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いつやかりこめ
4 years ago
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1 研究情報要求と情報源利用に関するプランニングが情報探索行動に与える影響 The Effects of Planning for Information Needs and Use of Information Resources upon an Information Seeking Behavior 名古屋大学附属図書館研究開発室 Library Studies, Nagoya University １名古屋柳城短期大学図書館 Library, Nagoya Ryujo College ２筑波大学大学院図書館情報メディア研究科 Graduate School of Library Information and Media Studies, University of Tsukuba ３寺井仁１種市淳子２逸村裕３ TERAI, Hitoshi TANEICHI, Junko ITSUMURA, Hiroshi Abstract Recently, the information environment has become more complex due to the spread of digital information resources. Information seeking is a dynamic process which is influenced from information resources and the information content included in those resources. It is important that how to facilitate users information behavior in a hybrid information environment. In this study, we conducted a psychological experiment to understand what effects planning exert on the information seeking process by controlling planning of information needs and selection of information resources upon an information search behavior. Keywords: information seeking 情報探索 planning プランニング library 図書館 experimental study 実験研究１はじめに今日情報環境の劇的な変化により日常において入手可能な情報源の質と量が大きく変化している大学図書館では学術情報の基盤として利用者に質の高い情報源を提供することに加え利用者の図書館情報教育等如何に適切な情報源に利用者を導くかが喫緊の課題になっている例えば従来から図書館が提供してきた利用者を種々の情報源に適切に導くための情報源に関する手引きであるパスファインダーは利用者自 39

2 らが情報探索行動を意識し適切な情報源を選択するための教育教材として捉える事ができまた実際にそのような目的のもとで活用されてきたこうした情報教育や情報サービス構築の取り組みにおいて利用する側である人がどのように複数の情報源やそこに含まれる情報を活用しているのかについての調査研究は重要な側面であり基礎的研究として位置づけられる図書やインターネットなど個別の情報源を対象として情報探索行動学習成果に関して行われた研究は数多いしかしながらより日常的な複数の情報源が混在した情報環境において人がどのように情報探索を行いそこにどのような問題を抱えているのかについての実証的な検討はまだ少ない e.g., 種市逸村 2007 １寺井 2007 ２情報探索は問題解決において必要とされる情報やそれを得るために選択された情報源から受動的に影響を受けるダイナミックなプロセスである Bandura 1986 ３ Bates 1989 ４ Erdelez 2004 ５三輪 2003 ６したがって如何に探索を方向付けるかが情報探索の質を向上させる上で重要になると予想される問題解決に代表される認知的活動においては自身の現状を把握し可能な行動について予測を立てる事前のプランニングが適切で効率的な活動を促すことが知られている Morris & Ward 2005 ７このような観点から本研究では情報探索時のプランニングに着目した２目的本研究では以上の背景のもとプランニングが情報探索プロセスに与える影響について実験的な検討を行った情報探索においては問題解決を達成するために必要とされる情報およびその情報に得るためにどのような情報源を利用するかを明確にすることが必要となる実験では必要とされる情報とそれを得るための情報源に対する認知的なプランニングが情報探索プロセスに与える影響について分析を行った３実験方法 3. 1 被験者大学生 1 2 年生 94 名が実験に参加したなお被験者には実験参加の謝礼として約 2,000 円を実験終了後に支払った 3. 2 課題被験者には英語の早期教育の議論について整理するレポート課題を与えた上でレポート執筆に先立ちレポートの参考にするための資料を収集することを求めた実際にはレポートは作成せず被験者自身には実験終了時にその旨を知らせた英語の早期教育の議論は肯定派否定派に大きく意見が分かれており定説がないまた被験者である大学生にとって英語教育は自身及び将来の育児等身近な問題でもあるこのことから本課題は様々な観点からの情報収集を要求しまた被験者自身が主体的に結論を導くことを求める課題となっている 3. 3 実験計画情報探索に先立ち被験者に主題に関連したキーワードと探索対象となる情報源に対するプランニングを求めることによって求める情報とそれを得るための情報源に対するプランニングが情報探索に与える影響を検討した実験はキーワードのプランニング 2 水準ありなし情報源のプランニング 2 水準ありなしの 2 要因被験者間計画で実施した表１なおキーワードおよび情報源のプランニングを共に行わない条件が統制条件に相当する表 1 実験計画情報源のプランニングキーワードのプランニングありなしあり 24 名 23 名なし 24 名 23 名 3. 4 手続き実験では図書や Web 等物理的電子的情報源が混在し被験者である大学生にとって日常的な情報環境である大学図書館を仮想的な実験室として利用した実験の流れは以下の通りである被験者は１実験条件毎にプランニングを行い 10 分その 40

後２資料収集課題に取り組んだ 40 分資料収集課題では Web および図書の探索を許しレポート執筆に必要と考えられる資料を収集する事を求めたそして３事後課題としてレポートに含めるべき議論や事実等を書き出すことを求め 10 分４実験終了後にアンケートを実施したなお双方のプランニングを行わない条件のみ資料収集課題に 50 分間取り組んだ 3.

