学位論文 Doctoral Thesis 口腔扁平上皮癌における癌幹細胞関連分子 Nucleostemin, Notch1 の発現と機能解析 (Investigation of the expression of cancer stem cell related molecules, Nucleos

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1 熊本大学学術リポジトリ Kumamoto University Repositor Title 口腔扁平上皮癌における癌幹細胞関連分子 Nucleostemin, Notch1 の発現と機能解析 Author(s) 吉田, 遼司 Citation Issue date Type URL Thesis or Dissertation Right

2 学位論文 Doctoral Thesis 口腔扁平上皮癌における癌幹細胞関連分子 Nucleostemin, Notch1 の発現と機能解析 (Investigation of the expression of cancer stem cell related molecules, Nucleostemin and Notch1, and their roles in oral squamous cell carcinoma) 吉田遼司 Ryoji Yoshida 熊本大学大学院医学教育部博士課程医学専攻顎口腔病態学 指導教員 篠原正徳教授熊本大学大学院医学教育部博士課程医学専攻顎口腔病態学 伊藤隆明教授熊本大学大学院医学教育部博士課程医学専攻機能病理学 2012 年 3 月

3 学位論文 Doctoral Thesis 論文題名 : 口腔扁平上皮癌における癌幹細胞関連分子 Nucleostemin, Notch1 の発現と機能解析 (Investigation of the expression of cancer stem cell related molecules, Nucleostemin and Notch1, and their roles in oral squamous cell carcinoma) 著者名 : 吉田遼司 Ryoji Yoshida 指導教員名 : 熊本大学大学院医学教育部博士課程医学専攻顎口腔病態学篠原正徳教授 熊本大学大学院医学教育部博士課程医学専攻機能病理学伊藤隆明教授 審査委員名 : 頭頸部感覚病態学担当教授湯本英二 脳神経外科学担当教授 呼吸器外科学担当教授 損傷修復学担当講師 倉津純一 鈴木実 立石智 2012 年 3 月

4 1. 要旨 目的 近年 様々な腫瘍で癌幹細胞 (cancer stem cell; CSC) の存在やそのマーカー および制御に関わる多くの CSC 関連分子が報告されつつある しかし 口腔扁平上皮癌 (OSCC) において 病理組織標本を用いてそれらの発現様式の変化を観察 あるいは機能解析を行なった報告は少ない 本研究では OSCC の発生過程における癌幹細胞関連分子 Nucleostemin および Notch1 の発現様式を明らかにするとともに in vitro の実験からこれらの分子の OSCC における機能について検討した 方法 種々の口腔扁平上皮組織標本を用いて Nucleostemin と Ki-67 の免疫染色を行った 次に OSCC 培養細胞株における Nucleostemin の発現を確認し OSCC 培養細胞株 SAS 細胞に sirna を導入して機能解析を行なった また Ca2 + 依存的な培養細胞の角化誘導実験を行い OSCC 培養細胞の分化と Nucleostemin の関係を検討した Notch1 については 同様な組織標本を用いて Notch1 とそのリガンドの Jagged1(JAG1) の免疫染色を行った また ラット舌発癌モデルを用い Notch1 の発現変化を観察した OSCC 培養細胞株における Notch1 の発現を確認し SAS 細胞に Notch signaling 活性化の阻害剤を添加 あるいは sirna を導入して機能解析を行なった さらに Notch1 と Laminin5 2 chain (L5 2) の免疫染色を行い OSCC 培養細胞の遊走能 浸潤能と Notch signaling との関連について組織および in vitro で検討した 結果 Nucleostemin は組織標本上で様々な分化段階の細胞に発現していたが その陽性率は病変の進行とともに増加し Ki-67 陽性率と正の相関関係を認めた OSCC 培養細胞では全ての細胞で Nucleostemin の発現が認められ sirna 導入によって癌細胞の増殖活性は顕著に抑制された また 角化誘導実験では OSCC 培養細胞の分化と Nucleostemin の発現量に相関関係は認めなかった Notch1 と JAG1 は扁平上皮癌で高頻度に発現し OSCC 培養細胞でも Notch1 やその関連分子が発現していた Notch signaling を阻害すると細胞増殖活性が抑制された L5 2 と Notch1 には相関関係があり in vitro における機能解析で TNF- 依存的な癌細胞の浸潤能は Notch signaling の阻害によって減弱した 考察 Nucleostemin は癌細胞の増殖活性維持に重要な役割を果たしていることが示唆された しかし 角化誘導実験や正常組織における発現プロファイルからは 口腔扁平上皮においては CSC 特異的な分子ではないものと考えられた Notch1 は腫瘍組織で高頻度に発現しており その局在は腫瘍浸潤先端に高い傾 1

