<4D F736F F D20819D816991E58A7792F18F6F A948E8E6D985F95B68CB48D655F FB98B E58DE CC90858AC28BAB82CC95CF914A82C690B695A890B68E5993AE91D482C98AD682B782E98AEE CA48B86816A2E646F6378>

Size: px
Start display at page:

Download "<4D F736F F D20819D816991E58A7792F18F6F A948E8E6D985F95B68CB48D655F FB98B E58DE CC90858AC28BAB82CC95CF914A82C690B695A890B68E5993AE91D482C98AD682B782E98AEE CA48B86816A2E646F6378>"

Transcription

1 大阪湾の水環境の変遷と生物生産動態に 関する基礎的研究 2016 年 3 月 中嶋昌紀

2 目次 第 1 章序論 研究の背景 大阪湾の生物生産性と水質汚濁の問題 富栄養化 貧栄養化とは これまでの生物生産と水質汚濁に関する研究 研究の目的 論文の構成... 5 参考文献... 7 第 2 章大阪湾の水環境の変遷 目的 材料と方法 水質 赤潮 結果と考察 水温 塩分 発生負荷量と海域の栄養塩濃度 基礎生産 透明度 COD 底層水の溶存酸素 N/P 比 まとめ 参考文献... 32

3 第 3 章大阪湾における形態別窒素 リンの動態 目的 材料と方法 結果 形態別窒素 リンの水平分布 形態別窒素 リンの季節変化 考察 まとめ 参考文献 第 4 章大阪湾における難分解性窒素の動態 目的 材料と方法 難分解性有機物とは 現地調査 生分解試験 結果と考察 生分解前の形態別窒素 生分解による有機窒素の変化 難分解性有機物の分布と環境基準 まとめ 参考文献 第 5 章大阪湾の水環境の変化と漁業資源の関係 目的 材料と方法 海域の栄養度の指標 漁業資源の指標 結果... 83

4 5.3.1 基礎生産と漁業生産に関する既往知見 本研究の結果 考察 まとめ 参考文献 第 6 章総括 参考文献 謝辞... 97

5 第 1 章序論 第 1 章 序論 1.1 研究の背景 大阪湾の生物生産性と水質汚濁の問題大阪湾は瀬戸内海の東端に位置する半閉鎖的な内湾であり, 明石海峡で播磨灘と, 紀淡海峡で紀伊水道とつながっていて, その面積は 1,447km 2, 平均水深は 30m とされる 1). 門谷 2) によれば, 大阪湾内に注ぐ一級水系の淀川水系と大和川水系のうち, 淀川水系は大阪府, 兵庫県, 京都府, 滋賀県, 奈良県, 三重県にまたがる 8,240km 2 もの広大な流域面積を持っている. この流域面積は瀬戸内海に注ぐ一級水系 ( 総流域面積 32,931km 2 ) の中で最も大きく 2), 大阪湾は陸域からの淡水や窒素, リンなどの流入が大きい水域である. 中辻 3) によれば,1960 年代 ~ 1970 年代には阪神間の都市化と工業化が急激に進み, 化学的酸素要求量 ( COD), 窒素, リンの流入負荷は著しく増大した. 大阪府域から流入する COD は,1950 年には約 80t/ 日であったものが 1970 年には最大の約 370t / 日になり, 同じく窒素は約 30t / 日であったものが 1990 年には最大の約 180t/ 日になり, 同じくリンは約 3t / 日であったものが 1975 年には最大の約 17t / 日となった 3). 大阪湾を含む瀬戸内海は古来より漁業の盛んな海域で, チェサピーク湾, バルト海, 北海, 地中海といった世界の代表的な閉鎖性海域と比較して圧倒的に高い単位面積あたりの漁獲量を誇っている 4). 地中海の漁獲量は 0.75t /km 2 / 年, バルト海は 2.2t/km 2 / 年, 北海は 5.7t/km 2 / 年, チェサピーク湾は 6.5t/km 2 / 年であるのに対し, 瀬戸内海は 21t /km 2 / 年である. この理由として武岡 4) は, 灘部と海峡部が連続する瀬戸内海は, 海峡部の存在により灘部の海水交換が小さくなること, また海峡部における混合により, 底層において有機物の分解によって再生された栄養塩が表層に鉛直輸送されることで海域内の栄養塩が何度も生物生産に用いられているためとしている. 瀬戸内海の中でも湾 灘別に見ると,1952 年から 1992 年にかけて平均した単位面積あたりの漁獲量は大阪湾が約 40t /km 2 / 年と最も高く 5), 大阪湾は世界の閉鎖性海域の中でも最高位の生物生産性をもつ海域となっている. 一方, 大阪湾の集水域には人口や産業が密集する地域が多く含まれるため, 前述のように高度経済成長期には, 産業廃水 家庭排水由来の汚濁負荷が著しく増加し, 富栄養化の進行により 1970 年代半ばには赤潮の頻発や底層水の強い貧酸素化を招いた 6) 年には大阪湾を含む瀬戸内海で年間 299 件の赤潮発生が確認され 7), そのうち大阪府水産試験場が確認した大阪湾の赤潮は 35 件と瀬戸内海の赤潮発生件数の 12% を占めていた 8). 貧酸素化は 1970 年代に顕著に発生 1

6 第 1 章序論 14 漁獲量 ( 万 t/ 年 ) マイワシ以外の魚類マイワシ総漁獲量 図 1-1 大阪湾における漁獲量の推移 ( 農林水産統計 ) し,1974 年 ~1977 年,1979 年の 8 月には湾東部海域の広範囲に酸素飽和度 30% 以下の貧酸素水塊が分布し, 湾奥部には同 10% 以下の無酸素水塊も見られた 9). 有山ら 10),11) は 1993 年 11 月から 1996 年 2 月にかけて大阪湾奥において大型底生動物の動態について調べ, 底層水が強く貧酸素化する夏季には, 貧酸素耐性に優れるか, 移動能力の大きいヨシエビやマコガレイの一部が貧酸素水塊から逃避するものの, それ以外の甲殻類と魚類は死滅することを明らかにした.1970 年代に底層水が強く貧酸素化した海域においても, 大型底生動物に同様の被害が発生していたものと推察される. このため, 水環境悪化への対策として,1978 年に瀬戸内海環境保全特別措置法 ( 瀬戸内法 ) が制定され, これによる水質総量削減が行われた.1984 年を目標年度とした第 1 次総量規制では COD の総量規制とリンの削減指導などが盛り込まれた. その後,5 年毎に規制内容が見直され,1996 年には窒素の削減指導が開始され, さらに第 5 次総量規制 ( 目標年度 2004 年 ) からは水質汚濁防止法により窒素 リンともに総量規制が導入された. また, 下水道についても整備が進められ,1978 年には大阪府域の処理人口普及率は 50.6% であったが,1984 年には 55.4%,1996 年には 74.4%,2004 年には 89.1% になり,2014 年には 95.3% にまで普及した 12). このような法的規制や下水道の普及により汚濁負荷量は大きく削減され, 大阪湾の水質は 1970 年代の危機的状況を脱した. ところが, 瀬戸内海ではリンの負荷量の減少に遅れて 1980 年代末から漁獲量の低下が見られ, 海域の生物生産力の低下という新たな問題が指摘されている 13). 大阪湾の漁獲量も 1980 年代に全国的に漁獲が急増したマイワシを除く 2

7 第 1 章序論 と,1980 年代以前は魚類の漁獲量が約 3 万 t/ 年 ~6 万 t/ 年で推移していたのに対し,1990 年代以降は約 2 万 t/ 年 ~4 万 t/ 年と低迷が続いている ( 図 1.1). そこで第 6 次総量規制 ( 目標年度 2009 年 ) では, 瀬戸内海を 瀬戸内海 ( 大阪湾を除く ) と 大阪湾 に分け, 大阪湾においてはさらに海域の水質改善を図ること, 大阪湾を除く瀬戸内海においては COD に関して海域水質の悪化を防ぐこと, 窒素およびリンに関して海域水質の維持を図ることを目途とすると方針転換された 14). 現在は第 7 次総量規制が実施され, 第 6 次総量規制に引き続き, 大阪湾については今後も水環境改善のための着実な取り組みが必要であるが, 大阪湾を除く瀬戸内海については現在の水質が悪化しないような対策を講じることが必要とされている 15). 瀬戸内法では, 瀬戸内海の環境の保全に関する基本となるべき計画 瀬戸内海環境保全基本計画 を策定することとされているが,2015 年 2 月 27 日に同計画の改定が閣議決定された. 大きな変更点としては, 改定前の計画では 水質の保全 と 自然景観の保全 が 2 本柱であったものが, 変更後は 水質の保全及び管理 自然景観及び文化的景観の保全 沿岸域の環境の保全, 再生及び創出 水産資源の持続的な利用の確保 という 4 本柱が掲げられた. 水質については 保全 だけではなく, 水産資源を持続的に利用していくために 管理 を行い, 豊かな瀬戸内海 を目指すとなっている 16). このような動きを受け, 中央環境審議会では次期の第 8 次水質総量削減に向けて, 大阪湾においては東京湾や伊勢湾と同様に大規模な貧酸素水塊も発生していることから水質環境改善を進める必要があるとする一方, 大阪湾を除く瀬戸内海の水質はそれらの水域と比較して良好な状態であり, きれいで豊かな海の観点から総合的な水環境改善対策を進めていく必要があると答申している 17) 富栄養化 貧栄養化とは沿岸海域における富栄養化 (Eutrophication) とは, 水質や底質に含まれる窒素やリンといった栄養物質の濃度が上昇するプロセスを指す. 富栄養化が進行すると赤潮の発生や底層水の貧酸素化などの環境問題を引き起こすことが知られている. それに対して, 海域の栄養度 (Trophic State) を表す用語としては, 例えば Nixon 18) によれば Oligotrophic( 貧栄養 ),Mesotrophic( 中栄養 ),Eutrophic ( 富栄養 ),Hypertrophic( 過栄養 ) と定義され, 海域における有機物負荷 ( 植物プランクトンによる内部生産と陸域からの流入を合わせたもの ) が, それぞれ 100gC/m 2 / 年以下, gC/m 2 / 年, gC/m 2 / 年,500gC/m 2 / 年以上と分 3

8 第 1 章序論 類されている. このような定義については, 例えば透明度や栄養塩濃度, 溶存酸素濃度などの水質指標を用いて分類するものや, プランクトンやベントス, 海藻類などの指標生物を用いて分類するものなど, 階級の名称も含めて多数提唱されている 19) ので, 富栄養, 過栄養といった状態の絶対的な定義は困難である. 本論文では, 大阪湾において 1970 年代に海域の栄養塩濃度が上昇し, 赤潮が広域で頻発した状態を 富栄養状態 富栄養化した と表現する. なお, 栄養塩濃度が低下するプロセスは貧栄養化 (Oligotrophication) 13),20) と呼ばれるが, 大阪湾の湾奥部海域においては依然として富栄養状態であるため, 貧栄養化を 栄養塩減少 栄養塩低下 と表現する これまでの生物生産と水質汚濁に関する研究瀬戸内海全体や大阪湾における生物生産と水質汚濁については, これまで数多くの調査研究が行われている. 柳ら 21) は播磨灘 大阪湾の塩分収支による海水交換率から同海域の窒素 リンの収支を求め, 年間の平均的な陸域からの流入量, 海底への堆積量, 外洋への流出量を見積もった. かつては, 陸域からの負荷が大きい大阪湾はもとより, 瀬戸内海における窒素 リンの主たる供給源は陸域からの流入であろうと考えられ, 海域の水質管理のために, 瀬戸内海一律に総量規制制度が導入された. しかし, 近年の研究により, 瀬戸内海に存在する窒素 リンは外洋起源のものが大半を占めることが分かってきた 22),23),24). 例えば速水ら 24 ) によれば, 瀬戸内海の全窒素 (TN) のうち外洋起源のものが 1981 年から 2000 年の平均で 64%, 全リン (TP) では 62% を占めるとされた. このことから, 仮に陸域から負荷される TN,TP がゼロになっても, 瀬戸内海に存在する TN,TP はこのときの約 60% 程度にしか減少しないと指摘している. ただし, 瀬戸内海の中でも大阪湾については外洋由来の TN, TP はそれぞれ約 25% で最も低いとされており, 大阪湾の水質変動には陸域からの負荷が支配的に作用していると考えられる. 瀬戸内海における窒素やリンの動態については多数の報告があるが ( 例えば藤原ら 25), 小林ら 26), 小林ら 27) ), その中で大阪湾は瀬戸内海の一部として扱われている. 大阪湾内における詳細な窒素, リンの分布, 季節変動, 長期変動, 循環については城 6) が網羅的に記述し, ほかに門谷ら 28) などの報告がある. これらの報告には内部生産による有機炭素や有機態の窒素, リンについての記載はあるが, 生産された有機物が再び無機態の窒素, リンへと回帰する特性, すなわち生分解性という観点からは調べられていない. 4

9 第 1 章序論 また, 海域の栄養塩濃度の変遷が魚介類などの高次生物生産に与えた長期的な影響については, 城 29) が富栄養化進行期にリンの排出負荷量と底生魚介類の漁獲量の関係について調べているが, その後の栄養塩減少期については明らかにされていない. 1.2 研究の目的本研究の目的は, 大阪湾が富栄養化した 1970 年代から栄養塩減少が進行している現在の大阪湾に至るまでの間の水環境について, 水温, 塩分, 透明度, 溶存酸素, クロロフィルa, 植物プランクトン, 溶存態無機窒素 リンなどのデータと新たな海洋調査結果から, 約 40 年間にわたる大阪湾の水環境の変遷と現在の水環境の課題を明らかにすることである. これまで瀬戸内海の TN,TP の動態について調べた研究は数多くあるものの, 形態別窒素 ( 粒状態有機窒素, 溶存態有機窒素, 溶存態無機窒素 ) リン( 粒状態リン, 溶存態有機リン, 溶存態無機リン ) の動態に関する調査研究は少ないため, 形態別の窒素 リンについても詳細な調査を行い, 季節変動や湾内の海域による違いについて解析する. その中でも有機態の窒素については, これまで全く調べられていない生分解性について検討することにより, 大阪湾の海水中に存在する, 生物が利用可能な窒素について,TN に占める割合と海域別の分布特性を明らかにする. さらに, 大阪湾の長期的な富栄養化, 栄養塩減少の過程において, 海域環境の変化が生態系の高次に位置する漁業生物へ及ぼした影響について解析する. 1.3 論文の構成本論文の構成は以下のようになっている. 第 2 章では, 主に地方独立行政法人大阪府立環境農林水産総合研究所 ( 以下, 大阪環農水研 ) の研究員として筆者らが行ってきた透明度, 水温, 塩分, 溶存酸素, 栄養塩, クロロフィル等の長期モニタリング結果を用いて, 1973 年 1 月から 2012 年 12 月の状況まで大阪湾の水環境の変遷を明らかにした. 第 3 章では, 第 2 章を受け, 無機態窒素 リンの調査だけでは分からない窒素 リンの物質循環についても知見を得るため,2010 年 4 月から 2014 年 3 月までの 4ヵ年にわたる形態別窒素 リンの調査を行い, 大阪湾における窒素 リンの季節的な動態と海域による違いについて明らかにし, 富栄養状態がピークであった 1976 年の調査結果と比較した. 第 4 章では, 第 3 章で検討した形態別窒素 リンのうち有機窒素が微生物分解 5

10 第 1 章序論 による無機化により物質循環で再利用される比率について検討するため, 大阪湾の海水と淀川 大和川の河川水について生分解性試験を行い, 微生物が分解できる有機窒素と難分解性有機窒素の動態について明らかにすることで, 大阪湾において基礎生産者が利用可能な窒素の現況を把握し, これを環境基準との関連で考察した. 第 5 章では, 大阪湾における定期的な水質調査が行われていなかった 1950 年代まで遡り, 陸域から負荷される栄養物質と海域における生物生産の関係について検討した. 最後に, 第 6 章では, それまでの章で明らかになったことをまとめ, 大阪湾の栄養塩環境の改善について述べた. 6

11 第 1 章序論 参考文献 1) 環境省 : 瀬戸内海の概況. 瀬戸内ネット ( HP ), joho/sizenkankyo/gaikyo.htm, 参照. 2) 門谷茂 (1996): 瀬戸内海の自然環境と社会的環境の移り変わり,( 岡市友 利, 小森星児, 中西弘編 ) 瀬戸内海の生物資源と環境, 恒星社厚生閣, 東京,pp ) 中辻啓二 ( 2002): 沿岸環境の将来予測, 大阪湾の海域環境と生物生産, 東京, ( 社 ) 日本水産資源保護協会, pp ) 武岡秀隆 (1996): 瀬戸内海と世界の閉鎖性水域の比較,( 岡市友利, 小森星 児, 中西弘編 ) 瀬戸内海の生物資源と環境, 恒星社厚生閣, 東京, pp ) 永井達樹 (1996): 持続可能な開発に向けて,( 岡市友利, 小森星児, 中西弘 編 ) 瀬戸内海の生物資源と環境, 恒星社厚生閣, 東京,pp ) 城久 (1986): 大阪湾における富栄養化の構造と富栄養化が漁業生産にお よぼす影響について, 大阪府水産試験場研究報告,7, 174pp. 7) 水産庁瀬戸内海漁業調整事務所 (2012): 平成 23 年瀬戸内海の赤潮,67pp. 8) 大阪府水産試験場 (1978): 大阪湾赤潮発生状況調査, 昭和 51 年度大阪府水 産試験場事業報告,pp ) 城久 (1989): 大阪湾の貧酸素水塊, 沿岸海洋研究ノート,26, pp ) 有山啓之, 矢持進, 佐野雅基 (1997): 大阪湾奥部における大型底生動物 の動態について,I. 甲殻類と魚類の種類数 個体数 湿重量の季節変化, 沿岸海洋研究, 35, pp

12 第 1 章序論 11) 有山啓之, 矢持進, 佐野雅基 (1997): 大阪湾奥部における大型底生動物の 動態について,II. 主要種の個体数 分布 体長組成の季節変化, 沿岸海 洋研究, 35, pp ) 大阪府都市整備部下水道室 ( 2015): 平成 25 年度末大阪府下水道統計,314pp. 13) Yamamoto, T.( 2003):The Seto Inland Sea eutrophic or oligotrophic?, Marine Pollution Bulletin, 47.1, pp ) 環境省 (2006): 化学的酸素要求量, 窒素含有量及びりん含有量についての 総量削減基本方針 ( 瀬戸内海 ). 8pp. 15) 環境省 (2011): 総量削減基本方針 ( 東京湾, 伊勢湾, 瀬戸内海 ), 14pp. 16) 環境省 : 瀬戸内海環境保全基本計画 の変更の閣議決定について (HP), l 参照. 17) 中央環境審議会 (2015): 第 8 次水質総量削減の在り方について ( 答申 ), 123pp. 18) Nixon, S. W. (1995): Coastal marine eutrophication: a definition, social causes, and future concerns, Ophelia, 41, pp ) 伊藤信夫 (1998): 環境指標生物, 沿岸環境評価, 環境指標と基準, 沿岸の 環境圏, pp ) Stockner, J. G., Rydin, E., Hyenstrand, P. (2000) : Cultural oligotrophication, causes and consequences for fisheries resources. Fisheries, 25, pp ) 柳哲雄, 柴木秀之, 武岡英隆 (1985): 播磨灘 大阪湾の塩分, 窒素, リ ン収支, 沿岸海洋研究ノート,22, pp

13 第 1 章序論 22) 柳哲雄 (1997): 瀬戸内海の淡水 窒素 リン収支, 海の研究, 6, pp ) 武岡英隆, 菊池隆展, 速水祐一 (2002): 瀬戸内海における外洋起源の栄養物 質, 海洋, 34, pp ) 速水祐一, 碓井澄子, 武岡英隆 (2004): 瀬戸内海における窒素 リンの存 在量とその長期変動, 海と空, 80, pp ) 藤原建紀, 小林志保, 國井麻妃, 宇野奈津子 (2006): 瀬戸内海に存在する リン 窒素量の経年変動, 沿岸海洋研究,43, pp ) 小林志保, 藤原建紀, 原島省 (2007): 瀬戸内海における溶存態無機窒素 の季節 経年変動とその要因, 沿岸海洋研究,44, pp ) 小林志保, 藤原建紀, 阿保勝之, 堀豊, 藤沢節茂 (2009): 播磨灘におけ る全窒素濃度の季節変動と窒素の形態変化, 沿岸海洋研究, 47, pp ) 門谷茂, 三島康史, 岡市友利 (1991): 大阪湾の富栄養化の現状と生物によ る N と P の循環, 沿岸海洋研究ノート, 29, pp ) 城久 (1991): 大阪湾の開発と海域環境の変遷, 沿岸海洋研究ノート, 29, pp

14 第 2 章大阪湾の水環境の変遷 第 2 章 大阪湾の水環境の変遷 2.1 目的第 1 章で述べたように, 大阪湾を含む瀬戸内海は, 戦後の高度成長期に産業廃水 家庭排水由来の汚濁負荷が著しく増加したため, 富栄養化が進行して赤潮の頻発や底層水の貧酸素化を招いた.1978 年に制定された瀬戸内海環境保全特別措置法 ( 瀬戸内法 ) による水質総量削減が開始され,1984 年を目標年度とした第 1 次総量規制では COD の総量規制とリンの削減指導などが盛り込まれた. その後, 1996 年には窒素の削減指導が開始され, さらに第 5 次総量規制 ( 目標年度 2004 年 ) からは水質汚濁防止法により窒素 リンともに総量規制が導入された. この間に瀬戸内海の水環境は大きく変化し, 大阪湾を除く瀬戸内海においては, 全窒素 (TN) および全リン (TP) の環境基準がほぼ達成され,COD の濃度レベルも東京湾 伊勢湾など他の指定水域に比較して低い状態となった 1). 第 6 次総量規制では, 瀬戸内海を 瀬戸内海 ( 大阪湾を除く ) と 大阪湾 に分け, 大阪湾については今後も水環境改善のための取り組みを進めるが, 大阪湾を除く瀬戸内海については現在の水質が悪化しないような対策を講じることが必要とされ, 現在の第 7 次総量規制でもその考え方は踏襲されている 2). しかしながら, 大阪湾は大阪市などの大都市に接する湾奥部から, 紀伊水道に接する湾口部まで, 湾内の水域環境には大きな勾配がある. 本章では, 主に筆者らが観測を行ってきた透明度, 水温, 塩分, 溶存酸素, 栄養塩, クロロフィル等の長期モニタリング結果を用いて,1973 年 1 月から 2012 年 12 月までの大阪湾の水環境の変遷について明らかにする. 2.2 材料と方法 水質水質データには浅海定線調査および漁場水質監視調査のデータを用いた. 浅海定線調査は 1972 年 4 月から行われているが, ここでは 1973 年 1 月からのデータを使用し, 調査定点は図 2-1 に示す 印と 印で示す 20 定点である. 調査定点の緯度経度は表 2-1 に示した. 調査項目については, 水温 塩分 透明度等の項目は毎月, 栄養塩 (DIN: 溶存態無機窒素,DIP: 溶存態無機リン ) 溶存酸素 ( DO) 等の項目は 2,5,8,11 月の年 4 回行われている. また, 漁場水質監視調査は 1979 年 1 月からのデータを使用し, 調査定点は 14 定点あるが 3), ここでは 印で示す浅海定線調査と共通の 12 定点を用いた. 調査項目は水温 塩分, 底層 DO 等を毎月測定している. 浅海定線調査は毎月上旬に, 漁場水質監視調査は毎 10

15 第 2 章大阪湾の水環境の変遷 図 2-1 調査点位置と類型指定海域 (TN,TP) St.1-20 は浅海定線調査の定点であり, そのうち で示す定点は水質監視調査と共通の定点を示す 月半ばに行われている. 採水, 測定, 分析方法については表 2-2 に示した. 図 2-1 には大阪湾における TN,TP に係る類型指定海域をあわせて示した. 水質環境基準は類型ごとに設定され,Ⅳ 類型は年間平均値で TN が 1mg/L( 71μM) 以下,TP が 0.09mg/L( 2.9μM) 以下に保つことが目標とされ,Ⅲ 類型はそれぞれ 0.6mg/L( 43μM),0.05mg/L( 1.6μM) が,Ⅱ 類型はそれぞれ 0.3mg/L( 21 μ M),0.03mg/L( 0.97μM) が目標値とされている. ここでは水質データを TN, TP に係る類型指定海域別に平均して, 各水域の代表値とした. なお,Ⅳ 類型海域には Sts.13,17,18 を,Ⅲ 類型海域には Sts.14-16,19 を,Ⅱ 類型海域には Sts.1-12,20 を当てはめた. また, 図 2-2 に大阪湾の海底地形を表す等深線と調査定点の位置を示した. 大阪湾は水深が 20m より浅く海底がなだらかな東部海域と, 20m より深く海底が複雑な西部海域に分けられ, 類型海域の平均水深はⅣ 類型, Ⅲ 類型,Ⅱ 類型の順に大きくなっている. 11

16 第 2 章大阪湾の水環境の変遷 表 2-1 浅海定線調査の定点位置と水深 緯度経度は世界測地系 (WGS84) による St.No. 緯度 経度 水深 (m) ' ' ' ' ' ' ' ' ' ' ' ' ' ' ' ' ' ' ' ' ' ' ' ' ' ' ' ' ' ' ' ' ' ' ' ' ' ' ' ' 21 大阪湾 水深 (m) 図 2-2 大阪湾の等深線と調査点位置 図中の数字は水深 (m) を, は調査点 の位置を示す 12