3 後２資料収集課題に取り組んだ 40 分資料収集課題では Web および図書の探索を許しレポート執筆に必要と考えられる資料を収集する事を求めたそして３事後課題としてレポートに含めるべき議論や事実等を書き出すことを求め 10 分４実験終了後にアンケートを実施したなお双方のプランニングを行わない条件のみ資料収集課題に 50 分間取り組んだ 3. 5 行動記録課題遂行中の被験者の行動データは１コンピュータの操作ログ２頭部カメラによる物理的な探索過程のビデオ映像３ Web ページのブックマークと図書に貼り付けた付箋紙教示により収集した情報を明確にするよう求めたとして記録したこれに加え課題解決中の発話プロトコルを同時に記録した実験時の被験者の様子を写真 1 に示す写真中被験者の頭部のヘッドバンドの額部分に小型のビデオカメラコニー社製 SVR-41N が取り付けられており映像は腰にベルトで固定されたレコーダーによって録画した実験では写真のヘッドバンドタイプまたはヘッドセットタイプのカメラを用いたまた Web および OPAC の探索は実験者が用意したノート PC を利用し自由に行うことが許された課題遂行中のコンピュータ操作は Camtasia Studio 4.0 株式会社アスキーソリューションズ社製を用いてコンピュータ画面のキャプチャ映像として記録した４分析方法情報探索の過程を明らかにするため何に対してどのような行動をとっていたのかを表すタグを定義し被験者の行動を分類したタグの定義に関しては齋藤三輪 2003 ８寺井 2007 ２を参考にした表 2 に行動タグの一覧を示す行動の対象は電子的情報源である Web および OPAC 物理的情報源である図書そしてその他である Web に対する行動は Web による情報検索 e.g., Google を用いたキーワード検索検索した結果の確認 e.g., 検索結果の一覧をブラウズ検索した結果から興味のあるページを開く等の情報探索活動および資料としてブックマークに保存する行動に分類したまた OPAC に対する行動も Web と同様である図書に対する行動は書架をブラウズし実際に図書を手に取り読む行動および資料として用いるために付箋紙を貼る行動ブックマークと表記からなる書架までの移動等はその他に対する行動として分類した被験者の頭部ビデオカメラの映像およびコンピュータの操作記録映像をもとに被験者の行動に対して行動が開始された時間とともに適合するタグを付与して行動の系列としてコーディングを行った表 3 に行動分析の結果の一例を示す表表２行動タグの一覧 2. 行動タグの一覧対象 Web OPAC 図書その他写真１実験時の様子 41 行動検索検索結果ページ閲覧特定のページ閲覧ブックマーク検索検索結果ページ閲覧特定のページ閲覧ブックマーク書架のブラウズ図書のブラウズブックマーク移動

4 表３トランスクリプションの例 3. ࡊ ߩ ኻ ⴕ 㐿ᆎ ᨐ䊕䊷䉳㑛 ᨐ䊕䊷䉳㑛 ᨐ䊕䊷䉳㑛 ᨐ䊕䊷䉳㑛 ᦠ 䈱䊑䊤䉡䉵䈱䊑䊤䉡䉵 ᦠ 䈱䊑䊤䉡䉵䈱䊑䊤䉡䉵 ᨐ䊕䊷䉳㑛䈱䊑䊤䉡䉵䈱䊑䊤䉡䉵 ᨐ䊕䊷䉳㑛 ᨐ䊕䊷䉳㑛 ᨐ䊕䊷䉳㑛 ᨐ䊕䊷䉳㑛 ᨐ䊕䊷䉳㑛 ᨐ䊕䊷䉳㑛 ᨐ䊕䊷䉳㑛 ᨐ䊕䊷䉳㑛㪊䇭ᣧ ᢎ 㗴䉕䉎 ᣧ ᢎ 䈫䇭㪥㪟㪢䊑䉾䉪䉴 ᣧ ᢎ 䈫䊜䊝 ᣧ ᢎ 䈫䊜䊝䇭㪥㪟㪢䊑䉾䉪䉴䊜䊝㪰㪸㪿㫆㫆 ቇജ䈏䈅䈹䈭䈇䇺ᣧ ᢎ 䈫䇻䉕ត䈜䈏䈧䈎䉌䈝䇮䈱ᧄ䉕ᚻ䈮ข䉎䇺ᣧ ᢎ 䈫䇻䈲䈧䈎䉌䈝䉄䉎㕙䈱䉕䈜䉎䇭ᣧ ᢎ 㪎 ఽ䈫ᣧ ᢎ 䈮䈧䈇䈩㪊䈱ᣧ ᢎ 㪪㫆㪄㫅㪼㫋㩷㪹㫃㫆㪾㩷ᢎ 䊙䊙䈛䉆䉻䊜㪖䈱ᣧ ᢎ 䈲㪪㫆㪄㫅㪼㫋㩷㪹㫃㫆㪾㩷ᢎ 䊙䊙䈛䉆䉻䊜㪖䈱ᣧ ᢎ 䈲㪮㫀㫂㫀㫇㪼㪻㫀㪸 ᢎ 䇭㪮㫀㫂㫀㫇㪼㪻㫀㪸 ᣧ ᢎ ᢎ 䇭㪮㫀㫂㫀㫇㪼㪻㫀㪸 ᣧ ᢎ 㪎㪜㪚㪚 ᣧ ᢎ 䇭㪮㫀㫂㫀㫇㪼㪻㫀㪸 ᢎ 䇭㪮㫀㫂㫀㫇㪼㪻㫀㪸 ᚯ䉎 ᚯ䉎㬍䈜 ఽ䈫ᣧ ᢎ 䈮䈧䈇䈩 ఽ䈫ᣧ ᢎ 䈮䈧䈇䈩５結果本論文では資料収集課題遂行時の行動データを中心に 1 情報源の利用傾向 2 検索行動 3 情報収集の 3 点について結果を示す 5. 