九州大学学術情報リポジトリ Kyushu University Institutional Repository 口腔扁平上皮癌細胞由来エクソソームによる癌微小環境制御機構の解析 森岡, 政彦 出版情報 :Kyushu Unive

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1 九州大学学術情報リポジトリ Kyushu University Institutional Repository 口腔扁平上皮癌細胞由来エクソソームによる癌微小環境制御機構の解析 森岡, 政彦 出版情報 :Kyushu University, 2017, 博士 ( 歯学 ), 課程博士バージョン : 権利関係 :

2 口腔扁平上皮癌細胞由来エクソソームによる 癌微小環境制御機構の解析 2018 年 3 月 九州大学大学院歯学府歯学専攻口腔顎顔面病態学講座顎顔面腫瘍制御学分野 森岡政彦 福岡大学薬学部統合臨床医学講座免疫 分子治療学分野 研究指導者中島学教授 九州大学大学院歯学研究院口腔顎顔面病態学講座顎顔面腫瘍制御学分野 指導教員中村誠司教授

3 対象論文 本論文の一部は下記の原著論文として発表した 1) Tomoyo Kawakubo-Yasukochi, Masahiko Morioka, Mai Hazekawa, Atsushi Yasukochi, Takuya Nishinakagawa, Kazuhiko Ono, Shintaro Kawano, Seiji Nakamura, and Manabu Nakashima mir-200c-3p spreads invasive capacity in human oral squamous cell carcinoma microenvironment Molecular Carcinogenesis (2018) 57: ) Tomoyo Kawakubo-Yasukochi, Masahiko Morioka, Yoshikazu Hayashi, Takuya Nishinakagawa, Mai Hazekawa, Shintaro Kawano, Seiji Nakamura, and Manabu Nakashima The SQUU-B cell line spreads its metastatic properties to nonmetastatic clone SQUU-A from the same patient through exosomes Journal of Oral Biosciences 58 (2016) ) Masahiko Morioka, Tomoyo Kawakubo-Yasukochi, Yoshikazu Hayashi, Mai Hazekawa, Takuya Nishinakagawa, Kazuhiko Ono, Shintaro Kawano, Seiji Nakamura, and Manabu Nakashima Exosomes from oral squamous carcinoma cell lines, SQUU-A and SQUU-B, define the tropism of lymphatic dissemination Journal of Oral Biosciences 58 (2016)

4 目次 要旨 1 緒言 2 第一章 4 材料と方法 5 結果 13 考察 32 第二章 35 材料と方法 36 結果 39 考察 44 総括 45 謝辞 47 参考文献 48

5 要旨 口腔扁平上皮癌の浸潤 転移に対する評価は 腫瘍の進展を的確に把握するために必須であり より精度の高い浸潤 転移評価法の開発が望まれている また 最近の研究では 癌細胞が分泌するエクソソーム ( 細胞外小胞の一種 ) が 癌における微小環境の構築に重要な役割を果たしていることが明らかとなった そこで 本研究では それぞれ単一クローンからなる同一患者由来の口腔扁平上皮癌細胞株 SQUU-A( 非転移株 ) と SQUU-B( 高転移株 ) を用いて これらの細胞が分泌するエクソソームの浸潤 転移における役割と その内包物であるマイクロ RNA (micro RNA; mirna) に着目した解析を行った 第一章では SQUU-B 由来エクソソームが SQUU-A の浸潤能を誘導することを示した さらに SQUU-A および SQUU-B 由来エクソソームが内包する mirna と それらを添加した SQUU-A における細胞内メッセンジャー RNA(messenger RNA; mrna) を網羅的に比較統合解析することで 浸潤規定因子として mir-200c-3p およびその標的遺伝子 CHD9 (chromodomain helicase DNA binding protein 9) と WRN (Werner syndrome RecQ like helicase) を同定した 第二章では ヒト臍帯静脈内皮細胞 (HUVECs; human umbilical vein endothelial cells) とヒトリンパ管内皮細胞 (HDLECs; human dermal lymphatic endothelial cells) を用いた管腔形成実験を行った結果 SQUU-A および SQUU-B 由来エクソソームが脈管形成 特にリンパ管新生を促進させた また そのメカニズムとして 血管内皮細胞増殖因子 VEGFs (vascular endothelial growth factors) とその受容体である VEGFRs (VEGF receptors) の発現量制御が関わっていることが示唆された これらの研究結果により がん細胞由来エクソソームや mir-200c-3p を用いた口腔扁平上皮癌の浸潤 転移マーカーの開発 あるいは転移先予測因子探索の可能性が提示された 1

6 緒言 がんの浸潤 転移は 患者の生命予後を損なう要因であり その制御機構を明らかにすることは急務である 近年 がんの浸潤 転移には がん細胞の特性のみならず 宿主由来の線維芽細胞 血管 リンパ管内皮細胞 免疫細胞などが構築する多様な微小環境が関与していることが明らかになった すなわち がん進展機構を理解する上では 微小環境を構成する個々の因子を同定し それらの分子基盤を解明することが必須となる 最近の研究では がん細胞と微小環境を構築する細胞との間に エクソソームなどの細胞外小胞を介した相互の情報伝達が行われていることが明らかにされた (1,2) エクソソームは 直径 nm 程度の脂質二重膜構造をもつ細胞外小胞であり がん細胞のみならず すべての細胞から産生 分泌される エンドソーム由来の小胞が多数集まり 細胞膜と融合することで細胞外へ放出されることから 発見当初は細胞の老廃物処理小胞という認識がなされていた (3) しかし 近年 エクソソーム内部にタンパク質や脂質 DNA mrna mirna など多彩な機能性分子が内包されていることや 放出されたエクソソームが他の細胞に取り込まれることが報告された (4) このことから エクソソームは機能性分子を脂質二重膜で内包することによって 安定的に分泌細胞由来の機能性分子を受容細胞に伝達する 細胞間コミュニケーションツールとして重要視されている 特に がん細胞由来エクソソームは 周囲のがん細胞や 微小環境に存在する正常細胞にパラクライン的に働きかけ エクソソームを取り込んだ細胞を 教育 することで がんの進展を促進していることが明らかとなっている (5-8) また 細胞外に放出されたエクソソームは血液 尿 唾液などの体液中にも存在することが明らかとなっていることから (9,10) エクソソームあるいはエクソソーム内包分子に着目したがん診断マーカーの探索が多くの研究グループによって行われている しかしながら 体液中に存在するエクソソーム あるいはヘテロながん細胞集団から回収したエクソソームは それらが由来する細胞を特定できず 個々の細胞から放出された質的量的多様性をもつエクソソームの総和を見ているに過ぎない このことから がん進展に関与するエクソソームあるいはエクソソーム内包分子の特定には 大きな課題が残されている 本研究では 浸潤 転移性の異なる同一患者の口腔扁平上皮癌由来細胞クローンである SQUU-A と SQUU-B (11) を用いて これらが分泌するエクソソームの浸潤 転移における役割について解析を行った 2

7 まず 第一章では SQUU-A および SQUU-B の細胞培養上清からエクソソームを精製し それぞれの細胞由来のエクソソームが癌細胞の浸潤能に与える影響を解析した さらに SQUU-A と SQUU-B が分泌するエクソソーム内の mirna に着目した解析を行った mirna は 18 から 25 塩基程度の短鎖一本鎖非コード RNA であり RNA 誘導サイレンシング複合体 (RISC : RNA induced silencing complex) に取り込まれることで 標的 mrna の 3 末端非翻訳領域に結合し 標的 mrna の翻訳抑制を行う (12,13) ヒトでは 約 60% 以上の遺伝子が このプロセスによって制御を受けていることが推測されていることから mirna は がんの病態のみならず 様々な生命現象において重要な役割をはたしている可能性が高い (14) なお mirna は mrna の転写後発現調節を行うことで その機能を発揮することから 本研究では mirna と mrna の比較統合解析を行うことで SQUU-A と SQUU-B との浸潤能の差異を規定している mirna とその標的遺伝子を探索した さらに 第二章では SQUU-A および SQUU-B 由来のエクソソームが 転移指向性に与える影響について 血管内皮細胞とリンパ管内皮細胞を用いた解析を行った 3