17 第 2 章大阪湾の水環境の変遷 表 2-2 浅海定線調査および水質監視調査の採水, 測定, 分析方法 項目採水 測定 分析方法期間備考 採水 表層北原式採水器 1972 年 4 月 ~1991 年 3 月採水深 :0m 表層採水バケツ 1991 年 4 月 ~2012 年 12 月採水深 :0m 底層北原式採水器 1991 年 4 月 ~2012 年 12 月 底層ナンセン転倒採水器 1991 年 4 月 ~2012 年 12 月 採水深 : 海底上 1m (St.1,9-20) 採水深 : 海底上 2m (St.8),5m(St.2-7) 透明度 セッキー板 1972 年 4 月 ~2012 年 12 月 水温表層棒状水銀温度計 1972 年 4 月 ~2012 年 12 月 塩分 表層 サリノメーター ( 鶴見精機社 ) 1972 年 4 月 ~2012 年 12 月 植物プランクトン 表層海水に 25% グルタールアルデヒド溶液を 10% 添加, 生海水と固定後の海水について検鏡 1972 年 4 月 ~2012 年 12 月 溶存酸素 (DO) 底層 ウインクラーアジ化ナトリウム変法 1972 年 5 月 ~2010 年 11 月 底層 DO センサー付き CTD (JFE アドバンテック社 ) 2011 年 2 月 ~2012 年 11 月 栄養塩 (DIN,DIP) クロロフィル a 400 で 2 時間処理した GF/C フィルターで試水をろ過後, 海洋観測指針,JIS 法等に準拠して分光光度計 ( 日立製作所社 ) またはオートアナライザー ( テクニコン社 ) を用いて比色法により測定 400 で 2 時間処理した GF/C フィルターで試水をろ過後, 海洋観測指針,JIS 法等に準拠してオートアナライザー ( ブラン ルーベ社, ビーエルテック社 ) を用いて比色法により測定 400 で 2 時間処理した GF/C フィルターで試水をろ過後, フィルターを 90% アセトン溶液で 1 日抽出し, 海洋観測指針に準拠して蛍光光度計 ( ターナーデザイン社または日立製作所社 ) により測定 1972 年 5 月 ~1991 年 2 月 1991 年 5 月 ~2012 年 11 月 1977 年 5 月 ~2012 年 11 月 13

18 第 2 章大阪湾の水環境の変遷 環境基準の生活環境項目には水中に含まれる有機物の指標として COD が設定されている. 浅海定線調査においても COD を測定しているが, 環境基準の測定法は酸性過マンガン酸カリウム法であるのに対し, 浅海定線調査の測定方法はアルカリ性過マンガン酸カリウム法である. そこで COD についてのみ, 図 2-3 に示す地点で大阪府と兵庫県が 1972 年度から毎月行っている公共用水域水質測定結果を用いた. WGS84 明石 神戸 西宮 C 類型大阪 岩屋 B 類型 堺 A 類型 貝塚 泉大津 泉佐野 N 泉南 洲本 岬 図 2-3 公共用水域水質測定の調査点位置と類型指定海域 (COD) は大阪府による調査点を, は兵庫県による調査点を 示す 赤潮瀬戸内海における赤潮発生件数 ( 実件数注 1) は, 瀬戸内海に面した各府県が確 4) 認した赤潮を水産庁瀬戸内海漁業調整事務所がとりまとめたものを用いた. 大阪湾におけるそれは, 大阪環農水研 3) が確認した赤潮発生件数を用いた. 注 1 実件数は複数の月にまたがって発生した赤潮を 1 件として計上した値である. 14

19 第 2 章大阪湾の水環境の変遷 2.3 結果と考察 水温図 2-4 に大阪湾における類型指定海域ごとの年平均表層水温 ( 年間 12 回測定 ) の推移を示した.3 つの海域とも 1973 年から 2012 年の 40 年間で水温は上昇していた.Ⅳ 類型海域の回帰直線の傾きは / 年 (p<0.01) であり,Ⅲ 類型海域とⅡ 類型海域についてはそれぞれ / 年 (p<0.05), / 年 ( p<0.05) であった. また, 回帰直線から得られた 40 年間における水温上昇の大きさはⅣ 類型海域で 1.3,Ⅲ 類型海域で 1.0,Ⅱ 類型海域で 0.9 であった. 水温 ( ) Ⅱ 類型 Ⅲ 類型 Ⅳ 類型 Ⅳ 類型 : y = * (x-1969) Ⅲ 類型 : y = * (x-1969) Ⅱ 類型 : y = * (x-1969) 年図 2-4 大阪湾における年平均表層水温の推移 瀬戸内海のような比較的浅い海の熱収支は, 紀伊水道外域や豊後水道外域のような隣接する海域との海水の移流 拡散による水平過程よりも, 海面を通じた熱の出入りの方が大きい ( 例えば村上ら 6) ). 図 2-5 に大阪市の年平均気温の推移を示した. 回帰直線から得られた大阪市の 1973 年から 2012 年にかけての気温上昇は 1.2 であった. 三上ら 7) が求めた東京都 ( 大手町 ) における 1901 年から 2000 年にかけての 100 年間の気温上昇は 3.0 であり, これは 40 年間で 1.2 の上昇に相当し, ここで求めた大阪市における気温上昇と一致した. 都市のヒートアイランド化の主な要因は人工排熱の増加と, 地表面の人工化, 緑地 水面の減少とされているが 7), 大阪都心も東京都心と同程度に都市化しているものと推察された. これらのことから, 大阪湾における表層水温上昇がⅣ 類型海域で最も大きか 15

20 第 2 章大阪湾の水環境の変遷 ったことは,Ⅳ 類型海域が大阪市を始めとする大都市に隣接していること, また, 3 つの海域の中で最も浅く熱容量の小さいことが海面を通じた大気の影響を受けやすいためと考えられた. このような海水温の上昇が海洋生物の生息に大きな影響を与えることは容易に推察できる. 桑原ら 8) は 2001 年 4 月に発表された IPCC の報告において今後 100 年間で海面水温が約 3 上昇するとされたことから, 日本周辺の水温分布の変化に様々な魚介類の生息水温を当てはめ, 魚介類の生息場所の変化を検討した. それによると沿岸域における温帯性と亜熱帯性の海洋生物の分布境界は, 九州南方から 50 年間で中四国沿岸へ,100 年間で関東や北陸沿岸へ北上すると考えられた. 鍋島 9) は 1994 年から 1999 年の異常気象と大阪湾における熱帯 暖温帯生物の出現と漁業への影響を検討し, 高水温時には通常見られない南方の生物が多数出現し, 冷水性の漁業生物の不振が見られたことを報告した. 今後も大阪湾の水温が上昇を続けた場合には, 生息する生物相が著しく変わる可能性があると考えられた. 19 y = * (x-1969) 気温 ( ) 年 図 2-5 大阪市における年平均気温の推移 ( 気象庁 5) ) 塩分図 2-6 に大阪湾における類型指定海域ごとの年平均表層塩分 ( 年間 12 回測定 ) と大阪市における年降水量 5) の推移を示した. 表層塩分は湾奥部 Ⅳ 類型海域が最も低く,Ⅲ 類型海域,Ⅱ 類型海域の順に高くなっていた.Ⅳ 類型海域の平均塩分は 23.12~30.09PSU の範囲,Ⅲ 類型海域の平均塩分は 26.88~31.50PSU の範囲, 16

21 第 2 章大阪湾の水環境の変遷 Ⅱ 類型海域の平均塩分は 30.26~32.43PSU の範囲でそれぞれ変動した.3 海域とも 1973 年から 2012 年の 40 年間の回帰直線の傾きは有意ではなかった. また, 大阪市の年降水量は 744.0~1740.0mm の範囲で変動したが, 塩分と同様に回帰直線の傾きは有意ではなかった. 塩分 ( PSU ) 降水量 Ⅱ 類型 Ⅲ 類型 Ⅳ 類型 4,000 3,500 3,000 2,500 2,000 1,500 1, 年 降水量 (mm) 図 2-6 大阪湾における表層塩分と大阪市の降水量の推移 図 2-7 に大阪湾の全域で平均した表層塩分と大阪市の年降水量 5) の相関を示した. 年降水量の変化に対する表層塩分の回帰直線の傾き PSU/ mm は有意であったので (p<0.05), 年降水量が多いほど年平均表層塩分が低くなると言えるが, 決定係数 R 2 は 0.13 と小さく, 両者の相関は弱かった. 柳ら 10) によれば大阪湾に流入した淡水の平均滞留時間は約 1.5 ヶ月とされている. 台風などでまとまった降水があった場合においても淡水は比較的速やかに湾外へと出て行くと考えられることや, 小雨年においても調査の直前に降水があった場合は塩分低下につながると考えられることから, 年降水量と年平均塩分の相関は弱くなると推察された. 17

22 第 2 章大阪湾の水環境の変遷 塩分 ( PSU ) y = x R² = 降水量 (mm ) 図 2-7 大阪湾全域の年平均表層塩分と大阪市の年降水量 5) の相関 発生負荷量と海域の栄養塩濃度 図 2-8 に,5 年ごとに集計された大阪湾に対する窒素の発生負荷量 11),12),13) と, 大阪湾表層水中における DIN 濃度の年平均値 ( 年間 4 回測定 ) の推移を示した. 発生負荷量 Ⅱ 類型 Ⅲ 類型 Ⅳ 類型 DIN 濃度 (μm) 発生負荷量 (t/ 日 ) 年図 2-8 大阪湾における窒素発生負荷量と大阪湾の DIN 濃度の推移 18

23 第 2 章大阪湾の水環境の変遷 なお,1994 年度の発生負荷量は不明であり,2014 年度のそれは目標値である. 窒素の発生負荷量は,1979 年から 1989 年まで緩やかに増加したが,1999 年から減少に転じ,2009 年には 1999 年の約 5 割に減少した. この変化には 1996 年の窒素削減指導,2002 年の総量規制の開始が大きく寄与したと考えられる. 海域における DIN 濃度は湾奥部の沿岸域であるⅣ 類型海域で高く,1980 年代初めには 60μM を超える年もあったが,1990 年代後半には減少に転じ, 特に 2000 年代に入るとさらに一段と低下した. 湾奥部の沖合域であるⅢ 類型海域では 1973 年 ~2002 年頃までは約 20μM 前後で横ばいを続けていたが,Ⅳ 類型海域と同様に 2000 年代に入って大きく低下した. 大阪湾の中では最も水質の良いⅡ 類型海域では,1973 年 ~2001 年頃までは横ばいないし緩やかな低下を続けていたが, 他の類型海域と同様に 2000 年代に入ってさらに低下した. 直近の 2012 年は年間平均値で 2μ M を下回っており, この濃度は播磨灘において養殖ノリが栄養不足のために色落ちと呼ばれる生育不良を発生し始める濃度 3μ M 11) や, 同じく大阪湾の泉州海域における同濃度 10μM 12) を下回っている. 図 2-9 に大阪湾に対するリンの発生負荷量 13),14),15) と, 大阪湾表層水中における DIP 濃度の年平均値 ( 年間 4 回測定 ) の推移を示した. 窒素と同様に,1994 年度の発生負荷量は不明であり,2014 年度のそれは目標値である. リンの発生負荷量は,1980 年に施行された琵琶湖富栄養化防止条例によりリンを含む家庭用合 2.5 発生負荷量 Ⅱ 類型 Ⅲ 類型 Ⅳ 類型 25 DIP 濃度 (μm) 発生負荷量 (t/ 日 ) 年 図 2-9 大阪湾におけるリン発生負荷量と大阪湾の DIP 濃度の推移 19

24 第 2 章大阪湾の水環境の変遷 成洗剤の滋賀県における使用が禁じられるなどの動きや, 瀬戸内法による削減指導等によって減少したと考えられ, 窒素に先行して 1980 年代に大きく減少した. その後, 発生負荷量は 1999 年まで緩やかに減少したのち,2000 年代になってさらにもう一段減少し,2009 年は 1979 年の約 3 割になった. 海域における DIP 濃度は DIN と同様にⅣ 類型海域で高く,1978 年には 2μM を超えていたが 1980 年代には大きく低下し, 変動は大きいもののおおむね発生負荷量の減少とともに低下した.Ⅲ 類型海域では,1970 年代から 1990 年代半ばには,Ⅱ 類型海域よりかなり濃度が高い年が見られたが,1990 年代後半以降はほぼⅡ 類型海域と同程度の DIP 濃度になった. 近年ではⅣ 類型海域の DIP 濃度がⅢ 類型海域やⅡ 類型海域の値と近い年も見られ, 湾奥部の高濃度域が小さくなって湾内の濃度差が無くなる傾向にある. 図 2-10( a)~(h) に,1973 年から 5 年ごとに平均した大阪湾表層水中における DIN 濃度の水平分布を示した 年は湾奥部の最高濃度は 40.21μ M であったが, 年には 78.65μM と急激に上昇してピークに達した. また,20μM の等値線も沖に張り出し, 湾奥部の DIN 高濃度域は大幅に拡大した 年は最高濃度が 53.57μM とやや低下し, 同時に 10μM の等値線も湾中央部から湾奥部寄りへと若干移動した 年の濃度分布は湾奥部の最高濃度が 58.73μM にやや上昇し, 大阪府側の南部沿岸域の濃度も 年と比べて若干上昇した 年は最高濃度が 47.64μM に低下し, 年には 43.45μM に低下した. また,10μM 以上の海域は湾奥部へと大きく縮小した 年には湾奥部の最高濃度が 34.89μM になり, 年を下回った. 最も直近の期間である 年には最高濃度は 25.72μM とピーク時の 33% に低下した. 図 2-11( a)~(h) に,1973 年から 5 年ごとに平均した大阪湾表層水中における DIP 濃度の水平分布を示した 年は湾奥部の最高濃度は 1.19μ M であったが,DIN と同様に 年には 2.08μM へと急激に上昇した. また, 年に南部海域で見られた 0.4μM 以下の海域は 年には見られなくなり, 大阪湾全域で DIP 濃度の上昇が見られた 年には一旦, 高濃度域が 0.97μM に低下し, 湾中西部 ~ 南部海域の広い範囲で 0.4μM を下回ったものの, 年には再び 年を上回る濃度に上昇した. その後, 年には最高濃度が 0.99μM に, 年には 1.05 μ M になった. さらに 年, 年と DIP 濃度の低下は進み, 最高濃度は 0.69μM になり,DIN と同様にピーク時の 33% に低下した. 20

25 第2章 a 大阪湾の水環境の変遷 e 年 年 10 b f 年 c 年 g 年 d 年 h 年 年 DIN濃度 図 μm 大 阪 湾 の 表 層 水 に お け る DIN 濃 度 の 水 平 分 布 の 推 移 a h は そ れ ぞ れ 1973 年 か ら 2012 年 ま で の 5 年平均値の水平分布を示す 21

26 第2章 1.0 a 大阪湾の水環境の変遷 e 年 年 2.0 b 1.0 f 年 0.8 c 年 0.8 g 年 1.2 d 年 h 年 年 DIP濃度 図 μm 大 阪 湾 の 表 層 水 に お け る DIP 濃 度 の 水 平 分 布 の 推 移 a h は そ れ ぞ れ 1973 年 か ら 2012 年 ま で の 5 年平均値の水平分布を示す 22

27 第 2 章大阪湾の水環境の変遷 基礎生産図 2-12 に瀬戸内海における赤潮発生件数と, 大阪府における発生件数の推移を示した. 赤潮とは, プランクトンの増殖により海面が着色することを指し, 富栄養化による水質汚濁を表す代表的な現象である. 大阪湾では兵庫県も赤潮の調査を行っているが, 大阪府確認分の方が件数は圧倒的に多く, 大阪湾における赤潮発生の傾向を見るには大阪府分だけでも差し支えないと考え, ここでは大阪府確認分を大阪湾の赤潮発生件数代表値として用いた. これを見ると瀬戸内海にお 瀬戸内海 ( 実件数 ) 瀬戸内海計 大阪府計 大阪府 ( 実件数 ) 年 0 図 2-12 瀬戸内海 ( 大阪湾含む ) と大阪府における赤潮 発生件数の推移 ける赤潮発生件数は 1970 年代に多く,1990 年代半ばからは年間 100 件前後で安定している. 大阪湾でも同様に 1990 年代半ばまで減少傾向にあったが, その後はやや増えて年間 10 件 ~30 件程度で推移した 年代半ば以降, 瀬戸内海や大阪湾における赤潮発生件数は横ばいを続け, 未だ同海域の水質が十分改善されていないようにも見えるが, 日々, 現場調査に出る筆者は赤潮発生件数は大阪湾の基礎生産量の推移を的確に表していないと考える. 吉松 16) は 1970 年 ~2010 年の香川県海域 ( 燧灘, 備讃瀬戸, 播磨灘 ) における赤潮発生状況について, 単純な確認件数ではなく, 赤潮の面積と継続日数による指標を用いて整理した. その際に, パッチ状に赤潮を形成するものの発生海域全体の面積としては大きく捉えられる Noctiluca scintillans と, 近年ノリ養殖 23

28 第 2 章大阪湾の水環境の変遷 に被害を及ぼす Eucampia zodiacus( 低密度でも, 栄養塩を吸収することでノリ養殖と競合して被害を及ぼすため, 海面が着色していなくても有害赤潮としてカウントされることがある ) を除いて計数した. そのような発生規模を考慮した指標を用いた香川県海域の赤潮発生は,1990 年代以降も順調に規模を縮小し続けている 16). 大阪環農水研の調査では海水に着色が見られない場合は赤潮と判断しないが, 発生面積と継続日数を加味した指標を用いれば, 大阪湾の赤潮発生の推移も図 2-12 とイメージが変わる可能性がある. ただし, 赤潮発生に関するデータは, 例えばある赤潮が 1 ヶ月間継続して発生した場合に, その期間の中で確認された最大面積しか記録されておらず, 単純に発生面積 継続日数を指標にすると, なお過大評価する恐れが大きい. また, 吉松 16) も指摘するように, 赤潮を形成した単位水量当たりのプランクトン細胞数や, プランクトンの鉛直分布が反映されていない問題も含まれている. そこで, 図 2-13 に大阪湾表層におけるクロロフィルa 濃度の年平均値 ( 年間 4 回測定 ) の推移を示した. クロロフィルaはプランクトンが持つ光合成色素の一つで, 海水中に含まれるクロロフィルa 濃度は海域における基礎生産量の指標となる ( 例えば Nixon 17) ).Ⅳ 類型海域のクロロフィルa 濃度は他の水域より高く, 1970 年代から 2000 年代半ばまで 40μg/L 以上の突出した値になることが多かったが,2000 年代後半以降は 2002 年の 69.98μg/L を除いて μg/L の範囲で推移し低下傾向にある.Ⅲ 類型海域も 1970 年代後半にはⅣ 類型海域と同 80 Ⅱ 類型 Ⅲ 類型 Ⅳ 類型 クロロフィル a 濃度 (μg/l) 年 図 2-13 大阪湾表層水におけるクロロフィル a 濃度の推移 24

29 第 2 章大阪湾の水環境の変遷 程度に高い年があったが, 年々濃度は低下傾向にある.Ⅱ 類型海域においても 1990 年代半ばまでは高濃度になることがあったが,1990 年代後半以降は μg/L の範囲と低位で安定し, 緩やかに低下が続いている. これらのことから, かつてはⅡ 類型海域にもかかる大阪湾全域にわたる赤潮が発生していたが, 徐々に発生海域がⅣ 類型海域を中心とする湾奥部に縮小し, 大阪湾の多くの面積を占めるⅡ 類型海域では 1990 年代末からほぼ赤潮が発生することは無くなり, 基礎生産量の低下が続いていると考えられた 透明度図 2-14 に透明度の年平均値 ( 年間 12 回測定 ) の推移を示した. 各類型海域とも 1973 年から 1997 年まではおおむね横ばいで推移し,Ⅳ 類型海域は約 m, Ⅲ 類型海域は約 m,Ⅱ 類型海域は約 4.5-6m であった. ところが 1998 年には 3 海域とも大きく上昇した. 星加 18) によれば, 大阪湾を含む瀬戸内海において透明度 y(m) は式 (2-1) のように懸濁物質 (Suspended Substance, 以下 SS) 濃度 x(mg/l) の指数関数で表される. y e x ( R ) (2-1) 城 19) は大阪湾の表層, 水深 2m 層,5m 層,10-30m 層, 底層の SS と粒状態有 Ⅱ 類型 Ⅲ 類型 Ⅳ 類型 7 透明度 (m) 年 図 2-14 大阪湾における透明度の推移 25

30 第 2 章大阪湾の水環境の変遷 機物 (Particulate Organic Carbon, 以下 POC) の関係を検討し, 底層を除いて SS と POC には強い相関が見られたとしている. また, 城 19) は POC 濃度とクロロフィルa 濃度との関係から赤潮発生時には POC のうち 79% が, 年平均では 64% が植物プランクトンにより内部生産されたもので構成されていると報告している. 以上のことから, 大阪湾の透明度は植物プランクトンの増殖に強く影響を受けていると考えられた. 図 2-13 を見るとクロロフィルa 濃度は 1998 年 年に大きく低下した. 大阪湾の透明度は海水中の SS 濃度に影響されるため,1998 年の透明度の上昇は, クロロフィルa 濃度, すなわち植物プランクトン量の減少によるところが大きいと考えられた. その後,Ⅱ 類型海域では 2000 年代後半以降さらに上昇する傾向にある COD 図 2-15 に,5 年ごとに集計された大阪湾に対する COD の発生負荷量 20),21) と, 大阪湾表層水中における類型指定海域ごとの COD 濃度の年平均値 ( 年 12 回測定 ) 22) の推移を示した. ここで,2014 年度の発生負荷量は目標値である. COD の発生負荷量は,1984 年以降, 一貫して減少を続け,1979 年に 346t/ 日であった発生負荷量は 2009 年には 118t/ 日と 34% に減少した. これは 1979 年度を基準年度として 1980 年度に開始された第 1 次 COD 総量規制 ( 目標年度 1984 年度 ) が成果を挙げ, その後も第 7 次 COD 総量規制 ( 目標年度 2014 年度 ) へ継続実施されてきたためと考えられる. 海域における COD 濃度は湾奥部の C 類型海域, それに続く沖合の B 類型海 発生負荷量 A 類型 B 類型 C 類型 COD 濃度 (mg/l) 年 COD 発生負荷量 (t/ 日 ) 図 2-15 大阪湾における COD の推移 26

31 第 2 章大阪湾の水環境の変遷 域, 湾中西部 南部の A 類型海域とも,1972 年の調査開始以降, 概ね横ばいで推移し,3 海域すべてにおいて回帰直線の傾きは有意ではなかった (p>0.05).1972 ~ 2012 年の平均濃度は C 類型海域が 3.7mg/L と最も高く, 次いで B 類型海域が 3.3mg/ L であり,A 類型が 2.5mg/L と最も低かった. 海水中の COD は,ΔCOD 法によれば, 陸域から流入した 1 次 COD に加え, 海域で植物プランクトンにより内部生産された COD, 海底から溶出する COD, 隣接する海域から負荷されるバックグラウンド COD に分けられる ( 例えば内田ら 24) ). 本章で示してきたように, 陸域からの窒素, リンの負荷は経年的に減少し, それに対応して海水の DIN,DIP 濃度も減少した結果, 赤潮発生件数や海水のクロロフィルa 濃度で表される植物プランクトンによる内部生産も減少傾向にあるものと考えられる. 陸域から流入する COD が減少し, 内部生産由来の COD も減少しているとすれば, 溶出による COD が増加するかバックグラウンド COD 濃度が上昇しなければ海水中の COD 濃度が横ばいであることを説明できない. 大阪府環境審議会 25) によれば, 大阪湾のうち大阪府の環境基準点 ( 港湾区域を除く ) における COD の環境基準達成率は 1979~2009 年度まで 40%~ 約 65% で推移し,2002 年以降は 40% で全く変化していない. これは最も COD 濃度の高い C 類型海域は環境基準を達成し, 濃度の低い A 類型海域と B 類型海域では達成できていないことによるもので, なぜ海域の COD 濃度が下がらないのかを解明することが必要であるとともに, 例えば赤潮や貧酸素水塊もほとんど発生しなくなった A 類型の水質に環境上の問題が無いのであれば,A 類型海域の COD 環境基準値の見直しも必要ではないか考えられた 底層水の溶存酸素ここで示す底層水の溶存酸素 (DO) とは海底面上 1m から採水して測定した DO 濃度である. 用いたデータは 7,8,9 月の漁場水質監視調査のものと, 浅海定線調査については, 年は特殊項目測定月の 8 月のみ, 年はさらに 7,9 月も測定したので 7,8,9 月のデータを平均して夏季の類型指定海域別底層 DO 濃度とした ( 図 2-16). ここで,Ⅱ 類型海域については両調査に共通する調査点 ( 図 2-1 の 印 ) で平均した. また, 図にはⅣ 類型海域 (DO に係る類型指定での名称は C 類型であるが, 水域はⅣ 類型と同じ ) の環境保全目標値である 2mg/L と, 水産用水基準 26) において内湾漁場の夏季底層において最低限維持しなくてはならないとされる溶存酸素濃度 3mL/L( 4.3mg/L) を示した.Ⅳ 類型海域では 1979 年から 1994 年まで,2mg/L を下回る年が頻繁に現れていたが,1995 年以降は出現頻度が低下した.Ⅲ 類型海域では 1979 年から 2011 年まで緩やかに 27

