慢性足関節不安定性症例における下肢関節運動および神経筋制御の検討

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1 Title 慢性足関節不安定性症例における下肢関節運動および神経筋制御の検討 Author(s) 越野, 裕太 Issue Date DOI /doctoral.k11431 Doc URL Type theses (doctoral) File Information Yuta_Koshino.pdf Instructions for use Hokkaido University Collection of Scholarly and Aca

2 学位論文 慢性足関節不安定性症例における 下肢関節運動および神経筋制御の検討 越野裕太 北海道大学大学院保健科学院保健科学専攻保健科学コース 2013 年度

3 目 次 要約 1 1. 緒言 足関節 足部 足関節の構造 足関節の靱帯構造とそのバイオメカニクス 足関節捻挫 疫学 発生メカニズム 危険因子 慢性足関節不安定性 病態 慢性足関節不安定性に関連した下肢関節運動 慢性足関節不安定性に関連した神経筋制御 動作における下肢関節運動および筋活動の主成分分析 本研究の目的 対象と方法 対象 計測動作 下肢関節運動計測 実験機器 データ解析 統計学的解析 下肢筋活動計測 実験機器 データ解析 統計学的解析...16

4 2. 5. 歩行動作の主成分分析 主成分分析の方法 統計学的解析 結果 対象特性 動作および群による垂直床反力への影響 群間における下肢関節運動の相違 群間における下肢筋活動の相違 歩行動作の主成分分析結果 下肢関節運動の主成分分析結果 下肢筋活動の主成分分析結果 考察 対象特性および動作課題に関して 下肢関節運動に関して 下肢筋活動に関して 歩行動作の主成分分析に関して 臨床的意義 研究の限界 結論 謝辞? 引用文献 業績一覧 66

5 要約 1. 緒言足関節内反捻挫の後遺症として多くの者が慢性足関節不安定性 (Chronic ankle instability: CAI) に進行し, 再発性の足関節内反捻挫を多く経験する.CAI に関連した様々な因子が過去に報告されているが, 実際に足関節不安定性が生じる動作場面における下肢関節運動や筋制御への影響は十分に解明されていない. そこで, 本研究の目的は CAI 症例と健常例の下肢関節運動および筋活動を様々な動作において比較検討すること, および歩行動作に主成分分析を応用し, これらの詳細な特性を検討することとした. 2. 対象と方法対象は CAI 群 12 名, 健常群 12 名とした.CAI の定義は再発性の足関節捻挫の既往, 足関節不安定性の評価スコアを基に決定した. 三次元動作解析装置, 表面筋電計, 床反力計を用いて自然歩行, 歩行中のサイドターンおよびクロスターン動作, 前方ジャンプからのサイドカッティングおよびクロスカッティング動作, 片脚着地動作を記録した. 股, 膝, 足関節の時系列角度および筋活動の平均値を群間比較した. さらに, 歩行時のこれらの波形データに対して主成分分析を実施し, 主成分得点を群間比較した. 3. 結果 2 つのカッティング動作および片脚着地動作にて CAI 群は健常群に比べ, 股関節屈曲が有意に大きく, またクロスカッティング動作でのみ股関節外転が, クロスカッティング動作および片脚着地動作では膝関節屈曲が有意に大きかった. また片脚着地動作では, 健常群に比べ CAI 群の足関節外反が有意に小さかった. 筋活動に関しては, カッティング動作および片脚着地動作時に, 健常群に比べ CAI 群の腓腹筋の筋活動が有意に高く, またカッティング動作では CAI 群の中殿筋の筋活動が有意に低かった. 歩行およびターン動作ではいかなる変数において有意差は認められなかった. また, 歩行に対する主成分分析の結果, 上記の平均値による群間比較では検出できなかった有意な所見がいくつか得られた. CAI 群は健常群と比較して, 股関節回旋運動の変化, 大腿筋群の筋活動の低下, さらに接地前後における足関節の周囲筋筋活動および外反運動の変化を認めた. 4. 考察および結論 CAI 症例ではスポーツ関連動作において足関節だけでなく, 股 膝関節の運動および筋活動に変化が生じており, これらの変化は足関節の不安定性や機能不全に対する機能的適応, あるいは足関節の不安定性の出現に関与している可能性がある. さらに, これらの変化には動作の難易度が関与している可能性がある. また, 主成分分析では, 従来の平均値, ピーク値などの離散値による比較では検出困難な,CAI による微細な変化を捉えることができる可能性が示唆された. 足関節捻挫後には足関節だけでなく股, 膝関節の機能も評価し, 下肢全体に対するリハビリテーション介入が, 足関節捻挫再発予防のために有用であると考えられた. -1-

6 1. 緒言 足関節 足部 足関節の構造 足部には多くの骨 靱帯 筋 軟部組織が存在し, 多くの関節から構成される. 内側縦アーチ 外側縦アーチ 横アーチと呼ばれる 3 つのアーチ構造が存在し, 足部は柔軟性に優れている. それゆえ, 足部は荷重運動の際に, 衝撃の吸収や分散, または力伝達やバランス制御といった機能を有している. 例えば歩行や走行の際に, 接地による衝撃を吸収する一方で, 踏切時に推進力に対抗する安定性を要求される. これらの機能の破綻は足部への応力集中を招き, 種々の足部障害を引き起こす. 足関節は脛骨 腓骨 距骨から構成される距腿関節と, 距骨と踵骨から構成される距骨下関節から成る複合関節である. 足関節の安定性には主に, 荷重時の関節面の適合と靱帯による制限が寄与しており, いくつかの筋腱複合体によって動的な安定性を得ている (Hertel, 2002). 足部 足関節は身体部位の中でも最も多く損傷する部位であり, その中でも足関節捻挫が最も多く生じる (Fong et al., 2007). 足関節捻挫のうち, 足関節の外側靱帯が損傷する足関節内反捻挫が大半を占め, 最も多いスポーツ損傷の一つである 足関節の靱帯構造とそのバイオメカニクス 足関節には前距腓靱帯, 踵腓靱帯, および後距腓靱帯の 3 つの外側靱帯が存在する. 前距腓靱帯は腓骨外果から起始し, 距骨の外側に付着し, その靱帯長は中間位で 15.5±7.7 mm, 底屈位で 18±9.8 mm, 背屈位で 14.5±6.3 mm であり, 底屈位で伸張される (Raheem and O brien, 2011). また靱帯幅は 10±7 mm であり, 関節肢位によって不変である (Raheem and O brien, 2011). また, 踵腓靱帯は腓骨外果の後方から起始し, 腓骨長軸に対して平均 133 の角度で踵骨の外側面に付着する. その靱帯長は, 中間位で 18.5±6.3 mm, 底屈位で 17± 5.6 mm, 背屈位で 15.5±6.3 mm であり, また靱帯幅は 7.5±3.5 mm である (Raheem and O brien, 2011). 靱帯の strain を cadaveric ankle で調べた研究では, 前距腓靱帯の strain は底屈, 内反, 内旋で増加し, また踵腓靱帯の strain は背屈と内反で増加し (Colville et al., 1990), 前距腓靱帯は内反と底屈の第 1 の制御因子であり, 一方で踵腓靱帯は主に内反と背屈を制御していると認識されている (Bahr et al., 1998). 後距腓靱帯は腓骨外果後方から起始し, 距骨の後外側面に付着する靱帯であり, 足関節捻挫においてこの靱帯が損傷することは少ない (Hertel, 2002). 前距腓靱帯, 踵腓靱帯, 後距腓靱帯の破断強度はそれぞれ順に, およそ N,345.7 N,261.2 N であり, 前距腓靱帯が最弱である (Attarian et al., 1985). 足関節内反捻挫のうち 96% の割合で前距腓靱帯が損傷し, 次いで踵腓靱帯の損傷が 80% を占める (Frey et al., 1996). 足関節内反捻挫では前距腓靱帯が最も損傷し, 足関節が内反および底屈した際に靱帯の strain が増加し, 損傷に至る. それ故, 足関節の非生理的な内反および底屈を避けることが, 足関節内反捻挫の予防にとって重要である. -2-

7 1. 2. 足関節捻挫 疫学 足関節捻挫は最も一般的なスポーツ損傷であり, 全スポーツ損傷の 15 30% を占めると報告されている (Garrick, 1988; Wilkerson, 1992). 足関節損傷の 75% は足関節の靱帯損傷であり, その内の 85% は足関節内反捻挫が占めている (Baumhauer et al., 1995). 足関節捻挫はラグビー, サッカー, バレーボール, ハンドボール, バスケットボールなどのコートゲームやチームスポーツにて高頻度に発生する (Fong et al., 2007). 適切な治療やリハビリテーションを実施することで足関節捻挫後の機能回復は期待できるが, 非常に再発が多く, バスケットボールにおいてその再発率は約 70% にまで及ぶ (Yeung, 1994). 前向き研究において, 足関節捻挫の既往が足関節捻挫の危険因子であることも示されている (McHugh et al., 2006; Tyler et al., 2006). この再発率の高さは, 足関節捻挫を受傷したおよそ 40-75% の者が進行する, 再発性足関節捻挫, 繰り返しの giving way, または不安定感として定義される慢性足関節不安定性 (Chronic ankle instability: CAI) が関与している (Delahunt et al., 2010; Gerber, 1998). さらに, 足関節捻挫の後遺症として足関節の変形性関節症や軟骨病変にまで進行することが報告されている (Harrington, 1979; Valderrabano et al., 2006). 足関節捻挫の予防は重要であり, 国際的にも注目されている分野である 発生メカニズム 一般的に, 足関節内反捻挫は非生理的な内反や底屈運動が生じた時に, 前距腓靱帯などの足関節外側靱帯が損傷することで生じると考えられている. 近年, 実際の受傷場面の足関節を動作解析することでこの受傷メカニズムの詳細が明らかになりつつある.Krosshaug と Bahr が開発した model-based image-matching technique を用い (Krosshaug and Bahr, 2005), Fong らと Mok らは足関節内反捻挫が実際に生じた受傷場面のビデオ動画を解析し, 受傷時には足関節の内反および内旋が急増していることを示し, その逸脱運動は接地後早期から生じていることを示した (Fong et al., 2012; Mok et al., 2011). また足関節の底屈角度の増加は観察されず, 足関節内反捻挫受傷時に非生理的な底屈の増加は必ずしも生じていないことを明らかにした (Fong et al., 2012; Mok et al., 2011). 足関節内反捻挫は主にジャンプ着地や方向転換動作時に生じることが多く, また非接触型損傷は 22-39% と報告されている (Bahr and Bahr, 1997; Kotofolis and Kellis, 2007; McKay et al., 2001; Woods et al., 2003). 足関節内反捻挫を予防するためには, 着地動作や方向転換動作時の足関節運動を適切に制御することが重要であると考えられる 危険因子 足関節内反捻挫の危険因子として様々な因子が示唆されている. 足関節捻挫の既往 -3-

8 (McHugh et al., 2006; Tyler et al., 2006), 高い BMI (McHugh et al., 2006; Tyler et al., 2006), 足部内側縦アーチ高などの足部アライメント (Beynnon et al., 2001), 足関節背屈可動域 (Willems et al., 2005), 静的または動的バランスの低下 (de Norohana et al, 2012; McGuine et al., 2000; Trojian and McKeag, 2006), 足関節周囲の神経筋反応 (Willems et al., 2005), 足関節周囲筋の筋力低下や不均衡 (Baumhauer et al., 1995; Fousekis et al., 2012; Willems et al., 2005) などが挙げられる. これらの危険因子を基に, バランストレーニングを含めた固有感覚訓練 (McHugh et al., 2007; Mohammadi, 2007), 足関節周囲筋筋力トレーニング (Mohammadi, 2007), 装具 テーピングの処方 (Sitler et al., 1994; Verhagen e al., 2000) などの足関節内反捻挫の予防プログラムの介入が考案され, 有効的に実践されている. -4-

