コンポジットサンプリング

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1 24 年度日本計量生物学会年会講演要旨集 (24 年 5 月 24 日, 統計数理研究所 ) 植物検疫における外来生物根絶確認のための統計分析 山村光司独立行政法人農業環境技術研究所. はじめに わが国の輸入植物検疫では, 所定の外来生物の侵入を阻止するために, 主として次の三つの対策が行われている () 輸入サンプリング検査,(2) 早期発見,(3) 緊急防除 このうち 番目のコンポーネントについては山村 (2) に紹介がある 本講演では 2 番目および 3 番目のコンポーネントについて紹介を行う 輸入サンプリング検査によって水際で完全に外来生物をブロックするのは困難であることから, 国内で監視を行って, 外来生物を侵入の初期段階で発見することが重要となる まず, この早期発見に関して, ウメ輪紋病で用いられている階層サンプリング検査について紹介する 国内で所定の外来生物が発見された場合には, その生物に対して緊急防除が実施される その最終段階では, 外来生物が正しく根絶されたことを統計学的に確認する必要がある カンキツグリーニング病等を例として, この根絶確認のための理論について紹介する 2. 早期発見の理論 2-. Hughes, Gottwald, and Yamamura (22) による早期検出法 ウメ輪紋病はバラ科属植物 ( ウメ, スモモ, モモ, アンズ等 ) の樹病であり, プラムポックスウイルス (PPV) により引き起こされる わが国では 29 年に初めて発見され, 現在その緊急防除が東京都内, 大阪府内および兵庫県内の一部地域で進められている それと同時に,PPV の早期発見手順としてのサンプリング検査が 47 都道府県で毎年行われている PPV を検出した後の植物検疫活動に関するガイドラインが北米地域植物防疫機関 (NAPPO, 24) により示されている この文書において,NAPPO は大規模なサンプリング検査の方法に関して以下のように推奨している 州あるいは郡のような大きな地域に PPV が存在するかどうかを判定する際には, 生産地域のすべてを調査する必要はない Hughes, Gottwald, and Yamamura (22) が用いた手順にしたがって階層サンプリングによって部分的に検査を行えばよい この文書で推奨されている手順は以下の通りである ウメ等の植物の空間分布に関しては階層構造を考えることができる すなわち, 検査対象となっている県 ( あるいは州, 郡 ) は多くの園地よりなっており, さらに, それぞれの園地は多くの植物よりなっているという階層構造を考えることができる そこで, ある県内の感染園地の割合が q 以上である場合に, その県を感染県と定義することにする 一方, 園地内の感染植物の割合が q 2 以上である場合に, その園地を感染園地と定義することにする いま, 感染県を γ 以上の確率で検出するようにサンプリング計画を構築することを考える ある県内で調査する園地の数を s とし ( 一次サンプル数 ), 第 j 番目の園地で検査する植物の数を s 2j とする ( 二次サンプル数 ) - -

2 二次サンプル数 s 2j は感染園地を φ 以上の確率で検出できるように決定する このとき, 超幾何分布に基づく計算式 ( 山村 (2) の 式 ) を用いれば, 必要な二次サンプル数 s 2j は次式で計算することができる n2 jq2 / ( ) 2 2 ( n ) 2 j q s j = n j j 2 2 ここに n 2j は第 j 番目の園地における植物の総数である 一方, 一次サンプル数 s を決定する際には,Hughes et al. (22) は, 超幾何分布に対する p- 二項分布近似を使用した p- 二項分布近似では, 感染県において検査された園地は独立に q ( φ) 以上の確率で感染園地と特定されるとして近似する このとき, 必要な一次サンプル数 s は次式で与えられる () s log( g ) = log( q( ϕ)) (2) 病害虫の早期検出を行う場合には, 感染園地の率は通常は非常に小さい 一方, 検査される園地の割合はかなり大きくなる場合がある このような場合には, 超幾何分布に対する近似としては p- 二項分布近似よりも f- 二項分布近似の方が近似がよい f- 二項分布近似においては, 今の場合は, それぞれの感染園地は確率 ( φ)s /n で検査され, かつ感染していると判定されるとして近似する ただし, ここに n はその県内の園地の総数である このとき, 必要な一次サンプル数 s は次式で与えられる n = ϕ /( ) ( γ nq ) s (3) 2-2. プラムポックスウイルスの早期検出 二次サンプル数 (s 2i ) と一次サンプル数 (s ) は, 与えられたリスク γ と φ のセットのもとで, それぞれ 式と 3 式から容易に計算することができる しかしながら, Hughes et