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1 博士論文 三浦半島北部の上総層群中部 ( 下部更新統 ) 野島層, 大船層, 小柴層の層序 Stratigraphy of the Lower Pleistocene Nojima, Ofuna and Koshiba formations of the middle Kazusa Group, a forearc basin fill on the northern Miura Peninsula, Pacific side of central Japan 国立大学法人横浜国立大学大学院環境情報学府 野崎篤 Atsushi NOZAKI 2014 年 3 月

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3 博士論文 三浦半島北部の上総層群中部 ( 下部更新統 ) 野島層, 大船層, 小柴層の層序 Stratigraphy of the Lower Pleistocene Nojima, Ofuna and Koshiba formations of the middle Kazusa Group, a forearc basin fill on the northern Miura Peninsula, Pacific side of central Japan 横浜国立大学大学院 環境情報学府環境生命学専攻 学籍番号 10TA004 氏 名 野崎篤 Atsushi NOZAKI 指導教員 間嶋隆一教授 Prof. Ryuichi MAJIMA 平成 26 年 3 月 26 日修了

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5 博士論文三浦半島北部の上総層群中部 ( 下部更新統 ) 野島層, 大船層, 小柴層の層序 Stratigraphy of the Lower Pleistocene Nojima, Ofuna and Koshiba formations of the middle Kazusa Group, a forearc basin fill on the northern Miura Peninsula, Pacific side of central Japan 横浜国立大学大学院環境情報学府環境生命学専攻学籍番号 10TA004 氏名野崎篤 Name Atsushi NOZAKI 責任指導教員間嶋隆一教授 本論文は, 横浜国立大学環境情報学府における 2013 年度博士論文として作成し たものである.

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7 Stratigraphy of the Lower Pleistocene Nojima, Ofuna and Koshiba formations of the middle Kazusa Group, a forearc basin fill on the northern Miura Peninsula, Pacific side of central Japan Atsushi NOZAKI Abstract This study presents the stratigraphy based on field and core observations, nannofossil biostratigraphy, mangetostratigraphy, and stable oxygen isotope fluctuations in foraminiferal tests of the Lower Pleistocene Nojima, Ofuna and Koshiba formations (in ascending order) of the middle Kazusa Group, forearc basin fill sequence exposed on t he northern Miura Peninsula, Pacific side of central Japan. In the study area, the upper most part of the Nojima Formation is exposed and composed of muddy sandstone, sandy mudstone and alternating beds of sandy mudstone and mudstone, intercalating partly slump and slump scar fill deposits; the Ofuna Formation is observed its entire horizons and consists of massive mudstone; and the lower half of the Koshiba Formation is exposed and is composed of sandy mudstone, muddy sandstone and sandstone. They represent fining-upward sequence from the Nojima Formation to the Ofuna Formation overlain by coarsening-upward sequence from the Ofuna Formation to the Koshiba Formation. Slump deposits of the Nojima Formation are characterized by bed deformation structures including foldings, discontinuity of strata, and greatly variable strikes and dips. These structures suggest that their deformations had occurred in their unconsolidated stage. Tuff bed observations revealed that

8 equivalent horizons are partly duplicated in the slump deposits. The slump deposits are overlain by fining upward sequence from conglomeratic sandstone to mudstone, representing channel fill-like facies. Fifty-six of tuff beds have characteristic lithologies and stratigraphic positions that allow them to be traced over considerable distances within the study area. Examination of calcareous nannofossils revealed three nannofossil datum planes: datum 10 (first appearance of large Gephyrocapsa) in the Koshiba Formation, datum 11 (first appearance of Gephyrocapsa oceanica) around boundary between the Ofuna and Koshiba formations and datum 12 (first appearance of Gephyrocapsa caribbeanica) in the Ofuna Forimation. Stable oxygen isotope data from the tests of the planktonic foraminifer Globorotalia inflata ext racted from cores were measured to identify the stratigraphic fluctuations of oxygen isotope ratios that are controlled by glacial interglacial cycles. The observed fluctuations were assigned to marine isotope stages (MISs) on the basis of correlations with nannofossil datum planes. Using the age model so obtained, we estimated the ages of 24 tuff beds. SKT-11 and SKT-12 tuff beds in these have been correlated respectively with the Kd25 and Kd24 tuff beds of the Kiwada Formation on the Boso Peninsula, both of which are widely recognized in Pleistocene strata in Japan. We used our age model to date SKT-11 at 1573 ka and SKT-12 at 1543 ka.

9 目次 Abstract 第 1 章序論 1 第 2 章地質概要 3 第 3 章調査地域の地質 野島層 釜利谷 - 金沢地域 氷取沢 - 金沢地域 瀬上 - 庄戸地域 上郷地域 3-2. 大船層 3-3. 小柴層第 4 章凝灰岩層の記載と対比 16 第 5 章石灰質ナンノ化石層序 19 第 6 章古地磁気層序と帯磁率異方性 古地磁気極性 測定手法 測定結果 6-2. 帯磁率異方性第 7 章野島層の変形構造 釜利谷 - 金沢地域 7-2. 瀬上 - 庄戸地域 7-3. 氷取沢 - 金沢地域

10 第 8 章年代モデル 酸素同位体比測定 測定手法 測定結果 8-2. 石灰質ナンノ化石基準面と海洋同位体ステージとの対応関係 8-3. 海洋同位体ステージの対比 8-4. 年代モデルに基づく凝灰岩層の堆積年代第 9 章結論 46 謝辞 引用文献 図表

11 第 1 章序論関東地方南部の房総半島, 三浦半島, および多摩丘陵地域には後期鮮新世 ( 約 2.5 Ma; 田村ほか, 2010) から中期更新世 (0.43 Ma; 伊藤,1999) に堆積した前弧海盆堆積物である上総層群が露出する ( Fig.1). 上総層群の堆積様式や地質構造は, 房総沖に存在する太平洋プレート, フィリピン海プレートおよびユーラシアプレートの会合する海溝 - 海溝 - 海溝型プレート三重会合点 (McKenzie and Morgan, 1969) による島弧の衝突現象に伴う激しい構造運動に規制されていたと考えられている ( 新妻,1983). この構造運動を反映し, 上総層群は鮮新 - 更新世の層厚数千 mに及ぶ海浜 (Katsura, 1984) から深海 (2000 m 以深 : 北里, 1986) までの堆積物が陸上で観察できる世界でも稀な地層として知られており, 日本の鮮新 - 更新統の模式地の一つとして, 特に房総半島で堆積学的研究, 層序学的研究, 古生物学的研究, 構造地質学的研究などの分野で, 多くの研究が行われてきた. 特に相模トラフに隣接する三浦半島北部に露出する上総層群は, 巨大地震が頻発してきた相模トラフ周辺の構造発達史を理解する上で重要である. 三浦半島の上総層群は, 房総半島の上総層群との岩相や凝灰岩層の組み合わせに基づく層序対比から, 房総半島の上総層群中 - 上部に相当する地層であるとされてきた ( 三梨ほか,1973 など ). しかし, 近年の三浦半島の上総層群における凝灰岩鍵層の対比 ( 藤岡ほか,2003; 高橋ほか,2005; 稲垣ほか,2007; 鈴木 村田,2011) や微化石層序 ( 藤岡ほか, 2003) により, それ以前に行われてきた年代層序は大きく見直されてきた. これらの研究から三浦半島と房総半島の上総層群の対比に見直しが必要であることが示唆され, 同地域における岩相層序や年代層序の再検討が求められる. 三浦半島北部横浜市南部の 瀬上市民の森, 氷取沢市民の森, 金沢市民の森, 釜利谷市民の森 地域には, 下位から上総層群中 - 下部を構成する更 1

12 新統の野島層上部, 大船層, 小柴層下部が露出する ( Fig.2, 3)( 三梨 菊池, 1982; 江藤,1986;Nozaki et al., in press). 三浦半島北部はここ数十年の間に都市化が著しく進み, 多くの自然露頭が失われてきたが, 本研究の調査地となるこれら 市民の森 と呼ばれる緑地帯には, 現在でも多くの自然露頭を観察することができる. また同地域に露出する上総層群には, 鍵層となる凝灰岩層が数多く狭在すること, 断層による地層の変位がほとんど観察されないことなどから, 各露頭単位の柱状図に基づく岩相記載と凝灰岩層の側方への追跡に基づく露頭間の層序対比から岩相層序を確立するうえで適している. 本研究では, 横浜市南部の上総層群中 - 下部の堆積環境を復元するために, 連続柱状図による岩相記載と凝灰岩層の対比に基づき岩相の側方および鉛直変化を明らかにすること, および古地磁気層序, 石灰質ナンノ化石層序, 酸素安定同位体比層序に基づき, 詳細な年代軸を地層中に認定することを目的として研究を行った. 2

13 第 2 章地質概要上総層群 ( 伊田ほか,1956) は下位の中部中新統 - 上部鮮新統三浦層群を不整合に覆い, 房総半島では上位の下部更新統下総層群に, 三浦半島では上位の下部更新統相模層群に不整合に覆われる ( 鈴木ほか,1995). 房総半島において, 上総層群は下位の三浦層群との境界である黒滝不整合に対し東部から中部に向かってアバットする形態を示すことや ( 小池,1951), 東部の方が中部に比べて distal な堆積相を示している (Katsura, 1984) ことなどから, 房総半島の上総層群は房総半島東部を堆積の中心とする堆積盆を埋積した堆積物と解釈されている. 房総半島の上総層群は全体としての上方細粒化シーケンスとその後の上方粗粒化シーケンスを示しており, これは海進 - 海退サイクルと解釈された (Oyama, 1952; 三梨ほか,1959; Mitsunashi et al. 1961; Aoki 1968; Katsura, 1984; Ito and Katsura, 1992). 堆積年代については, 古地磁気層序 (Niitsuma, 1976; Nakagawa and Niitsuma, 1977), 石灰質ナンノ化石層序 (Sato and Takayama, 1988; 佐藤ほか,1988; Takayama et al., 1995; 佐藤ほか,1988, 1999), 有孔虫層序 (Aoki, 1968, 1969; Oda, 1975, 1977), 火山灰層序 (Watanabe and Danhara, 1996; Satoguchi, 1995, 1997; Satoguchi et al., 1999, 2000; Sakai and Kurokawa, 2002a, b; Tamura et al., 2008), 酸素同位体層序 (Okada and Niitsuma, 1989; Pickering et al., 1999; 辻ほか,2005) などの手法により検討されてきた. これらの結果から, 上総層群の海進 - 海退サイクルは主に第 3 オーダーの汎世界的海水準変動を反映していること ( Ito and Katsura, 1992), さらに第 4 第 5オーダーの氷河性海水準変動に伴う堆積シーケンスが上書きしていることが明らかにされた (Ito 1992, 1998; Ito and Katsura 1992, 1993; Pickering et al., 1999; Horikawa et al., 2001; Takano et al., 2004). 3

14 三浦半島に露出する上総層群は最大層厚およそ 800 m( 江藤,1986b,Fig.1 より ), 古水深は 1000 m 以浅 ( 江藤ほか,1987) と, 房総半島に比べて薄い層厚と浅い堆積環境を示すことから, 堆積盆の西縁を占める堆積物であると考えられてきた ( 三梨ほか, 1973 など ). 三浦半島の上総層群の層序は, 大塚 (1937), 鈴木 北崎 (1951), 赤嶺ほか ( 1957), 三梨 菊池 ( 1982), 江藤 (1986a, b) などによってまとめられた ( Table 1). これらのうち江藤ほか (1986) に基づくと, 三浦半島の上総層群は下位から浦郷層, 野島層, 大船層, 小柴層, 中里層, 富岡層の6つに区分される (Fig. 2). 調査地域には, 下位から野島層下部, 大船層, 小柴層下部が, 東西から北西 - 南東走向, 傾斜が北から北東に 5~21 度で露出する (Fig. 3). 野島層下部は主に泥質砂岩, 砂質泥岩, 泥岩 - 砂質泥岩互層からなるが, 一部で砂岩層や砂礫岩層を含む. 大船層は泥岩から, 小柴層は砂質泥岩, 泥質砂岩, 砂岩からなる. 大船層から小柴層にかけては泥岩から砂岩への明瞭な上方粗粒化傾向が見られる. 調査地域の上総層群における底生有孔虫群集に基づく古水深推定から, 野島層中部から上部は上部漸深海帯上部ないし外部亜沿岸帯 ( m), 野島層最上部は真沿岸帯ないし内部亜沿岸帯 ( m ), 大船層下部は上部漸深海帯上部ないし外部亜沿岸帯 ( m), 小柴層下部は真沿岸帯ないし外部亜沿岸帯 ( m) とされた ( 江藤ほか,1987). また貝化石と岩相に基づく古水深推定から, 大船層上部は陸棚縁辺から大陸斜面 ( m), 小柴層下部は外側陸棚から陸棚縁辺 ( m) とされた ( 舘 間嶋,1998; 北崎 間嶋,2003). 大船層から小柴層にかけての上方粗粒化と上方浅海化シーケンスは, 高海水準期堆積体にみられる前進堆積を反映していると考えられる. 調査地に露出する上総層群野島層上部, 大船層, 小柴層下部では, 近年広域凝灰岩対比や微化石層序に基づく年代層序が行われている. 藤岡ほか ( 2003) 4

