製品コード MK102 研究用 Vitronectin EIA Kit 説明書
ビトロネクチン (Vitronectin:VN) は 補体結合蛋白質 S- プロティンとしても知られている血中の主要な接着タンパク質で 血中には高濃度に存在しています ビトロネクチンは ビトロネクチンレセプターを保有する細胞に対して接着活性を持つ他 コラーゲン へパリンなどの物質 またプラスミノーゲン活性化阻害因子 -1 トロンビン アンチトロンビン III 複合体など多種の血液で凝固調節因子に結合し 血管内での免疫系および凝固線溶系に関連していると考えられています ビトロネクチンは 分子量 75 kda アミノ酸 458 個からなる一本鎖ポリペプチド構造をしており 細胞結合部に RGD(Arg- Gly-Asp) 配列を持ち その他にもコラーゲン結合ドメインを持っています 血中では 75 kda のほかに分子量 65 kda の分子も多く存在しますが この 2 つの構造を持つ意味や生理的機能はわかっていません 本キットは 血中ビトロネクチンの 2 つの分子のいずれも検出できるモノクローナル抗体を使用した定量キットです 血中のみならず 尿中や細胞培養上清中のビトロネクチン検出にも応用できます 測定対象としてヒト ウサギ検体が可能です ウシ抗原とは交差反応しませんので ウシ胎児血清を含む培地で培養した細胞の培養上清をそのまま測定サンプルとして用いることができます I. 測定原理 II. キットの内容 (1)Antibody Coated Microtiterplate 抗 VN モノクローナル抗体コーティングプレート 1 plate 96 well(8 well 12 strips) (2)Antibody-POD Conjugate ペルオキシダーゼ標識抗 VN モノクローナル抗体 ( 凍結乾燥品 ) 11 ml 用 1 (3)Standard ヒト血漿由来ビトロネクチン 320 ng( 凍結乾燥品 ) 1 ml 用 1 (4)Sample Diluent 1% ウシ血清アルブミン含有 PBS 含防腐剤 11 ml 2 (5)Substrate Solution(TMBZ) 3,3,5,5 - テトラメチルベンジジン溶液 12 ml 1 [ ご注意 ] 本製品は 2010 年 1 月より Stop Solution(1N 硫酸 ) を含まない仕様に変更になりました 別途 洗浄液と反応停止液をセットにした Wash and Stop Solution for ELISA( 製品コード MK020) を販売しておりますのでご利用ください 2
III. キット以外に必要な試薬や器具 ( 主なもの ) Wash and Stop Solution for ELISA( 製品コード MK020) 洗浄液成分 (10 PBS;50 ml 5 本 Tween 20;3 ml) と反応停止液 (1N H2SO4 * ; 60 ml) を含む *: 1N 硫酸は腐食性があり 皮膚に接触するとただれ等を起こすことがあります 手や粘膜についた場合は ただちに多量の水で洗い流し 医師の指示に従ってください ピペット マイクロピペットおよびチップ マイクロプレートリーダー (450 nm 設定で吸光度 3.5 まで測定可能なもの ) IV. 保存 4 V. 使用目的 ヒト ウサギの血漿 (EDTA 血漿 クエン酸血漿 ) 血清 尿 細胞培養上清中及び培養細胞中のビトロネクチンの測定に有用です ( 注 ) ビトロネクチンはヘパリンと結合するため ヘパリン血漿は検体として使用できません 本キットは研究用試薬です 人や動物の臨床診断には使用できません VI. 使用方法 1. 検体 血漿 血清の測定には (4)Sample Diluent を用いて 500 ~ 1,000 倍希釈することをお勧めします 目に見えて溶血していたり脂肪が認められる検体は使わないで下さい 尿検体はビトロネクチン濃度が低いことが予想されますので 原液で測定することをお勧めします 血尿でないことを確認の上 測定に用いてください アジ化ナトリウムを含む検体は POD 活性を阻害しますので検体として用いないで下さい やむを得ず用いる場合は後述する 2-step 法にて測定することが出来ます 検体は 4 にて 24 時間保存できます それ以上保存する場合は - 20 以下にて保存して下さい 凍結している検体は測定前に室温にて溶かしゆるやかに転倒混和してください 検体の過多な凍結融解は避けて下さい 細胞抽出液を調製する場合は 1% NP40, 1 mm EDTA, 1 mm PMSF を含む PBS(pH7.2) を用いることをお勧めします 2. 試薬の調製 抗体プレート ((1)Antibody Coated Microtiterplate) 使用前に室温に戻してから開封する 標識抗体液 (2)Antibody-POD Conjugate を蒸留水 11 ml で溶解する 溶解後は 4 で 1 週間安定である 1 ヶ月にわたる保存は - 20 とする ただし 凍結融解は 1 回にとどめる 3