32 第 2 章大阪湾の水環境の変遷 上昇した. ただし,2012 年にはⅢ 類型海域,Ⅳ 類型海域とも大きく低下した.Ⅱ 類型海域では 1979 年から 1994 年までは水産用水基準 4.3mg/L を大きく下回る年が頻繁に見られたが,1995 年以降では 2006 年に 3.9mg/L,2010 年に 4.1mg/L と基準を下回ったのみであった. Ⅱ 類型 Ⅲ 類型 Ⅳ 類型 DO 濃度 (mg/l) 年 図 2-16 大阪湾における夏季底層 DO 濃度の推移 図中の横線 2mg/L は Ⅳ 類型水域の DO に関する環境 保全目標値,4.3mg/L は水産用水基準を示す 図 2-17 に年代別に平均した夏季底層 DOの水平分布を示した. 用いたデータは 8 月の浅海定線調査データのみである. これを見ると, 湾奥部では 1970 年代に 1mg/L を下回る著しい貧酸素化が起きていたこと,1980 年代には貧酸素化が急速に改善されたこと,2000 年代以降, 湾奥部はやや悪化が見られることが分かる. これらのことから, かつては湾奥部で 2mg/L を下回る強い貧酸素化が頻繁に発生し, 湾南部のⅡ 類型海域まで貧酸素化することがあった大阪湾東部海域であるが,Ⅳ 類型海域を除いて長期的には改善傾向にあると言える. しかしながら近年の 2012 年には強い貧酸素化が見られた. 大阪湾における貧酸素水塊の発生メカニズムは, 水温上昇期にエスチュアリー循環流の沖合からの流れが湾奥部の中層に侵入することにより, 湾奥部の海底に孤立水塊が形成されることが最も重要な要素である 27),28). 貧酸素化の短期変動は降水量変動に伴うエスチュアリー循 28

33 第 2 章大阪湾の水環境の変遷 環流の変動に影響を受けていることから, 湾奥部海域の貧酸素化の動向について は, 流動場の変化についても注意していく必要があると考えられる 年 年 年 年 3 2 底層 DO ( mg/l ) 年 図 2-17 年代別に平均した夏季底層 DO 濃度の水平分布. 29

34 第 2 章大阪湾の水環境の変遷 N/P 比図 2-18 に表層水の年平均 DIN/DIP 比 ( モル濃度比 ) の推移を示した. 図には平均的な植物プランクトンの窒素 リン組成の比であるレッドフィールド比 ( R.F. 比 )16 をあわせて示した.N/P 比は湾奥のⅣ 類型海域が最も高く, 次いでⅢ 類型海域が高い.1970 年代から 1980 年代半ばまでは,Ⅳ 類型海域とⅢ 類型海域は同程度であったが, それ以降はⅢ 類型海域の数値が低下している.Ⅱ 類型海域はこれらの中で最も低く,1970 年代から 1990 年代末までは約 17~30 の間で変動していたが, それ以降は R.F. 比 16 に近い数字にまで低下し,2008 年以降は 16 を大きく割り込む年が多い. 窒素とリンのバランスが R.F. 比から大きく外れると植物プランクトンの増殖に影響を及ぼす ( 例えば堀ら 29) ). 一般に河口近くなどの沿岸域は N/P 比が高く, 植物プランクトンの増殖には DIP 濃度が制限因子になると言われている. 図 2-18 によると近年のⅡ 類型海域を除き, 大阪湾は植物プランクトンの増殖にとって概ねリン制限であったと考えられた. 100 R.F. 比 (16) Ⅱ 類型 Ⅲ 類型 Ⅳ 類型 N/P 比 年 図 2-18 大阪湾における DIN/DIP 比 ( モル濃度 ) の推移 図中の破線は平均的な植物プランクトンの窒素 リン 組成の比であるレッドフィールド比を示す 30

35 第 2 章大阪湾の水環境の変遷 2.4 まとめ本章では,40 年間にわたるモニタリング調査結果から大阪湾の水域環境の変遷について明らかにした. 大阪湾は高度成長期に増大した汚濁排出負荷を受け, 1970 年代から 1980 年代初めにかけて栄養塩濃度が急上昇し, 広範囲にわたる赤潮が頻発して, 湾南部海域まで貧酸素化するような富栄養状態となった. その後, 水質総量規制等により負荷が削減され, 湾内の栄養塩レベルは低下し, 基礎生産 ( クロロフィルa 濃度 ) の減少, 透明度の上昇, 貧酸素化の改善といったかたちで効果が表れてきた. しかしながら, 赤潮と貧酸素水塊は発生海域が湾奥部に縮小して強度も改善されたものの, 現在でも毎年発生する状況にある. 一方で, 栄養塩の高濃度域も湾奥部のみになり, 大阪湾のかなりの部分を占めるⅡ 類型海域では, 最近の 年の 3 年とも DIN が 3μ M( 0.04mg/L) 以下,PO4-P が 0.3μM( 0.009mg/L) 以下と栄養塩レベルは大きく低下した. 栄養塩レベルの低下は赤潮発生件数では把握できないクロロフィルa 濃度の低下, すなわち基礎生産量の低下にもつながっていると考えられた. 中央環境審議会による第 7 次水質総量削減のあり方に関する答申 30) では, 大阪湾を除く瀬戸内海の水質は他の指定水域に比較して良好な状態であり, 現在の水質が悪化しないように必要な対策を講じつつ, 目標とすべき適切な水質を検討することが妥当と考えられる とされているが, 大阪湾のⅡ 類型海域については 大阪湾を除く瀬戸内海 の状況に近づきつつあり, 今後は大阪湾奥部に重点を置いた富栄養化対策を行っていく必要があると考えられた. 31

36 第 2 章大阪湾の水環境の変遷 参考文献 1) 環境省 (2005): 第 6 次水質総量規制の在り方について ( 答申 ), 13pp. 2) 環境省 (2011): 総量削減基本方針 ( 東京湾, 伊勢湾, 瀬戸内海 ), 14pp. 3) ( 地独 ) 大阪府立環境農林水産総合研究所水産技術センター (2012): 平成 23 年度事業資料集,139pp. 4) 水産庁瀬戸内海漁業調整事務所 (2012): 平成 23 年瀬戸内海の赤潮,67pp. 5) 気象庁 : 過去の気象データ検索 ( HP ), 参照 ) Murakami, M., Oonishi, Y., Kunishi, H. (1989): Heat and salt balances in the Seto Inland Sea, Journal of the Oceanographical Society of Japan, 45, pp ) 三上岳彦 (2006): 都市ヒートアイランド研究の最新動向 - 東京の事例を中心 に -,E-journal GEO, 1, pp ) 桑原久実, 明田定満, 小林聡, 竹下彰, 山下洋, 城戸勝利 (2006): 温暖 化による我が国水産生物の分布域の変化予測, 地球環境, 11, pp ) 鍋島靖信 (2000): 1994 年 年の異常気象による大阪湾での熱帯 暖温 帯生物の出現と漁業への影響, 海と空, 75, pp ) 柳哲雄, 高橋暁 (1988): 大阪湾の淡水応答特性, 海と空, 64, pp ) 永田誠一, 名角辰郎, 中谷明泰 (2001): 近年の播磨灘主要ノリ漁場の環境調 査結果, 兵庫県立水産試験場研究報告, 36, pp ) 鍋島靖信 (1988): 藻類養殖技術指導. 昭和 61 年度大阪府水産試験場事業 報告,pp

37 第 2 章大阪湾の水環境の変遷 13) 環境省 ( 1995): 閉鎖性海域における水質汚濁機構について ( 資料 -2),3pp. 14) 環境省 (2007): 化学的酸素要求量 (COD), 窒素含有量及びりん含有量に 係る総量削減基本方針 ( 第 6 次 ) の概要 ( 参考資料 2), 4pp. 15) 環境省 (2011): 化学的酸素要求量, 窒素含有量及びりん含有量に係る総量 削減基本方針,14pp. 16) 吉松定昭 (2012): 赤潮規模を指標とした赤潮発生の推移, 瀬戸内海, 63, pp ) Nixon, S. W. (1982):Nutrient dynamics, primary production and fisheries yields of lagoons, Proceedings International Symposium on coastal lagoons SCOR/IABO/UNESCO, pp ) 星加章 (2002): 物理化学環境, 大阪湾の海域環境と生物生産, 東京,( 社 ) 日本水産資源保護協会, pp ) 城久 (1986): 大阪湾における富栄養化の構造と富栄養化が漁業生産に およぼす影響について, 大阪府水産試験場研究報告,7, 174pp. 20) 国土交通省近畿地方整備局 : 大阪湾の環境, 大阪湾の海域環境 水質 COD 発生負荷量の推移, 大阪湾環境データベ - ス ( HP ), 参照 ) 大阪府環境審議会水質規制部会 (2011): 化学的酸素要求量等に係る第 7 次 総量削減計画及び総量規制基準について,27pp. 22) 国土交通省近畿地方整備局 : 大阪湾の環境, 大阪湾の海域環境 水質 海域 水質の類型別経年変化, 大阪湾環境データベ - ス (HP ), 33

38 第 2 章大阪湾の水環境の変遷 db/data/kankyou/kaiiki/suishitu/b3_09suishitu.aspx, 参照 ) 内田唯史, 浮田正夫, 関根雅彦, 中西弘 (1994): 富栄養化海域の水質の非 線形特性とそのモデリングに関する研究, 土木学会論文集, 503, pp ) 大阪府環境審議会 (2011): 大阪湾における水質の現状, 第 3 回大阪府環境 審議会水質規制部会資料 1-2, 7pp. 26) 水産資源保護協会 (2000):Ⅱ 基準値, 水産用水基準,pp ) 藤原建紀, 岸本綾夫, 中嶋昌紀 (2004): 大阪湾の貧酸素水塊の短期的およ び長期的変動, 土木学会海岸工学論文集,51, pp ) 中嶋昌紀, 藤原建紀 (2007): 大阪湾のエスチュアリー循環流と貧酸素水塊, 沿岸海洋研究, 44, pp ) 堀豊, 宮原一隆, 長井敏, 辻野耕実, 中嶋昌紀, 山本圭吾, 吉田陽一, 荒木伸生, 酒井康彦 (1998): 大阪湾および播磨灘における主要植物プランクトンと DIN: DIP 比等との相互関係, 日本水産学会誌, 64, pp ) 中央環境審議会 (2010): 第 7 次水質総量削減の在り方について ( 答申 ), 66pp. 34

39 第 3 章大阪湾における形態別窒素 リンの動態 第 3 章 大阪湾における形態別窒素 リンの動態 3.1 目的第 2 章では 1970 年代から行われている長期的なモニタリング調査データを用いて, 大阪湾の水環境の変遷について明らかにした. 大阪湾の栄養塩濃度 (DIN DIP) は陸域で発生する負荷量の影響を大きく受け, 負荷削減に伴い年々減少していた. 海洋生態系における窒素やリンは, 溶存態無機窒素 ( DIN:Dissolved Inorganic Nitrogen) リン(DIP:Dissolved Inorganic Phosphorus) が植物プランクトンに利用されて粒状態有機窒素 ( PON:Particulate Organic Nitrogen) リン ( POP: Particulate Organic Phosphorus) になり, 植物プランクトンが枯死, 分解, あるいは細胞外排出により溶存態有機窒素 (DON:Dissolved Organic Nitrogen) リン ( DOP:Dissolved Organic Phosphorus) や DIN,DIP へとかたちを変える. このような形態別窒素 リンの動態に関する調査は, 大阪湾では城 1), 星加 2) などにより行われているが, 大阪湾内の分布については城 1) が 1976 年に毎月行った調査結果をもとに報告している. なお, 海水中の粒状物質には DIP が吸着しているため, 粒状態のリンには有機態の他に無機態リンも含まれている ( 例えば Loassachan 3) ). 城 1) と本研究ではこれらを分別して定量していないので, 粒状態のリンは PP: Particulate Phosphorus とする. 本章では, 大阪湾における形態別窒素 リンについて 4 年間にわたる調査を行い, その季節変動や湾内における分布について明らかにし, 過去の調査結果と比較することで時間的な変化についても検討した. 3.2 材料と方法形態別窒素 リンのデータは, 表 3-1 に示す 2010 年 4 月 ~2014 年 3 月の毎月の浅海定線調査時に, 図 3-1 に示す大阪湾 20 定点の表層と底層から採水した試料について分析したデータを用いた. 採水したサンプルは冷蔵して実験室に持ち帰り, 一部は原液としてそのまま冷蔵保存するとともに, 残りは 400 で 2 時間強熱処理した Whatman GF/C グラスファイバーフィルター ( 孔径 1.2μm) でろ過し, ろ液は 2 以下で冷蔵保存, ろ紙は冷凍保存 (-20 ) した. ろ液は原則として 2-3 日以内にオートアナライザー ( ビーエルテック社 SwAAt) により DIN, DIP を測定した. また, 原液とろ液について,1 週間以内に同じくオートアナライザーにより全窒素 (TN), 溶存態全窒素 (DTN), 全リン (TP), 溶存態全リン 35

40 第 3 章大阪湾における形態別窒素 リンの動態 表 3-1 形態別窒素とリンに係わる調査実施日 調査回次 調査日 調査回次 調査日 調査回次 調査日 調査回次 調査日 /4/5, /4/5, /4/4, /4/1, /5/10, /5/9,11, /5/7, /5/8, /6/1, /6/6, /6/4, /6/3, /7/5, /7/5, /7/2, /7/1, /8/2, /8/1, /8/6, /8/5, /9/6, /9/6, /9/3, /9/3,4, /10/5, /10/4, /10/2, /10/ /11/2, /11/8, /11/5, /11/5, /12/6, /12/5, /12/ /12/2, /1/4, /1/5, /1/7, /1/6, /2/1, /2/3, /2/1, /1/31,2/ /3/7, /3/6, /3/5, /3/11,12 表 3-2 形態別とリンに係わる調査の採水層と採水器 項目採水層 採水器期間備考 採水 表層採水バケツ 2010 年 4 月 ~2014 年 3 月採水深 :0m 底層北原式採水器 2010 年 4 月 ~2014 年 3 月 底層ナンセン採水器 2010 年 4 月 ~2014 年 2 月 底層ニスキン採水器 2014 年 3 月 採水深 : 海底上 1m (St.1,9-20) 採水深 : 海底上 2m (St.8),5m(St.2-7) 採水深 : 海底上 2m (St.8),5m(St.2-7) 36

41 第 3 章大阪湾における形態別窒素 リンの動態 WGS84 神戸 西宮 明石 18 大阪 岩屋 堺 8 12 泉大津 貝塚 泉佐野 N 泉南 洲本 岬 km 図 3-1 形態別窒素とリンに係わる調査定点 このうち St.3,9,10,12,14,17 は城 1) が 1976 年 に毎月調査を行った地点と同一の定点 ( DTP) を測定した. このオートアナライザーは, プランクトン等を含むサンプルも超音波ホモジナイザーにより均質化したのち, オートクレーブにおいて過硫酸カリウムによる有機窒素 リンの湿式分解を自動的に行い,TN,DTN を NO3- N として,TP,DTP を PO4-P として測定する装置である. 測定結果から,PON, DON, PP, DOP は式 (3-1),(3-2),(3-3),(3-4) によって求めた. PON TN DTN (3-1) DON DTN DIN (3-2) PP TP DTP (3-3) DOP DTP DIP (3-4) 37

42 第 3 章大阪湾における形態別窒素 リンの動態 表層のろ紙については,90% アセトン溶液に 24 時間浸漬したのち, 蛍光法によ ってクロロフィル a とフェオ色素を測定した (TURNER DESIGNS 社 Fluorometer TD-700). また, 原液についてはサリノメ-タ ( 鶴見精機社 DIGI AUTO model-3g または model-5) により塩分を測定した. さらに調査現場では CTD( JFE アドバンテック社 ASTD-102) を垂下し, 水温, 塩分, 溶存酸素濃度等の鉛直測定を行った. 3.3 結果 形態別窒素 リンの水平分布図 3-2, 3-3 に夏季の表層と底層における形態別窒素 リンとそれに関連する塩分, クロロフィルa 濃度または DO 濃度の水平分布の一例として 2010 年 7 月のものを示した. 図 3-4,3-5 には, 同じく冬季における一例として 2011 年 1 月のものを示した. 表層における形態別窒素 リンの水平分布には大阪湾に流入する河川水が大きな影響を及ぼしている. 河川水の栄養レベルが比較的高く, 大阪湾への栄養物質の主たる供給源である淀川, 神崎川, 大和川などが湾奥部海域 ( 大阪湾が外洋につながる湾口部の紀淡海峡から最も離れた, 大阪市, 尼崎市, 堺市などが接する海域 ) に集中して流入するため, 湾奥部が低塩分, 高 TN TP となっている. 河川流量が大きく, 海面加熱により成層が強化される夏季は河川水の影響がより顕著に表れる. 水温が高く日射量も大きい夏季は基礎生産も盛んに行われ, この時は湾の最奥部ではなく, 河川水がやや沖に広がった St.15 でクロロフィルa,PON,PP がそれぞれ 23.66μg/L,16.84μM,1.63μM と高濃度になっていた ( 図 3-2 b,d,h).don,dop も湾奥部でそれぞれ最高値が 24.05μM, 0.69μM と高かったが,DOP はやや東部に偏って高濃度域が分布し,DON とは発生源が異なる可能性を示唆していた. 冬季の表層についても基本的な構造は夏季と同じであるが, この時はクロロフィルa 濃度が低く (0.71~2.71μg/L), 海域における内部生産は夏季に比べてかなり小さいものと考えられた. 底層は表層のように塩分の水平勾配が大きくなく, 表層に比べれば水質の変化は乏しい. しかしながら夏季の底層では貧酸素水塊が湾奥部で形成されるため, そこでの窒素やリンは周囲の水塊と著しい不連続分布を示す.DO 飽和度が 20% 以下の水塊 ( Sts.15,16) では有機物の分解により DIN 濃度が 18.55~28.09μM, DIP 濃度が 3.29~3.90μM と高く,TN,TP 濃度を押し上げる要因となっていた. 38

43 第 3 章大阪湾における形態別窒素 リンの動態 a c g b d h e i f j 図 3-2 夏季の表層における形態別窒素 リンと塩分, クロロフ ィル a 濃度の水平分布の一例 (2010 年 7 月 ) 39

44 第 3 章大阪湾における形態別窒素 リンの動態 a c g b d h e i f j 図 3-3 夏季の底層における形態別窒素 リンと塩分,DO 飽和 度の水平分布の一例 (2010 年 7 月 ) 40

45 第 3 章大阪湾における形態別窒素 リンの動態 a c g b d h e i f j 図 3-4 冬季の表層における形態別窒素 リンと塩分, クロロフ ィル a 濃度の水平分布の一例 (2011 年 1 月 ) 41

46 第 3 章大阪湾における形態別窒素 リンの動態 a c g b d h e i f j 図 3-5 冬季の底層における形態別窒素 リンと塩分,DO 飽和 度の水平分布の一例 (2011 年 1 月 ) 42

47 第 3 章大阪湾における形態別窒素 リンの動態 特にリンは顕著で, 嫌気的な環境で鉄などと結びついたリン酸態リンが溶出することによってさらに DIP が高濃度になっている 4). 冬季の底層については貧酸素水塊が発生しないため, わずかに湾奥で TN, DON, DOP が高い ( それぞれ 24.56μM, 10.72μM, 0.23μM) 程度であった 形態別窒素 リンの季節変化図 3-6 に 2010 年 4 月 ~2014 年 3 月の 4 ヵ年のデータによる表層の年平均塩分の水平分布を示した. 大阪湾の表層における塩分は淀川を始めとした大河川が流入する湾奥部 St.18 で と低く, 紀伊水道へつながる湾口部にかけて高くなっていて, 第一義的には湾の長軸に沿って一次元的に分布している. 図 3-7 に同期間における表層の定点別の平均塩分とデータの最大最小の範囲を示した. これを見ると湾奥部の St.18 は平均塩分が低いだけではなく, その変動幅も 2.59~ 31.58PSU と 20 定点のなかで最も大きくなっている. 中嶋 5) によれば, 大阪湾の表層水の塩分は河川水の出水規模により大きく変動し, それに伴って DIN, DIP, クロロフィルa 濃度なども著しく変動する. ここでは, 形態別窒素 リンの季節変化について検討するため, 湾奥部海域を代表する地点として, 大きな出水時には直接河川水の影響がおよぶ湾最奥部の St.18 ではなく, そこから湾の長軸方向の沖側に位置する St.15 を選定した. また, 湾口部を代表する地点としては, 紀淡海峡の中央北寄りに位置する St.3 を選定した (PSU) 図 3-6 表層における年平均塩分の水平分布 2010 年 4 月 ~2014 年 3 月の平均値 43

48 第 3 章大阪湾における形態別窒素 リンの動態 塩分 (PSU) 定点番号 図 年 4 月 ~2014 年 3 月における定点別 表層塩分の平均値とデータの分布範囲 図 3-8 に湾奥部 (St.15) における形態別窒素濃度の季節変化と, 図 3-9 に TN に占める各形態別窒素の占める比率を示した. また, 図 3-10 に湾奥部 (St.15) における形態別窒素濃度の季節変化と, 図 3-11 に TN に占める各形態別窒素の占める割合を示した. データは 2010 年 4 月 ~2014 年 3 月の 4 年間のものを各月ごとに平均して用いた. 同様に, 図 3-12,3-13,3-14,3-15 には, 湾奥部 ( St.15) と湾口部 (St.3) における形態別リン濃度の季節変化と TP に占める各形態別リンの割合を示した. 図 3-8aによれば湾奥部 St.15 の表層における形態別窒素のうちで季節変化が最も大きかったのは DIN で,8 月に最低値 0.66μM となったあと 9 月には μ M に上昇し,10 月には 9.77μM に低下するものの 11 月から 1 月まで 18μM 以上で推移し,1 月には最高値 21.59μM となった. その後は 5 月まで 6.6~ 12.2μM の範囲で変動し,7 月には 18.8μM まで上昇した. 次に季節変化が大きかったのは PON で,9~2 月は 3.1~5.5μM の範囲で変動し,3~ 8 月は 10.2~ 13.3μM の範囲で変動した. もっとも季節変化が小さかったのは DON で,9.6μ M( 12 月 )~15.7μM( 7 月 ) の範囲内で変動した. 植物プランクトンやその死骸等のデトリタスが多く含まれる粒状物の PON 濃度は 3 月から 8 月の水温上昇期に高く,9 月から 2 月の水温下降期に低かった. 一方, 植物プランクトンに利用される DIN は,7 月を除いて PON 濃度が高い時期に低く,PON 濃度が低い時 44

49 第 3 章大阪湾における形態別窒素 リンの動態 期に高かった.DON については 9 月を除いて PON 濃度が低いときに低く,PON 濃度が高いときに高かった. St.15 の底層については ( 図 3-8b),St.15 の表層と同様に DIN の季節変動が形態別窒素のうちで最も大きかった.DIN の季節変動は表層とは異なり 6~ 9 月にかけて高く, とりわけ 7 月は 24.00μM と 10~5 月の各月の 2 倍以上の値であった.PON 濃度は 1.18μM( 1 月 )~5.57μM( 8 月 ) の範囲で変動した. 底層においても DON の季節変動は小さく 7.82μM( 12 月 )~11.26μM( 8 月 ) の範囲で変動した. 図 3-9aによれば湾奥部 St.15 の表層における TN に占める PON の割合は 9.1%(1 月 )~49.3%(8 月 ) の範囲で変化し,DON の割合は 28.8%(1 月 )~ 48.3%(8 月 ) の範囲で変化し,DIN の割合は 2.4%(8 月 )~62.1%(1 月 ) の範囲で変化した. 同様に, 図 3-9bによれば底層における TN に占める PON の割合は 7.1%(12 月 )~23.5%(7 月 ) の範囲で変化し,DON の割合は 29.4%(7 月 )~63.9%(3 月 ) の範囲で変化し,DIN の割合は 20.2%(3 月 )~62.7%(7 月 ) の範囲で変化した. 図 3-10aによれば湾口部 St.3 の表層においても形態別窒素のうちで季節変化が最も大きかったのも DIN で,8 月に 0.43μM と最も低く,1 月に 7.16μM と最も高かった. 次いで季節変化が大きかったのは PON で,1.37μM( 12 月 )~ 5.22μM( 1 月 ) の範囲で変化した.DON については St.15 と同様に形態別窒素のうちで最も変化が小さく,7.30μM( 11 月 )~8.68μM( 7 月 ) の範囲で変化した. St.3 の底層については ( 図 3-10b), St.3 の表層とは異なり PON の季節変動が形態別窒素のうちで最も大きかった.St.3 の底層の PON 濃度は 0.37~3.55μM の範囲で変動し, 最高値である 3.55μM は 2 月に現れた. 底層においても DON の季節変動は小さく,6.42~7.58μM の範囲で変動し, 最高値である 7.58μM は 1 月に現れた. 図 3-11aによれば湾奥部 St.3 の表層における TN に占める PON の割合は 8.3%(12 月 )~29.2%(7 月 ) の範囲で変化し,DON の割合は 41.8%(1 月 ) ~ 77.0%( 8 月 ) の範囲で変化し,DIN の割合は 3.9%( 8 月 )~43.6%( 12 月 ) の範囲で変化した. 同様に, 図 3-11bによれば底層における TN に占める PON の割合は 3.5%(7 月 )~24.4%(2 月 ) の範囲で変化し,DON の割合は 48.7% ( 1 月 )~69.6%( 6 月 ) の範囲で変化し,DIN の割合は 22.0%( 6 月 )~40.5% ( 12 月 ) の範囲で変化した. 45

