<4D F736F F F696E74202D AE C B835E B83585F8FAC97D190B390B68E812E B8CDD8AB B83685

Transcription

1 状態監視振動診断技術者コミュニティ第 7 回 MTG 振動関係特別講演資料 内容 振動診断とデータベース 1. はじめに 強制振動と自励振動, 振動因果マトリックス, キャンベル線図.... データベース 日本機械学会振動工学データベース研究会 v_base 実機トラブル対策事例 ( 強制振動 ) の紹介不釣合い振動, 歯車振動, 十字継手, 誘導モータ, ベルト駆動機械, その他 転がり軸受など 年 1 月 日 株式会社 IHI 小林正生 4. 実機トラブル対策事例 ( 自励振動 ) の紹介摩擦振動, ラビリンスシール, 内部減衰,... 7 液体内蔵ロータ, フリクションホィップ おわりに はじめに 振動現象は 強制振動 と 自励振動 に分類できる 続回転機械の振動 ( コロナ社 ) 本講義の原本松下 田中 小林 古池 神吉強制振動の事例 : 7 章自励振動の事例 : 8 章 強制振動 振動系に作用する外力により応答したもの 振動数 : 強制外力の振動数例 : 地震, 不釣合い振動 自励振動 振動系が不安定になって生じたもの ( 加振外力が無い ) 振動数 : 固有振動数例 : 弦楽器 フルート 振動現象で有効な対策法が異なる 強制振動 自励振動 外力を小さくする, 応答しにくくする 振動系を安定化 3 4

2 振動因果マトリックス 因果関係大, 因果関係あり, 関係あり キャンベル線図 振動現象と原因との因果マトリックスの例 ( 回転機械の場合 ) 今までの研究成果をまとめたもの 現象は大きく, 強制振動 強制力の周波数 自励振動 ( 不安定振動 ) 固有振動の周波数 強制振動と自励振動の判別振動診断の第 1 歩 回転数比例の振動数なのか固有振動数なのかキャンベル線図 転がり軸受使用の舶用過給機 ( ガタの大きな軸受を使用 VB884) すべて回転数比例の振動 軸受非線形剛性が原因の強制振動 に分けられる 5 6 日本機械学会機械力学部門 1991 年 (5 年前 ) に 振動工学データベース (v_base) 研究会が発足 振動トラブル対策のデータベース 研究会会員 ( 企業 大学等 ) コア委員 フォーラムの開催毎年 1 回 3 数件の事例収集 日本機械学会振動工学データベース研究会 (v_base 研究会 ) vibation database v_base CD-ROM コーディネータ v_base フォーラムの開催データベース構築 データベース最新版第 3 版 (11 年発行 ) 本資料で引用したデータベース : VB と記載 編集作業 7 8

3 第 3 版 (CD-ROM) の写真 v_base データベース ( 第 3 版 :11) に収録された対象機械 79 件掲載 ( 現在は 945 件取集済 ) データベースの全文検索 該当データが容易に検索可能 自動車 13% など 回転機械 ( ロータダイナミクス ) が約半分 参考文献 1. 小林ほか 3 名, 振動工学データベース (v_base) 研究会 年と今後の活動, 日本機械学会論文集 (C 編 ), Vol.78, No.788, pp (1). 日本機械学会機械力学 計測制御部門ホームページ / 関連リンク /6. その他の便利リンク /v_base (15 年 1 月現在 ) 3. IMV v_base データベース第 3 版の取り扱い (15 年 1 月現在 ) 9 プラントは流体関連振動 19% 1 影響係数法バランシング 不釣合い振動 ( 回転数成分 ) の事例 実機での振動トラブル対策事例の紹介 強制振動編 発生周波数に特徴がある ためしおもり shot: V V 影響係数は V とする修正おもり V 付加 U U a U a a shot1:v V1 1 V a 1 V1 1 の算出 より V V U a a 18 モード円 ( 振動振幅 位相のポーラ表示 ) 危険速度を通過するたびに円を 1 つ描く 11 バランス修正の可否は影響係数の再現性 ( 振動の再現性より高度 ) に依存 ( 低下原因はいろいろある ) 1

