検証授業（歴史人物の扱い方）の学習指導案

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1 検証授業 ( 歴史人物の扱い方 ) の学習指導案第 2 学年 1 組社会科学習指導案平成 18 年 10 月 24 日 ( 火 ) 市立 中学校指導者 1 単元名 明治維新 2 生徒の実態本校の生徒は まじめで授業に落ち着いて取り組んでいる 授業にも集中して取り組み 授業後の評価カードへの記入もしっかり行っている生徒が多い 社会科が得意な男子も多く 授業にも積極的に参加している 社会科の好き嫌いのアンケートを取ったところ 歴史を好きな生徒は多いが 地理は半々である 地理 歴史を平均すると県が先頃行った社会科が 好き どちらかというと好き の合計 57% とほぼ同様な結果であった 明治維新の学習で知っていることを聞いたところ 地租改正 や 学制 廃藩置県 殖産興業 という社会的出来事は忘れてしまっている生徒が多いが 西郷隆盛 や 板垣退助 伊藤博文 などの歴史人物については覚えている生徒が多い 渋沢栄一については 50%(35 人中 17 人 ) の生徒が やった記憶がある と答えている ただし 渋沢栄一について知っていることを記述させたところ 埼玉出身 もしくは 深谷出身 と答えた生徒が 6 名 経済に貢献 と答えた生徒が 2 名 たったの 8 名しか記述がなかった 小学校の学習で覚えていることからもわかるように 歴史的事象よりも人物を扱った方が生徒の印象に残るようである 明治維新での学習もなるべく人物を中心に扱っていきたい 3 単元について本単元は 中央集権体制の確立 身分制度の廃止 兵制 学制 税制の改革など近代国家の枠組みを形成した明治維新の諸政策を主な学習内容とする この時代の我が国の歴史は 外圧による開国以来 常にアジアや欧米諸国と密接な関わりを持ちながら進展してきた 我が国の近代化を推し進めた原動力は 欧米諸国の脅威であった 明治政府は欧米列強に負けない国づくりをするために 欧米諸国を近代社会のモデルとして一刻も早く近代国家の仕組みを整える必要があった 国内は未だ情勢不安定 国外は欧米の脅威といった状況の中で 近代化を成し遂げた先人の努力に気付かせるとともに 急激な変化の中で大きく変わる人々の生活にも気付かせたい 4 小中高の系統性について本単元の内容について 小学校では 黒船の来航 明治維新 文明開化などについて調べ 廃藩置県や四民平等などの諸改革を行い 欧米の文化を取り入れつつ近代を進めたことがわかること である 中学校では 明治維新の経緯のあらましを理解させ 新政府の諸改革により近代国家の基礎が整えられたことに気付かせるとともに 人々の生活の大きな変化について考えさせる となる

2 さらに 高校では 文明開化など欧米の文化 思想の影響や国際環境の変化に着目して 開国 明治維新から自由民権運動を経て立憲体制が成立するまでの我が国の近代化の推進について考察させる と発展する 本検証授業は 郷土埼玉の偉人である 渋沢栄一 という歴史人物を通して この単元内容に迫ろうとするとするものである その際 歴史人物 を扱うときの小中高の系統性 関連性を意識しながら実践しようと試みた 歴史人物 を扱う際 どんな角度からどの程度まで扱うかという問題がある 小学校では 児童の興味 関心を重視し 取り上げる人物 文化遺産の重点の置き方に工夫を加えるなど 精選して具体的に理解できるようにする とある すなわち 人物を扱うのは まず歴史に対する興味 関心をもたせ 歴史を学ぶ楽しさを味わわせ その大切さに気付くことを重視している そして 人物の動きを具体的に理解できるようにする とある 中学校では 国家 社会及び文化の発展や人々の生活の向上に尽くした歴史上の人物に対する興味 関心を育てる指導につとめるとともに それぞれの人物が果たした役割や生き方などについて歴史的背景と関連付けて考察させるようにすること とある 同じ歴史人物を扱った際の小学校との違いは下線部分である 高校では 歴史人物に関する取り扱いの記述は学習指導要領にないが 小中学校の学習を受けてさらにその人物が生きた時代を政治的 外交的 経済的など様々な側面から考察し 多面的にとらえることが可能であろう 5 単元の目標 (1) 明治維新の経緯のあらましを理解させ 新政府の諸改革により近代国家の基礎が整えられたことに気付かせる (2) 新政府の諸改革や文明開化がもたらした人々の生活の大きな変化について 江戸時代と比較しながら考察させる 6 単元の評価規準 社会的事象への関心 意欲 態度 明治維新の経過のあらましや人々の生活の大きな変化に対する関心を高め 意欲的に追究している 社会的な思考 判断 資料活用の技能 表現 社会的事象について の知識 理解 明治維新の経緯や 明治維新の経緯のあ人々の生活の大きならましや人々の生活変化を多面的 多角的の大きな変化に関すに考察し 公平に判断る絵画 グラフなどのしている 様々な資料を収集し 適切に選択して活用するとともに 追究し考察した過程や結果をまとめたり 説明したりしている 明治維新の経緯のあらましを 世界の動きを背景に理解するとともに 近代国家の基礎が整えられたことに気付き その知識を身に付けている

