< 財務省財務総合政策研究所 フィナンシャル レビュー 平成 25 年第 3 号 ( 通巻第 114 号 )2013 年 3 月 > ましい組み合わせを実現するポートフォリオとされる 米国株式市場のデータを用いた実証分析でも,CAPM が成立しているかどうかについては否定的な意見が優勢ではある それ

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1 リスクとリターン リスクとリターン *1 *2 本多俊毅 要約 CAPM を背景にして, マーケットポートフォリオが株式運用のベンチマークとして用いられることが多い しかし, 日本の過去データを前提にすると, マーケットポートフォリオは効率的フロンティア上に位置するとは言いがたいばかりでなく, リスクに見合ったリターンが得られたかどうかも疑わしい その一方で, 過去データに含まれる情報を適切に用いて, 推定誤差による影響を小さくするようにポートフォリオ構築を行うことによって, マーケットリスク以外のリスク要因からリターンが得られたことが示唆される 日本においてマーケットポートフォリオをベンチマークに採用し, さらにアクティブ運用を上乗せしてきた投資家の多くは, リターンの伴わないマーケットリスクをとってきたばかりではなく, リターンを得ることが難しいアクティブリスクを上乗せしてきた可能性が高い キーワード : 日本の株式市場,CAPM, 平均分散ポートフォリオ, 最小分散ポートフォリオ JEL classification: G11, G12 Ⅰ. はじめに ファイナンスの教科書では, リスクとリターンの間にトレードオフの関係があることを前提として, 理論モデルの説明が始められることが多い しかし, 日本の株式市場データに関していえば, 長期的な株式市場の低迷もあり, このトレードオフの関係は必ずしも自明なものではない リスクとリターンのトレードオフ関係は, ファイナンス理論が立脚している最も基本的な直感のひとつであり, この関係が過去データから確認できないとなると, ファイナンスの理論 実証研究の在り方をあらためて検証する必要がある 本稿では, 日本の株式市場データを利用しながら, 株式市場におけるリスクとリターンの関係について検討を加えてみたい 株式市場全体の動きをとらえようとするときに, 時価総額加重のポートフォリオ, すなわちマーケットポートフォリオがよく用いられる CAPM においては, マーケットポートフォリオは効率的フロンティア上に位置するとされ, リスクとリターンのトレードオフの観点から望 * 1 倉澤資成先生, 論文検討会議出席の方々, および MPT フォーラム 2012 年度国際フォーラム出席者の方々から頂いたコメントに感謝いたします *2 一橋大学大学院国際企業戦略研究科 thonda ics.hit-u.ac.jp( のことを示す )

2 < 財務省財務総合政策研究所 フィナンシャル レビュー 平成 25 年第 3 号 ( 通巻第 114 号 )2013 年 3 月 > ましい組み合わせを実現するポートフォリオとされる 米国株式市場のデータを用いた実証分析でも,CAPM が成立しているかどうかについては否定的な意見が優勢ではある それでも, マーケットポートフォリオを保有することによってある程度のリターンが得られたことは確認でき, その意味で株式市場への投資を正当化することができる ところが, 日本の株式市場データにおいては, マーケットポートフォリオからの収益がほとんどあげられていない CAPM が成立しているかどうかという議論も重要であるが, それ以前の問題として, マーケットポートフォリオを保有すること自体を正当化できない状況である つまり, 株式市場投資という意味でのマーケットリスクをとっても, ほとんどリターンが得られなかったことになる 米国データを用いた初期の実証分析では, マーケットリスクとリターンの間には正の関係が見られていた しかし, リターンとマーケットベータとの間の関係は,Sharpe-Lintner 型 CAPM が予想するほどには強くなかった 具体的には, 縦軸にリターン, 横軸にベータをとって描かれたグラフにおいて, 期待リターンの並び方が,CAPM が予測するほどには右上がりになっていないことが指摘されていた 日本のデータの場合にはさらに状況が深刻で, 縦軸にリターン, 横軸にベータをとって描かれたグラフの形状は, 平らというよりも右下がりになってしまっている つまり, ハイベータ ( リスク ) はローリターンであるし, ローベータ ( リスク ) がハイリターンとなってしまっている このため, マーケットリスクに対するプレミアムが正であることも確認できず,Black 型 CAPM の成立も疑わしい つまり, 過去データを見る限りにおいては, マーケットポートフォリオへの投資が, リスクとリターンのトレードオフの観点から効率的であるとも考えられないし, マーケットリスクをとってもリターンが得られるのかも疑問である マーケットポートフォリオが株式市場全体の動きをとらえ ていると仮定すれば, 日本の株式市場への投資を正当化することはできなくなってしまう 一方で, 過去の株式市場データをもとに効率的フロンティアを描いてみると, 平均標準偏差平面において, 効率的フロンティアが一本の水平な直線に退化しているわけではなく, リスクとリターンのトレードオフ関係の存在は示唆される形状となっている つまり, マーケットリスクではない何かのリスクを受け入れれば, それに付随したリターンが得られた可能性がある 実際, 日本の株式市場データを用いて, マーケットポートフォリオとの共分散がゼロとなるポートフォリオ, すなわちゼロベータポートフォリオのリターンを算出すると, 統計的に有意に正の値が確認できる 過去データを前提に効率的フロンティアを描くと, 日本の株式市場においては, マーケットポートフォリオ以外のリスク要因からリターンが得られたことになる 日本の株式市場データに関していえば, マーケットポートフォリオに注目しているのではリスクとリターンのトレードオフ関係を見いだすことができず, より広範に効率的フロンティアを探してゆくことが求められる しかしながら, 仮にリターンが付随したリスク要因が存在したとしても, そのリスク要因が過去時点において認識できていたかどうかは別の問題である 実際に, 平均分散アプローチを応用して, 効率的フロンティア上のポートフォリオを構築しても, その事後的なパフォーマンスが悪いことが指摘されている 一般に, 平均分散アプローチはその入力パラメータである期待リターンベクトルと共分散行列の値によって, 算出されるポートフォリオ比率は大きな影響を受けてしまう このため, パラメータ推定誤差によって, 算出されるポートフォリオ比率が非常に不安定になり, そこから実現するリターンのパフォーマンスも悪い このような問題点を緩和することを目的として, これまでにも多くの方法が提案されてきている たとえば, 期待リターンベクトルや共分散行列の推定精度を向上させるためのさまざま