VN 標準液 (3)Standard に蒸留水 1 ml を加え溶解し VN 標準液 (320 ng/ml) を調製する これを (4)Sample Diluent で用時段階希釈して 160 80 40 20 10 5 ng/ml の各濃度の標準液を調製する 0 濃度は (4)Sample Diluent を用いる 希釈前の VN 標準液 (320 ng/ml) は - 20 保存で 1 ヶ月 4 保存で 1 週間安定である ただし 凍結融解は 1 回にとどめる 基質液 ((5)Substrate Solution(TMBZ)) 反応に用いる前に室温にもどしそのまま使用する 使用前に基質液が濃い青色に変色していないか確認する 金属イオンと反応すると呈色するおそれがあるので 特に水道水が混入しないよう注意する 数回に分けて使用する場合はあらかじめ必要量を取り分けるようにする 反応停止液 (Stop Solution) Wash and Stop Solution for ELISA の Stop Solution(1N H2SO4) をそのまま用いる 強酸性のため取扱いには注意する 洗浄用 0.1% Tween 20 含有 PBS Wash and Stop Solution for ELISA の 10 PBS 1 本 (50 ml) を蒸留水で 500 ml に希釈し さらに Tween 20 を 500 μl 添加する 十分に混合後 洗浄用バッファー (0.1% Tween 20 含有 PBS) として使用する 3. 操作法 測定は二重測定 (duplicate) で行う キット中の各試薬ならびにサンプルは使用前に室温にもどし 泡立てないように混和し 液を均一にしてから用いる 1. 標識抗体液を 100 μl ずつプレートの各ウェルに加えた後 各濃度の VN 標準液および検体を 50 μl ずつ各ウェルに加え 室温 (20 ~ 30 ) で 2 時間反応する サンプルの投入はすみやかに (5 分以内 ) 行う この場合 サンプルをあらかじめ別の 96 穴プレートに用意しておき 8 連ピペットなどで速やかに抗体プレートに移すようにするとよい 可能ならば VN 標準液の希釈系列を 1 列と 12 列とに取りその平均値で検量線を作成し 2 列から 11 列の検体を定量することが望ましい ( 第一反応 ) 2. 反応液を捨て 0.1% Tween 20/ PBS で 4 回洗浄後 (5)Substrate Solution(TMBZ) を 100 μl ずつ 8 連ピペットで各ウェルに加え 室温 (20 ~ 30 ) で 10 ~ 15 分間反応させる ( 第二反応 ) 3. 反応停止液 (1N H2SO4) を 100 μl ずつ (5)Substrate Solution(TMBZ) を入れた順番に各ウェルに加えて反応を停止させた後 よく混和する 4. 蒸留水を対照としてゼロ調節し 波長 450 nm で吸光度を測定する 発色は反応停止後 1 時間までは安定である 5. グラフ用紙の横軸に各 VN 標準液の濃度を 縦軸に対応する吸光度をプロットして標準曲線を作成し 検体の吸光度から対応する VN 濃度を読み取る 4
VII. 性能 1. 標準曲線下記の標準曲線は代表的な一例である 各ロットの標準曲線については 添付の Certificate of Analysis に記載している 正確な結果を得るためには 測定ごとに標準曲線を作成することが望ましい 最少検出感度は 5 ng/ml Vitronectin 濃度 (ng/ml) 320 160 80 40 20 10 5 0 A450 2.898 2.350 1.554 0.952 0.499 0.269 0.149 0.046 ( 発色時間 :15 分 ) 2. 再現性 同時再現性 ヒト血清を希釈して作製した 3 種類の濃度コントロールを用いて再現性試験を実施し た (n = 8) VN EIA 同時再現性 (n = 8) Sample Ave.(ng/ml) S.D.(ng/ml) CV(%) Control A 100.3 9.7 9.6 Control B 61.3 1.7 2.8 Control C 15.8 0.3 2.2 日差再現性三日間にわたり 3 種類の濃度コントロールの定量を実施し再現性試験を実施した VN EIA 日差再現性 (n = 3) Sample Ave.(ng/ml) S.D.(ng/ml) CV(%) Control A 110.3 6.9 6.3 Control B 61.7 3.3 5.3 Control C 15.5 0.8 4.9 5
VIII. 測定に関する基本資料 1. 健常人の血清およびウサギ血清の希釈曲線 [ ヒト血清 ] [ ウサギ血清 ] 2. 従来キットとの相関従来の用時調製タイプのキット ( 製品コード MK002; 終売 ) と本キット ( 製品コード MK102) を用いてヒト血清の測定を同時に実施した 6