15 は石灰質ナンノ化石層序解析を行い, 大船層から小柴層に佐藤ほか ( 1999) のナンノ化石基準面 10(large Gephyrocapsa 初産出層準 ), 11 (Gephyrocapsa oceanica 初産出層準 ), 12 (Gephyrocapsa caribbeanica 初産出層準 ) を認定した. また藤岡ほか ( 2003) はこのナンノ化石基準面と, 凝灰岩の鉱物組成や化学組成に基づき, 房総半島の上総層群黄和田層中に狭在する凝灰岩層 Kd38 (1.75Ma: 長橋ほか, 2000),Kd25 (1.65Ma: 長橋ほか, 2000),Kd24 を, 調査地の上総層群中に狭在する Sg1,Sg2,Sg3( それぞれ本論文の NOT-12, SKT-11,SKT-12) にそれぞれ対比した. さらに高橋ほか ( 2005) は黄和田層中に狭在する凝灰岩層 Kd39 (1.76Ma: 長橋ほか, 2000) を調査地の YH02( 本論文における NOT-1) に対比した. 5

16 第 3 章調査地地域の地質調査地の地質図を Fig. 3 に, 岩相図を Fig.4, 5 に, 柱状図 (Traverse 1~78, T-SS1~14, T-HK1~30, ボーリングコア E~J, M~O) を Fig. 6~10 に示した. 以降の記述において, 特に断りのない限り, 層準を示す際は, 柱状図 ( Fig. 6~10) に示された層厚と柱状図に割り当てた番号の組み合わせで示した. たとえば 10.0 [N] はコアNの 10.0 mの層準を示し,30.0~20.0 [4] は Traverse 4 の 30.0 mから 20.0 mにかけての層準を示す. また凝灰岩層や砂岩層が狭在する層準を示す場合, 層厚 50 cm 以下の層はその基底の深度で表記する. 岩相について, 泥質岩層の区分は泥化処理を行い, 含泥率 70% 以上を泥岩, 70~45% を砂質泥岩,45% 以下を泥質砂岩とした. 含泥率の測定は以下の手順によって行った. (1) 試料サンプリング : 砂層 凝灰岩層 コンクリーション部分を除く堆積物試料はチャック付ポリエチレン袋に入れ, ハンマーを用いて 1cm 角程度になるまで粉砕した. なお, 固結度の高い試料は, 袋に入れる前にタガネを用いて試料を大まかに破壊している. 粉砕試料はビーカーに入れ, アルミ箔で軽く蓋をして, オーブン (60 ) で一昼夜乾燥させた. 試料が変わるごとに, コア切り出しおよびコア粉砕に用いた道具は, 無水エタノールに浸したキムワイプで汚れの拭き取りを行った.(2) 乾重量測定 : 含泥率測定のため, 試料の乾重量を測定した. 重量測定後は再度オーブンに戻し, 乾燥させた. 試料の重量は 40g 以上を目安とした.( 3) 硫酸ナトリウム法 : 金属容器をホットプレートにセットし, 溶媒を水として, 飽和硫酸ナトリウム溶液を調製した. オーブンから取り出したコア試料に飽和硫酸ナトリウム溶液を注ぎ, 30 分程度放置した上で上澄みのろ過を行った. 上澄みには有孔虫化石が含まれている可能性があるため, ろ紙に残った微小粒子も回収する. 上澄み除去の済んだビーカーは, アルミ箔で軽く蓋をして室温条件下で数日間放置し, 硫酸ナトリウム 6

17 を晶出させた. 硫酸ナトリウムの晶出した試料には熱湯を注いで結晶を再度溶解させ, 試料を 63μm の開口ふるい上で水洗した. ふるい上に残った試料はビーカーに再度戻し, オーブンで乾燥させた. 水洗に使用した開口ふるいは, 試料を変えるごとに超音波洗浄を行っている.(4) 残渣乾重量測定 保存 : 残渣の乾重量を測定し, 含泥率を求めた. 残渣は肉眼および実体顕微鏡下で粒子を観察することによって処理が済んだか判定し, 未泥化の場合は硫酸ナトリウム ナフサ法を再度行い, 試料分散が完了するまで処理を繰り返した. また含泥率測定の済んだ残渣は, 有孔虫分析試料として保存した. 測定した含泥率の値は Table. 2 および 3 に示す. 一部の含泥率測定を行っていない泥質岩については, 含泥率測定を行った層準の岩相を参考に肉眼観察によって岩相区分を行った. 砂岩層や礫岩層, 凝灰岩層の区分は肉眼観察によった. 調査地で掘削された六本のボーリングコア E ( N, E; コア長 m), F ( N, E; m), G ( N, E; m), H ( N, E; m), I ( N, E; m), J ( N, E; m), M ( N, E; m), N ( N, E; m), O ( N, E; m) は, いずれも 100% の回収率であった. このうちコア E, F, G は層理面に対してほぼ垂直な方向に掘削され, コア H, I,J,M,N,O はいずれも現在の水平面に対し垂直に掘削された. ボーリングコアのうちコアM,N,O については掘削時に現場において, コア J については掘削後に, コア掘削過程で付着した泥質な付着物をブラシで洗浄し, 半割された直径約 7cmの塩ビパイプに収めて木箱に収納した. 現在の水平面に対し垂直に掘削されたコアについては, コア中に狭在する凝灰岩層や砂層がコア表面に表すみかけの層理面の傾斜角を地層の傾斜角として扱った. 掘削されたボーリングコアのうち, コア H, I,M,N について, コ 7

18 ア表面に表れた層が示す層理面の下底と上底の高さの差を測定し, コア直径と合わせて計算することでそれぞれ傾斜角を求めた (Fig. 11~13). なお, 現在の水平面に対して垂直に掘削されたコアのコア深度は地層の厚さを反映しておらず, 実際の地層の厚さはコア深度よりも薄くなる. このため, コア H, I, J,M,N,O は掘削された地点の地層の走向傾斜から層厚の補正を行った. このうちコア I および N については, 一部層準が掘削された地点の走向傾斜から逸脱した値を示している ( Fig. 12, 13). このため, これらのコアの一部層準については正しい層厚を反映していない可能性がある 野島層野島層は大塚 (1957) において調査地から南東におよそ 5kmにある野島に露出する崖 (Fig. 1) を模式地として命名された. 野島層は主に泥質砂岩 砂岩互層と砂質泥岩からなり, 層厚は mである ( 江藤,1986). 調査地域には野島層の上部が露出するが, その岩相は分布域によって異なる岩相を示す. ここでは調査地域を以下の四つの地域に区分しそれぞれの地域ごとに岩相を記述した. すなわち東部から, 釜利谷市民の森から金沢市民公園にかけての地域 ( 以下, 釜利谷 - 金沢地域 ), 氷取沢市民の森から金沢市民の森にかけての地域 ( 氷取沢 - 金沢地域 ), 瀬上市民の森から庄戸公園にかけての地域 ( 瀬上 - 庄戸地域 ), 上郷町西部地域 ( 上郷地域 ) となる 釜利谷 - 金沢地域 (Traverse 47~78; core M, O) 釜利谷 - 金沢地域の柱状図を Fig. 8 に示す. 釜利谷 - 金沢地域の野島層は, 生物擾乱を著しく被った塊状の泥質砂岩から砂質泥岩 - 泥岩互層へ上方細粒化を示し, 上位の大船層に整合漸移する. 泥質砂岩層は層厚 57m 以上, 砂質泥岩 - 泥岩互層は層厚約 90 mである. 長径 1-10mm 程度のスコリアと軽石を多く 8

19 含み, 特にスコリアの含有量は下位の泥質砂岩部で多いが, 上位の砂質泥岩 - 泥岩互層では少ない. 走向傾斜は北東に 5~13 で変化する (Fig. 3, 13) 氷取沢 - 金沢地域 (T-HK1~31; core N) 氷取沢 - 金沢地域の野島層の柱状図を Fig.10 に示す. 氷取沢 - 金沢地域の野島層は岩相と地質構造から大きく五つに分けられ, 下位から泥質砂岩および泥岩 砂質泥岩互層からなるユニット HK-A, 泥岩 - 砂質泥岩互層からなり走向傾斜が多様な値を示すユニット HK-B, 泥質砂岩および砂質泥岩からなり走向傾斜が多様な値を示すユニット HK-C, 礫質砂岩層および泥質砂岩からなるユニット HK-D, 泥岩 砂質泥岩互層からなるユニット HK-E からなる. ユニット HK-A はコアN(101.24~60.91 [N]) とコアN 掘削地点より南部の金沢市民の森地域の露頭 (T-HK23, 26~31) にみられる. 層厚は少なくともおよそ 55 m である. 生物擾乱を著しく被った塊状の泥質砂岩および砂質泥岩 - 泥岩互層からなり, 全体として上方細粒化を示す. 凝灰質で軽石とスコリアが散在するが, その含有量は泥質砂岩部で多く, 砂質泥岩 - 泥岩互層では少ない. 走向傾斜は北東方向に 10~11 で安定している. ユニット HK-C との境界部は明瞭な岩相境界として認識されるが, 両者は数 mm~ 数 cmの凹凸のある面で密着しており, 境界に面はみられず, 粘土層なども狭在しない. コアNにおいてユニット HK-A の傾斜角は,63.5 までは,90.94 [N],81.86 [N] の浸食面 (Fig.12 のコア写真 91.00~90.80 m,81.94~81.76m) を除くと 度までの値で変化するが,63.71 [N] における軽石密集層は 72 度と非常に急な傾斜を示す (Fig. 3 のコア写真 64.94~64.64 m). コアNにおいて上位のユニット HK-SS とは浸食面で境される ( Fig. 12 のコア写真 60.90~61.10 m). ユニット HK-B はコアN 掘削地点より北部の氷取沢市民の森の露頭 (T-HK5, 8-12, 17) にみられる. 層厚は少なくとも 7 mである. 主に生物擾乱を著しく 9

20 被った塊状の泥岩からなるが, 一部に砂質泥岩を狭在する. わずかに軽石が散在する. 走向傾斜は一定の傾向を示さず, 多様な値をとる (Fig. 13). また凝灰岩が引きちぎれてせん滅する様子 (Fig. 17) や, 南北方向の圧縮を示唆する背斜構造など, 変形を示す構造がみられる. ユニット HK-C との境界部は明瞭な岩相境界として認識されるが, 両者は数 mm~ 数 cmの凹凸のある面で密着しており, すべり面はみられず, 粘土層なども狭在しない. また T -HK17 では, ユニット HK-B とユニット HK-B 境界部において, 下位の HK-B の泥岩が上位の HK-C に注入した産状がみられる (Fig. 21). コアNにはユニット HK-B に相当する層準は確認されない. ユニット HK-C は T-HK2~9, 11~18, 20, 23~25 とコアN (58.29~35.69 [N]) にみられる. 生物擾乱を著しく被った塊状の泥質砂岩と砂質泥岩からなり上方細粒化を示す. 層厚は南北方向に大きく変化し,T-HK17 や T-HK 23 では少なくとも約 20mであるのに対し,P-HK1 では約 3mとなる (Fig. 8). 凝灰質で軽石とスコリアが散在するが, その量は上位になるにつれ少なくなる. 走向傾斜は著しく多様な値を示す. 褶曲変形を示す凝灰岩層が観察される (Fig. 18). コアNでの地層の傾斜角は,53.09 [N] の浸食面 (Fig.3 のコア写真 ~53.20 m) を除くと 7 度から 15 度の間で変化する.T-HK1, 2, 4 およびコア Nにおいて, 上位の層準 HK-D に浸食面で境されているのが観察される (Fig. 3 のコア写真 35.80~35.60 m). ユニット HK-D は T-HK1-4, 17, 19, 21~23 およびコアN (10.32~0.85 [N] と 35.69~21.79 [N]) にみられる. 層厚は 35 m 以上から 0.5 mの間で変化する. 主に粗粒 ~ 細粒砂岩からなり, 特に粗粒 - 中粒砂岩が優勢であるが, 上位では細粒砂岩や泥質砂岩への漸移がみられ, 全体として上方細粒化を示す. 大部分は塊状無層理だが,T-HK1, 2, 4, 22 において級化がみられる.HK-C との境界部付近では下位層準を浸食した際に生じたと考えられる泥質岩の偽礫 10