3 リスクとリターン な手法 ([12]), ベイジアンアプローチ ([9]), また資産価格モデルの利用 ([14]) などが提案されている また, 空売り制約など ([8]) を設けることによって, 結果として推定誤差とポートフォリオ構築にともなうエラーを緩和することができる さらには, ロバスト制御や下方リスクの制御といった手法を用いて, ポートフォリオのパフォーマンスを向上させることも提案されている ところが, こういったさまざまな手法を用いても, パフォーマンスはそれほど改善できないというのが,DeMiguel, Garlappi, and Uppal [4] の主張である 様々な方法やデータを網羅的に試したうえで,N 個の対象資産に等しい比率で投資する等加重ポートフォリオ (1/N ポートフォリオ ) や, 効率的フロンティアの中で最も分散の小さいポートフォリオ (global minimum variance portfolio, gmvp) といった, 期待リターンの予測を必要としないポートフォリオ戦略のパフォーマンスの方が相対的に良好な結果をもたらすことを報告している この結果を前提にすると, 期待リターンベクトルなどのパラメータの予測, さらにはリスクとリターンとのトレードオフ関係を事前に把握しようとすること自体に意味が見いだせなくなってしまう この論文では, これらの先行研究において, 接点ポートフォリオが直接用いられていたことに注目する 期待リターンベクトルなど, パラメーターを推定する際には推定誤差が避けられない しかし, これらの先行研究では, 接点ポートフォリオが直接的に用いられていたため, パラメーター推定誤差がポートフォリオ構築の段階で増幅されることとなり, 結果として実現したポートフォリオリターンのパフォーマンスを悪化させた可能性がある そこで, パラメーターの推定誤差と, ポートフォリオ構築の段階で発生するエラーを区別し, 両者をそれぞれ削減するようにする方法を提案する 具体的には, 期待リターンベクトルの予測を用いることなく構築できる最小分散ポートフォリオをまず考えて, そこからの乖離を制限しな がら, 期待リターンの向上を目指すポートフォリオを構築する ここで, 期待リターンの予測には, 過去 60 ヶ月データの標本平均と,CAPM や FF3 ファクターモデルを前提にして算出される予測値を用いる これらの予測を用いて接点ポートフォリオを算出し,gmvp から接点ポートフォリオ方向への移動を試みることによって, リスクとリターンの組み合わせが向上するかどうかを検討する その結果, 単純に過去データの標本平均を予測として用いるだけでも, リスクとリターンの改善が確認できた この意味において, 過去データには効率的フロンティアの形状を把握するうえでの情報が含まれていることが示唆される 最後に, 以上の結果を踏まえて, 資産運用の実務への意味合いを検討してゆく 運用業務を外部のファンドマネージャーに委託する際に, ファンドマネージャーに対してベンチマークを提示し, そこからの乖離を制約しながら期待リターンの改善を目指すように指示することが多い しかし,Roll [15] が指摘しているように, この方法では, ベンチマークの選択がファンドマネージャーの行動に影響を与えず, しかもポートフォリオ全体のリスク量を増やすような選択がなされることが多い そもそも期待リターンの予測は難しく, 継続的に良いパフォーマンスを示すファンドマネージャーを選択することが難しい ( たとえば [6] ) 日本の株式市場においては, マーケットポートフォリオが効率的フロンティアであると信じてきた投資家は, リターンの伴わないマーケットリスクをとり, それにリスクを増加させるだけでリターンを増加させることのないアクティブマネージャーを採用して, 高い運用手数料を支払い続けてきたことになる 以下,2 節では日本の株式市場データを概観し,3 節ではゼロベータポートフォリオを用いて効率的フロンティアの形状を確認する 4 節ではこれまでに提案されてきている平均分散アプローチの改善方法とその結果についての議論を簡単にまとめる 5 節で日本の株式市場にお

4 < 財務省財務総合政策研究所 フィナンシャル レビュー 平成 25 年第 3 号 ( 通巻第 114 号 )2013 年 3 月 > ける効率的フロンティアの事前把握の可能性について検証する 6 節では, ベンチマークを提示して外部のファンドマネージャーに運用を委 託する方法の問題点を整理して, これまで日本の投資家がおかれてきた状況について検討を加える Ⅱ. 日米の株式市場から得られたリターン まず, 米国の株式市場データについて, マーケットポートフォリオ ( 時価総額加重ポートフォリオ ) のリターン, および Fama French 3 ファクターの記述統計量を確認しておこう 表 1 は,Fama and French [7] Table 2 より抜粋したもので,1963 年 7 月から 1991 年 12 月までが対象となっている これを見ると, マーケットポートフォリオを保有していれば, 月次リターンについて 4.52% の標準偏差というリスクを受け入れることによって,0.97% のリターンが得られたことが分かる 超過リターン, つまり安全資産利子率で借り入れをして, マーケットポートフォリオに投資した場合には, その統計的有意性は弱まるものの, 依然として 0.43% のリターンが得られており, マーケットポートフォリオに投資してリターンが得られたという主張には, 十分な説得力がある SMB ファクターは, 時価総額が小さな企業群のポートフォリオをロングし, 大きな企業群をショートしたロングショート戦略のリターンとして定義される 統計的有意性は十分ではないものの, 時価総額が小さい企業群のリターン が相対に大きいといういわゆる小型株効果からも正の収益が得られたことが示唆される HML ファクターは, 株式簿価 (Book Value) と株式時価総額 (Market Value) の比率である B/M が大きな企業群のポートフォリオをロング, 小さな企業群のポートフォリオをショートする戦略のリターンとして定義される HML ファクターに関しては 0.40% という高いリターンが統計的に有意な水準で確認されている Fama や French といった影響力の強い研究者の論文に示されているこういった数値を前提にすれば, 過去データから, 株式市場におけるリスクとリターンの間にトレードオフ関係があると結論づけることは自然なことであろう 多くのファイナンスのテキストや, 資産運用の実務において, リスクとリターンのトレードオフを前提にして議論が進められていても不思議ではない ところが, 日本の株式市場データの場合, 話はそう単純ではない 表 2 は同様の分析を日本の株式市場データを用いて行ったものである すぐにわかるように, マーケットポートフォリ 表 1 米国における FF3 ファクターの月次超過リターン (%)( ) 平均 標準偏差 t 値 RM RM-RF SMB HML ( 出典 Fama and French[7] Table2 より一部抜粋 より一部抜 )

5 リスクとリターン 表 2 日本における FF3 ファクターの月次超過リターン (%)( ) 平均 標準偏差 t 値 RM RM-RF SMB HML タソリューションズのデータベース ( ( 出典 株式会社金融データソリューションズのデータベース (NPM 日本版 Fama-French ベンチマーク ) から取得 ) 表 3 FF25 の時価総額 (10 億円 ) の平均値 ( ) Low High Small Big オを保有していた場合のリターンは 0.17% であるが, 統計的に有意な正のリターンが得られたとは言えない 対安全資産の超過リターンは % となっている さらに,SMB ファクターのリターンは 0.03% でゼロに近く, 小型株効果による収益も確認できない HML ファクターからは正のリターン 0.67% が得られており, 統計的有意性も確認できるため, 株式市場から全く収益があげられなかったということではない しかし, 全体として考えれば, 株式市場でリスクをとることによってリターンが得られるということを支持できるほど, 十分に説得力のあるデータとは言いがたい CAPM が成立していれば, マーケットポートフォリオは効率的フロンティア上に位置する しかし, 日本の株式市場データについては, 効率的フロンティア上に位置するかどうかという以前の問題として, マーケットポートフォリオから正のリターンが得られるのかどうかが疑われる マーケットポートフォリオを, 文字通り株式市場全体を表す変数だと考えるのであれ ば, 日本の株式市場に投資しても, リスクが増えるだけで, リターンは得られなかったということになってしまう CAPM について否定的な立場をとるのだとしても, 米国の場合であれば, マーケットポートフォリオからリターンは得られており, マーケットポートフォリオへの投資はある程度正当化できる 一方, 日本の株式市場データについては,CAPM の成立を議論する以前の問題として, マーケットポートフォリオへの投資自体を正当化することが難しい 日本の株式市場の特徴を調べるために, 株式会社金融データソリューションズのデータベース (NPM 株式日次リターンと NPM 企業財務 ) から,FF25 ポートフォリオ ( 時価総額と B/M, それぞれ 5 分位の合計 25 分位 ) の月次リターン系列を,1977 年 9 月から 2011 年 9 月まで作成した ポートフォリオのリバランスのタイミングやユニバースの決定については, 久保田 / 竹原 [17] の FF ファクターの作成手順に準拠し, ポートフォリオのユニバースは東証 1 部上場銘柄, ポートフォリオのリバランスは 8 月末

