抗菌薬適正使用マニュアル

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2 発行にあたって 京都私立病院協会の感染対策委員会では 各会員病院のICT 設置 活動支援事業 院内感染対策マニュアルの作成 院内感染に関する講演会などの活動をしております そのような中 平成 24 年に抗菌薬適正使用マニュアルを発行いたしました しかし発行から4 年が経過し新薬の発売や 耐性菌の出現などに伴いマニュアルも改訂が必要となってまいりました そこで今回この抗菌薬適正使用マニュアルを改訂することにいたしました 新薬の追加 使用方法の見直しなど さまざまな改訂をいたしました 前回も述べましたように 適正な抗菌薬を使用することは より効果的な治療であり さらに耐性菌を増やさないことに結びつきます そのためにも抗菌薬適正使用マニュアルは院内感染対策として重要な役割を担っていると思われます 各医療機関では 独自の抗菌薬用のマニュアルをお持ちのことと思いますが 今回作成した当委員会のマニュアルを参考にしていただき 内容をより最新のものにして 院内感染対策のさらなる充実の一助になることを願っております また今回改訂しましたマニュアルも医療の日進月歩ですぐに改良の余地が出てくるかと思われます 皆様の温かい御指摘をいただき さらにより良いものにしていきたいと思っております なお当マニュアルは京都私立病院協会ホームページ ( で公表しておりますので 皆様の病院 医院にみあったマニュアル作成にご活用ください 当協会の感染症対策委員会の活動に今後ともご理解 ご協力宜しくお願い申し上げます 2016( 平成 28) 年 3 月 1 日 京都私立病院協会幹事 感染対策委員会委員長 清水聡

3 目 次 総 論 Ⅰ 抗菌薬適正使用のシェーマ 1 Ⅱ 抗菌薬選択の基本 抗菌薬投与中の基本 抗菌薬の予防投与 de-escalation 2 Ⅲ PK-PD( 概論 ) 7 Ⅳ 菌種別推奨抗菌薬 Ⅴ 抗菌薬治療期間 Ⅵ 主な抗菌薬の作用部位 14 各 論 1 ペニシリン系 15 2 セフェム系 18 3 カルバペネム系 23 4 グリコペプチド系 24 5 キノロン系 26 6 マクロライド系 28 7 アミノグリコシド系 31 8 テトラサイクリン系 32 9 オキサゾリジノン系 ダプトマイシン メトロニダゾール 抗結核薬 36 別 添 1 抗菌薬投与に関連するアナフィラキシー対策 37 2 注射用抗菌薬 抗真菌薬 ( 代表的なもの ) 42 3 抗菌薬感受性表 45 4 参考文献 46 5 付録 ( よく使う略語 ) 47

4 総 論 Ⅰ 抗菌薬適正使用のシェーマ Ⅱ 抗菌薬選択の基本 抗菌薬投与中の基本 抗菌薬の予防投与 de-escalation Ⅲ PK - PD( 概論 ) Ⅳ 菌種別推奨抗菌薬 Ⅴ 抗菌薬治療期間 Ⅵ 主な抗菌薬の作用部位

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6 Ⅰ 抗菌薬適正使用のシェーマ 抗菌薬を開始する前に 感染症を疑う徴候の確認( 発熱だけではない ) 感染臓器の推定と確認( 診察 検査 画像診断 ) 微生物検査( 抗菌薬開始前に実施 血培は必須 ) 非感染性発熱の鑑別 初期治療薬の選択 * カルバペネムを選択する場合は使用届が必要 感染臓器と起炎菌を想定し選択する 推定される起炎菌に有効な抗菌薬を十分量投与する 重症度に応じた抗菌薬の選択を行う 臓器移行を考慮すべき感染症に注意( 髄膜炎等 ) 起炎菌判明 有効 治癒 感染臓器の起炎菌として矛盾しないことを確認 感受性かつスペクトラムが狭い薬剤に変更有効性の判定 効果判定 治療開始後 解熱 全身状態 症状改善 菌血症: 菌陰性化 ( 確認必須 ) 塗抹: 菌 白血球減少消失 炎症マーカー改善( 参考 ) 適切なアセスメント 起炎菌不明 無効 治療期間: 症状所見を総合的に判断し決定菌血症 :10 14 日特に黄ブ菌 カンジダは菌陰性化後 14 日間 14 日以上投与が必要な感染症 : 心内膜炎 関節炎 骨髄炎 肺膿瘍 慢性前立腺炎 等 播種性病変の確認( 黄ブ菌 カンジダ ) 炎症マーカーを盲信し 不十分な治療や無意味な長期投与は行わない 以下の可能性を考慮し適切な対応を行う 微生物検査再検 検体採取方法 部位の再考 非定型病原体の鑑別 非感染性発熱の鑑別 経過が良好であれば より狭いスペクトラムの薬剤に変更を考慮以下の可能性を考慮し適切な対応を行う 投与中の抗菌薬に感受性のない病原体 抗菌薬のみでは治療困難 ( 膿瘍 感染体内異物 ) 投与量 投与方法が不適切 判定方法の誤り アレルギー反応 1

7 Ⅱ-1 抗菌薬選択の基本 1) 感染症の存在の確認 下記の項目を総合的に評価して感染症であるか判断する 1 身体所見 2 炎症所見 3 画像所見 4 病原体の検出 5 鑑別すべき疾患 ( 悪性腫瘍 アレルギー疾患 膠原病 血液疾患 中枢性疾患 内分泌疾患など ) 2) 原因菌の確認 原因菌を同定するために下記の項目に重点を置く 1 検体の細菌検査は少なくとも一回以上は検査する 2 できるだけ常在菌の混入を避ける工夫 3 2セット以上の血液培養は原因菌検索に有用 4 血中抗体価測定 迅速診断法も有用 3) 原因菌の薬剤感受性 薬剤感受性試験を行う適正な抗菌薬の指針となる 4) 抗菌薬の臓器移行性 感染臓器と薬剤の臓器移行性を考慮する 臓器 肺 マクロライド系薬ニューキノロン系薬テトラサイクリン系薬リンコマイシン系薬 移行性が高い抗菌薬 肝 胆汁 腎 尿路 マクロライド系薬ニューキノロン系薬テトラサイクリン系薬リンコマイシン系薬ペニシリン系薬 ( ピペラシリン ) セフェム系薬 ( セフォペラゾン セフブペラゾン セフピラミド セフトリアキソン ) ペニシリン系薬 セフェム系薬 モノバクタム系薬 カルバペネム系薬アミノグリコシド系薬ニューキノロン系薬グリコペプチド系薬 髄 液 クロラムフェニコール ペニシリン系薬 カルバペネム系薬セフェム系薬 ( セフトリアキソン セフォタキシム セフタジジム ラタモキセフ ) ニューキノロン系薬 * 移行性は投与量 炎症の程度によって異なる * ダプトマイシンは肺サーファクタントと結合する性質があるため 肺炎に対して有効性を期待できない 2

8 抗菌薬の臓器移行性 良好マクロライド系ニューキノロン系テトラサイクリン系クリンダマイシン 食細胞内 肝 胆汁 良好マクロライド系ニューキノロン系テトラサイクリン系クリンダマイシンセフェム系の一部ペニシリン系 ( ピペラシリン ) 腎 尿路 良好 β- ラクタム系の多くアミノグリコシド系ニューキノロン系 髄液 良好 ST 合剤テトラサイクリン系マクロライド系ニューキノロン系セフェム系の一部 肺 良好マクロライド系ニューキノロン系テトラサイクリン系不良ダプトマイシン ( 肺サーファクタントと結合 ) 前立腺 良好ニューキノロン系 5) 抗菌薬の投与計画 1 投与経路下記の表より投与経路を考慮する投与経路適応留意点 経 口 1. 感染症の程度 : 軽症 中等症 2. 基礎疾患のない患者 3. 外来通院の患者 4. バイオアベイラビリティの高い薬剤を選択する場合 ( バクトラミン ザイボックス ミノマイシンなど ) 簡便で使用しやすいが 服薬の確認が取れない 服薬量に限界がある 内服不能の患者への投与不可 注 射 1. 感染症の程度 : 中等症 重症 2. 基礎疾患のある患者 3. 入院患者 確実に血中濃度を上げることができる ルートの確保が困難な患者 熱傷患者などでは投与しにくい 局 所 1. 限局した感染症 2. 抗菌薬の移行が低い局所の感染症 耐性菌の出現に注意する 3

9 2 抗菌薬の特性下記の表より抗菌薬の特性を考慮する 時間依存性抗菌薬ペニシリン系薬セフェム系薬モノバクタム系薬カルバペネム系薬ホスホマイシンバンコマイシン 殺菌性抗菌薬 テトラサイクリン系薬マクロライド系薬クロラムフェニコールリンコマイシンクリンダマイシン 静菌性抗菌薬 濃度依存性抗菌薬アミノグリコシド系薬キノロン系薬 3 薬物動態学の特性 (PK/PD) PK/PD 理論より投与量 投与時間などを考慮する 6) 抗菌薬の安全性 抗菌薬のデメリットを理解する 1 抗菌薬の副作用 2 薬剤に対するアレルギーの確認 3 ショックなどに対する安全対策 7) 宿主の状態 宿主側の条件を考慮する 1 小児 新生児 2 妊産婦 3 高齢者 4 肝障害 5 腎障害 6 副腎皮質ステロイド投与例 7 抗がん薬投与例 8 人工呼吸器装着例 9 好中球減少症 10 免疫不全例など 8) 耐性菌出現の防止 長期間の同一抗菌薬の投与は避ける 4

10 Ⅱ-2 抗菌薬投与中の基本 1) 臨床効果の判定 おおよそ3 日間の治療で下記の項目より効果判定する 1 自 他覚症状の改善 2 解熱の程度 3 炎症所見の改善 4 画像所見の改善など 2) 抗菌薬の変更 抗菌薬を変更する場合 下記の項目を考慮する 1 同一系統の抗菌薬へは変更しない 2 抗菌薬の増量 3 臓器移行性の考慮 4 原因菌を推定して治療開始 ( エンピリック治療 ) した場合 原因菌が同定されれば速やかに適正な抗菌薬に変更する 3) 抗菌薬の投与期間 1 炎症所見の改善がみられれば早期に終了 2 同一抗菌薬は原則 14 日以内 3 原因菌の検索を行い 適切な抗菌薬か確認する 4 疾患や菌種によって推奨される投与期間があるので ガイドライン等も参考にする 5

11 Ⅱ-3 抗菌薬の予防投与 1) 抗菌薬を予防投与する場合 1 細菌感染の危険性がない場合は投与しない 2 細菌感染の危険性がある場合は短期間投与 3 汚染手術では感染症に準ずる 4 予想される原因菌を考慮など 2) 抗菌薬の予防投与例 1 周術期 術後の併発感染症の予防 2 先天性心疾患 心臓弁膜症における感染性心内膜炎の予防 3 リュウマチ熱の再発予防 4 結核の発症予防 5 白血病寛解導入などの好中球減少 6 免疫不全症など Ⅱ-4 de-escalation 1) 起因菌に活性のある抗菌薬を使用 1 抗菌薬治療を開始する前に培養検体を採取する 2 適切な抗菌薬治療が遅れないように初回から広域抗菌薬の選択や 必要に応じて抗菌薬併用療を行う 2)de-escalation 培養結果や臨床経過などから 数日後には狭域抗菌薬に変更する もしくは培養陰性など 抗菌薬が不要と判断された症例では中止を行う * 通常 1) と 2) を併せて de-escalation と呼ぶ * セプシス ( 臓器障害合併 ショック ) や人工呼吸器関連肺炎などの重症感染症が対象 6