21 を含む (Fig. 22).T-HK19, 21, 22 において主に泥質砂岩からなる岩体が狭在するが, これらの岩体は同層準と考えられる層準に同様の岩相が連続しないことからレンズ状の分布を示していると考えられる. また走向傾斜が著しく多様な値を示す. コアNにおいてユニット HK-D に相当する 10.32~0.85 [N] と 35.69~21.79 [Nの] 間の層準である 21.79~10.32 [N] には泥質砂岩層が狭在するが, 露頭において同層準と考えられる層準にこれと対比される岩体が確認されず, こちらもレンズ状の分布であることが推定される. これらの泥質砂岩層は HK-D の砂礫岩層中に狭在するブロックと考えられる. ユニット HK-E は Traverse 39~41 にみられ, 塊状の泥岩 - 砂質泥岩互層からなる. 層厚は約 18 mである. 泥質砂岩部には軽石がわずかに散在するが, 泥岩部には軽石は少ない. 走向傾斜は北東に 10~13 で安定している. 上位の大船層へ整合漸移する. コアNの 60.91~58.29 [N] においてのみみられるユニット HK-F が, ユニット HK-Aと HK-C の間に狭在する (Fig. 12). 主に細粒砂岩層からなるが, 最下部の 60.91~60.85 [N] は中粒砂岩層から, 60.44~60.35 [N] は軽石の散在する泥質砂岩層からなる ~58.27 [N] と 60.69~60.65 [N] には葉理が見られる.60.91~60.44 [N] は下位から, 無層理の中粒砂岩 (60.91~60.85 [N]), 無層理の細粒砂岩 (60.85~60.69 [N]), 葉理がみられる細粒砂岩 (60.69 ~60.65 [N]), 塊状の細粒砂岩 (60.65~60.44 [N]), 泥質砂岩 (60.44~60.35 [N]) へと上方細粒化傾向がみられる. 地層の傾斜角は, 基底部 ( [N]) の浸食面の 20 度 (Fig. 12 のコア写真 61.10~60.90m) を除くと 14 度から 11 度の間で変化しており, 上位ほど傾斜角は小さくなる傾向がある. 傾斜角の平均値は浸食面を除くと 12 度となる (Fig. 12). 上位のユニット HK-C との境界は明瞭であるが浸食面はみられず, 層準 HK-F の細粒砂岩がユニット HK-C の泥質砂岩中に貫入しているような構造が見られる ( Fig. 12 のコア写真

22 ~58.40 m). コア N でのみ観察され, 露頭には類似する岩相は見られない 瀬上 - 庄戸地域 (Traverse 26, 27, 35~38, SS-1~14, core F~I) 瀬上 - 庄戸地域の柱状図を Fig.10 に示す. 瀬上 - 庄戸地域の野島層は岩相と地質構造から大きく四つの層準に分けられ, 泥岩 砂質泥岩互層および細粒砂岩層からなり走向傾斜が多様な値を示すユニット SS-A, 礫質砂岩層および泥質砂岩からなるユニット SS-B, 泥岩 砂質泥岩互層からなるユニット SS-C からなる. ユニット SS-A は Traverse 35, 38, T-SS2~7, 10, 13, 14 およびコア F (9.7 ~25.0 m), G (12.5~50.0 m), H (3.9~26.0 m), I(38.2~103.0; 楠ほか,2014 の層準 A および B に相当 ;Fig. 14) にみられる. 層厚は少なくとも 65mである (Fig. 10). 主に軽石がわずかに散在する塊状無層理の泥岩 - 泥質砂岩互層からなるが, 上位では塊状無層理の細粒 - 中粒砂岩層へ粗粒化する. 泥岩から砂岩への粗粒化は層厚 10cm 程度のごく狭い層準で急激に生じている. 露頭で測定された走向傾斜は一定の傾向を示さず, 多様な値を示す (Fig. 13). またコアG,H,I における層理面の傾斜角は 8~61 と多様な値を示す (Fig. 14). 露頭およびコア間で対比される凝灰岩層は見出されていない. ユニット SS-B は Traverse 35, 38, T-SS1~3, 5, 6, 8, 11~13 およびコア F (0~9.7 m), G (0.8~12.5 m), H (0~3.9 m), I(29.8~38.2 m; 楠ほか,2014 の層準 Cの砂岩部に相当 ;Fig. 14) にみられる. 主に粗粒 - 中粒砂岩からなり, 細粒砂岩, 泥質砂岩へと上方細粒化する. 層厚は 3~15 m である. 基底部は礫質で, 長径数 cm から最大 2 m 以上に達する泥質岩の偽礫を含む. コア I, F や T-SS7 および 8 では軽石を多く含む.T-SS 11 では明瞭な Bouma sequence が観察されることから, 混濁流による堆積が示唆される. ユニット SS-C は Traverse 26, 27, 35~42, T-SS1 およびコアIの 0~

23 ( 楠ほか,2014 の層準 Cの泥岩 - 砂質泥岩互層部に相当 ) にみられる. 層厚は 20~25 m である. 塊状の泥岩 - 砂質泥岩互層からなり, 軽石がわずかに散在する. 走向傾斜は北東に 10~13 で安定している. 上位の大船層へ整合漸移する 上郷地域 (Core E, Traverse 32~34) 上郷地域の野島層は Traverse 32~34 およびコアEの 91.5~103.2 m にみられる. 層厚は少なくとも 14~25 mである. 軽石がわずかに散在する砂質泥岩層からなる. 上位の大船層へ整合漸移する 大船層大船層は大塚 (1937) によって命名され, 調査地から約 5km 西方にある大船駅西側の丘陵地を模式地とする (Fig. 1c). 直径 1-10mm 程度の軽石とスコリアがわずかに散在する塊状泥岩層からなり凝灰岩層の薄層がわずかに狭在 する. 層厚 1-4 c m 程度の極細粒から細粒砂岩層がわずかに狭在し ( [20], [E], [E], [I], [I]), 一部はレンズ状を呈する. またコアEの [E] にある細粒砂岩層には平行葉理がみられる. 含泥率は層位によって異なり, 中位 ( 凝灰岩層 OFT-26 と OFT-30 の間 ) が最も高く 90% に達する (11.96[22], [E]; table 2) が, それより上位と下位ではより低い値を示す. 層厚は東から西にかけて変化し, 東側 (traverse 17 から traverse 45) では 100 m 以上に達するが, 西側 (core E) では 73mである (Fig. 4, 5). 調査地域の野島層と大船層境界付近の岩相は, 西部で泥質砂岩 ( 野島層 ) が, 東部で泥岩 ( 大船層 ) が卓越する. 瀬上市民の森東部から氷取沢市民の森西部で泥質砂岩と泥岩が互層状となっており ( 野島層 ), これは西部が proximal 13

24 な環境 ( 浅海相 ) を, 東部はより深い distal な環境 ( 深海層 ) を反映していると考えられる. 本論では, この泥岩と泥質砂岩の指交関係について, 泥質砂岩 - 泥岩互層からなる層準 ( 上郷地域の全層準, 瀬上 - 庄戸地域のユニット SS- D, 氷取沢 - 金沢地域の HK-E, 釜利谷 - 金沢地域の砂質泥岩 - 泥岩互層 ) より下位を野島層とした. この定義により, 野島層と大船層の地層境界と凝灰岩層 NOT-1,NOT-2,NOT-9,NOT-12 は交差する (Fig. 4~7). すなわち地層境界は, 調査地北西部から中部 (traverses 26, 27, 34~37, 39, 40 and core I, E) にかけては NOT-12 の上位にあるが, 南西部 (traverses 43, 44, 45,core M) では NOT-1 凝灰岩の下位となる 小柴層小柴層は大塚 (1937) によって定義され, 調査地から約 5km 東方にある小柴海岸の崖を模式地とする (Fig. 1c). 調査地域での層厚は 49m 以上である (Fig. 6). 岩相は三つに区分され, 下位から層厚 7mから 11mの砂質泥岩, 層厚 19mから 26m 以上の泥質砂岩, 層厚 19m 以上の砂岩からなり, 全体として上方粗粒化を示す (Fig. 6,7). 全体は凝灰質で, 直径 1-15mm 程度の軽石とスコリアを多く含む. 直径 1-2cm, 長さ 3-10cmの泥岩からなる巣穴化石を多く含み, このうち凝灰岩層 SKT-7 と SKT-17 の間の層準にはパイプ状構造を持つ巣穴化石がとくに密集し, これらは Rosselia sp と推定される. 砂岩部は主に細粒砂岩と中粒砂岩が卓越し, 層厚 2-18cmの中粒砂岩や粗粒砂岩を含む. 一部で平行葉理 ( [4], [4]) やトラフ型斜交層理 ( [4]) がみられる (Fig. 6,7). 斜交層理からは北から北東方向の古流向が得られている ( 長浜ほか,1974; 舘 間嶋 1998; 間嶋ほか, 1996). Traverse 1-2, 7, コアEからは, オウナガイ類, ツキガイ類, キヌタレガイ類からなる化学合成化石群集と著しく低い炭素安定同位体比を示す自生炭酸 14

25 塩の共産が報告されており, 同地点で過去にメタン湧水が生じていたことが推定された ( 間嶋ほか,1996; 舘 間嶋,1998;Kitazaki and Majima, 2003; 坪井ほか,2010). 大船層と小柴層の地層境界は, 先行研究において大船層から小柴層にかけての上方粗粒化シーケンスにおける泥岩と砂質泥岩の境界と定義され ( 舘 間嶋, 1998; Kitazaki and Majima 2003), 本論でもその定義に従った (Figs. 3, 4). 大船層と小柴層の地層境界は, 鍵層凝灰岩によって示される時間面にほぼ平行であるが,Traverse 5 においてのみ, 他の露頭やコアでは大船層中に狭在する凝灰岩層 OFT-38 が小柴層の層準に狭在しており, 時間面と斜交する. 15

26 第 4 章凝灰岩層の記載と対比調査地の野島層から小柴層にかけて計 341 枚の凝灰岩層がそれぞれ見出された. このうち特徴的な凝灰岩について, 構成物質, 粒度, 層厚, 色, 層位関係と組み合わせに基づきコアや露頭で凝灰岩層の対比を行った. 対比される凝灰岩の名称について, 野島層のみに狭在するものには接頭辞として NT を, 大船層と野島層の両方にまたがるものについては NOT を, 大船層のみに狭在するものには OFT を, 小柴層のみに狭在するものには SKT をそれぞれ用いた. NT-1 から NT-22,NOT-1 から NOT-12,OFT-1 から OFT-38, SKT-1 から SKT-20 の計 56 枚の凝灰岩層が対比された. 凝灰岩層は Heiken and Wohletz (1985, pp ) による粒径に基づく区分に従い, 細粒火山灰層, 粗粒火山灰層, 凝灰角礫岩層に区分し, さらにこのうち凝灰角礫岩層については軽石凝灰角礫岩層とスコリア凝灰角礫岩層に区分した. 細粒火山灰層は, 主に 1/16mm 以下の粒子からなり, 主な構成物質は火山ガラスである. 色は白色あるいは薄桃色を呈する. 粗粒火山灰層は,1/16 mmより大きく 2mmより小さい粒子からなり, 主な構成物質は軽石, スコリア, 火山ガラスである. 軽石質凝灰角礫岩層は主に2mm 以上の軽石からなるが, 多くは, 軽石と同程度の量のスコリアを含む. スコリア凝灰角礫岩層は 2 mm 以上のスコリアのみからなるが,SKT-4 のみわずかに軽石を含む. 狭在する凝灰岩のうち, 特徴的な岩相やそれぞれの凝灰岩の層位関係に基づき凝灰岩層の対比を行った. また一部の凝灰岩層と砂岩層は, 試料を洗浄 乾燥させた後,125-63μm の粒子を 500 粒以上拾い出して鉱物同定を行い, 鉱物組成比を明らかにした ( 手法は黒川,2005 による ). 測定試料と結果を Table 3 に示す. また NT-4 および NT-16 については粗粒部 (unit A) から μ mサイズの火山ガラスを拾い出し屈折率を測定した. 測定には温度変化型屈折率測定装置 ( 神奈川県温泉地学研究所所有 ) を使用し, 一試料につき 30 個以 16

27 上を計測した. これらの対比の結果,56 枚の凝灰岩が調査地域で追跡された. 対比される凝灰岩とその特徴について Table 3 に示す. また, 鉱物組成及び屈折率測定の結果については Table 4 に示す. 氷取沢 - 金沢地域において, 上下関係にある層準 HK-Aと層準 HK-Cで同一と考えられる凝灰岩層の繰り返しが確認された. これらの凝灰岩層についての記載と対比の根拠を以下に述べる. この結果から, 層準 HK-Aと層準 HK-C で地層が重複していることが推定される. NT-3( 層準 HK-A) と NT-15( 層準 HK-C) NT-3 は T-HK27,28 およびコアNの [N] (Fig. 12 のコア写真 ~95.70 m) に,NT-14 は T-HK5, 6, 17, 20, 23 にそれぞれ狭在する凝灰岩層 (Fig. 9). 層準 HK-Aの [N] (Fig. 12 のコア写真 96.00~95.70 m) と層準 HK-C の [N](Fig. 12 のコア写真 57.44~57.14 m) に狭在する.NT-3 と NT-15 のいずれも主に長径 4~6 mmの灰色がかった軽石からなり, 長径 3~4 mmのスコリアを 30~40% 含む. 層厚は層準 HK-A では 15 cm, 層準 NC では 22cmである. NT-4( 層準 HK-A) と NT-16( 層準 HK-C) NT-4 はT-27, 28 およびコアNの [N] (Fig. 3 のコア写真 94.44~ m) に,NT-16 はT-5, 6, 7, 8, 17, 18, 20, 23, コアNの [N](Fig. 3 のコア写真 56.24~56.02 m) に狭在する.NT-4 と NT-15 のいずれも, 下位から長径 1mmの軽石質凝灰岩層 ( unit A), 長径 2~3mmの軽石からなり, シルトサイズの白色ガラス質凝灰岩層をレンズ状に含む凝灰岩層 ( unit B), 長径 1~3 mmの軽石が散在する泥岩層 ( unit C), 長径 1~2 mm のスコリア質凝灰岩層 (unit D) からなる. 層厚は NT-4 では unit A が 5 cm,unit B が 3~4 cm,unit C が 2~3 cm,unit D が 1 cm であり,NT-15 では unit A が 5cm,unit B が 2~3cm,unit C が 2~3 cm,unit D が 2 cm である. 17