6 < 財務省財務総合政策研究所 フィナンシャル レビュー 平成 25 年第 3 号 ( 通巻第 114 号 )2013 年 3 月 > 表 4 FF25 の B/M の平均値 ( ) Low High Small Big 表 5 FF25 の時価総額比率の平均値 (%)( ) Low High Small Big に行うこととした 表 3 から表 9 では,FF25 ポートフォリオのリターンの特徴を示している これらの表は,Fama and French [7] Table 1 に対応するもので, 米国株式市場データとの違いに着目しながら日本の株式市場の特徴を探してゆく 表 3 は,FF25 の各ポートフォリオの時価総額の平均値である 規模の最小分位と最大分位の差は, 米国に比べて日本の方が小さい しかし, 全体的には日本と米国の傾向にそれほど大きな違いは見いだせない 表 4 では,25 の各分位における B/M の平均値が示してある 基本的には日本データも米国と同じ傾向が確認できるが,Fama and French [7] Table 1 で示されている米国データの場合,B/M が最も大きな分位では 1.56 (Big) から 1.80 (Small) の間の値をとっているのに対し, 日本の最大 B/M 分位では 1.13 (Big) から 1.34 (Small) までの値となっている つまり, 日本のデータの方が, 最大分位における B/M の値が小さい傾向が見て取れる また,B/M での 1 分位と 2 分位 の差が小さく, 低 B/M 領域により多く集中している つまり, 米国と比べて日本データでは, 低 B/M という意味での割高株が多く, 高 B/M という意味での割安株についても B/M の水準は小さいことが見てとれる 表 5 は,FF25 の各ポートフォリオの時価総額合計の比率を各年に計算し, その平均をとったものである この数値によって各 25 ポートフォリオを保有することによって, おおよそマーケットポートフォリオに近いポートフォリオが得られると考えることができる 米国データと比べると, 日本の場合には時価総額分位の小さい方の比率が小さい傾向がある 特に時価総額がもっとも小さい分位において, 表 5 では 0.21% から 0.40% となっているが,Fama and French [7] Table 1 を見ると, 米国データでは 0.46% から 0.69% の水準となっている 最も大きな時価総額分位については, 日米でほぼ同じような数値となっている 時価総額ウエイトにおいて, 時価総額が小さ

7 リスクとリターン 表 6 FF25 の企業数の平均値 ( ) Low High Small Big い分位の比率が少ないという傾向は, 各分位に位置する企業数を示した表 6 でも確認できる 日本の場合,B/M の分位に関わらず, 企業数はそれほど大きな差はない 一方で Fama and French [7] Table 1 を見ると, たとえば最も B/M が小さい分位の中で, 時価総額が最も大きな分位の企業数が 93.6 であるのに対し, 時価総額が最も小さな分位の企業数は にまで達している このように, 米国データでは時価総額の小さな分位における企業数がかなり大きくなっている 次に, 表 7 から表 9 で, 各 25 ポートフォリオのリスクとリターン, および t 統計量が示されている 日本の株式市場では HML のリターンが大きく, バリュー効果が顕著に観察されている 実際, 表 7 で分かるように, 高 B/M 分位と低 B/M 分位とのリターン差は大きく, 特に最も小さい B/M 分位のリターンが低迷している 表 8 で分かるように各分位でリスクには大きな差が見られず, その結果 B/M の低分位では統計的に有意な正のリターンが確認できていない Fama and French [7] Table 1 でも確認 できる通り, この傾向は米国市場と同様である 時価総額についての規模効果は,B/M が最も大きな分位を除けば, 小型株のリターンが大型株よりも高くなる傾向が表 7 で確認できる しかしながら,B/M が最も大きい分位では規模効果があまり確認できない また, 表 8 で分かるように, 時価総額が小さい分位のポートフォリオのリスクは大きくなる傾向がある FF25 ポートフォリオの各分位の特徴を見てみると, 日米で違いはあるものの, 決定的な違いがあるとは言いがたく, むしろ全体としては, 米国株式市場と比較的似た傾向が得られている リターンについては, 時価総額による小型株効果はそれほど強くなく,B/M によるバリュー株効果が顕著であることに加えて, やはりマーケットポートフォリオからリターンが得られていないことが大きな違いである 以下では, まず CAPM について, 伝統的な分析手法を用いて再度検証を行い, 日本の株式市場の特徴を探り, あらためてリスクとリターンについて検討してゆく Ⅲ.CAPM の再検証と平均分散フロンティア ここでは, 古典的な CAPM の実証分析手法を用いることによって, 日本の株式市場データにおいて,CAPM がどの程度機能するのかを確 認しておく 具体的には,Black, Jensen, and Scholes [2] の分析手法を FF25 ポートフォリオのリターンに当てはめ, ベータと平均リターン

8 < 財務省財務総合政策研究所 フィナンシャル レビュー 平成 25 年第 3 号 ( 通巻第 114 号 )2013 年 3 月 > 表 7 FF25 の平均リターン ( , 月次 %) Low High Small Big 表 8 FF25 リターンの標準偏差 ( , 月次 %) Low High Small Big 表 9 FF25 リターンの t 統計量 ( ) Low High Small Big の関係, および, ゼロベータポートフォリオについて確認しておく FF25 ポートフォリオの超過リターン r j - r f, j =1, 2,..., 25, を各 j についてマーケットの超過リターン r M - r f に時系列回帰してベータの推定値 ˆβj を求める その上で各 jについて, 超過リターンの時系列標本平均クロ r j - r f を計算し, それを ˆβ = ( ˆβ1, ˆβ 2,..., ˆβ 25 ) にクロスセクション回帰した結果が表 10 と図 1 に示してある Sharpe-Lintner 型 CAPM では, 資産の期待リターン E[r j ] が, 安全資産利子率 r f にリスクプレミアム, すなわち β j = Cov(r j r f,, r M r f ))/Var(r M r f ) と (E[r M ] r f ) の積を加えたものとなる すなわち, E[r j ] r f = β j (E[r M ] r f ) という関係式で表される このため, リスクはベータで計測されることになり, 期待リターン

9 リスクとリターン 表 10 CAPM ベータとリターン r j r f = γ 0 + γ 1 ˆβj + e j 推定値 t 値 P(> t ) γ γ Adj. R 図 1 CAPM ベータと平均リターン mean return beta とベータの間には, 正の比例関係が成立することが期待される ところが, 各 FF25 ポートフォリオの平均リターンとベータの関係を示した図 1 を見ると, ハイベータがローリターン, 逆にローベータからハイリターンが得られた傾向が見て取れる 表 10 では, 平均リターンをベータに回帰した結果が示されているが, 傾きが負の値をとり, その統計的な優位性も確認されている Black, Jensen, and Scholes [2] など,CAPM の初期の実証研究において, ベータとリターンの間に正の線形関係が認められたものの, その関係は Sharpe-Lintner の CAPM が予想するほどには強くないことが指摘されていた つまり, 各資産 ( もしくはポートフォリオ ) の平均リターンとベータの間に正の線形関係は見られたものの, その傾きはマーケットポートフォリオの超 過リターンの平均値よりも小さく,Sharpe- Lintner 型 CAPM の成立については疑問が投げかけられていた それでも, マーケットリスクをとることに正のリターンが得られるという Black 型 CAPM との整合性は棄却することができず,CAPM について一定の評価が与えられることとなった ところが, 日本の株式市場データを見ると, マーケットリスクプレミアムが正であるということ自体が疑われる結果となっている ベータリスクをとると, それだけリターンが引き下げられてしまったというのが, 表 10 から読み取れる結果である CAPM の成立についてさらに考察を深めるため,Black, Jensen, and Scholes [2] が導入した 2 ファクターモデルと, ゼロベータポートフォリオのリターンの性質を確認しておこう Sharpe-Lintner 型の CAPM の成立が疑われるな