9 1. 3. 慢性足関節不安定性 病態 CAI は足関節捻挫の後遺症であり, 再発性足関節捻挫, 繰り返しの giving way, または不安定感として定義される (Delahunt et al., 2010). CAI は足関節の機械的不安定性 (Mechanical instability: MI) または機能的不安定性 (Functional instability: FI) に起因する (Hertel, 2002).MI は足関節外側靱帯 ( 前距腓靱帯や踵腓靱帯 ) の緩み (laxity) に関連した足関節の生理的可動範囲を超えた運動として定義されている. また FI は主観的な足関節の不安定性として言及され, 靱帯の緩みはないが, 神経筋制御の障害, 固有受容感覚の障害, 筋力低下やバランス能力の低下などが FI に関連していることが示されている (Delahunt et al., 2010). 過去の研究では,CAI 症例において足関節の運動感覚の低下 (Lentell et al., 1995), または関節位置感覚の認識誤差の増大 (Munn et al., 2010), 静的または動的バランスの低下 (Brown et al., 2010; Hertel and Olmsted-Kramer, 2007), 足関節周囲筋の筋力低下 (Arnold et al., 2009), 長腓骨筋反応の遅延 (Menacho et al., 2010) などの機能不全が存在することが示されてきた.CAI の病態にはこれらの機能不全が複合的に存在していると考えられる. 多くの先行研究は CAI の病態を理解するために重要な知見を示してきた. しかし, ほとんどの研究は静的な条件下で実施されており, 実際の動作場面を評価している研究はまだ少ない 慢性足関節不安定性に関連した下肢関節運動 CAI 症例における足関節不安定感や足関節の giving way は歩行やスポーツ動作などの動的条件下において生じる. そこで近年, CAI 症例の動作時の下肢関節の 3 次元動作解析や筋電図学的検討に焦点を置いた研究が増えつつある. 実際の動作時の下肢関節運動を定量化することは, 動作パターンの理解とともに, 何故 giving way や再発性足関節捻挫を頻回に経験するかに関して理解するために有用であると考える. CAI 症例では, 様々な運動課題中に健常例と比較して足関節運動が変化していることが報告されている.CAI 症例は歩行中の踵接地前後で, 健常例に比して増加した内反角度を示した (Delahunt et al., 2006a; Monaghan et al., 2006). また,CAI 症例は, 走行 (Lin et al., 2011), 片脚着地 (Delahunt et al., 2006b), 側方ホップ (Delahunt et al., 2007), においても, 健常例に比べ足関節がより内反位であった. これらの著者は, この変化した足関節運動が, 足関節捻挫の再発および足関節の giving way に関与していると示唆している. しかし, これらの研究と矛盾した所見を報告している研究も存在する (Brown, 2011; Brown et al., 2008; Kipp and Palmieri-Smith, 2012). また,CAI 症例における下肢関節運動の変化は足関節だけでなく, 股 膝関節においても存在することが明らかにされつつある. これらの近位関節の運動変化は stop jump task (Brown et al., 2011) と片脚着地動作 (Caulfield and Garret, 2002; Delahunt et al., 2006b; -5-

10 Gribble and Robinson, 2010) において観察された. 一方で, 他の先行研究は歩行 (Delahunt et al., 2006a; Monaghan et al., 2006) や側方ホップ (Delahunt et al., 2007) における, 股 膝関節運動に健常例と比較して有意差は認められなかった. これらの近位関節の変化は CAI 症例が足関節の不安定性や機能不全を代償するための適応を示した可能性がある一方で, 以前から存在しており,CAI 発症の因子である可能性もある.CAI 症例の下肢関節運動は健常例と異なるように思われるが, 一致した見解には達していない. 先行研究では,CAI 症例の下肢関節運動を評価するために, 様々な動作課題を対象としてきた. 先行研究で解析対象としている動作課題は, それぞれ 1 つまたは 2 つのみである. 複数の様々な動作課題 ( 歩行, 走行,step down,drop jump,stop jump) を対象として下肢関節運動を調査した研究は,CAI による関節運動の変化は動作の困難さが影響している可能性を示唆した (Brown et al., 2008). しかし, この研究も含め過去に方向転換動作を用いて CAI 症例の下肢関節運動を評価した研究は著者の知る限り存在しない. 方向転換動作は足関節捻挫の発生が多く, 急速な減速かつ方向を変換するという複雑な多平面運動であり, 比較的ゆっくりとした規則的な動作である歩行よりも複雑な神経筋制御を必要とする可能性がある. このような動作では, 神経筋制御の不良など様々な機能不全を呈する CAI 症例において, 下肢関節運動の変化がより観察される可能性があると考える 慢性足関節不安定性に関連した神経筋制御 過去に,CAI 症例における神経筋制御に関しては幅広く研究されてきた.CAI 症例を対象として, 落とし戸 (trapdoor) を用いて突発的な足関節内反を誘導させた際の足関節周囲筋の筋反応時間が調査され, いくつかの研究は不安定足関節側の腓骨筋反応時間の潜時の増加が観察されたことを報告している (Vaes et al., 2001; Menacho et al., 2010; Mitchell et al., 2008). これらの trapdoor による研究は足関節内反捻挫をシミュレートしており, 足関節が内反した際の筋反応を理解する上では有用な情報を提供すると考える. しかし, 静的立位から足関節を内反誘導するという計測空間が限られた条件での検討であり, 実際に足関節不安定性が生じる真の動作条件での検討も重要であると考える.Delahunt らは片脚着地動作時の接地前において,FI 群の長腓骨筋活動が健常群よりも低下していることを明らかにしたが (Delahunt et al., 2006b), 一方で歩行においては逆に長腓骨筋活動が増加していた (Delahunt et al., 2006a). また lateral shuffle 動作 ( 側方への 180 の切り替えし動作 ) や stop jump task において FI 群の接地前における長腓骨筋活動は健常群より低下しており, 前脛骨筋および腓腹筋活動の変化も存在する (Suda et al., 2009; Suda and Sacco, 2011). さらに, CAI 症例において歩行中に trapdoor を用いて足関節に内反方向への外乱を与えた際に長腓骨筋活動が低下し, その潜時も増加している (Hopkins et al., 2009; Palmieri-Smith et al., 2009). このように,CAI 症例における動作時の足関節周囲筋活動には変化が生じており, これが機能的不安定性の一因である一方, 適応でもあると考えられているが, 一致した見解には達していない. CAI 症例の神経筋制御においても足関節だけでなく, 股 膝関節にも変化が生じている -6-

11 ことが示唆されている.Beckman と Buchman (1995) は足関節に過可動性が認められる症例を対象とし, 足関節を瞬時に内反させる trapdoor を用い, 腓骨筋と中殿筋の筋反応を検討した. その結果, 足関節過可動性症例は健常例と比較して, 中殿筋の筋反応が速かったことを発見し, 中枢神経系を介在して足関節の反応を代償するために近位筋の筋反応が優位になる可能性を示唆した (Beckman and Buchman, 1995). さらに, 両脚立位から片脚立位への移行動作中に CAI 症例では足関節, 股関節, ハムストリングスの筋活動パターンが健常例と異なり (Van Deun et al., 2007), また rotational squat 動作時の大殿筋活動が健常例よりも低いことが示されている (Webster and Gribble, 2013). しかし, 実際に足関節不安定性が生じ得る動作条件で,CAI 症例の近位筋活動を検討した研究は非常に少なく, 特に着地動作や方向転換動作などのスポーツ動作時における近位筋活動の変化は未だ不明である. -7-

12 1. 4. 動作における下肢関節運動および筋活動の主成分分析 動作解析研究では角度の最大値や, 時系列データにおける各イベント時の角度 ( 接地時や床反力最大時など ), また筋電図学的解析では筋電波形振幅の平均値や積分値などの離散値を用いて, 症例群と対照群を統計学的に比較検定することが一般的である. これらのパラメータを用いることは過去の研究との比較を可能とし, さらに足関節捻挫のメカニズムを考慮すると, 動作時の初期接地前後における角度および筋活動を解析することは有用であると考える.CAI 症例のバイオメカニクス分野の先行研究のほとんどが, 動作時の初期接地前後に焦点を当て検討してきた. 近年, 動作時の関節運動の解析や筋電図学的解析において主成分分析による角度および筋活動波形の解析が使用され始めている (Deluzio and Atephen, 2007; Kipp and Palmieri-Smith, 2012; Landry et al., 2007; Linley et al., 2010). 主成分分析は多くの特性を有する時系列データの変動性の情報を少数のパラメータに縮約することで, 従来の離散値による解析では捉えることができない時系列特徴を客観的に抽出し, 統計学的検討を可能とする. 主成分分析は離散値による解析に比べ, 損傷リスクに関連した変化を検出することに優れており, 動作パターンにおいてより深い理解が得られることが示唆されている (O Connor and Bottum, 2009). この手法は各波形データの時系列パターンを理解することにおいて有用であると考えられ,CAI 症例における下肢関節運動および筋活動パターンを, 主成分分析を用いて検討することによって新たな知見が得られる可能性がある. -8-

13 1. 5. 本研究の目的 方向転換動作を含めた様々な動作条件において,CAI 症例の下肢関節運動および筋活動を検討することは,CAI 症例の日常生活動作およびスポーツ動作時の下肢関節運動および神経筋制御パターンの理解, さらには足関節捻挫の再発や giving way が生じる原因に関して有用かつ新たな知見を提供すると考える. また, 動作課題の難易度が,CAI 症例における下肢関節運動および筋活動の変化に関与し得るかどうかに関する知見を提供すると考える. さらに, これらを検討することにより,CAI に関連した因子や機能障害に対するリハビリテーション介入および足関節捻挫の再発予防プログラムの発展に寄与すると考える. また, 下肢関節運動および筋活動の解析において主成分分析を用いることで, 離散値での比較では明らかにならなかった CAI 症例における新たな知見を提供できる可能性がある. それゆえ, 本研究の目的は (1) 様々な動作時の股 膝 足関節の運動および筋活動を, CAI 群と健常群との間で比較すること,(2) 先行研究で多く調べられている歩行動作に焦点を当て,CAI 群の下肢関節運動および筋活動の解析に主成分分析を応用することとした. また,(1) 2 群の下肢関節運動や筋活動の差は, 歩行のような日常生活に関連する動作より, スポーツ関連動作で多く観察され, その群間の差は足関節だけでなく股 膝関節にも観察される, また,(2) ほとんどの動作時に CAI 群は健常群に比べ, 大きな足関節内反または小さな外反角度を示す,(3) 主成分分析は. 角度や筋活動の平均値による単純な比較よりも CAI に関連した変化を検出する, という仮説を立てた. -9-

14 2. 対象と方法 対象 被験者は本大学の様々なスポーツ競技活動に所属している学生から募集し,CAI 群 12 名および健常群 12 名が本研究に参加した. なお,pilot study を基に (CAI 群 4 名, 健常群 4 名 ),G*Power 3.1 の t-test model を用いて (Faul et al., 2007),a priori power analysis を実施した結果, 足関節内反角度において検出力 80% に達するための必要サンプル数は 22 から 24 名であった. 全被験者に対し, 口頭および書面にて実験手順を十分に説明し, 書面にてインフォームドコンセントを得た. また, 本研究は本学保健科学研究院倫理委員会の承認 ( 承認番号 : 11-57) を得て実施された. 先行研究に基づき CAI 群の基準は以下のように設定した :(1) 免荷, 固定, 異常歩行をもたらした重度の足関節内反捻挫の既往が最低一回はあること,(2) 最低 2 回の足関節内反捻挫の既往があり, また過去 2 年以内に最低 1 回は足関節内反捻挫を受傷していること, (3) 足関節 giving way のエピソードが複数回あること,(4) Cumberland Ankle Instability Tool (CAIT) スコアが 27 点以下 ( 最大で 30 点 ) であること (Delahunt et al., 2010; Hiller et al., 2006),(5) 実験時にリハビリテーションを受けていないこと, とした. CAIT スコアは主に主観的な足関節不安定感を評価するツールであり, 足関節不安定性を評価することにおいてその妥当性は示されている (Hiller et al., 2006).CAI 群と年齢と性別がマッチングされた 12 人の健常運動選手 ( 健常群 ) が本研究に参加するために本大学から集められた. 健常群の基準は下肢の損傷歴, 足関節不安定性と giving way の経験がないこととした. 全被験者における除外基準は (1) 下肢の骨折歴 手術歴があることと主な筋骨格系損傷があること (CAI 群の足関節内反捻挫歴以外 ),(2) 実験時に足関節の炎症と腫脹があること, (3) 3 か月以内に下肢の他関節の急性損傷歴があることとした. もし, 被験者が両側性に CAI を有していたら,CAIT スコアが低い方の下肢関節を研究対象とした.CAI 群と健常群は検査する下肢の利き脚と非利き脚の割合をマッチングさせた. なお, 利き脚は被験者がボールをキックする際に使用する脚と定義した (Rein et al., 2010). また, 足関節捻挫の後遺症としてよく観察される足関節の背屈可動域制限を評価するために, 背屈可動域を荷重位にて測定した (Crossley et al., 2007). -10-