12 Ⅲ PK-PD( 概論 ) Pharmacokinetics(PK: 薬物動態 ) とは 薬物 ( 用法用量 ) が投与された後の 生体内で吸収 分布 代謝 排泄という一連の過程を経た 体内薬物 ( 濃度 暴露量 ) の推移つまり 抗菌薬の用法 用量と体内での濃度推移の関係 通常 薬物用法用量 - 薬物濃度の経時的関係性 ( 薬物速度論 ) を指し示す 薬物濃度 = 関数 ( 用量 吸収 分布 代謝 排泄 ) 未知既知未知 ( 測定可 ) ( パラメータとして推定可 ) * 代表的な指標 Cmax: 最高血中濃度 AUC24h: 血中濃度時間曲線下面積 Pharmacodynamics(PD: 薬力学 ) とは 体内薬物 ( 濃度 暴露量 ) が 作用標的部位で生体の機能を修飾し 薬理作用を発現する過程つまり 抗菌薬の体内での濃度と作用の関係 通常 薬物濃度 - 生体反応 ( 効果 有害作用 ) の関係性( 薬理学 ) を指し示す 生体反応 = 関数 ( 薬物濃度 反応感受性 ) 未知 既知 未知 ( 測定可 ) ( 測定可 ) (PKモデル解析から予測可) * 代表的な指標 MIC: 最小発育阻止濃度 ( 細菌の増殖を抑制するために必要な最小の薬物濃度 ) < 時間依存性と濃度依存性 > 抗菌薬の効果は血中濃度が高くなるとその作用も強くなる 抗菌薬の作用を測る指標として MIC( 最小発育阻止濃度 ) がある この時 薬物動態 (PK) では Cmax( 最高血中濃度 ) AUC または t( 作用時間 ) の三つが重要になる 3つの指標指標の意味 AUC/MIC Cmax/MIC 数値が高いほど有効 同上 Time above MIC (T>MIC) 単位 (%) MIC を超える血中濃度を維持している時間 % が高いほど抗生剤が有効 7

13 時間依存性の抗菌薬の場合 MICの値よりも高い濃度推移を維持した時間 が重要この種類の抗菌薬ではCmax( 最高血中濃度 ) の値は関係なく MICよりも高い血中濃度で長時間作用させることが抗菌薬の作用を最大化させることができる 濃度依存性の抗菌薬ではCmax( 最高血中濃度 ) が重要どれだけ高い血中濃度になったかを考える必要があり 長時間作用させることは耐性菌を発生させやすくする要因になる 抗菌薬の効果に影響を及ぼす主な PK/PD パラメーター 抗菌薬の特性 PK/PD パラメーター抗菌薬の種類 濃度依存性殺菌作用と長い持続効果 (PAE) 時間依存性殺菌作用と短い持続効果 (PAE) AUC/MIC or Cmax/MIC Time above MIC キノロン系アミノグリコシド系 ペニシリン系セフェム系カルバペネム系 時間依存性殺菌作用と長い持続効果 (PAE) AUC/MIC クラリスロマイシンアジスロマイシンテトラサイクリン系バンコマイシン *PAE( 持続効果 ) とは MIC の値より低い濃度になっても抗菌薬の作用が持続する作用 を指す 濃度依存性抗菌薬のPK/PD MPC( 耐性菌出現阻止濃度 ) と MSW( 耐性菌選択濃度域 ) とはキノロン系など濃度依存性の抗菌薬で PK/PDを考える場合 MIC 以外のパラメーターとなる 抗菌薬を考える上で重要となる要素として 耐性菌の出現がある できるだけ耐性菌の出現を抑え 感染症を治療しなければいけない そこで登場する概念がこのMPC とMSWである 8

14 血中濃度 濃度依存性の抗菌薬 MSW 時間経過 MPC MIC 血中濃度が高いほど薬の作用も強くなる投与回数を少なくさせ 一回の投与量を最大化する 菌の増殖を抑えるためには MICより抗菌薬の濃度を高くすれば良い ただし 耐性菌の場合は MIC よりも多少抗菌薬の濃度が高かったとしても 生き残って増殖することができる そこで 実際のところMICより抗菌薬の濃度が高いだけでは不十分であり これら耐性菌の増殖まで抑えるように抗菌薬の濃度を調節する必要がある そこで MPC( 耐性菌出現阻止濃度 ) が出てくる この濃度よりも高い血中濃度にすることにより 耐性菌の出現を抑えるのである これにより 耐性菌を含めて殺菌することができる そのため MSW(MICとMPCの間の濃度 ) では 通常の菌は殺菌されるが 耐性菌は生き残ってしまう濃度 と考えることができる そのため 中途半端にMICより高い濃度であると 耐性菌の出現を促進させることになる これらの理由から 濃度依存性の抗菌薬は 高濃度で短期間投与により MPCの値を超えるように投与量を調節する という事を考えなければいけない 正しい投与方法 血中濃度時間経過 間違った投与方法 血中濃度時間経過 MPC MSW MIC MSW MPC MIC 高濃度で短時間投与耐性菌を含めて殺菌少量で長時間投与耐性菌が生き残る 時間依存性抗菌薬のPK/PD 時間依存性の抗菌薬は基本的に どれだけの時間 MIC の値より高い濃度で推移したか について考える MICより濃度が高くても殺菌効果は上がらないため Cmax( 最高血中濃度 ) ではなくて血中濃度推移を考えるのである そのため 投与量ではなく投与回数の方が重要視される 例えば 薬を投与する事によって次のような血中濃度推移を描く薬があるとする 9

15 一回に大量投与 二回に分けて少量投与 血中濃度MIC 血中濃度MIC 時間経過 時間経過 このとき 左図であれば多くの時間でMICよりも血中薬物濃度が低くなっている この場合であると 抗菌薬の作用を発揮させることができない そこで 一回の服用量を減らす変わりに 一日の中での服用回数を増やしてやる すると 右図のようにMICよりも高い血中濃度で推移する割合が増える これによって 薬の作用を高めるのである ここでさらに服用回数を多くすると 下図のように抗菌薬の作用をより最大化させることができる 複数回に分けて少量投与 血中濃度MIC 時間経過 薬物の作用標的となる感染部位でのPK-PDの重要性 抗菌効果とより相関するのは 病原微生物に作用する感染部位での薬物濃度 体液中 組織中薬物濃度に基づくことが より直接的かつ正確で 抗菌薬の作用標的となる感染部位に特異的なPK-PDがより重要となる 抗菌薬を安全に投与するために抗菌薬の主な排泄経路は腎である 従って 腎機能低下患者に抗菌薬を投与する際には 副作用発現に注意するとともに 腎機能に応じた投与法を考慮する 副作用発現防止のためにも 血中濃度測定 (Therapeutic Drug Monitoring:TDM) を実施していく必要がある * 感染症における TDM のポイント 腎機能に変動があれば濃度をcheck 採血は投不開始 3~4 日後で投不直前の採血が望ましい初期投不設計が重要 10

16 ラム陽性球菌グラム陰経口第 2 第 3 セファロスポリン AZM CAM グラム陽Ⅳ 菌種別推奨抗菌薬 Staphylococcus aureus (MSSA) Staphylococcus aureus (MRSA) 第 1 世代セフェム VCM VCM TEIC ABK LZD TEIC 種 1st 2nd グCR-MRSA 軽症 中等症 (STまたはMINO)±RFP CLDM 重症 VCM TEIC LZD DAP Staphylococcus epidermidis ( 表皮ブドウ球菌 ) VCM RFP +(ST または FQ) Staphylococcus saprophyticus 経口セファロスポリン AMPC/CVA FQ βstreptococcus(abcgf) + Streptococcus milleri PCG ほとんどのβラクタム剤 菌 αstreptococcus PCG 第 1 世代セフェム Enterococcus faecalis Enterococcus faecalis Pneumococci ABPC PCG VCM GM 感受性 PCG ABPC 耐性 PCG ABPC 耐性 +VCM 耐性 ペニシリン感受性 ペニシリン中等度耐性 ペニシリン耐性 PCG あるいは ABPC VCM IPM/CS + ABPC PCG ABPC/SBT CTRX CTX 大量 PCG VCM±RFP 髄膜炎の場合は CTRX CTX との併用を考慮 VCM TEIC LZD 性Moraxella catarrhalis AMPC/CVA Neisseria meningitidis CTRX MEPM Neisseria gonorrhoeae CTRX CTX AZM 第 1 世代セフェム CTX CAM IPM/CS VCM LVFX 性Corynebacterium EM PCG Bacillus-cereus, B. subltilis VCM CLDM FQ IPM/CS Corynebacterium jeikeium VCM PCG + AG Rhodococcus equi AZM LVPX VCM IPM/CS Listeria monocytogenes ABPC ST 11

17 ラム陰性桿菌気性種 1st 2nd グAcinetobacter Calcoaceticus IPM/CS MEPM フルオロキノロン+ CAZ ABPC/SBT Brucella sp. テトラサイクリン系 ±GM ST+GM Burkholderia cepacia ST MEPM CPFX MINO CP Campylobacter jejuni AZM EM CPFX Campylobacter fetus GM IPM/CS Citrobacter diversus, C. freundii IPM/CS MEPM CPFX GM Enterobacter sp. GM IPM/CS MEPM AMK 第 3 世代セフェム ST 単純性尿路感フルオロキノロン セフェ Escherichia ST AMPC/CVA 染症ム系 ABPC AMPC coli 全身感染第 3 世代セフェム GM AMK ABPC/SBT 菌 Haemophilus influenzae 髄膜炎 他の感染症 CTX CTRX ABPC AMPC/CVA 第 2 第 3 第 4 世代セファロスポリン Klebsiella sp. セフェム系 ( 重症は第 3 第 4 世代 ) Legionella sp. LVFX AZM Proteus mirabilis ( インドール陰性 ) Psudomonas aeruginosa ABPC CFPM CZOP PIPC/TAZ カルバペネム系 CPFX ST IPM/CS MEPM フルオロキノロン β ラクタマーゼ非産生なら ABPC ST IPM/CS MEPM フルオロキノロン β ラクタマーゼ非産生なら ABPC フルオロキノロン ST GM AMK ST 第 3 世代セファロスポリン AP IPM/CS MEPM Serratia marcescens PIPC/TAZ CPFX LVFX カルバペネム系 嫌菌Stenotrophomonas maltophilia ST FQ Bacteroides sp. メトロニダゾール DRPM IPM/CS MEPM Clostridium difficile メトロニダゾール 経口 VCM Clostridium perfringrns PCG ± CLDM DOXY Clostridium tetani PCG メトロニダゾール DOXY Lactobacillus sp. (PCG または ABPC)+ GM CLDM EM Peptostreptcoccus PCG CLDM サンフォード感染症治療ガイド 2015 より参照 12