10 < 財務省財務総合政策研究所 フィナンシャル レビュー 平成 25 年第 3 号 ( 通巻第 114 号 )2013 年 3 月 > か,Black, Jensen, and Scholes [2] は次のような 2 ファクターモデルを提案した r j = r z (1 β j ) + r M β j + w j. (1) このモデルは,j 資産のリターン r j が, マーケットポートフォリオのリターン r M と, マーケットとの共分散がゼロとなるゼロベータポートフォリオのリターン r z の二つの変数によって定まり, また r z の係数はマーケットに対するベータから 1 - β j として定まるというものである この 2 ファクターモデルの理論的根拠は Black [1] によって与えられており, 安全資産利子率による借入や貸付ができなくても, 危険資産の空売りが可能であれば, マーケットポートフォリオのリターンが効率的フロンティア上に位置するという CAPM の基本的な性質は維持されることが示されている 表 11 では,Black, Jensen, and Scholes [2] の Table 5 の結果を一部抜粋し, 同時に日本の株式市場データを用いて同様の分析を行った結果を示している ここでは r z の対安全資産超過リターンとして R * z を定義し, その平均, 標準偏差,t 値, 自己相関が示してある R * z の推定方法は,Black, Jensen, and Scholes [2] を踏襲して行っている Sharpe-Lintner 型の CAPM が成立しているとすれば, ゼロベータポートフォリオの超過リータンはゼロとなるはずであるが, 米国データの場合, 特に 年,57-65 年において, ゼロベータポートフォリオから正のリ ターンが統計的に有意な結果として得られている この結果を踏まえ,Sharpe-Lintner 型の CAPM はデータからは支持されないと Black, Jensen, and Scholes [2] は結論し, 同時に (1) の 2 ファクターモデルの優位性を主張している 表 11 には, 日本の株式市場データについて, FF25 ポートフォリオを用いて同様の分析を行った結果も記載している この結果を見ると, ゼロベータポートフォリオからは 2.97% という大きなリターンが得られており, その分散の大きさにも関わらず, 統計的にもゼロから有意に異なるということができる これは,Black, Jensen, and Scholes [2] と同様に Sharpe-Lintner 型の CAPM を棄却するだけでなく, ベータ以外の変数によって期待リターンが説明できた可能性を強く示唆する結果である つまり,Black 型の CAPM の主要な含意, すなわち期待リターンとベータの間にある正の線形関係も否定する結果となっている 次に,FF25ポートフォリオのリターンから得られる効率的フロンティアがどのような形状をしていたのかを確認し, マーケットポートフォリオの特徴について見ておこう 図 2は, 1977 年 9 月から 2011 年 9 月までの FF25ポートフォリオリターンの標本平均と標本共分散を計算し, 平均標準偏差平面において, 平均分散分析の効率的フロンティアを描いたものである 接点ポートフォリオ (tangent),ff25ポートフォリオを等加重で保有した 1/Nポートフォリオ, 効 表 11 ゼロベータポートフォリオ R Z σ(rz ) t(r Z) r(rzt, R Z,t 1 ) U.S. 1/31-12/ U.S. 7/48-3/ U.S. 4/57-12/ Japan 9/77-9/ データについては のの結果を 出典 米国データについては,Black,Jensen,andScholes[2] の Table5 の結果を一部抜粋 )

11 リスクとリターン 図 2 FF25 ポートフォリオによる効率的フロンティア 率的フロンティア上で最も分散の小さい大域的最小分散ポートフォリオ (gmvp), 時価総額加重ポートフォリオのリターン (Value Weighted, VW), および Black, Jensen, and Scholes [2] と同じ方法で推定されたゼロベータポートフォリオについて, そのリスクとリターンも記載している 図 2 から分かるように, マーケットポートフォリオ (VW) のパフォーマンスは 1/N や gmvp と比べて劣っており,FF25 ポートフォリオを単純に等加重で保有したり, またリターンは追求せずに単にリスク量の最小化を目指すことによって, かえってリターンが確保できた可能性が示唆される また, 接点ポートフォリオのリターンは非常に大きくなっており,FF25 ポートフォリオをうまく組み合わせることによって, リターンの向上が期待できる可能性が示唆される ゼロベータポートフォリオのリ ターンも大きく, 先に述べた通り, マーケットリスク以外にリターンと結びついているリスクの存在が期待できる ただし, 良く知られているように, 平均分散アプローチはその入力パラメータ, すなわち期待リターンと共分散行列の値に対して非常に感応度が高く, 算出されるポートフォリオは正と負に極端に大きな投資比率を示す 図 2 においても, 接点ポートフォリオは非常に高いリターンであるが, 同時にリスク水準も極端に高くなっている また, ゼロベータポートフォリオについても, かなり高いリターン水準となっており, 接点ポートフォリオと同程度のリスク量になっている このため, これらのポートフォリオ戦略を実際に構築できるかどうかは疑わしい 次の節以降では, 効率的フロンティアの事前把握について検証してゆく

12 < 財務省財務総合政策研究所 フィナンシャル レビュー 平成 25 年第 3 号 ( 通巻第 114 号 )2013 年 3 月 > Ⅳ. 平均分散アプローチの改善方法 図 2 を見るとすぐに分かるように, 事後的に計算される効率的フロンティアは, ポートフォリオの構築に用いられる資産のリスクとリターンを組み合わせて, 非常に大きなフロンティアを描き出す ただし, 図 2 はポートフォリオリターンの過去データを全て用いて描かれた効率的フロンティアである 過去の各時点にさかのぼって, その時点で利用可能なデータを用いて効率的フロンティアを描き接点ポートフォリオを構築した場合, どのようなパフォーマンスが得られるのかは, 改めて検証してみる必要がある この節では, 各時点での情報に基づいて平均分散分析を利用した場合, どのような結果が得られたのかを検証してゆく これによって, 各時点でそれまでのデータを利用して描かれるという意味で, 事前情報に基づいた効率的フロンティアの形状を探ることができる 事前情報に基づいて効率的フロンティアを描く場合, 平均分散アプローチの技術的な問題点が大きな障害となる 平均分散アプローチでは, 入力パラメータである平均と共分散の値のわずかな変化によって, 算出される最適解が大きく影響される この原因を直感的に理解することは容易である 図 3 では,FF25 ポートフォリオから平均と分散が近いふたつのポートフォリオを選択し, それらふたつから構成される接点ポートフォリオを計算した様子が示されている このように, 同程度のリスクでありながら, リターンに多少の差があると, 一方を極端にロング, 他方を極端にショートして, ハイリスク / ハイリターンな組み合わせが最適解として選択される 平均と共分散の組み合わせが変化すると, 二つを組み合わせて得られるフロンティアの形状が変化するだけでなく, 最適解の構成割合も大きな影響を受けてしまう 平均分散ポートフォリオのこうした問題点を解決する方法は, これまでにも数多く提案されてきている たとえば,Jorion [10] では, 期待リターンベクトルの推定方法に工夫を加えることにより, 平均分散ポートフォリオのパフォーマンスを向上する方法が提案されている 期待リターンベクトルについては過去データの標本平均,CAPM を用いて推定したもの, また Bayes-Stein estimator を用いて推定したものの 3つが取り上げられている より具体的には, 過去データ y の標本平均を Y, 標本共分散行列を S, 銘柄数を N, データ数を T として, Y 0 =( 1) S - 1 Y )/( 1) S ), w =λ/(λ + T), λ =(N + 2)(T - 1)/[(Y - Y 0 1 )) S - 1 (Y - Y 0 1) (T - N - 2)] と定義して Max. Likelihood Est. E ML [r y] = Y CAPM. E CAP M [r y] = βe[r M ] Bayes-Stein estimator. E BS [r y] = (1 w)y + wy 0 1 によって期待リターンベクトルを推定している これら3つを利用した接点ポートフォリオと gmvp の out-of-sample のリターンが比較されている Jorion [10] が利用したデータ系列は,NYSE の月次リターンデータ ( ) をもとに,SIC industry code に基づいて作成された 7 業種ポートフォリオである 月初に過去 60 ヶ月データを用いてパラメーターを推定し, 毎月ポートフォリオを構築してリターンを計測している 結果として,Bayes-Stein estimator を用いることによって, 標本平均を用いるときよりもリターンのシャープレシオが改善することが報告されている ただし,Bayes-Stein estimator の成績は,CAPM による予測や gmvp よりも劣っており, 平均分散ポートフォリオの問題点を改

