2) 豊予海峡ルートの必要性 意義こうした国土形成の視点から豊予海峡ルートの必要性 意義としては 新たな地域拠点の形成や広域防災 広域観光 産業連携 定住促進等の面で大きな波及効果が期待される 特に 九州と四国とを結ぶ国際的な特色のある観光軸の形成によるインバウンド観光客の増加等は ゼロサムではない

Similar documents
高速道路ネットワークの拡大 本四架橋の沿革 1945( 昭和 2) 年 11 月瀬戸内海汽船 第十東予丸 事故 1945( 昭和 2) 年 12 月播淡汽船 せきれい丸 事故 1955( 昭和 3) 年 5 月宇高連絡船 紫雲丸 事故 197( 昭和 45) 年 7 月本州四国連絡橋公団設立 ( 本

<4D F736F F D D95F18D908F91816E332E8A548E5A8D488E9694EF82CC8DF492E82E646F6378>

2012ダイジェスト版_H1-H4.ai

で 四国南西部の 防災拠点港 に位置づけられており 災害時の復旧活動や復興活動において 海上輸送による十分な機能が発揮できるよう求められている 大島漁港においても 離島における基地港としての施設整備が必要不可欠である このような背景から地域再生計画においては 八幡浜港と大島漁港を安全 安心な港に整備

NITAS の基本機能 1. 経路探索条件の設定 (1) 交通モードの設定 交通モードの設定 とは どのような交通手段のネットワークを用いて経路探索を行うかを設定するものです NITASの交通モードは 大きく 人流 ( 旅客移動 ) 物流( 貨物移動 ) に分かれ それぞれのネットワークを用いた経路

ナンバリングルールの検討 資料 6

道路建設事業の再評価項目調書 とのみ 事業名 一般国道 2 号 富海拡幅 事業 一般国道 事業 国土交通省 区分 主体 中国地方整備局 やまぐちしゆうなんへた 起終点自 : 山口県周南市戸田延長 3.6km 事業概要 やまぐちほうふとのみ 至 : 山口県防府市富海 おおさか きたきゅうしゅう 一般国

平成 26 年度公共事業事後評価調書 1. 事業説明シート (1) ( 区分 ) 国補 県単 事業名道路事業 [ 国道橋りょう改築事業 ( 国補 )] 事業箇所南巨摩郡身延町波高島 ~ 下山地区名国道 300 号 ( 波高島バイパス ) 事業主体山梨県 (1) 事業着手年度 H12 年度 (2) 事

地域経済論Ⅰ④                    2011年5月○日

untitled

相馬市 橋梁長寿命化修繕計画 平成 28 年 12 月 福島県 相馬市建設部土木課

8. ピンポイント渋滞対策について 資料 8

スライド 1

関経連_事業報告書CS4.indd

Microsoft Word - さいたま市都市計画道路見直し指針1/3.doc

Microsoft Word 【詳細版】.doc

姫路市及びたつの市における連携中枢都市圏形成に係る連携協約 姫路市 ( 以下 甲 という ) 及びたつの市 ( 以下 乙 という ) は 連携中枢都市圏構想推進要綱 ( 平成 26 年 8 月 25 日付け総行市第 200 号総務省自治行政局長通知 ) に基づく連携中枢都市圏である播磨圏域 ( 以下

(Microsoft Word - \201\2403-1\223y\222n\227\230\227p\201i\215\317\201j.doc)

Microsoft PowerPoint _幹事会説明PPT(概要・事業概要書)【資料2】


Microsoft PowerPoint _【PPT】伊万里道路【最終】.ppt

【分割版2】資料

多様な入札 契約特集 2. 技術提案 交渉方式について 技術提案 交渉方式は, 品確法 第 18 条の規 定により, 発注者が, 当該工事の性格等により, 仕様を確定することが困難な場合に適用される 今回のケースでは, 北側復旧ルートは 1 日も早い完成が望まれるが, 本トンネルの十分な調査が完了し