18 Ⅴ 抗菌薬治療期間 感染臓器診断名原因微生物抗菌薬治療の期間 中枢神経 髄膜炎 髄膜炎菌 インフルエンザ菌 肺炎球菌 B 群 β 溶連菌 リステリア 7 日 7 日 咽頭咽頭炎 A 群 β 溶連菌 10 日 肺 肺炎 血液菌血症 循環器 消化器 泌尿器 骨 関節 肺炎球菌 ブドウ球菌 マイコプラズマ 10~14 日 日 21 日以上 解熱後 5 日間 3~4 週間 7~14 日 レジオネラ 7~14 日 ( 重症は 3 週間 ) グラム陰性桿菌 3 週間 肺膿瘍 - 4~6 週 感染性心内膜炎 ( 自己弁 ) 感染性心内膜炎 ( 人工弁 ) 期間はあくまで目安です 表皮ブドウ球菌 黄色ブドウ球菌 グラム陰性桿菌 カンジダ 5 7 日 最低 14 日 7~14 日 ( 培養陰性化から )14 日 連鎖球菌 4 週間 (GM 併用は 2 週間 ) 腸球菌 4~6 週間 (GM 併用も同様 ) 黄色ブドウ球菌 4~6 週間 (GM 併用も同様 ) MRSA 4~6 週間 (GM 併用も同様 ) 連鎖球菌 4~6 週間 (GM 併用は 2~6 週間 ) 腸球菌 4~6 週間 (GM 併用 ) 黄色ブドウ球菌 6~8 週間 (GM 併用は 2~4 週間 ) MRSA 6~8 週間 (GM 併用は 2~6 週間 ) 腹膜炎 - 10~14 日 偽膜性腸炎 C. difficile 10~14 日 膀胱炎 日 急性腎盂腎炎 日 腎盂腎炎 ( 再発 ) - 最低 4 週間 慢性前立腺炎 - 30~90 日 (ST 合剤 ) 4~6 週間 ( キノロン系薬 ) 成人 非淋菌性 14~28 日 化膿性関節炎非淋菌性骨髄炎として治療小児淋菌性 7 日 成人 - 最低 4 週間 黄色ブドウ球菌 3 週間 急性骨髄炎肺炎球菌 14 日小児髄膜炎菌 14 日 インフルエンザ菌 14 日 慢性骨髄炎 - 最低 3ヶ月 13

19 Ⅵ 主な抗菌薬の作用部位 抗菌薬の作用機序から1. 細胞壁合成阻害 2. 蛋白合成阻害 3. 細胞質膜阻害 4.RNA 合成阻害 5.DNA 合成阻害の5つに分類される 主な抗菌薬の作用部位 細胞壁合成阻害 β-ラクタム系 ( ペニシリン系 セフェム系 カルバペネム系 モノバクタム系 ) グリコペプチド系 ( 一般にヒトに対する毒性は弱い ) 細胞質膜阻害ダプトマイシンペプチド系 ( ポリミキシンB) ポリエン系 ( アムホテリシンB) ( 一般にヒトに対する毒性も強い ) リボソーム mrna 細菌細胞 DNA RNA 合成阻害リファンピシン 蛋白合成阻害アミノグリコシド系マクロライド系テトラサイクリン系クロラムフェニコール ( ヒトに対し毒性を示す場合がある ) DNA 合成阻害キノロン系 14

20 各 論 1 ペニシリン系 2 セフェム系 3 カルバペネム系 4 グリコペプチド系 5 キノロン系 6 マクロライド系 7 アミノグリコシド系 8 テトラサイクリン系 9 オキサゾリジノン系 10 ダプトマイシン 11 メトロニダゾール 12 抗結核薬

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22 1 ペニシリン系 特徴 全身への分布は速やかで 胆汁 関節液 胸腔 心膜腔への移行は良好 髄液への移行は炎症があれば良好 本来の効果を発揮するためには 本邦の承認量では不十分な事が多い ( サンフォードガイドの投与量比較表を参照 ) PK-PD Time above MIC 有効性を高めるためには 1 回投与量を増やすよりも投与回数を増やす A 天然ペニシリン カリウムを100 万単位あたり1.7mEq 含むので腎機能障害のある患者に大量投与するときは 血清カリウム濃度に注意 注射薬 ベンジルペニシリンカリウム :PCG( ペニシリンG) 経口薬 ベンジルペニシリンベンザチン水和物 :DBECPCG( バイシリンG) 主なスペクトラム 肺炎球菌を含む好気性 嫌気性の連鎖球菌 腸球菌 淋菌 髄膜炎菌など 主な無効菌種 グラム陰性菌( 淋菌を除く ) B アミノペニシリン グラム陰性桿菌にもスペクトラムを広げられたが 耐性も進行しているため 感受性がある場合のみ第一選択薬として使用可能 注射薬 アンピシリン :ABPC( ビクシリン ) 経口薬 アモキシシリン :AMPC( サワシリン ) アンピシリン :ABPC( ビクシリン ) 15

23 主なスペクトラム 腸球菌 肺炎球菌 インフルエンザ菌 大腸菌 連鎖球菌 Proteus mirabilis 主な無効菌種 Klebsiella pneumonia C 広域スペクトラムペニシリン 注射薬 ピペラシリンナトリウム :PIPC( ペントシリン ) 経口薬なし主なスペクトラム アンピシリン+ 緑膿菌 Citrobacter Enterobacter など D β- ラクタマーゼ阻害剤配合剤 注射薬 アンピシリン / スルバクタム :ABPC/SBT( ユナシンS) ピペラシリン / タゾバクタム :PIPC/TAZ( ゾシン ) 経口薬 アモキシシリン / クラブラン酸 :AMPC/CVA( オーグメンチン ) 主なスペクトラム MSSA ペニシリナーゼ産生の大腸菌 嫌気性菌(Bacteroides fragilis Fusobacterium sp. など ) など主な無効菌種 β-ラクタマーゼ阻害薬を配合することでスペクトラムは広がるが ペニシリン耐性肺炎球菌や BLNAR 型のインフルエンザ菌の耐性はβ-ラクタマーゼによるものではないので無効 第 3セフェムを使用 16

24 抗菌スペクトルからの分類 ペニシリン系 ( 付表 ) 主としてグラム陽性菌に抗菌力を示す薬剤 β- ラクタマーゼに安定な薬剤 グラム陰性菌にも抗菌力を示す薬剤 グラム陰性菌のみに抗菌力を示す薬剤 緑膿菌やセラチアにも抗菌力を示す薬剤 グラム陽性菌 淋菌 髄膜炎菌およびスピロヘーターに有効多くのグラム陰性菌には無効で β- ラクタマーゼに容易に分解される β- ラクタマーゼに安定抗菌スペクトルはペニシリン G と同様 ペニシリン G に加えて 大腸菌 赤痢菌 サルモネラ インドール (-) プロテウス インフルエンザ菌までに拡大 グラム陽性菌には弱いが 大腸菌 肺炎桿菌 エンテロバクターなどのグラム陰性菌に強い抗菌力を示す アンピシリンに加えて緑膿菌に対する抗菌力を持つ ピペラシリンはペニシリン系の中では抗菌スペクトルが最も広い ペニシリン G など メチシリン オキサシリンなど アンピシリン アモキシシリンなど ピブメシリナム カルベニシリン スルベニシリン ピペラシリンなど 17

25 2 セフェム系 特徴 抗菌スペクトラムにより第 1~ 第 4 世代に分類されるが 新しい世代が古い世代に比べ 臨床効果が優る あるいはより強いということではない 髄腔内への浸透は炎症の存在下で主として第 3 世代以降で良好となる PK-PD Time above MIC 有効性を高めるためには 1 回投与量を増やすよりも 投与回数を増やす (1 日 1 回で投与可能なセフトリアキソンも同様 ) A 第 1 世代セファロスポリン 髄液への移行性は悪い注射薬 セファゾリン :CEZ( セファメジンα) 経口薬 セファレキシン :CEX( ケフレックス ) セフロキサジン :CXD( オラスポア ) 主なスペクトラム MSSA と連鎖球菌の治療薬 グラム陰性桿菌では Proteus mirabilis E. coli Klebsiella pneumonia にスペクトラムを持つ A 群 β 溶血連鎖球菌に有効であり 本菌による咽頭炎 扁桃腺炎にペニシリン系と同等の効果がある α 連鎖球菌 (Streptococcus illeri) β 溶血連鎖球菌 (groupb C G D 連鎖球菌など )γ 溶血連鎖球菌 (Streptococcus bovis) にも有効主な無効菌種 腸球菌 嫌気性連鎖球菌(Peptostreptococcus) PRSP 18

26 B 第 2 世代セファロスポリン 髄液への移行性は悪い注射薬 セフォチアム :CTM( パンスポリン ) 経口薬 セフォチアムヘキセチル塩酸塩 :CTM-HE( パンスポリンT) 主なスペクトラム Haemophilus influenza Enterobacter sp. Neisseria sp. +Proteus mirabilis E. coli Klebsiella pneumonia Mollaxella catarrhalis 主な無効菌種 腸球菌 嫌気性菌 BLNAR 型インフルエンザ菌 C 第 3 世代セファロスポリン 髄液移行性がよく 髄膜炎などの中枢神経系感染症に有用 特にインフルエンザ菌による髄膜炎にはセフトリアキソンが重要 セフトリアキソンは胆石 腎 尿路結石が現れることがある 注射薬 アズトレオナム :AZT( アザクタム ) セフトリアキソン :CTRX( ロセフィン ) セフォタキシム :CTX( クラフォラン ) セフタジジム :CAZ( モダシン ) スルバクタム / セフォペラゾン :SBT/CPZ( スルペラゾン ) 経口薬 セフジニール :CFDN( セフゾン ) セフジトレン ピボキシル :CDTR-PI( メイアクト MS) セフカペン ピボキシル :CFPN-PI( フロモックス ) 主なスペクトラム Haemophilus influenza Enterobacter sp. Neisseria sp. +Proteus mirabilis E. coli Klebsiella pneumonia 以上でSerratia Pseudomonas Indol-positive Proteus Citrobacter Enterobacter のうちPseudomonas 以外 但し 経口薬はSerratia Citrobacter Enterobacterには抗菌活性は期待できない ペニシリン耐性セファロスポリンに感受性(MIC<0.5μg/mL) の肺炎球菌 BLNAR 型インフルエンザ 19