3 7 授業展開 (6 時間扱い ) 時主な発問主な学習内容と生徒の活動資料等 1 Q1: 富岡製糸場 を見て 気付いたことを発表しよう Q2: 富岡製糸場 を見て 疑問に思ったことを発表しよう 明治政府の国づくり 明治になってたった 5 年で近代的な工場 富岡製糸場 が建てられたことを理解する レンガ造りである ガラスがある 女子が多い 等 富岡製糸場 は 欧米の技術を利用し 多額な金をかけて建設されたことを知り なぜそのような政策をとったのか考える 何を作っているのか 作った目的は何か 資金はどうしたのか 単元を貫く課題 : 明治政府はどんな国づくりをめざしたのか Q3: 友達の疑問に対して その理由を予想し 明治政府が近代化を進めた事実を確認する その近よう 代化政策を今後学習することを説明する 2 殖産興業と渋沢栄一 * 本時 写真 富岡製糸場 3 Q1: 明治政府が近代国家をつくるためにやったことを調べよう 明治政府の政策 殖産興業以外に明治政府がおこなった主な政策を教科書から探し出し その意味を調べノートにまとめる 廃藩置県 身分廃止 学制 徴兵制 地租改正 課題 : 明治政府の近代化政策を調べ 庶民にどんな影響を与えたか考えよう 4 Q2: 近代化にとってどの政策が一番重要だったかランキングをつけよう Q3: 近代化政策は庶民にとってよかったどうか 検討しよう Q1: 西郷隆盛と大久保利通について知っていることを発表しよう ランキングをつけるという作業により 政策の持つ意義を吟味させる 明治政府の行った政策を庶民の目から再考させ それらの政策が庶民の犠牲の上に成り立っているものであることに気付かせ 次回の明治政府への不満につなげる 明治政府への不満 西郷と大久保について 子どもの頃からの親友が敵味方に分かれ戦った事実などを話し 興味を持たせる 課題 : 急激な近代化に対して 民衆はどんな形で不満を爆発させたのか? Q3: 大久保と西郷のどちらの生き方に共感を持つか Q2: 板垣退助のおこした自由民権運動はどのように広まっていったか調べよう 西南戦争に至る過程をまとめながら 大久保の目指す国づくりと西郷の政策の違いを考える 富国強兵を進めた大久保と 明治維新を成し遂げた士族のために一命を賭した西郷 どちらの生き方に共感できるか自分の意見を発表する 西郷は武力で 板垣は言論で政府への不満を爆発させたことを知る 政府に国会を開くと約束させるまでに至った経過をノートにまとめる