13 リスクとリターン 図 3 平均分散アプローチの難点 善はしているものの, 完全に解決できているわけではない この他にも, これまで多くの改善方法が提案されてきている しかし, それらの方法を用いても, 大幅な改善は期待できないというやや否定的な結論を導いているのが,DeMiguel, Garlappi, and Uppal [4] である この論文では, 平均分散アプローチがうまく機能する状況を探るために, 過去データをもとに構築された平均分散ポートフォリオの Out-of-sample のパフォーマンスを比較し, 単純な等加重ポートフォリオ (1/N) と結果を比較している 平均分散ポートフォリオを構築するうえで提案されてきた方法論としては, これまで提案されてきたものを網羅的に取り扱っている 具体的には, 共分散行列の推定方法, ベイジアンアプローチ (Diffuse prior, Shrinkage estimate, Asset pricing model の利用 ), 空売りなどの保有量に対する制約条件, ファクターモデルを利用した moment restriction,gmvp と 1/N を混合させることによる推定誤差へのヘッジ,Robust control といった方法である また, これらの比較は, よく用いられるデータセットに対して網羅的に行われている すなわち,U.S.10 sector, U.S.10 industry, 8 country MSCI World, SMB and HML plus US eq., 20 size and BM plus US mkt, 20 size and BM plus US mkt/smb/hml, 20 size and BM plus US mkt/smb/hml/umd, Simulated data of 2000 years observation といったものである この網羅的な比較を行ったうえで,DeMiguel, Garlappi, and Uppal [4] は, いずれの改善方法を用いても, 一貫して 1/N 戦略を上回ることはできていないと結論づけている 背景にある直感として,1/N 戦略による配分比率は最適ではないものの, それによって失われる部分は, その他の戦略においてパラメータの推定誤差から失われるパフォーマンスよりも, 相対的に小さいということを指摘している 期待リターンベクトルの予測を行って平均分散ポートフォリオを構築しても,1/N や gmvp のパフォーマンスを上回ることができていないという DeMiguel, Garlappi, and Uppal [4] の指摘は, 期待リターンベクトルの予測を行うこと自体に意味があるのかという疑問につながる gmvp は, 危険資産の効率的フロンティア上で, 最も分散が小さいポートフォリオであるが, 期待収益率ベクトルを µ, 共分散行列をΣとして, 接点ポートフォリオφ T とgmvp φ g は, 1 φ T 1 Σ 1 (µ r f 1) Σ 1 (µ r f 1),, を見れば分かるように はすべて

14 < 財務省財務総合政策研究所 フィナンシャル レビュー 平成 25 年第 3 号 ( 通巻第 114 号 )2013 年 3 月 > φ g 1 1 Σ 1 1 Σ 1 1 となる これらを見れば分かるように,gmvp はすべての資産の期待リターンが同じである場合の接点ポートフォリオと考えられる また, 共分散構造を無視して考えれば,1/N はリスク 1 単位あたりのリターンがすべての資産について同一であると予測している場合のポートフォリオと考えることができる 言い換えれば, gmvp と 1/N は期待リターンを予測をしないポートフォリオと解釈できる したがって, 実証結果から判断すると, 期待リターンの予測は行わない方がましだということになってしまう ここまでの議論を振り返ると, 日本の株式市場データに関して言えば, マーケットポートフォリオから収益が得られたとは言えず, また CAPM の成立にも疑問を持たざるを得ないのであった そこで, マーケットポートフォリオにこだわることなく, 平均分散フロンティア全体を把握することによって, 日本の株式市場データからその特徴を探る必要がある ところが,DeMiguel, Garlappi, and Uppal [4] の指摘を前提にすると, 効率的フロンティアを事前に把握することは極めて難しいということになる 次の節では, 過去データの中に期待リターンについて何らかの情報が含まれていないかどうか, あらためて検討を加えてゆく Ⅴ. 効率的フロンティアの事前把握 株式市場における効率的フロンティアを事前に把握することが難しいという DeMiguel, Garlappi, and Uppal [4] の結果は, ファイナンス理論の基礎のひとつである平均分散分析の実用性にも大きな疑問を生じさせる この節では, 日本の株式市場データを用いて, 各時点での過去データから, 効率的フロンティアについての情報が得られている可能性を示す 過去データに基づいて計算されるパラメータの推定値を利用する際, 先行研究の多くは接点ポートフォリオそのものを構築しようとしている しかし, 図 3 を見れば分かるように, 平均分散分析の最適解は, 大きなレバレッジを利用してハイリスク, ハイリターンの組み合わせを選択する傾向がある このため, パラメータの推定誤差が小さくても, ポートフォリオ構築の段階でその誤差が増幅されてしまい, 事後的なリターンにおいて大きな損失につながる恐れがある 接点ポートフォリオを利用して効率的フロンティアの形状を探る際には, パラメータの推定誤差と, ポートフォリオ構築に伴って発生 する損失の増幅の影響とを明確に区別し, それぞれを緩和することを考えてゆくべきであろう このような動機づけにもとづき, まずは接点ポートフォリオを以下のように分解してみよう まず, φ µ 1 1 Σ 1 µ Σ 1 µ を定義する φ µ は安全資産利子率をゼロとした場合の接点ポートフォリオの構成比率である投資から, 効率的フロンティア上に位置するポートフォリオである そうすると, 1 φ T = 1 Σ 1 (µ r f 1) Σ 1 (µ r f 1) 1 ( = (1 1 Σ 1 Σ 1 µ)φ µ r f (1 Σ 1 ) 1)φ g (µ r f 1) 1 Σ 1 µ = φ g + 1 Σ 1 (µ r f 1) (φ µ φ g ) = gmvp + (gmvp から効率的フロンティア上の移動 ) となり, 接点ポートフォリオを保有することは,

15 リスクとリターン まず gmvp へ全額投資し, それに gmvp から φ µ 方向に移動するゼロ投資ポートフォリオを上乗せさせることによって実現できる 後者の投資ゼロ投資ポートフォリオの保有量は, 投資家のリスク回避度, 受け入れられる総リスク量, また達成したいリターン水準によってその規模が定まるはずである gmvp の構成比率の算出には, 期待リターンベクトルの推定が必要ない このため,gmvp は効率的フロンティア上のポートフォリオのなかで, パラメーターの推定誤差の影響が最も小さいポートフォリオである そこで,gmvp に上乗せされるゼロ投資ポートフォリオから発生するリスク量を十分に小さく制約しておけば, ポートフォリオ構築の際に推定誤差から発生する損失部分を制御できるだろう gmvp 以外のポートフォリオには期待リターンベクトルについての推定誤差が反映されていると考えられる ベンチマークそのものに期待リターン予測が反映されていると, そこからのリスク / リターンの改善に注目して期待リターン予測の精度を判断しても, その判断はベンチマークの選択によって影響を受けてしまう そのような影響がもっとも小さいのは,gmvp をベンチマー クとした場合であろう このアイデアを利用するために, まず株式会社金融データソリューションズのデータベース (NPM 株式日次リターンと NPM 企業財務 ) から作成した FF25 ポートフォリオの月次リターン系列を利用して, 毎月末時点において直前 60 ヶ月データから主成分分析によって共分散行列を推定した これを用いて, 標本平均, CAPM,FF3 ファクターモデルによる期待収益予測を用いた接点ポートフォリオを算出する また, 各月末時点で gmvp と 1/N を構築する このようにして求められた gmvp に対して, 次の最適化問題を考える max φ (φ φ g ) µ s.t. (φ φ g ) Σ(φ φ g ) = v 2 (2) φ 1 = 1 離であるここで v 2 は,gmvp からの乖離である TEV (Tracking Error Volatility) である 表 12 に, 分析結果が記載してある 標本平均を用いた接点ポートフォリオについては, 各 FF25 ポートフォリオについて直前 60 ヶ月の標本平均を期待リターンベクトルとし, 上記の共 表 12 Portfolio Return Statistics ( ) 年率 (%) シャープレシオ 平均 標準偏差 R M R f SMB HML /N gmvp gmvp+ sample mean tgt gmvp+ CAPM mean tgt gmvp+ FF mean tgt 融データソリューションズのデータベース ( 株式日次リターンと 企