27 連鎖球菌(A 群 B 群 ) セフタジジムは緑膿菌に抗菌活性を持つ スルバクタム/ セフォペラゾンは緑膿菌と嫌気性菌に抗菌活性を持つ 主な無効菌種 ESBL 産生株のE. coli K. pneumoniae 嫌気性菌( スルバクタム / セフォペラゾンを除く ) D 第 4 世代セファロスポリン 髄液移行性はよい 注射薬 セフェピム :CFPM( マキシピーム ) セフォゾプラン :CZOP( ファーストシン ) 経口薬なし主なスペクトラム 緑膿菌を含めグラム陰性桿菌に対して広いスペクトラムを持つ 黄色ブドウ球菌活性は第 1 世代のセファゾリンなどより劣る Aeromonas hydrophilia Burkhokderia cepacia B. psudomalleri Citrobacetr diversus Procidencia sp. などに対して感受性があれば使用 主な無効菌種 嫌気性菌 E セファマイシン系 ESBLはセファロスポリンを分解してもセファマイシンは分解できないが 一部セファマイシンも分解するタイプのものがあるので注意 ビタミンK 依存性凝固因子 (Ⅱ Ⅶ Ⅸ Ⅹ) 産生抑制およびビタミンK 代謝阻害による出血時間延長がある ジスルフィラム様作用があるのでアルコールは避ける 注射薬 セフメタゾール :CMZ( セフメタゾン ) 経口薬なし 20

28 主なスペクトラム 横隔膜より下の嫌気性菌 Bacteroides fragilis に活性を持つ 第 2 世代セファロスポリンに近いがグラム陽性球菌にはやや活性が低い 主な無効菌種 緑膿菌 F オキサセフェム系 ビタミンK 依存性凝固因子 (Ⅱ Ⅶ Ⅸ Ⅹ) 産生抑制およびビタミンK 代謝阻害による出血時間延長がある ジスルフィラム様作用があるのでアルコールは避ける 注射薬 フロモキセフ :FMOX( フルマリン ) ラタモキセフ :LMOX( シオマリン ) 経口薬なし主なスペクトラム 第 2 世代セファロスポリン+ 横隔膜より下の嫌気性菌 Bacteroides fragilis 主な無効菌種 緑膿菌 21

29 主な抗菌薬の世代分け 注射薬 世セファロスポリン系セファマイシン系第一世代第二世代主な抗菌薬の世代分け 経口薬 世原体吸収型プロドラッグ型第一世代第二世代主な製品 1 セフェム系 代特性 ( 抗菌スペクトル 抗菌力など ) グラム陽性菌一部のグラム陰性菌 セファゾリン : セファメジン R α 主な抗菌薬 第一世代 + β-ラクタマーゼに安定 インフルエンザ菌 インドール陽性プロテウスなどのグラム陰性菌 セフォチアム : パンスポリン R ハロスポア R セフメタゾール : セフメタゾン R 第三世代第四世代 第二世代 + グラム陰性菌の外膜透過性良好 緑膿菌 セラチアを含むグラム陰性菌 黄色ブドウ球菌に対して活性低下 第三世代 + 黄色ブドウ球菌 セフォタキシム : セフォタックス R セフメノキシム : ベストコール R セフトリアキソン : ロセフィン R セフォペラゾン : セフォペラジン R セフピラミド : セパトレン R セフタジジム : モダシン R セフスロジン : タケスリン R セフピロム : ケイテン R セフェピム : マキシピーム R セフォゾプラン : ファーストシン R ラタモキセフ : シオマリン R セフブペラゾン : トミポラン R セフミノクス : メイセリン R フロモキセフ : フルマリン R 主な製品 2 代特性 ( 抗菌スペクトル 抗菌力など ) グラム陽性菌一部のグラム陰性菌 セファレキシン : ケフレックス R セファクロル : ケフラール R セフロキサジン : オラスポア R 主な抗菌薬 第一世代 + β- ラクタマーゼに安定 インフルエンザ菌 インドール陽性プロテウスなどのグラム陰性菌 セフロキシム アキセチル : オラセフ R セフォチアム ヘキセチル : パンスポリン T R 第三世代 第二世代 + セラチアなどグラム陰性菌に対する抗菌力増強 セフィキシム : セフスパン R セフジニル : セフゾン R セフテラム ピボキシル : トミロン R セフカペン ピボキシル : フロモックス R セフジトレン ピボキシル : メイアクト R セフポドキシム プロキセチル : バナン R 22

30 3 カルバペネム系 特徴 非常に広範囲 多種類のβラクタマーゼに対する安定性 高い外膜通過能力により好気性 嫌気性を問わずほとんどのグラム陽性 陰性菌に著しく広いスペクトラムをもつ カルバペネム系抗菌薬が使用されるべき臨床状況は極めて限られており 本抗菌薬の有効性を失わないために意識的に使用を限定する努力が必要である PK-PD Time above MIC 有効性を高めるためには 1 回投与量を増やすよりも 投与回数を増やす 注射薬 イミペナム :IPM/CS( チエナム ) メロペネム :MEPM( メロペン ) ドリペネム :DRPM( フィニバックス ) 経口薬なし主なスペクトラム適応となる臨床症状 複数のグラム陽性 陰性 好気性 嫌気性菌が問題となる病院内発症の混合感染症 敗血症などの重症感染症における培養結果判明までのエンピリカルな治療 好中球減少症における発熱のエンピリカルな治療( 嫌気性菌の関与が低ければCFPMで可 ) 他剤が無効な場合の重症感染症アンチバイオグラム等の明確な根拠が無い限り 最初から本抗菌薬をエンピリカルに使用することは極力避ける 広いスペクトラムを持つが そのスペクトラムでカバーしている微生物は他の抗菌薬でも同様 あるいはより優れた治療効果を上げ得るものがある 主な無効菌種 グラム陽性球菌:MRSA MRCNS VRE E. faecium E. faecalis(ipm/csのみ有効 ) グラム陰性桿菌:Stenotrophomonas maltophilia Burkholderia cepacia(mepmのみ有効 ) その他:Mycoplasma Legionella Rickettsia Chlamydia Spirocheta Corynebacterium jeikeium Rhodococcus equi Clostridium difficile 等 23

31 4 グリコペプチド系 耐性 腸球菌の耐性遺伝子 VanA:VCM TEICの両方に高度耐性を示すVRE VanB:VCMに耐性であるが TEICに感受性 VanC:VCMに低感受性であるが TEICに感受性 A バンコマイシン :VCM 特徴 ほとんどの体液中に移行し 腹腔内 胸腔内 心膜腔内 関節腔内にも分布する 髄腔内への移行は炎症の程度などにより一定しない βラクタム剤耐性のグラム陽性球菌感染症とβラクタムアレルギーの症例が対象となる βラクタム剤感受性の菌に対しては 抗菌力は明らかに劣る 経口薬は吸収されないが 腸管膜に炎症がある場合に吸収され血中濃度が上昇することがあるので注意が必要 TDM 対象薬 トラフ濃度が20μg/mLを超えると腎機能障害が起こりやすいと報告あり PK-PD AUC/MIC 有効性を高めるためには 1 日投与量を増やす 注射薬 塩酸バンコマイシン :VCM( バンコマイシン ) 経口薬 塩酸バンコマイシン :VCM( バンコマイシン散 ) 有効血中濃度 ピーク値:25~40μg/mL トラフ値:10~15μg/mL 院内肺炎 感染性心内膜炎 骨髄炎 髄膜炎 菌血症の場合は 状況により15~20μg/mL でコントロールする 主なスペクトラム グラム陽性球菌:MRSA MRCNS ペニシリン耐性の腸球菌 PRSP グラム陽性桿菌:Corynebacterium jeikeium Bacillus sp. 24

32 主な無効菌種 グラム陰性桿菌 B テイコプラニン :TEIC 特徴 組織移行性は全般に良好で 心臓 心膜 縦隔 肺 滑膜 関節腔 胸腔 腹水 胸水 骨への移行もよい 腎障害はバンコマイシンより少ない TDM 対象薬 トラフ濃度が20μg/mLを超えると肝機能障害が起こりやすいと報告あり トラフ濃度が60μg/mLを超えると腎機能障害が起こりやすいと報告あり PK-PD AUC/MIC 有効性を高めるためには 1 日投与量を増やす 注射薬 テイコプラニン :TEIC( タゴシッド ) 有効血中濃度 ピーク値: 指標無し トラフ値:10~20μg/mL 主なスペクトラム グラム陽性球菌:MRSA MRCNS ペニシリン耐性の腸球菌 PRSP グラム陽性桿菌:Corynebacterium jeikeium Bacillus sp. 主な無効菌種 グラム陰性桿菌 25

33 5 キノロン系 特徴 組織移行性は良好であり比較的長い半減期を持ち 1 日 1~2 回投与でよい PAE(post antibiotic effect) * を有する 経口用キノロンの消化管からの吸収は良好だが 食事 アルミニウム マグネシウムなどの制酸剤 鉄 亜鉛入りのマルチビタミンなどで吸収が低下する 有効菌種は多いが ほとんどの有効菌種で無視できないレベルの耐性化が進んでいる 妊婦または妊娠の可能性がある場合は投与禁忌 *PAE: ある抗菌薬が微生物に短期間接触したあとに 薬剤がなくなっても持続して見られる増殖抑制効果 PK PD AUC/MIC Peak/MIC AUCは1 日投与量が同じであれば投与回数に関係なく同じになるが 1 日 1 回投与であれば Peak と相関する 有効性を高めるためには 1 回量を増やす A 第 2 世代キノロン 第 2 世代以降のキノロンは構造から フルオロキノロン とも呼ばれる 注射薬 シプロフロキサシン :CFPX( シプロキサン ) パズフロキサシン :PZFX( パシル ) 経口薬 プルリフロキサシン :PUFX( スオード ) 主なスペクトラム 緑膿菌を含むグラム陰性桿菌 + 黄色ブドウ球菌 細胞内濃度が非常に高くなるため Chlamydia Legionella Mycoplasma などの異型性肺炎の起炎菌にも有効主な無効菌種 βラクタム剤に耐性のグラム陽性球菌(mrsa VRE) グラム陰性桿菌(Stenotrophomonas maltophilia) 26

34 B 第 3 世代キノロン レボフロキサシン ガレノフロキサシンは主に腎排泄であるが モキシフロキサシンは胆汁排泄である 注射薬 クラビット点滴静注 500mg 経口薬 レボフロキサシン :LVFX( クラビット ) モキシフロキサシン :MFLX( アベロックス ) ガレノフロキサシン :GRNX( ジェニナック ) 主なスペクトラムレボフロキサシン グラム陽性球菌( 特に肺炎球菌 ) にも抗菌活性がある 連鎖球菌 Legionella( 第 1 選択 ) Chlamydia Mycoplasma 赤痢 Salmonella モキシフロキサシン ガレノフロキサシン レボフロキサシンよりグラム陽性球菌への活性が高い 緑膿菌に対する活性は第 2 世代より劣る 嫌気性菌(Bacteroides flagilis など ) にも有効 連鎖球菌 Legionella( 第 1 選択 ) Chlamydia Mycoplasma 主な無効菌種 βラクタム剤に耐性のグラム陽性球菌(mrsa VRE) グラム陰性桿菌(Stenotrophomonas maltophilia) 27