50 第 3 章大阪湾における形態別窒素 リンの動態 図 3-12aによれば湾奥部 St.15 の表層における形態別リンのうちで季節変化が最も大きかったのは DIP であった.St.15 における表層の DIN が 8 月に年間最低値になったのに対し,DIP では 2, 3, 5, 6 月に低く, 最も低濃度であったのは 5 月の 0.05μM であった. その後,7 月には 0.44μM に上昇し,9~ 1 月は 0.61~0.90μM の範囲で変化した. 最高濃度は 11 月の 0.90μM であった. 次に季節変化が大きかったのは PP で,9~ 2 月は 0.24μM( 12 月 )~0.49μM( 9 月 ) の範囲で変動し,3~ 8 月は 0.80μM( 4 月 )~0.98μM( 7 月 ) の範囲で変動した. 年間のうち PP が低濃度であった 9~ 2 月と高濃度であった 3~ 8 月の期間は, PON の年間における低濃度, 高濃度の期間と一致していた. 最も季節変化が小さかったのは DOP で,0.22μM( 12 月 ) から 0.45μM( 8 月 ) の範囲内で変動した.PON と同様に, 植物プランクトンやその死骸等のデトリタスが多く含まれる粒状物の PP 濃度は 3 月から 8 月の水温上昇期に高く,9 月から 2 月の水温下降期に低かった. 一方, 植物プランクトンに利用される無機態は,DIN が 8 月に低濃度であったのに対し,DIP では 2~ 6 月に低濃度であり,DIN と DIP で年間の最低濃度を示す季節が異なっていた. St.15 の底層については ( 図 3-12b), DIP の季節変動が形態別リンのうちで著しく大きかった.DIN と同様に底層の DIP の季節変動は表層とは異なり,6~ 1 月にかけて高く, とりわけ 7 月は 3.5μM と高濃度になり,2~ 5 月の各月の 10 倍以上の値であった.PP 濃度は 0.17μM( 1 月 )~0.61μM( 10 月 ) の範囲で変動した. 底層においても DOP の季節変動は小さく,0.17μM( 12 月 )~0.25μM ( 4 月 ) の範囲で変動した. 図 3-13aによれば湾奥部 St.15 の表層における TP に占める PP の割合は 18.6%( 12 月 )~71.0%( 3 月 ) の範囲で変化し,DOP の割合は 17.1%( 12 月 ) ~ 34.5%(2 月 ) の範囲で変化し,DIP の割合は 4.1%(5 月 )~64.3%(12 月 ) の範囲で変化した. 同様に, 図 3-13bによれば底層における TP に占める PP の割合は 8.6%(7 月 )~42.7%(10 月 ) の範囲で変化し,DOP の割合は 5.2%(7 月 )~31.1%( 12 月 ) の範囲で変化し,DIP の割合は 34.4%( 2 月 )~86.2%( 8 月 ) の範囲で変化した. 図 3-14aによれば湾口部 St.3 の表層においても形態別リンのうちで季節変化が最も大きかったのも DIP で,6 月に 0.11μM と最も低く,12 月に 0.62μM と最も高かった. 次いで季節変化が大きかったのは PP で,0.11μM( 12 月 )~ 0.27μM( 4 月 ) の範囲で変化した.DOP については St.15 と同様に形態別リンのうちで最も変化が小さく,0.18μM( 12 月 )~0.29μM( 6 月 ) の範囲で変化 46

51 第 3 章大阪湾における形態別窒素 リンの動態 した. St.3 の底層については ( 図 3-14b), St.3 の表層とは異なり PP の季節変動が形態別リンのうちで最も大きかった.St.3 の底層の PP 濃度は 0.10μM( 5,7 月 ) ~ 0.45μM( 2 月 ) の範囲で変動した. 底層においても DOP の季節変動は小さく, 0.15μM( 5 月 )~0.24μM( 6 月 ) の範囲で変動した. 図 3-15aによれば湾奥部 St.3 の表層における TP に占める PP の割合は 12.1% ( 12 月 )~ 38.6%( 4 月 ) の範囲で変化し,DOP の割合は 19.8%( 12 月 )~46.9% ( 8 月 ) の範囲で変化し,DIP の割合は 17.2%(6 月 )~68.1%(12 月 ) の範囲で変化した. 同様に, 図 3-11bによれば底層における TP に占める PP の割合は 14.3%(8 月 )~43.7%(2 月 ) の範囲で変化し,DOP の割合は 17.6%(1 月 ) ~ 40.0%( 6 月 ) の範囲で変化し,DIP の割合は 35.0%( 2 月 )~60.0%( 12 月 ) の範囲で変化した. 47

52 第 3 章大阪湾における形態別窒素 リンの動態 形態別窒素濃度 (μm) a 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月 1 月 2 月 3 月 PON DIN DON 50 b 形態別窒素濃度 (μm) PON DIN DON 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月 1 月 2 月 3 月 図 3-8 湾奥部 (St.15) の表層 (a) と底層 (b) における形態別窒素の季節変化 ( 2010 年 4 月 ~2014 年 3 月の各月ごとの平均値 ) 図中の数字は濃度 (μm) を示す 48

53 第 3 章大阪湾における形態別窒素 リンの動態 a 全窒素の内訳 (%) PON DIN DON 0 b 全窒素の内訳 (%) 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月 1 月 2 月 3 月 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月 1 月 2 月 3 月 PON DIN DON 図 3-9 湾奥部 (St.15) の表層 (a) と底層 (b) における全窒素に占める形態別窒素の割合の季節変化 ( 2010 年 4 月 ~ 2014 年 3 月の各月ごとの平均値 ) 図中の数字は割合 (%) を示す 49

54 第 3 章大阪湾における形態別窒素 リンの動態 25 a 形態別窒素濃度 (μm) PON DIN DON 0 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月 1 月 2 月 3 月 形態別窒素濃度 (μm) b 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月 1 月 2 月 3 月 PON DIN DON 図 3-10 湾口部 (St.3) の表層 (a) と底層 (b) における形態別窒素の季節変化 ( 2010 年 4 月 ~2014 年 3 月の各月ごとの平均値 ) 図中の数字は濃度 (μm) を示す 50

55 第 3 章大阪湾における形態別窒素 リンの動態 a 全窒素の内訳 (%) PON DIN DON 0 b 全窒素の内訳 (%) 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月 1 月 2 月 3 月 PON DIN DON 0 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月 1 月 2 月 3 月 図 3-11 湾南部 (St.3) の表層 (a) と底層 (b) における全窒素に占める形態別窒素の割合の季節変化 ( 2010 年 4 月 ~ 2014 年 3 月の各月ごとの平均値 ) 図中の数字は割合 (%) を示す 51

56 第 3 章大阪湾における形態別窒素 リンの動態 形態別リン濃度 (μm) a 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月 1 月 2 月 3 月 PP DIP DOP 形態別リン濃度 (μm) b 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月 1 月 2 月 3 月 PP DIP DOP 図 3-12 湾奥部 (St.15) の表層 (a) と底層 (b) における形態別リンの季節変化 (2010 年 4 月 ~2014 年 3 月の各月ごとの平均値 ) 図中の数字は割合 (%) を示す 52

57 第 3 章大阪湾における形態別窒素 リンの動態 a 全リンの内訳 (%) b 全リンの内訳 (%) 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月 1 月 2 月 3 月 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月 1 月 2 月 3 月 PP DIP DOP PP DIP DOP 図 3-13 湾奥部 (St.15) の表層 (a) と底層 (b) における全リンに占める形態別リンの比率の季節変化 ( 2010 年 4 月 ~ 2014 年 3 月の各月ごとの平均値 ) 図中の数字は割合 (%) を示す 53

58 第 3 章大阪湾における形態別窒素 リンの動態 1.2 a 1.0 形態別リン (μm) 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月 1 月 2 月 3 月 PP DIP DOP 1.2 b 1.0 形態別リン (μm) PP DIP DOP 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月 1 月 2 月 3 月 図 3-14 湾口部 (St.3) の表層 (a) と底層 (b) における形態別リンの季節変化 (2010 年 4 月 ~2014 年 3 月の各月ごとの平均値 ) 図中の数字は濃度 (μm) を示す 54

59 第 3 章大阪湾における形態別窒素 リンの動態 a b 全リンの内訳 (%) 全リンの内訳 (%) 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月 1 月 2 月 3 月 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月 1 月 2 月 3 月 PP DIP DOP PP DIP DOP 図 3-15 湾南部 (St.3) の表層 (a) と底層 (b) における全リンに占める形態別リンの比率の季節変化 ( 2010 年 4 月 ~ 2014 年 3 月の各月ごとの平均値 ) 図中の数字は割合 (%) を示す 55

60 第 3 章大阪湾における形態別窒素 リンの動態 以上を整理すると, 湾奥部における形態別窒素の季節変化の特徴は, 表層では 8 月に DIN が枯渇するが 9 月には回復し,1 月まで高濃度が続くこと,PON は 3 月から 8 月の水温上昇期に高いこと,7 月には PON も高いが DIN も高いことが挙げられる. 底層では, 図 3-2 でも示したように,7 月に貧酸素化により DIN が年間で最も高濃度になっていること, そのことにより TN も他の月の 2 倍程度になっていること, また,2 月から 5 月は DIN が低くなり,3 月には 2.8μM と最も低くなっていることが挙げられる.DON は表層, 底層とも, この三つの形態の中で年間を通じて最も一定レベルで存在していた. 一方, 湾口部における形態別窒素は湾奥部に比べて全体に濃度が低い. 湾口部の表層では 5 月から 8 月にかけて DIN が低く,PON が比較的高い.9 月には DIN が回復し, 湾奥部と概ね同様に 1 月まで高くなっていた. 底層では湾奥部と異なり, 年間を通じての変動が PON, DIN とも比較的小さかった.DON は湾奥部と同様に年間を通じて一定の割合で存在し,3つの形態の中で最も濃度が高かった. 図 3-8, 3-9 には形態別リンについて, 窒素と同様に月別変化を示した. 湾奥部の底層について見ると,7 月,8 月の TP が著しく高く, 同月の TP のほとんどを DIP が占めていた. これは窒素と同様に底層水の貧酸素化による著しい溶出のためであると考えられた. その他の月の TP は概ね表層の方が高いか同程度であった. 表層については 2 月,5 月,6 月に DIP が低濃度になっていた. 逆に,9 月から 1 月は TP の中で DIP の占める割合が最も高くなっていた. 溶存態有機リンである DOP については TP の中で占める割合が小さく, 特に底層では一年を通じてほとんど濃度変動が見られなかった. 表層の DOP は,PP が高い月は他の月に比べてやや高い傾向が見られた. 湾口部については窒素と同様に表層, 底層とも全体に濃度が低くかった. 表層の DOP については,TP の絶対値が小さめだった 6 月,7 月に TP の中でやや大きな割合を占めたが, それ以外の月や特に底層では TP に占める割合が低かった. 3.4 考察図 3-16,3-17,3-18,3-19 に, 城 1) による形態別窒素 リンが TN TP に占める割合と本研究でのそれをあわせて示した. 図 3-16 は表層の窒素について, 図 3-17 は底層の窒素について, また図 3-18,3-19 はそれぞれリンについて示している. 調査地点は図 3-1 に示す Sts.3, 9, 10, 12, 14, 17 の 6 地点で, 城 1) は 1976 年 1 月 ~12 月に調査を行い, 本研究では 2010 年 4 月 ~2014 年 3 月の各 56

61 第 3 章大阪湾における形態別窒素 リンの動態 月の調査結果を平均した. さらに 6 地点の値を平均し, 大阪湾を代表する値とした. 図 3-16 の表層の窒素を見ると, 年間を通した季節変動様式は大きく変わっていないものの, 現在の TN のうち DIN が占める割合が 1976 年では約 25~80% であったのに対し,2010~2014 年では 5~ 56% と減少していて, 代わりに DON の占める割合が大きくなっていることが分かる. 図 3-17 の底層の窒素も同様で, DIN の減少が著しい. 特に 1 月から 4 月にかけて DIN が TN のうちで半分以上占めていたところが, 現在では, 特に 2, 3 月は 20% ほどしかない. 本研究の結果では, 表層と同様に DON は一年を通じて安定して高い割合を占めていた. a) b) 形態別窒素 (μm) 100% 80% 60% 40% 20% 0% 1 月 2 月 3 月 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月 PON DON DIN 図 年 (a ) と 2010~2014 年 (b, 平均値 ) の表層における形態別窒素割合の月別変化 1976 年については城 1) より引用, また各月の値は Sts.3, 9, 10, 12, 14, 17 の平均値 57

62 第 3 章大阪湾における形態別窒素 リンの動態 a) b) 形態別窒素 (μm) 100% 80% 60% 40% 20% 0% 1 月 2 月 3 月 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月 PON DON DIN 図 年 (a ) と 2010~2014 年 (b, 平均値 ) の底層における形態別窒素割合の月別変化 1976 年については城 1) より引用, また各月の値は Sts.3, 9, 10, 12, 14, 17 の平均値 続いて図 3-18 の表層のリンを見ると, 窒素と同様に年間を通じての季節変動様式に大きな変化は見られない. 図 3-19 の底層のリンについても同様であった. リンについてはこのように表層, 底層とも, 各形態のリンが TP に占める割合について両年ではほとんど変わっていなかった で述べたように, 大阪湾の水質分布には河川水の出水が大きな影響を及ぼしている. 城 1) は形態別窒素 リンと塩分との対応について検討し, 年間平均した各形態別の窒素 リンについては, 概ね塩分と負の相関があることを明らかにした. そこで, 本研究による現在の大阪湾における形態別窒素 リンと塩分の関係を城 1) と比較することにより, 大阪湾内における形態別窒素 リン濃度の長期的変化を明らかにすることを試みる. 図 3-20,3-21,3-22,3-23 に, それぞれ TN,PON,DON,DIN と塩分の関係を示した. 本研究のデータは表層のみを用いた. 湾奥に流入した淡水はエスチュアリー循環流によって下層水を取り込みながら湾口部へと流れていく で 58

63 第 3 章大阪湾における形態別窒素 リンの動態 a) b) 形態別リン (μm) 100% 80% 60% 40% 20% 0% 1 月 2 月 3 月 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月 PP DOP DIP 図 年 (a ) と 2010~2014 年 (b, 平均値 ) の表層における形態別リン割合の月別変化 1976 年については城 1) より引用, また各月の値は Sts.3, 9, 10, 12, 14, 17 の平均値 a) b) 形態別リン (μm) 100% 80% 60% 40% 20% 0% 1 月 2 月 3 月 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月 11 月 12 月 PP DOP DIP 図 年 (a ) と 2010~2014 年 (b, 平均値 ) の底層における形態別リン割合の月別変化 1976 年については城 1) より引用, また各月の値は Sts.3, 9, 10, 12, 14, 17 の平均値 59

64 第 3 章大阪湾における形態別窒素 リンの動態 示したように, 底層水は局地的な貧酸素化の影響を受けるなど, 淡水の拡散過程とは異なるプロセスが作用するので, 底層のデータは塩分との相関を求めるためには適当ではないと考えた. 一方, 城 1) は図 3-1 に示した 6 定点において, 表層,2.5m 層,5m 層,10m 層, 底層と多層から採水し, そのすべてのデータを用いて塩分との相関を求めている. 先に述べたような理由で底層の値を計算に含めることは適当ではないと考えるが, 城 1) のデータは中層以浅のデータが大部分を占めるため, 底層の影響は小さいものと考えて本研究の値と比較した. 図 3-20 の TN を見ると, 塩分に対する TN 濃度の負の勾配は 1976 年では-10.9 であったのに対し, 年では-6.6 と小さくなり, 回帰直線から計算される, 湾口部を意味する塩分 32PSU に対応する TN 濃度も 20.2μM から 10.3μM へと減少していた. TN の内訳については, 図 3-21 の PON を見ると回帰直線の傾きはほとんど変わらず, 回帰式の切片が 1976 年の 66.0μM から 年の 64.2μM に減少したことから, 湾奥から湾口まで一律に 1.8μM 減少したと考えられた. 一方, 図 3-22 の DON を見ると, 塩分 32PSU に対応する DON の値はほとんど変化が無く, 回帰直線の傾きが 1976 年の-1.53 から 年の-1.10 にわずかに小さくなっていた. また, 図 23 の DIN を見ると, 回帰直線の傾きは 1976 年の から 年の-3.60 に小さくなり, 塩分 32PSU に対応する DIN 濃度は,8.8μM から-0.3μM に減少した ( 実際には湾口部の表層年平均 DIN 濃度は 2012 年に約 2μ M あったので [ 第 2 章参照 ], 植物プランクトンによる取り込みを受ける DIN の線形回帰させていることによる誤差も含まれているものと考えられた ). これらのことから,1976 年から 年の間の TN 濃度の減少は, 主に湾奥部から湾口部にかけての DIN 濃度の勾配が 3.97 減少したことと, 切片の減少により湾口部の DIN 濃度が 8.8μM 低下したこと, また回帰直線を引いた海域で一律に PON が 1.8μM 減少したことによると考えられた. 図 3-24,3-25,3-26,3-27 に, それぞれ TP,PP,DOP,DIP と塩分の関係を示した. 図 3-24 の TP を見ると, 塩分に対する TP 濃度の負の勾配は 1976 年では-0.55 であったのに対し, 年では-0.25 と小さくなり, 塩分 32PSU に対応する TP 濃度も 1.0μM から 0.7μM へと減少していた. TP の内訳については, 図 3-25 の PP を見ると, 回帰直線の傾きは 1976 年の から 年の-0.16 に小さくなり, 塩分 32PSU に対応する PP 濃度も 0.26μM から 0.18μM へと減少していた. また図 3-26 の DOP を見ると, 回 60

65 第 3 章大阪湾における形態別窒素 リンの動態 帰直線の傾きは 1976 年の から 年の に小さくなり, 塩分 32PSU に対応する DOP 濃度も 0.33μM から 0.20μM へと減少していた. また, 図 27 の DIP を見ると, 回帰直線の傾きは 1976 年の-0.25 から 年の に小さくなり, 塩分 32PSU に対応する DIP 濃度は,0.70μM から 0.22μM に減少していた. これらのことから,1976 年から 年にかけての TP 濃度の減少は, 湾奥部から湾口部にかけての DIP 濃度の勾配が 減少したことと回帰式の切片が 6.4μM 低下したこと, また PP 濃度と DOP 濃度の勾配もそれぞれ 0.06 と 0.05 減少したことと, それぞれの切片が 2.0μM と 1.6μM 減少したことによると考えられた. このような回帰式による解析結果は, 湾奥部に淀川などの大河川から淡水とともに流入する陸域起源の高濃度の窒素とリンが存在し, 湾口部では塩分が高く窒素やリン濃度の低い外洋水の影響を受けた紀伊水道水に接する大阪湾においては, 次のように解釈することが出来る.1976 年から 年にかけての TN 濃度分布の変化は, 湾奥部への窒素負荷が大きく減少し, 湾内の DIN 濃度の水平勾配が小さくなったことにもっとも影響を受けた. 一方で湾内の DON 濃度の分布はほとんど変化しなかったことから湾口部では DIN が低濃度になり, 一次生産の低下につながった結果 PON の濃度も低下したと推察される. 一方, 湾内の形態別リンは, 湾奥部へのリン負荷が減少し, 湾内の DIP 濃度勾配は小さくなったが,DOP 濃度も同様に低下した. 湾口部では DOP 濃度が低下して DIP 濃度は一定確保された. 鈴村 9) らは東京湾において夏季成層水中の有機態炭素, 窒素, リンの分布を調べ, 湾内の粒状態有機物 溶存態有機物の C/N 比が湾内で比較的均一な分布をしていたのに対し,C/P 比は湾口部で高くなっていることから, 有機物中の窒素化合物に比べリン化合物の方が速やかに分解されていくことを示した. 本研究においても,DOP は DON に比べて速やかに無機化され, 再生産へと用いられるとすれば,1976 年と 年での N と P の挙動の違いを説明することが出来ると考えられた.TN が減少するなかで DON 濃度が変わらないとすれば, 植物プランクトンが利用する DIN と, 植物プランクトン体である PON が減少していることを示していると考えられる. 大阪湾の漁獲量が減少するなど, 海域の生物生産力の低下が懸念されているところでもあり, 形態別窒素 リンの動態については引き続き調査研究していく必要性が高いと考えられた. 61

66 第 3 章大阪湾における形態別窒素 リンの動態 TN 濃度 (μm) y = 6.6x R² = 塩分 (PSU) y = 10.9x R 2 = 0.94 図 3-20 TN 濃度と塩分の関係 実線の回帰直線は本研究のデータにより, 点線 の回帰直線は城 1) による 20 PON 濃度 (μm) y = 2.0x R² = 0.94 y = 1.9 x R² = 塩分 (PSU) 図 3-21 PON 濃度と塩分の関係 実線の回帰直線は本研究のデータにより, 点線 の回帰直線は城 1) による 62

67 第 3 章大阪湾における形態別窒素 リンの動態 20 DON 濃度 (μm) y = 1.10x R² = 0.99 y = 1.53x R 2 = 塩分 (PSU) 図 3-22 DON 濃度と塩分の関係 実線の回帰直線は本研究のデータにより, 点線 の回帰直線は城 1) による 50 DIN 濃度 (μm) y = 3.6x R² = 塩分 (PSU) y = 7.57x R 2 = 0.81 図 3-23 DIN 濃度と塩分の関係 実線の回帰直線は本研究のデータにより, 点線 の回帰直線は城 1) による 63

68 第 3 章大阪湾における形態別窒素 リンの動態 TP 濃度 (μm) y = 0.25x R² = 塩分 (PSU) y = 0.55x R 2 = 0.85 図 3-18 TP と塩分の関係 実線の回帰直線は本研究によるデータによ り, 点線の回帰直線は城 1) による PP 濃度 (μm) y = 0.16x R² = 0.92 y = 0.22x R 2 = 塩分 (psu) 図 3-19 PP と塩分の関係 実線の回帰直線は本研究によるデータによ り, 点線の回帰直線は城 1) による 64

69 第 3 章大阪湾における形態別窒素 リンの動態 DOP 濃度 (μm) y = 0.025x R² = 塩分 (psu) y = 0.071x R 2 = 0.69 図 3-20 DOP と塩分の関係 実線の回帰直線は本研究によるデータによ り, 点線の回帰直線は城 1) による 2.0 DIP 濃度 (μm) y = 0.065x R² = 0.80 y = 0.25x 塩分 (psu) 図 3-21 DIP と塩分の関係 実線の回帰直線は本研究によるデータによ り, 点線の回帰直線は城 1) による 65

70 第 3 章大阪湾における形態別窒素 リンの動態 3.5 まとめ本章では, これまで定期的な調査が行われておらず, 情報の少なかった形態別窒素 リンについて 4 年間の調査を行い, それらの大阪湾内における分布や季節変動について検討した. さらに,1976 年に同じ定点で行われた調査結果と比較検討することにより, 窒素とリンでは時間的な変化が異なることが明らかになった. すなわち, 形態別のリンは, それらのどの形態についても経年的に減少していたのに対し, 形態別の窒素では溶存態有機窒素の DON のみ 1976 年と 年で湾内の分布に大きな差が見られなかった. TN 濃度が減少するなかで DON 濃度が変化していないとすれば, 植物プランクトンが利用する DIN と, 植物プランクトン体である PON の減少につながっていると考えられる. 大阪湾の漁獲量が減少するなど, 海域の生物生産力の低下が懸念されているところでもあり, 形態別窒素 リンの動態については引き続き調査研究していく必要性が高いと考えられた. 66

71 第 3 章大阪湾における形態別窒素 リンの動態 参考文献 1) 城久 (1978): 大阪湾における形態別リン, 窒素の分布と季節変化および その現存量について, 水産海洋研究会報, 32, pp ) 星加章, 谷本照己, 三島康史 (1998): 大阪湾における富栄養化と内部生産 有機物, 水環境学会誌, 21, pp ) Loassachan, N., Meksumpun, S., Ichimi, K., Tada, K. (2008): Elemental composition of suspended particulate matter in Bangpakong River Estuary, Thailand. La mer, 46, pp ) 城久 (1986): 大阪湾における富栄養化の構造と富栄養化が漁業生産にお よぼす影響について, 大阪府水産試験場研究報告,7, 174pp. 5) 中嶋昌紀 (1997): 大阪湾の成層構造と水質の変動, 海と空, 73, pp ) 田中信彦, 中西正己, 門田元 (1974): The excretion of photosynthetic product by natural phytoplankton population in Lake Biwa, 陸水学 雑誌, 35, pp ) 濱健夫, 柳勝美 (2007): 海洋物質循環の研究における安定同位体トレー サ法の利用,Radioisotopes, 56, pp ) 奥修, 鎌谷明善 (1995): 東京湾および相模湾で採集したプランクトン中 のリン脂質リンに関する研究, 日本水産学会誌, 61, pp ) 鈴村昌弘, 小川浩史 (2001): 東京湾における夏季表層水中の有機態炭素 窒 素 リンの分布, 沿岸海洋研究, 38, pp