[ 概要版 ] 倉吉都市計画 マスタープラン素案 鳥取県倉吉市

3 検討プロセス 3-1 県計画案を策定するねらい 沖縄 21 世紀ビジョン基本計画を着実に実施していくための総合的な交通体系のビジョンを示した 沖縄県総合交通体系基本計画 において 県土の均衡ある発展を支える利便性の高い公共交通ネットワークの構築が位置づけられている 同計画を踏まえ 県では 南北骨

Microsoft Word - ★★★本四セット版.doc

たたら製鉄についてのまとめ

<4D F736F F F696E74202D A F95BD90AC E31308C8E8AFA5F8C888E5A90E096BE89EF81408DC58F4994C530362E70707


<4D F736F F F696E74202D D8E518D6C8E9197BF5F967B8E6C8D8291AC82CC97BF8BE C982C282A282C481408F4390B32E >

資料3-4

 

九州における 道の駅 に関する調査 - 災害時の避難者への対応を中心としてー ( 計画概要 ) 調査の背景等 道の駅 は 平成 16 年 10 月の新潟県中越地震 23 年 3 月の東日本大震災において 被災者の避難場所 被災情報等の発信や被災地救援のための様々な支援の拠点として活用されたことなどか

asia_i_0523.qxd

九州地方一問一答 (15 分 各 1 点 ) 実施日 : 年月日 問 1. かつて薩摩藩があったのは今の何県か 問 2. 北海道南部に広がる 火山活動によってつくられた台地を何というか 問 3. 前問の台地を形成しているのは何という火山か 問 4. 樹齢 3000 年を超える縄文杉が生息し 世界自然

01_表紙

NITAS Ver.2.4 システムの概要 利用上の注意等 1.NITAS の概要 動作環境 利用対象者 (1)NITAS の概要総合交通分析システム (NITAS:National Integrated Transport Analysis System) は 道路 鉄道 航空 船舶の各交通機関を

佐賀県の地震活動概況 (2018 年 12 月 ) ( 1 / 10) 平成 31 年 1 月 15 日佐賀地方気象台 12 月の地震活動概況 12 月に佐賀県内で震度 1 以上を観測した地震は1 回でした (11 月はなし ) 福岡県 佐賀県 長崎県 熊本県 図 1 震央分布図 (2018 年 1

伊勢市道路整備プログラムの作成について

Microsoft PowerPoint - 04-検討プロセス及び検討体制

Ⅱ 取組み強化のためのアンケート調査等の実施 (1) 建設技能労働者の賃金水準の実態調査国土交通省から依頼を受けて都道府県建設業協会 ( 被災 3 県及びその周辺の7 県を除く ) に対し調査を四半期ごとに実施 (2) 適切な賃金水準の確保等の取組み状況のアンケート調査国は 平成 25 年度公共工事

北部大阪都市計画彩都地区計画 ( 案 ) 北部大阪都市計画彩都地区計画を 次のとおり変更する 1. 地区計画の方針 名称彩都地区計画 位 置 茨木市大字粟生岩阪 大字宿久庄 大字清水 大字佐保 大字泉原 大字千提寺 大字大岩 大字福井 大字大門寺 大字生保 大字安威 山手台一丁目 山手台三丁目 山手

Microsoft PowerPoint - 【資料2-4-1】大阪港0927.pptx

平成 29 年 8 月 8 日 国道 33 号の渋滞緩和にご協力ください! ~ 経路変更によるお盆の渋滞回避 ~ 愛媛県渋滞対策協議会 ( 議長 : 松山河川国道事務所長 ) では GW 及びお盆期間中において国道 33 号が混雑する事から 昨年よりドライバーの皆様に渋滞の回避及び緩和の為 経路変更

1503敦賀市原子力防災パンフ.indd

<4D F736F F F696E74202D E6C8D918D8793AF95F18D908F C4816A8A C55F F4390B394C52E707074>

平成 22 年 4 月 9 日新しい公共円卓会議資料 平成 2 2 年 4 月 9 日第 5 回 新しい公共 円卓会議谷口委員提出資料 ソーシャルビジネスの振興について 1. 新しい公共とソーシャルビジネスの関係 2. ソーシャルビジネスの課題とこれまでの取り組み 3. 事業者及び支援者が集う 場