35 6 マクロライド系 特徴 初期のマクロライドのエリスロマイシンには胃酸に弱い 組織移行性が悪い Haemophiius influenzae に対する抗菌活性が低い といった欠点があった これらの欠点を改良したのがクラリスロマイシン アジスロマイシンである しかし 国内での多用によりStreptococcus pneumoniae H. infulenzaeなどに耐性菌が増加している A 群 β 溶連菌に対しても耐性化してきている きわめて安全な抗菌薬の代表として使用される傾向にあるが 本来第 1 選択薬となる感染症は限られている βラクタム系抗菌薬にアレルギーのある患者の代替薬として有用性が大きい 主に肝代謝である PK-PD AUC/MIC 有効性を高めるためには 1 日投与量を増やす ( 投与回数は無関係 ) A エリスロマイシン :EM 14 員環系 胃酸に弱いので空腹時がよい ほとんどの組織に移行 中枢神経系 関節腔内への移行は悪い 注射薬 エリスロマイシン :EM( エリスロシン ) 経口薬 エリスロマイシン :EM( エリスロシンドライシロップ ) 主なスペクトラム MSSA に有効だが 一部は耐性化しているので使用を控える 連鎖球菌(A 群 β 溶連菌は80% が耐性 ) Mycoplasma pneumoniae の活性はテトラサイクリンの50 倍 レボフロキサシンの30 倍 Chlamydia trachomatis Chlamydophila pneumoniae Ureaplasma urealyticum Rickettsia sp. にも活性有 Legionella はクラリスロマイシン アジスロマイシンの方が活性は高い 主な無効菌種 大腸菌などの腸内細菌 その他グラム陰性桿菌 28

36 B クラリスロマイシン :CAM ロキシスロマイシン :RXM 14 員環系 胃酸に対しては安定で 消化管からの吸収はよい バイオアベイラビリティは50% で 食事と一緒に服用すると吸収は改善する 半減期が長いため1 日 2 回の投与が可能 疎水性が高く 組織 細胞内への移行性はよい 髄液への移行性無い チトクロームP-450を阻害するため 多くの薬物と相互作用があるので注意 ロキシスロマイシンはクラリスロマイシンに比べ相互作用は少ない 経口薬 クラリスロマイシン :CAM( クラリス ) ロキシスロマイシン :RXM( ルリッド ) 主なスペクトラム 肺炎球菌 黄色ブドウ球菌に対しては エリスロマイシンの2~4 倍活性が高いが 第 1 選択にはならない Mycoplasma pneumoniae Chlamydia trachomatis Chlamydophila pneumoniae Ureaplasma urealyticum MAC(Mycobacterium avium complex) に対しては マクロライド中最も活性が高い 百日咳(Bordetella pertussis) 上気道グラム陰性桿菌:Haemophilus influenzae Moraxella catarrhalis に対してはエリスロマイシンより多少活性は高いが アジスロマイシンの方がよい スピロヘータ Campylobacter jejuni アクネ菌( ロキシスロマイシン ) 主な無効菌種 グラム陰性桿菌に対してもエリスロマイシンより活性があるが 本来よい適応ではない 大腸菌など腸内細菌や緑膿菌などの非発酵菌 嫌気性菌 29

37 C アジスロマイシン :AZM 15 員環系 この構造により細胞内濃度は血中より10~100 倍高くなり 半減期も68 時間と長い 中枢神経への移行は悪い チトクロームP-450で代謝を受けないため 他のマクロライド系薬に比べて相互作用は少ない 注射薬なし経口薬 アジスロマイシン水和物 :AZM( ジスロマック ) 主なスペクトラム グラム陽性球菌活性はエリスロマイシン クラリスロマイシンと同等かやや劣る グラム陰性桿菌の外膜の透過性が改善し H. Influenzae M. Catarrhalis Neisseria sp. にはアジスロマイシンの方が活性は高い Legionellaに対してはマクロライド系薬中最も活性が高く キノロン系薬と並んで第 1 選択薬となる Mycoplazma pneumoniae Chlamydia trachomatis Chlamydophila pneumoniae Ureaplasma urealyticum スピロヘータ Campylobacter jejuni 主な無効菌種 大腸菌などの腸内細菌や緑膿菌などの非発酵菌 嫌気性菌 30

38 7 アミノグリコシド系 特徴 3 日以上の使用は腎障害のリスクを増加させる 10~14 日の投与により腎障害が5~10% 発現する βラクタム剤との併用でシナジー効果が期待できる アミカシンはβラクタム剤との併用効果は無い ハベカシンとイセパマイシンのβラクタム剤との併用効果は不明 アミカシンはゲンタマイシンに耐性の場合でも使用可能 TDM 対象薬 PK-PD Cmax/MIC 有効性を高めるためには 1 回投与量を増やして 1 日 1 回投与とする 腎障害軽減のためにも1 日 1 回投与が推奨される (βラクタム剤との併用時を除く) 注射薬 ゲンタマイシン :GM( ゲンタシン ) アミカシン :AMK( 硫酸アミカシン ) イセパマイシン :IPM( イセパシン ) ハベカシン :ABK( ブルバトシン ) 抗 MRSA 薬 カナマイシン :KM( 硫酸カナマイシン ) ストレプトマイシン :SM( 硫酸ストレプトマイシン ) 経口薬 カナマイシン :KM( 硫酸カナマイシンカプセル ) 有効血中濃度 1 日 1 回 1 日 2~3 回ピーク値トラフ値ピーク値トラフ値 GM 16~24μg/mL <1μg/mL 4~10μg/mL 12μg/mL AMK 56~64μg/mL <1μg/mL 15~30μg/mL 5~10μg/mL ABK 9~20μg/mL <1μg/mL - - 主なスペクトラム 緑膿菌を含む好気性グラム陰性桿菌 黄色ブドウ球菌や腸球菌にもある程度の活性があるが βラクタム剤との併用が原則である 主な無効菌種 嫌気性菌 肺炎球菌 連鎖球菌 31

39 8 テトラサイクリン系 特徴 消化管からの吸収は良好で 生体利用率は70~90% カルシウム 鉄 マグネシウムなどと同時服用するとキレートを作り吸収が阻害されるので 1~2 時間服用をずらす 脂溶性が高く 組織移行性は良い 中枢神経への移行は良くない 幅広いスペクトラムを持つが 第 1 選択薬となることはまれである PK-PD AUC/MIC 有効性を高めるためには 1 日投与量を増やす 半減期が11~22 時間と長く 1 日 2 回投与が可能 注射薬 ミノサイクリン :MINO( ミノマイシン ) 経口薬 ミノサイクリン :MINO( ミノマイシンカプセル ) 主なスペクトラム Mycoplasma pneumoniae Chlamydia trachomatis Chlamydophila pneumoniae Rickettsia sp. などの細胞内寄生的微生物 抗酸菌( 非結核性抗酸菌の一部 ) スピロヘータ 一般細菌主な無効菌種 嫌気性菌 肺炎球菌 連鎖球菌 32

40 9 オキサゾリジノン系 特徴 バイオアベイラビリティは100% であり 経口 静注いずれも可能 消化管からの吸収は速やかで 服用後 1~2 時間でピークを迎える 半減期は約 5 時間 髄液を含む組織移行性は良好 血漿濃度に比べて 肺胞被覆液へは4 倍 脳脊髄液へは1.6 倍 骨へは0.6 倍移行する 骨髄抑制 特に血小板減少が現れやすいので 週 1 回の血液検査実施が推奨されており 投与期間も14 日以内が望ましい TDM は不要 PK-PD AUC/MIC 投与量は1 回 600mgを1 日 2 回 経口 静注とも同じである 適応基準 低酸素血症を有し 呼吸管理に移行する可能性の高いような重症肺炎 ならびに人工呼吸器関連肺炎 縦隔洞炎などの重症皮膚軟部組織感染症 人工関節 インプラント ペースメーカーなどの異物感染あるいは下記の状況 他の抗 MRSA(VCM TEIC ABK) が無効 他の抗 MRSA 薬でアレルギーや副作用が発現 重度の腎障害のため他の抗 MRSA 薬が使用できない ( 透析患者を除く ) VRE( の疑い ) 注射薬 リネゾリド :LZD( ザイボックス注射液 600mg) 経口薬 リネゾリド :LZD( ザイボックス錠 600mg) 主なスペクトラム ほとんどのグラム陽性菌 嫌気性菌但し 使用に際しては上記の適応基準を厳守すること 主な無効菌種 グラム陰性菌 33

41 10 ダプトマイシン 特徴 既存の抗菌薬とは全く異なる作用メカニズムを有する環状リポペプチド グラム陽性菌に対して広域な抗菌スペクトルを有する 細菌の細胞膜で脱分極を起こさせ 殺菌的に作用を発揮する MRSA の他 VREにも有効 腎機能障害患者に対する安全性がバンコマイシンと比較して高い 本邦の添付文書での投与量ではTDMは不要 点滴静注に加え 静注での投与も可能 PK-PD Cmax/MIC または AUC/MIC 投与量は皮膚軟部組織感染では1 回 4mg/kg 1 日 1 回 菌血症 感染性心内膜炎や骨髄炎では 1 回 6mg/kg 1 日 1 回 推奨する主な疾患 日本における適応菌種と適応症は MRSAによる敗血症 感染性心内膜炎 深在性皮膚感染症 外傷 熱傷 手術創などの二次感染 びらん 潰瘍の二次感染 静止期にある細菌 バイオフィルム形成時の感染症に対しても有効であることから カテーテル感染や適応にはないが骨関節感染症にも有効性が期待される バンコマイシンよりも短時間殺菌力が強いといわれており 感染性心内膜炎を含む菌血症 手術部位感染症や糖尿病性足病変 蜂窩織炎などの複雑性皮膚 軟部組織感染症 またバイオフィルムを形成しやすく治療の難渋 長期化が予想される骨関節感染症にダプトマイシンは良い適応と考えられている 安全性 骨格筋に対する副作用が報告されており 投与中は少なくとも週 1 回のCPKのモニタリングが必要 腎障害を有する患者やスタチン系薬剤が投与されている患者に対してはさらにCPK 上昇に対する注意が必要 主なスペクトラム ほとんどのグラム陽性菌主な無効菌種 グラム陰性菌 34

42 11 メトロニダゾール 特徴 ほとんどの偏性嫌気性菌の他に通性嫌気性菌 原虫に対する殺菌力を有する 中枢神経を含む組織への移行性に優れ 薬剤活性が強い 分子量が小さく(171kd) 拡散により細胞内に入り フリーラジカルを生ずることにより効果を発揮する 従来の経口剤に加え 本邦でも注射剤の使用が可能となった H. pylori の二次除菌として用いられる PK-PD 濃度依存的であり 殺菌的 メトロニダゾールは肝において代謝され 尿中に排泄される 腎機能が廃絶していても半減期は健常者と変わらないが 水酸化物は蓄積される可能性がある しかし 通常は用量の調節は不要である 半減期は8 時間であるが 肝不全患者では18~20 時間に延長する 肝不全患者では50% の減量投与が推奨される 推奨する主な疾患 トリコモナス症 アメーバ肝膿瘍 腸管アメーバなどの寄生虫感染症 ただし メトロニダゾール耐性トリコモナスは増加している 菌血症 骨関節感染症 軟部組織感染症 口腔 歯科感染症 頭頸部感染症 破傷風を含む嫌気性菌感染症に対して有用 C. difficile による偽膜性腸炎 安全性 最も多くみられる副作用は消化管症状 長期投与かつ大量投与でなければまれであるが 急性発症の運動失調 構音障害とMRIで小脳歯状核病変が指摘されるケースがある ジスルフィラム様作用があり アルコール摂取により嘔吐 皮膚の紅潮 腹痛 頭痛が起こる 投与終了 1 日後までアルコール摂取は避ける 主なスペクトラム ほとんどの嫌気性菌主な無効菌種 嫌気性菌の中でもActinomyces Propionibacterium acnes には無効 35