8 第一章 口腔扁平上皮癌細胞由来エクソソームが癌の浸潤に与える影響 4

9 材料と方法 細胞株ヒト口腔扁平上皮癌細胞株 SQUU-A と SQUU-B は 当科 ( 口腔顎顔面病態学講座顎顔面腫瘍制御学分野 ) で樹立されたものを用いた (11) ヒト子宮頸癌細胞株 HeLa は DS ファーマバイオメディカル ( 大阪 ) から入手した 細胞培養は 10% ウシ胎児血清 (FCS; Fetal calf serum)(biowest, Nuaillé, France) を添加した Dulbecco s modified Eagle s medium(dmem)( ナカライテスク 京都 ) を用いた 細胞はすべて 5% CO 2 37 にて培養した 細胞培養上清の分画細胞培養上清は 分子量により 30 kda 以下 30 kda から 100 kda 100 kda 以上の 3 つの画分に分けた 具体的には 150 mm ディッシュに播種した SQUU-A および SQUU-B 細胞が 70% から 80% コンフルエントになった時点で 培地を FCS 不含 DMEM に変更し 24 時間後に細胞培養上清を回収した その後 遠心により不要なデブリスを除去した細胞培養上清を Amicon Ultra-15 (NMWL 100,000, Merck Millipore, Darmstadt, Germany) を用いて 17.5 倍濃縮し さらにそのフロースルー画分を Amicon Ultra-15 (NMWL 30,000, Merck Millipore) を用いて分画した マトリゲル浸潤アッセイポアサイズ 8 µm の 24 ウェルプレート用セルカルチャーインサート (Transwell insert, Corning, NY) に 冷 DMEM(FCS 不含 ) で 20 倍希釈したマトリゲル (Matrigel, growth factor reduced, Corning) を 100 µl コーティングし 室温で 2 時間静置した その後 余剰なマトリゲル溶液を除去し FCS 含有 DMEM を用いてマトリゲルを再膨潤させた インサート内に細胞を播種し ( cells/ 500 µl FCS 含有 DMEM / insert) インサート下層には 750 µl FCS 含有 DMEM を加え 21 時間または 48 時間培養した 浸潤細胞数は インサートのメンブレンをギムザ染色することで観察し (EVOS Cell Imaging System, Life Technologies, Carlsbad, CA) 評価を行った 5

10 ギムザ染色セルカルチャーインサートのメンブレンを 37 PBS で 2 回洗浄した後 メタノール固定を行った メンブレンを 0.1% TritonX-100 を含む PBS 続いて PBS にそれぞれ浸漬し 5 分間静置した その後 超純水で 20 倍希釈したギムザ染色液 (Wako 大阪) を用いて 遮光下で 15 分間 室温にて染色を行った 染色後はメンブレンを水洗し 綿棒を用いて非浸潤細胞を除去した エクソソームの精製 PureExo Exosome Isolation Kit (P100) (Cosmo Bio, 東京 ) を用いて 濃縮細胞培養上清の分子量 100 kda 以上の画分からエクソソームの精製を行った なお 培養細胞に添加するエクソソームは 0.45 µm フィルター (Millex-HV, Merck Millipore) でろ過したものを用いた ウエスタンブロッティングプロテアーゼ阻害剤カクテル ( ナカライテスク ) を添加した RIPA Buffer (0.5% NP % sodium deoxycholate 0.5% 10%SDS 150 mm NaCl 5 mm HEPES) を用いて 細胞抽出液 あるいはエクソソーム抽出液の回収を行った 回収した細胞抽出液は 4ºC 9000 g にて 30 分間遠心し その上清を解析サンプルとした サンプルは BCA protein assay (Thermo Fisher Scientific, Wilmington, DE) を用いてタンパク定量後 タンパク量を揃えてアセトン沈殿を行った 濃縮されたサンプルは SDS-PAGEサンプルバッファー (ph 6.8, M Tris-HCl, 2% SDS, 10% glycerol, 5% 2-mercaptoethnol, 0.02% bromophenol blue) に溶解し 95 5 分間の熱処理を行った 各種サンプルは sodium dodecyl sulfate-polyacrylamide gel electrophoresis (SDS-PAGE) ゲルを用いて分離し ポリフッ化ビニリデン (PVDF; polyvinylidene difluoride) 膜に転写した ブロッキングには ブロッキングワン ( ナカライテスク ) を用いた 一次抗体として 抗 CD9 抗体 (1:1000) (System Biosciences, Mountain Veiw, CA) 抗 CD81(1:1000) (Biolegend, San Diego, CA) 抗 GAPDH 抗体 (1:40000) (Acris Antibodies, San Diego, CA) 抗 CHD9 抗体 (1:2000) (Proteintech, Rosemont, IL) 抗 ETNK1 (ethanolamine kinase 1) 抗体 (1:2000) (Abgent, San Diego, CA) 抗 WRN 抗体 (1:2000) (Abgent) を用い 二次抗体として HRP 標識ヤギ抗マウスIgG あるいは抗ウサギIgG (Cell Signaling Technology, Beverly, MA) を用いた 発色試薬には ECL Plus reagent (Thermo Fisher Scientific) を用い FlourChemTM 8900 (Alpha Innotech, 6

11 San Leandro, CA, USA) を用いた mrna の定量 RT-PCR total RNA の精製は High Pure RNA Isolation Kit (Roche Diagnostics, Mannheim, Germany) 逆転写反応は Verso cdna Synthesis Kit (Life Technologies) を用いて行った 逆転写後の cdna の増幅には LightCycler 480 Probes Master (Roche Diagnostics) を用い LightCycler 480 system (Roche Diagnostics) にて 95 5 分間の酵素活性化処理後 秒 秒 72 1 秒の増幅を 45 サイクル行った TaqMan プローブは Universal Probe Library (UPL) (Roche Diagnostics) を使用した 表 1 にプライマーとプローブ 増幅産物の大きさを示す mirna の定量 RT-PCR mirnaの精製は High Pure mirna Isolation Kit (Roche Diagnostics) を用いて行った mirnaのポリアデニル化反応には E coli Poly(A) polymerase (New England BioLabs, Ispwich, MA) を用い オリゴ (dt) アダプターのアニーリングおよび cdna 合成には mirna EasyScript cdna synthesis kit (Applied Biological Materials, Richmond, BC, Canada) を用いた PCR 反応には EvaGreen mirna qpcr MasterMix (Applied Biological Materials) を用い LightCycler 480 system (Roche Diagnostics) にて 分間の酵素活性化処理後 秒 秒 72 5 秒の増幅を45サイクル行った また PCR 増幅産物の反応特異性は 融解曲線で確認した 内部標準にはSNORD44を用いた 各 mirnaに特異的なプライマーは すべて Applied Biological Materials から入手した mirna 発現アレイ Sepasol-RNA I Super G ( ナカライテスク ) を用いて エクソソームから total RNA を精製し ND-1000 spectrophotometer (NanoDrop; Thermo Fisher Scientific) Experion System (Bio Rad, Hercules, CA) で RNA 濃度および純度の確認を行った total RNA は FlashTag TM Biotin HSR RNA Labeling Kit (Thermo Fisher Scientific) を用いて標識を行い Affymetrix GeneChip mirna 4.0 Array(Affymetrix, Santa Clara, CA) を用いて 発現アレイ解析を行った データの解析はセルイノベーター ( 福岡 ) に委託した 得られた解析結果をもとに mirna 発現が 2.0 倍以上増加した遺伝子と 0.5 倍以下に減少した遺伝子をピックアップした 7