未整備 主要都市間の移動時間が約半分 別紙 1 東九州自動車道が北九州から繋がり 北部九州のミッシングリンクが解消されます 北九州市から大分市間や 北九州市から宮崎市間の所要時間が 高速道路未整備時と比べて約半分の時間に短縮されます 福岡 北九州 大分都市圏の連携軸が強化され 更に東九州域を中心に地

<312D315F BFA98488D918DDB95A897AC B4B816A834A838B83655F967B8FC88F4390B32E786C7378>

(2) 事業別行政投資額平成 27 年度における主要事業別の投資額の状況をみると 道路が 5 兆 6,913 億円で総投資額の 24.1% を占め 調査開始以来 連続して構成比が最も高い 次いで 文教施設が 2 兆 4,980 億円で総投資額の 10.6% 国土保全が 2 兆 377 億円で総投資額

目次 1. 分析のまとめ 3 2. 分析の目的 地域経済分析システム (RESAS) を利用した分析 口コミデータを利用した分析 65

<4D F736F F F696E74202D B817A A90C FA93EC89FC97C72E707074>

スライド 1

高速道路機構ファクトブック 2018 独立行政法人日本高速道路保有 債務返済機構

状7号線東京区部南西部 川崎市域の状況 立川広域防災拠点 東京外かく環状道路 ( 関越 ~ 東名 ) 事業中 東京都環大橋 JCT 中央環状品川線 H 開通 基幹的広域防災拠点 N 東京外かく環状道路 ( 東名高速 ~ 湾岸道路間 ) 神奈川県 川崎市第三京浜道路1 15 大師 JCT

播磨臨海地域と主要な港湾拠点とのアクセス機能 ( 速達性 定時性 ) の強化 神戸港の貨物取扱個数は全国 位であり 神戸港のコンテナ貨物車の 4 分の 1 は播磨臨海地域以西を発着 播磨臨海地域 ~ 神戸港 阪神地域間の交通需要が高い一方で 速達性 定時性に優れた自動車専用道路ネットワークは 国道

Microsoft PowerPoint - (180106)豊見城道路記者発表資料.ppt

東九州新幹線_0419最終_0800

旭川 紋別自動車道開通区間の概要 参考 1-1 旭川 紋別自動車道は 高速ネットワークの拡充により オホーツク圏と道央圏 道北圏との連絡機能を強化し 地域間交流の活性化及び物流効率化を図る 延長約 130km の自動車専用道路です このうち 丸瀬布 IC から遠軽瀬戸瀬 IC までの 11.2km

<322E318AEE91628E9197BF2E786C73>

本道路公団にそれぞれ引き継がれていった. 工 表 1 本四プロジェタトの概要 期, 工費, 経済効果等多面的な調査, 検討が加えられ, 一方, 日本経済の発展を背景に技術的, 経済的な制約は克服されていった. H 円手 44 年に幹線交通ネットワーグの形成, 大規模プロジェグトの推進を主要な内容とす

Microsoft Word - 17tiikikouzou.doc

01評価調書(大柳仁豊野線)V6(路肩1.5mVer).pptx

ポイント 2 お申込みいただいた期間内にご利用ください 利用日 (1 日目 ) 利用日 (2 日目 ) 利用日 (3 日目 ) 4 日目 内の から高速道路に乗り 最初の出口 を 1 日目の 以降に通過 内の から高速道路に乗り 内の で 3 日目の 23:59 までに降りる 対象 往路走行で最初の

Microsoft PowerPoint - 最終131209_【事後評価】TS1・(委員会説明用PPT) .pptx

資料 7-1 特殊車両の通行に関する指導取締要領の一部改正について 国土交通省関東地方整備局道路部交通対策課 1 (1) 特殊車両通行許可制度 2

日本海側拠点港の対象 < 対象港湾 > 日本海側に存在する国際拠点港湾及び重要港湾 26 港 < 対象機能 > 1. 輸送モード 国際海上コンテナ 国際フェリー 国際 RORO 船 外航クルーズ( 定点クルーズ 背後観光地クルーズ ) 国際定期旅客 2. 貨物 原木 その他の貨物 資料 : 国土交通

