ホルモンの合成と作用(1)

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生理学 1章 生理学の基礎 1-1. 細胞の主要な構成成分はどれか 1 タンパク質 2 ビタミン 3 無機塩類 4 ATP 第5回 按マ指 (1279) 1-2. 細胞膜の構成成分はどれか 1 無機りん酸 2 リボ核酸 3 りん脂質 4 乳酸 第6回 鍼灸 (1734) E L 1-3. 細胞膜につ

4) ホルモンの化学構造からみた種類にはホルモンの種類分泌器官とホルモン名視床下部放出ホルモン 下垂体前葉ホルモン 1 ペプチドホルモン上皮小体ホルモン インスリン グルカゴンなど卵巣ホルモン 精巣ホルモン 副腎皮質コルチコイド 2 ステロイドホルモン活性型ビタミン D 1) カテコ ルアミン 3

ドリル No.6 Class No. Name 6.1 タンパク質と核酸を構成するおもな元素について述べ, 比較しなさい 6.2 糖質と脂質を構成するおもな元素について, 比較しなさい 6.3 リン (P) の生体内での役割について述べなさい 6.4 生物には, 表 1 に記した微量元素の他に, ど

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グルコースは膵 β 細胞内に糖輸送担体を介して取り込まれて代謝され A T P が産生される その結果 A T P 感受性 K チャンネルの閉鎖 細胞膜の脱分極 電位依存性 Caチャンネルの開口 細胞内 Ca 2+ 濃度の上昇が起こり インスリンが分泌される これをインスリン分泌の惹起経路と呼ぶ イ

2. 看護に必要な栄養と代謝について説明できる 栄養素としての糖質 脂質 蛋白質 核酸 ビタミンなどの性質と役割 およびこれらの栄養素に関連する生命活動について具体例を挙げて説明できる 生体内では常に物質が交代していることを説明できる 代謝とは エネルギーを生み出し 生体成分を作り出す反応であること

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研究背景 糖尿病は 現在世界で4 億 2 千万人以上にものぼる患者がいますが その約 90% は 代表的な生活習慣病のひとつでもある 2 型糖尿病です 2 型糖尿病の治療薬の中でも 世界で最もよく処方されている経口投与薬メトホルミン ( 図 1) は 筋肉や脂肪組織への糖 ( グルコース ) の取り

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前立腺癌は男性特有の癌で 米国においては癌死亡者数の第 2 位 ( 約 20%) を占めてい ます 日本でも前立腺癌の罹患率 死亡者数は急激に上昇しており 現在は重篤な男性悪性腫瘍疾患の1つとなって図 1 います 図 1 初期段階の前立腺癌は男性ホルモン ( アンドロゲン ) に反応し増殖します そ

ヒト脂肪組織由来幹細胞における外因性脂肪酸結合タンパク (FABP)4 FABP 5 の影響 糖尿病 肥満の病態解明と脂肪幹細胞再生治療への可能性 ポイント 脂肪幹細胞の脂肪分化誘導に伴い FABP4( 脂肪細胞型 ) FABP5( 表皮型 ) が発現亢進し 分泌されることを確認しました トランスク

解糖系でへ 解糖系でへ - リン酸 - リン酸 1,-2 リン酸 ジヒドロキシアセトンリン酸 - リン酸 - リン酸 1,-2 リン酸 ジヒドロキシアセトンリン酸 AT AT リン酸化で細胞外に AT 出られなくなる 異性化して炭素数 AT の分子に分解される AT 2 ホスホエノール AT 2 1

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( 図 ) IP3 と IRBIT( アービット ) が IP3 受容体に競合して結合する様子

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糖鎖の新しい機能を発見:補体系をコントロールして健康な脳神経を維持する

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ホルモンの合成と作用 平成 30 年度病態生化学分野 吉澤達也

学習の目標 細胞間情報伝達物質としてのホルモンを理解する ホルモンの分類について理解する 1 ペプチドホルモン 2 ステロイドホルモン 3 アミノホルモン 1 親水性ホルモン 2 疎水性ホルモン ホルモンの合成について理解する ホルモンの作用機構について理解する ホルモンの制御機構について理解する