15 2. 2. 計測動作 被験者は以下の 6 つの動作課題を無作為の順序で行った. (1) 自然歩行 ( 図 1-a), (2) サイドターン動作 ( 図 1-b), (3) クロスターン動作 ( 図 1-c), (4) サイドカッティング動作 ( 図 1-d), (5) クロスカッティング動作 ( 図 1-e), (6) 片脚着地動作 ( 図 1-f). 自然歩行では, 被験者は自然な速度で, 下に位置する床反力計を見ないよう前方を見ながら歩行路を真直ぐ歩いた ( 図 1-a). サイドターン動作では, 被験者は自然な速度で床反力計に向かって真直ぐ歩行路を歩き, それから検査脚を床反力計に接地させた後, 内側 45 の方向転換を行い, 約 2.5m 歩き続けた ( 図 1-b). クロスターン動作では, サイドターン動作と同様に床反力計に検査脚を接地させた後, 非検査脚 ( 遊脚側 ) を交差させて外側 45 の方向転換を行い, 約 2.5m 歩き続けた ( 図 1-c). サイドカッティング動作では,Ford et al. (2005) が使用した方法に基づき, 被験者は床反力計の前 (0.4m) で膝関節 45 屈曲位である構えの姿勢をとり, 検者が音信号による合図を鳴らした瞬間に前方へジャンプを実施した ( 図 1-d). その後, 検査脚を床反力計に接地させ, 内側 45 方向へ方向転換し, 約 2.5m 走行した. クロスカッティング動作では, サイドカッティング動作と同様に床反力計に検査脚を接地し, 非検査脚 ( 遊脚側 ) を交差させて外側 45 の方向転換を行い, 約 2.5m 走行した ( 図 1-e). なお, これら 2 つのカッティング動作は可能な限り速く遂行するよう指示した. 片脚着地動作は, 被験者は床反力計の前に位置する 0.4m 高の台の上に, 非検査脚で立ち, 検査脚は安静非荷重とした. それから, 非検査脚を用いて台から身体を前方に推進させ, 検査脚で床反力計の中心に向かって着地した ( 図 1-f). 着地後 5 秒間は片脚立位を保持するように指導した. 各動作が記録される前に, 被験者は各動作を行えるようになるまで 3 から 5 回の練習が許可された. 足部全体が床反力計に接地していない試行, バランスを崩し体幹や下肢に動揺が生じた場合は失敗試行として除外した. 被験者は各試行間に約 1 分間, 各動作間に約 5 分間の休憩が与えられた. 各動作において妥当な 3 試行の関節角度, 床反力, 筋電波形データが収集された. -11-

16 図 1.6 つの動作課題の一連.a) 自然歩行,b) サイドターン動作,c) クロスターン動作, d) サイドカッティング動作,e) クロスカッティング動作,f) 片脚着地動作. 図は左下肢 が解析対象である場合の動作を示している. -12-

17 2. 3. 下肢関節運動計測 実験機器 25 個の赤外線反射マーカーを, 両面テープを用いて下肢骨ランドマーク上の皮膚に貼付した ( 図 2). これらのマーカー配置は Helen Hays marker sets を基に (Kadaba et al., 1990), 仙骨, 両側の上前腸骨棘, 大転子, 大腿外側面, 大腿骨内側 外側上顆, 下腿外側面, 内果 外果, 踵部後面, 第 1 第 2 第 5 中足骨頭に貼付した. 全被験者は自身に適したサイズかつ同種の靴 (Artic Mesh M, adidas, Herzogenaurach, Germany) を着用した. なおこの靴はマーカーを足部の皮膚上に直接貼れるように穴を空けた. 下肢関節角度と床反力のデータは赤外線カメラ 6 台 (Hawk cameras, Motion Analysis Corporation, Santa Rosa, CA, USA) および床反力計 (Kistler, Winterthur, Switzerland) を用いて収集した. これらの機器は時間を同期し, それぞれのサンプリング周波数は 200Hz および 1000Hz とした. 各動作記録前に, 被験者の静止立位時の各マーカー座標が記録された. 静止立位において両手は胸の前で組み, 足部の向きは真っ直ぐとし, 両足の幅は大転子幅と一致させた状態で 5 秒間保持した. 図 2. 赤外線反射マーカー配置. -13-

18 データ解析 3 次元マーカー軌跡データは 4 次の Butterworth low-pass filter (a cutoff frequency of 12 Hz) を用いて処理した. マーカー軌跡データにおける欠損データが存在した場合は EvaRT ソフトウェア (Motion Analysis Corporation) を用いて補間処理を行った. 次に,SIMM (MusculoGraphics Inc., Santa Rosa, CA, USA) を用いて下肢関節角度を算出した (Delp et al., 1990).SIMM model は静的立位時のマーカー座標および計測された足長と足幅から得られた各被験者のセグメント長によってスケーリングされた. セグメント質量および慣性特性は各被験者の体重およびセグメント長に基づき個別化された. なお, セグメント質量分布のパラメータは DeLeva によって示されたデータに基づいている (DeLeva, 1996). 解剖学的肢位における身体セグメントの座標系に関して ( 図 3),X 軸は前後方向,Y 軸は上下方向,Z 軸は内外側方向を向いている (Delp, 1990). 骨盤座標系は両側上前腸骨棘を結ぶ線の中点に位置し, 大腿骨座標系は大腿骨頭中心に位置している. また, 脛骨座標系は大腿骨顆間の中点に位置し, 脛骨に固定されている. また, 距骨座標系は内外果の中点に位置し, 踵骨座標系は踵骨後面の最も遠位かつ下方に位置している. 本研究で使用した SIMM model において, 股関節は 3 自由度の球関節であり, 屈曲 伸展, 内転 外転, 内旋 外旋の 3 平面運動を有する. 膝関節は 1 自由度であり, 屈曲 伸展運動のみを有する (Walker et al., 1988). 足関節における距腿関節と距骨下関節の軸は直交座標系ではなく,Inman (1976) によって定義された座標系に準じており ( 図 3), それぞれで底屈 背屈と内反 外反運動を有する (Delp et al., 1990). 動作時の各関節角度は最初に測定された静的立位時の角度を 0 して表現した. また, マーカーを貼付した皮膚の運動による, 骨運動との相対誤差の影響を減ずる global optimization method を用いて関節角度を算出した (Lu & O Connor, 1999). MATLAB 2008b (MathWorks Inc., Natick, MA, USA) を用いて全ての動作課題は接地した瞬間を基準に 2 つの相に分割した. 片脚着地動作は接地前 200ms 間と接地後 200ms 間の 2 つの相に分割した. また, それ以外の 5 つの動作は接地前 200ms 間と, 接地から離地までの立脚相の 2 つの相に分割した. 初期接地は垂直床反力が初めて 10N を超えた瞬間として定義され, 一方で離地は垂直床反力が初期接地後に初めて 10N を下回った瞬間として定義した. 立脚相の時間は試行間および被験者間で異なるため 100% に正規化することで時系列を揃えた. また, 全 6 動作における立脚相 ( 片脚着地動作のみ接地後 200ms 間 ) の最大垂直床反力を各被験者の体重で標準化し, 抽出した (N/kg). -14-

19 図 3.SIMM 骨モデルにおけるセグメント座標系および足関節座標系 (Delp, 1990). 足関節 座標系は Inman (1976) のデータを基に設定されている (Delp et al., 1990) 統計学的解析 2 群間の対象特性に関するデータに関しては対応のない t-test を用いて比較した. また, 最大垂直床反力に対する群と動作課題の効果を調べるために 2 元配置分散分析を実施した. 有意な効果が認められた場合は Bonferroni test を用いた (P <.05). 各被験者のそれぞれのデータは各動作成功 3 試行の平均値を統計解析に使用した. 先行研究を基に, 群間の下肢関節角度の時系列データの差を検出するために,curve analysis を各動作における 2 つの相全体に対し実施した (Delahunt et al., 2007; Delahunt et al., 2006b; Drewes et al, 2009a; Drewes et al., 2009b; Monaghan et al., 2006). 各データ分布を Shapiro-Wilk test により正規性を評価し, 正規分布している場合は対応のない t-test を用い, また正規分布していない場合は Mann-Whitney test を用いて群間比較した (P <.05). また, 逸脱したデータによる統計学的結果への影響を避けるために, 最低 3 data point 以上連続 ( 接地前相では 1 data point は 5ms, 立脚相では 1%) で有意差が認められた場合を有意差ありとした. 全ての統計解析は IBM SPSS Statistics 17 (IBM Corporation, Armonk, New York, USA) を用いて実施した. また, 効果量の指標として Cohen s d を算出し, 効果量の大きさは, 小 (d < 0.4), 中 (0.4 < d < 0.8), 大 (d > 0.8) と解釈した (Cohen, 1988). -15-

20 2. 4. 下肢筋活動計測 実験機器 下肢筋活動は多チャネルテレメータシステム (WEB-1000,Nihon Kohden Corporation, Tokyo, Japan) をサンプリング周波数 1000Hz で用い記録した. 被験筋は大殿筋, 中殿筋, 大腿直筋, 半腱様筋, 前脛骨筋, 長腓骨筋, 腓腹筋内側頭の 7 筋とした. 電極貼付の際は, 貼付部位周辺をアルコール綿で前処置をし, SENIAM (surface electromyography for the non-invasive assessment of muscles; の推奨に基づいて各筋にワイヤレス電極を配置した. 大殿筋に対しては, 仙椎と大転子を結ぶ線上の中点に配置し, 中殿筋に対しては腸骨稜と大転子を結ぶ線上の中点に配置した. 大腿直筋に対しては, 上前腸骨棘と膝蓋骨底を結ぶ線上の中点に配置し, 半腱様筋に対しては, 坐骨結節と脛骨の内側顆を結ぶ線上の中点に配置した. 前脛骨筋に対しては, 腓骨頭と内果を結ぶ線上の近位 1/3 の点に配置し, 長腓骨筋に対しては, 腓骨頭と外果を結ぶ線上の近位 1/4 の点に配置した. 腓腹筋内側頭に対しては最も筋が隆起する部位に配置した. 各筋の最大随意等尺性収縮 (Maximum voluntary isometric contraction: MVIC) の計測は SENIAM の推奨方法に準じ, 徒手抵抗で実施した. また腓腹筋内側頭のみ徒手抵抗よりも活動が高く認められた片脚立位における heel raise で MVIC を計測した. 各 MVIC の計測時間は 5 秒間とした. なお, 各筋の筋電波形が確実に導出できているかについて,MVIC 計測前にリアルタイムで筋電波形を視認した データ解析 これらの筋電図データはカスタム MATLAB プログラムを用いて, 各筋の筋電波形について 4 次の Butterworth band-pass filter ( Hz) 処理し, 全波整流後に 4 次の Butterworth low-pass filter (a cutoff frequency of 10 Hz) による平滑化を施した.MVIC 中の各筋の最大筋電図振幅を 100ms の moving window algorithm を用いて特定し (Hubley-Kozey et al., 2006), 各動作時の筋電図振幅をそれぞれ MVIC 中の最大筋電図振幅を基準として標準化した (%MVIC). その後接地前相 200ms 間の各筋における %MVIC の平均値を算出し, 一方で立脚相においては 10% 毎で 10 相に分割し, それぞれ %MVIC の平均値を算出した 統計学的解析 各被験者のそれぞれのデータは各動作成功 3 試行の平均値を統計解析に使用した. 各群における接地前相と 10 分割した立脚相の %MVIC 平均値のデータ分布を Shapiro-Wilk test により評価し, 正規分布している場合は対応のない t-test を用い, また正規分布していない場合は Mann-Whitney test を用いて群間比較した. 全ての有意水準は P <.05 に設定した. また, 逸脱したデータによる統計学的結果への影響を減少させるために, 立脚相において -16-

21 は最低 3 相以上連続 (30% 以上連続 ) の区間で有意差が認められた場合を有意差ありと考慮した. 統計解析は IBM SPSS Statistics 17 を用いて実施した. また, 効果量の指標として Cohen s d を算出し, 効果量の大きさは, 小 (d < 0.4), 中 (0.4 < d < 0.8), 大 (d > 0.8) と解釈した (Cohen, 1988). -17-

