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1 内科脳血管部門 ( 脳血管内科 B SCU) ( 研究活動の概要 ) 脳血管内科 B 部門は 脳血管障害の診断法の発展 脳卒中急性期の新たな治療法の開発 脳血管障害例における再発 認知機能低下の阻止 を三大テーマとして臨床研究を行っている 新たな診断法として 2005 年から 指タップ試験による麻痺手の巧緻運動機能の定量的検査法 および 舌圧センサーシートを用いた嚥下機能の定量的検査法 を開始し 2006 年にはこれら検査法の有用性を示すいくつかのデータを得た 脳卒中急性期の新たな治療法として 従来から重症脳梗塞に対する再生医療に取り組んできたが 2006 年にはサル中大脳動脈閉塞モデルを用いてその安全性を確認し 2007 年のヒト脳梗塞応用へ向けての最終準備を終了した また脳梗塞急性期の廃用性筋萎縮阻止療法の有効性に関する研究 (Muscular Atrophy Restraint with Vigilant Edaravone Long-term Use after Stroke: MARVELOUS) などの多施設共同前向き介入研究を二つ 穿通枝領域進行型脳梗塞の病態 診断 治療に関する研究 (Study for Treatment, Overt Signs and Pathophysiology of Branch Atheromatous Disease: STOP BAD) などの多施設共同前向き観察研究を二つ開始した 2006 年における具体的な研究テーマは以下のごとくであった 1) 指タップ試験による手の巧緻運動機能障害の定量的評価に関する研究 ( 独立行政法人医薬品基盤研究所受託研究費 ) 2) 舌圧センサーシートを用いた嚥下機能の定量的評価に関する研究 ( 独立行政法人医薬品基盤研究所受託研究費 ) 3) 脳梗塞急性期の降圧治療に関する多施設共同前向き比較対照研究 (JACTASK) ( 循環器病研究委託費 ) 4) 脳梗塞急性期の廃用性筋萎縮阻止療法の有効性に関する多施設共同前向き比較対照研究 (MARVELOUS)( 厚生労働科学研究費 ) 5) 穿通枝領域進行型脳梗塞の病態 診断 治療に関する多施設共同前向き観察研究 (STOP BAD)( 循環器病研究委託費 ) 6) 大動脈原性脳梗塞の診断 治療に関する多施設共同観察研究 ( 循環器病研究委託費 ) 7) 脳梗塞急性期の再生療法の安全性に関する実験的研究 8) 脳梗塞急性期の嚥下障害と薬物治療に関する研究 9) 血中幹細胞数測定による認知症の鑑別診断および側副血行発達度推定に関する研究 ( 厚生労働科学研究費 ) 10) 脳磁図を用いた脳機能障害診断に関する研究

2 (2006 年の主な研究成果 ) 睡眠中に発症する脳出血には 2 種類があり 大出血を生じるために自らは覚醒しないタイプ 比較的小さな出血を生じて覚醒時に運動麻痺に気づくタイプがあること また両者の頻度が相半ばすること等を明らかにした 経食道エコーを用いて大動脈弓の粥状動脈硬化病変と脳梗塞との関係を検討した結果 大動脈弓プラーク 35 mm 以上が脳梗塞の危険因子になることを明らかにした 覚醒時に脳梗塞発症に気がつく一群の症例の頭部 CT 所見を発症後経過時間の明らかな一群の頭部 CT 所見と比較検討した結果 覚醒時に症状に気づく症例の大半は覚醒直前に脳梗塞を発症している可能性が高いことを明らかにした 万有製薬株式会社 東京大学 大阪大学 東北大学 札幌医科大学 自治医科大学等と共同で全国 3 万例以上の高血圧症患者に対して平均 3 年間の降圧薬 (ARB) 投与を行い 虚血性心疾患および脳卒中の発症に関する追跡調査を行った その結果 脳卒中の発症頻度は心筋梗塞の約 4 倍であること 85 歳以上の高齢者においても随時血圧を 140/90 mmhg 未満に降圧すると虚血性イベントが有意に減少すること 仮面高血圧は虚血性イベントの危険因子であること等を明らかにした 舌圧センサーシートを用いた嚥下機能試験は安全に施行可能であり 軽度 中等度の嚥下機能障害を有する患者において特有な舌圧変化を示すこと そのパターンを検討することにより嚥下機能障害の程度を定量化できる可能性があることを明らかにした