(/9) 07 年に発生した地震の概要. 佐賀県の地震活動 07 年に佐賀県で震度 以上を観測した地震は 9 回 (06 年は 85 回 ) でした ( 表 図 3) このうち 震度 3 以上を観測した地震はありませんでした (06 年は 9 回 ) 表 07 年に佐賀県内で震度 以上を観測した地震

PowerPoint プレゼンテーション

sangi_p2

新幹線シンポ(270203)基調講演概要(公開用).docx

大阪湾広域臨海環境整備センターは、昭和57年3月に設立されて以来、30年余りにわたって、全国で唯一の府県域を超えた広域的な廃棄物の適正な最終処分を海面埋立てにより行う「フェニックス事業」を地方公共団体及び港湾管理者と一体となって推進してきたところであり

1. 公募の目的本州四国連絡高速道路株式会社では 神戸淡路鳴門自動車道 瀬戸中央自動車道及び西瀬戸自動車道の海峡部道路照明施設について 施設更新時に既存のポール照明方式から維持管理が容易な低位置 ( 高欄 ) 照明方式に移行し 整備費及び維持管理コストの改善を図ることを検討しています よって 低位置

Microsoft Word _MICE_Q&A(最終案)

により 都市の魅力や付加価値の向上を図り もって持続可能なグローバル都 市形成に寄与することを目的とする活動を 総合的 戦略的に展開すること とする (2) シティマネジメントの目標とする姿中野駅周辺や西武新宿線沿線のまちづくりという将来に向けた大規模プロジェクトの推進 並びに産業振興 都市観光 地

Microsoft Word - 13 地域イントラ.doc

1. 社会福祉法人経営動向調査 ( 平成 30 年 ) の概要 目的 社会福祉法人と特別養護老人ホームの現場の実感を調査し 運営実態を明らかにすることで 社会福祉法人の経営や社会福祉政策の適切な運営に寄与する 対象 回答状況 対 象 特別養護老人ホームを運営する社会福祉法人 489 法人 (WAM

< 海外事情調査 > フィリピン国機動性向上のための RRTS 開発実行可能性調査を終えて 2006 年 8 月より 2007 年 11 月に至る 1 年 4 ヶ月の間 ( 独 ) 国際協力機構開発調査 フィリピン国機動性向上のための RRTS 開発実行可能性調査 ( 団長 : 岡田靖夫顧問 ) が

Microsoft PowerPoint - 【150105】02-2検討プロセス及び検討体制

音楽館 (2) 静岡市生涯学習施設条例 ( 平成 20 年静岡市条例第 17 号 ) に規定す る生涯学習施設 音楽館 (2) 静岡市生涯学習施設条例 ( 平成 20 年静岡市条例第 17 号 ) に規定す る生涯学習施設 4 条例第 5 条第 2 号及び第 3 号の区域 4 条例第 5 条第 2

国土交通省管理区間延長約延長約きさみよしひがし 尾道自動車道の吉舎 IC~ 三次東 JCT IC 間が開通します! 中国横断自動車道尾道松江線は 広島県尾道市から 三次市を経由し 島根県松江市に至る延長約 137kmの高規格幹線道路です 平成 8 年度に都市計画決定され 平成 13 年度から工事に着

Microsoft Word - 【291220】北千葉構想段階評価書

の復旧状況に関する長期的な見通しを可能な限り明らかにしながら 復旧の段階に 応じた役割の分析を行う 5) 交通事業者ヒアリング調査沿線地域に関係する交通事業者 ( 鉄道事業者 2 社 バス事業者 2 社 タクシー事業者 2 社その他 ) に聞き取り調査を行い 定性的な利用特性や地域の公共交通の問題点

6 月 5 日 ( 火 ) 石垣 東京 ( 羽田 ) 90 9, % 6 月 5 日 ( 火 ) 大阪 ( 神戸 ) 沖縄 , % 6 月 5 日 ( 火 ) 沖縄 大阪 ( 神戸 ) , % 6 月 5 日 ( 火 ) 名古屋 (