3.2-step 法への応用による高感度化キットに含まれる構成試薬をそのまま用いて 2-step 法への応用が可能です 検出したい抗原がかなり少ないと予想されたり また検体中にアジ化ナトリウムのような (2) Antibody-POD Conjugate を阻害するおそれのある物質が含まれる場合などに有効です 方法 (3)Standard(320 ng) を (4)Sample Diluent で希釈して 80 ng/ml の濃度に調製し これを最高濃度として段階希釈により標準液を調製する 各濃度の (3)Standard および検体を 100 μl ずつ抗体プレートに加え 20 ~ 30 で 1 時間反応させる サンプルの投入は 5 分以内に行うことが望ましい 反応液を捨てた後 0.1% Tween 20/ PBS で 3 回洗浄する (2)Antibody-POD Conjugate を 100 μl ずつ各 well に加え 20 ~ 30 で 1 時間反応させる 反応液を捨てた後 0.1% Tween 20/ PBS で 4 回洗浄する (5)Substrate Solution(TMBZ) を 100 μl ずつ各ウェルに加え 室温 (20 ~ 30 ) で 10 ~ 15 分間発色反応させる 反応停止液 (1N 硫酸 ) を 100 μl ずつ (5)Substrate Solution(TMBZ) を入れた順番に各ウェルに加え反応を停止させた後よく混和する 蒸留水を対照としてゼロ調節し 波長 450 nm で吸光度を測定する 発色は反応停止後 1 時間までは安定である グラフ用紙の横軸に各 VN 標準液の濃度を 縦軸に対応する吸光度をプロットして標準曲線を作成し 検体の吸光度から対応する VN 濃度を読み取る IX. ご使用上の注意 1. ロット番号の異なるキットおよび試薬を混ぜて使用しないでください 2. 保存もしくは反応中に試薬を強い光に当てないでください 3. (5)Substrate Solution(TMBZ) および反応停止液に用いるピペットは金属が使われていないものを使用してください 4. (5)Substrate Solution(TMBZ) や反応停止液は手や粘膜につかないようご注意ください 5. 着色した (5)Substrate Solution(TMBZ) は使用しないでください 6. 各反応は時間 温度の影響を受けるので測定ごとに標準曲線を作成してください 7. 血液検体の取扱いには充分注意してください 7
X. 参考文献 1.Barnes, D.W. et al, (1983) J. Biol. Chem. 258, 12548. 2.Preissner, K.T. et al, (1986) Biochem. Biophis. Res. Commun. 134, 951. 3.Grinnell, F. et al, (1977) Exp. Cell Res. 110, 175. 4.Barnes, D.W. et al, (1986) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 80,1362. 5.Hayman, E.G. et al, (1986) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 80, 4003. 6.Suzuki, S. et al, (1985) EMBO J., 4, 2519. 7.Jenne, D. et al, (1985) EMBO J. 4, 3153. 8.Sato, R. et al, (1990) J. Biol. Chem. 265, 21232. 9.Preissner, K.T. (1989) Blut. 59, 419. 10.Podack, E.R. et al, (1979) J. Biol. Chem. 254, 9908. 11.Jenne, D. et al, (1985) Thromb. Res. 38, 401. 12.III C.R. et al, (1985) J. Biol. Chem. 260,15610. 13.Preissner, K.T. et al, (1987) Biochem J. 243, 105. 14.Declerck, P.J. et al, (1988) J. Biol. Chem. 263, 15454. 15.Hynes, R.O. (1987) Cell 48, 549. 16.Preissner, K.T. et al, (1988) Blood 71, 1581. 17.Thiagarajan, P. et al (1988) J. Biol. Chem. 263, 3035. 18.Niemela, O. et al, (1985) Eur. J. Clin. Invest. 15, 132. 19.Katayama, M. et al, (1990) J. Med. Tech. 34, 1739. XI. 注意 本製品は研究用として販売しております ヒト 動物への医療 臨床診断用には使用しないようご注意ください また 食品 化粧品 家庭用品等として使用しないでください タカラバイオの承認を得ずに製品の再販 譲渡 再販 譲渡のための改変 商用製品の製造に使用することは禁止されています 201001