22 2. 5. 歩行動作の主成分分析 主成分分析の方法 歩行時の接地前 200ms 間および立脚相における角度と筋電波形のデータをそれぞれ 100% に正規化した.6 つの下肢関節角度波形データ ( 股関節屈曲 伸展 内転 外転 内旋 外旋, 膝関節屈曲 伸展, 足関節背屈 底屈 内反 外反 ) と 7 つの筋活動波形データから接地前および立脚相 ( 着地動作のみ接地後 200ms 間 ) それぞれ計 26 の行列を作成した. この行列では, 試行数 72 ( 被験者数 24 試行数 3) を行に投入し, 正規化した時系列波形の 101 data points を列に投入し, の行列 X とした. 次に X の共分散行列 S から主成分として固有ベクトル U を, 加えて固有値 L も抽出した. ここで固有値は, 各主成分が各変数の波形の変動性に対する相対的寄与率を示している. 101 の主成分が存在する中, 最初のいくつかの主成分によって波形データの変動性の大半が説明される. 最初の重要な主成分を解析のためにいくつ残すのか, またその残す方法については研究間によって様々である. 一般的には主成分 1 から 3 により波形の変動性の大半が説明される. しかし, 本研究では主成分 3 以降は波形変動性に対する寄与率が小さいこと, これらの主成分によって捉えられた特徴の解釈が困難であることから, 主成分 1 と主成分 2 のみを解析対象とした. 主成分得点 Z は各試行の波形データから, 全試行の平均波形データを差し引き, これと固有ベクトル U の積から算出された ;Z = (X-X ) U (McKean et al., 2007; Robbins et al., 2013). ここで主成分得点は各試行の波形データが, 主成分が抽出した特徴にどの程度一致した特徴を有するかについて説明する. 主成分の説明する特徴を解釈するために, 得られた固有ベクトルの波形と, 主成分得点が高得点である波形と低得点である波形を視覚的に確認した. 例えば, 主成分得点が高い試行は主成分によって最も説明される特徴に近い波形パターンを有し, 一方で得点が低い試行は主成分によって説明される特徴と離れた波形パターンを有している 統計学的解析 主成分分析を用いている先行研究を参考にし,2 群間における各主成分得点の比較には対応のない t-test を用いた (Deluzio and Atephen, 2007; Kipp and Palmieri-Smith, 2012; Landry et al., 2007; Linley et al., 2010). 有意水準は P <.05 に設定した. 統計解析は IBM SPSS Statistics 17 を用いて実施した. また, 効果量の指標として Cohen s d を算出し, 効果量の大きさは, 小 (d < 0.4), 中 (0.4 < d < 0.8), 大 (d > 0.8) と解釈した (Cohen, 1988). -18-

23 3. 結果 対象特性 表 1 に 2 群の特徴を示す.CAI 群と健常群は年齢, 身長, 体重, スポーツ活動への参加時間は同等であった (P >.05; 表 1).CAI 群は健常群に比べ,CAIT スコアが有意に低かった (P <.001; 表 1).CAI 群は 7.3 ± 3.9 回の足関節内反捻挫を過去に経験しており, 一方で健常群は 0 回であった. 全被験者は週に最低 2 日はスポーツ活動に参加しており, そのスポーツ種目は様々であった ( バスケットボール, ラクロス, 陸上競技, テニス, セパタクロー, サッカー ). また,2 群間で足関節背屈可動域に有意差は認められなかった (P >.05; 表 1). 表 1. CAI 群と健常群の対象特性に関するデータ. 群 性 (n) 年齢 ( 歳 ) 身長 (cm) 体重 (kg) CAIT スコア a 背屈可動域 ( ) CAI 群 男性 (10) 女性 (2) 21.1 (0.9) (8.2) 64.6 (8.4) 20.8 (4.4) 24.4 (6.5) 健常群 男性 (10) 女性 (2) 20.7 (0.5) (8.0) 64.7 (9.3) 29.8 (0.6) 26.2 (7.1) データは平均値 ( 標準偏差 ) を示す. 略語 :CAIT, Cumberland Ankle Instability Tool; CAI, chronic ankle instability. a 2 群間における有意差 (P < 0.05). -19-

24 3. 2. 動作および群による垂直床反力への影響 最大垂直床反力は群による有意な効果は認められず, 各動作において 2 群間で同様の値を示した (P >.05; 表 2). また動作課題の有意な効果が認められ, 歩行, サイドターン動作, クロスターン動作の 3 動作間の最大垂直床反力は同様であったが, これら 3 動作全てはサイドカッティング動作, クロスカッティング動作, 片脚着地動作に比べ, 有意に低値を示した ( 全て P <.001; 表 2). またサイドカッティング動作はクロスカッティング動作よりも, 最大垂直床反力は有意に高値であり (P = 0.003; 表 2), さらに片脚着地動作はこれら 2 つのカッティング動作に比べ, 有意に高値を示した ( 全て P < 0.001; 表 2). 表 2.CAI 群と健常群の 6 動作課題における最大垂直床反力 (N/kg). a 歩行 動作課題 Side-turn a Cross-turn a Side-cutting b,c Cross-cutting c 片脚着地 CAI 群 11.3 (0.9) 11.6 (0.7) 11.7 (1.0) 19.3 (2.3) 17.3 (2.5) 34.3 (5.6) 健常群 11.3 (0.6) 11.4 (0.5) 11.3 (0.6) 19.2 (2.5) 18.3 (2.1) 37.1 (3.7) a はサイドカッティング, クロスカッティング, 片脚着地動作の 3 動作との有意差を示す. b はクロスカッティング動作との有意差を示す. c は片脚着地動作との有意差を示す. -20-

25 群間における下肢関節運動の相違 自然歩行, サイドターン動作, クロスターン動作の 3 つの動作では,2 群間のいかなる関節角度において有意差は認められなかった (P >.05; 図 4 6). サイドカッティング動作に関して ( 図 7),CAI 群は健常群に比べ, 初期接地の瞬間から立脚相の 24% までの区間において有意に大きな股関節屈曲角度を示し, またその効果量は大きく (P <.05; d = ), 平均群間差は 5.31 であった. また, 接地前 190ms から 180ms までの区間における CAI 群の足関節内反角度は健常群よりも有意に大きく, またその効果量は大きく (P <.05; d = ), 平均群間差は 5.69 であった.2 群間で股関節内転 外転と内旋 外旋, 膝関節屈曲, 足関節背屈 底屈角度に有意差はなかった (P >.05). クロスカッティング動作では ( 図 8),CAI 群は健常群より立脚相の 6% から 50% までの区間において有意に大きな股関節屈曲角度を示し, その効果量は大きかった (P <.05; d = ). また, その平均群間差は 5.51 であった.CAI 群は健常群より接地前 200ms から立脚相の 45% までの区間において有意に大きな股関節外転角度を示し, その効果量は大きく (P <.05; d = ), また平均群間差は 4.04 であった. さらに,CAI 群は健常群に比べ, 立脚相の 35% から 63% まで (P <.05; d = ), および 69% から 87% まで (P <.05; d = ) の 2 つの区間で有意に大きな膝関節屈曲角度を示し, その効果量は大きかった. これらの平均群間差はそれぞれ 7.63 および 9.54 であった. 一方,2 群間で股関節内旋 外旋, 足関節背屈 底屈, 内反 外反角度で有意な差はなかった (P >.05). 片脚着地動作に関して ( 図 9),CAI 群は健常群に比べ, 接地前 200ms から接地前 10ms まで (P <.05; d = ), さらに接地後 105ms から 200ms までの区間において (P <.05; d = ), 有意に大きな股関節屈曲角度を示し, さらにこれらの効果量は大きかった. これらの平均群間差はそれぞれ 3.74 および 8.26 であった. また,CAI 群は健常群に比べ, 接地後 35ms から 50ms までの区間において有意に大きな膝関節屈曲角度を示し, その効果量は大きく (P <.05; d = ), また平均群間差は 6.42 であった. さらに,CAI 群の足関節外反角度は接地後 40ms から 70ms までの区間で, 健常群より有意に小さく, 効果量は大きかった (P <.05; d = ). その平均群間差は 4.18 であった. 一方,2 群間で股関節内転 外転, 内旋 外旋, 膝関節屈曲, 足関節背屈 底屈角度に有意差はなかった (P >.05). -21-

26 図 4. 自然歩行時の接地前相および立脚相における下肢関節角度. それぞれ屈曲, 内転, 内旋, 背屈, 内反が正の値を示す.IC は初期接地 (initial contact) を示す. 横軸は接地前相 (ms) と立脚相 (%) を示す. 赤の実線は CAI 群, 青の実線は健常群の平均値および標準偏差を示す. -22-

27 図 5. サイドターン動作時の接地前相および立脚相における下肢関節角度. それぞれ屈曲, 内転, 内旋, 背屈, 内反が正の値を示す.IC は初期接地 (initial contact) を示す. 横軸は接地前相 (ms) と立脚相 (%) を示す. 赤の実線は CAI 群, 青の実線は健常群の平均値および標準偏差を示す. -23-

28 図 6. クロスターン動作時の接地前相および立脚相における下肢関節角度. それぞれ屈曲, 内転, 内旋, 背屈, 内反が正の値を示す.IC は初期接地 (initial contact) を示す. 横軸は接地前相 (ms) と立脚相 (%) を示す. 赤の実線は CAI 群, 青の実線は健常群の平均値および標準偏差を示す. -24-

29 図 7. サイドカッティング動作時の接地前相および立脚相における下肢関節角度. それぞれ屈曲, 内転, 内旋, 背屈, 内反が正の値を示す.IC は初期接地 (initial contact) を示す. 横軸は接地前相 (ms) と立脚相 (%) を示す. 赤の実線は CAI 群, 青の実線は健常群の平均値および標準偏差を示す. 網掛けは 2 群間で有意差を認めた区間を示している (P <.05). -25-

30 図 8. クロスカッティング動作時の接地前相および立脚相における下肢関節角度. それぞれ屈曲, 内転, 内旋, 背屈, 内反が正の値を示す.IC は初期接地 (initial contact) を示す. 横軸は接地前相 (ms) と立脚相 (%) を示す. 赤の実線は CAI 群, 青の実線は健常群の平均値および標準偏差を示す. 網掛けは 2 群間で有意差を認めた区間を示している (P <.05). -26-

31 図 9. 片脚着地動作時の接地前相および立脚相における下肢関節角度. それぞれ屈曲, 内転, 内旋, 背屈, 内反が正の値を示す.IC は初期接地 (initial contact) を示す. 横軸は接地前相 (ms) と立脚相 (%) を示す. 赤の実線は CAI 群, 青の実線は健常群の平均値および標準偏差を示す. 網掛けは 2 群間で有意差を認めた区間を示している (P <.05). -27-

32 群間における下肢筋活動の相違 自然歩行, サイドターン動作, クロスターン動作の 3 つの動作では,2 群間のいかなる時期の各筋の %MVIC 平均値において有意差は認められなかった (P >.05; 図 10 12). サイドカッティング動作に関して ( 図 13), 接地前相の中殿筋の %MVIC 平均値は,CAI 群は健常群に比べ, 有意に低値を示し (P = 0.008; CAI 群 : 17.0 ± 12.3%, 健常群 : 30.6 ± 20.5%), その効果量は大きかった (d = 0.80). また,CAI 群の立脚相 10% から 30% の腓腹筋の %MVIC 平均値は健常群より有意に大きく (P = ; CAI 群 : 69.1 ± 28.6%, 86.2 ± 35.6%, ± 51.5%, 健常群 : 30.0 ± 18.1%, 39.3 ± 26.2%, 58.0 ± 33.7%), その効果量は大きかった (d = ). それ以外の筋における %MVIC 平均値では有意な群間差は認められなかった (P >.05). クロスカッティング動作では ( 図 14), CAI 群は健常群に比べ, 接地前相の中殿筋の %MVIC 平均値は有意に低値を示し (P = 0.008; CAI 群 : 6.6 ± 4.2%, 健常群 : 13.2 ± 7.6%), その効果量は大きかった (d = 1.08). また, 前脛骨筋の %MVIC 平均値に関して,CAI 群は健常群より立脚相 10% から 30% において有意に低値を示し (P = ; CAI 群 : 26.4 ± 17.8%, 31.2 ± 15.3%, 25.8 ± 12.9%, 健常群 : 62.4 ± 46.0%, 67.3% ± 41.4% 51.6 ± 39.2%), その効果量は大きかった (d = ). 一方で,CAI 群は健常群に比べ, 接地前相の腓腹筋の %MVIC 平均値が有意に高値であり (P < 0.001; CAI 群 : 27.2 ± 15.7%, 健常群 : 10.3 ± 10.2%), その効果量は大きかった (d = 1.28). それ以外の筋における %MVIC 平均値では有意な群間差は認められなかった (P >.05). 片脚着地動作では ( 図 15),CAI 群は健常群に比べ接地前相の腓腹筋の %MVIC 平均値は CAI 群で有意に高値を示し (P = 0.045; CAI 群 : 92.7 ± 49.9%, 健常群 : 61.6 ± 17.0%), その効果量は大きかった (d = 0.835). それ以外の筋における %MVIC 平均値では有意な群間差は認められなかった (P >.05). -28-