72 第 4 章大阪湾における難分解性窒素の動態 第 4 章 大阪湾における難分解性窒素の動態 4.1 目的湖沼や閉鎖性内湾域における有機汚濁を改善するため, 化学的酸素要求量 ( COD) の発生負荷量抑制が行われてきた 1). それにもかかわらず, 琵琶湖北湖をはじめ多くの湖沼で COD の漸増現象が見られており, その原因は難分解性有機物の蓄積であるとされている 2). 代表的な閉鎖性海域の 1 つである瀬戸内海 ( 大阪湾を除く ) においても COD の漸増が見られ, 大阪湾でも COD は横ばいのまま改善が進んでいない ( 第 2 章参照 ). 海域の有機汚濁に関連する環境基準には COD のほかに TN,TP がある.COD の排出総量規制は 1979 年に始まったが,TN,TP はそれに遅れること 2002 年に開始された. 大阪湾においては,TP は緩やかな低下ないし横ばいが続いているが,TN は近年大きく低下している. 港湾域を除く大阪湾では 2003 年度に TN の環境基準達成率が初めて 100% となり,2010 年度まで 100% が続いている. 日本における海域 COD の公定法は, 過マンガン酸カリウムを用いて有機物を酸化させ酸素消費量を測定する方法 (COD(Mn)) であるが, 酸化率が低く, 有機物の総量を表す指標となっていないことから, より適切な指標の採用が望まれている 3).COD にはこのような問題はあるものの, 海水に含まれる有機物の指標であるのに対し,TN,TP は無機態, 有機態を合わせた窒素, リンの総量を表している. 海水中における窒素の存在形態には, 粒状態有機窒素 (PON), 溶存態有機窒素 (DON), 溶存態無機窒素 (DIN: アンモニア態窒素 [NH4 + -N]+ 亜硝酸態窒素 [NO2- -N]+ 硝酸態窒素 [NO3- -N]) がある. 有機窒素は生物分解を受けて大部分は無機窒素へと形を変え, 有機窒素の一部は生物が利用しにくい難分解性有機窒素として残存するが, 河川や沿岸海域における難分解性有機窒素の知見はほとんど無い.TN の環境基準が達成されるといった水質改善が進む一方で, 大阪湾や播磨灘で行われているノリ養殖では, 栄養塩類不足 ( 特に溶存態無機窒素 :DIN) による色落ち被害が深刻な問題となっている ( 例えば樽谷 4) ). DIN 濃度の低下は, ノリ養殖のみならず海洋生態系における植物プランクトンから始まる生食食物連鎖の円滑な循環を妨げ, 高次生物に至る海域の生物生産動態に大きな影響を及ぼすことが懸念される. 今後, 海域の生物多様性や生物生産力を維持 回復させていくためには, 環境基準である TN と TP 濃度を管理するとともに, 一次生産者 ( ノリや植物プランクトンなどの藻類 ) が利用する DIN を一定濃度確保するような沿岸海域の水質管理が欠かせないと考えられる. 本章では, 大阪湾および淀川, 大和川において 68

73 第 4 章大阪湾における難分解性窒素の動態 採水したサンプルについて有機窒素の生分解試験を行い, 難分解性有機窒素の分 布について検討した. 4.2 材料と方法 難分解性有機物とは今井 5) によれば難分解性有機物の定義は次の通りである. 難分解性溶存有機物 ( 難分解性 DOM:dissolved organic matter) とは 文字通り 分解しにくい溶存態の有機物を意味する. 一般に 溶存態 とは孔径 0.2 μm~ 1μ m のフィールターでろ過したものをいい 難分解性 とは十分な溶存酸素 暗所 一定温度の条件下で 一定期間 細菌 ( バクテリア ) による分解を経た後に残存するものをいう 現地調査水温上昇期の 2011 年 6 月 6,7 日, 最高水温期の 8 月 1,2 日, 下降期の 10 月 4, 5 日に, 大阪湾口から湾奥まで縦断する 5 地点と, 淀川 (JR 赤川鉄橋 : 阪神高速 4 号湾岸線より 12km 上流 ), 大和川 ( 遠里小野橋 : 阪神高速 4 号湾岸線より 4.5km 上流 ) の流心においてそれぞれ表面水を採水した ( 図 4-1). 採水した N 図 4-1 大阪湾における主要な流入河川 ( 淀川, 大和川 ) と 湾内における調査地点 69

74 第 4 章大阪湾における難分解性窒素の動態 サンプルは冷蔵して実験室に持ち帰り, 一部は原液としてそのまま冷蔵保存するとともに, 残りは 400 で 2 時間強熱処理した Whatman GF/C グラスファイバーフィールター ( 孔径 1.2μM) でろ過し, ろ液は 2 以下で冷蔵保存, ろ紙は冷凍保存した. ろ液は原則として 2-3 日以内にオートアナライザー ( ビーエルテック社 SwAAt) により DIN を測定した. また, 原液とろ液について, 概ね 1 週間以内に同じくオートアナライザーにより全窒素 (TN) と全溶存態窒素 (DTN) を測定した. 測定結果から,PON, DON は式 (4-1),(4-2) によって求めた. PON TN DTN (4-1) DON DTN DIN (4-2) ろ紙については,90% アセトン溶液に 24 時間浸漬したのち, 蛍光法によってクロロフィルaとフェオ色素を測定した ( TURNER DESIGNS 社 Fluorometer TD- 700). 得られたクロロフィルaとフェオ色素の合計を光合成色素とした. また, 原液についてはサリノメ-タ ( 鶴見精機社 DIGI AUTO model-3g) により塩分を測定した 生分解試験生分解試験については, 河川水が大阪湾に流入して汽水となり, さらには海水へと混合 拡散しながら生分解を受ける過程を想定したため, 次のようなサンプルの調製を行った. サンプルに大阪湾のバクテリアを接種するため, 南部沿岸海域 ( 大阪府泉南郡岬町多奈川谷川 : 大阪府立環境農林水産総合研究所水産技術センター地先 ) の水深約 3m から汲み上げた海水を, 全体の 1 割になるように添加した. また, 試水は淡水から海水まで塩分が異なるため, 大阪湾の平均表層塩分 ( 約 30 PSU) 以上になるように塩分を調整した. 調整には, 汲み上げ海水を凍結濃縮により約 5 倍程度高塩分化したのちにろ過した海水を添加した. このように調製した試水に含まれる有機窒素のうち, 難分解性のものを定量するため, 今井 5), 仲川ら 6 ) の方法に準じて生分解試験を行った. 方法は, 試水を 500mL 容の三角フラスコに 500mL 入れ, シリコン栓により通気状態を保ち,20 の暗所において 50 回 / 分の振とう条件で 100 日間培養した. 今井 4) にならい, サンプル中の有機窒素のうち 100 日間培養しても残存するものを難分解性有機窒素とした. なお, バクテリア接種用の海水と, 凍結濃縮海水を塩分 30 PSU に希 70

75 第 4 章大阪湾における難分解性窒素の動態 釈した海水についても, それぞれ単体で生分解試験を行って難分解性有機窒素等 の形態別窒素濃度を測定し, 調製したサンプルから差し引くことにより, 元の河 川水, 海水に含まれる難分解性有機窒素濃度を求めた. 4.3 結果と考察 生分解前の形態別窒素 2011 年 6 月,8 月,10 月における形態別窒素濃度と塩分, 光合成色素濃度をそれぞれ図 4-2, 図 4-3, 図 4-4 に示した.PON,DON,DIN の合計である TN は, いずれの月においても大和川で著しく高いが, 淀川の TN は大和川の TN の 形態別窒素 (μm) 年 6 月 PON DON DIN 塩分 (PSU) St.3 St.8 St.15 St.17 St.YD 淀川大和川 光合成色素濃度 (μg/l) 光合成色素濃度 塩分 図 年 6 月採水時の形態別窒素 ( 上 ) と, 塩 分と光合成色素濃度の分布 ( 下 ) 71

76 第 4 章大阪湾における難分解性窒素の動態 形態別窒素 (μm) 年 8 月 PON DON DIN 塩分 (PSU) St.3 St.8 St.15 St.17 St.YD 淀川大和川 光合成色素濃度 (μg/l) 光合成色素濃度 塩分 図 年 10 月採水時の形態別窒素 ( 上 ) と, 塩分と光合成色素濃度の分布 ( 下 ) 72

77 第 4 章大阪湾における難分解性窒素の動態 形態別窒素 (μm) 年 10 月 PON DON DIN 0 塩分 (PSU) St.3 St.8 St.15 St.17 St.YD 淀川大和川 光合成色素濃度 (μg/l) 光合成色素濃度 塩分 図 年 10 月採水時の形態別窒素 ( 上 ) と, 塩分と光合成色素濃度の分布 ( 下 ) 73

78 第 4 章大阪湾における難分解性窒素の動態 24~60% であった. しかし, 国土交通省近畿地方整備局 6) によれば, 淀川の流量 ( m 3 / 秒 ) は大和川の流量 (16.9m 3 / 秒 ) の 10 倍以上あるため (2007~2009 年,6~8 月の平均 ), 大阪湾に対する TN 負荷量としては淀川経由の方が多いと考えられる. 河川水中の TN は 67~85% を DIN が占めていて, 河川水中の PON 濃度は海域におけるそれと同じオーダーであるので, 淀川 大和川からの窒素負荷は主に無機態である DIN の形で流入し, それが PON に変わると考えられる. 河川水中の DON に関しては, 大和川では海域における DON より高いものの, 淀川ではそれと同じオーダーであった. 海域における塩分についてみると, 湾最奥部の淀川河口に位置する St.YD は, 陸水に覆われていたり (6 月 :0.32 PSU), 汽水になったりして (10 月 :16.79 PSU), 淀川河口からの出水状況の違いによって大きく変動した. 特に 6 月は湾奥沖合の St.15 においても塩分が低く (13.16 PSU), 3 回の調査のうちでもっとも出水が大きかった. 海域の TN についてみると, 湾最奥部の St.YD から湾口部の St.3 に向かって概ね濃度が下がっていた.TN の内訳としては,DIN を豊富に含む河川水の影響を受けた低塩分水で DIN が高く, 沖合に拡散して塩分がやや上がったところで PON が最も高くなっていた. この傾向は一般に水温や日射量が高い 6 月と 8 月で顕著であった. 海域における PON と光合成色素濃度の 1 次相関オートると,6 月,8 月,10 月のいずれも決定係数 (R 2 ) は 0.98 以上であり, また, 光合成色素濃度が 0 μ g/l のときの PON の切片は 0.3~2.1 μ M と小さく, 湾内の PON はほぼ植物プランクトンによることが明らかになった. 一方で DON は, 光合成色素濃度が高く, 赤潮状態となった定点において他の定点より高い傾向が見られたが,PON や DIN のように空間的に顕著な濃度差は見られなかった ( 第 2 章の結果と同様 ) 生分解による有機窒素の変化 2011 年 6 月,8 月,10 月における生分解前後の有機窒素の変化を図 4-5, 図 4-6, 図 4-7 に示した. 6 月の St.3 試料における生分解前の DON 濃度は 7.23μM, PON 濃度は 2.61 μ M, 生分解後の DON 濃度は 6.55μM,PON 濃度は 1.24μM であった.St.8 試料における生分解前の DON 濃度は 7.12μM,PON 濃度は 3.46μM, 生分解後の DON 濃度は 6.40μM,PON 濃度は 1.02μM であった.St.15 試料における生分解前の DON 濃度は 11.69μM,PON 濃度は 14.55μM, 生分解後の DON 濃度は 7.10μM, PON 濃度は 2.64μM であった.St.17 試料における生分解前の DON 濃度は 13.49μM, PON 濃度は 31.41μM, 生分解後の DON 濃度は 8.71μM, 74

79 第 4 章大阪湾における難分解性窒素の動態 PON 濃度は 5.65μM であった.St.YD 試料における生分解前の DON 濃度は 9.02 μ M,PON 濃度は 4.43μM, 生分解後の DON 濃度は 6.28μM,PON 濃度は 0.27 μ M であった. 淀川試料における生分解前の DON 濃度は 9.68μM,PON 濃度は 4.94μM, 生分解後の DON 濃度は 6.17μM,PON 濃度は 0.47μM であった. 大和川試料における生分解前の DON 濃度は 26.80μM, PON 濃度は 8.82μM, 生分解後の DON 濃度は 29.84μM,PON 濃度は 0.03μM であった. 8 月の St.3 試料における生分解前の DON 濃度は 7.31μM, PON 濃度は 2.36 μ M, 生分解後の DON 濃度は 6.74μM,PON 濃度は 0.75μM であった.St.8 試料における生分解前の DON 濃度は 7.52μM,PON 濃度は 1.76μM, 生分解後の DON 濃度は 6.51μM,PON 濃度は 1.15μM であった.St.15 試料における生分解前の DON 濃度は 10.22μM,PON 濃度は 14.71μM, 生分解後の DON 濃度は 9.09μM, PON 濃度は 2.79μM であった.St.17 試料における生分解前の DON 濃度は 12.10μM, PON 濃度は 28.73μM, 生分解後の DON 濃度は 10.04μM, PON 濃度は 4.12μM であった.St.YD 試料における生分解前の DON 濃度は 11.25μM,PON 濃度は 20.72μM, 生分解後の DON 濃度は 10.68μM,PON 濃度は 2.04μM であった. 淀川試料における生分解前の DON 濃度は 7.87μM, PON 濃度は 4.47μM, 生分解後の DON 濃度は 6.71μM,PON 濃度は 1.88μM であった. 大和川試料における生分解前の DON 濃度は 13.90μM,PON 濃度は 8.87μM, 生分解後の DON 濃度は 14.97μM,PON 濃度は 0.58μM であった. 10 月の St.3 試料における生分解前の DON 濃度は 6.18μM,PON 濃度は 3.11 μ M, 生分解後の DON 濃度は 6.10μM,PON 濃度は 0.87μM であった.St.8 試料における生分解前の DON 濃度は 6.60μM,PON 濃度は 3.60μM, 生分解後の DON 濃度は 5.81μM,PON 濃度は 0.80μM であった.St.15 試料における生分解前の DON 濃度は 7.69μM,PON 濃度は 5.02μM, 生分解後の DON 濃度は 6.01μM, PON 濃度は 0.95μM であった.St.17 試料における生分解前の DON 濃度は 8.66μM,PON 濃度は 5.19μM, 生分解後の DON 濃度は 6.72μM,PON 濃度は 1.11μM であった.St.YD 試料における生分解前の DON 濃度は 12.65μ M, PON 濃度は 1.27μM, 生分解後の DON 濃度は 7.33μM, PON 濃度は 0.74 μ M であった. 淀川試料における生分解前の DON 濃度は 6.93μM,PON 濃度は 1.20μM, 生分解後の DON 濃度は 7.04μM,PON 濃度は 0.00μM であった. 大和川試料における生分解前の DON 濃度は 22.16μM, PON 濃度は 5.48μM, 生分解後の DON 濃度は 13.87μM,PON 濃度は 3.37μM であった. 大和川は淀川に比べて生分解前後とも有機窒素濃度が高かった.6 月と 8 月の 75

80 第 4 章大阪湾における難分解性窒素の動態 有機窒素 (μm) 年 6 月 (79) (70) (37) (32) DON (49) (45) PON (84) 0day 100day 0day 100day 0day 100day 0day 100day 0day 100day 0day 100day 0day 100day St.3 St.8 St.15 St.17 St.YD 淀川大和川 図 4-5 生分解による有機窒素の変化 (2011 年 6 月 ) 図中の () 内の数字は残存率 (%) を示す 有機窒素 (μm) 年 8 月 (77) (83) (48) (35) (40) DON (70) PON (68) 0day 100day 0day 100day 0day 100day 0day 100day 0day 100day 0day 100day 0day 100day St.3 St.8 St.15 St.17 St.YD 淀川大和川 図 4-6 生分解による有機窒素の変化 (2011 年 8 月 ) 図中の () 内の数字は残存率 (%) を示す 76

81 第 4 章大阪湾における難分解性窒素の動態 有機窒素 (μm) 年 10 月 (75) (65) (55) DON PON (57) (58) (87) (62) 0 0day 100day 0day 100day 0day 100day 0day 100day 0day 100day 0day 100day 0day 100day St.3 St.8 St.15 St.17 St.YD 淀川大和川 図 4-7 生分解による有機窒素の変化 (2011 年 10 月 ) 図中の () 内の数字は残存率 (%) を示す 大和川では, 生分解前 DON より生分解後 DON が高くなっている. 同月の大和川の PON は生分解を受けてほとんどまたは全て可溶化したことから,10 月の大和川の PON より難分解性は低かったと推察される. それにもかかわらず生分解後に DON が増えているのは,6 月と 8 月の生分解前 DON のほとんどの部分が難分解性であったためではないかと考えられた. 淀川における生分解後の有機窒素濃度は大和川よりかなり低く, 赤潮状態でない大阪湾の海水並みであった. 前述した両河川の流量を考慮すると,6 月の淀川からの難分解性有機窒素は 1.5t/ 日, 大和川からのそれは 0.7 t/ 日,8 月の淀川からの難分解性有機窒素は 1.9 t / 日, 大和川からのそれは 0.3 t/ 日,10 月の淀川からの難分解性有機窒素は 1.6 t/ 日, 大和川からのそれは 0.4 t/ 日となり, 陸上起源の難分解性有機窒素の大阪湾に対する負荷は淀川経由のものが卓越していると考えられた. また, 淀川と大和川における有機窒素の残存率は 45%~87% となり, 河川や季節による一定の傾向は見られなかった. 海域における有機窒素の生分解については, 植物プランクトン由来と考えられた PON は生分解によって大部分が可溶化した. 特に光合成色素濃度が高く, 赤潮状態であった 6 月の St.15,St.17,8 月の St.15,St.17, St.YD の PON 残存率は 10~19% であった. 仲川ら 7) は大阪湾および播磨灘で採 77

82 第 4 章大阪湾における難分解性窒素の動態 取した珪藻類 (Skeletonema sp.,chaetoceros affine,coscinodiscus wailesii) のクローン株を植物プランクトン由来の有機物として生分解試験を行ったところ, それらの 20~30% が難分解性有機物 ( 溶存態有機炭素 :DOC) として残存したとしている. 本研究における 6 月の赤潮優占種は Skeletonema spp., 8 月は Thalassiosira spp. ほか 3 種のいずれも珪藻類であった. 有機物の指標として窒素と炭素という異なった元素を用いているため厳密な比較は出来ないが, 仲川ら 7) と本研究による植物プランクトン由来の有機物の残存率は, 概ね同程度ではないかと推察された. PON は大半が生分解または可溶化されたが,DON の残存率は高く, 湾奥部から湾口部に向かって高くなっていた. すなわち, 湾奥部 St.YD は調査月によって残存率が 58~95% と変動があったが, 湾口部 St.3 は 91~99% と安定してほとんど分解されなかった.DOC を指標として大阪湾 播磨灘の表層水を 56 日間生分解した結果によると, 難分解性の炭素はほとんどが溶存態として存在したが 5), 窒素を指標として行った今回の結果も同様であった 難分解性有機物の分布と環境基準大阪湾海域では, 有機窒素の残存率は湾奥 St.17 から湾口 St.3 に向かって高くなることが明らかになった.6 月と同様に 8 月でも, また植物プランクトンによる内部生産が小さい 10 月でも傾向は変わらなかった. これらのことは, 陸域から河川を通じて流入した豊富な DIN を用いて湾奥部で植物プランクトンが有機物 ( 主に PON) を生産し, 有機物は生物分解を受けながら湾口部へと拡散し, 湾口部へ達する頃には易分解性の有機物はほとんどが生分解され, 残存するものは大半が難分解性有機物になっていることを表している. 湾中央部 (St.8)~ 湾口部 (St.3) における難分解性の DON は各調査月とも 6~ 7 μ M 程度存在していた. このことは, 大阪湾の海水中に含まれる TN には, 生物が利用しにくい難分解性窒素がバックグラウンドとして 6~ 7 μ M 程度存在することを意味している. 図 4-8 に大阪湾における TN の環境基準類型指定海域と本研究における調査定点位置を示した. 大阪湾はⅡ,Ⅲ,Ⅳの 3 つの類型に分けられ, それぞれ海域特性に応じた基準値が設定されている. 本研究における調査点での環境基準値と, 各調査時の TN 濃度, その中で難分解性窒素が占める割合を表 4-1 に示した.8 月と 10 月の St.YD が環境基準値を超えているが,St.YD は環境基準点よりかなり陸地寄りで, 淀川河口や港湾部に近いため高濃度であったと考えられる.St.YD 以外は環境基準値を全て下回っており, 前述した TN の環境基準達成率 100% と矛盾しない.TN のうち難分解性窒素が占める割合は, 湾奥のⅣ 類型海域では 19 78

83 第 4 章大阪湾における難分解性窒素の動態 図 4-8 大阪湾における TN の環境基準値 表 4-1 大阪湾の TN 環境基準値と各調査時の TN 濃度 St.3 St.8 St.15 St.17 St.YD 淀川大和川 環境基準値 21 μm (0.3 mg/l) 21 μm (0.3 mg/l) 43 μm (0.6 mg/l) 71 μm (1.0 mg/l) 71 μm (1.0 mg/l) 年 6 月 10 μm (63%) 12 μm (53%) 37 μm (19%) 45 μm (19%) 43 μm (15%) 44 μm (14%) 187 μm (16%) 2011 年 8 月 11 μm (61%) 13 μm (49%) 29 μm (32%) 52 μm (19%) 81 μm (13%) 90 μm (7%) 149 μm (10%) 2011 年 10 月 13 μm (47%) 13 μm (44%) 19 μm (32%) 32 μm (21%) 75 μm (10%) 61 μm (12%) 184 μm (8%) ( 調査時の下段 () 内は難分解性窒素が占める割合 ) 79

9-2_資料9(別添)_栄養塩類管理に係る順応的な取組の検討

9-2_資料9(別添)_栄養塩類管理に係る順応的な取組の検討 資料 9( 別添 ) ノリ養殖を取り巻く環境の変化について 1. 播磨灘 1 1.1 ノリ養殖を取り巻く環境の変化 1 (1) ノリの生産状況の変化 1 (2) 水環境の変化 2 (3) 大型の珪藻類について 5 (4) 降水量との対応 9 1.2 まとめ 1 2. 備讃瀬戸 11 2.1 ノリ養殖を取り巻く環境の変化 11 (1) ノリの生産状況の変化 11 (2) 水環境の変化 12 (3) 大型の珪藻類について

More information

Microsoft Word - 資料2-2

Microsoft Word - 資料2-2 ) 底質中の有機物の増加主要な要因を中心とした連関図における現状の確認結果を表.. に示す その結果をまとめて図.. に示す 表及び図中の表記は ) 底質の泥化と同様である 表.. 底質中の有機物の増加についての現状の確認結果 ( 案 ) ノリの生産活動 底質中の有機物の増加 検討中である 栄養塩の流入 有機物の流入 底質中の有機物の増加 ベントスの減少 底質中の有機物の増加 堆積物食者である底生生物が減少することで底質中の有機物が多くなると考えられる

More information

塩分 大岡分水路 表層 底層 図 1-2 塩分の水平分布 ( 左図 : 表層 右図 : 底層 ) 調査の結果 表層の塩分は 東京湾西岸で低く 東岸に向かうにしたがって高くなる傾向が確認されました 特に 隅田川や荒川 鶴見川, 大岡分水路の河口付近では 塩分が低くなっており これは調査日の3 日前に降

塩分 大岡分水路 表層 底層 図 1-2 塩分の水平分布 ( 左図 : 表層 右図 : 底層 ) 調査の結果 表層の塩分は 東京湾西岸で低く 東岸に向かうにしたがって高くなる傾向が確認されました 特に 隅田川や荒川 鶴見川, 大岡分水路の河口付近では 塩分が低くなっており これは調査日の3 日前に降 別紙 3 平成 3 年度東京湾環境一斉調査の調査結果図等 9 月 7 日までに事務局へ提出されたデータのみを使用して作成しています 追加データ及び今後のデ ータの精査を経て修正する可能性がありますので ご留意ください 1. 海域における調査結果平成 3 年 9 月 7 日までに事務局へ提出されたデータのうち データ数の多い平成 3 年 8 月 1 日の調査結果について 表層 ( 海面下 1m) 底層(

More information

<4D F736F F D F5F8F4390B3816A95788E6D8CDC8CCE82CC90858EBF8AC28BAB82CC95CF89BB8F4390B B7924A90EC816A2E646F63>

<4D F736F F D F5F8F4390B3816A95788E6D8CDC8CCE82CC90858EBF8AC28BAB82CC95CF89BB8F4390B B7924A90EC816A2E646F63> 富士五湖の水質環境の変化 長谷川裕弥, 吉沢一家 Change of the Water quality environment of Fuji Five Lakes Yuya Hasegawa, Kazuya Yoshizawa キーワード : 富士五湖, 透明度, 水質変動, クロロフィル a, リン, 窒素 富士五湖の水質調査は1973 年より 山梨県により公共用水域調査として継続して行われている

More information

環境科学部年報(第16号)-04本文-学位論文の概要.indd

環境科学部年報(第16号)-04本文-学位論文の概要.indd 琵琶湖におけるケイ素画分の特徴とそれに影響を及ぼす要因 安積寿幸 環境動態学専攻 はじめに近年 人間活動の増大が 陸水や海洋において栄養塩 ( 窒素 リン ケイ素 ) の循環に影響を与えている この人間活動の増大は 河川や湖沼 海洋の富栄養化を引き起こすだけでなく ケイ素循環にも影響をおよぼす 特に陸水域における富栄養化やダムの建造は 珪藻生産 珪藻の沈降 堆積を増加させ 陸域から海洋へのケイ素の輸送を減少させる

More information

Microsoft Word - 3.1_3.2章_0802.doc

Microsoft Word - 3.1_3.2章_0802.doc 3.1 湖沼に対する負荷の内訳 第 3 章湖沼水質に影響を及ぼす負荷の把握 湖沼水質に影響を与える負荷には 外部負荷 内部負荷及び直接負荷がある 最近の調査研究では面源負荷 ( 外部負荷の一部 ) の寄与がこれまでの見積もりより大きいことが指摘されている また これにより 湖沼の水質改善を推進するためには 流入負荷対策と合わせて これまで湖沼内に蓄積してきた底泥からの溶出負荷 ( 内部負荷の一部 )

More information

<4D F736F F D F88C990A CC8FAB C91AA8C768E5A8C8B89CA2E646F63>

<4D F736F F D F88C990A CC8FAB C91AA8C768E5A8C8B89CA2E646F63> 伊勢湾の将来予測計算結果 目 次 1. COD... 1 1.1 値の分布状況... 2 1.2 累積度数分布図... 5 2. T-N... 9 2.1 年平均値の分布状況... 1 2.2 累積度数分布図... 12 3. T-P... 15 3.1 年平均値の分布状況... 16 3.2 累積度数分布図... 18 4. 底層 DO... 2 4.1 年最低値の分布状況... 2 4.2 貧酸素の年間発生日数の分布状況...