al. (22) の手法はまだ新しいため, 現時点では γ と φ の適当な組み合わせを決めることができない つまり, 現時点では γ と φ の値を決定するための十分な経験的な知識がない そのため,PPV の早期検出のためのサンプリング検査方式を構築する際には, わが国ではこの Hughes et al. (22) の方法を採用することはできなかった その代わりに, 輸入荷口の植物検疫検査で使われているものと同じリスク管理の方針が採用された ここでは 良くない出来事 としては 病樹率が p c 以上の県を検出することに失敗すること と定義された そして, この 良くない出来事 が発生する確率 ( 消費者危険率 ) が β=.5 以下になるようにサンプリング検査方式を決定することにした 二次サンプルは同じ地点から抽出される つまり,s 2j 個のアイテムは県全体からランダムに抽出されるのではなく, 第 j 番目の園地から抽出される したがって, これはインクリメントのサイズが s 2j である インクリメントサンプリング の一種である 県内の地域によって病樹率は異なっているため, 県内の病樹率 p の空間分布を次のガンマ分布によって近似的に記述する h p p p Γ( κ ) ( ) = h κ κ exp( h ) (4) - -

3 ここに κ と η はパラメーターである 県内の全体の平均病樹率を x とすると, これは x = κ/η で与えられる ある園地から得られるサンプル中の病樹数を記述するためにポアソン分布近似を用いる 簡単のため, ここでは二次サンプル数はすべての園地で同じであると仮定する つまり, すべての j に対して s 2j = s 2 であるとする このとき, 第 j 番目の園地から採取されたサンプル中の病樹数を Y j とすると,Y j の分布は次の負の二項分布で与えられる (Yamamura and Sugimoto, 995) κ 2 2 Γ ( κ + y) s s Pr( Yj = y) = + y! Γ ( κ) η η+ s 2 y 与えられた κ と η の組み合わせのもとで消費者危険率を β 以下に制御するためには Pr(Y j = )) s β でなければならない したがって, 必要なサンプル園地数 s は Pr(Y j = )) s = β を変形することにより次式で与えられる (5) s log e( β ) = s2 κ loge + η (6) ここでは単純のためにシーリング関数を省略した 早期検出の場面では, 病樹率の全体平均 κ/η が小さい場面を対象としている つまり, ここでは κ は η よりもかなり小さい そのため, 分母の η を κ + η で置き換えても 6 式の値はほとんど同じである IPPC (28) は, 荷口内における病害虫の空間分布の異質性が大きい場合に用いるべき計算式として, この 6 式の η を κ + η で置き換えた式を提示した 外来生物の侵入を見逃す危険性を回避するためには,x p c 満たす κ と η のすべての存在する組み合わせに関して (Pr(Y i = )) s β を満たさなければならない Yamamura and Ishimoto (29) はこの計算に関して実用的な解決法を提案した 病樹率 p の分散は普通はその平均 x の 増加とともに増加する 多くの場合に p の分散 V(p) は平均のべき乗の形 V(p) = ax b で記述することができる ここに a と b は定数である この関係は Taylor (96) にちなんでテイラーのべき乗則と呼ばれる この場合は 4 式の定義から,x = p c において κ = p c 2 b /a および η = p c b /a の関係がある これらを 6 式の κ と η に代入すると次式が得られる s ap b 2 c log ( b ) = log ( + ap ) e e b c s 2 (7) このサンプル数は x p c を満たすすべての κ と η の組み合わせにおいて (Pr(Y j = )) s β を満たす 図 は, わが国の輸入植物検疫検査で採用 園地内で調査する樹数 (s 2 ) %.33%.5% p c =.5% 県内で調査する園地数 (s ) 図. プラムポックスウイルスの早期検出において所定のリスク管理を行うために必要なサンプル数 県内で調査すべき園地数 (s ) と各園地内で調査すべき植物数 (s 2 ) の組み合わせを示す 輸入植物検疫規程で採用された四つのレベルの限界不良植物率 p c (.5,.33,.5,.) について, 必要な組み合わせを示す 消費者危険率は β =.5 に設定されている 破線は野外調査の結果から経験的に採用された s 2 値を示す (s 2 = 45) - 2 -