1 情報源の利用傾向情報探索の過程における情報源電子的情報源 Web, OPAC 物理的情報源図書の利用率を図 1 に示す図 1 では横軸をキーワード及び情報源に対するプランニングの有無とし条件毎に Web OPAC 図書の利用率が示されている図 1 に示されているように被験者は例外なく Web の探索を行っていた対して OPAC の利用は 7 割程度でありまた図書の利用は 5 6 割程度であった OPAC および図書の利用の有無について χ2 検定を行った結果それぞれ条件間に差はなくプランニングによる影響は認められなかった 2 2 OPAC: χ 3 = 1.18, n.s.; 図書 : χ 3 =.769, n.s. また半数以上の被験者 94 名中 56 名は Web と図書の両方を探索しており Web だけを利用した被験者数を上回っていた㪅䈱㑆㪍㪅㪊㪊㪌㪎㪌㪅㪎㪐㪎㪎㪎㪅㪌㪊㪍㪎㪍㪅㪌㪌㪌㪅㪌㪎㪎㪐㪌㪎㪅㪎㪐㪌㪐㪅㪊㪊㪍㪎㪐㪅㪌㪌㪊㪊㪊㪐㪅㪍㪊㪎㪎㪌㪅㪊㪐㪎㪍㪅㪌㪐㪌㪐㪐㪊㪌㪅㪌㪎㪐㪐㪍㪊㪅㪐㪌㪊㪎㪊㪅㪎㪐㪐㪊㪌㪅㪐㪎㪍㪌㪊㪐㪅㪌㪊㪐㪐㪊㪎㪎㪎㪅㪌㪎㪎㪎㪊㪅㪎㪎㪐㪐㪐㪍㪐㪅㪍㪊㪐㪅㪐㪊㪊㪅㪐㪌㪎㪍㪅㪎㪊㪍㪅㪎㪐㪊㪍㪎㪅㪎㪎㪌㪐㪅㪐㪍㪊㪐㪐㪅㪊㪊㪊㪅㪎㪐㪐㪅㪍㪐㪐㪌㪌㪅㪍㪌㪌㪎㪎㪌㪅㪍㪌㪎㪍㪅㪌㪐㪊㪌㪅㪐㪐㪐㪅㪎㪐㪌㪅㪍㪐㪌㪍㪅㪎㪎㪊㪊㪅㪍㪐㪐㪅㪌㪌㪊㪍㪍㪍㪌㪅㪎㪐㪍㪎㪅㪎㪐㪌㪊㪅㪊㪎㪅㪌㪐㪌㪊㪎㪅㪍㪐㪊㪅㪍㪐㪐㪊㪐㪅㪐㪌㪎㪊㪊㪎㪅㪍㪊㪊㪎㪊㪊㪅㪌㪌㪊㪊㪅㪎㪊㪍㪅㪐㪊㪍㪎㪅㪐㪎㪍㪊㪎㪅㪎㪌㪊㪅㪐㪌㪍㪐㪅㪌㪊㪌㪌㪅㪐㪊㪊㪅㪊㪊㪊㪊㪎㪅㪍㪍㪊㪐㪅㪎㪐㪐㪍 42 㪅㪍㪅㪅図１情報源の利用傾向

5 㪰㪸㪿㫆㫆㩼㪞㫆㫆㪾㫃㪼䈘䉏䈢䉣䊮䉳䊮㪐㩼㩼㪎㩼㪍㩼㪌㩼㩼㪊㩼㩼㩼㩼 2. 図２検索エンジンの利用傾向検索頻度続いてプランニングが情報探索時の検索行動にどのような影響を与えているのかについて検索の頻度とその変化という観点から分析を行う図 3 は情報探索の中で Web の検索エンジンと OPAC に対する検索頻度の変化を課題の前半と後半で比較した結果であるプランニングの 2 要因と前半後半を含めた 3 要因混合分散分析の結果プランニングの効果は認められずキーワード F 1, 77 = 2.68, p >.10 情報源 F 1, 77 = 1.64, p >.10 課題の前半後半にのみ有意な差が認められ F 1, 77 = 11.70, p <.01 課題の前半から後半にかけて検索頻度が減少していることが示された ೨ඨ ᓟඨ 㪐㪎㗫ᐲ 5. 2 検索行動検索エンジンの利用傾向次に資料探索の入口となる検索エンジンの利用について示す図 2 は課題遂行時に条件ごとに利用された検索エンジンの割合を示している検索エンジンは Web の情報探索のために一般に利用されている Yahoo 及び Google と図書の探索のために利用される OPAC に分類したまたそれ以外の検索エンジンについてはその他とした分散分析の結果プランニングによる影響は認められずキーワード F 1, 77 = 1.95, p >.10; 情報源 F 1, 77 = 0.01, p >.10 利用された検索エンジンに主効果が認められた F 3, 231 = 27.10, p <.01 LSD による多重比較の結果 Yahoo はそれ以外の検索エンジンよりも利用率が有意に高かったまた Google はその他よりもそして OPAC は Google とその他よりも利用率が有意に高かった MSe =.082, p <.05 㪍㪌㪊図３検索頻度の変化キーワード生成課題に対する情報要求は情報探索を通して変化することが予想される以下では情報探索を通して生まれる情報要求ついて検索時のキーワードに着目して検討する本分析では検索時に生成されたキーワードの内過去に使用されていないキーワードを新規の情報要求とした検索時に使用されたキーワードの内新規キーワードが占める割合を課題の前半と後半で比較した結果を図 