More information

S1:Chl-a 濃度 18.6μg/L S1:Chl-a 濃度 15.4μg/L B3:Chl-a 濃度 19.5μg/L B3:Chl-a 濃度 11.0μg/L B2:Chl-a 濃度実測値 33.7μg/L 現況 注 ) 調整池は現況の計算対象外である S1:Chl-a 濃度 16.6μg/

S1:Chl-a 濃度 18.6μg/L S1:Chl-a 濃度 15.4μg/L B3:Chl-a 濃度 19.5μg/L B3:Chl-a 濃度 11.0μg/L B2:Chl-a 濃度実測値 33.7μg/L 現況 注 ) 調整池は現況の計算対象外である S1:Chl-a 濃度 16.6μg/ S:Chl-a 濃度 8.6μg/L S:Chl-a 濃度 5.4μg/L B:Chl-a 濃度 9.5μg/L B:Chl-a 濃度 μg/l B:Chl-a 濃度実測値.7μg/L 現況 注 ) 調整池は現況の計算対象外である S:Chl-a 濃度 6.6μg/L S:Chl-a 濃度 4.μg/L B:Chl-a 濃度 8.μg/L B:Chl-a 濃度 μg/l B:Chl-a 濃度 6.4μg/L

More information

水質

水質 34 34. 水質 3 水質 流域の状況 3 金山ダムは 石狩川水系空知川の上流域に位置する ダム流域は森林が約 9% を占めており 流入河川の流入付近が南富良野町の市街地となっている 流域の概要 面積 47km 2 人口 約 2,8 人 ( 南富良野町 H2.9) 土地利用森林が約 9% その他 牧場 農場あり流入河川の流入付近が市街地 36 水質 2 定期水質調査地点 金山ダムでは 流入河川 2

More information

河口域の栄養塩動態 国土交通省国土技術政策総合研究所沿岸海洋研究部海洋環境研究室主任研岡田知也 国土交通省国土技術政策総合研究所

河口域の栄養塩動態 国土交通省国土技術政策総合研究所沿岸海洋研究部海洋環境研究室主任研岡田知也 国土交通省国土技術政策総合研究所 河口域の栄養塩動態 沿岸海洋研究部海洋環境研究室主任研岡田知也 1. 私の研究のモチベーション 高い一次生産 豊富な栄養 本来の河口域 稚仔魚の育成場 高い漁獲量 砂粒子の沈降干潟 浅場の形成ベントスの生息 稚仔魚の生育場 赤潮 多量の負荷 都市部の河口域 沈降 貧酸素水塊の発生 有機物の堆積 劣悪な環境 2. 今日の視点 : 内湾域の環境管理! 河口域 ( 感潮域 ):! ここでの 水質変化 水質変化

More information

S1:Chl-a 濃度 8.5μg/L S1:Chl-a 濃度 8.4μg/L B3:Chl-a 濃度 8.0μg/L B3:Chl-a 濃度 7.5μg/L B2:Chl-a 濃度実測値 67.0μg/L 現況 注 ) 調整池は現況の計算対象外である S1:Chl-a 濃度 8.7μg/L S1:

S1:Chl-a 濃度 8.5μg/L S1:Chl-a 濃度 8.4μg/L B3:Chl-a 濃度 8.0μg/L B3:Chl-a 濃度 7.5μg/L B2:Chl-a 濃度実測値 67.0μg/L 現況 注 ) 調整池は現況の計算対象外である S1:Chl-a 濃度 8.7μg/L S1: S:Chl-a 濃度 8.5μg/L S:Chl-a 濃度 8.4μg/L B:Chl-a 濃度 μg/l B:Chl-a 濃度 7.5μg/L B:Chl-a 濃度実測値 67.μg/L 現況 注 ) 調整池は現況の計算対象外である S:Chl-a 濃度 8.7μg/L S:Chl-a 濃度 8.4μg/L B:Chl-a 濃度 μg/l B:Chl-a 濃度 7.5μg/L B:Chl-a 濃度.μg/L

More information

までの間, 毎月 回の頻度でシャットネラ属プランクトン調査を実施し, 本種の同定及び水質観測を行なった また, 湾内の 点 ( 図 ) においてシャットネラ属プランクトンのシスト分布調査を 6 月と 月に実施し, 採取した試泥をフ 6 AKA 8 FT FN 千葉 BC 8 FT BC FN 千葉

までの間, 毎月 回の頻度でシャットネラ属プランクトン調査を実施し, 本種の同定及び水質観測を行なった また, 湾内の 点 ( 図 ) においてシャットネラ属プランクトンのシスト分布調査を 6 月と 月に実施し, 採取した試泥をフ 6 AKA 8 FT FN 千葉 BC 8 FT BC FN 千葉 課題名 東京湾におけるケイ藻 新奇有害プランクトンの被害防止対策 全体計画 () 目的 99 年代以降, 東京湾では冬季にケイ藻赤潮が多発するようになっており, これに伴う栄養塩不足によってノリの色落ちが発生し, 千葉県のノリ養殖業に大きな被害が生じている このため, 東京湾において多発しているケイ藻赤潮によるノリの色落ち被害について, 原因となっているプランクトン種をモニタリングし, その発生状況と栄養塩環境及びノリの色落ち状況との関係を明らかにする

More information

水質

水質 3 3. 水質 39 水質 流域の状況 39 札内川ダムは 十勝川水系札内川の上流域に位置する ダム流域は 日高山脈襟裳国定公園内に位置しており 森林が % を占めている 流域の概要 面積 7.7km 土地利用森林が % その他 日高山脈襟裳国定公園内に位置する 水質 定期水質調査地点 札内川ダムでは 流入河川 地点 貯水池内 地点 下流河川 地点で 定期水質調査を実施している 竜潭上流 南札内 ダムサイト

More information

淀川水系流域委員会第 71 回委員会 (H20.1 審議参考資料 1-2 河川管理者提供資料

淀川水系流域委員会第 71 回委員会 (H20.1 審議参考資料 1-2 河川管理者提供資料 淀川水系流域委員会第 71 回委員会 (H2.1 審議参考資料 1-2 河川管理者提供資料 -4- -5- -6- -7- -8- -9- -1- -11- 45 197 1 7 1967 19761977 7 69 H19.12.27 1-2-2P.93 34 1975 1977 1976 1967 1975 1-12- 1967 19761977 2-13- 別紙 -159-23-

More information

untitled

untitled 3 4 60 km40 km 20 m 1m2m 3m 1m/s0.5m/s 0.2 m/s 1 2003 ks (1) 0.4 C F 0.4 m/s 0.00140.0025 L (2) 1 1 m m/s 10 0.40 27 6.1 20 0.40 20 6.0 20 0.10 30 8.3 1 g -8-6 B10 10 1954 1995 1978 2005 1980 (1) LB0 B0

More information

(1) 生活排水について 地域の実状に応じ 下水道 浄化槽 農業集落排水施設 コミュニティ プラント等の生活排水処理施設の整備及び高度処理化 適正な施設維持管理等の対策を計画的に推進すること 加えて 合流式下水道の改善の取組を推進すること (2) 指定地域内事業場について これまで行われてきた汚濁負

(1) 生活排水について 地域の実状に応じ 下水道 浄化槽 農業集落排水施設 コミュニティ プラント等の生活排水処理施設の整備及び高度処理化 適正な施設維持管理等の対策を計画的に推進すること 加えて 合流式下水道の改善の取組を推進すること (2) 指定地域内事業場について これまで行われてきた汚濁負 総量削減基本方針 ( 瀬戸内海 ) 対照表 第 8 次総量削減基本方針第 7 次総量削減基本方針第 8 次水質総量削減の在り方答申第 7 次水質総量削減の在り方答申 1 削減の目標 1 削減の目標 2. 目標年度目標年度は平成 31 年度とする 2. 目標年度目標年度は平成 26 年度とする 3. 汚濁負荷量の削減の方途大阪湾においては 窒素及びりんの環境基準の達成状況を勘案しつつ 特に有機汚濁を解消することを目途として

More information

大阪湾再生水質一斉調査の結果について 1. はじめに 大阪湾再生推進会議 では 平成 16 年 3 月に策定した 大阪湾再生行動計画 の一環として 昨年度に引き続き 国 ( 近畿地方整備局 海上保安庁第五管区海上保安本部 ) 及び地方自治体 ( 大阪府 大阪市 兵庫県 神戸市等 ) の参加を得て 陸

大阪湾再生水質一斉調査の結果について 1. はじめに 大阪湾再生推進会議 では 平成 16 年 3 月に策定した 大阪湾再生行動計画 の一環として 昨年度に引き続き 国 ( 近畿地方整備局 海上保安庁第五管区海上保安本部 ) 及び地方自治体 ( 大阪府 大阪市 兵庫県 神戸市等 ) の参加を得て 陸 大阪湾再生水質一斉調査の結果について 1. はじめに 大阪湾再生推進会議 では 平成 16 年 3 月に策定した 大阪湾再生行動計画 の一環として 昨年度に引き続き 国 ( 近畿地方整備局 海上保安庁第五管区海上保安本部 ) 及び地方自治体 ( 大阪府 大阪市 兵庫県 神戸市等 ) の参加を得て 陸域 海域で連携し 平成 17 年 8 月に大阪湾再生水質一斉調査を実施しました 今年度は 昨年度に引き続き土木学会関西支部共同研究グループ

More information

3-3 現地調査 ( カレイ類稚魚生息状況調査 ) 既存文献とヒアリング調査の結果 漁獲の対象となる成魚期の生息環境 移動 回遊形態 食性などの生活史に関する知見については多くの情報を得ることができた しかしながら 東京湾では卵期 浮遊期 極沿岸生活期ならびに沿岸生活期の知見が不足しており これらの

3-3 現地調査 ( カレイ類稚魚生息状況調査 ) 既存文献とヒアリング調査の結果 漁獲の対象となる成魚期の生息環境 移動 回遊形態 食性などの生活史に関する知見については多くの情報を得ることができた しかしながら 東京湾では卵期 浮遊期 極沿岸生活期ならびに沿岸生活期の知見が不足しており これらの 3-3 現地調査 ( カレイ類稚魚生息状況調査 ) 既存文献とヒアリング調査の結果 漁獲の対象となる成魚期の生息環境 移動 回遊形態 食性などの生活史に関する知見については多くの情報を得ることができた しかしながら 東京湾では卵期 浮遊期 極沿岸生活期ならびに沿岸生活期の知見が不足しており これらの成長段階における生息環境 生息条件についての情報を把握することができなかった そこで 本年度は東京湾のイシガレイならびにマコガレイの極沿岸生活期

More information

環境省環境研究総合推進費 戦略研究プロジェクト 実現 を目指した 開発 S -13 S-13 Project テーマ 1 閉鎖性海域 瀬戸内海における 栄養塩濃度管理法 栄養塩農度管理法の開発 テーマリーダー 西嶋 渉 サブテーマ 1 栄養塩濃度管理法開発 サブテーマ 2 干潟 藻場の 栄養物質循環 生物再生産に果たす機能の解明 業務の内容 瀬戸内海の水質管理を現在の一律管理から地政学的 社会的な特性および季節的な変動

More information

里道 恵﨑 杉野 次に毎月の観測データの長期変動を整理し, 水質の経年変化を検討した それぞれのパラメータの経年変化及び長期トレンドを明らかにするため, 前後 6ヶ月づつ合計 13データの移動平均と回帰直線を示した ( ) 水温 13 月移動平均 2. 福岡湾の植物プランクトンの出現傾向

里道 恵﨑 杉野 次に毎月の観測データの長期変動を整理し, 水質の経年変化を検討した それぞれのパラメータの経年変化及び長期トレンドを明らかにするため, 前後 6ヶ月づつ合計 13データの移動平均と回帰直線を示した ( ) 水温 13 月移動平均 2. 福岡湾の植物プランクトンの出現傾向 福岡水海技セ研報第 25 号 215 年 3 月 Bull.Fukuoka.Fisheries.Mar.Technol.Res.Cent.No25. March 215 福岡湾における植物プランクトンの変遷について 里道菜穂子 恵﨑摂 杉野浩二郎 ( 研究部 ) 福岡湾における水質 ( 栄養塩レベル ) と植物プランクトンの長期的な変動から, 水質の変化が植物プランクトン群集に与える影響について検討した

More information

< F2D B4C8ED294AD955C8E9197BF C>

< F2D B4C8ED294AD955C8E9197BF C> 泡の主な原因は植物プランクトンたかやまあわじょう ~ 下流で発生した泡状物質の詳細な調査結果 ~ 平成 24 年 2 月 7 日 8 日 24 日淀川水系の淀川 木津川及び下流で泡状物質が確認されたため 簡易パックテスト及び水質試験を実施した結果 水質に異常は認められなかったこと また泡の発生原因は不明であるが 泡状物質については自然由来のものと考えられるという内容が 淀川水系水質汚濁防止連絡協議会から公表

More information

参考資料2 三河湾の物質循環に関わる情報整理

参考資料2 三河湾の物質循環に関わる情報整理 出典 ) 海洋工学論文集 伊勢湾 三河湾における貧酸素水塊の長期間の挙動とその要因 ( 大島ら 2005 年 ) 図 9.3.3 三河湾における貧酸素水塊の年間累計面積と河川流量の関係 表 9.3.1 三河湾における貧酸素水塊の年間累計面積と環境因子の相互関係 出典 ) 海洋工学論文集 伊勢湾 三河湾における貧酸素水塊の長期間の挙動とその要因 ( 大島ら 2005 年 ) また 愛知県水産試験場では

More information

資料4 大阪湾の状況について.docx

資料4 大阪湾の状況について.docx 資料 4 大阪湾の状況について 第 1 回部会の資料 3 大阪湾の状況及び主な施策の実施状況について における大阪湾の状況に係る内容について 水質の水平分布や漁場分布 幼稚魚の主生息場の状況等を追加した 追加分については 下線を付して示した 1 大阪湾の状況 (1) 概況 ( 地形 ) 大阪湾の海底地形は図 1 に示すとおりであり 湾中央部のおよそ水深 20m 等深線を境に東 側と西側で様相が異なっており

More information

COD COD DIN 99 DIN 9 DIN 9 NPO 7 データの収集について DIN, 溶存無機態リン ( 以下 と記す ) DIN DIN ノリ生産量 DIN アサリ漁獲量 漁獲量 9 経営体数

COD COD DIN 99 DIN 9 DIN 9 NPO 7 データの収集について DIN, 溶存無機態リン ( 以下 と記す ) DIN DIN ノリ生産量 DIN アサリ漁獲量 漁獲量 9 経営体数 Journal of Fisheries Technology7 7 7 7 瀬戸内海の栄養塩環境と漁業 反田實 赤繁悟 有山啓之 山野井英夫 木村博 團昭紀 9 坂本久 佐伯康明 石田祐幸 壽久文 山田卓郎 Nutrient environment and fisheries in the Seto Inland Sea Minoru TANDA, Satoru AKASHIGE, Hiroyuki

More information

Taro-40-11[15号p86-84]気候変動

Taro-40-11[15号p86-84]気候変動 資 料 鹿児島県における気候変動に関する考察 1 福田哲也仮屋園広幸肥後さより東小薗卓志四元聡美満留裕己 1 はじめに近年地球上では気候変動, とりわけ気温上昇が多くの地域で観測されている その現象は我が国においても例外ではなく, 具体的に取りまとめたレポートとして, 文部科学省 気象庁 環境省が, 日本における地球温暖化の影響について現在までの観測結果や将来予測を2013 年に, 日本の気候変動とその影響

More information

2-2 公共用水域水質測定計画の毎データ 8) 期間 :198 年 4 ~1998 年 3 の毎 1 回のデータ地点 : 東京湾西岸の9 地点 ( 図 1) 図中には括弧内に水深 (m) を示した 測定水深 : 下層 ( 海底上 1mの位置 ) 測定項目 : 水温 塩分 リン酸態リン(PO 4 -P

2-2 公共用水域水質測定計画の毎データ 8) 期間 :198 年 4 ~1998 年 3 の毎 1 回のデータ地点 : 東京湾西岸の9 地点 ( 図 1) 図中には括弧内に水深 (m) を示した 測定水深 : 下層 ( 海底上 1mの位置 ) 測定項目 : 水温 塩分 リン酸態リン(PO 4 -P 横浜市環境科学研究所所報第 3 号 211 潮位変動による貧酸素水塊の挙動への影響 二宮勝幸 ( 横浜市環境科学研究所 ) 佐藤寛行 ( 環境保全部環境管理課監視センター ) Effect of tidal current on movement of hypoxia in the west side of Tokyo Bay Katsuyuki Ninomiya(Yokohama Environmental

More information

平成22年度 マハゼ稚仔魚の生息環境調査

平成22年度 マハゼ稚仔魚の生息環境調査 平成 7 年度朝潮運河を中心としたハゼ釣り調査 報告書 平成 8 年 月 財団法人東京水産振興会 株式会社海洋リサーチ 目次 1. 調査目的...1. 実施年月日...1 3. 調査測点...1. 調査項目...5 5. 調査方法...6 6. 調査結果...8 < 添付資料 > 付表 写真帳 1. 調査目的 本調査は 朝潮運河周辺海域におけるマハゼの生息状況及び海域環境を把握するこ とを目的とする.

More information

資料5 汚濁負荷量の状況

資料5 汚濁負荷量の状況 資料 5 汚濁負荷量の状況 1. 指定地域における汚濁負荷量の推移 (1)COD 負荷量水質総量削減が開始された昭和 54 年度におけるCOD 負荷量は 東京湾において 477t/ 日 伊勢湾において 307t/ 日 瀬戸内海において 1,012t/ 日であったがの削減対策の推進により 平成 16 年度におけるCOD 負荷量は 東京湾において 211t/ 日 伊勢湾において186t/ 日 瀬戸内海において561t/

More information

課題名 実施機関 担当者氏名 平成 26 年度 1-(1) 砂質浅海域における環境及び生物多様性調査 Part Ⅱ (*PartⅡは内田執筆) 主担当 : 日本海区水産研究所資源生産部生産環境部 G 従担当 : 瀬戸内海区水産研究所生産環境部藻場 干潟 G : 瀬戸内海区水産研究所生産環境部環境動態

課題名 実施機関 担当者氏名 平成 26 年度 1-(1) 砂質浅海域における環境及び生物多様性調査 Part Ⅱ (*PartⅡは内田執筆) 主担当 : 日本海区水産研究所資源生産部生産環境部 G 従担当 : 瀬戸内海区水産研究所生産環境部藻場 干潟 G : 瀬戸内海区水産研究所生産環境部環境動態 課題名 実施機関 担当者氏名 平成 26 年度 1-(1) 砂質浅海域における環境及び生物多様性調査 Part Ⅱ (*PartⅡは内田執筆) 主担当 : 日本海区水産研究所資源生産部生産環境部 G 従担当 : 瀬戸内海区水産研究所生産環境部藻場 干潟 G : 瀬戸内海区水産研究所生産環境部環境動態 G : 増養殖研究所資源生産部生態系 G 協力機関 : 東京海洋大学千葉県水産総合研究センター東京湾漁業研究所愛知県水産試験場兵庫県農林水産技術総合センター水産技術センター大分県漁業協同組合中津支店熊本県水産研究センター高田宜武

More information

ゆあさテンプレート

ゆあさテンプレート 資料 3 第 7 期湖沼水質保全計画に係る 将来水質予測シミュレーションについて ( 最終 ) 平成 28 年 11 月 滋賀県琵琶湖環境科学研究センター 目 次 1. 将来予測に用いたモデルの概要... 1-1 1.1 はじめに... 1-1 1.2 モデルの概要... 1-1 2. 将来水質予測シミュレーションの結果まとめ... 2-1 2.1 評価方法... 2-1 2.2 結果まとめ...

More information

<4D F736F F F696E74202D2091E58DE398708DC490B68D7393AE8C7689E E693F18AFA816A8A C52E B8CDD8AB B83685D>

<4D F736F F F696E74202D2091E58DE398708DC490B68D7393AE8C7689E E693F18AFA816A8A C52E B8CDD8AB B83685D> 大阪湾再生行動計画 ( 第二期 ) 概要版 平成 26 年 5 月大阪湾再生推進会議 背景 P1 1 大阪湾の特性 2 箇所の湾口 ( 明石海峡 (4km) 紀淡海峡(7km)) を持つ閉鎖性の高い海域 ( 海域面積 :1,450km 2 平均水深 28m) 大きな人口 産業集積を有する集水域を抱える ( 集水面積 11,200km 2 人口 1,745 万人 ) 陸域から大量の汚濁負荷が流入するとともに

More information

また これは数年前の読売新聞のインターネットに出た記事で 非常にセンセイショナルというか 話題になったものです 清き瀬戸内? 魚去る と言って この折れ線が海水中に含まれる窒素の濃度で 右肩下がりに落ちてくると それに従って縦棒で表した漁獲量も どんどん落ちてきますという そういうお話です 一昨年

また これは数年前の読売新聞のインターネットに出た記事で 非常にセンセイショナルというか 話題になったものです 清き瀬戸内? 魚去る と言って この折れ線が海水中に含まれる窒素の濃度で 右肩下がりに落ちてくると それに従って縦棒で表した漁獲量も どんどん落ちてきますという そういうお話です 一昨年 瀬戸内海の環境の現状と問題点 香川大学農学部教授多田邦尚 海グループのグループ リーダーの多田です 海の研究をやっているのですけども 瀬戸内海の現状と我々が今取り組んでいること それから その問題点についてお話ししたいと思います 実は 瀬戸内海は 今 栄養塩濃度が非常に低下しています この図の上が表層水 下が底層水での無機態窒素濃度です 上を見て下さい 無機態窒素濃度は東の和歌山から西へ西へと九州まで見てみますと

More information

(c) (d) (e) 図 及び付表地域別の平均気温の変化 ( 将来気候の現在気候との差 ) 棒グラフが現在気候との差 縦棒は年々変動の標準偏差 ( 左 : 現在気候 右 : 将来気候 ) を示す : 年間 : 春 (3~5 月 ) (c): 夏 (6~8 月 ) (d): 秋 (9~1

(c) (d) (e) 図 及び付表地域別の平均気温の変化 ( 将来気候の現在気候との差 ) 棒グラフが現在気候との差 縦棒は年々変動の標準偏差 ( 左 : 現在気候 右 : 将来気候 ) を示す : 年間 : 春 (3~5 月 ) (c): 夏 (6~8 月 ) (d): 秋 (9~1 第 2 章気温の将来予測 ポイント 年平均気温は 全国的に 2.5~3.5 の上昇が予測される 低緯度より高緯度 夏季より冬季の気温上昇が大きい (2.1.1) 夏季の極端な高温の日の最高気温は 2~3 の上昇が予測される 冬季の極端な低温の日の最低気温は 2.5~4 の上昇が予測される (2.2.2) 冬日 真冬日の日数は北日本を中心に減少し 熱帯夜 猛暑日の日数は東日本 西日本 沖縄 奄美で増加が予測される

More information

DE0087−Ö“ª…v…›

DE0087−Ö“ª…v…› 酸性雨研究センター 2 アジアで増え続けるNOxとVOCs 増え続けるNO2濃度 衛星観測結果 アジアでは 急速な経済発展に伴って オゾ ンの原因物質であるNOx排出量が著しく増え ていると考えられる これを示す証拠として 最 近 対流圏観測衛星GOMEによるNO 2の対 流圏カラム濃度分布の結果が発表された (Richterら, 2005) 図2-1は 東アジアにおけ る1996年と2002年の1月のNO2対流圏濃度

More information

表紙.indd

表紙.indd 教育実践学研究 23,2018 1 Studies of Educational Psychology for Children (Adults) with Intellectual Disabilities * 鳥海順子 TORIUMI Junko 要約 : 本研究では, の動向を把握するために, 日本特殊教育学会における過去 25 年間の学会発表論文について分析を行った 具体的には, 日本特殊教育学会の1982