28 このうち unit A はガラスを 5~6%, 斜長石を 56~58%, 普通輝石を約 17%, 斜方輝石を約 10~11% 含む (Table. 4). また unit A の火山ガラスの屈折率は二つのモードがみられるという特徴を示す ( Table. 4). NT-9( 層準 HK-A) と NT-18( 層準 HK-C) NT-9 は T-HK23 とコア N の [N](Fig. 12 のコア写真 76.20~75.98 m) に,NT-18 は T-HK5, 6, 9, 12, 17, 20, 23, コアNの [N] (Fig. 12 のコア写真 46.10~ m) にそれぞれ狭在する. また NT-9 はコアMの [M](Fig. 11 のコア写真 ~ m) にも狭在している.NT-9 は長径 1~2mm,NT-18 は長径 2~3 mm の白色軽石からなり, いずれも長径 1~3 mm のスコリアを約 3% 含む. また普通輝石を約 8~11%, 斜方輝石を約 5~7% 含む (Table. 5). NT-10( 層準 HK-A) と NT-20( 層準 HK-C) NT-10 はコアNの [N](Fig. 3 のコア写真 75.46~75.30 m) に,NT-20 は T-HK5, 6, 9, 12, 17, 20, 23, コア N の [N] (Fig. 3 のコア写真 ~45.16 m) に狭在する黒 ~ 灰色の凝灰質細粒 ~ 中粒砂岩層. 長径 0.5~1mm の軽石がわずかに散在する. 層厚は NT-10 が 3cm,NT-20 が 5cmである. 火山ガラスを 5~6%, 斜長石を 71~74%, 石英を 2~3%, 普通輝石を 3%, 斜方輝石を 10%, かんらん石を1% 含む (Table. 5). NT-12( 層準 HK-A) と NT-23( 層準 HK-C) NT-12 はコア N の [N](Fig. 3 のコア写真 66.66~66.48 m) に,NT-23 はT-HK5, 6, 7, 17, 20, 23, コアNの [N](Fig. 3 のコア写真 39.48~ m) に狭在する細粒凝灰岩層.NT-12 と NT-23 のいずれも長径 2~3 m mの軽石からなり, 長径 1~2 mmのスコリアを約 10 % 含む. 層厚はどちらも 2cmである. 火山ガラスを 57~62%, 斜長石を 29%, 普通輝石を 4~5%, 斜方輝石を 2~6% 含む (Table. 5). 18

29 第 5 章石灰質ナンノ化石層序石灰質ナンノ化石基準面を地層中に認定した. 藤岡ほか ( 2003) は調査地の上総層群に, 佐藤ほか ( 1999) によって定義された石灰質ナンノ化石基準面 10,11,12を認定した. このうち基準面 10の下限と上限となる試料 SGN-2 と SGN-3 が採取された traverse 4 の層準を, 藤岡ほか (2003) の筆頭著者である藤岡博士とともに確認し,traverse 4 に基準面 10を認定した. さらに, 基準面を決定する鍵種となるナンノ化石の有無の検討を, コアEの [E ] の層準から採取した16 試料について千葉大学の亀雄準教授に依頼した. 採取された試料からスミアスライドを作成し, 偏光顕微鏡を用いて 1500 倍で検鏡し, 基準面の指標となる種のみの有無を検討した. その結果, 基準面 11が 15.84[E] と 26.50[E] の間に,12が [E] と 67.33[E] の間にそれぞれ存在することが明らかとなった. 19

30 第 6 章古地磁気層序と帯磁率異方性 6-1. 古地磁気極性 測定試料野島層において古地磁気極性に基づく年代層序を検討するため, Traverse 59,61,66,69,75,T-HK5,17,23,T-SS4, コアNから合わせて 18 の古地磁気測定用試料を採取した ( Fig. 27). 試料はエンジンドリルを用いて直径約 2.5 cm のコア試料を, 各層準につき 3 本以上採取した. 試料の測定及び極性判定は, 間嶋研究室所属の楠稚枝氏および同研究室卒業生である中村章子氏により, 以下の手順で行われた. まず採取した試料について, 岩石カッターで高さ約 2 cm の円柱状に整形したものを 1~2 個切り出した. 脆弱であった試料は, セラミック包丁を用いて切り出し, 7 cm 3 のプラスチックキューブに密閉をした. 消磁のどの段階の残留磁化ベクトルから初生磁化成分となるかは, 直交面投影図上で, 消磁段階を上げても原点に向かって直線的に減衰していく特徴から判断できる. 段階交流消磁の結果,15 mt から 30 mt の段階で二次磁化成分を取り除くことができ, そのうち半数以上は 20 mt で二次磁化成分を取り除くことができた. 測定結果は直交面投影図上で主成分分析 (Kirschvink, 1980) により, 原点に向かって直線的に減衰する磁化成分の方向と直線の精度の目安である最大角分散を求め, その結果を初生磁化成分 ( この段階では地層の傾斜補正をする前の成分 ) とした 測定結果調査地で測定された古地磁気極性の結果を Fig. 27 に示す. このうちボーリングコアIおよびコア M については, 楠ほか ( 2014) において, 詳細な古地磁気変動の記録が明らかにされている. それによると, コア I の 84.3[I], コアMの 63.5[M] においてそれぞれ確認されている古地磁気極性が正磁極から 20

31 逆磁極へ変化する層準は, オルドバイ正磁極亜帯の下限層準および上限層準に対比された. またコアOにおいて,64.8[O] で正磁極が,66.1[O] で逆磁極がそれぞれ得られたことから, [O] に古地磁気極性が逆磁極から正磁極へ変化する層準が存在することが示唆される. コア O の 41.0~71.0[O] には, ナンノ化石基準面 13が確認された ( 宇都宮 田中, 未発表 ) が, この基準面 13はオルドバイ正磁極亜帯下限の直下に存在することが明らかにされている ( 佐藤ほか,1999). このことからコア O における古地磁気極性逆転層準は, オルドバイ正磁極亜帯の下限であると考えられる. 釜利谷 - 金沢地域の露頭において Traverse 75 の 0.3[75] で逆磁極が, その上位である Traverse 69 の 9.9[75] で正磁極が得られており, この間の層準に極性境界が逆磁極から正磁極へ逆転する層準が存在することが推定される. 凝灰岩の対比に基づくこれらの露頭とコアOとの層位関係から, この間の層準に想定される極性境界はオルドバイ正磁極亜帯の下限層準に対比されると考えられる. また, Traverse 61 の 0.5 [61] から正磁極が 9.0 m[61] から逆磁極が得られており, この間の層準に正磁極から逆磁極への極性逆転層準の存在が推定される. コアMとの層位関係からこの極性逆転層準はオルドバイ正磁極亜帯の上限層準に対比されると考えられる. 氷取沢 - 金沢地域において T-HK23 およびコアNのユニット HK-A から正磁極が,T-HK17 のユニット HK-Bから逆磁極が, T-HK17, 23, コア N のユニット HK-C から逆磁極が得られた. このうち T-HK17 において, 逆磁極が得られたユニット HK-C の上位に, 正磁極が得られたユニット HK-Cが重なっていることから, T-HK17 においては正磁極から逆磁極への逆転層準が存在することが示唆される. しかしコアIやMとの対比から,T-HK17 の極性境界はオルドバイ正磁極亜帯よりも上位であり, オルドバイ正磁極亜帯直上のマツヤマ逆磁極帯において逆磁極から正磁極への逆転に相当する古地磁気逆転層準は, 世界的にも見出されていない. この点については後述するようにユニ 21

32 ット HK-C がオルドバイ正磁極期の堆積物の重複であることに起因すると考 えられる 帯磁率異方性楠 (2014 博士論文 ) において, コアMの帯磁率異方性が測定された. その結果を Fig. に示す. コアM では帯磁率異方性が, サンプリング間隔である [M] と [M]( 境界 α),18.70 [M] と [M] ( 境界 β) の二層準を境にそれより上位と下位で異なった傾向を示す. この異方性の傾向に基づき, コアMの [M] より下位を層準 1,25.33 [M] から までを層準 2, より上位を層準 3の三層準に区分した. 層準 1および層準 3では, 異方性の形状を表す T の値は概ね正の範囲に分布する. このことから層準 1および層準 3の堆積物の粒子配列は扁平型で面構造が卓越していることを示す. 一方, 層準 2の T の値は面構造の卓越を示さない. 層準 2の T の値は 0 周辺に分布していることから, 堆積物の粒子配列には傾向が見られないことが示される. またコア M は全体が泥質岩であるため, 流れの影響をほとんど受けずに堆積し圧密を受けた場合は, 最小帯磁率軸 (Kmin) が鉛直方向を向き, その伏角は 90 度になると推定される [M] 以深 ( 層準 A) および [M] 以浅 ( 層準 C) の最小帯磁率軸の伏角 (Kmin Inc.) は鉛直方向の 90 度から平均 12 度傾いており, この値はコアにおける同層準の傾斜の平均 ( 11 度 ) やコア M 掘削地点周辺の地層の傾斜 (13 度 ) とほぼ一致する. このことから [M] 以深および [M] 以浅の最小帯磁率軸の伏角は, 層理面に垂直な方向を示すと解釈できる. 一方,T の各値が面構造の傾向を示さなかった 25.33~18.50 m( 層準 MB) の最小帯磁率軸の伏角は, 鉛直方向から大きく外れて分散している (Fig. 11). 22

33 以上のことから, 深度 [M] 以深 ( 層準 1) および [M] 以浅 ( 層準 3) と 25.33~18.50 [M]( 層準 2) では堆積物粒子の配列に明瞭な違いがある といえる. 23

34 第 7 章野島層の変形構造について野島層上部において凝灰岩に基づく層序対比から,NOT-1 より下位の岩相は釜利谷 - 金沢地域, 瀬上 - 庄戸地域, 氷取沢 - 金沢地域, 上郷地域でそれぞれ大きく異なっており, このうち釜利谷 - 金沢地域, 瀬上 - 庄戸地域, 氷取沢 - 金沢地域においては地層の変形を示す証拠が得られており, 各地域での岩相の違いはこれらの変形構造と関連していると考えられる. それぞれの地域において変形を被った層準とその原因について議論する 釜利谷 - 金沢地域釜利谷 - 金沢地域では, 岩相は泥質砂岩から泥岩 - 砂質泥岩互層への明瞭な上方細粒化を示し, 大船層に漸移することから, 顕著な岩相の変化は認められない. 露頭で測定した走向傾斜は北西 - 南東走向で傾斜は北東に 5~13 度で安定している. この他にも露頭上では変形を被った証拠は得られていない. しかし釜利谷 - 金沢地域で掘削されたコア M では, 帯磁率異方性の傾向が, 境界 A と境界 B を境に上下で異なる傾向を示す. 境界 A より下位の層準 1と境界 B より上位の2は, コアにみられる層理面の傾斜角の平均値 (MA, 11 度 ; MC, 12 度 ) が周辺露頭から推定される傾斜角 (13 度 ) に近い値を示すこと, 帯磁率異方性の最小帯磁率軸の伏角 (13 度 ) が表層の地層の傾斜角やコアに見られる傾斜角とほぼ同じ角度で鉛直方向から外れ, 地層は表層と同様な走向と傾斜で伏在していると解釈されること, 帯磁率異方性の T の値から粒子配列は扁平型で面構造が卓越していること, その他変形を示すような堆積構造などが認められないことから, 変形を被っていない整合一連の堆積物であると考えられる. 一方コアMの層準 2では帯磁率異方性の T の値は,0 周辺に分布しており最小帯磁率軸の伏角が一定の傾向を持たず ( Fig. 11), 堆積物の粒子配列が傾向をもたないことがわかる. またこの層準 2では変形や乱堆積を示す構 24

