共同研究報告書

Size: px

Start display at page:

Download "共同研究報告書"

まなほがり
4 years ago
Views:

1 ( 様式 4-1) 二国間交流事業共同研究報告書平成 25 年 4 月 3 日独立行政法人日本学術振興会理事長殿共同研究代表者所属部局東北大学大学院理学研究科 ( ふりがな ) たなかかずゆき職氏名教授田中一之 1. 事業名相手国 ( ベルギー ) との共同研究振興会対応機関 ( FWO ) 2. 研究課題名数学基礎論のニューフロンティア : 無限の計算的諸相 3. 全採用期間平成 23 年 4 月 1 日 ~ 平成 25 年 3 月 31 日 ( 2 年 0 ヶ月 ) 4. 経費総額 (1) 本事業により執行した研究経費総額 4,960,000 円初年度経費 2,480,000 円 2 年度経費 2,480,000 円 3 年度経費円 (2) 本事業経費以外の国内における研究経費総額円 5. 研究組織 (1) 日本側参加者 ( 代表者は除く ) 氏名所属職名山崎武江口直日樋口幸治郎村上翔太吉居啓輔新井敏康石原哉根元多佳子横山啓太木原貴行東北大学准教授東北大学産学官連携研究員 (PD) 東北大学学振特別研究員 (PD) 東北大学博士後期課程学生東北大学博士後期課程学生千葉大学教授北陸先端科学技術大学院大学教授北陸先端科学技術大学院大学助教東京工業大学学振特別研究員 (PD) 北陸先端科学技術大学院大学学振特別研究員 (PD) (2) 相手国側研究代表者所属職名氏名ヘント大学教授 Andreas Weiermann - 1 -

2 (3) 相手国参加者 ( 代表者は除く ) 氏名所属職名 Chris Impens Hans Vernaeve Sam Sanders Tin Lok Wong Florian Pelupessy Michiel De Smet Jeroen Van der Meeren ヘント大学教授ヘント大学教授ヘント大学博士研究員ヘント大学博士研究員ヘント大学博士研究員ヘント大学博士課程学生ヘント大学博士課程学生 - 2 -

6. 研究実績概要 ( 全期間を通じた研究の目的研究計画の実施状況成果等の概要を簡潔に記載してください ) 研究目的本研究は, ベルギーのヘント大学 (Gent; ゲント Ghent とも呼ぶ ) 数学科の Weiermann 教授を代表とするグループと, 東北大学理学研究科の田中一之を代表とするグループが協力して, 数学的無限論の現代的な基礎付けとその応用について共同研究を行うものである.

3 6. 研究実績概要 ( 全期間を通じた研究の目的研究計画の実施状況成果等の概要を簡潔に記載してください ) 研究目的本研究は, ベルギーのヘント大学 (Gent; ゲント Ghent とも呼ぶ ) 数学科の Weiermann 教授を代表とするグループと, 東北大学理学研究科の田中一之を代表とするグループが協力して, 数学的無限論の現代的な基礎付けとその応用について共同研究を行うものである. 両グループは, すでに幅広く研究の関心を共有しているが, この計画を通じてさらに確固とした連携を築き, 長期的視野のもと協力して双方の若手を育成していく. 研究計画の実施状況平成 23 年度には, それぞれのグループのこれまでの研究成果について情報を交換し, それらを統合して発展させるための検討を行った. とくに次のような課題に力点を置き, 共同研究を進めることにした.1. 逆数学と構成的数学. 2. 超準モデルと順序数解析. 3.Ramsey 性とゲームの決定性. 日本側は,5 人のメンバーが順次ヘント大学を訪問し, セミナーや講演を行った. 各メンバーのヘント大学での主な講演を示すと,7 月 5 日木原貴行 (Mass Problems and Limit Computable Mathematics), 9 月 2 日山崎武 (Infinite Planar Graphs and Reverse Mathematics), 12 月 16 日堀畑佳宏 (Reverse Mathematics of Complex Analysis)3 月 16 日田中一之 (Survey on Reverse Mathematics) と吉居啓輔 (Infinite Games and Reverse Mathematics). なお,3 月 16 日には共同ワークショップが開催され, ヘント大学側からの発表も行われた. ( 平成 24 年 3 月 16 日ヘント大学におけるワークショップでの日本側代表者の講演 ) - 3 -