<4D F736F F D205B95BD90AC E93785D8AEE91628E9197BF8DEC90AC977697CC817C8E7392AC91BA AD6938C2E646F6378>

< ( 平成 29 年 9 月分 )> 2010 年平均 =100 ブロック別 北海道地方 東北地方

4-(1)-ウ①

Microsoft PowerPoint - 沖縄鉄軌道の計画案検討プロセスと体制のあり方

Microsoft Word - ③調査仕様書.doc

Ⅱ 北海道を取り巻く潮 3 グローバル化の進展流 ビジョン策定後の世界的な景気の後退 アジア地域の経済発展に伴う輸出量の増加など 社会情勢の変化に伴う影響について記載を追加 修正 4 地球温暖化問題の深刻化 道民一人あたりの二酸化炭素排出量の全国比を時点修正 5 国 地方の厳しい財政状況 長期債務残

1

1

<4D F736F F F696E74202D E096BE8E9197BF816982A8967E8A8488F8816A>

帯系割昼間夜間間土日祝日割4. 利便増進計画による料金割引等 現行の料金割引と財源 (NEXCO 地方部の例 ) 平夜間 普通車以下 中型車以上 昼間 昼間夜間 5 割引 5 割引平5 5 3 日3 割引日割引時6 時 9 時 17 時 20 時 22 時 0 時 4 時 6 時 6 時 9 時 1

1. 地域間の交流が活発化 東北新幹線の全線開業により 開業前後の公共交通機関の流動量は 首都圏 宮城県 岩手県と青森県との間で約 1.1~1.3 倍に増加しています 平成 28 年 3 月には北海道新幹線も開業するため 青函圏を含めた地域間の交流の活発化も期待されています 200 宮城 青森 (

(別紙1)

トラックドライバー不足が東北地域の物流に及ぼす影響の検討 資料(案)

新設 拡充又は延長を必要とする理地方公共団体の実施する一定の地方創生事業に対して企業が寄附を行うことを促すことにより 地方創生に取り組む地方を応援することを目的とする ⑴ 政策目的 ⑵ 施策の必要性 少子高齢化に歯止めをかけ 地域の人口減少と地域経済の縮小を克服するため 国及び地方公共団体は まち

社会的責任に関する円卓会議の役割と協働プロジェクト 1. 役割 本円卓会議の役割は 安全 安心で持続可能な経済社会を実現するために 多様な担い手が様々な課題を 協働の力 で解決するための協働戦略を策定し その実現に向けて行動することにあります この役割を果たすために 現在 以下の担い手の代表等が参加

国土審議会大都市圏政策ワーキングチーム中間取りまとめ(案)

Transcription:

はじめに 1. 調査概要 1) 調査の目的 平成 10 年 3 月に策定された全国総合開発計画 21 世紀の国土のグランドデザイン で示された 4 つの国土軸構想の一つである 太平洋新国土軸構想 は 中部 近畿 四国 九州 沖縄にまたがり 主に東海 ( 遠州 三河 名古屋 伊勢 志摩 ) から紀伊半島 淡路 四国 九州中部 ( 熊本 大分 ) を経て九州西部 ( 長崎 天草 ) に至る地域を高速道路や高速鉄道などで結ぼうとするものである 本調査は そのうち 豊予海峡ルート ( 大分県佐賀関半島と愛媛県佐田岬半島を隔てる豊予海峡を海底トンネルや橋梁で結ぼうとするもの ) の整備によってもたらされる経済 社会効果等の調査 分析を行い 実現に向けた今後の方策を探ることを目的とする 豊予海峡ルート整備は国家的なプロジェクトであることから 通常の時間短縮や渋滞緩和といったミクロな交通課題解消ではなく マクロな国土形成の観点から整備の必要性を明確にする 国土形成計画の 全国計画 ( 平成 27 年 ) では 対流促進型国土の形成 重層的かつ強靭な コンパクト+ネットワーク 東京一極集中の是正と東京圏の位置付け 地域別整備の方向 の4つの柱から構成される基本構想が提案され これを受けて 広域地方計画 ( 平成 28 年 ) では 広域ブロック相互間の連携的な連なりを 4 つの国土軸の構想とも重ねていく ことが目指されている こうした国土形成計画における地方広域ブロックのあり方を本調査における主な対象圏域である西瀬戸地域に適用すると 広域ブロック相互間を連携する新たな国土軸として太平洋新国土軸が浮上する 西瀬戸交流圏は 九州 四国 中国の三つの地方広域ブロックを産業 観光 生活等の様々な面で結びつける重要な圏域である また太平洋新国土軸は 新たな地域拠点の形成や災害に脆弱な現在の国土軸のリダンダンシーを形成する国土の防災機能の強化を担った国土軸となる そこで こうした国土形成上重要な役割を担った太平洋新国土軸 西瀬戸交流圏を実現するためには 海で隔てられている九州 四国 中国の広域ブロックを陸路 ( 道路 鉄道 ) で結ぶことが重要となり 西瀬戸交流圏において唯一陸路で結ばれてない九州 ~ 四国を結ぶ豊予海峡ルートの整備が必要であると考えられる 本調査における主な対象圏域 ( 西瀬戸交流圏 ) 西瀬戸交流圏 については P1-5 西瀬戸レインボープランにて詳述 序 -1