4 に示すプランニングの 2 要因と前半後半の 3 要因混合分散分析の結果課題の前半後半で有意な差が認められ課題後半に比べて課題前半により新規のキーワードが生成されていることが確認されたまた情報源とキーワードのプランニングの間に交互作用が認められた F 1, 77 = 4.70, p <.05 下位検定の結果は以下に示すような結果となったキーワードあり情報源なし情報源あり F 1, 77 = 3.07, p <.10 キーワードなし情報源なし情報源あり F 1, 77 = 8.38, p <.01 情報源ありキーワードなしキーワードあり F 1, 77 = 5.43, p <.05 情報源なしキーワードなしキーワードあり F 1, 77 = 5.37, p <.05 キーワードと情報源に対するプランニングの交互作用の結果を図示し直したものが図 5 である 43

6 ೨ඨ ᣂⷙ䈱 ว 㪅㪎かった場合により多くの資料を収集していたことを示している ᓟඨ 㪅㪍㪅㪌㵴㪍㪅㪅㪊㪅㪅㩷㩷㪁㪅㪌㪁㪁㪁㪅㪅㪊㪅 55 ᣣᧄ㙚ᖱႎቇળ ᄢળ 図６収集された資料の数図４新規キーワードの変化㪅㪍 ᣂⷙ䈱 ว 㓸䈚䈢 ᢱᢙ この結果はキーワードまたは情報源のどちらか一方に対するプランニングは新規キーワードの生成を促進するが双方のプランニングを同時に行った場合には新規キーワードの生成が抑制されることを表している㪁㪁: p <.01 㪁: p <.05 : p < 図５新規キーワードの変化 5. 3 情報の収集情報探索を通してプランニングが資料の収集に与えた影響について情報探索の過程で収集された資料の数 Web のブックマーク数と図書の付箋紙数に着目して検討する図 6 は収集された資料の数を条件ごとに示した結果である収集された資料の数 Web のブックマーク数と図書の付箋数の合計について 2 要因分散分析を行った結果キーワードに対するプランニングの効果に有意な傾向が認められた F 1, 90 = 2.88, p <.10 この結果はキーワードのプランニングを行った場合に比べて行わな６考察本研究では情報探索に先立つプランニングが情報探索プロセスに与える影響について日常的なレポート作成の状況を実験的に設けた上でその際の情報探索活動についての分析を行ってきた以下では実験結果をもとに 1 情報源としての Web 2 プランニングが情報探索に与える影響について考察を行う 6. 1 情報源としての Web 情報源の利用傾向の結果から物理的電子的情報源が自由に利用可能な状況であってもすべての被験者が Web を利用する一方図書の利用は 5 割前後にとどまっていた先行研究においても同様の結果が得られており寺井 2007 ２また過去に行われた類似の調査においても学生特に学部生が利用する情報源が Web に偏向している事実や Web の情報源を過度に信用する事実などが明らかにされている e.g., Graham & Metaxas 2003 ９ OCLC 書籍のような高度に整理構造化された情報源に囲まれた環境にあったとしても必ずしもそれが積極的に利用されないという本研究の結果は近年の Web 環境に依存した情報源の利用傾向を示していると言える 6. 2 プランニングが情報探索に与える影響認知研究においては自身の認知プロセスを意識化しそれをコントロールするためのメタ認 44