33 図 10. 自然歩行時の接地前 200ms 間および立脚相における下肢筋電波形 (% MVIC). IC は初期接地 (initial contact) を示す. 横軸は接地前相 (ms) と立脚相 (%) を示す. 赤の実線は CAI 群, 青の実線は健常群の平均値および標準偏差を示す. -29-

34 図 11. サイドターン動作時の接地前 200ms 間および立脚相における下肢筋電波形 (% MVIC). IC は初期接地 (initial contact) を示す. 横軸は接地前相 (ms) と立脚相 (%) を示す. 赤の実線は CAI 群, 青の実線は健常群の平均値および標準偏差を示す. -30-

35 図 12. クロスターン動作時の接地前 200ms 間および立脚相における下肢筋電波形 (% MVIC). IC は初期接地 (initial contact) を示す. 横軸は接地前相 (ms) と立脚相 (%) を示す. 赤の実線は CAI 群, 青の実線は健常群の平均値および標準偏差を示す. -31-

36 図 13. サイドカッティング動作時の接地前 200ms 間および立脚相における下肢筋電波形 (% MVIC). IC は初期接地 (initial contact) を示す. 横軸は接地前相 (ms) と立脚相 (%) を示す. 赤の実線は CAI 群, 青の実線は健常群の平均値および標準偏差を示す. 網掛けは 2 群間の %MVIC 平均値において有意差を認めた区間を示している (P <.05). -32-

37 図 14. クロスカッティング動作時の接地前 200ms 間および立脚相における下肢筋電波形 (% MVIC). IC は初期接地 (initial contact) を示す. 横軸は接地前相 (ms) と立脚相 (%) を示す. 赤の実線は CAI 群, 青の実線は健常群の平均値および標準偏差を示す. 網掛けは 2 群間の %MVIC 平均値において有意差を認めた区間を示している (P <.05). -33-

38 図 15. 片脚着地動作時の接地前 200ms 間および立脚相における下肢筋電波形 (% MVIC). IC は初期接地 (initial contact) を示す. 横軸は接地前相 (ms) と立脚相 (%) を示す. 赤の実線は CAI 群, 青の実線は健常群の平均値および標準偏差を示す. 網掛けは 2 群間の %MVIC 平均値において有意差を認めた区間を示している (P <.05). -34-

39 3. 5. 歩行動作の主成分分析結果 下肢関節運動の主成分分析結果 下肢関節運動に関して, 接地前相および立脚相共に, 全ての関節角度の第 1 および第 2 主成分の合計寄与率は 80% 以上であった. 接地前相における股関節内旋の第 1 および第 2 主成分得点の合計寄与率は 93.1% であり,CAI 群の第 2 主成分得点 ( 寄与率 11.9%) は, 健常群に比し有意に高値を示し, その効果量の大きさは中等度であった (P = 0.007; d = 0.66; 表 3). この第 2 主成分は接地前における股関節の内旋から外旋への運動変化と解釈され, CAI 群は健常群に比べ股関節外旋運動変化が乏しい特徴を有していた ( 表 3; 図 16). 立脚相における足関節背屈の第 1 および第 2 主成分得点の合計寄与率は 87.4% であり, 第 2 主成分得点 ( 寄与率 18%) は健常群に比べ有意に高値を示し, その効果量の大きさは中等度であった (P = 0.005; d = 0.68; 表 3). この第 2 主成分は立脚相前半における大きな背屈角度と解釈され,CAI 群は健常群に比べ立脚相前半において足関節背屈角度が大きい特徴を有していた ( 表 3; 図 17). さらに立脚相における足関節内反の第 1 および第 2 主成分得点の合計寄与率は 80.6% であり,CAI 群の第 2 主成分得点 ( 寄与率 16.2%) も健常群に比し有意に高値を示し, その効果量の大きさは中等度であった (P = 0.033; d = 0.51; 表 3). この第 2 主成分は立脚初期における小さな足関節外反および立脚終期における小さな内反と解釈された ( 表 3; 図 17).CAI 群は健常群に比べ, 立脚初期において足関節外反が不十分であり, また立脚終期では内反角度が小さい特徴を有していた. その他の関節角度における主成分得点には有意な群間差は認められなかった (P > 0.05). 表 3. 下肢関節運動の主成分得点と解釈. 群間で有意差を認めた主成分の解釈 平均値 ( 標準偏差 ) 主成分 解釈 CAI Control 接地前相 股関節内旋 主成分 2 外旋運動変化の大きさ (9.84) (15.64) d 0.66 立脚相 足関節背屈主成分 2 立脚相前半における背屈角度の 大きさ (21.52) (16.69) 足関節内反主成分 2 立脚初期における小さな外反と 終期における小さな内反 (15.36) (15.17) -35-

40 図 16.(a) CAI 群と健常群における接地前相の股関節内旋の平均時系列データ ( 内旋が正 ). (b) 第 2 主成分における固有ベクトル.(c) 第 2 主成分得点が高い 5 試行 ( 細い実線 ) とその平均の波形 ( 太い実線 ), また得点が低い 5 試行 ( 細い実線 ) とその平均波形 ( 太い実線 ). 固有ベクトル波形に加え, 主成分得点の高得点試行および低得点試行との差から, 第 2 主成分は股関節外旋運動の変化を捉えていることが示唆される. -36-

41 図 17.CAI 群と健常群における立脚相の (a) 足関節背屈と (b) 足関節内反の平均時系列データ ( 背屈および内反が正 ).(c) 足関節背屈の第 2 主成分における固有ベクトル.(d) 足関節内反の第 2 主成分における固有ベクトル.(e) 足関節背屈の第 2 主成分得点が高い 5 試行 ( 細い実線 ) とその平均の波形 ( 太い実線 ), また得点が低い 5 試行 ( 細い実線 ) とその平均波形 ( 太い実線 ).(f) 足関節内反の第 2 主成分得点が高い 5 試行 ( 細い実線 ) とその平均の波形 ( 太い実線 ), また得点が低い 5 試行 ( 細い実線 ) とその平均波形 ( 太い実線 ). 固有ベクトル波形に加え, 主成分得点の高得点試行および低得点試行との差から, 足関節背屈の第 2 主成分は立脚期前半における背屈角度の大きさを捉えており, また足関節内反の第 2 主成分は立脚初期における小さな外反と終期における小さな内反を捉えていることが示唆される. -37-

42 下肢筋活動の主成分分析結果 筋活動に関して, 接地前相においては全ての筋活動の第 1 および第 2 主成分の合計寄与率は 80% 以上であったが, 立脚相においては中殿筋, 前脛骨筋, 腓腹筋の第 2 主成分までの合計寄与率はそれぞれ 79.1%,78.2%,75.6% であった. 接地前相における大腿直筋と半腱様筋の CAI の第 1 主成分得点 ( 寄与率はそれぞれ 93.0% および 84.2%) は健常群に比し有意に低値であり, これらの効果量の大きさは中等度であった ( それぞれ P = 0.004; d = 0.71,P = 0.004; d = 0.72; 表 4). これら 2 筋の第 1 主成分は共に接地前相全体における筋活動の大きさと解釈され,CAI 群は健常群に比べ, 大腿直筋および半腱様筋の筋活動が小さい特徴を有していた ( 表 4; 図 18). また, 接地前相における前脛骨筋の第 2 主成分得点 ( 寄与率 11.5%) は,CAI 群は健常群に比べ有意に高値を示し, 効果量の大きさは中等度であった (P = 0.041; d = 0.49; 表 4). この第 2 主成分は接地直前における低い筋活動と解釈され,CAI 群は健常群に比べ, 接地直前の前脛骨筋活動が小さい特徴を示した ( 表 4; 図 19). また, 立脚相においても CAI における大腿直筋と半腱様筋の第 1 主成分得点 ( 寄与率はそれぞれ 60.9% および 58.6%) は健常群に比し有意に低値であり, これらの効果量の大きさは中から大であった ( それぞれ P = 0.021; d = 0.57,P < 0.001; d = 0.92; 表 4). これら 2 筋の第 1 主成分は共に立脚初期および後期における筋活動の大きさと解釈され,CAI 群は健常群に比べ, 大腿直筋および半腱様筋の筋活動が小さい特徴を有していた ( 表 4; 図 20). 一方, 立脚相の前脛骨筋の第 2 主成分得点は ( 寄与率 18.6%) CAI 群で有意に高値であり, 効果量の大きさは中等度であった (P = 0.009; d = 0.63; 表 4). この第 2 主成分は接地直後の小さな筋活動および立脚中期における筋活動の大きさと解釈された ( 表 4; 図 21). よって,CAI 群は健常群に比べ, 接地直後の前脛骨筋活動が低く, さらに立脚中期においては筋活動が高い特徴を示した. 立脚相における長腓骨筋の第 2 主成分得点に関して ( 寄与率 8.49%),CAI 群が健常群よりも有意に低値を示し, その効果量の大きさは中等度であった (P = 0.036; d = 0.51; 表 4). この第 2 主成分は立脚相前半における筋活動の大きさおよび立脚後期における筋活動の小ささと解釈された ( 表 4; 図 21). それゆえ,CAI 群は健常群に比べ, 立脚前半における長腓骨筋活動が低く, 立脚後期においては高い活動を示した. 腓腹筋の立脚相における第 1 および第 2 主成分得点は ( 寄与率それぞれ 49.8% および 25.8%) CAI 群は健常群に比べ有意に高値であり, これらの効果量の大きさは中等度であった ( それぞれ P = 0.043; d = 0.49,P = 0.009; d = 0.64; 表 4). この第 1 主成分は立脚中期から後期にかけての筋活動の大きさと解釈され, また第 2 主成分は立脚後期における筋活動ピークの大きさと解釈された ( 表 4; 図 22). それ故 CAI 群は健常群より腓腹筋活動が高い特徴を示した. その他の筋活動における主成分得点には有意な群間差は認められなかった (P > 0.05). -38-

43 表 4. 下肢筋活動の主成分得点と解釈. 群間で有意差を認めた主成分の解釈 平均値 ( 標準偏差 ) 主成分 解釈 CAI Control 接地前相 大腿直筋 主成分 1 接地前相全体に渡る筋活動の大 きさ (0.15) (3.67) 半腱様筋 主成分 1 接地前相全体に渡る筋活動の大 きさ (0.87) (2.02) 前脛骨筋 主成分 2 接地直前における低い筋活動 (0.38) (0.44) d 立脚相 大腿直筋主成分 1 立脚初期および後期における筋 活動の大きさ (0.18) (0.48) 半腱様筋主成分 1 立脚初期および後期における筋 活動の大きさ (0.20) (1.33) 前脛骨筋主成分 2 接地直後の小さな筋活動および 立脚中期の筋活動の大きさ (0.47) (0.62) 長腓骨筋主成分 2 立脚前半における筋活動の大き さおよび後期での小さな筋活動 (0.82) (0.48) 腓腹筋主成分 1 立脚中期から後期における筋活 動の大きさ (1.28) (1.34) 主成分 2 立脚後期における筋活動ピーク の大きさ (1.07) (0.75) -39-

44 図 18.CAI 群と健常群における接地前相の (a) 大腿直筋と (b) 半腱様筋の筋活動の平均時系列データ.(c) 大腿直筋の第 1 主成分における固有ベクトル.(d) 半腱様筋の第 1 主成分における固有ベクトル.(e) 大腿直筋の第 1 主成分得点が高い 5 試行 ( 細い実線 ) とその平均の波形 ( 太い実線 ), また得点が低い 5 試行 ( 細い実線 ) とその平均波形 ( 太い実線 ). (f) 半腱様筋の第 1 主成分得点が高い 5 試行 ( 細い実線 ) とその平均の波形 ( 太い実線 ), また得点が低い 5 試行 ( 細い実線 ) とその平均波形 ( 太い実線 ). 固有ベクトル波形に加え, 主成分得点の高得点試行および低得点試行との差から, 大腿直筋および半腱様筋の第 1 主成分は両方とも, 接地前相全体に渡る筋活動の大きさを捉えていることが示唆される. -40-