ヒトが生きるためには常に変化する内外の環境に対応 適応する必要がある 生体の恒常性を維持するシステム 神経系による調節 ホルモンによる調節

ホルモン 微量 ( 低濃度 ) で作用を発揮する物質である 典型的なペプチドホルモンの血液中の濃度は 10-9 mol/l(nmol/l) 程度 動物の体内において ある決まった器官で合成 分泌され 体液 ( 血液 ) を通して体内を循環し 別の決まった器官でその効果を発揮する いわゆる腺組織以外で産生されるホルモン 消化管 : セクレチン ガストリン グレリン インクレチンなど 心臓 : 心房性 Na 利尿ペプチド (ANP) 脳性 Na 利尿ペプチド (BNP) 血管 :C 型 Na 利尿ペプチド (CNP) 脂肪組織 : アディポネクチン レプチンなど 標的組織において機能タンパク質を新たに合成させたり あるいは活性化させることで生理作用を発揮する ひとつのホルモンが異なった細胞 組織では別の作用を示す 細胞内情報伝達の多様性

シグナル伝達の種類 内分泌型 ホルモン パラクライン型 局所仲介物質 神経型 神経伝達物質 接触型 膜結合シグナル物質

内分泌器 : ホルモン ( ペプチドホルモン ステロイドホルモン ) 視床下部 - 脳下垂体副腎甲状腺生殖腺その他の内分泌器内分泌器でない器官誘導タンパク質 視床下部 脳下垂体後葉 脳下垂体中葉 脳下垂体前葉 GnRH - TRH - ドーパミン - CRH - GHRH - ソマトスタチン - ORX - MCH - MRH - MIH バソプレッシン - OXT インテルメジン α サブユニット糖タンパク質ホルモン (FSH - LH - TSH) - GH - PRL - POMC(ACTH - MSH - エンドルフィン - リポトロピン ) 副腎髄質副腎髄質ホルモン ( アドレナリン - ノルアドレナリン - ドーパミン ) 副腎皮質 副腎皮質ホルモン ( アルドステロン - コルチゾール - DHEA) 甲状腺 甲状腺ホルモン (T 3 - T 4 - カルシトニン ) 副甲状腺 精巣 PTH テストステロン - AMH - インヒビン 卵巣エストラジオール - プロゲステロン - インヒビン / アクチビン - リラキシン ( 妊娠時 ) 膵臓 松果体 NGF - BDNF - NT-3 グルカゴン - インスリン - ソマトスタチン メラトニン 胎盤 :hcg - HPL - エストロゲン - プロゲステロン - 腎臓 : レニン - EPO - カルシトリオール - プロスタグランジン - 心臓 :ANP - BNP - ET - 胃 : ガストリン - グレリン - 十二指腸 :CCK - GIP - セクレチン - モチリン - VIP - 回腸 : エンテログルカゴン - 脂肪組織 : レプチン - アディポネクチン - レジスチン - 胸腺 : サイモシン - サイモポイエチン - サイムリン - STF - THF - 肝臓 :IGFs(IGF-1 - IGF-2) - 耳下腺 : バロチン - 末梢神経系 :CGRP - P 物質 ホルモンとしても働く神経伝達物質の例 ペプチド類カルシトニン遺伝子関連ペプチド (CGRP) ガストリンバソプレシン オキシトシン副腎皮質刺激ホルモン (ACTH) エンドルフィン リポトロピンセレクチン モチリン 血管作動性腸管ペプチド (VIP) ソマトスタチン モノアミン類アドレナリン ノルアドレナリン ドパミンセロトニン

ホルモンの分類 -I 構造からの分類 1 ペプチドホルモン インスリン グルカゴン 成長ホルモン 抗利尿ホルモン副腎皮質刺激ホルモン (ACTH) など 2 ステロイドホルモン 副腎皮質ホルモン ( コルチゾール アルドステロン ) 性ホルモン ( アンドロゲン エストロゲンなど ) 3 アミノホルモン ( 低分子ホルモン ) アドレナリン 甲状腺ホルモンなど