43 12 抗結核薬 抗結核薬 抗結核薬略号主な製品分類作用機序注意すべき副作用 1 イソニコチン酸ヒドラジド (= イソニアジド ) INH イスコチン R 合成抗菌薬 ミコール酸 ( 細胞壁構成成分 ) 合成阻害 ( 殺菌的 ) 肝機能障害 末梢神経炎 2 リファンピシン RFP リファジン R カプセル リファマイシン系 RNA 合成阻害 ( 殺菌的 ) 消化器症状 血小板減少 肝機能障害 3 ピラジナミド PZA ピラマイド R 合成抗菌薬 詳細不明 ( 殺菌的 酸性環境 ) 肝機能障害 関節痛 胃腸障害 4 ストレプトマイシン SM ストレプトマイシン アミノ配糖体 蛋白合成阻害 ( 殺菌的 塩基性環境 ) 平衡障害 聴力障害 腎障害 5 エタンブトール EB エサンブトール R 合成抗菌薬 核酸合成阻害 ( 静菌的 ) 球後視神経炎 6 カナマイシン KM カナマイシンアミノ配糖体 蛋白合成阻害 ( 殺菌的 ) 聴力障害 平衡障害 腎障害 7 エチオナミド ( プロチオナミド ) TH ツベルミン R 合成抗菌薬 詳細不明 ( 静菌的 ) 胃腸障害 肝機能障害 8 エンビオマイシン EVM ツベラクチン R ポリペプチド系蛋白合成阻害 聴力障害 神経筋遮断作用 腎障害 9 パラアミノサリチル酸塩 PAS ニッパスカルシウム R 合成抗菌薬 DNA 合成阻害 ( 静菌的 ) 胃腸障害 過敏症 10 サイクロセリン CS サイクロセリンカプセル ポリペプチド系 細胞壁合成阻害 ( 静菌的 ) 情動 行動障害 精神病 36

44 別 添 1 抗菌薬投与に関連するアナフィラキシー対策 2 注射用抗菌薬 抗真菌薬 ( 代表的なもの ) 3 抗菌薬感受性表 4 参考文献 5 付録 ( よく使う略語 )

45

46 1 抗菌薬投与に関連するアナフィラキシー対策 (2004 年版ガイドライン参考 ) * 抗菌薬静脈投与の際の重要な基本的注意事項その予防と実際の対応策 βラクタム系抗菌薬( ペニシリン系 セフェム系 カルバペネム系 ) が最多であり ニューキノロン系抗菌薬の症例も報告されている 投与前の問診が重要であり 抗菌薬によるアナフィラキシーの発生を確実に予知できる方法はない 1 事前に既往歴について十分な問診を行う なお 抗生物質等によるアレルギー歴は必ず確認する 2 投与に関しては 必ずショック等に対する救急処置のとれる準備をしておく 3 投与開始 5 分 ~10 分ゆっくり滴下し 十分な観察を行うこと * アナフィラキシーショックの発現予防のために行わなければならないこと 1 患者の薬剤投与歴およびアレルギー歴に関する問診を十分に行う 2 抗菌薬に関連するアレルギー歴がある患者の場合 必ずDrに報告をする 抗菌薬にショックの既往がある患者については 当該抗菌薬の投与は禁忌とする 3 アレルギー疾患 ( 気管支喘息など ) や抗菌薬以外の薬剤に対するアレルギー歴がある患者の場合には 慎重な投与を行う 1. 投与時の観察 1 即時型アレルギー反応を疑う症状 注射局所反応 注射部位から中枢にかけての皮膚発赤 膨疹 疼痛 掻痒感 全身反応 しびれ感 熱感 頭痛しびれ感 熱感 頭痛 眩暈 耳鳴り 不安 頻脈 血圧低下 不快感 口内 咽喉部違常感 口渇 咳嗽 喘鳴 腹部蠕動 発汗 悪寒 発疹 2 患者への説明 = 注射中のみならず 終了後も異常を自覚したら 直ちに申告するよう患者に説明する 3 ショック発現までの時間が短いため注意する 静注アナフィラキシーショックは大体 5 分以内が多い 死亡にいたるようなアナフィラキシーショックは投与後数秒から数分で発症 進行が速い 従って 投与開始直後から投与終了後まで注意して 観察する 4 患者が何らかの異常を訴えた場合 あるいは他覚的異常を認めた場合には速やかに注射を中止する 37

47 2. 救急時の対応について 英国蘇生協議会のアナフィラキシー救急処置ガイドラインでは以下のように定義され 以下の3 つの基準の全てがそろったとき アナフィラキシーの可能性があるとされている 1 突然に発症し急速に進行する症状 2 生命を脅かす気道の異常および / または呼吸の異常および / または循環の異常 3 皮膚や粘膜変化 ( 発赤 じんま疹 血管性浮腫 ) 皮膚または粘膜症状を伴う急性 ( 数分から数時間 ) 発症で同時に少なくとも下記の 1 つがあること (80% の発症 ) 呼吸器症状 血圧低下 アレルゲンの可能性のある物質に曝露された後 急性発症する 2 つ以上の下記の症状 皮膚 粘膜の所見血圧低下呼吸器症状持続的な消化器症状 明らかな抗原物質への曝露後の血圧低下 成人収縮期血圧の 90mmHg 以下への低下 または 通常血圧の 30% 以上の低下 ケミカルメディエーターによる症状 蕁麻疹 血管拡張 血管透過性亢進気管支平滑筋収縮 消化管平滑筋収縮粘液分泌など 皮膚 呼吸器心血管系消化管中枢神経 A B C D Airway 喉の閉塞感 ( 咽頭浮腫 ) Breathing 呼吸困難喘鳴 Circulation 血圧低下 ( 循環血液量著減 ) ( 心機能抑制 ) Diarrea 下痢腹痛 意識消失昏睡痙攣 Simons FSR, J Allergy Clin Immunol

48 アナフィラキシーの主な徴候と症状出現頻度 皮膚症状 90% じんま疹 血管性浮腫 85 90% 顔面紅潮 45 55% 発疹のない痒み 2 5% 呼吸器症状 40 60% 呼吸困難 喘鳴 45 50% 喉頭浮腫 50 60% 鼻炎 12 20% めまい 失神 血圧低下 30 35% 腹部症状 その他 嘔気 下痢 腹痛 25 30% 頭痛 5 8% 胸痛 4 6% 表 1.J Allergy Clin Immunol 115;S483-, 2005 から引用 39

49 救急対応 ショックおよびアナフィラキシー様症状が発現した場合には 症状に応じて対処する 症気管支痙攣 咳嗽 喘鳴 血圧低下を認めない 意識清明 症状は軽度 目安となる徴候 : 注射部から中枢に向けての熱感 疼痛 悪心 嘔吐 くしゃみ 掻痒感 出現 心肺停止状態となる 軽蕁麻疹 1 輸液投与 : 乳酸リンゲル液など20mL/Kg/ 時間程度で開始 心不全患者や高齢者の場合に は適宜減量する 2 酸素投与 : 十分な酸素投与を行う 3 対症療法 : 必要に応じて行う a. マレイン酸クロルフェニラミン ( ポララミン注 R )5mg 静注 4 エピネフリンの投与 : 症状の改善がみられない場合に投与する エピネフリン0.1% 液 ( ボスミン R )0.2~0.5mgを皮下注あるいは筋注する 静注を要する場合は エピネフリン ( ボスミン R )0.25mgの10 倍希釈をゆっくり静注し 効果不十分な場合 5~15 分おきに追加投与する 中症 重症 血圧低下を認めるが意識障害はみられない 意識低下 喪失と高度の気道閉塞を伴う病態 あるいは軽度の気道閉塞症状がみられる 目安となる徴候 : 脈拍微弱 血圧測定不能 目安となる徴候 : 血圧低下 : 収縮期血圧 70 不整脈 ( 期外収縮 発作性頻拍 ) 痙攣 高 80mmHg 顔面蒼白 発汗 冷汗 強い嘔吐 度の喘鳴 泡沫状の喀出痰 気道閉塞 : 呼吸困難 顔面浮腫 声門浮腫 さらに進行すれば 四肢蒼白 チアノーゼ 1 エピネフリンの投与 : エピネフリン0.1% 液 ( ボスミン R )0.2~1.0mgを皮下注あるいは筋注する 静注を要する場合は エピネフリン ( ボスミン R )0.25mgの10 倍希釈をゆっくり静注し 効果不十分な場合 5~15 分おきに追加投与する 2 輸液投与 : 乳酸リンゲル液など20mL/Kg/ 時間程度で開始 心不全患者や高齢者の場合には適宜減量する 3 酸素投与および気道確保 : a. 高濃度 (60% 以上 ) の酸素投与を行う b. 効果不十分な場合 気管内挿管を行い 100% 酸素での人工呼吸に切り替え 喉頭浮腫が強く気管内挿管が不可能な場合は輪状甲状切開を行う c. 気道狭窄に対しては アミノフィリン250mgを5% ブドウ糖 20mlで希釈し 10~20 分かけて静注 4 循環管理 : 必要に応じて下記の処置を行う a. 昇圧剤投与血圧低下が遷延する際は ドパミン5~15μg/kg/ 分を併用する 5 ステロイド投与 a. コハク酸ヒドロコルチゾン ( ソル コーテフ R )500mg~1000mg 点滴静注 6 抗ヒスタミン薬 a. マレイン酸クロルフェニラミン ( ポララミン注 R )5mg 静注 40