45 図 19.(a) CAI 群と健常群における接地前相の前脛骨筋の筋活動の平均時系列データ. (b) 第 2 主成分における固有ベクトル.(c) 第 2 主成分得点が高い 5 試行 ( 細い実線 ) とその平均の波形 ( 太い実線 ), また得点が低い 5 試行 ( 細い実線 ) とその平均波形 ( 太い実線 ). 固有ベクトル波形に加え, 主成分得点の高得点試行および低得点試行との差から, 第 2 主成分は接地直前における低い筋活動を捉えていることが示唆される. -41-

46 図 20.CAI 群と健常群における立脚相の (a) 大腿直筋と (b) 半腱様筋の筋活動の平均時系列データ.(c) 大腿直筋の第 1 主成分における固有ベクトル.(d) 半腱様筋の第 1 主成分における固有ベクトル.(e) 大腿直筋の第 1 主成分得点が高い 5 試行 ( 細い実線 ) とその平均の波形 ( 太い実線 ), また得点が低い 5 試行 ( 細い実線 ) とその平均波形 ( 太い実線 ).(f) 半腱様筋の第 1 主成分得点が高い 5 試行 ( 細い実線 ) とその平均の波形 ( 太い実線 ), また得点が低い 5 試行 ( 細い実線 ) とその平均波形 ( 太い実線 ). 固有ベクトル波形に加え, 主成分得点の高得点試行および低得点試行との差から, 大腿直筋および半腱様筋の第 1 主成分は両方とも, 立脚初期および後期における筋活動の大きさを捉えていることが示唆される. -42-

47 図 21.CAI 群と健常群における立脚相の (a) 前脛骨筋と (b) 長腓骨筋の筋活動の平均時系列データ.(c) 前脛骨筋の第 2 主成分における固有ベクトル.(d) 長腓骨筋の第 2 主成分における固有ベクトル.(e) 前脛骨筋の第 2 主成分得点が高い 5 試行 ( 細い実線 ) とその平均の波形 ( 太い実線 ), また得点が低い 5 試行 ( 細い実線 ) とその平均波形 ( 太い実線 ).(f) 長腓骨筋の第 2 主成分得点が高い 5 試行 ( 細い実線 ) とその平均の波形 ( 太い実線 ), また得点が低い 5 試行 ( 細い実線 ) とその平均波形 ( 太い実線 ). 固有ベクトル波形に加え, 主成分得点の高得点試行および低得点試行との差から, 前脛骨筋の第 2 主成分は, 接地直後の小さな筋活動および立脚中期の筋活動の大きさを捉えていることが示唆される. また長腓骨筋の第 2 主成分は, 立脚相前半における筋活動の大きさおよび後期での小さな筋活動を捉えていることが示唆される. -43-

48 図 22.(a) CAI 群と健常群における立脚相の腓腹筋内側頭の筋活動の平均時系列データ.(b) 第 1 および第 2 主成分における固有ベクトル.(c) 第 1 主成分得点が高い 5 試行 ( 細い実線 ) とその平均の波形 ( 太い実線 ), また得点が低い 5 試行 ( 細い実線 ) とその平均波形 ( 太い実線 ).(d) 第 2 主成分得点が高い 5 試行 ( 細い実線 ) とその平均の波形 ( 太い実線 ), また得点が低い 5 試行 ( 細い実線 ) とその平均波形 ( 太い実線 ). 固有ベクトル波形に加え, 主成分得点の高得点試行および低得点試行との差から, 第 1 主成分は立脚中期から後期における筋活動の大きさを捉え, 第 2 主成分は立脚後期における筋活動ピークの大きさを捉えていることが示唆される. -44-

49 4. 考察 対象特性および動作課題に関して CAI 群の選定基準は研究間で様々であり, 統一した基準は確立されていない.CAI を評価する質問紙には様々な種類が存在するが, 本研究で使用した CAIT は cutoff 値が明確に示されており, さらに CAI の選定基準に関するレビューが CAIT などの質問紙のスコアを用いることを推奨している (Delahunt et al., 2010). 本研究では, 当然ではあるが CAI 群と健常群では CAIT スコアは有意に異なり,CAI 群は主観的な足関節不安定性を有していることが確認された. 本研究の CAI 群における CAIT スコアの平均値は 20.8±4.4 であった. 近年の先行研究における CAI 群の CAIT スコアの平均値は 18.1 点から 19.9 点であり (Lin et al., 2011; Delahunt et al., 2013; Gutierrez et al., 2012), 本研究の CAIT スコアと同程度であった. さらに, 全 CAI 症例は再発性の足関節捻挫, 足関節 giving way の複数回の経験があり, 本研究の CAI 群の選定は妥当であったと考えられる. 全被験者は定期的なスポーツ競技活動に参加しており, その種目は様々であった. ほとんどの種目はジャンプ動作, 着地動作, カッティング動作などを含んでおり, 本研究の動作課題を遂行する能力を元来有している被験者であったと考えられる. 2 群間で足関節背屈可動域に有意差は認められなかった. 足関節捻挫後の背屈可動域制限はよく観察されるが, 受傷 1 ヶ月後には改善されることが報告されている (Aiken et al., 2008). 本研究の CAI 症例は, 実験時の背屈可動域は改善していたと考えられる. 背屈可動域制限は動作時の足関節運動を変化させ得るが ( 越野ら,2012), 本研究の CAI 群が示した足関節運動には背屈可動域制限による潜在的影響はないと考えられる. 動作課題間では, 垂直床反力の値が有意に異なっており, 歩行および 2 つのターン動作は,2 つのカッティング動作および片脚着地動作と比べ, 有意に低値を示し, その差も大きかった ( 表 2). 歩行およびターン動作は日常生活に関連した動作であり, カッティング動作や着地動作はスポーツに関連した動作である. これらスポーツ関連動作は大きな垂直床反力が伴うため, 下肢関節でのエネルギー吸収に対する要求が高まり, それ故下肢関節運動および筋活動の制御もより複雑になる可能性が考えられる. また, 片脚着地動作は最も大きな垂直床反力を示した. これは 40cm 台からの着地動作であるため大きな位置エネルギーが寄与したと考える. -45-

50 4. 2. 下肢関節運動に関して 本研究の下肢関節運動に関する主な所見は,CAI 症例が健常例と比較して, 歩行やターン動作のような日常生活動作レベルの動作では下肢関節運動の変化は存在せず, カッティング動作や片脚着地動作のようなスポーツ関連動作において異なる下肢関節運動を示したことである. さらにこの変化した関節運動は足関節だけでなく, 股 膝関節にも観察された. これらの結果は本研究の仮説を支持する.Brown らは MI 群,FI 群, 足関節不安定性がない coper 群の 3 群間における下肢関節運動は, 歩行や走行などの連続的な動作よりも, 急な減速を含む動作 (step down, drop jump, stop jump) においてより変化が観察され, 動作の難易度が CAI による動態変化に影響している可能性を示唆した (Brown et al., 2008). 本研究の自然歩行は減速がない連続的な動作であり, また 2 つのターン動作には方向転換という多平面の要素も含まれるが, 歩行レベルの速度で実施した. これらの 3 動作は日常生活で実施されるレベルの動作であり, これらの垂直床反力はカッティング動作および片脚着地動作と比べ有意に低値であった. 一方,2 つのカッティング動作は急な減速と方向転換を必要とし, また片脚着地動作は大きな衝撃吸収と片脚立位による姿勢制御能力を必要とする. これらの 3 動作はコートスポーツやフィールドスポーツで一般的な動作であり, 足関節捻挫の潜在的危険性が高い動作である (Bahr and Bahr, 1997; Kotofolis and Kellis, 2007; McKay et al., 2001; Woods et al., 2003). これらのスポーツ関連動作は歩行やターン動作のような動作に比べ, 速度, 床反力による衝撃力, バランス制御の観点から high-demand な動作であり, それ故複雑な神経筋制御を必要とする可能性がある.CAI 症例はこのような high-demand な動作を遂行する際に,CAI による下肢関節の運動変化が生じやすい傾向があり, それ故スポーツ関連動作において足関節不安定感や足関節捻挫の再発が多い可能性がある. また, 片脚 side hop test などの動的なパフォーマンステストにおいて, 片側性 FI 症例は健側に比較してパフォーマンスの低下が存在する (Caffrey et al., 2009). これは, CAI による足関節機能不全だけでなく近位関節の代償的運動による非効率性が, パフォーマンスの低下に関与している可能性がある. CAI 症例は健常例と比較して, カッティング動作と片脚着地動作時に共通して大きな股関節屈曲角度を示し, またクロスカッティング動作と片脚着地動作においては大きな膝関節屈曲角度も示した. この所見は本研究の仮説を支持する. スポーツ関連動作における CAI 症例の変化した股関節運動は過去にもいくつか報告されている.Brown らは,MI 群は FI 群と coper 群に比べ,stop jump 中に大きな股関節屈曲を示したことを報告した (Brown et al., 2011). また,Delahunt らも FAI 群は健常群に比べ, 片脚着地動作における接地前相において股関節外旋角度が小さいことを示した (Delahunt et al., 2006b). さらに CAI 症例における変化した股関節周囲筋の活動パターンが,trapdoor による非予測的な足関節内反方向への外乱 (Beckman and Buchanan, 1995), 腹臥位股関節伸展動作 (Bullock-Saxon, 1994), 両脚立位から片脚立位へ移行動作 (Van deun et al., 2007),rotational squat (Webster and Gribble, 2013) において観察されている. また,CAI 症例で着地動作において小さな膝関節屈曲を示すことも報告されている (Gribble and Robinson, 2010). これらの先行研究は,CAI 症例において股 膝関節運動が変化しているという点に関しては本研究と一致した見解であり, -46-

51 足関節の不安定性や機能低下を代償するために股 膝関節の運動を変化させている可能性がある. CAI は足関節の固有受容感覚障害だけでなく, 上位中枢における運動制御の変化と関連していることが示唆されている (Hass et al., 2010; Wikstrom et al., 2010). Beckman と Buchanan は trapdoor による足関節内反方向への非予測的外乱を与えた際に, 病的な足関節過可動性症例は,feed-forward mechanism を介して中枢神経系が不十分な足関節反応を代償するために近位筋群を動員させる可能性があると述べている (Beckman and Buchanan, 1995). さらに片脚着地動作における接地前において,CAI 症例の膝関節運動は変化しており, これは feed-forward mechanism に関与していることが示唆されている (Caulfield and Garret, 2002; Gribble and Robinson, 2010). 本研究ではクロスカッティング動作および片脚着地動作において, 接地前, つまり床反力がまだ下肢に作用する前から CAI 症例の股関節運動の変化が観察された. スポーツ関連動作中の CAI 症例の近位関節運動の変化は, feed-forward mechanism が関与している可能性がある. 観察された近位関節運動の変化は,CAI 症例にとって有益であるかどうかは不明である. Gribble と Robinson は片脚着地動作時に,CAI 症例では膝関節屈曲角度が健常例に比べ小さいことを報告し, これが重心位置を高くすることで動的安定性の低下に寄与すると述べた (Gribble and Robinson, 2010). 一方で, 本研究の CAI 症例では健常例に比べ, 股 膝関節の屈曲角度がスポーツ関連動作において大きかった. この所見は Caulfield と Garret の報告, および Brown らの報告を一部支持する所見であった (Caulfield and Garret, 2002; Brown et al., 2011). これはカッティング動作や着地動作中に, 近位関節の矢状面上の屈曲運動を利用し, 動的安定性を得るために重心位置を低くするように調整していた可能性がある. 本研究では骨盤および下肢のみに反射マーカーを貼付していたため, 重心位置の算出は不可能であった. 今後, 重心位置および動的安定性, そして下肢関節運動を同時に計測することが必要であると考える. CAI 症例は健常例に比べ, 片脚着地動作において小さな足関節外反角度を示し, この変化は接地後のみで観察された.FI 群または CAI 群は健常群に比べ, 片脚着地動作の接地前 (Delahunt et al., 2006b), 側方ホップ動作の接地前後 (Delahunt et al., 2007),stop jump task の接地後 (Lin et al., 2011) において, 足関節内反の増加または外反の減少を示した. これらの足関節運動の変化が観察された区間は一致していないが, 共通して CAI 症例の足関節は着地動作中に内反角度が増加または外反角度が減少する傾向がある. また,CAI 症例のカッティング動作における下肢関節運動を調査した研究は本研究が初めてである. サイドカッティング動作では接地前において CAI 群の足関節内反角度が大きかったが, それは一瞬の区間でのみ観察された. クロスカッティング動作においては,CAI 群は健常群に比較し, 足関節角度の時系列データに有意な変化は認められなかった. これら 2 つのカッティング動作のグラフ波形を観察すると,2 つのカッティング動作では CAI 群において健常群より内反角度が大きいように思われるが, 標準偏差も大きいため有意差には達しなかった可能性がある. ピーク値で検討した場合, サイドカッティング動作における CAI 群の立脚相の足関節最大外反角度は, 健常群に比べ有意に小さかった (P = 0.022; 群間差 5.0 ). これらの着地動作やサイドカッティング動作における足関節の異常運動は足関節の giving -47-

