmp L- シトルリン Ca 2+ 小胞体 cgmp 特異的プロテインキナーゼ enos 内皮細胞 L- アルギニン 平滑筋細胞 Ca 2+ の低下 Ca 2+ K + 高齢者では血管機能障害 平滑筋弛緩 NO: 一酸化窒素 NOS:NO 合成酵素 監修 山梨大学大学院医学工学総合研究部泌尿器科学教授武田正之先生 の作用機序 (2) IPSS トータルスコアの推移 (12 週 ) は A. 血管平滑筋弛緩による下部尿路組織の血流 B. 前立腺 尿道 膀胱頸部の平滑筋弛緩作用 C. 膀胱求心性神経活動に対する抑制 により下部尿路症状をする A 血管平滑筋 B 前立腺 / 尿道平滑筋 B 膀胱頸部平滑筋 NO NO C 副交感神経非アドレナリン非コリン作動性 求心性神経 NO : 一酸化窒素 0-1 -2-3 -4-5 -6 量-7-8 2 週 4 週 8 週 12 週 5 mg 群 (n=155) 2.5 mg 群 (n=151) プラセボ群 (n=154) タムスロシン 0.2 mg 群 (n=152) p < 0.05 (vs. プラセボ群 ) 監修 山梨大学大学院医学工学総合研究部泌尿器科学教授武田正之先生 Yokoyama O. et al.: Int J Urol. 2013:20: 193. BPH の治療 (4) 外科療法 TUR-P (transurethral resection of the prostate) 合併症 出血 穿孔 ( 低 Na 血症 ) 尿失禁 逆行性射精 ED 尿道狭窄 7