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第 1 章 2 首都圏の市区町村毎の外国人居住の動向 首都圏における外国人居住者の変遷 首 都 圏 整 備 を め ぐ る 最 近 の 動 向 入管法が改正される前 昭和6 0年 と最新 平成1 2年 の国勢調査における 首都圏の市区 町村毎の総人口に対する外国人居住者の割合変化 図表1 5 を見てみると 昭和6 0年時点で は 5 0 以上の地域は横浜市中区 5 0 のみで 全国平均0 6 に対し0 5 以上の市区町 村のほとんどは都心部とその周辺部に見受けられた しかし 平成1 2年には 5 0 以上の地域 は 横浜市中区 8 9 東京都港区 5 5 及び新宿区 5 7 群馬県大泉町 1 1 9 の4区町になり 全国平均1 0 を超える市区町村が 都心部とその周辺に限らず 首都圏全域 に広がっている 図表1 5 首都圏における市区町村毎の総人口に対する外国人居住者の割合変化 昭和60年 平成12年 資料 国勢調査 総務省 により国土交通省国土計画局作成 また 昭和6 0年に0 5 以上であった市区町村のほとんどが 平成1 2年には割合を増加させて おり そのような市区町村等を中心に割合の増加した市区町村が拡大しているようにみえる 拡 大の中心となっている市区町村は 東京都港区 新宿区 横浜市中区といった都心部や 群馬 県大泉町 栃木県真岡市 茨城県つくば市など北関東地区に多い 次に 首都圏の居住外国人の出身国籍 地域について見てみることとする 35
出身国籍 地域別による特徴 第 節 首 都 圏 に お け る 国 際 化 の 状 況 平成1 2年国勢調査より 首都圏に居住する 図表16 首都圏の外国人国籍 地域別構成 外国人を国籍 地域別に見てみると 図表1 6 韓国 朝鮮 2 7 9 中国 2 4 6 アメリカ イギリス 5.2% その他 8.6% 韓国 朝鮮 27.9% の東アジアの2地域で約半数を占め それに フィリピン タイ等の東南アジア 南アジア ブラジル ペルー14.0% 地域 1 9 7 ブラジル ペルー 1 4 0 アメリカ イギリス 5 2 が続く 各出 身国籍 地域別に 首都圏における外国人居 住者総数に対する市区町村毎の外国人居住者 東南アジア 南アジア 19.7% 数の状況は図表1 7の通りである 中国 24.6% 資料 平成1 2年国勢調査 総務省 により国土交通省国土計画 局作成 図表1 7 国籍 地域別の首都圏外国人居住状況 韓国 朝鮮 中 国 東南アジア 南アジア 中 国 東南アジア 南アジア 国籍 地域別の割合 南 米 ブラジル ペルー イギリス アメリカ 南米 ブラジル ペルー ブラジル ペルー イギリス アメリカ アメリカ イギリス 資料 平成12年国勢調査 総務省 により国土交通省国土計画局作成 ブラジル ペルー人は その上位5地域が群馬県 栃木県の市町であるように 北関東地域 に多く居住しており それ以外の国籍 地域の外国人が 都心部に多く居住しているのと比べ 大きく異なる また アメリカ イギリス人は 東京都港区 1 0 2 など上位5地域で割合 36
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第 節 首 都 圏 に お け る 国 際 化 の 状 況 による学習の遅れといった問題がある 次に 学校による共生に向けた取組として新宿区立大久保小学校の事例を紹介する 小学校での取組 新宿区においては 1 9 8 0年代から多くの外国人が居住するようになり その数は増加の一途 をたどっている 平成1 2年国勢調査によると外国人居住者は1 6 4 7 4人で総人口に占める割合は 約5 7 と首都圏の中でも高い地域である 大久保小学校は 新宿区でも特に外国人が集住して いる大久保地区にあり 現在 全校児童のうち6割が両親あるいは父親か母親のどちらかが外 国人という特徴がある