4 されている四つのレベルの限界不良植物率 (p c =.5,.33,.5,.) について,7 式を満たす s と s 2 の組み合わせを示したものである s と s 2 の間には一種のトレードオフ関係が存在する つまり, それぞれの園地から採取する植物数 s 2 を増加させることができれば, 県から採取する園地数 s を減らすことができる ただし, 病樹は必ずしも病樹と正しく判定できるとは限らない もし病樹が確率 θ で病樹であると独立に判定されるのであれば,7 式の s 2 を s 2 ( θ) で置き換えることにより, 必要なサンプル数を計算することができる 7 式を使用するためには, 二つのパラメーター a と b を推定しなければならない ウメ輪紋病に関する初期の全国調査のデータから以下の推定値が得られた : a ˆ = 39, b ˆ = 2 許容できない病樹率については, わが国の輸入植物検疫検査で使用される p c のうちの最も小さい値 p c =.5 を採用することにした 一方, 各園地で採取される植物数は経験的に s 2 =45 とした このとき, 図 に示されるように, 必要なサンプル園地数は,7 式から s 9 となる ウメ輪紋病の場合は, 感染後に目視で検出可能な状態になるまでの潜伏期間は 3 年程度と考えられていることから, 検査は 3 年毎に行うことにした ただし, 検査の実行のしやすさを考慮して, 回の検査期間で 9 サンプルを満たすように,3 年のあいだ毎年 3 園地を調査することにした サンプルされる植物の総数は 45 9=4,5 である もし仮にランダムサンプリングを行うことができた場合には, 必要サンプル植物数はポアソン近似式から log e (.5)/.5=,997 となる つまり, このインクリメントサンプリングでは総サンプル数はランダムサンプリングの場合の約 2 倍となっている このサンプル数の増加は県内の園地間の異質性のために生じているとも言える インクリメントサンプリング (7 式 ) で必要となる総サンプル数は, 県内に異質性がない場合にはランダムサンプリングで必要なサンプル数と同じになる 一度安全性が確認された県では, 何らかの突発的な事象が生じない限りは安全性が保持されると考えられる そこで,ISO (ISO, 999) や MIL-STD-96 (Department of Defense, 996) で用いられるような適応的管理法を採用することにした 期間 (3 年間 ) の検査で不良植物が検出されなかった場合には, 保護レベルを p c =.5 から p c =.33 まで緩和する すると, 必要なサンプル園地数は, 図 2に示されるように 6 となり, したがって,3 年の 調査期間の間に毎年 2 園地を調査することになる PPV の早期検出手順は, この階層サンプリングの考えを用いることにより 47 都道府県で毎年実施されている 3. わが国における緊急防除の理論 3-. 緊急防除の空間構造 重要な病害虫の侵入が国内で局所的に発見され, まん延して有用な植物に重大な損害を与えるおそれがある場合には, その病害虫を根絶するために緊急防除が行われる 病害虫が発見された地点の周辺には, 原則として二種類の区域が設定される ( 図 2) A 区域では, 関連するすべての寄主植物を焼却するか, あるいは寄主植物に完全に薬剤散布することにより完全に病害虫を根絶する 一方,B 区域では, 関連するすべての寄主植物の移動を禁止する A 区域は病害虫の コロニー範囲に相当しており, 一方,B 区域は病害虫のコロニーが他にも存在する可能性の高い区域に相当している 病害虫が根絶されれば緊急防除は成功である IPPC(998) は, 根絶プログラムを完了する際には, 病害虫が存在しないことが検証されなければならない 検証手順としてはプログラムの - 3 -

5 開始時点で設定された基準が用いられるべきである プログラムの内容と結果に関する適切な文書により, その検証手順は裏付けられなければならない と記述している 根絶を保証するために, この段階で再びリスク管理を行う ここでリスク管理に関する二つの量 ( 好ましくない出来事, およびその発生確率 ) を再び定義しなければならない 植物検疫における根絶とは, 野外の全域において 病害虫の付着した植物 ( 不良植物 ) が存在しない状況を意味する したがって, 好ましくない出来事としては B 区域に一つ以上の不良植物が存在する状態 として定義する 一方, 発生確率としては, 前に述べたように生産者危険率 β=.5 を用いる 最初に樹木の病気の検出について考える 野外で病樹率が小さいときに, その病気を直接に検出することは非常に難しい そのため, ここでは インキュベーション原理 を用いる 感染した樹は 年後に感染力を持つと仮定する さらに, 感染した樹は d 年後に目視で検出できるようになると仮定する ここに d は検出までの潜伏期間である 感染樹数の 年あたりの基本増殖率を R とし, 感染樹が十分にまばらであれば, 感染樹数は, 年後に R 倍に決定論的に大きくなるとして近似的に考える もし, 本以上の樹が第 年あるいはそれより前に新たに感染すれば, 感染樹の数は t 年には少なくとも R t 本となる これらの樹は t+d 年に検出可能となる したがって,t 年に検出可能な感染樹の数は t d において少なくとも R t-d となる