12 mrna 発現アレイ Sepasol-RNA I Super G ( ナカライテスク ) および RNeasy Mini Kit (Qiagen, Hilden, Germany) を用いて エクソソーム添加 24 時間後の SQUU-A 細胞から total RNA を精製し ND-1000 spectrophotometer (NanoDrop; Thermo Fisher Scientific) Experion System (Bio Rad) で RNA 濃度および純度の確認を行った mrna 発現解析は Affymetrix Human Transcriptome Array 2.0 (Affymetrix) を用いて行い データの解析はセルイノベーターに委託した 得られた解析結果をもとに mirna 発現が 1.5 倍以上増加した遺伝子と 0.66 倍以下に減少した遺伝子をピックアップした mirna mimic および mirna inhibitor の遺伝子導入 12 ウェルプレートに cells/ well の細胞を播種し 24 時間後 GeneSilencer sirna transfection Reagent (Genlantis, San Diego, CA) を用いて mir-23b-3p mir-191-5p mir-200c-3p mir-221-3p mir-92b-5p の mirna mimic (Bioneer, Alameda, CA) あるいは mir-205-5p mir-200c-3p に対する mirna inhibitor を遺伝子導入した mirna mimic と mirna inhibitor の配列は表 2 に示す 陰性コントロールには mirna mimic negative control (Bioneer) あるいは mirna inhibitor negative control (Bioneer) を用いた mirna mimic 遺伝子導入の確認には 導入された細胞内 mirna を 24 時間後に定量 RT-PCR で測定することでバリデーションを行った また mirna inhibitor 遺伝子導入の確認には それぞれの標的 mirna の既知の下流 mrna 発現レベルを調べることでバリデーションを行った sirna の遺伝子導入 12 ウェルプレートに cells/ well の細胞を播種し 24 時間後 GeneSilencer sirna transfection Reagent (Genlantis) を用いて各種 sirna の遺伝子導入を行った 各 sirna の遺伝子配列は表 3 に示す cdna 発現クローンの遺伝子導入ヒト CHD9 ETNK1 WRN の cdna を pcdna3.1-c-(k)dyk に挿入することで各種発現ベクターを作成した 12 ウェルプレートに cells/ well の細胞を播種し 一晩培養した後に 各プラスミド DNA 0.5 µg を FuGENE HD Transfection Reagent (Promega, Madison, WI) を用いて遺伝子導入した 8

13 統計解析 すべてのデータは平均 ± 標準誤差で表した データの解析には Mann-Whitney U 検 定を用いた また 危険率 5% 未満の場合 有意差があると判定した 9

14 表 1 定量 RT-PCR に用いたプライマーとプローブ および増幅産物の大きさ Gene Direction Primer sequence Base UPL No. Pairs S18 Forward GCA ATT ATT CCC CAT GAA CG 68 bp 48 Reverse GGG ACT TAA TCA ACG CAA GC GAPDH Forward AGC CAC ATC GCT CAG ACA C 66 bp 60 Reverse GCC CAA TAC GAC CAA ATC C KRT13 Forward GAA GAG CTC CGG GAC AAG A 100 bp 64 Reverse TGA GCC TGA AGT CGT CCA C KRT17 Forward ATT GAG GAG CTG CAG AAC AA 109 bp 71 Reverse AAA CTT GGT GCG GAA GTC AT ACTB Forward CCA ACC GCG AGA AGA TGA 97 bp 64 Reverse CCA GAG GCG TAC AGG GAT AG AKT3 Forward TTG CTT TCA GGG CTC TTG AT 75 bp 22 Reverse CAT AAT TTC TTT TGC ATC ATC TGG CHD9 Forward TCA TCA GCA TTT ACA TGA CAG AAA 78 bp 75 Reverse CCA GAA CCA TCG CTC TTC TT ETNK1 Forward AGC CTC CTG CAA CAC CTG 75 bp 79 Reverse TGT GAT TCC ATC TGT GAA GAG C FRK Forward CTG GGG AAA CCA TGC TTA AA 67 bp 33 Reverse GGT CCA CGG TTT TAT ACG ACA PANK2 Forward TGG AGG TGG AGC GTA CAA AT 63 bp 15 Reverse TTG CAA AGC TGA AGA TCA CC WRN Forward GAC AGA TGT TGC CAA TAA AAA GC 89 bp 1 Reverse TCA GGA GCT GTT TAC CTA AGA GG TRIB3 Forward GTC TTC GCT GAC CGT GAG A 67 bp 67 Reverse CAG TCA GCA CGC AGG AGT C ERBB3 Forward CTG ATC ACC GGC CTC AAT 73 bp 37 Reverse GGA AGA CAT TGA GCT TCT CTG G ZEB1 Forward Reverse TGT TAC CAG GGA GGA GCA GT TGC CCT TCC TTT CCT GTG T 76 bp 3 10

15 表 2 mirna mimic および mirna inhibitor の配列 mirna mimic for mir-23b-3p mir-191-5p mir-200c-3p mir-221-3p mir-92b-5p Sequence(5-3 ) AUC ACA UUG CCA GGG AUU ACC CAA CGG AAU CCC AAA AGC AGC UG UAA UAC UGC CGG GUA AUG AUG GA AGC UAC AUU GUC UGC UGG GUU UC AGG GAC GGG ACG CGG UGC AGU G mirna inhibitor for mir-205-5p mir-200c-3p Sequence(5-3 ) UAA UAC UGC CGG GUA AUG AUG GA UCC UUC AUU CCA CCG GAG UCU G 11

16 表 3 sirna の配列 Target mrna Direction Sequence(5-3 ) CHD9 (1) Sense Antisense CUG GUA ACU CGU AAC UCA U AUG AGU UAC GAG UUA CCA G CHD9 (2) Sense Antisense CUG GAU UAC CAA AUC UGU U AAC AGA UUU GGU AAU CCA G ETNK1 (1) Sense Antisense CAC AAC UCU ACU GUA CCU U AAG GUA CAG UAG AGU UGU G ETNK1 (2) Sense Antisense CCA CAA CUC UAC UGU ACC U AGG UAC AGU AGA GUU GUG G WRN (1) Sense Antisense GAG CCU UAA CAG UCU GGU U AAC CAG ACU GUU AAG GCU C WRN (2) Sense Antisense CUA CUU AGC GAC AUG AAC A UGU UCA UGU CGC UAA GUA G 12

17 結果 (1) In vitro における SQUU-A および SQUU-B の浸潤能の解析同一患者由来口腔扁平上皮癌細胞株である SQUU-A( 低転移株 ) と SQUU-B( 高転移株 ) は ヌードマウスにおける所属リンパ節への転移性が異なる細胞株として報告されている (11) また これらの細胞間では サイトケラチンの発現パターンが異なり このことが転移能を規定している可能性が報告されていたため (11) まず両細胞におけるサイトケラチン 13(KRT13) とサイトケラチン 17(KRT17) の mrna 発現量を定量 RT-PCR で解析した その結果 SQUU-A における KRT13 発現量は SQUU-B の約 10 倍 KRT17 発現量は約 20 倍であり ( 図 1a) 過去の報告における傾向と一致した 次に マトリゲル浸潤アッセイを行い 細胞播種から 21 時間後における SQUU-A と SQUU-B の浸潤能を解析した その結果 SQUU-A はほとんど浸潤しなかったのに対して SQUU-B では多数の浸潤細胞を認めた ( 図 1b) そこで これらの浸潤能の相違を規定している因子が SQUU-A あるいは SQUU-B の細胞培養上清中に存在する可能性を検討するため 両細胞から細胞培養上清を回収して濃縮を行い 最終濃縮倍率が 17.5 倍となるようにそれぞれの細胞に添加し マトリゲル浸潤アッセイを行った その結果 SQUU-A 由来細胞培養上清 (supa) は いずれの細胞の浸潤能にもほとんど影響を及ぼさなかった 一方 SQUU-B 由来細胞培養上清 (supb) 添加によって SQUU-B の浸潤細胞数には変化はなかったが 単独では浸潤能を示さなかった SQUU-A が浸潤能を獲得した ( 図 2) 上記の結果から SQUU-B が分泌する可溶性成分の中に 浸潤誘導因子が含まれていると考えられた そこで 細胞培養上清を分子量 30 kda 以下 30 kda から 100 kda 100 kda 以上の 3 つの画分に分け どの画分に浸潤誘導因子が含まれているのかをマトリゲル浸潤アッセイを用いて検討を行った その結果 SQUU-A は supb の分子量 100 kda 以上の画分によって 浸潤が誘導された なお supa はいずれの画分も SQUU-A の浸潤能に影響を及ぼさなかった ( 図 3) 13