35 造がみられるほか, 層理面の傾斜角が 10 度から 50 度と広い値をとる (Fig. 11). このことから層準 2 は層準 1 や層準 3 と異なる堆積構造であることが推定される. 層理面の傾斜が広い値を示す点や, 帯磁率異方性が一定の傾向を持たない点は, コア I で海底地すべりにより変形を被った地すべり岩体であると解釈された層準 B( 楠ほか,2014) と類似することから, 層準 2は B 同様に堆積後の変形を反映している可能性がある 瀬上 - 庄戸地域瀬上 - 庄戸地域では, 露頭上に広く露出しているユニット SS-A が, 著しく多様な走向傾斜を示している (Fig.13). また, 明らかな変形や海底地すべりを示す構造が観察される (Fig. 16). コア I において, ユニット SS-A に区分される層準のうち 74[I] より下位の層理面の傾斜角は釜利谷 - 金沢地域の野島層や大船層の一般傾斜にほぼ一致した値 ( 9-12 ) を示すが, コア I の 54mより上位およびコアG,H のユニット SS-A の層理面の傾斜角は釜利谷 - 金沢地域の野島層や大船層の一般傾斜から逸脱した多様な値を示す. 以上の特徴は, コア I の 74mより下位を除くユニット SS-A が変形を被ったことを示唆している. ユニット SS-A の直上を占めるユニット SS-B の砂岩層の走向傾斜は北東 9 ~13 度傾斜で, 上位の大船層や東部の野島層の走向傾斜にほぼ一致している. またコア I の層準 SS-C( [I]) における傾斜角の値は 11~17 度で一定している. コア I の 74[I] より下位のユニット SS-A とユニット SS-C のこれらの特徴は,74[I] より下位を除くユニット SS-A とは異なり, 変形を受けていないことを示していると考えられる. ユニット SS-C の上位を占める泥岩 - 泥質砂岩互層であり, 大船層に整合漸移するユニット SS-D は, 走向傾斜が野島層や大船層の一般走向傾斜にほぼ一 25

36 致することや, その他に変形を被った証拠が得られていないことから同じく変形は被っていないと考えられる. 解釈瀬上 - 庄戸地域で掘削されたコア I の野島層の層準のうち, 塊状泥岩層から砂岩層に上方粗粒化し, 地層の傾斜が著しく一定しない層準 B( 73.2~38.5 [I];Fig. 14) は, 楠ほか (2014) において以下の理由から海底地すべりによって変形を被った地すべり岩体であると解釈された.1) コア中の層理面の傾斜角が, コア掘削地点周辺の表層で確認された地層の傾斜 ( 13 度 ) とは著しく異なる, 様々な値 ( 16 度から 62 度 ) を示すため ;2) 帯磁率異方性の形状が泥質岩特有の扁平傾向を示さないため ;3) 帯磁率最小軸の伏角が, 表層の地層の傾斜と著しく異なる値を示すため ;4) 帯磁率異方性と古地磁気伏角の値が層準 A と層準 B の境界となる [I]( 境界 4) と層準 B の中となる [I]( 境界 5) で大きく変化し, この不連続面が海底地すべりによるすべり面と考えられるため. コア I の層準 B は, その層位関係, 泥岩 - 砂質泥岩互層から砂岩へと上方粗粒化する岩相, 走向傾斜が多様な値を示す点から, 露頭における海底地すべりによって変形を被った岩体であるユニット SS-A に対比されると考えられ, ユニット SS-A は海底地すべりによって変形を被った岩体と解釈された ( 楠ほか,2014). またコア G,H においては帯磁率異方性の測定は行われていないものの, 層理面の傾斜角が同地域における野島層および大船層の一般傾斜角 (16 ) と異なる多様な値を示す (Fig. 14). このことからコア G,H もコアIの層準 B 同様に変形を被っていると考えられる. 変形を被っていないと考えられるコア I の層準 A に相当する層準は露頭には露出していないと考えられ, したがってすべり面も露頭上では観察できない. また, 地すべり岩体と考えられるユニット SS-A の上位を占めていること, 26

37 同様の岩相がコアMを除き変形の証拠が得られていない釜利谷 - 金沢地域で見られないことから, ユニット SS-B は海底地すべりに関連して堆積したと考えられる. ユニット SS-B は, 基底に浸食面がある点や上方細粒化傾向を示す点などチャネル充填堆積物的性質を示しており, ユニット SS-A 形成後に出来た凹地を充填した堆積物であることが推定されるが, 海底地すべりによって形成された凹地 ( 海底地すべり痕 ) が, チャネルとして堆積物重力流の流路となること (Ferra et al., 1983; May et al., 1983; Klaus and Taylor, 1991) が知られている. 下位のユニット SS-A が海底地すべり岩体と考えられることから, ユニット SS-B は海底地すべり痕充填堆積物と解釈した. 泥岩 - 泥質砂岩互層であり大船層に整合漸移するユニット SS-C は, 走向傾斜が野島層や大船層の一般走向傾斜にほぼ一致することや, その他に変形を被った証拠が得られていないことから地すべりの影響を被っていないと考えられる. 地すべり痕充填堆積物と考えられる砂礫岩からなるユニット SS-B が泥岩 - 砂質泥岩互層からなるユニット SS-C に漸移するのは, 地すべり痕が埋積されたことで重力流の流路ではなくなったためと推定される. ユニット SS-B とユニット SS-C との境界は, コア G および T-SS11,12 を除くと, いずれの露頭およびコアにおいてもユニット SS-C 中に狭在する NOT-1 凝灰岩の 3~ 5m 下位であることから, 海底地すべりの発生と地すべり痕の充填は NOT-1 堆積直前であったことが推定される. ただしコア G および T-SS11,12 においては,NOT-1 がユニット SS-B の泥質砂岩中に狭在しており, 同地域では NOT- 1 堆積時においても地すべり痕が充填されていなかったことを示していると考えられる 氷取沢 - 金沢地域 ユニット HK-A には変形を示すような構造はみられない. 走向傾斜は北東 27

38 に 10~11 度の傾斜で安定しており, またユニット HK-A 中で対比される凝灰岩層の分布からもユニット HK-A が北東に 10 度前後の傾斜の構造を示すことが示唆され, これらの値は変形の影響が見られない釜利谷 - 金沢地域の野島層や野島層の上位を占める大船層と同様の構造であり, 変形を被ったと考える証拠はない. ただしコア N のユニット HK-A に相当する ~ [N] において,64[N] より下位の傾斜角は 10 度から 13 度と, 周辺の地層の一般傾斜に近い値で安定しているのに対し, [N] の軽石密集層の傾斜角は 72 度と, それより下位の層準の傾斜角に比べて非常に大きい値を示している. この軽石密集層は砂質泥岩の基質中に軽石が密集して層をなしているという層相であることから, その傾斜角は浸食の影響を示しているとは考えられない. このことから層準 NA の 63.71[N] より上位 (63.71~60.91[N]) は変形を被っている可能性が示唆される. またコアNではユニット HK-Aの上位を細粒砂岩からなるユニット HK- Fが占める. ユニット HK-Fの層理面の傾斜角は, 周辺の地層の一般傾斜から大きな逸脱を示していない. また比較的固結度の弱い層であるにもかかわらず葉理が乱されていない. このことから, このユニット HK-Fは変形を被ったとは考えにくい. ユニット HK-Fは凝灰岩層が狭在していないことから, 他の層準との層序関係は不明であるが, これに類似した岩相は氷取沢 - 金沢地域だけでなくその他の地域にも見られない. コア N においてユニット HK-F 直下のユニット HK-A の 63.71~60.91[N] が変形を被っている可能性があることから, ユニット HK-Fは下位層準の変形に関連して堆積した可能性が考えられる. ユニット HK-B および HK-C は, 走向傾斜が著しく多様な値を示すこと, 明瞭な変形を示す構造が観察されていることから, 堆積後に何らかの変形を被ったことが示唆される. このうちユニット HK-C に狭在する五枚の鍵層 NT-3, NT-4, NT-9, NT-10, NT-12 が,T-kzc.1 およびコアNにおいて下位を占めるユニット HK-A に狭在する NT-15, NT-16, NT-18, NT-20, NT-23 とそれぞれ対比 28

39 されることから, ユニット HK-A とユニット HK-Cで同層準が重複していることが示される. すなわちユニット HK-A と HK-C の 5 枚の凝灰岩で対比される同層準 ( 重複層準 ) で挟まれる間の層準には不連続面が存在することになる. ユニット HK-A とユニット HK-C 中の重複層準同士を比較すると, それぞれの凝灰岩で示される層位関係はほぼ一致しており, 重複層準内で顕著な不連続はないことが示唆される. またユニット HK-C において重複層準より上位あるいは下位においても, 顕著な不連続面は観察されていないことから, 不連続面はユニット HK-Cの中にはないと考えられる. 一方, 下位のユニット HK-Aについてみると, 同ユニット内に明瞭な不連続面や浸食面は観察されないが, コアNではユニット HK-Cにも狭在する 5 枚の鍵層 (NT-3, NT-4, NT-9, NT-10, NT-12) がユニット HK-A 中にみられ, ユニット HK-C とユニット HK- Aの境界は凝灰岩層 NT-12 の約 9 m 上位にあるのに対し,T-HK23 では 5 枚の鍵層のうち NT-9 の 0.6 m 上位でユニット HK-Cが重なっており,NT-10, NT-12 を含むそれより上位の地層はみられない. このことから T-HK23 ではユニット HK-Aが削剥を受け, ユニット HK-Cがその上位に重なっていることがわかる. 一方, ユニット HK-C とユニット HK-Aとの境界は, いずれもユニット HK-Cの NT-PS 凝灰岩層の約 1~2 m 下位となっており, ユニット HK-Cの層理面にほぼ平行である. このことから, T-HK23 に露出するユニット HK-Aは凝灰岩 NT-9 より上位が失われており, その直上に層理面に平行な下底をもつユニット HK-Cが重なっていると考えられ, すなわちユニット HK-Aと HK-Cの境界は不連続面と考えられる. ユニット HK-C では前述の通り走向傾斜が多様な値を示しており, またユニット HK-C 中で対比される凝灰岩層の分布からは, ユニット HK-Cが一様の面的な構造を示していないことが示唆される. ユニット HK-C とユニット HK-A の両方に狭在する凝灰岩層 NT-9 は釜利谷 - 金沢地域のコア M にも狭在 29

40 しているが, コア M において NT-9 狭在層準付近の岩相はユニット HK-A に類似した泥岩 - 砂質泥岩互層であり, ユニット HK-C に相当すると考えられる厚い凝灰質泥質砂岩は釜利谷 - 金沢地域にはみられず, また瀬上 - 庄戸地域にも狭在しない. 一方ユニット HK-A には変形を示すような構造はみられない. このことから, ユニット HK-C はユニット HK-A と同層層準の一部が何らかの作用によってユニット HK-A の上位に乗り上げた異地性岩体であると考えられる. コアN 掘削地点より北部では, ユニット HK-Bとユニット HK-Cが接している. ユニット HK-Bは走向傾斜が著しく多様な値を示す点, 変形を示す構造がみられる点から, 変形を被っていると考えられる. この特徴は前述した上位のユニット HK-Cと類似する. ユニット HK-Bの層序的位置づけは, 他の層準と対比される凝灰岩がないため定かではない. 一方ユニット HK-Bとユニット HK-Cの境界は,T-HK23 やコア N と同様にユニット HK-Cの NT-PS 凝灰岩層の約 1m 下位となっており, 境界部も Tkzc.1 と同様に明瞭な面を持たない岩相境界であることから, ユニット HK-CがコアN 掘削地点より南部から連続する一連の岩体であることが推定される. このことからは, ユニット HK-Bと HK-Cの境界は不連続面でありユニット HK-Bとユニット HK-Cとは一連でないことが推定される. 以上の点については古地磁気層序の結果からも支持される.T-HK17 においてユニット HK-Bの泥岩から測定された古地磁気極性は逆磁極を示している. 一方ユニット HK-Cの泥質砂岩からは正磁極が得られており,T-HK17 では逆磁極であるユニット HK-Bの上位を正磁極であるユニット HK-Cが占めることから, ユニット HK-Cとユニット HK-Bの間に極性境界があるようにみえる. しかしユニット HK-Cは, 前述のとおりユニット HK-Aの重複層準であり,NT-9 や NT-2 に基づくコア M との対比からユニット HK-A はオルドバイ 30

41 正磁極期の堆積物と推定されることから, ユニット HK-Cの極性もまたオルドバイ正磁極亜帯を示していると考えられる. 一方ユニット HK-Bについては, 鍵層凝灰岩が見出されていないため層序的位置づけは明確でなく, ユニット HK-Bで得られている逆磁極がオルドバイ正磁極亜帯より下位であるか上位であるか明確な位置づけは困難である. このためユニット HK-Bはオルドバイより正磁極亜帯よりも上位の層準である可能性, あるいはユニット HK- Bがオルドバイ正磁極亜帯より下位の堆積物であり, オルドバイ正磁極亜帯の下限を含むユニット HK-Cと一連の層準がユニット HK-Cとともに移動したという可能性の両方が考えられる. 釜利谷 - 金沢地域で掘削されたコアOで, オルドバイ正磁極亜帯の下限はNT-9 凝灰岩から約 35 m 下位に見出されている. 氷取沢 - 金沢地域において T-HK23 の 12.4 mに狭在しているnt-9 は, T-HK27 や T-HK28 に狭在するNT-3 の約 20m 上位に狭在し, コアOにおけるNT-9 とオルドバイ正磁極亜帯の下限の層位をそのまま適用すると, オルドバイ正磁極亜帯の下限はNT-3 の約 15 m 下位にあることになる.T-HK17 において NT-3 に対比される NT-15 は泥質砂岩 ( ユニット HK-C) 中の 7.0 m に狭在し, その約 0.5 m 下位の泥岩 ( ユニット HK-B) から正磁極が得られている. 仮にこの間の層準に極性境界であるオルドバイ正磁極亜帯の下限が存在すると考えると, Tkzc. 2 ではNT-3 とオルドバイ正磁極亜帯の下限の層厚差は 0.5mであることとなり, 変形を被っていないと考えられる層準での層厚差 ( 約 15 m) と大きく異なる. この結果はユニット HK-Bがユニット HK- Cと一連でないことを支持する. また, この他にもユニット HK-Bがオルドバイ正磁極亜帯より下位の層準が移動した異地性岩体ということを示唆する積極的な証拠はないことから, ユニット HK-Bから得られた逆磁極はこのユニットがオルドバイ正磁極亜帯より上位であることを示すと考えられる. したがって Tkzc.2 の逆磁極から正磁極への極性変化は, オルドバイ正磁極期より 31