52 way や再発性足関節捻挫に寄与している可能性がある. 歩行や 2 つのターン動作, クロスカッティング動作では CAI 群と健常群において足関節内反角度に有意差は一切認められなかった. 先行研究において,CAI 症例は健常例に比べ, 歩行時に足関節内反角度が大きいことが示されている (Delahunt et al., 2006a; Monaghan et al., 2006). これらの研究は裸足条件で足関節運動を調査しており, 本研究は靴を着用した条件で動作を測定した.Chinn らの報告でも, 靴着用条件におけるトレッドミル歩行では, CAI 症例と健常例との間に内反角度の有意差は認めなかった (Chin et al., 2013). これは靴を着用することで足関節外反筋群の活動が刺激されたため, 群間に有意差を認めなかった可能性がある (Kerr et al., 2009). 矢状面の足関節運動は全ての動作において,2 群間で有意差を認めなかった.CAI 症例における動作時の矢状面の足関節運動は, 先行研究において一致した見解に達していない. CAI 症例と健常例で差がないこと (Delahunt et al., 2006a; Delahunt et al., 2007; Gribble and Robinson, 2010; Monaghan et al., 2006), CAI 症例では足関節背屈が減少していること (Drewes et al., 2009a; Delahunt et al., 2006b), 一方で,CAI 症例で足関節背屈が増加していること (Caulfield and Garret, 2002), など様々な所見が報告されている. これらの結果の不一致の原因として CAI の定義が研究間で異なることが挙げられる.CAI の定義の違いによる足関節不安定性の重症度の違い, また関節運動解析における座標設定などの方法論の違いが, これらの見解の不一致に寄与している可能性がある. さらに, 本研究の CAI 群は健常群と比べて静的な足関節背屈可動域には差がなかった. それゆえ, 動作時の足関節の矢状面運動に有意差を認めなかった可能性が考えられる. -48-

53 4. 3. 下肢筋活動に関して 本研究の下肢筋活動に関する主な所見は,CAI 症例では健常例と比較して, 下肢関節運動と同様に, 歩行やターン動作のような日常生活動作レベルの動作では有意差は観察されず, カッティング動作や片脚着地動作のようなスポーツ関連動作において有意に異なる下肢筋活動を示したことである. また, その筋活動の変化は足関節周囲筋だけでなく, 股関節周囲筋にも観察された. これらの結果は CAI 症例における下肢筋活動の変化は, より動的な運動で観察されるという仮説を支持する.CAI による下肢筋活動への影響にも動作の難易度が関与していることが示唆された. CAI 症例は健常例に比べ,2 つのカッティング動作中の接地前相における中殿筋の筋活動が有意に低かった.CAI 症例では, 股関節周囲筋活動が変化していることが過去にいくつか報告されている.Beckman と Buchanan は trapdoor による足関節内反方向への非予測的外乱を与えた際に, 病的な足関節過可動性症例では健常例に比べ, 中殿筋の筋活動の潜時が有意に短いことを明らかにした (Beckman and Buchanan, 1995). 一方,Bullock-Saxton は重度な足関節捻挫の既往がある者において, 腹臥位での股関節伸展動作中の大殿筋活動の潜時が増加していることを明らかにした (Bullock-Saxon, 1994). また,Webster と Gribble は,rotational squat 動作中に CAI 群は健常群に比べ, 大殿筋活動が有意に低かったことを報告した (Webster and Gribble, 2013). さらに,Van Deun らは両脚立位から片脚立位への移行動作において,CAI 症例は健常例に比べ, 中殿筋, 大腿筋膜張筋, 半腱様筋, 長腓骨筋, 前脛骨筋, 腓腹筋の筋活動開始時間が有意に遅延していることを報告した (Van Deun et al., 2007). これらの研究は限られた条件下での動作を対象としているが, 本研究は実際のスポーツ関連動作において,CAI 症例は股関節周囲筋の筋活動が変化していることを示した. 本研究ではサイドカッティングおよびクロスカッティング動作において,CAI 症例の中殿筋の筋活動低下が観察され, この 2 つの動作は方向転換を含む多平面運動である. これらの方向転換動作は片脚支持で遂行され, その際支持脚の中殿筋の筋活動は骨盤から下肢における前額面の安定性において重要である. 片側性 CAI 症例では健側に比べ, 中殿筋筋力が低下していることが報告されており, これは動作時の前額面安定性の不良を招き, 足関節捻挫の再発のリスクになり得ると推察されている (Friel et al. 2006).CAI 症例で観察された 2 つのカッティング動作の接地前相における中殿筋の筋活動低下により, 接地時から接地直後の支持脚の前額面安定性が不良に陥る可能性がある.CAI と動的バランス不良との関係は過去にも多く報告されており, 動的バランスの低下が CAI の因子の一つと考えられている (Brown et al., 2010; Wikstrom et al., 2007). また動的バランスの低下が足関節捻挫の危険因子として挙げられている (de Norohana et al, 2012). この中殿筋活動の低下は CAI の一因である可能性が考えられる. 本研究では実際に動作時の安定性を評価していないため, 今後筋活動計測と同時に安定性についても検討する必要がある. クロスカッティング動作において CAI 群は健常群に比べ, 立脚初期の前脛骨筋の筋活動が有意に低かった. サイドカッティング動作および片脚着地動作の時系列平均波形データからも同様の所見が観察されるが有意差は認められなかった. これは標準偏差が大きいことに起因している可能性がある.CAI 症例の前脛骨筋の筋活動に関しては, 着地動作や歩 -49-

54 行では健常例より高い (Delahunt et al., 2007; Louwerens et al., 1995; Suda et al, 2009), または差がないという報告が散見される (Delahunt et al., 2006a; Delahunt et al., 2006b; Suda and Sacco., 2011). 本研究では CAI 症例においてクロスカッティング動作時の前脛骨筋の筋活動が低く, この所見は接地後早期の立脚初期に観察された. 初期接地後に足関節は外反運動を示し, その後徐々に内反していく. 接地直後では前脛骨筋は足関節外反運動を遠心性に制御し, 一方で下腿の外側への傾斜を制御していると考えられている (Munn et al., 2003). 特にクロスカッティング動作では支持脚の外側に向かって方向を転換するため, この下腿の外側傾斜の制御は重要であると考えられ,CAI 症例では前脛骨筋の低下した筋活動によりこの制御が不良に陥る可能性がある. この下腿の外側傾斜が増加した場合, 重心が足底の外側縁に移動させられ, 急な足関節内反が誘発される可能性がある (Gutierrez et al., 2012; Munn et al., 2003). それゆえ, この前脛骨筋の筋活動低下は足関節 giving way などの足関節不安定性を誘発する一因であると考える. 2 つのカッティング動作および片脚着地動作では共通して,CAI 群では健常群より腓腹筋内側頭の筋活動が有意に高かった. クロスカッティング動作および片脚着地動作では接地前における筋活動が CAI 群で高く, またサイドカッティング動作では立脚初期において CAI 群で高かった. 接地前の腓腹筋の筋活動は関節スティフネスを高め, 関節を保護するために重要な役割を果たす (Santello, 2005).Schmitz らは片脚着地動作における衝撃吸収は他関節に比べ足関節が最も寄与することを明らかにし, 主に下腿三頭筋が床反力を減衰させることを示唆した (Schmitz et al., 2007). 本研究において,CAI 症例は足関節をより安定させるために接地前から腓腹筋の事前準備活動を高めていたと考えられる. これらの変化は CAI 症例における feed-forward mechanism の変化の結果により生じた可能性がある (Delahunt et al., 2007). 長腓骨筋に関しては, 全ての動作において有意な群間の違いは観察されなかった. いくつかの先行研究では, 歩行, 着地動作,shuffle movement において,CAI 症例は健常例に比べ, 長腓骨筋の筋活動が低下していることを示しているが (Delahunt et al., 2006a; Palmieri-Smith et al., 2009; Suda et al., 2009; Suda and Sacco, 2011), 逆に CAI 症例で筋活動が増加しているという報告や (Delahunt et al., 2006b; Hopkins et al., 2012), 健常例と比べ差がないという報告も存在する (Delahunt et al., 2007). これらの見解の不一致は主に CAI 群の定義の違いが影響していると考えられる. 近年では, 質問紙や, 既往歴や不安定性のエピソードにより CAI を定義している研究がほとんどであるが, 被験者の主観的な評価が主であり, 足関節不安定性の重症度は被験者によって様々である可能性がある. また, 本研究では全動作において靴を着用した条件で筋活動を計測した. これらは靴を着用することで足関節外反筋群の活動が刺激されるため (Kerr et al., 2009), 本研究では群間の長腓骨筋の筋活動に有意差を認めなかった可能性がある. -50-

55 4. 4. 歩行動作の主成分分析に関して 本研究は, 主成分分析を用いて CAI 症例の歩行における下肢関節運動と筋活動を検討した結果, 健常例と比べ立脚初期に足関節外反運動が小さく, さらに同時期に長腓骨筋の筋活動が減少していることを明らかにした. さらに CAI 症例では股関節運動および大腿筋群の筋活動の特徴にも変化が生じていることを明らかにした. 各変数の平均値を用いて 2 群間で比較したところ (3.3. および 3.4. を参照 ), 歩行においてはいかなる下肢関節運動および下肢筋活動に有意差を認めなかった. これらの所見は, 主成分分析は離散値による群間比較よりも高い感度を有するという過去の報告を支持する結果である (O Connor and Bottum, 2009). CAI 症例では歩行時の踵接地前後に, 健常例と比べて足関節がより内反位であることが報告されている (Delahunt et al., 2006a; Monaghan et al., 2006). また, これらの報告とは異なり, 歩行時に有意な足関節運動の変化はないことを報告した研究も存在する (Chin et al., 2013). これらの先行研究は時系列データの平均値を群間比較しており, 主成分分析による CAI 症例の歩行解析は本研究が初めてである. 本研究では,CAI 症例の立脚初期における足関節外反運動が不十分であった. さらに CAI 症例は同時期に長腓骨筋活動が健常例に比べ低下していた. これらは接地後早期に生じると考えられている足関節 giving way を誘発する可能性があり, 足関節の機能的不安定性に関与していると考えられる. また,CAI 症例は健常例に比べ, 立脚期前半において足関節がより背屈位に偏位していた.CAI 症例の歩行時の足関節背屈角度に関しては一致した見解が得られていない. 足関節背屈角度が大きいことは足関節における骨安定性を高めることに寄与し, 足関節の不安定性を減ずることができる可能性がある. つまり,CAI 症例は接地後早期に生じ得る足関節不安定性を避けるために背屈角度を増加させる適応パターンを示した可能性がある. 前脛骨筋に関して,CAI 群では健常群に比べ, 接地直前および直後の筋活動が低下していた. 足部が地面に接地している条件において, 前脛骨筋活動の低下は下腿の外側への傾斜を導き, それゆえ足底圧中心軌跡が外側に偏位する可能性がある (Gutierrez et al., 2012; Munn et al., 2003). さらに立脚初期では CAI 群の足関節外反運動が減少していることも観察されており, 足底圧中心軌跡が外側に偏位している可能性がある. 過去に,CAI 群は健常群に比べ,running gait 中の荷重応答期において足底圧中心軌跡が外側に偏位していることが示されている (Morrison et al., 2010).CAI 症例における前脛骨筋活動の低下は, 足部の前額面における安定性を低下させ, 足関節内反方向への不安定性, つまり giving way に関与している可能性がある. また,CAI 群の腓腹筋内側頭は立脚中期から後期にかけての筋活動, および後期におけるピークが健常群より高値を示した.CAI 群は立脚期前半において足関節がより背屈位に偏位していた. それ故, 立脚後期における足関節底屈運動によって推進力を発生させるために, より大きな腓腹筋活動を必要とした可能性がある. 本研究では主成分分析により,CAI 症例で歩行時の接地前における股関節回旋運動に変化が生じていることを示した.CAI 症例は健常例に比べ, 股関節外旋運動の変化が乏しく, 歩行においても股関節運動が変化している可能性が示唆された.CAI 症例では接地前相に -51-