18 (a) (b) 図 1. SQUU-A, SQUU-B の細胞の特徴 (a) SQUU-A と SQUU-B における KRT13 KRT17 の定量 RT-PCR 発現解析 内部標準には GAPDH を用いた (b) マトリゲル浸潤アッセイ 21 時間後のギムザ染色 上段 : 弱拡大 (50 倍 ) 下段 : 強拡大 (200 倍 ) 強拡大 (200 倍 ) で 1 インサートあたり 4 視野ずつ 一視野中の浸潤細胞数を計測した結果を右に示す 実験は triplicate で行い グラフは 3 回の実験の平均値 ± 標準誤差で表した Scale Bars: 100 µm *** P <

19 図 2. 濃縮細胞培養上清添加時のマトリゲル浸潤アッセイ それぞれの細胞に 17.5 倍濃縮した SQUU-A 細胞培養上清 (supa) あるいは SQUU-B 細胞培養上清 (supb) を添加し マトリゲル浸潤アッセイを行った アッセイ開始から 21 時間後のギムザ染色結果を示す 上段 : 弱拡大 (50 倍 ) 下段 : 強拡大 (200 倍 ) 強拡大 (200 倍 ) で 1 インサートあたり 4 視野ずつ 一視野中の浸潤細胞数を計測した結果を右下に示す 実験は triplicate で行い グラフは 2 回の実験の平均値 ± 標準誤差で表した Scale Bars: 100 µm *** P <

20 (a) (b) 図 3. 分画した濃縮細胞培養上清が SQUU-A の浸潤能に与える影響 (a) SQUU-A 細胞に濃縮細胞培養上清を分子量で分けた各画分 (30 kda 以下 30 kda から 100 kda 100 kda 以上 ) を添加し マトリゲル浸潤アッセイを行った アッセイ開始から 21 時間後のギムザ染色結果を示す 上段 : 弱拡大 (50 倍 ) 下段 : 強拡大 (200 倍 ) (b) 強拡大 (200 倍 ) で 1 インサートあたり 4 視野ずつ 一視野中の浸潤細胞数を計測した結果を示す 実験は triplicate で行い グラフは 2 回の実験の平均値 ± 標準誤差で表した Scale Bars: 100 µm *** P <

21 (2) SQUU-B 由来エクソソームが浸潤能に及ぼす影響前述の結果から SQUU-B 細胞培養上清中に含まれている分子量 100 kda 以上の分子 あるいは分子量 100 kda 以上に相当する粒径の大きさを持つ何らかの細胞外分泌小胞によって SQUU-A が浸潤能を獲得したと考察された そこで まず 細胞外小胞のひとつであるエクソソームに着目した SQUU-A と SQUU-B の濃縮細胞培養上清からエクソソームを精製し ( 以後 それぞれ exoa exob と記す ) エクソソームの特異的マーカーである CD9 と CD81 の発現を確認した ( 図 4) 続いて exoa および exob が SQUU-A の浸潤能に与える影響について マトリゲル浸潤アッセイを用いて検討した その結果 SQUU-A に exob を添加することで 浸潤細胞数が有意に増加した また exoa は SQUU-A の浸潤能に変化を及ぼさなかった ( 図 4b) また エクソソーム添加後の SQUU-A における KRT13 および KRT17 の mrna 発現量を定量 RT-PCR で評価したところ exob 添加時には対照群に比べて約 20% の KRT13 発現低下が認められた ( 図 4c) また KRT17 の発現量は exoa や exob 添加による影響は認められなかった ( 図 4c) 以上のことから SQUU-B 由来の細胞培養上清中に存在している浸潤誘導因子はエクソソームであることが示された 17

22 (a) (b) (c) 図 4. エクソソームによる浸潤能の変化 (a) 精製したエクソソーム (exoa exob) における CD9 と CD81 の発現確認 ( ウエスタンブロッティング ) (b) SQUU-A に exoa exob を添加してマトリゲル浸潤アッセイ 21 時間後のギムザ染色結果 上段 : 弱拡大 (50 倍 ) 下段 : 強拡大 (200 倍 ) 強拡大 (200 倍 ) で 1 インサートあたり 4 視野ずつ 一視野中の浸潤細胞数を計測した結果を右に示す 実験は triplicate で行い グラフは 2 回の実験の平均値 ± 標準誤差で表した Scale Bars: 100 µm *** P < (c) エクソソーム添加 21 時間後の SQUU-A における KRT13 KRT17 mrna の発現解析 内部標準には GAPDH を用いた ** P <

23 (3) SQUU-A および SQUU-B 由来エクソソームに内在する mirna の発現比較解析前述の結果から 何らかの浸潤誘導因子が exob に存在することが示唆された そこで 当該浸潤規定因子を同定するために まず mirna に着目し exoa と exob に内包されている mirna について mirna array による網羅的発現解析を行った exoa に比べて exob で発現量が 2 倍以上増加していた mirna(21 個 ) 0.5 倍以下に減少していた mirna(11 個 ) を表 4 に示す 19

24 表 4. mirna array 解析 (Affymetrix GeneChip mirna 4.0 Array) exoa に対して exob で発現が 2 倍以上増加 ( 上段 ) あるいは 0.5 倍以上減少 ( 下段 ) していた mirna を示す 20

25 (4) エクソソーム添加後の SQUU-A における mrna の発現比較解析 mirna は mrna の 3 末端非翻訳領域に配列相補的に結合することによりその遺伝子の発現を調節し 機能発現することから 続いて SQUU-A に exoa あるいは exob を添加し 24 時間後の SQUU-A における mrna 発現比較解析を行った exoa 添加後の SQUU-A に比べ exob 添加後の SQUU-A で発現量が 1.5 倍以上増加していた mrna(7 個 ) 0.66 倍以下に減少していた mrna(15 個 ) を ( 表 5) に示す さらに これらの mrna に対して配列相補的に結合することが予測される mirna のうち ( 表 4) に含まれる mirna をデータベースより抽出し 統合解析を行った ( 表 5) 続いて 上記の統合解析結果を確認するため まず 抽出した 6 個の mirna (mir-200c-3p mir-205-5p mir-92b-5p mir-23b-3p mir-221-3p mir-191-5p) について 定量 RT-PCR にて exoa と exob における発現量を確認した その結果 すべての mirna について 倍率はそれぞれ異なるものの mirna array の結果と同じ相関関係が認められ 有意な量的差異が得られた ( 図 5a) さらに それら 6 個の mirna の標的遺伝子と推定される AKT3 (AKT serine/threonine kinase 3 ) CHD9 ETNK1 FRK (fyn related Src family tyrosine kinase) PANK2 (pantothenate kinase 2) WRN TRIB3 (tribbles pseudokinase 3) について exoa 添加後と exob 添加後の SQUU-A における発現量の比較を行った その結果 すべての遺伝子について DNA microarray での結果と同じ相関が認められ 有意な量的差異が得られた ( 図 5b) 21

26 表 5. DNA microarray 解析 (Affymetrix Human Transciptome Array 2.0) exoa 添加 24 時間後の SQUU-A に対して exob 添加 24 時間後の SQUU-A で発現が 1.5 倍以上増加 ( 上段 ) あるいは 0.66 倍以上減少 ( 下段 ) していた mrna および それぞれと配列相補的に結合することが予測される mirna のうち ( 表 4) に含まれる mirna を抽出した結果を示す mirna と対応する mrna との結合予測検索には mirtarbase (15), microcosm (16), TargetScan (17, 18) を使用した 22

27 (a) (b) 図 5. mirna-mrna 統合比較解析のバリデーション (a) 細胞培養上清から精製したエクソソームに含まれる各 mirna の発現量を定量 RT-PCR で解析した 内部標準には SNORD44 を用いた *** P < (b) exoa または exob を添加して 24 時間後の SQUU-A における各 mrna の発現量を定量 RT-PCR で解析した 内部標準には S18 を用いた 実験は duplicate で行い グラフは 3 回の実験の平均値 ± 標準誤差で表した *** P <