1 ペプチドホルモン インスリン グルカゴン 成長ホルモン 抗利尿ホルモンなど 転写 翻訳 DNA mrna プロホルモン タンパク質の切断 ホルモン

ペプチドホルモンの合成 転写 transcription CAAT ボックス TATA ボックス cap site [ATG] TAA TAG TGA [AATAAA] 5 3 DNA イントロン NTP RNA ポリメラーゼ II mrna 前駆体 (hnrna) 核 転写後修飾 posttranscriptional modification mrna スプライシング Me7 G 付加ポリ A 付加 Me7 G ポリ A 細胞質 細胞外 粗面小胞体 ゴルジ装置 翻訳 transration 翻訳後修飾 posttransrational modification ペプチド ( プレプロホルモン ) シグナルペプチダーゼ プロホルモンプロセッシング 成熟ホルモン 分泌顆粒内 Met シグナルペプチド プロホルモン S S S S 糖鎖 < プロホルモン > POMC:ACTH 前駆体複数のホルモンを有するバゾプレッシン オキシトシン前駆体細胞内輸送に必要なニューロフィジンをもつインスリン前駆体 α 鎖と β 鎖の形態を保つのに必要な connecting peptide を有するグレリン脂肪酸付加 : 機能発現に重要 分泌

ペプチドホルモンの合成 ( インスリンの例 ) 転写 transcription DNA RNA ポリメラーゼ II インスリン遺伝子 mrna 前駆体 (hnrna) 核 細胞質 粗面小胞体 転写後修飾 posttranscriptional modification 翻訳 transration mrna スプライシング Me7 G 付加ポリ A 付加 プレプロインスリン mrna 1 プレプロインスリン シグナルペプチダーゼ インスリン 1 プレプロインスリン 翻訳後修飾 posttransrational modification 2 プロインスリン プロホルモンプロセッシング 細胞外 ゴルジ装置 成熟ホルモン 分泌顆粒内 3 インスリン 4 インスリン六量体 分泌

ペプチドホルモンの合成 (POMC の例 ) POMC( プロオピオメラノコルチン ) の組織特異的な翻訳後プロセッシングで 2 つの異なる組み合わせのポリペプチドホルモンを生じる 脳下垂体前葉でも中葉でも POMC は分解され N 末端断片 副腎皮質刺激ホルモン (ACTH) β リポトロピン (β-lph) を生じる これらのポリペプチドホルモンは中葉だけでさらに分解され γ メラニン細胞刺激ホルモン (γ- MSH) α-msh 副腎皮質刺激ホルモン様中葉ペプチド (CLIP) γ-lph β- エンドルフィンを生じる

2 ステロイドホルモン 副腎皮質ホルモン ( グルココルチコイド ミネラルコルチコイド ) 性ホルモン ( アンドロゲン エストロゲンなど ) コレステロール CH 2 OH C D HO C=O OH A B HO ステロイド核 ( 炭素原子 19 個 ) O コルチゾール ( グルココルチコイドの一つ )

1. 副腎皮質ホルモン グルココルチコイド ( コルチゾール ): 糖質代謝 抗炎症作用など ミネラルコルチコイド ( アルドステロン ): Na イオン再吸収促進 細胞外液量維持 2. 性ホルモン アンドロゲン ( テストステロン ジヒドロテストステロン ): 男性生殖器官発育 維持 第二次性徴 プロゲステロン : 妊娠の維持 乳腺発達 エストロゲン (17b- エストラジオール ): 女性生殖器官発育 維持 第二次性徴 月経周期

ステロイドホルモン産生組織 [ 副腎皮質 ] コルチゾール アルドステロン性ホルモン [ 卵巣 ] プロゲステロン エストロゲン [ 精巣 ] アンドロゲン 独立行政法人情報処理推進機構教育用画像素材集より抜粋

ステロイドホルモン生合成経路 1 コレステロール ( 炭素原子 27 個 ) HO 2 3 11 19 1 9 10 4 5 6 12 18 13 14 8 7 15 17 16 21 P-450scc CH 3 20CO 17 HO プレグネノロン ( 炭素原子 21 個 ) ステロイドホルモンの重要な合成中間体

ステロイドホルモン生合成経路 2 プレグネノロン 3 HO 3b-hydroxysteroid dehydrogenase プロゲステロン CH 3 CO 17 17 -hydroxylase 3 HO 21CH 3 CO 17 17- 水酸化プレグネノロン CH 3 CO OH 17 21 CH 3 CO OH 17 17,20-lyase アンドロゲンエストロゲン合成経路 O 21-hydroxylase O 17- 水酸化プロゲステロン アルドステロン合成経路 コルチゾール合成経路