3 研究業績 ( 欧文 ) 原著 1) Kimura R, Kokubo Y, Miyashita K, Otsubo R, Nagatsuka K, Otsuki T, Sakata T, Nagura J, Okayama A, Minematsu K, Naritomi H, Honda S, Sato K, Tomoike H, Miyata T: Polymorphisms in vitamin K-dependentγ-carboxylation-related genes influence interindividual variability in plasma protein C and protein S activity in general population. Int J Hematol, 84: , 2) Nagakane Y, Miyashita K, Nagatsuka K, Yamawaki T, Naritomi H: Primary intracerebral hemorrhage during asleep period. Am J Hypertens, 19: , 3) Oomura M, Yamawaki T, Naritomi H, Terai T, Shigeno K: Polyarteritis nodosa in association with subarachnoid hemorrhage. Intern Med, 45: , 4) Tanaka M, Yasaka M, Nagano K, Otsubo R, Oe H, Naritomi H: Moderate atheroma of the aortic arch and the risk of stroke. Cerebrovasc Dis, 21: 26-31, 5) Todo K, Moriwaki H, Saito K, Tanaka M, Oe H, Naritomi H: Early CT findings in unknown-onset and wake-up strokes. Cerebrovasc Dis, 21: , 研究業績 ( 和文 ) 原著 1) 杉山幸生, 下出淳子, 小仲邦, 長束一行, 飯原弘二, 植田初江, 成冨博章 : 頸動脈可動性病変を認め急性期に内膜剥離術を行った脳梗塞の一例. 脳卒中, 28: , 2) 高田達郎, 永野恵子, 成冨博章, 峰松一夫 : 中大脳動脈塞栓症に対する局所線溶療法における経時的 NIHSS および JSS 評価の意義. 脳卒中, 28: , 3) 田口明彦, 明神和紀, 松山知弘 : 脳卒中に対する再生医療技術を用いた治療法の開発に関する研究. 脳卒中, 28: , 4) 中島隆宏, 豊田一則, 高田達郎, 河野浩之, 佐藤祥一郎, 吉村壮平, 李眞英, 山田直明, 成冨博章, 峰松一夫 : 発症 3 時間以内の来院患者への救急対応の現状 : 脳梗塞アルテプラーゼ静注療法に備えて. 脳卒中, 28: , 5) 長谷川泰弘, 安井信之, 畑隆志, 岡田靖, 豊田章宏, 豊田百合子, 成冨博章, 峰松一夫 : Stroke Unit の現状と課題急性期脳卒中診療体制に関する全国アンケート調査から. 脳卒中, 28: ,

4 6) 森脇博, 岡崎周平, 山田直明, 成冨博章 : 脳卒中の診断治療における画像診断の進歩脳梗塞超急性期における単純 CT と拡散強調 MRI の病巣検出能の比較. 脳卒中, 28: , 総説 1) 赤岩靖久, 成冨博章 : 脳梗塞. Modern Physician, 26: , 2) 赤岩靖久, 宮下光太郎, 北風政史 : 血管性認知症患者のクリニカルパス. 老年精神医学雑誌, 17: , 3) 赤岩靖久, 成冨博章 : 全身痙攣. 成人病と生活習慣病, 36: , 4) 大村真弘, 成冨博章 : 脳動脈解離. 循環器病研究の進歩, 27: 17-26, 5) 岡崎周平, 成冨博章 : 若年者の脳血管障害. からだの科学, 249: 11-15, 6) 小林洋和, 成冨博章 : 脳微小出血とアスピリン. 治療学, 40: , 7) 下出淳子, 長束一行 : 脳. Vascular Lab, 3( 増刊 ): , 8) 武信洋平, 成冨博章 : 脳温測定法. 脳と循環, 11: 69-72, 9) 長束一行 : 経頭蓋ドプラーの臨床応用. Vascular Lab, 3: 14-18, 10) 長束一行 : 動脈疾患頸動脈狭窄症. Modern Physician, 26: , 11) 長束一行 : 早わかり! 血管領域におけるルーチン検査のコツ第 2 回微小栓子シグナル (HITS/MES) Vascular Lab, 3: , 12) 長束一行 : 超音波検査の意義 有用性. 診断と治療, 94: , 13) 長束一行 : HITS. CARDIAC PRACTICE, 17: , 14) 成冨博章, 山本康正 : Branch Atheromatous Disease を主体とする進行性脳梗塞の病態と治療. Pharma Medica, 24: 63-71, 15) 成冨博章, 阿部康二 : 脳梗塞慢性期患者の管理と治療. 総合臨床, 55: , 16) 成冨博章 : 低体温療法. 日本臨床, 64(Suppl 8): 59-62,

5 17) 成冨博章 : 脳磁図の使用指針. 日本臨床, 64(Suppl 7): , 18) 宮下光太郎, 成冨博章 : 視床出血の臨床統計的検討. 日本臨床, 64(Suppl 8): , 19) 宮下光太郎 : t-pa 静注療法大規模試験. medicina, 43: , 20) 宮田茂樹, 長束一行, 嘉田晃子, 宮田敏行 : アスピリンの抱える問題点 1 アスピリン定光性とそのメカニズム. 治療学, 40: , 著書 1) 小仲邦, 成冨博章 : 急性期における降圧の適応とタイミングは?. ファーマナビゲーター 脳卒中編, 井林雪郎編集, メディカルレビュー社 : , 2) 武信洋平, 成冨博章 : 低体温療法. 神経疾患最新の治療 , 小林祥泰, 水澤英洋編集, 南江堂 : 35-38, 3) 長束一行 : Ⅵ. 脳血管障害 2. 脳卒中の超音波検査. Annual Review 神経 2006, 柳澤信夫, 篠原幸人, 岩田誠, 清水輝夫, 寺本明編集, 神経中外医学社 : , 4) 長束一行 : 頸部血管エコーの意義. 血管エコーテクニックと意義, 松尾汎編者, インナービジョン : 60-64, 5) 宮下光太郎 :15 章脳血管障害. 高血圧を外来で診る, 有馬秀二編集, 診断と治療社 : ,

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