28 (5) mirna mimic あるいは mirna inhibitor が浸潤能に及ぼす影響次に 前述の mirna-mrna 統合解析の結果から絞られた 6 個の mirna に着目し 各 mirna の mimic( 合成 2 本鎖オリゴ ) あるいは inhibitor を SQUU-A または SQUU-B に導入し それらのターゲット遺伝子の制御が細胞浸潤能に及ぼす影響を検討した はじめに mirna mimic あるいは mirna inhibitor の 24 時間後の遺伝子導入効率を ( 図 6) に示す いずれの mirna mimic も導入されていることが確認できた ( 図 6a) さらに mir-205-5p inhibitor の遺伝子導入により 既知の標的遺伝子である TRIB3 ERBB3 ZEB1 (zinc finger E-box binding homeobox 1)(19) の mrna 発現量が増加することが確認された ( 図 6b) マトリゲル浸潤アッセイは mirna mimic あるいは mirna inhibitor の標的 mrna への作用 および翻訳過程の時間を考慮し 48 時間後の評価を行った なお 48 時間経過後のマトリゲル浸潤アッセイにおいても SQUU-A はほとんど浸潤しなかったが SQUU-B では非常に多くの浸潤細胞が認められた ( 図 7a) SQUU-A に mir-23b-3p mir-191-5p mir-200c-3p mir-221-3p mir-92b-5p の各 mirna mimic あるいは mir-205-5p に対する mirna inhibitor を遺伝子導入し 48 時間後のマトリゲル浸潤アッセイの結果を観察した その結果 mir-200c-3p mimic を遺伝子導入した SQUU-A においてのみ 顕著な浸潤能の亢進が観察された ( 図 7b) そこで SQUU-B に対し mir-200c-3p inhibitor を遺伝子導入し 同様に浸潤能を観察した なお mir-200c-3p inhibitor の遺伝子導入のバリデーションには mir-200c-3p mimic により mrna 発現が抑制された標的遺伝子である CHD9 ETNK1 WRN ( 図 6d) の mrna 発現が亢進することを確認した ( 図 6c) マトリゲル浸潤アッセイの結果 mir-200c-3p の機能を抑えることで SQUU-B の浸潤能が顕著に抑制された ( 図 7b) 以上の結果から SQUU-A と SQUU-B との浸潤能の相違には mir-200c-3p の発現量の違いが関与している可能性が示唆された 24

29 (a) (b) (c) (d) 図 6. mirna mimic および mirna inhibitor 遺伝子導入の確認 (a) SQUU-A に mirna mimic を遺伝子導入した 24 時間後の mirna 発現量を定量 RT-PCR で解析した 内部標準には SNORD44 を用いた (b)(c)squu-a あるいは SQUU-B に対して mir-205-5p inhibitor あるいは mir-200c-3p inhibitor をそれぞれ遺伝子導入した 24 時間後 それぞれ mirna の標的遺伝子の発現量を定量 RT PCR で解析した mir-205-5p の標的遺伝子として TRIB3 ERB3 ZEB1 また mir-200c-3p の標的遺伝子として CHD9 ETNK1 WRN の発現量を解析した (d)squu-a に mir-200c-3p mimic を遺伝子導入した 24 時間後の CHD9 ETNK1 WRN の発現量を定量 RT PCR で解析した (b)(c)(d) の解析では 内部標準に S18 を用いた 実験は triplicate で行い グラフは 3 回の実験の平均値 ± 標準誤差で表した ** P < 0.05, *** P <

30 (a) (b) 図 7. mirna 発現量の変化による浸潤能への影響 (a) マトリゲル浸潤アッセイ 48 時間後のギムザ染色 1 インサートあたり 4 視野ずつ 一視野中の浸潤細胞数を計測した結果を右に示す (b)mirna mimic あるいは mirna inhibitor を遺伝子導入した SQUU-A または SQUU-B について マトリゲル浸潤アッセイを行い 48 時間後のギムザ染色結果を示す 1 インサートあたり 4 視野ずつ 一視野中の浸潤細胞数を計測した結果を右下に示す 実験は triplicate で行い グラフは 3 回の実験の平均値 ± 標準誤差で表した Scale bars: 100 µm *** P <

31 (6) mir-200c-3p 標的遺伝子の発現レベルが SQUU-A の浸潤能に及ぼす影響続いて mir-200c-3p による SQUU-A と SQUU-B との浸潤能の相違に 当該 mirna の標的 mrna 特に mirna-mrna 統合解析結果で抽出された遺伝子である CHD9 ETNK1 WRN の発現量制御が関与しているか否か 検討を行った まず SQUU-A において CHD9 ETNK1 WRN の発現量が浸潤能に与える影響を検討した 各遺伝子に対する sirna を SQUU-A に遺伝子導入して 24 時間後の mrna レベル ( 図 8a) および 48 時間後の蛋白レベル ( 図 8b) での発現量を定量 RT-PCR およびウエスタンブロッティングを用いて確認した マトリゲル浸潤アッセイの結果 CHD9 WRN の発現量を抑制することにより SQUU-A の浸潤細胞数が コントロールに比べて有意に増加した また ETNK1 の発現量抑制は SQUU-A の浸潤能に影響を及ぼさなかった ( 図 9) 27

32 (a) (b) 図 8. sirna 導入後の各標的分子の mrna および蛋白質の発現量 (SQUU-A) (a)chd9 ETNK1 WRN に対する sirna をそれぞれ 2 種類ずつ遺伝子導入して 24 時間後の標的分子の mrna 発現量を定量 RT-PCR で確認した 内部標準には GAPDH を用いた (b) sirna 導入後 48 時間後の標的分子の蛋白発現量をウエスタンブロッティングで確認した 内部標準には GAPDH を用いた 実験は duplicate で行い グラフは 3 回の実験の平均値 ± 標準誤差で表した * P < 0.05 *** P <

33 図 9. sirna 導入後のマトリゲル浸潤アッセイ (SQUU-A) CHD9 ETNK1 WRN に対する各 sirna を導入した SQUU-A のマトリゲル浸潤アッセイの結果 (48 時間後 ) 1 インサートあたり 4 視野ずつ 一視野中の浸潤細胞数を計測した結果を下に示す 実験は triplicate で行い グラフは 3 回の実験の平均値 ± 標準誤差で表した Scale bars: 100 µm *** P <

34 (7) mir-200c-3p 標的遺伝子の発現レベルが SQUU-B の浸潤能に及ぼす影響次に SQUU-B に CHD9 ETNK1 WRN を過剰発現させ 浸潤能の観察を行った 遺伝子導入の効率はウエスタンブロッティングで確認した ( 図 10a) マトリゲル浸潤アッセイの結果 CHD9 WRN の過剰発現により SQUU-B の浸潤細胞数は コントロールに比べて有意に減少した また ETNK1 の過剰発現は SQUU-B の浸潤細胞数に変化を及ぼさなかった ( 図 10b) 以上の結果から SQUU-A と SQUU-B の浸潤能の違いには 両細胞における mir-200c-3p の発現量が関わっている可能性が考えられた また mir-200c-3p による浸潤能制御機構には 当該 mirna の標的遺伝子である CHD9 と WRN が関与していることが示唆された 30

35 (a) (b) 図 10. CHD9 ETNK1 WRN を過剰発現させた SQUU-B におけるマトリゲル浸潤アッセイ (a) CHD9 ETNK1 WRN の各 cdna 発現クローンの遺伝子導入後 各蛋白質の発現をウエスタンブロッティングで解析した 内部標準は GAPDH を用いた (b) マトリゲル浸潤アッセイ 48 時間後のギムザ染色 1 インサートあたり 4 視野ずつ 一視野中の浸潤細胞数を計測した結果を下に示す 実験は triplicate で行い グラフは 3 回の実験の平均値 ± 標準誤差で表した Scale bars: 100 µm * P < 0.05 *** P <