56 おいて, 股関節は常に外旋域に偏位しており, 健常例ほど回旋運動を生じさせていない. 常に股関節を外旋方向に偏位させておくことで, 足部の向きを外向き (toe-out) にすることを試みていた可能性がある. 足関節内反捻挫にとって, 足部の向きを外向きにすることは安全であることが示唆されている (Koshino et al, 2012). 主成分分析による波形データ解析を用いて歩行時の下肢関節運動および筋活動を解析することで, 平均値による群間比較では認められなかった有意な群間差が検出することが可能であった.O Connor と Bottum はカッティング動作時の膝関節の運動およびモーメントを男女間で検討し, 膝前十字靱帯損傷リスクと関連がある前額面の膝関節特徴の性差に関して, 離散値による検討では検出できないが, 主成分分析を用いることで検出可能であることを示唆した (O Connor and Bottum, 2009). 本研究も同様に, 従来の解析では検出し得ない CAI による変化を, 主成分分析による波形解析を用いることで明らかにできる可能性を示唆した. -52-

57 4. 5. 臨床的意義 本研究は,CAI 症例における下肢関節運動および筋活動は, 歩行やターン動作のような日常生活に関連した動作よりも, カッティング動作や着地動作のようなスポーツ関連動作において, 変化が生じることを明らかにした. 臨床において, より動的なスポーツ関連動作を観察し, 分析することが,CAI による変化を評価する上で有用であると考える. さらに, 大きな床反力, 急な方向転換, 減速などの要素を含む動作を適切に遂行するための指導および訓練は, 足関節内反捻挫後のリハビリテーション介入において重要であると考える. また,CAI 症例の下肢関節運動および筋活動の変化は足関節だけでなく, 股 膝関節についても明らかになった. 足関節だけでなく股 膝関節の運動機能や筋機能を評価し, 下肢全体に対するリハビリテーション介入を行うことが, 再発性の足関節捻挫を予防するために重要であると考える. 一部のスポーツ関連動作において,CAI 症例が示した足関節外反運動の減少や足関節周囲筋の筋活動の変化が認められた. 足関節の異常運動を修正するためには, 足関節ブレース (Zhang et al., 2009), 関節モビライゼーション (Delahunt et al., 2013), 適切な足関節肢位についての患者への教育等を実施することが有用であると考える. また, 接地前における足関節周囲筋活動の変化は足関節の異常な肢位を導く可能性があるため ( 越野ら,2013), 各筋に対して選択的な介入 ( トレーニングや筋活動促通 抑制など ) が必要であると考える. -53-

58 4. 6. 研究の限界 本研究には考慮すべきいくつかの限界がある. CAI の定義は自己報告による質問紙と主観的な足関節不安定性のエピソードに基づいていた. それ故, 主観的な症状と CAI の重症度は被験者によって様々であった可能性がある. また, 本研究では MI を評価するために前方引き出しや距骨傾斜テストを実施しなかった.CAI は足関節外側靱帯の laxity の有無に関わらず, 繰り返しの足関節捻挫と giving way のエピソードとして定義されている (Hertel, 2000). しかし, 下肢関節運動および筋活動は MI の有無によって異なった可能性がある. また,MVIC 計測を徒手抵抗で実施したことにより, 最大の筋活動を計測できていなかった可能性がある. それ故, 動作時において,MVIC に対して 100% を超える筋活動が記録された. 筋活動の標準化に関しては, 動作時の筋活動最大値で標準化する方法も存在し, 最適な標準化方法は未だ確立されていない. 本研究では筋活動計測に関する多くの先行研究を参考にし, さらに SENIAM の推奨に基づき MVIC による標準化を行った. また, 本研究は表面筋電計を用いたために後脛骨筋の計測ができなかった. 後脛骨筋の筋活動は針電極を用いなければ精確な計測は困難であり, またこれは侵襲的である. 足関節内反筋である後脛骨筋を計測することで,CAI 症例のさらなる詳細な筋活動特性が明らかとなった可能性がある. 本研究で,CAI 症例において観察された下肢関節運動および筋活動に関する有意な所見は,CAI を発症する前から, またはその後に存在していたかどうかについては結論付けることは不可能である. この疑問を解決するためには, 今後の研究において長期的な縦断研究を実施する必要がある. -54-

59 5. 結論 本研究では, 自然歩行, 歩行からのサイドターンおよびクロスターン動作, サイドカッティングおよびクロスカッティング動作, さらに片脚着地動作における股, 膝, 足関節の運動および下肢筋活動を CAI 群と健常群において比較検討した. さらに歩行時の下肢関節運動および筋活動を主成分分析による波形解析を用いた群間比較も行った. その結果, 以下の結論を得た. 1. CAI 症例はカッティング動作, 片脚着地動作のようなスポーツ関連動作において, 健常例に比べて股 膝関節屈曲の増加を示し, 一部の動作において股関節外転の増加や足関節外反の減少を示した. 筋活動に関しても, CAI 症例はスポーツ関連動作において中殿筋, 前脛骨筋, 腓腹筋内側頭の筋活動に変化が観察された. それゆえ, CAI 症例はスポーツ関連動作時に, 足関節だけでなく, 股 膝関節の運動や筋活動に変化が生じていることが示唆された. 2. 歩行および歩行中のターン動作における下肢関節運動および下肢筋活動は 2 群間で有 意差は認められず, スポーツ関連動作においてのみ有意差を認めた. それゆえ,CAI に関連したこれらの変化は動作の難易度が関与している可能性が示唆された. 3. 主成分分析による角度 筋活動の波形解析を用いることで, 歩行において CAI に関連した足関節運動や筋活動の変化, また近位関節の変化を検出することが可能であった. 主成分分析では, 従来の平均値による比較や離散値を用いた解析では検出困難な CAI による微細な変化を捉えることができる可能性が示唆された. 4. 臨床において, 足関節捻挫後には足関節と同様に股, 膝関節の機能も評価し, 下肢全 体に対するリハビリテーション介入を行うことが, 再発性の足関節捻挫を予防するた めに有用であると考えられた. -55-

60 6. 謝辞 本研究は, 筆者が北海道大学大学院保健科学院保健科学専攻博士後期課程在学中に, 同大学院保健科学研究院機能回復学分野, 山中正紀教授の指導のもと行われたものです. 本論文を終えるに当たり, 多大なるご指導やご支援を賜りました山中正紀教授に心より敬意と感謝の意を表します. 北海道大学大学院保健科学研究院機能回復学分野, 遠山晴一教授, 寒川美奈准教授には, ご多忙の中, 本論文の審査員として新身なご指導, ご指摘を賜り心より感謝致します. 十勝リハビリテーションセンター院長, 武田直樹先生には本研究の構想段階から有益な ご指導やご意見を賜り深く感謝致します. 北海道大学大学院保健科学研究院機能回復学分野, 齊藤展士助教授には, 論文投稿に当 たり, また研究内容に関してご指導を賜り深く感謝致します. 北海道大学大学院保健科学研究院北斗関節機能障害予防学寄附分野, 小林巧特任助教に は本論文の投稿に当たり, 親身なご指導やご意見を賜り心より感謝致します. 悠康会函館整形外科クリニックリハビリテーション科 動作解析研究室, 井野拓実理学 療法士には, 本研究方法に関して多くの御助言を賜り, 心より感謝致します. 本研究を進めるに当たり, 多大なるご協力やご支援を賜り, 公私に渡り支えて頂いた北海道大学大学院保健科学院の研究室の皆様には深く感謝致します. 特に石田知也氏, 江沢侑也氏には有益な助言や多大なるご協力を賜り心から深謝致します. また, 被験者を快諾して頂いた皆様に感謝致します. 最後に, 長期間に渡る学生生活を支えて下さった両親に, この場を借りて心から感謝の 意を表します. -56-

61 7. 引用文献 1. Aiken AB, Pelland L, Brison R, Pickett W, Brouwer B. Short-term natural recovery of ankle sprains following discharge from emergency departments. J Orthop Sports Phys Ther. 2008;38(9): doi: /jospt Arnold BL, Linens SW, de la Motte SJ, Ross SE. Concentric evertor strength differences and functional ankle instability: a meta-analysis. J Athl Train. 2009;44(6): doi: / Attarian DE, McCrackin HJ, Devito DP, McElhaney JH, Garrett WE Jr. A biomechanical study of human lateral ankle ligaments and autogenous reconstructive grafts. Am J Sports Med. 1985;13(6): Bahr R, Bahr I. Incidence of acute volleyball injuries: A prospective cohort study of injury mechanisms and risk factors. Scand Med Sci Sports. 1997;7(3): Bahr R, Pena F, Shine J, Lew WD, Engebretsen L. Ligament force and joint motion in the intact ankle: a cadaveric study. Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc. 1998;6(2): doi: /s Baumhauer JF, Alosa DM, Renström AF, Trevino S, Beynnon B. A prospective study of ankle injury risk factors. Am J Sports Med. 1995;23(5): Beckman SM, Buchanan TS. Ankle inversion injury and hypermobility: Effect on hip and ankle muscle electromyography onset latency. Arch Phys Med Rehabil. 1995;76(12): doi: /s (95) Brown C, Padua D, Marshall SW, Guskiewicz K. Individuals with mechanical ankle instability exhibit different motion patterns than those with functional ankle instability and ankle sprain copers. Clin Biomech (Bristol, Avon). 2008;23(6): doi: /j.clinbiomech Brown C. Foot clearance in walking and running in individuals with ankle instability. Am J Sports Med. 2011;39(8): doi: / Brown CN, Bowser B, Orellana A. Dynamic postural stability in females with chronic ankle instability. Med Sci Sports Exerc. 2010;42(12): doi: /mss.0b013e3181e Brown CN, Padua DA, Marshall SW, Guskiewicz KM. Hip kinematics during a stop-jump task in patients with chronic ankle instability. J Athl Train. 2011;46(5):

62 12. Bullock-Saxton JE. Local sensation changes and altered hip muscle function following severe ankle sprain. Phys Ther. 1994;74(1):17 28; discussion Caffrey E, Docherty CL, Schrader J, Klossner J. The ability of 4 single -limb hopping tests to detect functional performance deficits in individuals with functional ankle instability. J Orthop Sports Phys Ther. 2009;39(11): doi: /jospt Caulfield BM, Garrett M. Functional instability of the ankle: differences in patterns of ankle and knee movement prior to and post landing in a single leg jump. Int J Sports Med. 2002;23(1): doi: /s Chinn L, Dicharry J, Hertel J. Ankle kinematics of individuals with chronic ankle instability while walking and jogging on a treadmill in shoes. Phys Ther Sport. 2013;14(4): doi: /j.ptsp Cohen J. Statistical poert analysis for the behavioral sciences. Hillsdale, NJ: Lawrence Erlbaum Colville MR, Marder RA, Boyle JJ, Zarins B. Strain measurement in lateral ankle ligaments. Am J Sports Med. 1990;18(2): Crossley KM, Thancanamootoo K, Metcalf BR, Cook JL, Purdam CR, Warden SJ. Clinical features of patellar tendinopathy and their implications for rehabilitation. J Orthop Res. 2007;25(9): doi: /jor Delp SL. Surgery simulation: a computer graphics system to analyze and design musculoskeletal reconstructions of the lower limb. Ph.D. Thesis, Department of Mechanical Engineering, Stanford University Delp S, Loan J, Hoy M, Zajac F, Topp E, Rosen J. An interactive graphics-based model of the lower-extremity to study orthopedic surgical-procedures. IEEE Trans Biomed Eng. 1990;37(8): De Noronha M, França LC, Haupenthal A, Nunes GS. Intrinsic predictive factors for ankle sprain in active university students: a prospective study. Scand J Med Sci Sports. 2013;23(5): doi: /j x. 22. DeLeva P. Adjustments to Zatsiorsky-Seluyanov s segment inertia parameters. J Biomech 1996;29(9): Delahunt E, Coughlan GF, Caulfield B, Nightingale EJ, Lin C-WC, Hiller CE. Inclusion criteria when investigating insufficiencies in chronic ankle instability. Med Sci Sports Exerc. 2010;42(11): doi: /mss.0b013e3181de7a8a. -58-

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