4 ガスタービンロータのバランス VB17 ガスタービンロータのバランス 3 次モードのバランス 影響係数 3 次モードの伸び ( 回転数 A-B 間のベクトル ) について 段目タービンに試しおもりを付けて計測 13 A-B の影響係数に再現性全くなし おもりによる振動変化は 通り タイボルト張力増で振動発生が高回転数化タイボルトが共振してたわみ, ロータとの隙間内で 通りに接触 対策 インペラとタイボルト間にルーズフィットのコマ ( ブッシュ ) を挿入したら振動そのものが無くなる 14 不釣合い振動事例 : ファン架構の低剛性による振動 VB58 ファン架構の低剛性による振動 補剛の効果があるのは, モードが折れているところ ( 曲率が大きなところ ) 不釣合い振動 ( 定格 3Hz) が過大定常回転時の振動モードを計測基礎の付け根から傾くモード 基礎を補剛 ( コンクリート追加 ) 補剛 : 剛性を補う補強 : 強度を補う 15 16

5 運動方程式 歯車による振動の事例 かみ合い力 ギヤード圧縮機の事例 歯車による振動 ホイール軸回転数の 6 倍の振動 VB1 原因 6 倍のピッチ円誤差の励振回転軸固有振動数と共振 W : 歯車静荷重 k t : かみ合い剛性 t : かみ合い減衰 e t : 歯車誤差 x : 作用線方向かみ合い変位, と置くと かみ合い周波数 ( f =1/T G ), 歯車誤差の 現象 kt 17 対策 歯車を再研削 回転軸固有振動数ずらす 18 十字継手による振動の事例 プロペラシャフト 十字継手による振動 VB197 回転数の 倍振動が特徴 ユニバーサルジョイントフックスジョイントカルダンジョイント 現象 回 /36 回転数の 倍振動 折れ角 α が大きいほど 倍振動が大 折れ角 α 対策 折れ角を に近づける 折れ角が つある 3 軸系 1 軸と 3 軸を並行に 取付け位相を合わせる 19

6 誘導モータにおける電磁振動 誘導機の場合よく知られる発生周波数 1. 電源 ( 回転磁界 ) 周波数 : f 起動時, 短絡 ( 瞬停 ) 時. 電源周波数 倍 : f 同上 静的偏心 ( 偏心して回転, 心ずれ ),1 次巻線 ( 固定子 ) 不平衡 3. スリップ 倍周波数 : sf 回転数との和差 : f ± sf (Double Slip Feq.),s : すべり率 動的偏心( 振れ回り ), 次巻線 ( 回転子 ) 不平衡 バー切れ 特に, sf の すべりうなり音 電磁振動の特徴は, 電源を切ると瞬時に消滅する 3 相誘導モータ + ターボブロア < 現象 > うなり音の発生.8~Hz 負荷大でうなり周期が早まる 調べると 58Hz の異常振動 ( 右図, 回転数 N = 59.Hz ) 電源遮断で現象が消える 事例 : すべりうなり音 VB1 5μmPP 58Hz f V 回転数上昇速時 59.Hz f 1 事例 : すべりうなり音ベルト駆動の機械 VB88 負荷を横軸に整理 うなり周波数 : f B 異常振動と電源周波数との差 f - f V 9.4Hz: ブロア回転数 うなり周波数はすべり周波数の 倍に等しい sf ベルト回転周期の振動数 f すべりうなり音 の現象 < 対策 > モータ固定子内面真円度の修正加工 すべり軸受の組み付けガタ無くし, 隙間もつめる 同心度を上げる対策 < 結果 > うなり音消滅, 異常振動も1/1 以下 3 回転数 N のプーリ ( 直径 D ) をベルト ( 全長 L ) が 1 周する周波数 4 本がけ V ベルトでも, つなぎ目の影響が出る 4