36 考察 本章では 同一患者由来のヒト口腔扁平上皮癌細胞株 SQUU-A と SQUU-B には in vitro において浸潤能の相違があり 浸潤規定因子は SQUU-B が分泌するエクソソームに含まれていることを示した すなわち 単一癌巣内のそれぞれの癌細胞が各々の個性をもつエクソソームを分泌しており それらを介した複雑な細胞間クロストークによって浸潤性が規定されている可能性を提示した 以前の報告では SQUU-A と SQUU-B との浸潤 転移性の違いには サイトケラチンの発現パターンの違いが関与している可能性が示されていた (11) 本研究では SQUU-A は exob 添加によって浸潤能が亢進したが その際 SQUU-A における KRT13 の発現量が対照群に比べて減少する傾向が観察された また DNA micro array の結果においても KRT13 の発現は 0.66 倍未満ではあるもののわずかに減少傾向を示していた これらの結果から in vitro で行った今回の実験では exob 添加による SQUU-A の浸潤能亢進にサイトケラチンの発現パターンの変動が直接関与していたかどうかは不明であるが 実際の微小環境 (in vivo) 下では 一部のサイトケラチンの発現量制御が エクソソームを介して二次的に引き起こされている可能性が考えられた さらに 本章では エクソソームに内包されている mirna と エクソソームを添加した細胞の mrna を網羅的かつ統合的に解析することで 口腔扁平上皮癌の浸潤能を規定する mirna とその標的 mrna を探索した その結果 SQUU-A の浸潤能亢進に関与する mirna として mir-200c-3p さらに その標的 mrna として CHD9 と WRN を同定した なお 今回の網羅的解析のバリデーションには mirna mimic mirna inhibitor を用いたが これは標的 mirna を過剰発現 あるいは強制的に抑制した場合にみられる現象を捉えている しかしながら 実際のエクソソーム添加実験によって生じた変化はエクソソームに内包される複数の mirna がそれぞれの標的 mrna を各々の変動幅で変化させる現象である このことを考慮すると mir-200c-3p が必ずしも exob が内包する SQUU-A 浸潤誘導因子であったとは限らないが 今回エクソソーム内包 mirna の解析をキッカケとして mir-200c-3p を口腔扁平上皮癌の浸潤能制御を担う候補分子として同定した がんの進展における mir-200c の存在意義については 現在までに数多くの報告がなされているが mir-200c の善玉としての役割を報告するものも多い 例えば 口 32

37 腔癌のみならず 肝癌 大腸癌 胃癌などでは mir-200c が ZEB1 や ZEB2 (zinc finger E-box binding homeobox 2) などの上皮間葉転換 (EMT; Epithelial Mesenchymal Transition) の制御因子の発現抑制を行うことで 浸潤 転移を制御し がんの進展を抑制することが報告されている (20-24) 一方 健常血清と比較して がん患者血清中に含まれる mir-200c の発現が増加していることや (25,26) mir-200c がその標的遺伝子である TKS5 (SH3 and PX domains 2A ) と MYLK (myosin light chain kinase) の発現制御を介して 転移能を亢進させていることも報告されている (27) なお 今回の mirna-mrna 統合解析の結果では 過去に mir-200c 下流のがん進展制御因子として報告があった上述の遺伝子 (ZEB1 ZEB2 TKS5 MYLK) の発現に変動はなかった がんの病態解析において このような特定の mirna の相反する作用は mir-200c-3p についてのみならず 他の mirna についてもしばしば報告されているが これは 多くの解析対象となる検体が がん組織などのヘテロな細胞集団であることに起因していると考えられる 前述のように 本研究では口腔扁平上皮癌細胞の 2 つの異なるクローンを用いた解析により 癌の微小環境下において 各々の癌細胞クローンがそれぞれの個性をもったエクソソームを分泌しており それに内包される mirna 量もクローンごとに異なることを証明した すなわち ヘテロな細胞集団における mirna の量的変動は 生存するすべての細胞が産生する mirna の足し算の結果であることを意味することから がんの病態や予後予測因子検索には適切なツールといえるものの 特定の mirna の機能解析としては 本質的な作用がマスクされてしまう可能性が高い さらに mir-200c-3p の標的遺伝子のうち SQUU-A と SQUU-B の浸潤能制御に関わる遺伝子として CHD9 と WRN を同定した CHD9 は RUNX2 (runt related transcription factor 2 ) BGN (biglycan) BGLAP (bone gamma-carboxyglutamate protein ) MYH6 (myosin heavy chain 6 ) などの遺伝子における骨格組織特異的プロモーターと結合する ATP 依存性クロマチンリモデリング酵素である (28) がんの病態における CHD9 の関わりはほとんど報告されていないが 神経芽細胞腫において CHD9 の不活化が骨転移を促進することが報告されている (29) また WRN は RecQ4 ヘリカーゼの一つであり ゲノム安定性の維持に寄与し (30) その発現減少は発がんの直接的な原因となることが報告されている (31) さらに 33

38 WRN の機能欠失は 早期老化 ゲノム不安定 若年性癌の発症を特徴とするウェルナー症候群発症の原因となることが知られている (32) これらの mir-200c-3p 標的遺伝子が直接的に SQUU-A や SQUU-B の浸潤能制御に寄与している可能性については今後の詳細な解析が必要であるが 本研究結果から mir-200c-3p が口腔扁平上皮癌細胞の浸潤促進因子であること また CHD9 と WRN は 浸潤抑制因子であることが示唆された 34

39 第二章 口腔扁平上皮癌細胞由来エクソソームが転移指向性に及ぼす影響 35

40 材料と方法 細胞培養ヒト臍帯静脈内皮細胞 (HUVECs) とヒトリンパ管内皮細胞 (HDLECs) はPromo Cell (Heidelberg, Germany) から入手した HDLECsとHUVECsの培養は Endothelial cell growth medium MV2 kits (Promo Cell) を用いた 細胞はすべて 5% CO 2 37 にて培養した 管腔形成実験 96 ウェルプレート底面に 50 µl マトリゲル (Matrigel, Growth factor reduced, BD Biosciences, San Jose, CA) をコーティングし 37 で 30 分間静置して硬化させた その後 cells/ well の HUVECs または HDLECs を播種し 培養を行った 18 時間後に管腔形成の状態を観察し (EVOS Cell Imaging System, Life Technologies) 一視野中の管腔分岐点の数を計測した ウエスタンブロッティングプロテアーゼ阻害剤カクテル ( ナカライテスク ) を添加した RIPA Buffer を用いて 細胞抽出液の回収を行った 4ºC 9000 g にて 30 分間遠心し その上清を解析サンプルとした サンプルは BCA protein assay (Thermo Fisher Scientific) を用いてタンパク定量後 タンパク量を揃えてアセトン沈殿を行った 濃縮されたサンプルは SDS-PAGEサンプルバッファーに溶解し 95 5 分間の熱処理を行った 各種サンプルは SDS-PAGEゲルを用いて分離し PVDF 膜に転写した ブロッキングには ブロッキングワン ( ナカライテスク ) を用いた 一次抗体として 抗 VEGFR1 抗体 (1:3000) (Cell Signaling Technology) 抗 VEGFR2 抗体 (1:3000) (Cell Signaling Technology) 抗 VEGFR3 抗体 (1:1000)(Abcam) 抗 VEGF-A 抗体 (1:3000)(Abcam) 抗 VEGF-C 抗体 (1:1000) (Cell Signaling Technology) 抗 VE-cadherin 抗体 (1:3000) (Cell Signaling Technology) 抗 podoplanin 抗体 (1:1000) (Biolegend) 抗 GAPDH 抗体 (1:40000) (Acris Antibodies) を用い 二次抗体として HRP 標識ヤギ抗マウスIgG あるいは抗ウサギIgG (Cell Signaling Technology) を用いた 発色試薬には ECL Plus reagent (Thermo Fisher Scientific) を用い FlourChemTM 8900 (Alpha Innotech) にて検出を行った 定量 RT-PCR 36

41 total RNA の精製は High Pure RNA Isolation Kit (Roche Diagnostics) 逆転写反応は Verso cdna Synthesis Kit (Life Technologies) を用いて行った 逆転写後の cdna の増幅には LightCycler 480 Probes Master (Roche Diagnostics) を用い LightCycler 480 system (Roche Diagnostics) にて 95 5 分間の酵素活性化処理後 秒 秒 72 1 秒の増幅を 45 サイクル行った TaqMan プローブは Universal Probe Library (UPL) (Roche Diagnostics) を使用した 表 6 にプライマーとプローブ 増幅産物の大きさを示す 細胞増殖試験細胞増殖能の評価は WST-8 Cell Count Reagent SF ( ナカライテスク ) を用いて行った 96 ウェルプレート上に cells/ 100 µl MV2 medium/ well の HUVECs または HDLECs を播種し エクソソーム存在下で 18 時間培養した後 WST-8 Cell Count Reagent SF を 10 µl/ well 添加した 1 時間の呈色反応後 マイクロプレートリーダー (Bio Rad) にて 450 nm( 参照波長 630 nm) の吸光度を測定した 統計解析 すべてのデータは平均 ± 標準誤差で表した データの解析には Mann-Whitney U 検 定を用いた また 危険率 5% 未満の場合 有意差があると判定した 37