それゆえ確率 (-β) で R t-d 本の病樹を検出できるようにサンプル数を決めるべきである このとき, ある程度の大きな割合の樹を検査することにより非常に小さな割合の病樹を検出するのであるから f- 二項分布近似を用いることができる そのため, 必要なサンプル樹率 f は次式で与えられる f β = R d t (8) 検査した樹の中に病樹が存在しなければ 病気が根絶できた と宣言することができる 侵入害虫についても同様の式を用いることができるであろう いま空間が n 個のコドラートからなっていると考える 空間に存在する害虫の総数を μ とする 害虫が存在するコドラートの比率 p は密度 μ/n のべき乗で多くの場合に記述することができる log e( p) = ωµ ( / n) ρ (9) ここに ω と ρ は定数である この経験式は河野 杉野 (958) にちなんで河野 - 杉野式と呼ばれている この式は後に他の複数の研究者により独立に再発見されている (Gerrard and Chiang, 97; Nachman, 984) この規則の理論的根拠は Yamamura (2) が与えている もし第 年に 個体の繁殖個体が存在するならば, 低密度下での幾何学的増殖により第 t 年には個体数 μ は R t 匹に増加しているはずである ただし, ここに R は植物の病気の場合と同様に定義され B 区域 コロニー区域 (A) コロニー外区域 (B) コロニー発見地点 A 区域 病気が存在する確率の大きさの曲線 B 区域 図 2. 緊急防除の空間構造のシェマ 上図は病害虫の存在確率密度を水平に見たものを示す 下図は病害虫の存在確率密度を垂直に見たものを示す A 区域は既知の感染源に由来する高い存在確率を持つ区域を意味する B 区域は, 人間による感染植物の独立な持ち込みが起こりうる区域を意味する 既知のコロニーからの異常拡散も B 区域でカバーされる B 区域で新たな不良植物が見つかった場合には, その新しいコロニーの周りに A 区域が新たに構築される

6 た基本増殖率である p が小さいとき, 一般に log e ( p) p の関係がある したがって,9 式は第 t 年には以下の関係となる p = ωn ρ R ρt () したがって, 害虫の根絶を保証するためのサンプル率 f は次式で与えられる f /( ωn ρr ρt = β ) () 必要なサンプル率を計算するためには三つのパラメーター (ω, ρ, R ) を推定しなければならない 9 式は補対数 - 対数変換で線形の関係になる :log e ( log e ( p)) = log e (ω) + ρlog e (μ/n) したがって, 野外データから線形回帰により ω と ρ を推定することができる 3-2. カンキツグリーニング病の根絶確認 ここでは, カンキツグリーニング病 (HLB) を緊急防除によって鹿児島県の喜界島から根絶した例について簡単に紹介する カンキツグリーニング病は世界中でもっとも深刻なカンキツ類の病気だとされる この病害は Candidatus Liberibacter asiaticus 細菌によって引き起こされ, ミカンキジラミ Diaphorina citri Kuwayama によって媒介される 検出に要する潜伏期間は約 d=2 年と考えられる (Gottwald, 2) まず Gottwald ら (989) のデータから R を推定した 図 3 は以下の三つの実験プロットにおける病害の進行を示す : 953 年 月に設立された林州カンキツ園プロット (LCF), および 発見された感染樹の率 年に設立された林州農業研究所プロット (LARI),97 年に設立されたレユニオン島プロット (RI) 前者の二つの実験プロットは中華人民共和国の広西省の林州市から 2km,22km の距離にそれぞれが位置する 簡便のため, 感染樹率はロジスティック成長を行うと仮定した また, 感染率は相乗的な誤差を受けていると考えた この場合には,R を推定するために, ロジット変換を行った感染率に対する直線回帰を近似として用いることができる LCF, LARI 及び RI の推定 R はそれぞれ 4.58, 6.5, 2.68 であった 中国の 2 つのプロット (LCF と LARI) では最低限の昆虫防除プログラムしか実施されていないが, レユニオン (RI) では殺虫剤プログラムが実施されている したがって,RI の状況がわが国の状況にもっとも近いと考えられるため, ここでは R =3 を採用することにした 図 4 は,8 式に d = 2, R = 3, β =.5 を代入して計算した必要なサンプル比率 f を示している もし潜伏期間の終了直後に根絶を宣言したいのであれば,95% の植物を調査しなければならない 消費者危険率として β=.5 を使用しているので, これは論理的 LCF LARI 初発見からの年数 (t) 図 3. カンキツグリーニング病における基本増殖率 R の推定 病気が進展する曲線から推定する データは Gottwald et al. (989) による 白丸は林州カンキツ園プロット (LCF) を示す 三角は林州農業研究所プロット (LARI) を示す 黒丸はレユニオン島プロット (RI) を示す 曲線は推定されたロジスティック曲線である R の推定値は以下のとおりである LCF: 4.58, LARI: 6.5, RI: RI