More information

01-01-05海洋_野崎.indd

01-01-05海洋_野崎.indd 56!"#!"#!$%&'()*+,--...$/ "01!21!3..."45"4 第 5 節 海洋生物の分布とその特殊性 日本海岸 満潮線 干潮線 潮位 平均潮位 太平洋 満潮線 平均潮位 干潮線 図 1 日本近海の海流 黒矢線は暖流 細破線は寒流の流路を示す 色域は表層において暖流系の水の卓越する範囲 色域は寒流 系の水の卓越する範囲 文献 1 をもとに作図 図 2 非調和型 上 金沢 と調和型

More information

言語表記等から推定すると 例えば 沖縄県石垣島では約 8 割を中国製が占めた一方 東京湾岸の富津では日本製がほとんど全てを占めていました ( 別添 1-2) 3 平成 27 年度のモニタリング調査は 調査実施時期が冬期となり日本海側及び北海道沿岸では調査が困難であったため 太平洋側 瀬戸内海沿岸及び

言語表記等から推定すると 例えば 沖縄県石垣島では約 8 割を中国製が占めた一方 東京湾岸の富津では日本製がほとんど全てを占めていました ( 別添 1-2) 3 平成 27 年度のモニタリング調査は 調査実施時期が冬期となり日本海側及び北海道沿岸では調査が困難であったため 太平洋側 瀬戸内海沿岸及び 資料 4 平成 27 年度海洋ごみ調査の結果について 平成 29 年 3 月 23 日 ( 木 ) 環境省水 大気環境局水環境課海洋環境室直通 03-5521-9025 代表 03-3581-3351 室長平野智巳 ( 内線 6630) 室長補佐森田紗世 ( 内線 6631) 担当野々村知之 ( 内線 6509) 甲斐文祥 ( 内線 6615) 環境省では 平成 27 年度に 10 カ所の海岸において漂着ごみ調査等を行い

More information

事業報告-本文.indd

事業報告-本文.indd 陸奥湾の海洋環境とホタテガイの成長に関する研究 伊藤良博 扇田いずみ 吉田達 1 森恭子 小谷健二 高坂祐樹 川村要 目的ホタテガイの生産量は 餌料生物の現存量や水温などの海洋環境に左右されるため 年変動が大きい このため 陸奥湾の海洋環境とホタテガイの成長との関係を解明し ホタテガイの計画的な生産に資する 材料と方法 1. 海洋環境の把握陸奥湾湾口部の海洋環境を把握するため St.100 において

More information

2. エルニーニョ / ラニーニャ現象の日本への影響前記 1. で触れたように エルニーニョ / ラニーニャ現象は周辺の海洋 大気場と密接な関わりを持つ大規模な現象です そのため エルニーニョ / ラニーニャ現象は周辺の海流や大気の流れを通じたテレコネクション ( キーワード ) を経て日本へも影響

2. エルニーニョ / ラニーニャ現象の日本への影響前記 1. で触れたように エルニーニョ / ラニーニャ現象は周辺の海洋 大気場と密接な関わりを持つ大規模な現象です そのため エルニーニョ / ラニーニャ現象は周辺の海流や大気の流れを通じたテレコネクション ( キーワード ) を経て日本へも影響 トピックス エルニーニョ / ラニーニャ現象 2009 年 7 月 10 日に気象庁から エルニーニョ現象が発生しているとの発表がありました 本 Express では 日本の気候にも大きな影響を与えるエルニーニョ / ラニーニャ現象 ( キーワード ) のメカニズムと日本への影響およびその予測可能性と温暖化について説明します 1. エルニーニョ / ラニーニャ現象とはエルニーニョ現象とは 太平洋赤道域の日付変更線付近から南米のペルー沿岸にかけての広い海域で

More information

資料4 検討対象水域の水質予測結果について

資料4 検討対象水域の水質予測結果について 資料 4- 別紙 1 ダム貯水池における水質の高濃度時の気象条件等について 須田貝ダム 須田貝ダムにおいては 平成 7 平成 8 平成 12 及び平成 13 に高濃度の T-P 値が観測されている 高濃度が観測された調査日の降雨状況は 表 1 図 1 及び図 2に示すとおりである 平成 12 は 台風の影響を受けているものではないが 測定日を含む 1 週間の先行降雨量は 69mm と多く 降雨の出水による影響を受けている可能性が考えられる

More information

1-2 再現性向上に関する事項 1 境界水位のチューニング < 済 > 再現性向上のため 境界の水位 各分潮の遅角差を調和定数表や潮位観測結果を基に 複数ケースの計算を行った その結果 表 1.2 に示す調和定数が最適であり 瀬戸内海西部の平均流 特に三津湾沖合の西流を最もよく再現していた 計算の結

1-2 再現性向上に関する事項 1 境界水位のチューニング < 済 > 再現性向上のため 境界の水位 各分潮の遅角差を調和定数表や潮位観測結果を基に 複数ケースの計算を行った その結果 表 1.2 に示す調和定数が最適であり 瀬戸内海西部の平均流 特に三津湾沖合の西流を最もよく再現していた 計算の結 資料 -4 物質収支モデルの構築状況について 1. 昨年度挙げられた課題とその対応状況および本年度の実施事項 1-1 概要昨年度の統括委員会で示したベースモデルには シミュレーション結果の再現性やチューニング 計算条件の与え方などについて課題が挙げられた それらの対応状況について 概要を表 1.1 に 詳細を 1-2 以降に示す 本年度 物質収支モデルを用いて実証試験を評価する上で 構築および機能の追加が必要な事項についても示している

More information

諏訪 気象と黒潮の和歌山県沿岸海域への影響 ついて用意した 水温 塩分分布 本県沿岸における水温 塩分の分布特性を把握するため 各定点各層の水温 塩分について 月毎の 平均値を 12 ヶ月で除した平年値 付表 1 2 を求め これを基に平年分布図を作成した 第 2 3 図 水温-気温 水温-黒潮 塩

諏訪 気象と黒潮の和歌山県沿岸海域への影響 ついて用意した 水温 塩分分布 本県沿岸における水温 塩分の分布特性を把握するため 各定点各層の水温 塩分について 月毎の 平均値を 12 ヶ月で除した平年値 付表 1 2 を求め これを基に平年分布図を作成した 第 2 3 図 水温-気温 水温-黒潮 塩 和歌山県農林水技セ研報 13:105~112,2012 気象と黒潮の和歌山県沿岸海域への影響 諏訪剛和歌山県農林水産総合技術センター水産試験場 The Influence of Weather and Kuroshio on the oastal Waters of Wakayama Prefecture Tsuyoshi Suwa Fisheries Experiment Station Wakayama

More information

< F2D D A92B28DB88CA48B86>

< F2D D A92B28DB88CA48B86> Ann.Rep.Kagoshima Pref.Inst.for E.R.and P.H.Vol.2 (20) 資 料 事業場排水の COD と BOD の関係性について 永井里央貴島宏尾辻裕一 宮ノ原陽子坂元克行長井一文 はじめに鹿児島県では, 水質汚濁防止法及び県公害防止条例に基づき, 県内の事業場排水の監視を行っている このうちBOD( 生物化学的酸素要求量 ) が規制対象となる事業場排水については,COD(

More information

全窒素 (T-N) 全リン (T-P) は 海域の富栄養化の指標です これらの値が高いほど富栄養化 ( 植物プランクトンが増殖し 海中の有機物が増加するとともに これらの有機物を分解する際に酸素が消費され底層で貧酸素化する ) が進行していることを示します 今回の一斉調査結果: 表層の T-N T-

全窒素 (T-N) 全リン (T-P) は 海域の富栄養化の指標です これらの値が高いほど富栄養化 ( 植物プランクトンが増殖し 海中の有機物が増加するとともに これらの有機物を分解する際に酸素が消費され底層で貧酸素化する ) が進行していることを示します 今回の一斉調査結果: 表層の T-N T- 大阪湾再生水質一斉調査の結果について 1. はじめに 大阪湾再生推進会議 では 平成 16 年 3 月に策定した 大阪湾再生行動計画 の一環として 昨年度に引き続き 国 ( 国土交通省近畿地方整備局 海上保安庁第五管区海上保安本部 ) 及び地方自治体 ( 大阪府 兵庫県 大阪市 堺市 神戸市等 ) の参加を得て 陸域 海域で連携し 平成 18 年 8 月に大阪湾再生水質一斉調査を実施しました 今年度は

More information

赤潮発生状況 ( 平成 4 年 4 月 ) 発生 7 件 ( 漁業被害 件 ) 番号発生期間 ( 日間 ) 灘名発生水域赤潮構成プランクトン最高細胞数 ( 個 /ml) 最大面積 (K m) 漁業被害 3/~ 周防灘秋穂湾 ~ 徳山湾 Noctiluca sp. 不明 0.3 無 ( 山口県 ) 4

赤潮発生状況 ( 平成 4 年 4 月 ) 発生 7 件 ( 漁業被害 件 ) 番号発生期間 ( 日間 ) 灘名発生水域赤潮構成プランクトン最高細胞数 ( 個 /ml) 最大面積 (K m) 漁業被害 3/~ 周防灘秋穂湾 ~ 徳山湾 Noctiluca sp. 不明 0.3 無 ( 山口県 ) 4 平成 4 年 4 5 月瀬戸内海の赤潮 水産庁瀬戸内海漁業調整事務所 概要 4 月瀬戸内海では 7 件 ( 前年同月 件 ) の赤潮が発生した 内訳は大阪湾で 3 件 豊後水道で 件 伊予灘, 周防灘で各 件であった 出現した赤潮構成プランクトンは 7 属であった 漁業被害は 件 ( 前年同月 0 件 ) 発生し ともに豊後水道でコクロディニウム属によるものであった 大分県猪串湾では 養殖カンパチ

More information

1

1 1 資料 : Chattonella 属の生活史 Chattonella 属の初期出現は海底泥中に存在するシストに由来すると考えられることから 出現を予測するためには 赤潮発生前の海底泥中のシスト密度の把握が有効である また海底水温が 20 C を越えると発芽が開始されることから (Imai et al. 1991) 遊泳細胞出現のモニタリングを開始する目安となっている Imai I, Itakura

More information

資料1:地球温暖化対策基本法案(環境大臣案の概要)

資料1:地球温暖化対策基本法案(環境大臣案の概要) 地球温暖化対策基本法案 ( 環境大臣案の概要 ) 平成 22 年 2 月 環境省において検討途上の案の概要であり 各方面の意見を受け 今後 変更があり得る 1 目的この法律は 気候系に対して危険な人為的干渉を及ぼすこととならない水準において大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させ地球温暖化を防止すること及び地球温暖化に適応することが人類共通の課題であり すべての主要国が参加する公平なかつ実効性が確保された地球温暖化の防止のための国際的な枠組みの下に地球温暖化の防止に取り組むことが重要であることにかんがみ

More information

注 3) 化学物質環境実態調査 ( 黒本調査 ) は 非意図的生成化学物質汚染実態追跡調査 ( 平成 5 ~13 年度 ) モニタリング調査 ( 平成 14 年度 ~) のデータをまとめた 注 4) 化学物質環境実態調査 ( 黒本調査 ) 内分泌攪乱化学物質における環境実態調査 については 環境中の

注 3) 化学物質環境実態調査 ( 黒本調査 ) は 非意図的生成化学物質汚染実態追跡調査 ( 平成 5 ~13 年度 ) モニタリング調査 ( 平成 14 年度 ~) のデータをまとめた 注 4) 化学物質環境実態調査 ( 黒本調査 ) 内分泌攪乱化学物質における環境実態調査 については 環境中の 資料 3 一般環境中の PCB 濃度レベルに関するモニタリングデータ等 1.PCB 総量 表 1 公共用水域における PCB 濃度測定結果 (PCB 総量 )( 単位 :μg/l) 化学物質環境実態調査 ( 黒本調査 ) 公共用水域水質測定結果 内分泌攪乱化学物質における環境実態調査 年度検出地点超過検体検出値検出試料数 / 数 / 調査検出下限値検出範囲数 / 測定 ( 環境基調査試料数地点数検体数準超過

More information

Microsoft PowerPoint - 第8回小委資料(生物小委:夏場赤潮とりまとめ)2

Microsoft PowerPoint - 第8回小委資料(生物小委:夏場赤潮とりまとめ)2 出典 : 水産総合研究センター 熊本県 鹿児島県 (2013) 平成 24 年度漁場環境 生物多様性保全総合対策委託事業赤潮貧酸素水塊漁業被害防止対策事業 八代海 鹿児島湾における有害赤潮等分布拡大防止報告書, pp.58 31 出典 : 水産総合研究センター 熊本県 鹿児島県 (2013) 平成 24 年度漁場環境 生物多様性保全総合対策委託事業赤潮貧酸素水塊漁業被害防止対策事業 八代海 鹿児島湾における有害赤潮等分布拡大防止報告書,

More information

PowerPoint プレゼンテーション

PowerPoint プレゼンテーション 閉鎖性海域対策の現状 平成 3 年 3 月 17 日 環境省水 大気環境局閉鎖性海域対策室 閉鎖性海域の環境問題 外海 耕作地 畜産 工場 事業場 一般家庭 生活排水 赤潮 赤潮の発生陸からの窒素 リンを栄養として植物プランクトンが大量に繁殖することで発生 沈降 有機物の分解 貧酸素水塊の発生陸からの大量の有機物汚濁物質や プランクトンの死骸が海底で微生物に分解される際に酸素が消費されることで発生

More information

Microsoft PowerPoint - H23.4,22資源説明(サンマ)

Microsoft PowerPoint - H23.4,22資源説明(サンマ) サンマ太平洋北西部系群 -1 資料 2 サンマ太平洋北西部系群 サンマ太平洋北西部系群の生活史と漁場形成模式図 調査海域図 中層トロール 1 区北側 1 区南側 2 区南側 2 区北側 3 区北側 億尾トロ 3 区南側 60 分曳網当たり漁獲尾数 幼魚ネット 西区東区億尾 20 分曳網当たり漁獲尾数 公海を含めた広範囲を調査 解析 サンマ太平洋北西部系群 -2 漁獲量および CPUE の推移 資源量および漁獲割合

More information

群馬県衛生環境研究所年報第45号p.43~47資料(高坂ら)

群馬県衛生環境研究所年報第45号p.43~47資料(高坂ら) 尾瀬沼水質調査およびコカナダモ生育状況観察結果 高坂真一郎山口直哉佐藤侑介松本理沙 * 須藤和久 ** 中島穂泉 Water Quality Monitoring and Observation of Elodea Nuttalli in Lake Oze-Numa in 2012 Shinichirou KOUSAKA,Naoya YAMAGUCHI,Yusuke SATOU, Risa MATSUMOTO,Kazuhisa

More information

Microsoft Word - HP掲載用

Microsoft Word - HP掲載用 瀬戸内海の環境保全 創造研究ワークショップ 瀬戸内海の低栄養化と豊かな海 特定非営利活動法人瀬戸内海研究会議 平成 27 年 11 月 30 日 ( 月 ) 瀬戸内海の環境保全 創造研究ワークショップを神戸市内にて開催しました 瀬戸内海ではノリの不作 漁獲量の低迷といった問題が生じており 栄養塩濃度の低下が原因と考えられています 現在 瀬戸内海は きれいな海 だけではなく 豊かな海 であることも求められています

More information

であり, 大きく北部海域と南部海域に区分される. 北部海域は, 江田島, 能美島, 厳島に囲まれ, 三大湾 ( 大阪湾, 伊勢湾, 東京湾 ) と比べても閉鎖性が強く, 海域容積当たりの発生負荷量も大きい. このため底質の有機汚濁が進んだ状態となっている [3]. 今回調査対象とした海域 ( 図 1

であり, 大きく北部海域と南部海域に区分される. 北部海域は, 江田島, 能美島, 厳島に囲まれ, 三大湾 ( 大阪湾, 伊勢湾, 東京湾 ) と比べても閉鎖性が強く, 海域容積当たりの発生負荷量も大きい. このため底質の有機汚濁が進んだ状態となっている [3]. 今回調査対象とした海域 ( 図 1 広島県立総合技術研究所保健環境センター研究報告,No. 24,p43 50,2016 資 料 広島湾北部海域における底質の分布特性 後田俊直, 山本哲也, 寺内正裕 Characteristics of distribution of sediment quality in the northern Hiroshima Bay TOSHINAO USHIRODA, TETSUYA YAMAMOTO,

More information

<4D F736F F D C482CC31816A E63289F18C9F93A289EF5F8B638E96985E81698A6D92E894C5816A2E646F63>

<4D F736F F D C482CC31816A E63289F18C9F93A289EF5F8B638E96985E81698A6D92E894C5816A2E646F63> 平成 25 年度第 2 回化学物質に関する調査検討会会議録 1 ダイオキシン類環境調査について資料 1 平成 25 年度ダイオキシン類環境調査結果 ( 速報 ) について 及び資料 2 平成 26 年度ダイオキシン類環境調査計画 ( 案 ) について に基づき 事務局から説明 主な質疑 委員 油ヶ淵でダイオキシン類が高くなっていることについて PCP( ペンタクロロフェノール ) などの農薬に由来するとのことだが

More information

中期目標期間の業務実績報告書

中期目標期間の業務実績報告書 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73

More information

<4D F736F F D2095BD90AC F944E E6D8CDC8CCE90858EBF95E291AB92B28DB88C8B89CA2E646F63>

<4D F736F F D2095BD90AC F944E E6D8CDC8CCE90858EBF95E291AB92B28DB88C8B89CA2E646F63> 平成 2 0 年度富士五湖水質補足調査結果 目的 本調査は 富士五湖のより詳細な水質の把握等を目的に 水質汚濁防止法に基づく公共用水域水質測定を補うため 湖水質の水平分布 夏期の貧酸素層の水質等の調査を昭和 5 5 年から実施してきた これまでの調査結果として 各湖の富栄養化度や湖内水質の傾向などが ほぼ明らかになってきた しかし 富栄養化の現象である貧酸素層の形成や赤潮の発生などについては その期間

More information

青森県環境保健センター所報No11

青森県環境保健センター所報No11 Mur 叫 ~ami, .j!f~ : 降雨 1O~30mm 未満, TAAgCTggT~gTggTgggCg ~ 0.05~ ~ ~ 70~90ml 70~90ml 60~80ml 80~90ml 70~90ml 70~80ml 70~80ml 70~90ml 70~90ml 90~100ml 70~90ml 70~100ml 60~80ml 70~80ml 70~80ml

More information

黄砂消散係数 (/Km) 黄砂消散係数 (/Km) 黄砂消散係数 (/Km) 黄砂消散係数 (/Km) 日数 8~ 年度において長崎 松江 富山で観測された気象台黄砂日は合計で延べ 53 日である これらの日におけるの頻度分布を図 6- に示している が.4 以下は全体の約 5% であり.6 以上の

黄砂消散係数 (/Km) 黄砂消散係数 (/Km) 黄砂消散係数 (/Km) 黄砂消散係数 (/Km) 日数 8~ 年度において長崎 松江 富山で観測された気象台黄砂日は合計で延べ 53 日である これらの日におけるの頻度分布を図 6- に示している が.4 以下は全体の約 5% であり.6 以上の 6. ライダー黄砂消散係数と SPM 濃度による黄砂検出の検討 日本における継続的な黄砂観測は気象台での目視によって行われており 視程 km 未満を黄砂現象として報告されている (989 年以降は km 以上も記録 ) 一方 目視による黄砂だけでなく より科学的 定量的手法の活用により広範囲に黄砂飛来を把握できる方法を見出すことも重要である ライダーによる観測では 気象台が観測した黄砂日 ( 以下気象台黄砂日

More information

電気使用量集計 年 月 kw 平均気温冷暖平均 基準比 基準比半期集計年間集計 , , ,

電気使用量集計 年 月 kw 平均気温冷暖平均 基準比 基準比半期集計年間集計 , , , 年 月 kw 平均気温冷暖平均 基準比 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 基準比半期集計年間集計 1 2 3 4 5 6 7 13 5 5,450 18.1 0.1 13 6 7,440 21.6 0.4 13 7 9,482 26.8 23.6 1.1 13 8 6,002 24.4-1.8 冷夏 40,045 13 9 5,412 21.4-1.6 13 11

More information

Microsoft Word - 1.1_kion_4th_newcolor.doc

Microsoft Word - 1.1_kion_4th_newcolor.doc 第 1 章 第 1 章北海道の気候 1.1 気温本節では 北海道内の地上気象観測所およびアメダスで観測された気温の変化について述べる 最初に地上気象観測所で 100 年にわたって観測されてきた年平均気温の長期変化について示し 次に冬日 真冬日 夏日 真夏日の日数変化について示す 最後に アメダスで観測された 1980 年以降の年平均気温の年代ごとの分布状況や地方別の推移について示す 観測データの取り扱いについては付録

More information

1

1 < 参考資料 1> 想定最大規模降雨に関する地域区分について 我が国は 東西南北に広い上 脊梁山脈など地形特性もあり 例えば日本海側 太平洋側等といった地域ごとに気温や降雨などの気象の状況は異なる このため これまで観測された降雨データを用いて想定最大規模降雨を設定するにあたり 降雨の特性の類似する地域に区分することとする 気象現象に関する地域区分については 例えば地域別比流量図 ( クリーガー曲線

More information

Chl.a 濃度 (µg/l) NO 3 -N 濃度 (µg-n/l) DIN 濃度 (µg-n/l) 215 年 11 月から 217 年 11 月にかけて, 隔週で諏訪湖湖心 ( N, E; 図 1) において, 表層 ( m) および底層 (5 m) の湖水をバンド

Chl.a 濃度 (µg/l) NO 3 -N 濃度 (µg-n/l) DIN 濃度 (µg-n/l) 215 年 11 月から 217 年 11 月にかけて, 隔週で諏訪湖湖心 ( N, E; 図 1) において, 表層 ( m) および底層 (5 m) の湖水をバンド ( 原著論文 ) 信州大学環境科学年報 4 号 (218) 諏訪湖流入河川水中ケイ素濃度の分布 横内雅大 1, 内藤秋歩 2, 宮原裕一 3 1 信州大学大学院総合理工学研究科, 2 信州大学理学部, 3 信州大学山岳科学研究所 Distribution of silicon concentration in influent river water into Lake Suwa M. Yokouchi

More information

Microsoft PowerPoint - Ikeda_ ppt [互換モード]

Microsoft PowerPoint - Ikeda_ ppt [互換モード] 東北地方の気候の変化 平成 24 年 3 月 5 日 仙台管区気象台 ヤマセ研究会 池田友紀子 1 写真 :K.Honda 東北地方の気温の変化 東北の年平均気温は 100 年あたり 1.2 の割合で上昇 東北地方の年平均気温 1990 1999 2004 1984 1897 1913 1945 変化率 :1.2 /100 年 東北地方の年平均気温の変化 (1890~2010 年 ) 青森 秋田 宮古

More information

Microsoft Word - hyou1.doc

Microsoft Word - hyou1.doc 5-(2)-7 イベント時における高濃度窒素流入水への対応について 東部第一下水道事務所有明水再生センター高橋昌史 ( 現森ヶ崎水再生センター ) 丸吉秀次小林克巳 ( 現東部第一下水道事務所砂町水再生センター ) 1. 有明水再生センターの特徴有明水再生センター ( 以下 当水再生センター という ) は 砂町処理区の南西端に位置し 臨海副都心地区の汚水を処理している 当水再生センター処理区域の概要を図

More information

Microsoft PowerPoint - temp

Microsoft PowerPoint - temp 琵琶湖流域 琵琶湖の水環境問題の現状と歴史 () 琵琶湖には約 本の河川 ( 級河川 ) が流れ込む 自然の流出河川は瀬田川のみ 天増川 藤子川 百井川 滋賀県立大学井手慎司 / 琵琶湖と集水域 湖盆 沿岸国 日本 湖沼成因 断層湖 気候区 太平洋側気候 日本海側気候 瀬戸内海型気候 流域型 開放型 塩分区分 淡水 標高. m 表面積 km km 流域面積,7 km 容積 7. km. km 最大水深.

More information

横浜市環境科学研究所

横浜市環境科学研究所 周期時系列の統計解析 単回帰分析 io 8 年 3 日 周期時系列に季節調整を行わないで単回帰分析を適用すると, 回帰係数には周期成分の影響が加わる. ここでは, 周期時系列をコサイン関数モデルで近似し単回帰分析によりモデルの回帰係数を求め, 周期成分の影響を検討した. また, その結果を気温時系列に当てはめ, 課題等について考察した. 気温時系列とコサイン関数モデル第 報の結果を利用するので, その一部を再掲する.