42 表 6 定量 RT-PCR に用いたプライマーとプローブ および増幅産物の大きさ Gene Direction Primer sequence Base UPL No. Pairs VEGFR1 Forward CAG CAT ACC TCA CTG TTC AAG G 75 bp 50 Reverse CCA CAC AGG TGC ATG TTA GAG VEGFR2 Forward GAA CAT TTG GGA AAT CTC TTG C 66 bp 18 Reverse CGG AAG AAC AAT GTA GTC TTT GC VEGFR3 Forward CAG GCT GAC GCT GAG GAC 78 bp 64 Reverse AAA GGA CAC CCA GTT GTA ATA CCT VEGF-A Forward CTA CCT CCA CCA TGC CAA GT 86 bp 29 Reverse CCA TGA ACT TCA CCA CTT CGT VEGF-C Forward AAG TCC ACA GAA ATG CTT GTT AAA 77 bp 31 Reverse TCG TAC ATG GCC GTC TGT AA VEGF-D Forward Reverse AAA GTT TTA CCA GTA TGG ACT CTC G GAG TTC TTT GCC ATT CTT CAT CTA T 114 bp 89 38

43 結果 (1) 口腔扁平上皮癌細胞由来エクソソームが血管新生に及ぼす影響がん細胞における脈管形成は がん細胞が増殖するための酸素や栄養の供給源としての役割を持つとともに 転移経路の確保という重要な要素を持つ 一般に 血管新生やリンパ管新生の亢進は 血行性転移やリンパ行性転移をそれぞれ高めると考えられている (33,34) そこで 第二章では 口腔扁平上皮癌細胞由来のエクソソームが 血行性転移とリンパ行性転移に及ぼす影響について 血管新生とリンパ管新生に着目した解析を行った まず HUVECs を用いた管腔形成実験を行い 第一章で精製したヒト口腔扁平上皮癌細胞由来エクソソーム (exoa, exob) が 血管新生に及ぼす影響について解析した なお 管腔形成能は 実験開始から 18 時間後の管腔構造の分岐部数を指標として評価した (35,36) 解析の結果 対照群と exoa あるいは exob 添加群との間には 分岐部数に有意な変化は認められなかった ( 図 11a,b) なお 管腔形成実験において exob 添加時に不規則な細胞凝集像が認められた ( 図 11a) エクソソーム添加時の HUVECs の細胞増殖能について 対照群との間に変化はなかった ( 図 11c) 一般に がん細胞は血管内皮細胞増殖因子 (VEGFs) などの血管新生因子を産生し 血管内皮細胞に発現している VEGF 受容体 (VEGFRs) に作用することで がん間質における血管内皮細胞の増殖と運動を亢進させることが知られている (37,38) また 血管新生において中心的な役割を果たすのは VEGF-A とその受容体である VEGFR1 および VEGFR2 であることが知られている (39,40)( 図 12) そこで 定量 RT-PCR とウエスタンブロッティングによって exoa および exob 添加時の HUVECs における VEGFs と VEGFRs の発現量を解析した その結果 exoa および exob 添加によって VEGFR2 の発現量が有意に増加した ( 図 11d,e) これらの結果から exoa や exob の添加は 管腔形成開始から 18 時間後の HUVECs 管腔構造分岐部数には顕著な変化を与えなかったものの ( 図 11a,b) HUVECs における VEGFR2 の発現を増加させることで 血管新生を亢進させる可能性が示唆された 39

44 (a) (b) (c) (d) (e) 図 11. exoa および exob が血管新生に及ぼす影響 (HUVECs) (a) 管腔形成の様子 ( エクソソーム添加 18 時間後 ) は細胞凝集を示す Scale bars: 500 µm (b) 一視野中の管腔構造の分岐部数 (c) 細胞増殖能 ( エクソソーム添加 18 時間後 )(d)vegfs と VEGFRs の定量 RT-PCR 発現解析 ( エクソソーム添加 18 時間後 ) 内部標準には GAPDH を用いた * P < 0.05 (e)vegfs と VEGFRs のウエスタンブロッティング ( エクソソーム添加 36 時間後 ) VE-cadherin は血管内皮細胞のポジティブコントロールとして用いた 内部標準には GAPDH を用いた 実験は triplicate で行い 3 回の実験の平均値 ± 標準誤差で表した 40

45 図 12 VEGF-VEGFR 関連分子と脈管新生との関連 VEGF-A は VEGFR1 もしくは VEGFR2 に結合することで主に血管新生を誘導し VEGF-C と VEGF-D は主に VEGFR3 に結合することで主にリンパ管新生を誘導する 41

46 (2) ヒト口腔扁平上皮癌細胞由来エクソソームがリンパ管新生に及ぼす影響次に HDLECs を用いた管腔形成実験を行い ヒト口腔扁平上皮癌細胞由来エクソソーム (exoa, exob) が リンパ管新生に及ぼす影響について解析した なお 管腔形成能は 実験開始から 18 時間後の管腔構造の分岐部数を指標として評価を行った (35, 36) 解析の結果 対照群と exoa 添加群との間には 分岐部数に変化はなかった ( 図 13a,b) 一方 exob 添加群は 対照群や exoa 添加群に比べ 有意に管腔構造の分岐部数が増加した ( 図 13a,b) なお エクソソーム添加時の HDLECs の細胞増殖能には変化がなかった ( 図 13c) 血管新生と同様 がん細胞はリンパ管新生因子を産生し リンパ管内皮細胞に発現している VEGFRs に作用することで がん間質におけるリンパ管内皮細胞の増殖と運動を亢進させることが知られている (37,38) また リンパ管新生において中心的な役割を果たすのは VEGF-C および VEGF-D とそれらの受容体である VEGFR3 である (41)( 図 12) そこで 定量 RT-PCR とウエスタンブロッティングによって エクソソーム添加時の HDLECs における VEGFs と VEGFRs の発現量を解析したところ VEGFR1 VEGFR2 VEGFR3 の発現量が exoa および exob 添加によって 有意に増加した ( 図 13d,e) また それらのリガンドである VEGF-A VEGF-C VEGF-D については 対照群に比べて exob 添加群で 有意に増加した ( 図 13d,e) これらの結果から HDLECs における exob の添加は 管腔形成開始から 18 時間後の管腔構造分岐部数を有意に増加させ ( 図 13a,b) そのメカニズムは exob による VEGFR3 の発現量増加が寄与していたと示唆された また exoa の添加では 管腔形成開始から 18 時間後の有意な管腔形成の亢進は認められなかったが exob 同様 VEGFRs の発現亢進を認めた ( 図 13a,b) 42

47 (a) (b) (c) (d) (e) 図 13.exoA および exob がリンパ管新生に及ぼす影響 (HDLECs) (a) 管腔形成の様子 ( エクソソーム添加 18 時間後 ) Scale bars: 500 µm (b) 一視野中の管腔構造の分岐部数 *** P<0.001 (c) 細胞増殖能 ( エクソソーム添加 18 時間後 )(d) VEGFs と VEGFRs の定量 RT-PCR 発現解析 ( エクソソーム添加 18 時間後 ) 内部標準には GAPDH を用いた * P < 0.05 ** P < 0.01(vs Vehicle) P < 0.05 P < 0.01 (vs exoa) (e)vegfs と VEGFRs のウエスタンブロッティング ( エクソソーム添加 36 時間後 ) podoplanin はリンパ管内皮細胞のポジティブコントロールとして用いた 内部標準には GAPDH を用いた 実験は triplicate で行い 3 回の実験の平均値 ± 標準誤差で表した 43