50 抗菌薬 ベンジルぺニシリンカリウム アンピシリン アンピシリン スルバクタム ピペラシリン ピぺラシリン タゾバクタム セファゾリン セフォチアム セフメタゾール セフォタキシム セフタジジム セフェピム アズトレオナム メロペネム イミペネム シラスタチン エリスロマイシン テイコプラニン シプロフロキサシン 最大投与量 ( 国内 :1 日量 ) ー 一 6g 8g 18g 5g 4g 4g 4g 4g 4g 4g 2g 2g 1500mg 出展 腎機能による投与量の調節 正常腎機能の容量 サンフォード 4 時間ごとに 50~400 万単位 手引き 記載なし 調整方法 D CCr*2 >50mL/min >10~50mL/min <10mL/min 4 時間ごとに 50~400 万単位 4 時間ごとに 200~400 万単位 サンフォード 6 時間ごとに 250mg~2g I 6 時間ごとに 250mg ~2g 4 時間ごとに 37.5~300 万単位 4 時間ごとに 100 万単位 6~12 時間ごとに 250mg ~2g 4 時間ごとに 10~200 万単位 6 時間ごとに 100 万単位 12~24 時間ごとに 250mg ~2g 手引き記載なし 6 時間ごとに2g 8 時間ごとに2g 12 時間ごとに2g サンフォード 6 時間ごとに 3g I 6 時間ごとに3g 8~12 時間ごとに 3g 24 時間ごとに3g 手引き記載なし 6 時間ごとに1.5g 12 時間ごとに1.5g 24 時間ごとに1.5g サンフォード 4~6 時間ごとに 3~4g I 4~6 時間ごとに 3~4g 6~8 時間ごとに 3~4g 8 時間ごとに 3~4g 手引き記載なし 6 時間ごとに 2g 6~8 時間ごとに 2g 8 時間ごとに 2g サンフォード 6~8 時間ごとに 3.375~4.5g D&I 6~8 時間ごとに 3.375~4.5g 6 時間ごとに 2.25g 8 時間ごとに 2.25g 手引き記載なし 6 時間ごとに4.5g 6 時間ごとに2.25g 8 時間ごとに2.25g サンフォード 8 時間ごとに 1g I 8 時間ごとに1g 12 時間ごとに1g 24~48 時間ごとに 1g 手引き記載なし 6~8 時間ごとに 1g 12 時間ごとに1g 24 時間ごとに1g サンフォード記載なし記載なし手引き記載なし 6~8 時間ごとに 1g 12 時間ごとに1g 24 時間ごとに1g サンフォード記載なし記載なし手引き記載なし 6~8 時間ごとに 1g 12 時間ごとに1g 24 時間ごとに1g サンフォード 8 時間ごとに 2g I 8~12 時間ごとに 2g 12~24 時間ごとに 2g 24 時間ごとに2g 手引き記載なし記載なしサンフォード 8 時間ごとに 2g I 8~12 時間ごとに 2g 12~24 時間ごとに 2g 24~48 時間ごとに2g 手引き記載なし 6~8 時間ごとに 1g 12 時間ごとに1g 24 時間ごとに1g サンフォード 8 時間ごとに 2g D&I 8 時間ごとに2g 12~24 時間ごとに 2g 24 時間ごとに1g 手引き 記載なし 8 時間ごとに 1g *4 12 時間ごとに 1g 24 時間ごとに 500mg ~1g サンフォード 8 時間ごとに 2g D 8 時間ごとに2g 8 時間ごとに 1~1.5g 8 時間ごとに0.5g 手引き記載なし 6~8 時間ごとに 1g 8 時間ごとに500mg 8 時間ごとに250mg サンフォード 8 時間ごとに 1g D&I 8 時間ごとに1g 12 時間ごとに1g 24 時間ごとに0.5g 手引き記載なし 6 時間ごとに 500mg 12 時間ごとに 24 時間ごとに250mg 250~500mg サンフォード 6 時間ごとに 0.5g D&I 6~8 時間ごとに 250~500mg 6~12 時間ごとに 250mg 12 時間ごとに 125~250mg 手引き記載なし 6 時間ごとに 500mg 12 時間ごとに 500mg 12 時間ごとに 250mg サンフォード 6 時間ごとに 250~500mg D 6 時間ごとに 250~500mg 6 時間ごとに 250~500mg 6 時間ごとに 125~375mg 手引き記載なし 6 時間ごとに 500mg 6 時間ごとに 500mg 6 時間ごとに 250mg 800mg( 初曰 )/ サンフォード 24 時間ごとに 400mg(2 日目 6mg/kg 以降 ) 600mg I 24 時間ごとに 6mg/kg 48 時間ごとに 6mg/kg 手引き記載なし記載なし サンフォード 12 時間ごとに 400mg 手引き 記載なし D 12 時間ごとに 400mg 12 時間ごとに 200~300mg 12 時間ごとに 300~400mg 12 時間ごとに 200~300mg 72 時間ごとに 6mg/kg 12 時間ごとに 200mg 12 時間ごとに 200mg INFECTION CONTROL 2012 秋季増刊 41

51 2 注射用抗菌薬 抗真菌薬 ( 代表的なもの ) 分類商品名略号 ペニシリン系 セフェムペニシリン G カリウム 100 万単位 ビクシリン 500mg ユナシン 1.5g ゾシン 4.5g 用法 用量 / 日 ( 添付文書 ) 分割 PCG 筋 :30~60 万単位 / 回 2~4 回 ABPC SBT/ ABPC TAZ/ PIPC 筋 :250~1000mg/ 回静 :1~2g 点静 :1~4g 筋 :1~4 回静 点静分 1~2 ( 肺炎 肺膿瘍 腹膜炎 ) 静 点静 :6g ( 膀胱炎 ) 分 2 静 点静 :3g (ABPC:SBT =2:1) ( 敗血症 肺炎 ) 静 点静 :4.5g / 日 3 回 (4 回可 ) ( 腎盂腎炎 複雑性膀 2 回 (3 回可 ) 胱炎 ) (PIPC:TAZ =8:1) MAX/ 日 ( 添 ) 系ロセフィン 1g CTRX 静 点静 :1~2g 分 1or2 4g 第 1 世代 セファメジンα CEZ セフメタゾン 1g CMZ 静 点静 :1~2g 分 2 4g 第 2 世代静 静注 :0.5~2g パンスポリン 1g CTM 敗血症は4gまで 分 2~4 4g 分 2 クラフォラン 0.5g CTX 筋 静 点静 :1~2g (4gは 4g 分 2~4) 分 2 モダシン1g CAZ 静 点静 :1~2g (4gは 4g 分 2~4) 第 3 世代 スルペラゾンキット 1g 用法 用量 ( サンフォード ) 低 :60~120 万単位 / 日 ( 筋 ) 高 : 2000 万単位 (12g) を 24hr 毎 ( 静注 ) 150~200mg/kg/ 日静注 1.5~3g 静注を 6hr 毎 (ABPC:SBT=2:1) 4.5g 静注 8hr 毎緑膿菌 :4.5g 静注 +TOB 筋 静 点静 ( 通常 )1g( 通常 ) 分 2 ( 効果不十分 )1.5~3g ( 効不 ) 分 3 5g 0.25g を8hr 毎 ~1.5gを 6hr 毎静注または筋注 SBT/CPZ 点静 :1~2g 分 2 4g 1g を 8~12hr 毎 ~ 2g を 4hr 毎静注 1~2g 静注または筋注 8~12hr 毎 一般的な静注用量 : 1gを1 日 1 回化膿性髄膜炎 : 2g12hr 毎に投与通常用量 1~2g 静注 12hr 毎重症感染症では2~3g 静注 6hr 毎 マキシピーム1g CFPM 静 点静 :( 通常 )1~2g ( 発熱性好中球減少症 ): 分 2 4g 1~2g 静注 12hr 毎 第 4 世代 4g 分 2 ファーストシン 1g CZOP 静 点静 :1~2g (4gは 4g 分 2~4) オキサセフェム系フルマリン1g FMOX 静 点静 :1~2g 分 2 (4gは分 2~4) 4g カルバペネム系 メロペン 0.5g チエナム 0.5g キット フィニバックス 250mg MEPM 点静 :0.5~1g ( 発熱性好中球減少症 ): 3g 重症 難治性感染症 ( 化膿性髄膜炎 ):6g 分 2~3 (FN は分 3) 3g 0.5~1g 静注 8hr 毎髄膜炎 :2g まで静注 8hr 毎 IPM/CS 点静 :0.5~1g 分 2~3 2g 0.5g 静注 6hr 毎緑膿菌 :1gを6~8 時間毎 DRPM 点静 :250mg/ 回 2~3 回 1.5g (0.5g/ 回 ) 500mg 静注 8hr 毎 MAX/ 日 ( サ ) SBT 4g 12g 42

52 分類商品名略号 アミノグリコシド系 硫酸アミカシン 200mg* 硫酸ストレプトマイシン 硫酸カナマイシン エリスロシンマクロライド系 500mg リンコマイシン系 テトラサイクリン系 グリコペプチド系 キノロン系 AMK SM KM 用法 用量 / 日 ( 添付文書 ) 筋 点静 : 100~200mg/ 回 ( 結核 ) 筋 :1g / 日 (60 歳以上 0.5~0.75g) 週 2~3 日 or 初めの 1 ~3 ヶ月毎日 その後週 2 日 ( その他 ) 筋 :1~2g ( 結核 ) 筋 :2g 分 2( 朝夕 ) 週 2 日 or1g 週 3 日 (60 歳以上 0.5~0.75g) ( その他 ) 筋 :1~2g MAX/ 日分割 ( 添 ) 筋 :1~2 回点静 :2 回 ( 他 ) 分 1~2 ( 他 ) 分 1~2 エクサシン 200mg ISP 筋 点静 :400mg 分 1~2 ゲンタシン 60mg* GM 筋 点静 :80~120mg 分 2~3 1 回 ( 分 2 可 ) 点静 :600~1500mg 分 2~3 (1 回 2hr 以上かけて ) ハベカシン 100mg* ABK 筋 点静 :150~200mg/ 回 EM ダラシン 600mg CLDM 筋 点静 :600~1200mg 2~4 回 2400mg ミノマイシン 100mg 塩酸バンコマイシン 0.5g* タゴシッド 200mg* シプロキサン 300mg MINO VCM TEIC CPFX 点静 :100~200mg( 初回 ) 以降 12or24hr 毎に100mg 点静 :2g (60 分以上かけて ) 2~4 回 1 回 0.5g を 6hr 毎 or 1 回 1gを12hr 毎点静 :400mgor800mg ( 初日 ) 200mgor400mg ( 初日 )2 回 (2 日目 ~) 以降 1 回 ( 敗血症 ) 点静 :800mg ( 初日 ) 400mg(2 日目 ~) 点静 :300mg/ 回 2 回 (1hr かけて投与 ) パシル 500mg PZFX 点静 :1000mg 2000mg 分 2 用法 用量 ( サンフォード ) 15mg/kg を 24hr 毎または 7.5mg/kg を 12hr 毎 8mg/kgを24hr 毎重症感染症は15mg/kg を24hr 毎 5.1mg/kg( 重症は 7 mg/kg) を24hr 毎または2mg/kg( 初回 ) 以降 1.7mg/kgを8hr 毎 15~20mg/kgを24hr 毎 30 分以上かけて点滴 600~900mg を静注または筋注 8hr 毎 15mg/kg 静注 12hr 毎重症は初回 25mg/kg を 500mg/hr で静注 化膿性関節炎の持量 : 12mg/kg/ 日 S. Aureus による心内膜炎 : 初期投与量として 12mg/kg を 12hr 毎 3 回 以後 12mg/kg を 24hr 毎 200~400mg を 12hr 毎に静注 MAX/ 日 ( サ ) 4g 2g 43