42 後に堆積したユニット HK-Bの上にオルドバイ正磁極期に堆積したユニット HK-Cが重複していることを示すと考えられる. 以上の事からユニット HK- Bの変形はユニット HK-Cの重複とは別のイベントによる変形を示していると考えられる. ユニット HK-Cの上位を占めるユニット HK-Dは, 基底部が浸食面であること,T-HK2 や T-HK22 において粗粒砂岩から泥質砂岩への上方細粒化が明瞭であることから, チャネル充填堆積物的性質を示す. また単層ごとにみると, 長径数 cm の礫を含む点, 明瞭な構造が見られない点, 下底に浸食面が認められる点は高密度混濁流による堆積を示唆する ( Pickering et al., 1989). 砂岩層の走向傾斜は, 北東に 10 度前後でほぼ安定しており, その他にも変形を被ったと考えられる証拠はない. ユニット HK-Dには泥質砂岩からなる成層した岩体がコアNや T-HK19, 21, 22 でみられるが, これらの岩相はユニット HK-Cの泥質砂岩部に類似し, また走向傾斜が野島層の一般走向傾斜と異なる多様な値を示す点もユニット HK-Cに似る (Fig. 13). また同様の岩相が側方へ連続しないことから, その分布はレンズ状であると考えられる. ユニット HK-Eは泥岩 - 泥質砂岩互層であり大船層に整合漸移するが, 走向傾斜が野島層や大船層の一般走向傾斜にほぼ一致する (Fig. 13) ことや, その他に変形を被った証拠が得られていないことから変形を被っていないと考えられる. 解釈ユニット HK-Aと重複しているユニット HK-Cは, 各露頭での凝灰岩の追跡から, 岩体内部での層理の平衡性が保たれていることがわかる. このような地層の重複の成因として, 主に考えられるのはテクトニックな営力によって形成されるスラストによる乗り上げ, あるいは海底地すべりである. 陸上の地すべりにおいて, 地すべり岩体の先端部が圧縮場になることでスラストなどの断 32

43 層が形成され, 地層が重複することが知られている ( 田近,1995). 陸上地すべりと海底地すべりは, その基本的な運動様式はかなりの共通性を持っていると考えられている ( 大八木,2004). しかし, 一般的に複雑な構造をとる岩体を構造的な特徴だけからテクトニックな営力によるものか, あるいは海底地すべりによるものかを判断することは困難とされている. このため, 記載的事実からその成因について解釈を行った. 1) 断層運動あるいは海底地すべりにおいても, 移動した岩体と非滑動岩体の境界部には一般的に明瞭な面を持つすべり面がみられ, また明瞭な面がない場合でも癒着したすべり面に細粒な粘土層からなる暗色のバンドが確認される場合が多い. しかし, ユニット HK-A の泥岩とユニット HK-Cの泥質砂岩の境界は明瞭な岩相境界として認識され, 一部で境界部に厚さ3~5mm の軽石質泥質砂岩が露頭で観察されるものの, 明瞭な面は認められず, また粘土層なども確認されない. 関東山地北部に露出する上部白亜系跡倉層にみられる海底地すべり堆積物において, すべり面が面を持たず, 地すべり岩体と非滑動岩体が凹凸のある面で密着している様子が観察されており, これは海底地すべりによって泥岩が未固結状態で流動変形したためであると解釈されている ( 小坂 近重,2008). また Tkzc.1 でユニット HK-A の泥岩がユニット HK-Cの泥質砂岩中に貫入している様子が観察されるが, 同様の構造が跡倉層にみられる海底地すべりによるすべり面において観察されており, 砂質泥岩が固結した段階かつ泥岩が未固結状態で生じた高間隙水圧状態における現象 ( Labaume, 1987 の Syn-diagenetic deformation) であると解釈されている ( 小坂 近重, 2008). 海底地すべりが生じる際, 高間隙水圧が摩擦抵抗を下げる ( Hubbert and Rubey, 1959) ことや, 地すべり岩体に浮力を生じさせる ( 小川ほか,2006) ことが, 堆積物の滑動に重要な役割を果たしていることがわかっている. 岩体の重複に高間隙水圧の影響を示す証拠が得られたことは, 重複が海底地すべり 33

44 によって形成された可能性を示唆する. 2) 重複層準ユニット HK-Cの分布は, 南北方向には少なくとも 800m 以上の長さをもち, 南北方向の実際の移動距離はそれ以上であることが推定されるにもかかわらず, 東西には大きく見積もっても 250m 程度の広がりしか持たず, テクトニックな営力によって形成されたと考えられる変形構造に比べて局所的である. また重複が生じたのは, 少なくともユニット HK-Aの最上部の堆積以降であり, 変形の影響を被っていないユニット HK-Eの堆積以前と考えられる. 仮に構造運動によって形成されたと仮定すると, どの程度の速度で断層運動が生じたかを計算で求めることができる.HK-Aの最上部の年代を決定することは困難であるが, 年代モデルから得られた堆積速度を元に以下のように推定した. ユニット HK-Aの下限は NOT-1から約 5mであり, コアNにおいてユニット HK-Aの最上部は NOT-1から約 75m 下位である. 後述する年代モデルから推定される野島層砂質泥岩 - 泥岩部の堆積速度 0.5~ m/ka から計算すると, 重複は約 15 万年間以内に生じたことになる. ユニット HK- Cは南北に約 2kmの規模を持ち, 岩体は北に移動したと考えられることから, 最大で15 万年間の間に水平距離にして 2km 以上が滑動したと考えると, 1.3m/ka 以上の速度で幅 250mの範囲だけが移動したことになり, 構造運動によって形成されたと考えるのは不自然である. 3) 重複岩体であるユニット HK-Cの上位は砂礫岩からなるユニット HK- Dが占めており, 同様の岩相は変形の影響が見られない釜利谷 - 金沢地域にみられないことからユニット HK-Cの重複に関連して堆積したと考えられる. ユニット HK-Dの岩相は明らかに重力流による堆積を示唆しており, ユニット HK-Cの形成後に重力流の経路となるような凹地が形成されたことが示唆される. しかし, 仮にユニット HK-Cの重複が構造運動によるスラストであるとすると, ユニット HK-Cは上盤側であり海底面に対して高まりを作って 34

45 いなければならない. また瀬上 - 庄戸地域において, ユニット HK-Dと同様の岩相であるユニット SS-Cがみられ, こちらでも変形を被ったと考えられる SS-Bの上位を占めている. このことから, 海底地すべりによりユニット HK- Cがユニット HK-Aおよびユニット HK-Bの上位に乗り上げ, 形成された地すべり痕をユニット HK-Dが充填したと考えることで, 一連の層相を説明できる. なおユニット HK-D 中の泥質砂岩はユニット HK-C 同様の地すべり岩体である可能性が考えられる. しかし, 対比される凝灰岩や古地磁気極性, 微化石に基づく層序的位置づけが不明であるため, これ以上の議論は避ける. ユニット HK-A とユニット HK-C の重複層準同士を比較すると, 上方細粒化 - 粗粒化 - 細粒化という岩相変化のパターンは類似しているが, 岩相そのものはユニット HK-C の方がユニット HK-A に比べて粗粒である. また重複層準の層厚を比較すると, コア N でユニット A は約 29 mであるのに対し, ユニット HK-C はコア N と T-SS23 で約 18 mと層準 HK-C の方が薄い. このことから上位のユニット HK-C はユニット HK-A と異なる環境で堆積したものと考えられる. ユニット HK-C は南ほど層厚が厚く北に向かって層厚が薄くなり, 上位に重なる地すべり痕充填堆積物も同様の傾向を示している. このことから, 地すべりによる岩体の移動方向は概ね北方向であると推定される. 地すべり痕充填堆積物と考えられる砂礫岩からなるユニット HK-Dが変形の影響のない泥岩 - 泥質砂岩互層からなるユニット HK-Eに漸移するのは, 地すべり痕が埋積されたことで重力流の流路ではなくなったためと推定される. ユニット HK-Dとユニット HK-Eとの境界は, いずれにおいてもユニット HK-E 中に狭在する NOT-1 凝灰岩の約 2~4 m 下位である. これは瀬上 - 庄戸地域における地すべり痕充填堆積物と考えられるユニット SS-Cとその上位を占める変形の影響のみられないユニット SS-Dとの境界が層準の層位とほぼ一致している. このことから氷取沢 - 金沢地域においても, 瀬上 - 庄戸地域 35

46 においても, 海底地すべりの発生と地すべり痕の充填は NOT-1 堆積直前で あったことが推定される. 36

47 第 8 章酸素同位体層序 8-1. 酸素同位体比測定 測定手法浮遊性有孔虫を採取するための堆積物試料を, ボーリングコアEから 1m 間隔で計 98 試料,Jから 50cm 間隔で計 53 試料, 合わせて計 151 試料を採取した. コアEの 0-18mはメタン湧水性自生炭酸塩の沈殿がみられたため, 堆積物試料の採取は行わなかった. 乾燥重量約 80gの堆積物試料は, 硫酸ナトリウム法およびナフサ法に基づく泥化処理を行い, 泥サイズの粒子を洗い出した. 残砂のうち中粒砂から, 破損や汚れのないガラス状の殻をもつ, 約 μ m の浮遊性有孔虫化石 Globorotalia inflata を拾い出した. 拾い出した有孔虫化石は, 無水エタノールに浸した状態で金属製の針を用いて破壊した後, 超音波洗浄機で洗浄し, 内部の不純物を注射器を用いて除去した. なお, コアJの m から m の試料からは有孔虫が得られなかった. コアEの [E] から得た試料は, 海洋研究開発機構 ( JAMSTEC) 所有の Automated carbonate preparation system (IsoPrime Multiprep) および GV IsoPrime mass spectrometer を用いて安定同位体比測定を行った. 各層準につき 6-30 個体拾い出した有孔虫化石は 9 0 のリン酸と反応させ CO2 ガスにした. 測定値は国際標準試料 NBS 19 の値によって標準物質 PDB (PeeDee Belemnite) の値に補正した値 ( VPDB:Vienna PDB) に対する差を δ 値として千分率 ( ) で表した. 試料の測定の前後で測定した, 全 49 回の in-house standard の測定における酸素と炭素の安定同位体比の測定値の標準偏差は炭素で 0.05, 酸素で 0.13 となり, この値を測定の精度とした. コア E の [E] およびコア J から採取した試料は静岡大学所有の Finnigan MAT-250 mass spectrometer を用いて安定同位体比測定を行った. 37

48 各層準につき 5-30 個体拾い出した有孔虫化石は 60 のリン酸と反応させ CO2 ガスにした. 測定値は国際標準試料 NBS 20 の値によって標準物質 PDB (PeeDee Belemnite) の値に補正した値 ( VPDB:Vienna PDB) に対する差を δ 値として千分率 ( ) で表した. 全 60 回の in-house standard の測定における酸素と炭素の安定同位体比の測定値の標準偏差はいずれも 0.07 となり, この値を測定の精度とした 測定結果コアJおよびEにおいて測定された同位体比の値を Fig. 28 および Table 5 に示す. また, コアIおよびMから得た浮遊性有孔虫化石 Globorotalia inflata の酸素安定同位体比 ( 鴨志田,2012 横浜国大修論 ) を Fig. 28 および Table 6 に合わせて示す. なおコアIの 73.6mより上位 (Fig 28 の破線部 ) は海底地すべりによる地すべり岩体であると考えられるため, これらの層準から得られた同位体比については以下の議論に含めない. 測定された同位体比の値の振幅は, 酸素がコアEで , コアJで 0.63 to 1.57, 炭素がコアEで , コアJで-5.22 to 0.97 であった. 得られた酸素同位体比について, 隣り合った極値の差はコアEで , コアJで であった. 海洋コアにおける底生有孔虫の酸素安定同位体比のスタック曲線である LR04 stack (Lisiecki and Raymo, 2005) において氷期 - 間氷期の同位体比の差は, 前期更新世で であり, コアEおよびJから得られた同位体比の値はこれらの値の変動幅に収まっている.G. inflata の示す同位体比は底生有孔虫の同位体比に近い値を示すことがわかっている (Oba et al. 2006). コアEの [E] の炭素安定同位体比は, 他の層準と比べて極端に低い値を示しており,62.06 [E] では-6.37 に達する. 同層準を含む [E] では, 炭素安定同位体比の低い自生炭酸塩の沈殿が確認されており (