48 考察 本章では 口腔扁平上皮癌細胞由来エクソソームが血行性転移とリンパ行性転移に及ぼす影響について検討を行った 血管新生の検討では HUVECs を解析に用いた exoa と exob の添加により HUVECs における VEGFR2 の発現が増強したが 管腔形成実験開始 18 時間後では エクソソーム添加による有意な管腔形成能の亢進は認められなかった しかし exob 添加時には 管腔形成の起点となることが報告されている不規則な細胞凝集像 (42) が多数認められた この細胞凝集が形成される機序については不明であるが これらの結果をふまえ 実験開始から 18 時間以降も継続して管腔形成を観察した場合 exob が血管新生能を亢進すると推察された 一方 リンパ管新生の検討では HDLECs を解析に用いた exob 添加により HDLECs の管腔形成能亢進が認められた VEGF-VEGFR 関連分子の発現解析では exoa および exob 添加によって VEGFR2 VEGFR3 の発現量が増加したことから exoa および exob は 血管新生に比べて リンパ管新生を亢進させる作用が大きいことが示唆された また exob 添加によって HDLECs における VEGF-A VEGF-C VEGF-D の発現亢進が認められた 通常 がんにおける脈管新生について VEGFs-VEGFRs 関連分子を考慮する場合 VEGFs はがん細胞が産生 分泌するものとして重要視されるが 今回の解析では リンパ管上皮細胞からもこれらのリガンドが産生されていることが確認された これらのリガンドが細胞外に分泌されているかどうかについては 今後の検討が必要となるが exob による VEGF-A VEGF-C VEGF-D の発現亢進が確認されたことは in vivo において exob がリンパ管新生のみならず リンパ管上皮細胞を介した間接的な血管新生をも促進させる可能性を意味しており 興味深い 以上のことから 口腔扁平上皮癌細胞は エクソソームを介して血管内皮細胞やリンパ管内皮細胞の VEGF-VEGFR 関連分子の発現量を制御していることが示唆された また exoa および exob は 血管新生に比較して 高いリンパ管新生亢進作用をもつことが確認され このことは 口腔扁平上皮癌の多くが リンパ行性転移指向性をもつことと関連する可能性が高いと考えられた 44

49 総括 本研究では 第一章 第二章を通して 口腔扁平上皮癌の進展における癌細胞由来エクソソームの役割について 同一患者由来で浸潤 転移能が異なるヒト口腔扁平上皮癌細胞株 SQUU-A SQUU-B を使用した解析を行った すべての実験を通して 2 つの異なる単一クローンから分泌されるエクソソームは 癌の浸潤 転移に対して それぞれ異なる個性をもつことが明らかとなった このことは がん細胞由来エクソソームの解析において 病態進行に関わる具体的なターゲット分子の検索を目的とする場合には ヘテロな細胞集団を対象とする実験は不適当である可能性があり 目的に応じた検体を選択する重要性が提示された 第一章では exoa および exob を用いた mirna-mrna 統合解析を行うことで 浸潤促進因子としての mir-200c-3p およびその標的遺伝子としての CHD9 と WRN を同定した がんの浸潤に関与する mirna として mir-200c-3p を同定したことは 当該ターゲットを口腔扁平上皮癌の診断ツールや治療効果マーカーの標的としてのみならず がん治療のターゲットとして医薬応用できる可能性を提示することとなり その臨床的意義は高い mirna に対する阻害方法については 現在 インヒビター (43) スポンジ(44) デコイ (45) を用いた方法など 次々と開発されているが 今後これらの知見をもとに in vivo 実験にて mir-200c-3p のがん進展阻害効果や副作用 ドラッグデリバリーの検討等を行う必要がある 第二章では exoa および exob が転移指向性に及ぼす影響について 血管新生とリンパ管新生に着目した実験を行った 現在までに 前立腺癌 (46) 乳癌(47) メラノーマ (48) など多くのがん種において 腫瘍細胞が分泌するエクソソームやその内包物である mirna が転移先ニッチの形成に必須の役割を果たしていることが明らかにされている 今回の実験で 口腔扁平上皮癌細胞由来エクソソームが VEGFs-VEGFRs 分子群の発現制御を介して 脈管新生を亢進させ 特にリンパ行性転移を促進する可能性が示された がん微小環境におけるリンパ管の生物学的特性については 未解明の部分が多いが 現在 腫瘍リンパ管新生制御の中心的な役割は VEGF-C-VEGFR3 シグナルにあるとされており VEGFR3 あるいは VEGF-C に対する中和抗体を用いた臨床試験が開始されている 45

50 今回の実験により これらのターゲット分子を制御するエクソソームの機能を見出したことは がん細胞由来エクソソームを標的とした新しいリンパ管新生抑制療法の可能性を提示するものであった なお 口腔扁平上皮癌細胞由来エクソソームに内包されていたリンパ管新生誘導因子が VEGFs-VEGFRs 分子群以外にも作用した可能性も残されており 今後は 今回得られた結果をもとに エクソソームに内包されているリンパ管新生誘導因子の同定を行い 具体的な転移指向性決定機構の解析を行う必要がある 46

51 謝辞 稿を終えるにあたり 懇篤なる御指導 御高閲を頂きました 福岡大学薬学部統合臨床医学講座免疫 分子治療学分野中島学教授に深甚なる感謝の意を表します また 今回このような機会を与えて下さった九州大学大学院歯学研究院口腔顎顔面病態学講座顎顔面腫瘍制御学分野中村誠司教授に深甚なる感謝の意を表します 直接御指導いただき すべての研究遂行 および本稿と投稿論文の作成に際し懇切丁寧な御指導 御助言を頂きました福岡大学薬学部統合臨床医学講座免疫 分子治療学分野安河内 ( 川久保 ) 友世講師に深甚なる感謝の意を表します その他の各種実験に際し様々な御指導 御助言を頂きました福岡大学薬学部統合臨床医学講座免疫 分子治療学分野の皆様に深謝いたします 大学院入学時より様々な御助言を頂きました九州大学大学院歯学研究院口腔顎顔面病態学講座顎顔面腫瘍制御学分野の皆様に深謝いたします 47

52 参考文献 1. Kucharzewska P, Christianson HC, Welch JE, Svensson KJ, Fredlund E, Ringnér M, Mörgelin M, Bourseau-Guilmain E, Bengzon J, Belting M. Exosomes reflect the hypoxic status of glioma cells and mediate hypoxia-dependent activation of vascular cells during tumor development. Proc Natl Acad Sci USA 2013;110: Kosaka N, Iguchi H, Hagiwara K, Yoshioka Y, Takeshita F, Ochiya T. Neutral sphingomyelinase2 (nsmase2)-dependent exosomal transfer of angiogenic micrornas regulate cancer cell metastasis. J Biol Chem 2013;288(15): Johnstone RM, Adam M, Hammond JR, Orr L, Turbide C. Vesicle formation during reticulocyte maturation. Association of plasma membrane activities with released vesicles (exosomes). J Biol Chem 1987;262(19): Valadi H, Ekström K, Bossios A, Sjöstrand M, Lee JJ, Lötvall JO. Exosome-mediated transfer of mrnas and micrornas is a novel mechanism of genetic exchange between cells. Nat Cell Biol 2007;9: Huang Q, Gumireddy K, Schrier M, Ie Sage C, Nagel R, Nair S, Egan DA, Li A, Huang G, Klein-Szanto AJ, Gimotty PA, Katsaros D, Coukos G, Zhang L, Puré E, Agami R. The micrornas mir-373 and mir-520c promote tumour invasion and metastasis. Nat Cell Biol 2008;10: Peinado H, Aleckovic M, Lavotshkin S, Matei I, Costa-Silva B, Moreno-Bueno G, Hergueta-Redondo M, Williams C, Garcia-Santos G, Ghajar C, Nitadori- Hoshino A, Hoffman C, Badal K, Garcia BA, Callahan MK, Yuan J, Martins VR, Skog J, Kaplan RN, Brady MS, Wolchok JD, Chapman PB, Kang Y, Bromberg J, Lyden D. Melanoma exosomes educate bone marrow progenitor cells toward a pro-metastatic phenotype through MET. Nat Med 2012;18: Harris DA, Patel SH, Gucek M, Hendrix A, Westbroek W, Taraska JW. Exosomes released from breast cancer carcinomas stimulate cell movement. PLoS One 2015;10:e Atay S, Banskota S, Crow J, Sethi G, Rink L, Godwin AK. Oncogenic KITcontaining exosomes increase gastrointestinal stromal tumor cell invasion. Proc Natl Acad Sci USA 2014;111: Kapsogeorgou EK, Abu-Helu RF, Moutsopoulos HM. Salivary gland epithelial cell exosomes: A source of autoantigenic ribonucleoproteins. Arthritis & Rheumatism 2005;52(5):

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