2) 豊予海峡ルートの必要性 意義こうした国土形成の視点から豊予海峡ルートの必要性 意義としては 新たな地域拠点の形成や広域防災 広域観光 産業連携 定住促進等の面で大きな波及効果が期待される 特に 九州と四国とを結ぶ国際的な特色のある観光軸の形成によるインバウンド観光客の増加等は ゼロサムではない新たな需要を創出することになるものと見込まれる 以下本編では 豊予海峡をトンネルまたは橋梁で結ぶ場合における最適なルートを選定し それぞれの概算事業費を算出するとともに 費用便益分析や経済波及効果等を検討するなかで 実現に向けた方策を探っていくこととする 豊予海峡ルートを活用したエリアネットワークの形成イメージ 上記は作成したイメージであり 具体的な位置を示しているものではない出典 : 既往資料を基に作成 序 -2

2. 豊予海峡ルートの概要 1) 計画概要 豊予海峡ルートは 九州 ( 大分県佐賀関半島 ) から豊予海峡を横断して四国 ( 愛媛県佐田岬半島 ) に至る延長約 14km の海峡を横断するルートである このルートは四国 中国 九州の海峡部を結ぶネットワークの環状化による広域経済文化圏の形成や都市機能の分担 災害時のリダンダンシー確保を可能とするとともに 地理的 文化的にアジア諸国と近接する九州にとっては 陸 海の交通軸と有機的に連携することにより 物流も含めた国際交流拠点の形成にも寄与することが期待されている 位置 海峡幅 最大水深 鉄道軸の想定 道路軸の想定 大分県佐賀関半島 ~ 愛媛県佐田岬半島約 14km 約 180m 昭和 63 年日本鉄道建設公団の 地形 地質等に関する調査 により トンネルでの建設可能 と報告 平成 7 年から運輸省が経済社会調査を実施 平成 6 年に建設省が経済社会調査を実施 平成 7 年に愛媛県 大分県が長大橋に係る基礎的な技術調査を実施 平成 10 年に豊予海峡架橋調査委員会 ( 豊予海峡架橋調査報告書 ) が 架橋は技術的に可能 と報告 豊予海峡ルートのイメージ 出典 : 愛媛県 HP 序 -3