ステロイドホルモン生合成経路 3 プロゲステロン 21CH 3 21 CH 3 CO CO 17 OH 17 O 21-hydroxylase 11- デオキシコルチコステロン 11b-hydroxylase コルチコステロン 18- 水酸化コルチコステロン 18-oxidase 18-hydroxylase CH 2 OH O 17- 水酸化プロゲステロン 21-hydroxylase 11- デオキシコルチゾール OH 11b-hydroxylase CH 2 OH CO OH O OH CHO CO 炭素原子 21 個 アルドステロン O コルチゾール 炭素原子 21 個

ステロイドホルモン生合成経路 4 17- 水酸化プレグネノロン CH 3 CO OH 17 3 HO 17,20-lyase HO デヒドロエピアンドロステロン O HO 炭素原子 18 個 OH 17b- エストラジオール ( エストロゲン ) 3b-hydroxysteroid dehydrogenase CH 3 CO OH 17 O 17b-hydroxysteroid dehydrogenase aromatase OH O 17- 水酸化プロゲステロン O アンドロステンジオン O 炭素原子 19 個 テストステロン ( アンドロゲン )

3 アミノホルモン ( 低分子ホルモン ) アドレナリン 甲状腺ホルモンなど HO CH CH 2 NH CH 3 チロシン ( アミノ酸 ) HO OH アドレナリン HO CH 2 CH COOH NH 2 I I 甲状腺ホルモン ( チロキシン ) HO O CH 2 CH COOH I I NH 2

アミノ酸誘導体ホルモン アドレナリン ( エピネフリン ) 副腎髄質 血圧上昇, 平滑筋収縮 / 弛緩, 肝 筋での解糖促進脂肪組織での脂肪分解促進 ノルアドレナリン ( ノルエピネフリン ) トリヨードチロニン (T3) チロキシン (T4) インドール, セロトニン, メラトニン 副腎髄質 小動脈の収縮促進, 抹消循環抑制, 脂肪分解促進 甲状腺代謝促進 松果腺神経伝達

アミノホルモン ( 低分子ホルモン ) の合成 ( カテコールアミンの例 ) ドーパミン ノルアドレナリン カテコールアミン - カテコールを共通の構造として持つアドレナリン ( エピネフリン ) ノルアドレナリンドーパミン 組織によって合成の段階が異なる脳細胞 ( 一部 ): ドーパミンが最終カテコラミン交感神経末端 : ノルアドレナリンが最終カテコラミン副腎髄質 中脳 心臓 : アドレナリンまで合成 アドレナリン

アミノホルモン ( 低分子ホルモン ) の合成 ( 甲状腺ホルモンの例 ) 飲食物からヨウ化物として摂取されるヨードは甲状腺で濃縮されて, 濾胞細胞内で有機ヨードに変換される 濾胞細胞はコロイドで満たされた空間を取り巻いており, このコロイドは, 基質内にチロシンを含む糖蛋白サイログロブリンからなる チロシン ヨード化 モノヨードチロシン (MIT) ジヨードチロシン (DIT) 結合 T3 T4 チロシンは,1 カ所 ( モノヨードチロシン ) または 2 カ所 ( ジヨードチロシン ) でヨード化されて, 互いに結合して 2 種の甲状腺ホルモンを形成する ( ジヨードチロシン + ジヨードチロシン T 4 ; ジヨードチロシン + モノヨードチロシン T 3 ) 濾胞細胞がサイログロブリンを取り込むまでは,T 3 および T 4 は濾胞内のサイログロブリンに組み込まれたままである サイログロブリン 甲状腺濾胞細胞内に入ると,T 3 および T 4 はサイログロブリンから切断され 分泌される

参考 クッシング症候群 (Cushing s syndrome): 糖質コルチコイドが慢性的に過剰分泌され 全身にさまざまな症状が生じる病気の一群 満月様顔貌 中心性肥満 筋萎縮および筋力低下 高血圧 腎結石 骨粗鬆症 耐糖能障害 感染に対する抵抗力の低下 精神障害が一般的である created by Takuma-san in Wiki.