16 < 財務省財務総合政策研究所 フィナンシャル レビュー 平成 25 年第 3 号 ( 通巻第 114 号 )2013 年 3 月 > 表 13 Portfolio Return Statistics ( ) 年率 (%) シャープレシオ 平均 標準偏差 R M R f SMB HML /N gmvp gmvp+ sample mean tgt gmvp+ CAPM mean tgt gmvp+ FF mean tgt 表 14 Portfolio Return Statistics ( ) 年率 (%) シャープレシオ 平均 標準偏差 R M R f SMB HML /N gmvp gmvp+ sample mean tgt gmvp+ CAPM mean tgt gmvp+ FF mean tgt

17 リスクとリターン 表 15 Portfolio Return Statistics ( ) 年率 (%) シャープレシオ 平均 標準偏差 R M R f SMB HML /N gmvp gmvp+ sample mean tgt gmvp+ CAPM mean tgt gmvp+ FF mean tgt 分散行列を使って接点ポートフォリオを各月初に構築し, リターン系列を算出した CAPM と FF3 ファクターモデルでは, 直前 60 ヶ月の収益データをマーケットの超過リターン, SMB,HML の系列に回帰し, 推定された回帰係数と, リスクプレミアムとして求めた各ファクターの標本平均との積を求め, 期待リターンを算出した そのうえで, 上記の共分散行列を用いて, 接点ポートフォリオを各月初に構築した これらの接点ポートフォリオをロング, gmvp をショートするロング ショート戦略を, gmvp に上乗せして全体のポートフォリオとした なお, そのレバレッジの大きさは, 推定された共分散行列のもとで gmvp からの TEV が 25( 年率換算した標準偏差としてのトラッキングエラー 5%) となるように決定した 表 12 には,1982 年 9 月から 2011 年 9 月までの全期間について, それ以降の表 13, 表 14, 表 15 については, 各 10 年ごとの期間についての分析結果が示されている 全体を通してみると, マーケットポートフォリオのリターンよりも 1/N ポートフォリオの方がリターンが高く, gmvp はさらに良いリターンが得られている シャープ比でみても,gmvp が最も良い ただし, 表 15 の最近 10 年に関しては,gmvp よりも 1/N の方が良い結果となっている 今回の分析で用いている FF25 ポートフォリオでは, 各ポートフォリオに含まれる銘柄数が大きく分散投資効果がすでに発揮されているため,gmvp を構成しても全体としてのリスク削減効果はそれほど大きくはない しかし, リターンについての予測を行っていないのに, 結果としてはマーケットや 1/N と比べて良好なリターンが得られている gmvp からの乖離を 5% に制約しながら, 標本平均,CAPM による予測,FF3 ファクターモデルによる予測を用いて算出された接点ポートフォリオ方向へ移動したポートフォリオの結果では,CAPM 予測の結果が低調である しかし, FF3 ファクターモデルによる予測と標本平均による予測を利用することによって, パフォーマンスに改善が見られる 傾向としては, 標本平均を用いるのが最も効果的で,CAPM よりは FF3 ファクターモデルを用いた方がパフォーマンスは改善している CAPM と FF3 ファクターモデルについては, 表 14 の 90 年代頃はその順

18 < 財務省財務総合政策研究所 フィナンシャル レビュー 平成 25 年第 3 号 ( 通巻第 114 号 )2013 年 3 月 > 位が入れ替わるなど, やや安定しない時期も見られている 全体としてみれば, ポートフォリオ全体としてのリスク量の制御もうまく行われており, 期待リターン予測を用いることによって gmvp の周辺での効率的フロンティアの形状についての情報が得られていると考えられる 標本平均を用いた場合に好結果が得られていることは興味深い DeMiguel, Garlappi, and Uppal [4] では, 様々な期待リターン予測と, 推定誤差の影響を小さくする工夫が比較検討されているが, 大きな改善は見られていない ところがここでは, ごく単純な標本平均を用いた予測によって最も良い結果が得られている DeMiguel, Garlappi, and Uppal [4] と異なる結果が得られた理由は,gmvp の周辺に限定してポートフォリオを構築したため, 接点ポートフォリオを用いた場合と比べると, ポートフォリオ構築の段階でパラメーター推定誤差の影響が増幅されてしまうことを避けることができたためだと考えられる また, 単純な標本平均の方が,FF3 モデルを利用するよりも良好であったことも興味深い そもそも,FF25 ポートフォリオを用いて分析が行われているため,CAPM を前提にした予測よりも,FF3 ファクターモデルを前提にした予測の方が良い結果が得られるのは自然だと考え られる しかし,FF3 ファクターモデルを用いるよりも, 単純に標本平均を利用する方がパフォーマンスが良好になっている理由は, ひとつは FF3 ファクターモデルを利用してリターン予測をする際に行われる回帰分析に付随する推定誤差の影響だと考えられる もうひとつの原因は, もともと FF25 ポートフォリオの構築の過程で, 個別銘柄間の固有リスクの影響が分散投資効果で削減されており, さらに規模効果とバリュー効果の影響がうまく抽出されていることから, 各ポートフォリオの標本平均の精度が十分に向上していた可能性が指摘できる 以上の結果から, 効率的フロンティアを事前に把握するための情報が, 過去データから得られる可能性が示唆される 平均分散アプローチを用いてポートフォリオを構築する際に, パラメーター推定誤差の影響が増幅されてしまわないように留意することが重要で,gmvp の周辺にリスク量を限定することが効果的だと考えられる また, 分析対象とする資産についても, FF25 ポートフォリオのように, 固有リスクによる影響を削減し, かつ株式市場全体の特徴をうまくとらえるポートフォリオを構築するなどの方法によって, 過去データからのパラメータ推定誤差を小さくすることが効果的だと思われる Ⅵ. 対ベンチマーク運用の問題点 ここまで見てきたように, 日本の株式市場データを前提にすると, マーケットポートフォリオへの投資が正当化しにくい 一方で, 効率的フロンティアの事前把握は難しいものの, ある程度の情報が過去のリターンデータから得られることが期待できそうである 最後に, これらの結果が資産運用の実務にどのような意味をもつのかを検討しておきたい 特に, 効率的フロンティアから乖離したポートフォリオをベン チマークとして利用し, ファンドマネージャーに対ベンチマークでの運用を求めたときに発生する問題点を整理しておきたい 接点ポートフォリオの把握が難しいという事実は, 資産運用の実務にも大きな意味を持つ 現在では多くの組織, たとえば年金基金などが, 投資可能な資産の運用を, 外部のファンドマネージャーに委託している 資産運用組織の意思決定者が, 外部のファンドマネージャーに運