ほとんどの外国人児童は 来日当初は日本語が理解できない そこで 新宿区教育委員会で は そうした児童の学習言語としての日本語能力を向上させるために 日本語適応指導 を行っ ている これは 来日したばかりの外国人児童を対象に 教育委員会より派遣された母語の分 かる講師が1日2時間ずつ週回程度のペースで約2ヶ月間日本語の授業を行うものである 外 国人児童数が特に多い大久保小学校では 日本語適応指導 を受けた児童を対象に1 9 9 0年から 約2年間国語の授業とは別に日本語の授業を行う 日本語学級 も実施している 日本語学級 を設けている小学校は新宿区では 大久保小学校だけである その他にも学校独自の取組として 外国人児童とその父母が共に学習する 国際理解教室 や 母語ができる外国人が児童に対して母語の教育を行う 母語維持教室 を実施したり 学校便 り を4ヵ国語で作成したりしている また 学校は P T A 地域 行政と協力体制をとり 外国人児童の生活面での支援も行っている 大久保小学校では このような取組により 外国人児童の学習面及び精神面での不安が軽減 されているとともに すべての児童がお互いを一層理解し合い よりよい人間関係が築けるよ うになっている 今後 年生以上の全ての児童を対象に 4年生と5 6年生でそれぞれ 4ヵ国語のなかから1ヵ国語を選択して外国語 外国語の種類は児童から希望を聞いている を学ぶ授業の実施を検討している 新宿区内の外国人に対する日本語の指導については 国際交流協会などの団体の支援活動が 行われている これらの団体は 外国人に対して 日本語の指導以外に悩みの相談等を行って いる 母語維持教室の様子 資料 新宿区立大久保小学校 40
第 1 章 その他の親子での交流の取組 ヴェルジの会の事例 首 都 圏 整 備 を め ぐ る 最 近 の 動 向 群馬県太田市にあるN P Oヴェルジの会は 毎週土曜日に日系ブラジル人親子との農 作業を通じた交流を模索している N P Oヴェルジの会は 太田市に在住する日系ブラ ジル人の親子に 太田市で楽しく暮らすため の手助けを行うために設立された 農作 業を通じた交流は 言葉が未習熟でも参加可能で 年間を通じて様々な作業を行えると いう考えで始まった 当初 何組かの親子が参加し活動は軌道に乗りかけていたが 社 会情勢 雇用情勢により土曜日に親が出勤しなければならない状況になり 活動の継続 が困難になった 土曜日に親が仕事を休む 日曜日に開催する あるいは子供だけ参加 するといった手段も考えられたが 基本的に派遣会社の契約社員が多いブラジル人に とって仕事を休むことは解雇につながること 日曜日はキリスト教の安息日にあたるこ と ブラジル人の親は子供だけでこのような活動に参加させたがらない傾向があること といった理由により参加者が集まりにくくなっている このような支援は 各地で始まりつつあるが 外国人へ提供するだけにとどまることが多い 支援を受けた外国人には 逆に日本人へ自国の文化等を教えるといったボランティア活動によ る社会貢献を望んでいる人も多く そのような社会貢献により日本人と外国人の関係がより密 になっていくものと考えられる 次に 外国人による社会貢献を支援する事例として武蔵野市国際交流協会の事例を紹介する 外国人が参画する交流事例 武蔵野市国際交流協会では 外国人の地域参画の場として 外国語会話交流教室 外国人 企画事業 等を用意して 日本人に自国の文化等を教える場所や機会を提供し 外国人による 社会貢献を支援している 外国語会話交流教室 では初心者向けの簡単な会話や文化を紹介し 外国人企画事業 では 外国の家庭料理やダンス スポーツ等を紹介している 参加者の中 には 教室内での交流にとどまらず 活動を通じて知り合った人と地域で継続的に交流する人々 も増えてきている 外国語会話交流教室の様子 資料 武蔵野市国際交流協会 41
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