53 抗真菌薬 分類商品名略号 * は TDM 対象薬 ホスミシン S2g ファンガード 50mg イトリゾール注 1%200mg ジフルカン 50mg プロジフ 200mg ブイフェンド 200mg* FOM MCFG 用法 用量 / 日 ( 添付文書 ) 分割 点静 静 :2~4g ( 点静は1~2hrかけ ( 点静 ) 分 2 て 静は5 分以上かけ( 静 ) 分 2~4 てゆっくり投与 ) ( アスペルギルス症 ) 点静 :50~150mg/ 回 ( カンジダ症 ) 点静 :50mg/ 回 ( 予防 ) 点静 :50mg/ 回 MAX/ 日 ( 添 ) 1 回 300mg 点静 : 投与開始から2 日間は (2 日間 ) 分 2 ITCZ 400mg 以降 1 回 3 日以降 1 日 1 回 200mg ( カンジダ症 ) 静 :50~100mg FLCZ ( クリプトコッカス アスペルギルス症 ) 静 :50~200mg ( カンジダ症 ) 静 :100~200mg (1~2 日目 ) 50~100mg( 維持量 ) F-FLCZ 1 回 ( クリプトコッカス症 ) 静 :100~400mg (1~2 日目 ) 50~200mg( 維持量 ) 1 回 6mg/kg( 初日 ) ( 初日 )2 回 VRCZ 3mg/kg or4mg/kg 以降 1 回 ( 以降 ) 用法 用量 ( サンフォード ) 骨髄幹細胞移植後の予防 :50mg/ 日静注カンジダ血症治療 : 100mg/ 日静注カンジダ食道炎治療 : 150mg/ 日静注 200mg1 日 2 回を 4 回投与後 200mg を 24hr 毎最高 14 日まで 1 回 400mg 400mg 静注 ( 静注量と経口量が同じ ) 800mg (1~2 日目 ) 400mg ( 維持量 ) 6mg/kg( 初回 ) 静注 12hr 毎で以降侵襲性アスペルギルス感染症 重症糸状菌感染症には 4mg/kg 12hr 毎重症カンジダ感染症には 3mg/kg 12hr 毎 MAX/ 日 ( サ ) 44

54 インフルエンレジオネラ属カンピロバクバクテロイデトレポネーマリッケチア属クラミジア属マイコプラズマ属Gram(+) Gram(-) Gram( - ) ブ大腸菌赤痢菌ウ球菌属サ球菌属レプトスピラ属ラ モルンシア3 抗菌薬感受性表 セフェム系 ペニシリン系 アミノグリコシド系 カルバペネム系 マクロライド系 ドレンCoccus Rod Coccus 肺炎腸球ペプジフマイコ炭疽菌アクネ菌クロス淋菌髄膜炎菌モラク球菌菌属トストレプトコッカス属テリア菌バクテリウム属(結核菌)トリジウム属セラ カタラーリスEnterobacterriaceae サルモシトロクレブエンテロセラチア属プロテウプロテウモルガネネラ属バクター属シェラ属バクター属ス ミラス ブルビリスガリスガニープロビデ属ザ菌Glucose Nonfermentative 緑膿菌ステノトアシネトロホバクター一般名略号商品名 モナス マルトフィリアター属ス属属 セフカペンピボキシル CFPN-PI 内フロモックス錠 100mg 内フロモックス小児用細粒 100mg セフジニル CFDN 内セフゾンカプセル100mg 内セフゾン細粒小児用 100mg セファゾリン CEZ 注オーツカ CEZ 注 -MC1g 注セファメジンαキット2g セフォチアム CTM 注パンスポリン静注用 1gキット フロモキセフ FMOX 注フルマリン静注用 1gキット セフトリアキソン CTRX 注ロセフィン静注用 1gキット セフピロム CPR 注ブロアクト静注用 1g セフォゾプラン CZOP 注ファーストシン静注用 1gキット セフェピム CFPM 注マキシピーム1g 注射用キット スルバクタム セフォペラゾン SBT/CPZ 注スルペラゾン静注用 1gキット セフジトレンピボキシル CDTR 内メイアクト錠 ベンジルペニシリン PCG 注注射用ペニシリンGカリウム100 万単位 アモキシシリン AMPC 内サワシリンカプセル250mg 内パセトシン細粒 100mg ピペラシリン PIPC 注ペントシリン注射用 2gキット スルバクタム アンピオシリン SBT/ABPC 注ユナシン - Sキット静注用 3gキット タゾバクタム ピペラシリン PIPC /TAZ 注ゾシン静注用 ストレプトマイシン SM 注硫酸ストレプトマイシン1g 1 1 カナマイシン KM 内カナマイシンカプセル250mg 1 1 注硫酸カナマイシン1g トブラマイシン TOB 注トブラシン注 60mg アミカシン AMK 注ロミカシン注射液 200mg ゲンタマイシン GM 注ゲンタシン注 10mg アルベカシン ABK 注ハベカシン注射液 100mg 1 パニペネム ベタミプロン PAPM/BP 注カルベニン点滴用 0.5g ビアペネム BIPM 注オメガシン点滴用 0.3g メロペネム MEPM 注メロペン点滴用 0.5gキット ドリペネム DOPM 注フェニバックス点滴用 0.5gキット 内ホスマリンドライシロップ ホスホマイシン FOM 内ホスミシン錠 注靜注用ホスミシンS1gキット エリスロマイシン EM 内エリスロシンドライシロップ100mg 注エリスロシン注射用 500mg アジスロマイシン AZM 内ジスロマック錠 250mg 内ジスロマック細粒小児用 100mg 内クラリスロマイシンDS10% 小児用 クラリスロマイシン CAM 内クラリス錠 内クラリス錠 50 小児用 クリンダマイシン CLDM 注ダラシン注 600mg 注ミノペン点滴静注用 100mg ミノサイクリン MINO 内ミノペン顆粒 20mg 内ミノマイシン錠 50mg バンコマイシン VCM 内塩酸バンコマイシン散 0.5g 1 1 注点滴静注用バンコマイシン0.5g 1 テイコプラニン TEIC 注注射用タゴシッド200mg 1 ダプトマイシン DAP 注キュビシン静注用 1 リファンピシン RFP 内リマクタンカプセル150mg 1 シプロフロキサシン CPFX 注シプロキサン注 300mg リネゾリド LZD 注ザイボックス注射液 600mg トスフロキサシン TFLX 内オゼックス錠 レボフロキサシン LVFX 内クラビット錠 モキシフロキサシン MFLX 内アベロックス錠 ガレノキサシン GRNX 内ジェニナック錠 メトロニダゾール MNZ 内フラジール錠 注アネメトロ点滴静注液 ポリミキシンB 硫酸塩 PL-B 外硫酸ポリミキシンB 適応菌種 1 感受性あり ( 適応外 ) 45

55 4 参考文献 京都大学医学部附属病院 抗菌薬の適正使用について 2012 感染症専門医テキスト : 社団法人日本感染症学会専門医審議委員会編集 2011 抗菌薬使用のガイドライン : 社団法人日本感染症学会 / 社団法人日本化学療法学会編集 2005 抗菌薬投与に関連するアナフィラキシー対策のガイドライン : 社団法人日本化学療法学会臨床試験委員会皮内反応検討特別部会編集 2004 抗菌化学療法認定薬剤師テキスト~ 薬剤師が知っておきたい感染症と抗菌化学療法 ~: 社団法人日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師認定委員会編集 2010 サンフォード感染症治療ガイド 2015: ライフサイエンス出版 東京 2015 レジデントのための感染症診療マニュアル第 2 版 : 青木眞編 2008 最新 感染症治療指針 : 後藤元監修 医薬ジャーナル社 2010 最新抗菌薬療法マニュアル : 渡辺彰編 新興医学出版社 2009 MRSA 感染症の治療ガイドライン改訂版 : 公益社団法人日本化学療法学会 一般社団法人日本感染症学会 MRSA 感染症の治療ガイドライン作成委員会編集 2014 抗菌薬適正使用生涯教育テキスト改訂版 : 公益社団法人日本化学療法学会

56 5 付録 よく使う略語 MRSA: メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 methicillin-resistant Staphylococcus aureus MSSA: メチシリン感受性黄色ブドウ球菌 methicillin-susceptible Staphylococcus aureus MRCNS: メチシリン耐性コアグラーゼ陰性ブドウ球菌 methicillin-resistant coagulase negative staphylococci VRE: バンコマイシン耐性腸球菌 vancomycin resistant enterococci PRSP: ペニシリン耐性肺炎球菌 penicillin-resistant Streptococcus pneumonie PISP: ペニシリン低感受性肺炎球菌 penicillin-intermediate Streptococcus pneumonie PSSP: ペニシリン感受性肺炎球菌 penicillin- susceptible Streptococcus pneumonie MDRP: 多剤耐性緑膿菌 Multiple-drug-resistant Pseudomonas aeruginosa BLNAR:β - ラクタマーゼ非産生アンピシリン耐性インフルエンザ菌 β-lactamase-negative ampicillin-resistant Haemophilus influenzae MBLs: メタロ-β-ラクタマーゼ産生菌 metallo-β-lactamases ESBLs: 基質特異性拡張型 β-ラクタマーゼ産生菌 extended-spectrum β-lactamases 47

57 抗菌薬適正使用マニュアル 2016 年 3 月版 (2012 年 3 月初版 ) 2016( 平成 28) 年 3 月 1 日発行発行人京都市下京区烏丸通四条下ル水銀屋町 620 番地 COCON 烏丸 8 階一般社団法人京都私立病院協会会長清水鴻一郎 TEL(075) FAX(075) info@khosp.or.jp 編集者感染症対策委員会清水聡清水史記土井章一甲斐絢子真澄八恵子黒田久子出雲幸美村田つる代

グリコペプチド系 >50( 常用量 ) 10~50 <10 血液透析 (HD) 塩酸バンコマイシン散 0.5g バンコマイシン 1 日 0.5~2g MEEK 1 日 4 回 オキサゾリジノン系 ザイボックス錠 600mg リネゾリド 1 日 1200mg テトラサイクリン系 血小板減少の場合は投与

グリコペプチド系 >50( 常用量 ) 10~50 <10 血液透析 (HD) 塩酸バンコマイシン散 0.5g バンコマイシン 1 日 0.5~2g MEEK 1 日 4 回 オキサゾリジノン系 ザイボックス錠 600mg リネゾリド 1 日 1200mg テトラサイクリン系 血小板減少の場合は投与 4 Q&A 腎機能に応じた抗菌薬の投与量について 抗菌薬は主として腎臓から排泄されます そのため 腎機能が低下している患者さんの場合には 血中濃度が上昇し 薬効の増強や副作用の発現頻度が増大する可能性があるため 腎機能に応じて減量や投与間隔の延長を行う必要があります 今回 院内採用の抗菌薬 ( 内服 注射 ) における腎機能別 [ クレアチニンクリアランス : Ccr(ml/min)] 投与量 (

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グリコペプチド系 >50( 常用量 ) 10~50 <10 血液透析 (HD) 塩酸バンコマイシン散 0.5g MEEK バンコマイシン 1 日 0.5~2g 1 日 4 回 オキサゾリジノン系 ザイボックス錠 600mg リネゾリド 1 日 1200mg テトラサイクリン系 血小板減少の場合は投与 4 Q&A 腎機能に応じた抗菌薬の投与量について 抗菌薬は主として腎臓から排泄されます そのため 腎機能低下患者においては 血中濃度が上昇し 薬効の増強や副作用の発現頻度が増大する可能性があるため 腎機能に応じて減量や投与間隔の延長を行う必要があります 今回 院内採用の抗菌薬 ( 内服 注射 ) における腎機能別 [ クレアチニンクリアランス : Ccr(ml/min)] 投与量 ( 成人量 ) についてまとめましたので参考にしてください

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