参考 東京大学医科学研究所附属病院アレルギー免疫科 HP より

参考 骨格筋特異的 GRKO では アラニンが低下!

参考 東京大学医科学研究所附属病院アレルギー免疫科 HP より

ホルモンの分類 -II 作用機構 ( 受容体 ) からの分類 1 細胞膜受容体に作用するホルモン 親水性分子 : ペプチドホルモン類アミノホルモン類 ( カテコラミン ) 2 細胞内受容体に作用するホルモン 疎水性分子 : ステロイドホルモン類アミノホルモン類 ( チロキシン )

1 細胞膜受容体に作用するホルモン

A. 二次メッセンジャーが camp

C. 二次メッセンジャーが Ca 2+ とフォスファチジルイノシチド

D. 細胞内メッセンジャーがキナーゼ

ペプチドホルモンの作用 ( インスリンの例 ) ホルモン 細胞膜受容体 タンパク質機能変化 細胞内情報伝達系活性化 標的遺伝子発現調節 www.cellsignal.com/.../ Insulin_Receptor.jpg より抜粋

2 細胞内受容体に作用するホルモン 核内受容体を介した作用機構 ( 参考 ) ホルモン 細胞内受容体 ( 核内受容体 ) 標的遺伝子発現調節

ステロイドホルモン受容体 = 転写因子 ホルモン

ステロイドホルモン受容体 Nuclear Receptor Signaling (2007) 5, e003. より抜粋

Nature Reviews Drug Discovery 3, 950-964 (November 2004)

アミノホルモン ( 低分子ホルモン ) の作用 ( 甲状腺ホルモンの例 ) 甲状腺ホルモン (T3, T4) は脂溶性ホルモン 甲状腺ホルモン T4 T3 は細胞膜に局在する分子を介して細胞質内に取り込まれる 細胞質内で T4 は T3 に変換され 核内に局在する甲状腺ホルモン受容体 (TR) に結合する TR は転写因子のひとつであり 標的遺伝子のプロモーター上に存在する甲状腺ホルモン応答領域に結合して遺伝子の転写活性を調節する 甲状腺ホルモンの作用 1 熱産生作用 : 酸素消費増大による基礎代謝率 2 脳機能の成熟 : 障害でクレチン病 うつ 記憶力 3 骨成長 : 低下で低身長 増加で骨粗鬆症 4 心収縮力増強 : 心 β アドレナリン受容体 5 ミオシン重鎖 α Serca2 6 脂質代謝促進 :HMG-CoA R 肝リパーゼ活性 7 血糖調節 : 低下でインスリン分泌 受容体 増加で消化管からの糖吸収 ( 食後過血糖 ) 8 皮膚グルコサミノグリカン産生 : 低下で粘液水腫 9 肝臓タンパク質代謝 : りんご酸酵素活性 10 水 電解質代謝 :ANP 合成 Na 水の排泄

ホルモンの調節機構 (1) ネガティブフィードバック (Negative-feedback) 生体の内部環境の恒常性を維持するためのコントロール機序ホルモンの標的細胞への効果が一定に達すると その作用を抑制する方向に作用する機序 - 過度の反応の抑制 1) 単一の内分泌腺による調節血漿浸透圧上昇 ADH( 抗利尿ホルモン ) 分泌増加 血漿浸透圧低下 2) 複数の内分泌腺による直列的な調節視床下部ー下垂体ー標的内分泌腺 ( 甲状腺 副腎 性腺 ) 3) 複数の内分泌腺による並列的な調節血糖低下 インスリン分泌低下 血糖上昇グルカゴン分泌増加アドレナリン分泌増加コルチゾール分泌増加成長ホルモン分泌増加

ホルモンの調節機構 (2) 1) 単一の内分泌腺による調節 内分泌腺下垂体後葉 内分泌腺 視床下部 レプチン欠損マウス (ob/ob) 血漿浸透圧 標的臓器 腎集合尿細管 ADH バソプレッシン = 抗利尿ホルモン (antidiuretic hormon) レプチン 標的臓器 脂肪細胞 食物摂取 エネルギー消費 2) 複数の内分泌腺による直列的な調節 Hypothalamopituitaryadrenal axis Hypothalamopituitarygonadal axis Hypothalamopituitarythyroid axis CRH: corticotropin releasing hormone ACTH: adrenocorticotrophic hormone GRH: growth hormone releasing hormone SRIF: somatotropin release-inhibiting factor (=somatostatin, SRIH, GIF GH: growth hormone GnRH: gonadotropin-releasing hormone LH: luteinizing hormone FSH: follicle stimulating hormone E2: Estradiol T: testosterone TRH: thyrotrophin releasing hormone TSH: thyroid stimulating hormone T3: triiodothyronine T4: thyroxine