49 から : 浜名,2009 横浜国大修論 ), これらの層準が堆積した時に海底面下からメタン湧水があったことが示唆されている. このため, [E] における有孔虫の低い炭素安定同位体比は以下の2つによって生じた可能性が考えられる.1) メタンの海底面下での嫌気的酸化によって生じた溶存無機炭素 (Dissolved Inorganic Carbon;DIC) が, 海底面上の水柱に放出され, 浮遊性有孔虫の安定同位体比に影響を与えた可能性. 2) 湧水性の自生炭酸塩が堆積物中の有孔虫に付加した可能性. 北米サンタバーバラ沖堆積盆のメタン湧水場において, 後期更新世の堆積物から採取された浮遊性有孔虫化石から-22 (Hill et al., 2003) に達する低い安定同位体比が得られており, このような浮遊性有孔虫の低い炭素安定同位体比は, 水柱に溶存したメタン由来の溶存無機炭素を有孔虫が生息時に取り込んだことを示していると解釈された (Kennett et al., 2000; Hill et al., 2003). 一方で, 北米オレゴン沖ハイドレートリッジのメタン湧水場で得られた浮遊性有孔虫化石の低い炭素安定同位体比 (-7.2 から -9.8 ) は, 有孔虫が堆積物の中で再結晶を被ったか, 光学顕微鏡下では確認できず超音波洗浄でも除去できないようなごく微量の湧水性自生炭酸塩が混入したためと解釈された (Torres et al., 2003). コアEで得られた低い炭素安定同位体比が, いずれの作用によるものであるかを明らかにするためには更なる分析が必要であるため, 本論ではこれ以上の議論は避ける 石灰質ナンノ化石基準面と海洋同位体ステージとの対応関係調査地で得られた石灰質ナンノ化石基準面について, 基準面 10の上限及び下限となる traverse 4 の SGN-2 と SGN-3 が採取された層準および, 基準面 11 の上限となるコアEの 15.84[E] の層準を, 凝灰岩に基づく層序対比から, 同位体比測定が行われたコアEとコアJに対比した (Fig. 29). ナンノ化石基準 39

50 面と MIS との対応関係については,ODP Leg 94 において西太平洋赤道域で掘削された Hole 806B を参照した.Hole 806B を参照したのは, ナンノ化石基準面 10,11,12 を決定する種の産出年代は, 海域によって多少の差があることが知られており (Raffi, 2002 など ), 東太平洋に面した前弧海盆堆積物である上総層群との対比を行うにあたって, 西太平洋で掘削されたコアが適していると考えられるためである.Hole 806B では,Takayama (1993) によって基準面 10が mbsf に,11 が mbsf に,12が mbsf にそれぞれ見出された. また Berger et al. (1993) は Hole 806B で浮遊性有孔虫 Globigerinoides sacculifer の酸素安定同位体比にもとづく年代モデルを構築した. その後 Berger et al. (1994) は,Berger et al. (1993) で作成された年代モデルについて再検討を行い,MIS の対比を一部見直した.Berger et al. (1993) で得られた同位体比曲線と Berger et al. (1994) の年代モデルから,Hole 806B において MIS 48 の同位体値の極値は mbsf, MIS 49 は mbsf, MIS 50 は mbsf, MIS 51 は mbsf, MIS 52 は mbsf, MIS 53 は mbsf, MIS 54 は mbsf, MIS 55 は mbsf, MIS 56 は mbsf, MIS 57 は mbsf, MIS 60 は mbsf, and MIS 61 は mbsf にそれぞれ存在することとなる. 以上の事から,Hole 806B において基準面 10は MIS 48/49 境界 ( 移行期 ) から 50/51 境界の間に,11 は MIS 57/58 境界付近に,12 は MIS 57/58 境界と 60/61 境界の間にそれぞれ存在することとなる 海洋同位体ステージの対比コアEおよびJから得られた浮遊性有孔虫の酸素同位体比曲線と, LR04 stack (Lisiecki and Raymo, 2005) との比較からコアの同位体比曲線に MIS を対比した (Fig. 28). 得られた同位体比曲線において, コアJで極小値が 6 40

51 層準 (5.69[J], 10.95[J], 17.14[J], 21.92[J], 28.99[J], 31.44[J]) で, 極大値が 4 層準 (7.91[J], 14.25[J], 18.57[J], 22.84[J]) で, コアEでは, 極大値が4 層準 (7.91[J], 14.25[J], 18.57[J], 22.84[J]) で, 極小値が4 層準 ( 20.58[E], 54.03[E], 71.02[E], [E]) でそれぞれ認められ, 合わせると極小値が計 10 層準で, 極大値が計 8 層準で認められた. これらのうち, コアEの 61.08[E] と 63.23[E] にみられる二つの極大値はごく近接した層準にみられることから, 一度の氷期での同位体比変動における小規模な変動を示していると解釈し, 61.08[E] と 63.23[E] の間にみられる 62.06[E] の小さな同位体極小値を, これら二層準の極大値で表される同位体極大層準の極値とみなす. これら同位体比極値について,LR04stack における同位体極大値と対比し, 年代値をコア中に対比した. 同位体比曲線に MIS を対比するにあたって, 上述した Hole 806B コアにおける石灰質ナンノ化石基準面 10,11,12と MIS との対応関係を参考とした. Hole 806B において基準面 10は MIS 48/49 境界 ( 移行期 ) から 50/51 境界に, 11は MIS 57/58 境界付近に存在する.7.91[J] の極大値は, 基準面 10が見出された層準の範囲に存在することから,MIS50 に対比されると考えられる. また近接した層準にみられる三つの極小値 20.58[E], 28.99[J], 31.44[J] は基準面 11の範囲の中にみられることから,MIS57 に対比されると考えられ, それぞれの極値は MIS57 の中における短期的な同位体比の変動を反映していると考えられる. このことから 20.58[E], 28.99[J], 31.44[J] の三層準の中間地点となる 30.22[J] を MIS57 の極値に対比した. 以上の MIS の対比から,MIS50 と 57 に対比された極値の間の層準にみられる極値に順番に MIS を対比すると, 10.95[J], 17.14[J], 21.92[J] にみられる極小値はそれぞれ MIS 51, 53, 55 に, 14.25[J] と 18.57[J] にみられる極大値は MIS 52 と 54 にそれぞれ対比されると考えられる. さらに 22.84[J] にみられる極大値は,MIS56 に対比できる可 41

52 能性があるが, その下位である [J] は有孔虫が得られず同位体の変動が明らかでないため, 明確な対比は困難である. また,5.69[J] の極大値は, それより上位で同位体の変動が明らかでないが,MIS49 に対比される可能性がある (Fig. 28). コアEで認められた基準面 12は,Hole 806B コアにおいて MIS 57/58 境界と 60/61 境界の間という広い年代幅を持つ. このためコアEにおいて MIS の対比には, 以下の異なる二つのモデルが想定される. すなわち, 36.03[E], 54.03[E], 62.06[E], 71.02[E], 89.03[E] にみられる極値をそれぞれ MIS 58, 59, 60, 61, 62 にそれぞれ対比するモデル ( モデル 1) と, 36.03[E], 54.03[E]-71.02[E], 89.03[E] にみられる極大値 ( 極大層準 ) を MIS 58, 59, 60 にそれぞれ対比するモデル ( モデル 2) である. 本論では以下の理由から, モデル2の方がより適切であると考える. 1) 楠ほか (2014) において, 古地磁気極性境界であるオルドバイ正磁極亜帯の上限層準がコアIで NOT-12 凝灰岩の約 75m 下位に見出されている (Fig. 27). 仮にモデル 1 において MIS 62 が 89.03[E] (NOT-12 の 15.5 m 上位 ) に対比されるとすると,MIS62 の極値 (1748 ka: Lisiecki and Raymo, 2005) からオルドバイ正磁極亜帯の上限層準 (1781 ka: Lisiecki and Raymo, 2005) までの堆積速度はおよそ 2.7 m/ka となる. 一方 MIS 57 から MIS 60 までの堆積速度は, m/ka となり,MIS 60 からオルドバイ正磁極亜帯上限層準までの堆積速度に比べて極端に小さな値となる. 一方モデル 2 において, 89.03[E] (MIS 60, 1708 ka) とオルドバイ正磁極亜帯上限層準までの堆積速度は 1.2 m/ky となり,MIS57(21.12[E]) から MIS 60(89.03[E]) までの堆積速度 m/ky とも近い値を示す (Fig. 28). 野島層上部においてオルドバイ正磁極亜帯より上位の岩相は, 海底地すべり堆積物を除くと泥岩 - 砂質泥岩互層であり, 塊状泥岩からなる大船層と比べても極端な岩相の変化はみられな 42

53 いことから, 野島層上部から大船層にかけて堆積速度が劇的に変化したとは考えにくい. 以上の事から, 堆積速度の変化が大きくなるモデル 1( m/ky) よりも, モデル 2 ( m/ky) の方がより整合的である. 2) モデル2における MIS の対比は, 甲田ほか (2005 横浜国大卒論 ) で得られた浮遊性有孔虫中に黒潮指標種が占める割合の変化 (Fig.30, Table 8) によって支持される. 甲田ほか (2005 横浜国大卒論 ) は, コアEの m から得た全 87 層準で, µm サイズの浮遊性有孔虫の全個体数のうち,Chinzei et al. (1987) において黒潮指標種とされた暖流種である5 種 (Globigerinoides ruber, Globigerinoides sacculifer, Globorotalia tosaensis, Pulleniatina obliquiloculata, Sphaeroidinella dehiscens) が占める個体数の割合を検討した. その結果, 黒潮指標種が高い割合を示す層準 22-24[E] と 50-75[E] では酸素同位体比の極小値が 20.58[E] と 54.03[E] および 71.02[E] にそれぞれみられ, 黒潮指標種が低い割合を示す 33-44[E] と 80-95[E] では同位体比の極大値が 36.03[E] と 89.03[E] にそれぞれみられた ( Fig. 30). すなわち黒潮指標種の割合が高い層準では酸素同位体比は同位体比の極小値に, 低い層準では同位体の極大値がみられており, 黒潮指標種の割合の変動と酸素同位体比の変動がよく一致していることがわかった. この一致は, 更新世において上総層群が堆積した堆積盆に, 暖流である黒潮が氷期 - 間氷期サイクルにおける間氷期に流入していたことを示していると考えられる. このうち 54.03[E] および 71.02[E] にそれぞれ同位体比の極大値がみられる 50-75[E] において, 黒潮指標種の割合は一度の増加しか認められない. すなわち, MIS に対応する間氷期における温暖期は, 同位体極小値がみられる 62.06[E] の層準には存在しなかった可能性が示唆される. 以上のことから, 黒潮指標種の割合の増加がみられる 50-75[E] において,54.03[E] と 71.02[E] にみられる二つの同位体極小値と 62.06[E] にみられる極小値は,MIS59 における一度の間氷期を反映 43

54 していると考えられる. 黒潮指標種の割合の変動と酸素安定同位体比の変動には一定の位相のずれがみられ, 黒潮指標種の割合の極大値は, 酸素同位体比の極大値よりやや下位の層準で確認される. 氷期 - 間氷期サイクルにおける酸素同位体比の変動と前期更新世における北半球での日射量の変動の位相のズレは 8ky に達するとされる (Imbrie et al. 1992). また, インド洋で掘削されたコアにおいて浮遊性有孔虫の Mg/Ca 比に基づく海洋表層水温の変動は, 酸素同位体比の変動に対し 1-3 ky ほど先行することが明らかにされている (Mashiotta et al. 1999). これを踏まえると, 黒潮指標種の割合がコアの最下位から上位に向かって減少しており, その中に [E] における同位体比極小値がみられることから, この酸素同位体比の極値は MIS61 に対比される可能性がある. すなわち, 黒潮指標種の割合の極大値はコアEよりも下位の層準に存在している可能性が考えられる. コアMおよびコアIにおいて,84.64~86.77 [I] および 61.46~67.04 [M] でオルドバイ正磁極亜帯の上限層準に対比される極性境界が見出された ( 楠, 2014 横浜国大博論 ). 両コアにおいてこの極性境界の約 10 m 下位となる 95.52[I] と 75.00[M] に酸素同位体比の正の極値が存在する (Fig. 28).LR 04 stack においてオルドバイ正磁極亜帯は MIS64 と 63 の間に存在することから, これらの極値は MIS64 に対比した. 一方コアIおよびMにおいて, オルドバイ正磁極亜帯上限層準より上位の層準において, 酸素同位体比が細かな振幅で変動しており極値が明瞭でない (Fig. 28). このためこれらの層準において MIS の対比は行う事が出来なかった. またコアMにおいてMIS 64 に対比した 75.00[M] の下位である 85.99[M] と 98.00[M] に酸素同位体比の負の極値が,93.00[M] に正の極値がそれぞれ存在する ( Fig. 28) [M] より下位は同位体比が得られておらず, また MIS を対比するうえでの基準面は, コ 44