19 リスクとリターン 用資産を配分する問題の重要性は,Sharpe [16] で指摘され,Elton and Gruber [5] などの分析が行われている ファンドマネージャーに運用を委託する際には, ファンドマネージャーの行動を完全に監視することはできないため, いわゆるプリンシパル エージェント問題が発生する この問題を緩和するためによく用いられるのは, 外部のファンドマネージャーに対してベンチマークポートフォリオを提示し, そこからの乖離幅の制限範囲内で超過リターンを追求することを求めるという方法である ベンチマークとしては時価総額加重ポートフォリオ, つまりマーケットポートフォリオが一般的によく用いられている Roll [15] が批判しているように, このような形で運用を委託しても, ポートフォリオはベンチマークとは独立に選ばれてしまい, ベンチマークにリスク量を上乗せさせるようなポートフォリオが選ばれてしまうことが多い ここでは,Roll [15] のモデルを簡略化することによって, この問題点について検討をくわえてゆこう 資産の保有者は, ベンチマークポートフォリオ φb を外部のファンドマネージャーに提示し, ベンチマークからの乖離であるトラッキングエーをラーを一定範囲にとどめながら, ファンドマネージャーの期待収益率予測に基づいてポートフォリオを構築することを求めるとする ここで, ベンチーマークポートフォリオは資産全額を投資するポートフォリオとして, φ B 1 = 1 とする ベクトル Roll [15] では, ファンドマネージャーは自らが予測する期待リターンベクトル µ と共分散行列 Σを用いて, 与えられた対ベンチマークの期待超過リターンの制約のもとで,TEV を最小化しようとするケースが考えられている 具体的には, 次の問題の解について分析が加えられている min φ (φ φ B ) Σ(φ φ B ) s.t. (φ φ B ) µ = µ φ 1 = 1, ャーが目標とする ( 対ベンチマーク ここで, µ ははファンドマネージャーが目標とする ( 対ベンチマーク ) 期待超過リターンの水準である Roll [15] はこの問題の解を詳細に分析し, ファンドマネージャーの選択するポートフォリオがベンチマークとは独立に定まり, またポートフォリオ全体のリスク量はベンチマークよりも増加する可能性が高いことを指摘している ただし, 後者の点については, 効率的フロンティアの形状や位置関係によって, 若干状況が複雑になる そこでここでは, 資産価格モデルの観点から gmvp に注目しながらこれらの議論を見直し, ファンドマネージャーの意思決定問題を簡単化することによって, 対ベンチマークでのパフォーマンスを意識するファンドマネージャーの行動について検討を加えよう 平均標準偏差平面に描かれる効率的フロンティアを事前に把握しようとしたときに, 大きな困難として立ちはだかるのが, 期待リターンベクトルの推定である ただし, 効率的フロンティア上でただ 1 点, 効率的フロンティアの中で最もリスクの小さいポートフォリオである gmvp は, その構成比率が共分散行列だけから求められ, 期待リターンベクトルを用いなくても算出できる 資産の分散 共分散が一定であるか, もしくは変動するとしても緩やかに変動するのであれば,Merton [13] が指摘したように観測頻度を高めれば, 共分散の推定精度は高まる 大きな推定誤差が避けられない期待収益率の予測を行わなくても良いため,gmvp ポートフォリオは比較的正確に求められることが期待できる 効率的フロンティアは,gmvp を起点に, そこからリスク / リターン特性を改善してゆくようなゼロ投資ポートフォリオを探すことによって把握することもできる Cochrane [3] の記法を用いると, 資産価格モデルの観点から gmvp

20 < 財務省財務総合政策研究所 フィナンシャル レビュー 平成 25 年第 3 号 ( 通巻第 114 号 )2013 年 3 月 > の収益と効率的フロンティアの関係は, 以下のように整理することができる 超過収益の空間, すなわち, ゼロ投資戦略によって実現できる ( 確率変数としての ) 収益の集合を R e とする 任意の証券 i の収益 R i は, ある超過収益 R e R e とスカラー w i を用いて R i = R f + (w i R f )R e + n i (4) と書くことができる ここで R e * は, 定数ベクトル 1 から超過収益の空間 R e への射影として定義され, 裁定取引に最も近い超過収益ベクトルと解釈することができる また,n i は R e 上のベクトルで E(n i )=0 となり,E(R e * n i )=0 の意味で R e * と直行する 危険資産についての効率的フロンティアは, 与えられた目標期待リターンを達成するポートフォリオの中で分散を最小化するものである 各証券の収益の成分のうち,n i は分散を大きくするが, 期待収益は上昇させない 効率的フロンティアは, これらの項を分散投資効果によってできるだけ解消させるポートフォリオの集合である Cochrane [3] の Theorem 5.3b にあるように, 収益 R mv が効率的フロンティア上にあるための必要十分条件は, ある正のスカラー w が存在し, R mv = R f +(w - R f )R e * となることである 接点ポートフォリオと gmvp の収益 R T と R g は効率的フロンティア上に位置するから, あるスカラー w T と w g を用いて クの収益はスカラー w B と,R e * に直行する n B を用いて R B = R f +(w B R f )R e * + n B (7) と書くことができる (7) を前提にすると, ファンドマネージャー のポートフォリオ選択は, ベンチマークの効率的フロンティアからの乖離 n B と, また裁定取引に最も近いと考えられる超過リターンベクトル R e * の長さの調整に分解される そこで, 問題 (3) をさらに簡略化することにして, ファンドマネージャーは,n B と R e * ベクトルの組み合わせを変化させることにより, ベンチマークからの乖離を制約条件と考えながら, 対ベンチマークの超過期待リターンを最大化するとしよう (5),(6),(7) から,n B の削減と R e * の長さの調整は,2 つのゼロ投資ポートフォリオ φ Bg と φ BT によって行なうことができる そこでベンチマークにゼロ投資ポートフォリオ φ g と φ BT をどのくらい上乗せさせるかを考える問題を設定する 具体的には, それぞれに x と y だけ投資するとして, 全体のポートフォリオ φ BP は, φ BP = φ φbb + x φ g + y φφ T となる そこで, ファンドマネージャーの問題 (3) を簡略化し, 次の 2 資産選択問題を考えることにする R T = R f +(w T R f )R e * (5) R g = R f +(w g R f )R e * (6) と表すことができる したがって, 裁定取引にもっとも近いゼロ投資戦略である R e * は, gmvp から接点ポートへの移動を示すベクトル R T R g によって与えられる いま, ファンドマネージャーに示されたベンチマークポートフォリオ B が効率的フロンティア上にないとすれば,(4) によってベンチマー ) max (x,y) (x y µ ( ) ( x ( s.t. ) x y) Σ = v 2 y ここで ( ) µ, ~ ( は ) ) ( ) ( ) φ ( g µ µ φ T µ ( ) れゼロ投資ポート φ Σ ) g Σ ( φ g φ T φ T リオ戦略との期待収益 (8)