7 その他の強制加振力 転がり軸受 : 色々な振動が出る高調波振動 n N 分数調波振動 N /n 予圧不足 ガタなどが原因非線形ジャンプ現象 玉通過振動 f z z d 1 N 1 d D : 玉 ( 転動体 ) 数 : 転動体直径 D : 軸受ピッチ円直径 os D : 接触角 d 事例 : 転がり軸受で生じたうなり音 アンギュラ背面合わせ 93dB 深溝玉軸受 現象 : Hz のうなりを伴う騒音 原因 : 背面合わせアンギュラ軸受 つの玉通過振動 < 対策 > 転がり軸受の精度等級を上げ, 予圧を十分に付けた. VB43 対策後 うなり消え, 騒音レベルも 1/5 5 6 自励振動の考え方 実機振動トラブル対策事例の紹介 自励振動編 固有振動が不安定化 ( 減衰比が負 ) 7 不安定化させる力 ( 自励振動のメカニズム ) 速度方向 ( の方向 ) の力 : 不安定化力 1 の方向 : 安定化力 方向 の例 速度比例の場合, 負減衰力 変位比例の場合, 連成ばね力, クロスカップリングばね力, クロスばね力 8

8 負減衰力の事例 : 石炭ミル摩擦自励振動 VB456 自励振動発生時 加速度 8G 超大音響 解説 : 摩擦による自励振動 (1 自由度系 ) x m k 摩擦力 F f ( v x) v 運動方程式 mx x k x f ( v x) 摩擦力の働く一自由度系 擦力F 相対すべり速度摩F stati 負勾配領域 F dynami v < 原因 > ローラとテーブル間の摩擦横すべり相対運動での摩擦力の負勾配炭層厚, 湿度, 粒径, 石炭種類で変化 9 f ( v x ) f v f v x テーラー展開 m x f ( v) x k x f ( v) が小さいと, f ( v) < 対策 > ( 負勾配 ) 領域で自励振動発生 v プランジャに粘性ダンパ追加対策 : 減衰 を増す 3 擦力F 相対すべり速度摩F stati 負勾配領域 F dynami ふれまわりクロスばね : ラビリンスホワール 事例 : ラビリンスホワール対策 (Desse Rand 社 ) 高圧流体振動 : 高圧圧縮機で発生する自励振動 ラビリンスシールの影響が最も大特にシール内の旋回流 (Swil) の影響大 F F x y K k k x C K y x C y 原因 : ばね定数の非対角成分 ( クロスばね ) 5MPa 高圧コンプレッサの事例 解析で動特性を計算し, 複素固有値解析を行って安定性を評価 < 対策 > シール内の旋回流の低減, ハニカムシールの採用 31 スワールブレーカ ( 入り口部の旋回流を制御 ) シャントホール ( 高圧の非旋回流れを抽入 ) ハニカムシール ( 非対角ばねが小さい ) 3

9 GE Oil & Gas Nuovo Pignone 社 ( 伊 ) の事例 事例 : 冷熱発電用蒸気タービン VB4 ステータ写真 ( 半割れ表面 ) 低圧段吐出側 バランスドラムラビリンスシール ハニカムシール シャントホール Leak flow Leak flow LeakFlow 高圧段吐出側 Shunt Hole Fin Swil Beake スワールブレーカ インペラアイ部ラビリンスシール ラビンスシールのフィンが軸側 現象 38Hz (1 次固有振動数 ) の自励振動 対策 スワールブレーカをすべてのシール入口に設置 軸受すきま.1% アップ減衰が効く 内部減衰 ( ヒステリシスホイップ ) 内部減衰 D ロータに固定された回転座標系で表現できる減衰軸とインペラのかん合部の摩擦 粘弾性材料製軸の減衰外部減衰 C 静止座標系で表現できる通常の軸受やダンパの減衰 事例 : 歯車継ぎ手使用の回転軸 VB3 回転同期回転同期歯車 静止座標系で表示 ( クロスばね ) F F x y K D Dx C D K y x C Dy 自励振動固有振動数成分 (1) 危険速度通過時 () 負荷増加時 C D D : 危険速度 C 安定限界回転数 1 D D C ならば危険速度通過直後に自励振動が発生 35 現象 : (1) 危険速度通過直後より自励振動 ( 歯面の潤滑不足, 内部減衰 ) () 負荷を増すと自励振動の周波数が上昇 ( 歯車 : クラウニング未処理 ) < 対策 > 歯車継ぎ手に代え ダイアフラムカップリング使用 内部減衰なし 剛性の負荷依存性なし 36