7 に明らかである しかしながら,95% もの植物を調査するのは, たいていの場合は不可能である インキュベーション期間を長くすれば必要サンプル数は減少する その一方で, 緊急防除に必要なコストはインキュベーション期間が長くなるにつれて増加する したがって, 実用的に最適なインキュベーション期間が存在すると考えられる 鹿児島県の喜界島では, この病害は 23 年に最初に発見された ( 篠原ら 29) そして, 植物防疫法に基づく緊急防除が 27 年に開始された 感染植物から 5m 以内の部分が A 区域と定義され, 島全体 (56.87km 2 ) の残りの部分は B 区域に指定された 感染した植物が最後に見つかったのは 27 年である そこで, 門司植物防疫所は, 病害の根絶を確認するためのサンプリング検査を 2 年に行った 最後に病樹が検出されてからの経過期間は,t=2 27=4 年である したがって,t = 4, d = 2, R = 3, β =.5 を 8 式に代入することにより, 必要サンプル比率として f =.29 が得られる B 区域内のカンキツ類植物の総数は 36,975 本であった それゆえ, 目視で調査すべき植物の数は 36,975.29=,723 となる そこで,2,52 本の植物が,B 区域で門司植物防疫所により調査された 疑わしい植物が見つかった場合にはリアルタイム PCR および従来型 PCR 法で詳細に調査された このサンプリング検査で病樹が見つからなかったことから, 農林水産省によって 22 年 3 月にカンキツグリーニング病の根絶が宣言された 3-3. 根絶確認のための系統サンプリング 検査すべき樹率 ( f ) 最後の感染樹発見からの年数 (t) 図 4. カンキツグリーニング病の緊急防除において, 根絶を宣言するのに必要なサンプル率 白丸は 2 年の喜界島の根絶確認調査において実際に採用されたサンプル率を示す 潜伏期間の間は根絶を宣言することはできない 喜界島でカンキツグリーニング病の根絶を確認する際には, 以下の実際的な理由により, ランダムサンプリングの代わりに系統サンプリングが用いられた いま, 植物の総数を n, サンプル数を s とする 系統サンプリングにおいては,A 区域を除く島内の全域をカバーする経路に沿って一定間隔で植物を検査する 現実には感染植物はしばしば近隣に固まって分布しているであろう そこで, もっとも単純な決定論的なケース, すなわち, 系統サンプリングの経路にそって τ 本の感染植物が隣接して存在している場面を想定する また, 単純のため n/s が整数である場面を想定する この場合, 系統サンプリングにおいては,n/s 通りのサンプル群のうちの一つの群をランダムに選択することになる それぞれのサンプル群は n/s 本間隔の一定間隔で配置された s 本の植物からなっている もし τ n/s であれば,n/s 群のサンプル群のすべての群が感染樹を 本以上含むため, 系統サンプリングを行うことによって % の確率で感染樹を検出することができる もし τ < n/s であれば,n/s 群のサンプル群のうちの τ 群が感染樹を含むため, 感染樹の検出確率は τ/(n/s) である 一方, ランダムサンプリングを採用した場合には,f- 二項分布近似を用いることができるため, 検出確率は常に ( (s/n)) τ である s/n に関する まわりのテイラー展開近 - 6 -

8 似を用いることにより, 不等式関係 τ/(n/s) ( (s/n)) τ を示すことができる つまり, 系統サンプリングはランダムサンプリングよりも高い検出確率を示す さらに, 単純ランダムサンプリングでは植物を抽出する際に乱数を使わなければならないため労力がかかるのに対して, 系統サンプリングではそのような労力は不要である これらの理由により, 喜界島においてカンキツグリーニング病の根絶を確認する際には系統サンプリングが用いられた このように, 病気の空間分布が非常に集中的である場合には, 系統サンプリングはランダムサンプリングよりも高い検出力を示すのであるが, そこには例外が存在する もし病気の感染確率が系統サンプリングの経路にそって周期的に変動しており, その周期が系統サンプリングの周期と厳密に一致するときには, 検出確率はランダムサンプリングの検出確率よりも小さくなる場合がある そのような可能性を排除したい場合には, 層別を行って, それぞれの層内でランダムサンプリングを行うべきであろう いま, 全空間を同じサイズの ψ 個の層に分けるとする 便宜上, 第 j 層の 植物は確率 p j で感染すると確率論的に考え, それぞれの層におけるサンプル数を υ とする つまり υψ = s とする このとき, 第 j 