視床下部は間脳に位置する [ 視床下部 ] 副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン ( ペプチドホルモン ) 分泌促進 [ 下垂体 ] 副腎皮質刺激ホルモン (ACTH ペプチドホルモン ) 合成促進 [ 副腎皮質 ] コルチゾール 抑制 [ 標的組織 ] 独立行政法人情報処理推進機構教育用画像素材集より抜粋生理作用

参考 :21 水酸化酵素欠損症 コレステロール プレグネノロン プロゲステロン 17- 水酸化プレグネノロン 17- 水酸化プロゲステロン 男性化 アンドロゲン エストロゲン アルドステロン 21-hydroxylase (21 水酸化酵素 ) 欠損 コルチゾール 副腎過形成 副腎皮質刺激ホルモン (ACTH)

糖の吸収 グルコース グリコーゲン グルコース グリコーゲン グルコース グリコーゲン 糖の吸収 ホルモンの調節機構 (3) 3) 複数の内分泌腺による並列的な調節 ( 血糖調節の例 ) 140 120 血糖値 (mg/dl) 100 80 60 40 食事 インスリングルカゴンインスリングルカゴンインスリン 食事 20 0 0 1 2 3 時間 4 5 6 7 血糖 インスリングルカゴン 膵 β 細胞膵 α 細胞グリコーゲン分解糖新生ケトン体産生脂肪酸分解組織での糖取り込み糖利用 血糖

ホルモンの調節機構 (4) 血中濃度の変動ー分泌のリズムーホルモンは非常に低い (10-12 ~10-7 mol/l) 濃度で作用し その濃度は変動する < 概日周期 (Circadian rhythm)> 副腎皮質の糖質ホルモン ( ヒトでは早朝にピーク 夜間は低値 ) 下垂体前葉の成長ホルモン ( 深夜睡眠時に高値 ) < 長周期の変動 > 性ホルモンの分泌で ヒトの女性ホルモンの場合は視床下部 下垂体前葉 卵巣の順に階層的に約 28 日周期で分泌調節される < 間欠的 パルス様 > 多くのホルモンは断続的に 不規則に放出される このため血中濃度は間欠的ないしパルス様に変動する 黄体形成ホルモン (LH) など インスリン分泌のパターン < 基礎分泌 > 24 時間ほぼ一定量に保たれている分泌 < 追加分泌 > 食後の血糖値の上昇に対しタイミングよく大量に分泌される分泌 ( イベント応答 )

参考 セロトニン 5- ヒドロキシトリプタミン (5-hydroxytryptamine 略称 5-HT) は モノアミン神経伝達物質の一種 < 局在 > 約 90% は小腸の粘膜にあるクロム親和細胞に存在 8% は血小板に取り込まれ 血液を通じて体内を循環 脳関門を通過できない 2% が脳内の中枢神経に存在

参考

参考 セロトニンの合成 律速酵素 Tryptophan hydroxylase (TPH) TPH1: 主に腸 TPH2: 主に中枢神経 Aromatic L-amino acid decarboxylase (AADC)

参考

参考 古典的なセロトニンの効果 腸内のセロトニン 蠕動運動に作用 消化を助ける 過敏性腸症候群の原因とも考えられている 血液中のセロトニン 止血作用 血管収縮作用 偏頭痛の原因の一つと考えられている 脳内のセロトニン 覚醒作用 ( 交感神経を介した体温調節 視床下部における体内時計の調節 ) 情動制御作用 ( ドーパミンやノルアドレナリンの作用を抑制 ) 学習 記憶への作用 ( 海馬における記憶力に影響 ) 運動機能への作用 ( 咀嚼や呼吸といった反復運動に作用 )

参考 新しく発見されたホルモンとしてのセロトニンの効果 1 骨への作用

参考 2 褐色脂肪細胞への作用