7 知に関する研究がホットトピックの一つである三宮真知子問題解決や学習場面におけるメタ認知に関する研究は数多くその効果が示されてきた情報探索においてもその重要性が示唆されているが一方で情報探索行動を意識化することの難しさも指摘されている吉岡プランニングはメタ認知の一種であり本研究では探索行動を如何に方向付けることが可能であるかを検討する上でプランニングに着目し実験を進めてきた実験結果からは情報及び情報源に対するプランニングは情報探索の過程においてキーワード生成と情報収集に影響を与えることが示されたしかしながらキーワード生成においては情報および情報源に対するプランニングには交互作用が存在することまた情報収集においてはキーワードのプランニングのみが影響を与えることが確認されその原因については今後の課題である７まとめ本研究では質の異なる情報源が混在した情報環境においてプランニングが情報探索行動に与える影響について実験的な検討を行った情報探索に先立つ明示的なプランニングは後の情報探索行動に影響を与えていることが確認された今後は具体的にプランニングされた内容がどのように実行され情報探索プロセスの中でどのような影響を及ぼしているのかについて行動データと共に発話データを加えより詳細な検討を進める予定である謝辞本研究の実施にあたり名古屋大学附属図書館および名古屋柳城短期大学図書館の図書館員の皆様にご理解とご協力をいただきましたことをここに感謝いたします参考文献１種市淳子逸村裕短期大学図書館における情報探索行動目次を付与した OPAC のログ分析と検索実験をもとにして名古屋大学附属図書館研究年報 Vol ２寺井仁大学図書館における情報探索活動に関する研究われわれはいかに異なる情報源を活用しているのか名古屋大学附属図書館研究年報 Vol ３ Bandura, A. Self-regulation of motivation and action through internal standard and goal system. In A. P. Lawrence (Ed.), Goal Concepts in Personality and Social Psychology, 1986, Hillsdale, NJ: Erilbaum. ４ Bates, M. J. The design of browsing and berrypicking techniques for the online search interface. Online Review, Vol.13, 1989, ５ Erdelez, S. Investigation of information encountering in the controlled research environment. Information Processing and Management, Vol. 40, 2004, ６三輪眞木子情報検索のスキル未知の問題をどう解くか中央公論社 2003 ７ Morris, R. & Ward, G. The Cognitive Psychology of Planning. 2005, Psychology Press. ８齋藤ひとみ三輪和久 2003 問題解決活動としての WWW 情報探索科学的発見の枠組みに基づく検討認知科学 Vol.10 No ９ Graham, L., & Metaxas, P. T. Of course it s true; I saw it on the Internet! Critical thinking in the Internet era. Communications of the ACM, Vol. 46, No. 5, 2003, OCLC. How academic librarians can influence students web-based information choices. OCLC White Paper on the Information Habits of Collage Students 三宮真知子思考におけるメタ認知と注意市川伸一編認知心理学 4 思考東京東京大学出版社吉岡敦子インターネット情報検索行動に及ぼすメタ認知過程の意識化の効果日本教育工学会論文誌 Vol. 26 No

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