More information

( 速報 ) ~ 騒音 振動調査 ( 騒音 )~ 騒音レベル (db) 騒音レベル (db) 各地点の騒音調査結果 騒音調査結果まとめ (L のみ表示 ) NVR-2 NVR-3 L L L9 LAeq L L L9 LAeq 騒音レベル (db) 9 8 7

( 速報 ) ~ 騒音 振動調査 ( 騒音 )~ 騒音レベル (db) 騒音レベル (db) 各地点の騒音調査結果 騒音調査結果まとめ (L のみ表示 ) NVR-2 NVR-3 L L L9 LAeq L L L9 LAeq 騒音レベル (db) 9 8 7 ( 速報 ) ~ 騒音 振動調査 ( 騒音 )~ 騒音調査の結果を以下に示す いずれの測定点も ( 最大値 ) 以外は 特定建設作業に伴って発生する騒音 振動の規制に関する基準 を下回っていることが確認され 騒音の評価値である L は基準を満たしていることが確認された 各地点の騒音調査結果 騒音レベル (db) 9 8 7 6 4 NV-1 L L L9 LAeq 騒音レベル (db) 9 8 7

More information

国土技術政策総合研究所 研究資料

国土技術政策総合研究所 研究資料 4. 参考資料 4.1 高効率固液分離設備の処理性能 (1) 流入水 SS 濃度と SS 除去率 各固形成分濃度の関係高効率固液分離設備は重力沈殿とろ過処理の物理処理であるため SS が主として除去される そのため BOD N P についても固形性成分 (SS 由来 ) が除去され 溶解性成分はほとんど除去されない したがって 高効率固液分離設備での除去性能についてはまず 流入水 SS 濃度から前処理における

More information

資料 3-1 リスク評価 ( 一次 ) 評価 Ⅱ における 1,2,4- トリメチルベンゼンの 評価結果 ( 案 ) について ( 生態影響 ) < 評価結果及び今後の対応について > 1,2,4- トリメチルベンゼン ( 以下 TMB という ) について 生態影響に係る有害性評価として 既存の有

資料 3-1 リスク評価 ( 一次 ) 評価 Ⅱ における 1,2,4- トリメチルベンゼンの 評価結果 ( 案 ) について ( 生態影響 ) < 評価結果及び今後の対応について > 1,2,4- トリメチルベンゼン ( 以下 TMB という ) について 生態影響に係る有害性評価として 既存の有 資料 3-1 リスク評価 ( 一次 ) 評価 Ⅱ における 1,2,4- トリメチルベンゼンの 評価結果 ( 案 ) について ( 生態影響 ) < 評価結果及び今後の対応について > 1,2,4- トリメチルベンゼン ( 以下 TMB という ) について 生態影響に係る有害性評価として 既存の有害性データから水生生物及び底生生物に対する予測無影響濃度 (PNEC) を導出し 1 暴露評価として

More information

本文(横組)2/YAX334AU

本文(横組)2/YAX334AU 群馬県赤城山大沼における湖沼学的研究 日あたりの集水量 B A A B 基底流量 mm d A 湖面を含む集水域の面積 km A 湖水面積 km このとき 上記の値は 地下水流入と考えられる また 漏水は 下記の式で求めた G out B G out 地下水流出量 mm d B 基底流量 mm d 表 9年月日 研究結果 m 湖水面標高 m 最 大 深 度 6 m 最 大 深 度 m 平 均 深 度

More information

☆5 資料3 大阪湾の状況及び主な施策の実施状況について.docx

☆5 資料3 大阪湾の状況及び主な施策の実施状況について.docx 資料 3 大阪湾の状況及び主な施策の実施状況について 瀬戸内海の環境の保全に関する大阪府計画 ( 平成 20 年 5 月 ) に掲げる 目標達成のため講ずる施策 の内容を踏まえ 大阪湾の状況及び主な施策の実施状況について整理した 1 大阪湾の状況 (1) 概況 ( 地形 ) 大阪湾の海底地形は図 1に示すとおりであり 湾中央部のおよそ水深 20m 等深線を境に東側と西側で様相が異なっており 湾奥東部海域では海底勾配が小さく平坦な地形となっている

More information

xlsx

xlsx 平成 7 年 11 月瀬戸内海の赤潮 水産庁瀬戸内海漁業調整事務所 概要 瀬戸内海では 6 件の赤潮が発生した ( 前年同月 件 ) 内訳は播磨 1 件 燧 1 件 周防 1 件 豊後水道 3 件であった 漁業被害は発生しなかった ( 前年同月 件 ) 出現した赤潮構成プランクトンは 5 属であった 土佐湾では赤潮が発生しなかった ( 前年同月 件 ) 熊野では 1 件の赤潮が発生した ( 前年同月

More information

平成21年度東京都内湾 赤潮速報

平成21年度東京都内湾 赤潮速報 平成 29 年度東京都内湾赤潮速報 平成 29 年 9 月 29 日 ( 金 ) 現在更新部分 (1) (2) 東京都環境局では 春から秋を中心として東京都内湾の主として環境基準点で 水質調査等を実施している その結果 赤潮と見られる地点があった場合 その地点と多く観察されたプランクトン種を 以下に速報する また 底層の貧酸素水塊の発生についても判った結果をお知らせする ここでは2.0mg/L 以下を貧酸素状態としている

More information

1 岡山水研報告 32 1~5,2017 岡山県沿岸海域で発生した渦鞭毛藻 Akashiwo sanguinea の増殖等が栄養塩濃度低下に及ぼす影響 山下泰司 Influence of Increase in the Dinoflagellate Akashiwo sanguinea and Ot

1 岡山水研報告 32 1~5,2017 岡山県沿岸海域で発生した渦鞭毛藻 Akashiwo sanguinea の増殖等が栄養塩濃度低下に及ぼす影響 山下泰司 Influence of Increase in the Dinoflagellate Akashiwo sanguinea and Ot 岡山水研報告 ~,7 岡山県沿岸海域で発生した渦鞭毛藻 Akashiwo sanguinea の増殖等が栄養塩濃度低下に及ぼす影響 山下泰司 Influence of Increase in the Dinoflagellate Akashiwo sanguinea and Other Factors on Decrease in Nutrient Concentration in the Coastal

More information

事業報告-本文.indd

事業報告-本文.indd 陸奥湾の海洋環境とホタテガイの成長に関する研究 東野敏及 田中淳也 * 1 吉田達 佐藤晋一 * 2 小倉大二郎 川村要 目的 ホタテガイの生産量は 餌料生物の現存量や水温などの海洋環境に左右されるため 年変動が非常に激しい このため 陸奥湾の海洋環境とホタテガイの成長との関係を解明し ホタテガイの計画的な生産に資する 材料と方法 1 陸奥湾の海洋環境及び餌料環境の把握 (1) 海洋環境の把握 陸奥湾湾口部沖側の定点

More information

平成 27 年 9 月埼玉県東松山環境管理事務所 東松山工業団地における土壌 地下水汚染 平成 23~25 年度地下水モニタリングの結果について 要旨県が平成 20 年度から 23 年度まで東松山工業団地 ( 新郷公園及びその周辺 ) で実施した調査で確認された土壌 地下水汚染 ( 揮発性有機化合物

平成 27 年 9 月埼玉県東松山環境管理事務所 東松山工業団地における土壌 地下水汚染 平成 23~25 年度地下水モニタリングの結果について 要旨県が平成 20 年度から 23 年度まで東松山工業団地 ( 新郷公園及びその周辺 ) で実施した調査で確認された土壌 地下水汚染 ( 揮発性有機化合物 平成 27 年 9 月埼玉県東松山環境管理事務所 東松山工業団地における土壌 地下水汚染 平成 23~25 年度地下水モニタリングの結果について 要旨県が平成 20 年度から 23 年度まで東松山工業団地 ( 新郷公園及びその周辺 ) で実施した調査で確認された土壌 地下水汚染 ( 揮発性有機化合物 (VOC) ポリ塩化ビフェニル (PCB)) について その後の状況変化を把握するために 県及び東松山市は平成

More information

正誤表 ( 抜粋版 ) 気象庁訳 (2015 年 7 月 1 日版 ) 注意 この資料は IPCC 第 5 次評価報告書第 1 作業部会報告書の正誤表を 日本語訳版に関連する部分について抜粋して翻訳 作成したものである この翻訳は IPCC ホームページに掲載された正誤表 (2015 年 4 月 1

正誤表 ( 抜粋版 ) 気象庁訳 (2015 年 7 月 1 日版 ) 注意 この資料は IPCC 第 5 次評価報告書第 1 作業部会報告書の正誤表を 日本語訳版に関連する部分について抜粋して翻訳 作成したものである この翻訳は IPCC ホームページに掲載された正誤表 (2015 年 4 月 1 ( 抜粋版 ) 気象庁訳 (2015 年 7 月 1 日版 ) 注意 この資料は IPCC 第 5 次評価報告書第 1 作業部会報告書のを 日本語訳版に関連する部分について抜粋して翻訳 作成したものである この翻訳は IPCC ホームページに掲載された (2015 年 4 月 17 日版 ) http://www.climatechange2013.org/images/report/wg1ar5_errata_17042015.pdf

More information

Microsoft Word - ホタテガイ外海採苗2013

Microsoft Word - ホタテガイ外海採苗2013 別冊 2 平成 25 年外海採苗調査報告書 平成 25 年 月 サロマ湖養殖漁業協同組合 (1) 外海採苗関係調査 Ⅰ 調査概要 1. 調査目的 概要採苗関係の調査及び採苗予報はサロマ湖におけるホタテガイの採苗事業を安定化することを目的として 大別して次の3 項目の調査を実施している イ ) 浮遊幼生調査産卵した浮遊幼生の出現個体数及び成長状況を確認して採苗器投入時期を予報する ロ ) 付着状況調査採苗器に付着したホタテ稚貝状況の確認

More information

リスクコミュニケーションのための化学物質ファクトシート 2012年版

リスクコミュニケーションのための化学物質ファクトシート 2012年版 trans1,2 ジクロロエチレン 別 名 :1,2 DCE trans1,2dce PRTR 政令番号 :224 ( 旧政令番号 :1119) CAS 番 号 :156605 構 造 式 : trans1,2ジクロロエチレンは 副生成物や分解物として生成され この物質としての用途はないと考えられます 2009 年度の PRTR データでは 環境中への排出量は約 8.5 トンでした すべてが事業所から排出されたもので

More information

go.jp/wdcgg_i.html CD-ROM , IPCC, , ppm 32 / / 17 / / IPCC

go.jp/wdcgg_i.html CD-ROM , IPCC, , ppm 32 / / 17 / / IPCC CH 4 8.4 23 N 2 O 120 296 CFC-11 45 4600 CFC-12 100 10600 CFC-113 85 6000 HCFC-141b 9.3 700 HCFC-142b 19 2400 SF6 3200 22200 IPCC 2001 SF 5 CF 3 1000 17500 CO 50 2 1 100 IPCC 2001 CO 2 IPCC 2001 CH 4 6

More information

B2 Vol. B2-65 No Construction of a Data Set of 45-Year Sea Wind Distribution on the Inner Bay and Inland Sea of Japan Using SDP Winds M

B2 Vol. B2-65 No Construction of a Data Set of 45-Year Sea Wind Distribution on the Inner Bay and Inland Sea of Japan Using SDP Winds M B2 Vol. B2-65 No.1 2009 186-190 Construction of a Data Set of 45-Year Sea Wind Distribution on the Inner Bay and Inland Sea of Japan Using SDP Winds Measurement Data Masataka YAMAGUCHI, Manabu OHFUKU,

More information

公共用水域水質データファイル 利用説明書 検体値 環境省水 大気環境局水環境課 第 1 版作成年月日平成 24 年 8 月 22 日

公共用水域水質データファイル 利用説明書 検体値 環境省水 大気環境局水環境課 第 1 版作成年月日平成 24 年 8 月 22 日 公共用水域水質データファイル 利用説明書 検体値 環境省水 大気環境局水環境課 第 1 版作成年月日平成 24 年 8 月 22 日 1. ファイル仕様 ファイル名全国公共用水域水質データファイル水質汚濁防止法に基づき都道府県等が実施する全国の河川 湖沼 海域における水質監視測定結果について 環境省水 大気環境局水環境課が47 都道府県か概要ら報告を受けたデータをとりまとめ 整備したもの 年間延べ12

More information

Microsoft PowerPoint - 03 榇覆盋.pptx

Microsoft PowerPoint - 03 榇覆盋.pptx 下水処理場における二軸管理下水処理場における運転管理や施設計画等において, 処理水質と消費エネルギーの両面を考慮した現況評価, 目標 対策の見直し, 目標 対策の立案, 対策の実施, 効果の確認を行う際のツールとし, それによって, 処理水質と消費エネルギーを両立させた最適管理を行うこと 新下水道ビジョン ( 平成 年 7 月 ) 流域別下水道整備総合計画調査指針と解説 ( 平成 7 年 1 月改訂

More information

ISSN X 山梨衛公研年報 第53号 2009 山梨の名水百選における水質調査について 辻 敬太郎 佐々木 裕也 小林 浩 清水 源治 Survey of the water quality in the Japanese brand-name water best 100 of

ISSN X 山梨衛公研年報 第53号 2009 山梨の名水百選における水質調査について 辻 敬太郎 佐々木 裕也 小林 浩 清水 源治 Survey of the water quality in the Japanese brand-name water best 100 of ISSN 915-37X 山梨衛公研年報 第53号 9 山梨の名水百選における水質調査について 辻 敬太郎 佐々木 裕也 小林 浩 清水 源治 Survey of the water quality in the Japanese brand-name water best of Yamanashi Keitaro Tsuji,Yuya Sasaki,Hiroshi Kobayashi and Genji

More information

○○プロジェクト報告(ゴシック16pt、センタリング)

○○プロジェクト報告(ゴシック16pt、センタリング) 皇居におけるツツイトモの調査プロジェクト報告 鄭倩 (M2), 馬東 (M2) 環境省皇居外苑管理事務所 1. 概要皇居は面積が約 115 ヘクタールあり 約 5 キロメートルの濠に囲まれ 東京都千代田区のほぼ中央にある観光地である 2008 年にエビモ ツツイトモという沈水植物が大量繁殖した それにより 水質がよくなるか 悪くなるかと考えられる 特に 絶滅危惧種ツツイトモがプランクンの発生を抑え

More information

Microsoft Word - 【セット版】別添資料2)環境省レッドリストカテゴリー(2012)

Microsoft Word - 【セット版】別添資料2)環境省レッドリストカテゴリー(2012) 別添資料 2 環境省レッドリストカテゴリーと判定基準 (2012) カテゴリー ( ランク ) 今回のレッドリストの見直しに際して用いたカテゴリーは下記のとおりであり 第 3 次レッド リスト (2006 2007) で使用されているカテゴリーと同一である レッドリスト 絶滅 (X) 野生絶滅 (W) 絶滅のおそれのある種 ( 種 ) Ⅰ 類 Ⅰ 類 (hreatened) (C+) (C) ⅠB

More information

早稲田大学大学院日本語教育研究科 修士論文概要書 論文題目 ネパール人日本語学習者による日本語のリズム生成 大熊伊宗 2018 年 3 月

早稲田大学大学院日本語教育研究科 修士論文概要書 論文題目 ネパール人日本語学習者による日本語のリズム生成 大熊伊宗 2018 年 3 月 早稲田大学大学院日本語教育研究科 修士論文概要書 論文題目 ネパール人日本語学習者による日本語のリズム生成 大熊伊宗 2018 年 3 月 本研究は ネパール人日本語学習者 ( 以下 NPLS) のリズム生成の特徴を明らかにし NPLS に対する発音学習支援 リズム習得研究に示唆を与えるものである 以下 本論文 の流れに沿って 概要を記述する 第一章序論 第一章では 本研究の問題意識 意義 目的 本論文の構成を記した

More information

閉鎖性湾としての浜名湖における汚濁解消の概念 誌名 東海大学紀要. 海洋学部 ISSN 著者 巻 / 号 松田, 義弘 1 巻 2 号 掲載ページ p 発行年月 2003 年 3 月 農林水産省農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センター Tsukuba Busin

閉鎖性湾としての浜名湖における汚濁解消の概念 誌名 東海大学紀要. 海洋学部 ISSN 著者 巻 / 号 松田, 義弘 1 巻 2 号 掲載ページ p 発行年月 2003 年 3 月 農林水産省農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センター Tsukuba Busin 閉鎖性湾としての浜名湖における汚濁解消の概念 誌名 東海大学紀要 海洋学部 ISSN 387 著者 巻 / 号 松田, 義弘 巻 号 掲載ページ 37-3 発行年月 3 年 3 月 農林水産省農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センター Tkb B-A C S C, A, R C S 海 自然と文化 東海大学紀要 海 洋 学 部 第 巻第 号 3 7 3頁 N 3 7 3 J TS M S T V

More information

1. 水温分布 ( 図 1) 7 月沖合定線海洋観測結果 平成 26 年 7 月 14 日 岩手県水産技術センター TEL: FAX: 全域で表面水温は高め 県南部に北上暖水が流入 1) 本県沿岸

1. 水温分布 ( 図 1) 7 月沖合定線海洋観測結果 平成 26 年 7 月 14 日 岩手県水産技術センター TEL: FAX: 全域で表面水温は高め 県南部に北上暖水が流入 1) 本県沿岸 1. 水温分布 ( 図 1) 7 月沖合定線海洋観測結果 平成 26 年 7 月 14 日 岩手県水産技術センター TEL:0193-26-7915 FAX:0193-26-7920 Email:CE0012@pref.iwate.jp 全域で表面水温は高め 県南部に北上暖水が流入 1) 本県沿岸 10 海里以内の 7 月表面水温は 15~19 台 なお 前月は 11~14 台 前年は 15 ~17

More information

別紙 2 平成 28 年度水環境の状況について 県は 水質汚濁防止法に基づいて 国土交通省 同法の政令市である横浜市 川崎市 相模原市 横須賀市 平塚市 藤沢市 小田原市 茅ヶ崎市 厚木市及び大和市と共同して 公共用水域及び地下水の水質の測定を行いました 1 測定結果の概要 (1) 公共用水域測定結

別紙 2 平成 28 年度水環境の状況について 県は 水質汚濁防止法に基づいて 国土交通省 同法の政令市である横浜市 川崎市 相模原市 横須賀市 平塚市 藤沢市 小田原市 茅ヶ崎市 厚木市及び大和市と共同して 公共用水域及び地下水の水質の測定を行いました 1 測定結果の概要 (1) 公共用水域測定結 別紙 2 平成 28 年度水環境の状況について 県は 水質汚濁防止法に基づいて 国土交通省 同法の政令市である横浜市 川崎市 相模原市 横須賀市 平塚市 藤沢市 小田原市 茅ヶ崎市 厚木市及び大和市と共同して 公共用水域及び地下水の水質の測定を行いました 1 測定結果の概要 (1) 公共用水域測定結果 公共用水域については河川 36 水域 87 地点 湖沼 5 水域 19 地点 海域 13 水域 42

More information

Decomposition and Separation Characteristics of Organic Mud in Kaita Bay by Alkaline and Acid Water TOUCH NARONG Katsuaki KOMAI, Masataka IMAGAWA, Nar

Decomposition and Separation Characteristics of Organic Mud in Kaita Bay by Alkaline and Acid Water TOUCH NARONG Katsuaki KOMAI, Masataka IMAGAWA, Nar Decomposition and Separation Characteristics of Organic Mud in Kaita Bay by Alkaline and Acid Water TOUCH NARONG Katsuaki KOMAI, Masataka IMAGAWA, Narong TOUCH and Tadashi HIBINO Aggravation of water qualities

More information

ンゴ類及びその他底生生物 ) の生息状況を観察した ジグザグに設置したトランセクト ( 交差することのないよう, かつ, 隣り合う調査線の視野末端が重複するように配置された調査線 ) に沿って ROV を航走させ トランセクト上に宝石サンゴがあった場合は 位置 種 サイズ等を記録した 同時に海底の操

ンゴ類及びその他底生生物 ) の生息状況を観察した ジグザグに設置したトランセクト ( 交差することのないよう, かつ, 隣り合う調査線の視野末端が重複するように配置された調査線 ) に沿って ROV を航走させ トランセクト上に宝石サンゴがあった場合は 位置 種 サイズ等を記録した 同時に海底の操 平成 26 年度小笠原諸島周辺海域宝石サンゴ緊急対策事業報告書 1. 背景と目的宝石サンゴは 日本国内では 東京都 ( 小笠原諸島 ) や高知県等の小規模漁業者にとって重要な収入源となっているところであるが 非常に成長が遅く乱獲に弱い資源であることから 東京都や高知県等では知事が定める漁業調整規則により許可制とし 許可隻数や漁具 操業時間に規制を設ける等 漁業の管理を行ってきた しかしながら 中国市場における宝石サンゴの価格上昇を背景に

More information

Microsoft Word - ⊉2-5.宓é†fi湌俚喨僓çfl�å“flè�°ä¼ı_管å”�å–‹çfl�.docx

Microsoft Word - ⊉2-5.宓é†fi湌俚喨僓çfl�å“flè�°ä¼ı_管å”�å–‹çfl�.docx ヤマトシジミに対する貧酸素及び硫化水素の影響 管原庄吾 ( 島根大学大学院総合理工学研究科 ) 清家泰 ( 島根大学エスチュアリー研究センター ) 1. 宍道湖における硫化水素の挙動 背景 目的宍道湖は, 海水と淡水が入り混じる汽水湖である. 宍道湖に海水 ( 高塩水 ) が流入すると, その高塩水は湖底を這うように湖盆部まで移動し, 成層化 ( 低塩分層と高塩分層の 2 層構造が形成 ) する.

More information

4 予測結果では 海側で少し環境目標値を超えているのですけれども 対岸の東海市のところは 新日鐵住金の工場等でしょうか 東海市側も臨港地区になりまして ご指摘の通り新日鐵住金等があるエリアです なお 対岸までの距離は約 1km ですが 住宅地までは約 3.5km です 5 煙源が地面に近く 施工区域

4 予測結果では 海側で少し環境目標値を超えているのですけれども 対岸の東海市のところは 新日鐵住金の工場等でしょうか 東海市側も臨港地区になりまして ご指摘の通り新日鐵住金等があるエリアです なお 対岸までの距離は約 1km ですが 住宅地までは約 3.5km です 5 煙源が地面に近く 施工区域 資料 平成 29 年度第 3 回審査会での質問と回答 ( 金城ふ頭地先公有水面埋立て ) 質問 意見の概要審査会での事務局の回答事業者の補足説明 1 2 準備書 149 頁や 153 頁において 予測結果が環境目標値以下であっても 目標値に対して 8 割から 9 割程度の値の場合には 議論が必要ですか 準備書 149 頁では 工事による寄与率が 1% 未満であり 重合を考慮しても 5% 程度であるため

More information

Microsoft Word - 外海採苗2014

Microsoft Word - 外海採苗2014 平成 2 年外海採苗調査報告書 平成 2 年 7 月 サロマ湖養殖漁業協同組合 (1) 外海採苗関係調査 Ⅰ 調査概要 1. 調査目的 概要採苗関係の調査及び採苗予報はサロマ湖におけるホタテガイの採苗事業を安定化することを目的として 大別して次の3 項目の調査を実施している イ ) 浮遊幼生調査産卵した浮遊幼生の出現個体数及び成長状況を確認して採苗器投入時期を予報する ロ ) 付着状況調査採苗器に付着したホタテ稚貝状況の確認

More information

親と同居の未婚者の最近の状況(2016 年)

親と同居の未婚者の最近の状況(2016 年) 総務省統計研修所 2017 年 2 月 3 日 西文彦 親と同居の未婚者の最近の状況 (2016 年 ) Ⅰ. はじめに総務省統計研修所における調査研究の一環として 近年 一貫して完全失業率の高い 親と同居の未婚者 について研究分析を行ったので その結果の概要を紹介する 以下に述べることは筆者の個人的な見解である Ⅱ. 使用したデータと用語の定義 本稿で紹介する統計は 総務省統計局が毎月実施している労働力調査

More information

Taro-H280701_水質規制関係法令の

Taro-H280701_水質規制関係法令の 第 3 瀬戸内海環境保全特別措置法に基づく手続 1 特定施設の許可申請日最大排水量 50m 3 以上の排出水を公共用水域に排出する者は 特定施設の設置や構造等の変更をしようとするときは 瀬戸内海環境保全特別措置法 ( 以下 瀬戸内法 という ) に基づき事前評価書を添付した許可申請書を提出し 事前に知事 ( 岡山市 倉敷市 新見市では当該市の市長 ) の許可を得なければならない 1 事前評価書について事前評価とは

More information

Microsoft PowerPoint - hama.ppt

Microsoft PowerPoint - hama.ppt 日本南方海域における 亜熱帯モード水の年々変動 2007 年 2 月 2 日 ( 金 ) 3aog1207 濱本拓真 気象庁 HP より はじめに 亜熱帯モード水とは? (Subtropical Mode Water, 以降 STMW) 亜熱帯循環西部 ( 黒潮続流域 ) において冬季の季節風が生み出す強い鉛直混合によって形成される水系 (water type) で 北太平洋の西部亜熱帯域に広く分布している

More information

No. QCVN 08: 2008/BTNMT 地表水質基準に関する国家技術基準 No. QCVN 08: 2008/BTNMT National Technical Regulation on Surface Water Quality 1. 総則 1.1 規定範囲 本規定は 地表水質

No. QCVN 08: 2008/BTNMT 地表水質基準に関する国家技術基準 No. QCVN 08: 2008/BTNMT National Technical Regulation on Surface Water Quality 1. 総則 1.1 規定範囲 本規定は 地表水質 No. QCVN 08: 2008/BTNMT 地表水質基準に関する国家技術基準 No. QCVN 08: 2008/BTNMT National Technical Regulation on Surface Water Quality 1. 総則 1.1 規定範囲 1.1.1 本規定は 地表水質項目の最大許容濃度を定める 1.1.2 本規定は 適切に水を利用し保護するための原則を提供し 地表水の水質の評価及び管理に利用される

More information