層で感染が見つからない確率は ( p j ) υ である したが ψ って, 層別ランダムサンプリングにおける検出確率は Πj [( p j ) υ = ] である これは厳密に ( p j の幾何平均 ) s で与えられる 一方, 単純ランダムサンプリングを行った場合には, その検出確率は厳密に ( p j の算術平均 ) s で与えられる p j の幾何平均は, すべての p j が等しい場合を除き, p j の算術平均よりも小さい したがって, 感染確率に空間的な異質性が存在する場合には, 層別ランダムサンプリングの検出確率は単純ランダムサンプリングの検出確率よりも必ず大きくなる 層別ランダムサンプリングは単純ランダムサンプリングと系統サンプリングの両方の特徴を合わせ持つ したがって, 層別ランダムサンプリングで必要な労力は単純ランダムサンプリングと系統サンプリングで必要な労力の中間になるであろう 3-4. ウメ輪紋病における根絶確認 カンキツグリーニング病の根絶確認では, 好ましくない出来事としては 本以上の感染樹が存在する状態 として定義し, その状態を検出することができない消費者危険率を 5% 以下に保つようにサンプリング計画を構築した また, 特定の 時点にサンプリング検査を行うことにより根絶確認を行った この基準は明瞭な基準だと思えるが, この基準をウメ輪紋病に適用する場合には二つの問題が生じる まず, ウメの苗園で幼苗が密植された場面を念頭においた場合には, 複数本の感染樹が発見された場合でも, それらを含む全園地をある程度の広域にわたって直ちに伐採 廃棄することができるため, 危険性は比較的低いことから, 必ずしも 本以上の感染樹 にこだわる必要はないと考えられる 問題なく処理できる感染樹の限界本数を N 本とするとき, 好ましくない出来事としては N 本以上の感染樹が存在する状態 として定義する方が現実的となる また, 特定の 時点に大量のサンプリング検査を行うのは労力的に難しいことから, 根絶確認は複数年にわたるサンプリング検査によって実施できる方が望ましい 感染してから検出可能になるまでの潜伏期間を d 年とし, 調査開始年の d 年前から系が閉鎖され, この d 年間は系外への樹の持ち出しと系内への持ち込みが存在しないとする 調査初年を第 年とするとき, 第 ( d) 年に N 本以上の感染樹が存在した場合には, 第 年に観測可能な病樹数は N 本以上となる 一般に, 第 j 年に観測可能な病樹数は R (j ) N 本以上となる 第 年から第 w 年まで毎年同じ率の樹の調査を行うとし, その検査樹率を f とする ランダムサンプリン - 7 -

9 グを仮定すれば, この w 年間の検査で感染樹がまったく見つからない確率は f- 二項分布近似により ( f ) N ( f ) RN 2 ( ) R N ( w ) f... ( ) R f N である この確率を β 以下に保つために必要な調査樹率 f は次式で与えられる R = ( w ) (2) f β N R ウメ輪紋病の場合は感染後に目視で検出可能な状態になるまでの潜伏期間は 3 年程度と考えられている また, ウメ輪紋病の場合は, 園内スケールにおける感染樹数の 年あたりの基本増殖率は R =2. と推定されたため, ここでは近似的に R = 2 とする 感染樹は翌年には感染力を持つとし, 感染樹数は毎年決定論的に 2 倍になるとして単純化する このとき, たとえば w = 3 年間の調査で根絶確認を行いたいとき, 問題なく処理できる感染樹の限界本数が N = 4 本であれば, 各年で必要な調査樹率は2 式より f =.% となる ただし, この調査方式では毎年に調査地域の全域を回って f の樹率で調査を行わなければならず, 調査時の移動に要するコストが大きくなる この問題を回避するためには, 調査地域を w 個のサブ地域に等分して, 各年に 箇所のサブ地域を順番に調査してゆくという方式が考えられる この場合には, 調査初年に関して発見確率を制御すればよいため, ある年に必要な調査樹率 ( ある年の調査樹数を調査地域全体の総樹数で割った値 ) は次式で与えられる f = ( β (/ N ) ) / w (3) 調査地域を樹数で三つに等分して,w = 3 年間にわたって順番に三つのサブ地域を回って調査を行う場合には, 各年で必要な調査樹率は 3 式より f = 2.4% となる 必要な調査樹率自体は大きくなるが, 移動に要するコストを考慮すれば, こちらの方が望ましいことから, 果樹用苗生産地域に関しては, 現在はこちらの方式が採用されている 4. 