2) 国土形成計画と太平洋新国土軸のあゆみ 昭和 44 年の新全国総合開発計画が制定されて以来 豊予海峡ルートは四国と九州をつなぐ国土軸に 位置づけられ 実現に向けた検討 議論が行われてきた 年度 全総 国土形成計画 関連調査 概 要 備 考 1965 年 S40 ワイズマン報告で 第二東西道路構想 提案 1969 年 S44 新全国総合開発計画 ( 経済企画庁 ) 九州 四国連絡新幹線鉄道および九州 四国連絡自動車道の建設構想が明記 1973 年 S48 四国新幹線 ( 大阪 ~ 大分 ) の基本計画として決定 ( 告示 ) 四国新幹線 四国横断新幹線 九州横断新幹線 東九州新幹線が基本計画線に決定 1974 年 S49 豊予海峡ルートのトンネル部分の調査 ( 日本鉄道建設公団 ) 四国新幹線建設を前提として 豊予海峡ルートのトンネル部分の調査を開始 1987 年 S62 第 4 次全国総合開発計画が閣議決定 ( 国土庁 ) 多極分散型国土の形成 が示され 西瀬戸インターブロック交流圏構想及び九州 四国間の交通体系を長期的視点に立ち検討することが明記 1988 年 S63 地形 地質等に関する調査 ( 日本鉄道建設公団 ) トンネル部分の最終報告として 海底トンネル方式の場合 最深部でマイナス 335m となるが 青函トンネル ( 最深部マイナス 240m) の技術を活用することで実現可能 1991 年 H3 海峡横断道路プロジェクトに関する 技術調査を実施 (~H4 年度建設省 ) 1993 年 H5 県や経済団体などでつくる豊予海峡 ルート推進協議会が設立 1994 年 H6 豊予海峡周辺地域を対象とした経済 社会調査を実施 ( 建設省 ) 豊後伊予連絡道路 ( 大分県大分市 ~ 愛媛県八幡浜市 ) が地域高規格道路 の候補路線に指定 1995 年 H7 豊予海峡ルート架橋 豊予海峡トンネル部の経済社会調査 に関する基礎調査 等に着手 ( 運輸省 ) 豊予海峡道路の ( 運輸省 ) 基礎調査に着手 ( 建設省 ) 架橋の技術的可能性についての調 査 自然条件や社会的条件などの基 礎調査を開始 ( 大分県 愛媛県合同 ) 瀬戸中央自動車 道 ( 児島 坂出 ルート ) 供用 序 -4

年度 全総 国土形成計画 関連調査 概 要 備 考 1995 年 H8 豊予海峡交流地域振 豊予海峡交流地域振興調査を発表 興調査 ( 豊予海峡ルート推進協議会 ) 1997 年 H9 豊予海峡ルート輸送方式比較検討調査報告書 ( 豊予海峡ルート推進協議会 ) 横断技術 ( 橋とトンネル ) や交通モード ( 自動車と鉄道 ) の比較調査を実施トンネルの場合 鉄道については特に制約がなく 自動車についても換気技術の限界があるものの 対応可能とした 橋梁の場合道路橋は技術的に可能であるが スパンが長大化するため 鉄道橋や併用橋としての供用は困難 1998 年 H10 第 5 次全国総合開発計画が閣議決定 (21 世紀の国土のグランドデザイン ) 太平洋新国土軸を含む4つの国土軸を中心とする 多軸型国土形成 を目指すことを提唱 6 海峡横断プロジェクトなど大規模プロジェクトが明記 新道路整備五箇年計画決定 ( 国土交通省 ) 海峡横断プロジェクトについても明記 豊予海峡架橋調査報告書 ( 豊予海峡架橋調査委員会 ) 架橋は技術的に可能とする豊予海峡架橋調査報告書を公表 ( 総延長約 12.7km 総事業費約 1 兆 3000 億円 ) 神戸淡路鳴門自動車道 ( 神戸 鳴門ルート ) 供用 2005 年 H17 国土形成計画法に改正 改称 2006 年 H18 西瀬戸自動車道 ( 尾道 今治ルート ) 供用 2008 年 H20 国土形成計画が閣議決定 ( 国土交通省 ) 湾口部や海峡部などを連絡するプロジェクトは長期的視点から取り組む とされた 2015 年 H27 新たな国土形成計画が閣議決定 ( 国土交通省 ) 地域が個性を磨き 異なる個性を持つ各地域が連携することによりイノベーションの創出を促す 対流促進型国土 の形成を図ることとし この実現のための国土構造として コンパクト+ネットワークの形成 を提言 2016 年 H28 東九州自動車道 ( 北九州 - 宮崎間 ) 供用 豊予海峡ルート調査事業 ( 大分市 ) 豊予海峡ルートによりもたらされる経済 社会効果などの調査 分析を 実施 序 -5