21 ( ) ( リスクとリターン と定義され, それぞれゼロ投資ポートフォリオ戦略 φ g と φ T の期待収益率ベクトル, 共分散行列である 命題 1. 問題 (8) の最適解は, ポートフォリオマネージャーが考える接点ポートフォリオと gmvp のロング ショート戦略となり, 提示されたベンチマークとは独立に選ばれる 選ばれるロング ショート戦略をベンチマークポートフォリオに組み合わせても, 効率的フロンティアからの乖離 n B は減少しない 証明 補論を参照 問題 (8) は,Roll [15] や Jorion [11] で検討している問題を簡略化したものとなっているが, 彼らが指摘した対ベンチマーク運用の問題点がより明確になっている すなわち, ファンドマネージャーが選択するポートフォリオは, 委託者が提示するベンチーマークに関わらず, ファンドマネージャーが裁定取引に最も近いと考えるゼロ投資ポートフォリオが選択され, また効率的フロンティアからの乖離を縮める要素は選択されない Roll [15] や Jorion [11] はこの問題点を緩和する方法として, 対ベンチマークのベータや, ポートフォリオ全体のリスク水準を制約条件としてファンドマネージャーに課すことを提案している こういった制約条件を課すことによって状況が改善されることも期待はできるが,Jorion [11] も指摘しているように, 与える制約条件の組み合わせによっては, 不自然な解が選ばれて しまうこともある また,Jaganathan and Ma [8] が指摘しているように, 制約条件を与えられたときのファンドマネージャーの最適ポートフォリオは, 制約条件に応じてファンドマネージャーの持つ予測を修正した場合の ( 制約条件なしの ) 最適解と解釈することができる ファンドマネージャーに予測を修正させるということは, ファンドマネージャーの予測能力が十分に発揮できないことになる 事後的にパフォーマンスを評価する際にも, 予測力が低いのか, 制約条件によって思ったようなポートフォリオを選択できなかったのかを見分けることが難しくなる 日本の株式市場データを見ると, マーケットポートフォリオへの投資から収益が獲得できず, また効率的フロンティアからもかなり乖離していた この事実を受け入れることにすると, これまで行われてきた日本の株式市場におけるアクティブ運用は, 効率性の観点からはかなり魅力の低いポートフォリオをベンチーマークに設定してきたばかりではなく, 各ファンドマネージャーがリターンの低いベンチマークにさらにリスク量を増加させてきた可能性が高い 多くの文献でも指摘されている通り, ファンドマネージャーが運用において継続的に付加価値を上乗せし続けることは非常に困難である 日本の多くの投資家にとっては, 運用手数料をファンドマネージャーに支払い続けたにもかかわらず, 魅力の低いベンチマークにアクティブ運用によるリスクが上乗せされるだけで, リターンの上乗せも十分に実現しなかった可能性が大きい Ⅶ. まとめ CAPM を背景にして, マーケットポートフォリオが株式運用のベンチマークとして用いられることが多い しかし, 日本の過去データを前 提にすると, マーケットポートフォリオは効率的フロンティア上に位置するとは言いがたいばかりでなく, そのリスクに見合ったリターンが

22 < 財務省財務総合政策研究所 フィナンシャル レビュー 平成 25 年第 3 号 ( 通巻第 114 号 )2013 年 3 月 > 得られたかどうかも疑わしい その一方で, 過去データから計算される効率的フロンティアの形状をみると, 適切にリスクを選べば, リターンが得られたことが示唆される 効率的フロンティアを事前に把握することは容易ではないものの,FF25 ポートフォリオを用いた本稿の結果では, 現在の効率的フロンティアの形状を探るのに過去データを無視するべきではないことが示唆される また, 外部のファンドマネー ジャーにベンチマークを提示して, 対ベンチマークの超過リターンを追求させるという運用方法は本質的な問題を抱えている これまでの日本において, マーケットポートフォリオをベンチマークに採用した投資家の多くは, リターンの伴わないマーケットリスクをとってきたばかりではなく, そのうえさらにリターンを得ることが難しいアクティブリスクを上乗せしてきたことになる ( ) ( Ⅷ. 補論命題 1 の証明 問題 (8) のラグランジュ乗数を λ として, その一階の条件から, 最適解は (x y) = 1 2λ Σ 1 µ を満たす 制約条件に代入して λ = 1 µ Σ 1 µ 2 T EV はが得られるので, 最適ポートフォリオは (x y) T EV = µ Σ Σ 1 µ 1 µ となる いま,(5),(6),(7) より Y (w g w B )/(w T w g ) と定義すると, φ g R = Y φ T R n B. であるから,µ とΣ はそれぞれ ( ) Y µ = E[R T R g ],, 1 ( ) ( ) したがって Y Σ 2 Y Var[n B ] 0 = Var[R T R g ] + Y となる したがって, Σ 1 µ = ( ( ( ( ) ( ) 0 E[R T R g ]/Var[ φ T R] µ Σ 1 µ = E[R T) R g ] 2 Var[R T R g ] ( より, x = 0, T EV E[R T R g ] T EV y = µ Σ 1 µ Var[R T R g ] = SD[R T R g ] ジャーの選ぶにおいて ベンチマークからとなるので, ファンドマネージャーの選ぶ (9) において, ベンチマークから gmvp 方向へ移動するポートフォリオ φ g は保有されない φ Tは gmvp から接点ポートフォリオ方向へののであフロン移動で,R e * を保有するものであるから, 効率的フロンティアからの乖離である n B 成分は変 化させない したがって, 目標とする超過収益が正であれば,R e * ベクトルの保有量を増加させようとはするが, 効率的フロンティアからの乖離 n B は減少させない,

23 リスクとリターン 参考 文献 [1] Fischer Black. Capital market equilibrium with restricted borrowing. Journal of Business, Vol. 45, No. 3, pp , [2] Fischer Black, Michael C. Jensen, and Myron Scholes. The capital asset pricing model: Some empirical tests. In Michael C. Jensen, editor, Studies in the Theory of Capital Markets, pp Praeger Publishers Inc, [3] John H. Cochrane. Asset Pricing, Revised Edition. Princeton University, Princeton and Oxford, [4] Victor DeMiguel, Lorenzo Garlappi, and Raman Uppal. Optimal versus naive diversification: How inefficient is the 1/n portfolio strategy? The Review of Financial Studies, Vol. 22, No. 5, pp , [5] Edwin J. Elton and Martin J. Gruber. Optimum centralized portfolio construction with decentralized portfolio management. Journal of Financial and Quantitative Analysis, Vol. 39, No. 3, pp , [6] E.F. Fama and K.R. French. Luck versus skill in the cross-section of mutual fund returns. The Journal of Finance, Vol. 65, No. 5, pp , [7] Eugene F. Fama and Kenneth R. French. Common risk factors in the returns on stock and bonds. Journal of Financial Economics, Vol. 33, pp. 3-56, [8] Ravi Jagannathan and Tongshu Ma.Risk reduction in large portfolios: Why imposing the wrong constraints helps. Journal of Finance, Vol. 58, No. 4, pp , August [9] Philippe Jorion. Bayes-stein estimation for portfolio analysis. The Journal of Financial and Quantitative Analysis, Vol. 21, No. 3, pp , [10] Philippe Jorion. Bayesian and capm estimators of the means: Implications for portfolio selection. Journal of Banking and Finance, Vol. 15, pp , [11] Philippe Jorion. Portfolio optimization with tracking-error constraints. Financial Analysts Journal, pp , September/October [12] Olivier Ledoit and Michael Wolf. Improved estimation of the covariance matrix of stock returns with an application to portfolio selection. Journal of Empirical Finance, Vol. 10, pp , [13] Robert C. Merton. On estimating the expected return on the market an exploratory investigation. Journal of Financial Economics, Vol. 8, pp , [14] Lubos Pástor. Portfolio selection and asset pricing models. The Journal of Finance, Vol. 55, No. 1, pp , [15] Richard Roll. A mean/variance analysis of tracking error. Journal of Portfolio Manage-ment, pp , Summer [16] William F. Sharpe. Decentralized investment management. The Journal of Finance, Vol. 36, No. 2, pp , [17] 久保田敬一, 竹原均. Fama-french ファクターモデルの有効性の再検証. 現代ファイナンス, Vol. 22, pp. 3-23,

1 CAPM: I-,,, I- ( ) 1 I- I- I- ( CAPM) I- CAPM I- 1 I- Jensen Fama-French 3 I- Fama-French 3 I- Fama-MacBeth I- SMB-FL, HML-FL Fama-MacBeth 1 Fama-Fr

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