4 ベルギー側の研究者は, 東北大学において,9 月 26 日と 3 月 2 日に Florian Pelupessy が,2 月 17 日に Sam Sanders が講演を行った. また,2 月 20 日 ~23 日に東京晴海で代表者の田中と Weiermann が共催した会議 Workshop on Proof Theory and Computability Theory 2012 で,Pelupessy と Sanders および日本側の共同研究参加者のすべてが講演を行い, さらに共同研究の今後の発展について検討する場を設けた. この会に合わせて来日した世界第一線の研究者たち ( 米 S.Simpson, 独 U.Kohlenbach ら ) からもサポーティブな意見を得た. 平成 24 年度は, 前年度に引き続いて共同研究を進めるとともに, 交流の基盤を広げるために, ベルギーの学生と研究員たちは東北大学以外にも多数日本の大学を回って講演を行った. また, 日本側のメンバーのほとんどが, ベルギー訪問以外にも, 欧州の会議等に参加し, そこでもベルギーのメンバーと交流する機会をもった. まず 12 月に, 日本側から山崎, 江口, 樋口, 横山の 4 名 (+メンバーでない大学院生 1 名 ) がヘント大を訪れた. そのとき, 先方のメンバーに, アドバイザーとして英国バーミンガムから Richard Kaye 博士を迎えて,2 日間 (12 月 6 日 ~7 日 ) の集中セミナーが行われた. 1 月下旬から, ベルギー側の Pelupessy, Van der Meeren, Sanders, Wong の 4 名がそれぞれ 1 ヶ月程度来日し, 東北大学を拠点にいくつかの大学を回って講演した. とくに東北大学では,2 月 15 日に Van der Meeren が Ordinal and proof-theoretic strength of recursively defined trees という題目の講演を,3 月 1 日に Pelupessy が Connecting the provable with the unprovable という題目の講演を行った. 2 月 18 日 ~ 20 日に東京工業大学で開催された国際会議 Computability Theory and Foundations of Mathematics 2013 では, 本研究参加者の多くが講演を行った. また,2 月 15 日には Sanders, Wong, Pelupessy の 3 名による研究発表が東工大で行われた. 続いて,2 月 22 日 ~23 日には仙台で日本ベルギー共同勉強会を公開で行い, メンバー以外にも多くの参加があった. ( 平成 25 年 2 月 22 日仙台国際センターにおける共同勉強会 ) - 4 -

5 計画の最後として, 田中と吉居が 3 月にヘント大学を訪問し,Weiermann 教授と共同研究の総括を行うと共に, 今後の協力について打合せた. また, 両代表者はそれぞれ 1 時間の講演をヘント大学で行った. 研究成果 Sanders は, 田中による弱ケーニヒの補題 WKLo の研究に基づき,Π 1 論理式に対する移行原理が WKLo と類似した特性をもつことをかつて示したが, 今回横山と共同で, 逆数学においては WKLo より真に弱くなる Dirac のδ 関数に関する主張が,ERNA の上ではΠ 1 論理式の移行原理に一致するという興味深い結果を導いた. これは, 本研究のなかで, 学術誌への掲載が決定した最初の共著論文である. ベルギーの Wong は,WKLo に関する田中の自己埋め込み定理を WKLo * に拡張する考察をし, その結果は横山によって厳密化され, 発展途中にある. また,Wong が研究する算術の超準モデルの切断構造を, 田中と吉居が研究する無限ゲームに関連付ける研究も進展中である. 院生だった Pelupessy は, この 2 年間 3 度来日しながら学位論文をまとめた.Ramsey 型の証明不可能命題に関する彼の研究は日本側の大学院生にも大きな影響を残した. 本人は引き続き, 日本との交流を保ちながら研究を進めていく計画である. 最後に,Weiermann と江口が, 体系 ID1 の計算可能関数の特徴付けに関する新たな証明を得て, 共著論文を投稿している. また, 平成 25 年 3 月の最後の打合せにおいて,Weiermann と田中はリーマンゼータ関数の普遍性定理に関する逆数学問題について検討し, 今後の継続課題として残された. 以上の他, 交流での意見交換などを踏まえて, 単独で行われた研究は多数ある

二国間交流事業セミナー報告書 ( 様式 5) 20XX 年 11 月 15 日独立行政法人日本学術振興会理事長殿セミナー終了 ( 整理会を行う場合は整理会終了後 ) の翌月末または平成 31 年 4 月末日のいずれか早い方の日までに提出する必要があり期限内の日付で作成してくださいセミナー

二国間交流事業セミナー報告書 ( 様式 5) 20XX 年 11 月 15 日独立行政法人日本学術振興会理事長殿セミナー終了 ( 整理会を行う場合は整理会終了後 ) の翌月末または平成 31 年 4 月末日のいずれか早い方の日までに提出する必要があり期限内の日付で作成してくださいセミナー代表者所属部局大学研究科研究課題名や研究代表者所属部局職氏名などは実施計画書と整合性 (