10 液体内蔵回転軸 フランジなど中空軸に油など液体が入ると大振動を生じる. 大別して 現象純粋な自励振動と流動不安定によって生じる強制振動的な現象 容器の変位 液体内蔵回転軸 ( その 1) VB136 現象 1 次危険速度を通過後, 1 次固有振動数の自励振動危険速度より上の回転数で不安定 ( 内部減衰の場合に似る ) (1) 純粋な自励振動 1 次危険速度通過後に自励振動 流体力 x x os t f x f os t f sin t a h f x f x a h x 1 1 位相がずれた成分 ( 不安定の原因 ) 37 対策 油を侵入させない. 抜けるためドレン穴等周方向に動かないように仕切り板 遠心分離機などでは アンダークリテカル設計 ダンパを追加 制御型磁気軸受採用の事例あり (-) 38 液体内蔵回転軸 ( その ) VB369 もう 1 つの現象 () 強制振動的な事例 ( 遠心力場のスロッシング ) 振動数 : 回転数 Ω に比例 スロッシング固有振動数 フリクションホイップ 今までの自励振動 : 前向き振れ回りモードが不安定フリクションホイップは, 後向き ( 回転と逆 ) モードが不安定 摩擦力 F N F N 接触力 回転軸がステータにこすると接触力 F N 回転数 内壁圧力変動 軸振れ回り振動数 f sk 1 ここで, L h tanh L kl s ( モード形 ) b : 軸回転角速度, : 液平均半径 h : 液深, L : 円筒長さ, b : 液体平均円周長さ, s : 周方向モードのノード数 (,,4, ), k : 長手方向モードのノード数 (,1,, ) 振れ回り 振れ回り中心 回転 減衰力 回転中心 回転方向と逆方向に摩擦力 μf N が発生 摩擦力が減衰力を上回ると自励振動 ( 後向き ) 発生 さらに, ステータ内面を転がる転がり接触振動も出る 固有振動数は Ω に比例 共振が問題 仕切り板を設け固有振動数を上げ離調 39 回転軸 ステータ 振動数 f N N : 回転数 : 軸半径 : 半径隙間 4

11 A < 参考 > 転がり接触振動 ロータ外周が 1 周分転動する場合 振れ回り角度 f 振れ回り周波数 f と回転数 N の比は A A A N の説明 回転角度 ( 周波数が高い ) 41 モータ弾性継手転がり軸受 回転軸円板 ガイド 転がり軸受 縦軸型試験装置 危険速度 :Hz 1Hz まで昇速 事例 : フリクションホイップ ( 試験機 ) 起動後 (1).6 ~ 1.45 se 不釣合い振動隙間円一杯 ( 前向き ) () 1.45 ~ 1.9 se フリクションホイップ前向き + 後向き (3).5 se 以降転がり接触振動回転数が低下後向き ( ガイドも変形 ) < 対策 > 接触しない構造, 不釣合い小さく 摩擦力を下げる ( 磁気軸受のタッチダウン時など ) 振れ回り速度回転速度変位軌跡 前向き振れ回り (1) () 後向き 前 + 後向き 前向き 固有振動数 後向き (3) 8ps -95ps 4 おわりに 振動現象の様子は計測すれば分かりますが, それから真の原因を推定して, 効果的な対策を行うには, 過去の多くの振動対策についての事例研究が大切になります. 多くの振動問題の経験事例が v_base ( データベース ) に収録されています. 今回は, 数例を抽出して, 強制振動 ( 共振問題 ) と自励振動に関するトラブルと対策法について紹介しました. ご清聴ありがとうございました 過去の経験事例は, 同じトラブルを繰り返さないため, 対策を容易にするために大変役立つものですので大いに活用してください