55 アOのオルドバイ正磁極亜帯下限層準 ( [M]) とナンノ化石基準面 13(41.0~71.0[O ]) のみとなるが, オルドバイ正磁極亜帯下限層準から 98.00[M] までのおよそ 30mで同位体比変動が不明であること, 基準面 13が広い層厚をとること (Fig. 28) から, これらの基準面をもとに MIS の対比を行う事は出来なかった. このため, コアMにおける MIS64 より下位の同位体比の極値には,MIS64 より下位の MIS を順番に対比させた. すなわち 85.99[M] を MIS65 に,93.00[M] を MIS66 に,98.00[M] を MIS57 に対比した 酸素同位体層序に基づく凝灰岩層の堆積年代コア中に狭在する凝灰岩について, 有孔虫の同位体比曲線に基づき得られた年代モデルから堆積年代を推定した. コアEおよびJで得られた同位体比の極値と LR04 stack における MIS の極値の年代を対比し, コア中に年代値が挿入された (Fig. 28). それぞれの年代が対比された極値がみられる層準と層準の間の堆積速度を一定と仮定することで, コア中の凝灰岩に年代値が対比される. 結果を Table 5 に示す. コアEおよびコアJに狭在する凝灰岩の内,SKT-11 と SKT-12 はそれぞれ 1573 ka と 1543 ka の堆積年代が得られたが, これらは房総半島に露出する上総層群黄和田層の Kd25, Kd24 と対比された Sg2, Sg1 ( 藤岡ほか,2003) にそれぞれ相当する. SKT-11 に対比される Kd25 の堆積年代は, 長橋ほか ( 2000) において, 佐藤ほか (1999) で 1.65Ma とされたナンノ化石基準面 11の直上に狭在することから 1.65Ma と見積もられた. また, 坂井 黒川 ( 2002a) は, 吉川ほか (1996) において 1.75Ma とされた Kd38 と佐藤ほか (1999) において 1.65Ma とされた基準面 11から求められた堆積速度に基づき, 外挿法により Kd25 の堆積年代を 1.61Ma と見積もった. 町田ほか (1997) は Kd25 と対比される長野県大峰 45

56 地域に露出する大峰溶結凝灰岩層の堆積年代をカリウム -アルゴン法に基づき測定した結果 1.65±0.10 Ma と 1.69±0.11 Ma の年代を得た. 青木 黒川 ( 1999) は,Kd25 と対比される長野県に露出する猿丸層に狭在する T4 凝灰岩層について, カリウム-アルゴン法により 1.73±0.09 Ma と推定した. 本研究において推定された SKT-11 凝灰岩の年代値は, これらの研究に対し 8~16 万年ほど若い値となる. 46

57 第 9 章結論三浦半島北部に露出する上総層群中 下部野島層, 大船層, 小柴層において, 露頭およびコアの観察に基づく岩相記載, 凝灰岩の対比に基づく層序対比から岩相層序を, また古地磁気層序, 石灰質ナンノ化石層序, 酸素安定同位体層序に基づく年代層序を明らかにした. これにより以下の結果が得られた. 1) 調査地に露出する野島層上部は泥質砂岩層, 砂質泥岩層, 砂質泥岩 泥岩互層および海底地すべり堆積物と地すべり痕充填堆積物から, 大船層は塊状泥岩層から, 小柴層下部は砂質泥岩層, 泥質砂岩層, 砂岩層からなる. 野島層から大船層にかけては上方細粒化シーケンスが, その上位の大船層から小柴層にかけては上方粗粒化シーケンスが観察され, 後者については高海水準期における前進堆積体であることが示唆される. 2) 野島層, 大船層, 小柴層に狭在する凝灰岩層のうち, 岩相, 層位関係と組合せ, 構成鉱物, 火山ガラス屈折率に基づき, 56 枚の凝灰岩層が露頭およびコア間で対比された. 3) 調査地中部 西部となる瀬上 庄戸地域および氷取沢 金沢地域に露出する野島層において,NOT-1 凝灰岩層直下の層準に海底地すべり岩体および地すべり痕充填堆積物が見出された. 海底地すべり堆積物は, 著しく多様な走向傾斜や, 堆積物が未固結時に変形したことを示唆する変形構造を示す. 瀬上 庄戸地域の地すべり岩体は, 主に泥岩 - 泥質砂岩互層と砂岩層からなり, 上方粗粒化を示す岩体 ( 最大層厚 35m) からなる. 氷取沢 金沢地域の地すべり岩体は, 泥岩 - 泥質砂岩互層 ( 層厚 5m 以上 ) とその上位に重なる泥質砂岩と砂質泥岩からなり上層細粒化する層 ( 最大層厚約 25m) からなる. このうち泥質砂岩と砂質泥岩からなる層と, その下位の変形が見られない正常層との間で,5 枚の凝灰岩が対比されたことから, 泥質砂岩と砂質泥岩からなる層は少なくとも約 20m 分の地層が下位層準と重複していることが分かった. 古地 47

58 磁気層序解析から, 5 枚の凝灰岩層で対比される正常層と地すべり岩体の重複層準からは正磁極が得られており, いずれもオルドバイ正磁極期の堆積物であることが推定された. 地すべり岩体の上位を占める砂礫岩, 砂岩, 泥質砂岩からなり上方細粒化する層は, 変形の影響が見られないが, 地すべり岩体の直上を占めることから, 地すべり痕充填堆積物と解釈した. 地すべり痕充填堆積物は上位の砂質泥岩 泥岩互層あるいは泥岩層に上方細粒化して整合漸移する点, 基底部に浸食面がみられる点などチャネル充填堆積物的性質を示す. また地すべり痕充填堆積物内には, 泥質砂岩や砂質泥岩からなり多様な走向傾斜を示す岩体が狭在し, これらは地すべり痕充填堆積物の堆積時に再度地すべりが生じたことで堆積した地すべり岩体と推定される. 4) 野島層最上部から小柴層下部にかけての層準を含む二本のボーリングコア E および J において, 浮遊性有孔虫 Globorotalia inflata の酸素安定同位体比曲線が得られた. また, 石灰質ナンノ化石層序解析により, 大船層から小柴層の層準に佐藤ほか (1999) のナンノ化石基準面 10(large Gephyrocapsa 初産出層準 ), 11 (Gephyrocapsa oceanica 初産出層準 ), 12 (Gephyrocapsa caribbeanica 初産出層準 ) を認定した. これらに基づき, 大船層から小柴層の層準の酸素安定同位体比曲線に海洋同位体ステージ (MIS)61~49 を認定し年代モデルを作成した. 5) 年代モデルから, 房総半島の上総層群黄和田層中に狭在する Kd24 と Kd25 凝灰岩層に対比される SKT-11 と SKT-12 凝灰岩層の堆積年代はそれぞれ 1573 ka と 1543 ka と推定される. 48

59 謝辞指導教官である間嶋隆一教授からは, 十年以上の長きにわたり多大なご指導 ご鞭撻を賜りました. 研究の進め方, 野外調査や研究発表の手法, 研究者としての姿勢から, その他私生活に至るまで, ありとあらゆることをこれほど丁寧に, かつ熱心にお教え下さったことに, 筆舌に尽くしがたい感謝の念を感じています. 心の底から御礼申し上げます. 本論は著者の単名ではありますが, 本研究は横浜国立大学間嶋研究室でこれまでに積み重ねられた調査と研究を基に遂行したものです. 含泥率と安定同位体比は, 同研究室の北﨑朋美氏, 森健輔氏, 甲田篤郎氏, 鴨志田健吾氏が測定したものを含みます. 野外調査においては, 間嶋研究室在籍の宇都宮正志氏, 楠稚枝氏, 神保幸則氏, 本研究室卒業生である中澤努氏, 甲田篤朗氏, 小山真登氏, 森健輔氏, 荒井悠氏, 石田裕之氏, 大河原にい菜氏, 西垣寛人氏, 川口純氏, 越智眞弓氏, 人見真紀子氏, 三浦美佐氏, 大竹望氏, 前田正雄氏, 浜名徳明氏, 井上信嗣氏, 西田梢氏, 福原健氏, 中村章子氏, 渡部彩氏, 佐藤圭氏, 斉藤猛氏, 恩田大学氏, 鴨志田健伍氏, 佐藤瑞穂氏, 南條雄大氏, 高橋正樹氏, 岡田明莉氏, 玉井風史氏, 長浜千展氏, 今関光喜氏, 並木勇樹氏, 木戸晃太氏, 小林青葉氏, 三本管優作氏, 新谷美久帆氏, 沼田章吾氏によるご協力を戴きました. 安定同位体比の測定においては静岡大学の質量分析計を借用させていただき, 和田秀樹教授 ( 静岡大学 ),Satish-kumar 准教授 ( 新潟大学 ) および和田研究室,Satish 研究室に在籍していた方々より多くのご指導, ご意見を戴きました. 亀尾浩司准教授 ( 千葉大学 ) には, ナンノ化石の分析をして戴くとともに, ナンノ化石層序について丁寧なご意見を数多くいただきました. 火山ガラス屈折率の測定に当たっては, 温泉地学研究所の機器を借用させていただき, 49

60 萬年一剛博士 ( 温泉地学研究所 ) より測定法について懇切丁寧なご指導を戴きました. また, 本研究の遂行にあたっては, 横浜国立大学地球科学教室の多くの方々にお世話になりました. 有馬眞教授, 石川正弘教授には地学ゼミナールなどにおいて様々なご助言を幾度となく頂戴しました. 河潟俊吾准教授には, 有孔虫化石の処理や分類について厚いご指導を戴くとともに, 研究を進めるにあたって示唆に富んだご意見を数多く頂戴しました. 和仁良二准教授には, 研究内容だけでなく発表手法などについて丁寧なご意見を戴きました. 中村栄子名誉教授には, 研究室内ゼミナールにおいて丁寧なご提言を数多くいただき, またいろいろなご相談にも乗って戴きました. ロバート ジェンキンス准教授 ( 金沢大学 ) には, 直接自身の研究に関わることだけでなく, 古生物学に関わる広い見聞を与えて戴きました. 田口公則氏と樽創博士 ( 神奈川県立博物館 ) はゼミナールにおいて有益なご助言を多数くださいました. 柴田知則氏 ( 石油地質関連コンサルタント ) には, 野外調査や講義において丁寧なご指導を戴きました. 中島礼博士 ( 産業総合技術研究所 ) は, 本研究の意義や方向性に関して幾度も提言をくださいました. 森慎一博士 ( 平塚市博物館 ) には, 本研究の内容について真摯なご意見を賜るとともに, 野外調査においては新たな知見を数多く授けてくださいました. 以上の方々ならびに関係各位に心から感謝申し上げます. 本研究には, 日本学術振興会科学研究費補助金 ( 基盤研究 A: 課題番号 , 基盤研究 B: 課題番号 , 基盤研究 C: 課題番号 ) および平成 23 年度横浜国立大学環境情報研究院共同研究プロジェクト 課題 C ( 代表者 : 野崎篤 ) の一部を使用しました. 最後に, 著者を支えてくれた家族に心から感謝します. 50

61 引用文献 赤嶺秀雄 岩井四郎 小池清 成瀬洋 生越忠 大森昌衛 関陽太郎 鈴木好一 渡部景隆,1956. 三浦半島の三浦層群について. 地球科学, AOKI N Benthonic foraminiferal zonation of the Kazusa Group, Boso Peninsula. Transactions and Proceedings of the Paleontological Society of Japan N. S. 70, AOKI N Notes on the stratigraphic distributions of some planktonic foraminiferal species in the Kazusa Group, Boso Peninsula. Transactions and Proceedings of the Paleontological Society of Japan N. S. 74, AOKI T. & KUROKAWA K Correlation of the T1 and T4 ash layers in the Sarumaru Formation in Nagano region to the Ykp (Hamatsuda Formation) and SK110 (Uonuma Group) ash layers in Niigata region. Journal of the Geological Society of Japan 105, BERGER W. H., BICKERT T., SCHMIDT H. & WEFER G Quaternary oxygen isotope record of pelagic foraminifers: Site 806, Ontong Java Plateau. Proceeding of the Ocean Drilling Program, Scientific Results 130, BERGER W. H., YASUDA M. K., BICKERT T., WEFER G. & TAKAYAMA T Quaternary time scale for the Ontong Java Plateau: Milankovitch template for Ocean Drilling Program Site 806. Geology 22, CHINZEI K., FUJIOKA K., KITAZATO H., KOIZUMI I., OBA T., ODA M., OKADA H., SAKAI T. & TANIMURA Y Postglacial environmental change of the Pacific Ocean off the coasts of central Japan. Marine Micropaleontology 11, 江藤哲人, 1986a. 三浦半島葉山層群の層位学的研究. 横浜国立大学理科紀要, 第 2 類,

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