引用文献 Department of Defense (996). MIL-STD-96: DoD preferred methods for acceptance of product. Gerrard, D.J. and Chiang, H.C. (97). Density estimation of corn rootworm egg populations based upon frequency of occurrence. Ecology 5, Gottwald, T.R., Aubert, B., and Xue-Yuan, Z. (989). Preliminary analysis of citrus greening (Huanglungbin) epidemics in the People's Republic of China and French Reunion Island. Phytopathology 79, Gottwald, T.R. (2). Current epidemiological understanding of citrus huanglongbing. Annual Review of Phytopathology 48, Hughes, G., Gottwald, T.R., and Yamamura, K. (22). Survey methods for assessment of Citrus tristeza virus incidence in urban citrus populations. Plant Disease 86, IPPC (998). Guidelines for Pest Eradication Programmes (ISPM No. 9). Rome: International Plant Protection Convention, FAO. IPPC (28). Methodologies for sampling of consignments (ISPM No. 3). Rome: International Plant Protection Convention, FAO. ISO (999). ISO 2859-: Sampling procedures for inspection by attributes Part : sampling schemes indexed by acceptance quality limit (AQL) for lot-by-lot inspection. Genève: International Organization for Standardization. Nachman, G. (984). Estimates of mean population density and spatial distribution of Tetranychus urticae (Acarina: - 8 -

10 Tetranychidae) and Phytoseiulus persimilis (Acarina: Phytoseiidae) based upon the proportion of empty sampling units. Journal of Applied Ecology 2, NAPPO (24). RSPM No. 8: Guidelines for Phytosanitary Action Following Detection of Plum Pox Virus. Ottawa: The Secretariat of the North American Plant Protection Organization. 篠原和孝 上室剛 都外川総明 (29). 鹿児島県喜界島における カンキツグリーニング病菌緊急防除 への取り組み (2 年目の経過 ). 植物防疫 63, 日本植物防疫協会. Taylor, L.R. (96). Aggregation, variance and the mean. Nature 89, Yamamura, K. and Sugimoto, T. (995). Estimation of the pest prevention ability of the import plant quarantine in Japan. Biometrics 5, Yamamura, K. (2). Colony expansion model for describing the spatial distribution of populations. Population Ecology 42, Yamamura, K. and Ishimoto, M. (29). Optimal sample size for composite sampling with subsampling, when estimating the proportion of pecky rice grains in a field. Journal of Agricultural, Biological, and Environmental Statistics 4, 山村光司 (2). 農学と統計学. 計量生物学 32, S9 S34. 連絡先 : 茨城県つくば市観音台 3--3, 独立行政法人農業環境技術研究所, 山村光司 yamamura@niaes.affrc.go.jp, ホームページ :

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