4 5 Q1: 憲法発布の式典 の絵を見て 気付いたことを発表しよう 国会を開け 憲法が天皇から授けられた欽定憲法であったことに気付く 憲法発布の式典 図 6 課題 : 大日本帝国憲法はどのように作られ 人々はこれをどう思ったのか? Q1: 自由民権運動の高まりと明治政府の動きを年表でまとめよう Q2: 大日本帝国憲法の主な内容を調べよう Q3: 伊藤博文と植木枝盛両者の憲法論のどちらを指示するか意見を発表する Q1: 岩倉使節団は 欧米からどんな思いを抱いて帰ってきたのだろう Q2: 当時の日本の領土はどの範囲だったのか Q3: 日本の外交姿勢についてどう思うか意見を交換する 議会を開けという民衆運動の高まりが 政府をして国会開設に至らせたことを年表作成を通じて理解させる 秩父事件の概略を知り 秩父事件が自由民権運動の高まりの中で起こった事件であったことを知る 大日本帝国憲法の内容を調べ 民衆の願いとはかけ離れている事実を知る 伊藤 植木それぞれの立場から自分の意見を述べることにより 大日本帝国憲法ができたことによるプラス面とマイナス面を考える 近代的な国際関係 大久保から西郷への手紙 や 岩倉使節団の行路 を見て 欧米視察の目的について考える 課題 : 日本は 欧米やアジアとどのような外交をおこなったか調べよう 近隣諸国と結んだ条約により どの範囲が日本の領土となったのか 白地図に書いて確認する 欧米諸国とアジア諸国への対応の違いは なぜうま れるか考える この対応の違いがやがては戦争へと発 展していくことに気付かせる 憲法のできるまで ワークシート 植木枝盛の憲法草案 大久保から西郷への手紙 岩倉使節団の行路 明治初期の外交と国境 9 本時の目標 産業や文化の面で 新政府がめざした近代化政策の具体的な内容をとらえる 郷土の偉人 渋沢栄一の業績や生き方 考え方を通して 栄一が日本の近代化に果たした役割を理解するとともに 郷土を愛する心をはぐくむ 10 本時の流れ 導入 学習内容 学習活動指導上の留意点 評価の観点資料 1 郷土の偉人渋沢栄一の写真を見て 知っていることを発表する 渋沢の出身地及び富岡製糸場設立に努力した人であることを簡単に触れる 写真 渋沢栄一

5 展開 1 栄一の略歴栄一の生き方について資料を読み 感想を発表する 日本の発展に貢献している たくさんの会社を設立してすごい 多くの死と向き合ってきたんだな 栄一の生い立ちや生き方に興味が持てたか 関心 意欲 資料 栄一の略歴 課題 : 栄一が 明治初期に果たした役割を考えよう 2 栄一の生きた時代 幕末から明治初期における主な歴史的出来事の年表に 栄一のおこなったことを重ねて 栄一の生きた時代を知る 栄一のことでもっと知りたいこと 疑問に思うことを考え 発表する なぜ幕臣になったのか いくつも会社を作ったのはなぜか どうして政府の役人をやめたのか 等 栄一の歩んできた道を振り返り 尊王攘夷から倒幕への一連の動きを復習するとともに 不屈の精神で困難を乗り越え 日本の近代化に尽くした渋沢の人となりを知る 幕末から明治政府成立の過程が理解できたか 知識 理解 栄一に興味を持ち 知りたいことや疑問を考えることができたか 関心 意欲 生徒の質問に答えながら 栄一についての理解を深める 資料 幕末から明治にかけての主な出来事 4 栄一の業績栄一が作った会社の資料を見て 現在も残っている会社を探す また なぜこんな多くの会社を作ろうとしたのか 考える 500 もの会社を作ったことを知る 栄一がたくさんの会社を作ることによって 国が富むことに思いをはせることができたか 思考判断 資料栄一の設立した会社 まとめ 5 近代化と殖産興業明治政府が経済の発展のためにおこなったことを調べて発表する 6 栄一その後慈善事業や日米親善に力を入れ 昭和 6 年 92 歳で亡くなることを知る 今日の授業で 感じたことや思ったことを自己評価カードにまとめる 交通や通信部門の整備が産業の発達には欠かせないものであることに気付く 殖産興業の政策を探すことができるか 資料活用 さらに 栄一に興味を持つことができたか 興味 関心 栄一が歴史の中で果たした役割や 栄一の生き方に共感したまとめが書けたか 興味 関心 教科書 自己評価カード