5 向にあった in vitro の実験結果から Notch1 は腫瘍細胞の増殖活性維持や遊走 浸潤能の制御を介して OSCC の維持に関与する可能性が考えられた 結論 癌の成り立ちを考えると 単一分子の制御のみで CSC を含め癌細胞のコントロールが可能であるとは考えにくい 種々の CSC 関連分子の研究が進んでいる現在 これらの関連分子への様々な角度からの知見が統合されることで OSCC の研究が進展し 治療へのアプローチが発展すると考えられた 2

6 2. 発表論文リスト 1 関連論文 Ryoji Yoshida, Tetsuhiro Fujimoto, Shinji Kudoh, Masashi Nagata, Hideki Nakayama, Masanori Shinohara and Takaaki Ito. Nucleostemin affects the proliferation but not differentiation of oral squamous cell carcinoma cells. Cancer Sci. 102 (7): , その他の論文 Nagata M, Nakayama H, Tanaka T, Yoshida R, Yoshitake Y, Fukuma D, Kawahara K, Nakagawa Y, Ota K, Hiraki A, Shinohara M. Overexpression of ciap2 contributes to 5-FU resistance and a poor prognosis in oral squamous cell carcinoma. Br J Cancer. 105(9): , Tanaka, Takuya; Nakayama, Hideki; Yoshitake, Yoshihiro; Irie, Atsushi; Nagata, Masashi; Kawahara, Kenta; Takamune, Yasuo; Yoshida, Ryoji; Nakagawa, Yoshihiro; Ogi, Hidenao; Shinriki, Satoru; Ota, Kazutoshi; Hiraki, Akimitsu; Ikebe, Tetsuro; Nishimura, Yasuharu; Shinohara, Masanori Selective inhibition of NF-κB by NBD peptide suppresses the metastasis of highly metastatic oral squamous cell carcinoma Cancer Sci. (in press) 吉田遼司, 中山秀樹, 永田将士, 吉武義泰, 手島慶子, 篠原正徳歯性感染症が原因で生じたと考えられた敗血症性肺塞栓症の 1 例 日本口腔外科学会雑誌, 56 巻 1 号 : 49-53,

7 3. 謝辞 本研究は熊本大学大学院生命科学研究部総合医薬科学部門感覚 運動医学講座顎口腔病態学分野 篠原正徳教授 および同生体情報分析医学講座機能病理学分野 伊藤隆明教授の御指導のもとに行いました 研究においては勿論 多面にわたり御指導をいただき 深く感謝いたします 研究手法や研究に対する姿勢を御教授いただきました 機能病理学分野助教 新森加納子先生 同前助教 藤本哲広先生ならびに宇高直子先生に厚く感謝の意を表します 本研究で用いました OSCC 細胞株 HSC-2 細胞 HSC-3 細胞 SAS 細胞 KB 細胞 Ca9-22 細胞 SCC-KN 細胞は九州大学大学院歯学研究院口腔顎顔面病態学分野より OSC-20 細胞 OSC-19 細胞 HOC-313 細胞は金沢大学大学院がん医科学専攻がん細胞学講座細胞浸潤学分野より また ラットの口腔癌モデルについては 東海細胞研究所の田中卓二先生より御供与頂いたものであり 深く感謝申し上げます さらに 顎口腔病態学分野および機能病理学分野の研究室の皆様には常日頃より有形無形の多大なる御助言 御協力頂き誠にありがとうございました 皆様に心より感謝いたします 4

8 4. 略語一覧 CK19:cytokeratin19 CSL:CBF1/Su(H)/Lag-1 CSC: 癌幹細胞 DAPI:4',6-diamidino-2-phenylindole DLL:Delta like DMENM:Dulbecco s modified Eagles medium DMSO:Dimethyl sulfoxide EMT: 上皮間葉転換 epithelial-to-mesenchymal transition FBS:Fetal bovine serum HE:hematoxylin & eosin Invo:Involucrin JAG1:Jagged1 LI:labelling index L5 2:Laminin5 2 chain MTS assay: 3-(4,5-dimethylthiazol-2-yl)-5-(3-carboxymethoxyphenyl)-2-(4-sulfophen yl)-2h-tetrazolium, inner salt assay NECD: 細胞外ドメイン NICD:Notch intracellular domain p-h3:phospho histone H3 RT-PCR:reverse transcriptase-polymerase chain reaction sirna:small interfering RNA TACE:ADAM メタロプロテアーゼ TNF-α 変換酵素 TM: 膜貫通ドメイン TSC:Tissue stem cell TSCC: 舌 OSCC WHO:World Health Organization 4NQO:4-nitroquinoline 1-oxide 5

9 5. 研究の背景と目的 5-1. 口腔扁平上皮癌 (OSCC) OSCC の概要 口腔癌は種々の悪性腫瘍の中でも代表的な疾患のひとつで 舌や頬粘膜などの口腔領域に発生する (1) なかでも OSCC は口腔の被覆粘膜である重層扁平上皮にその起源を持ち 口腔癌の約 80% 以上を占めている 発生部位としては舌が最も多く 約 45% を占め ついで歯肉 30% 口底 10% 頬粘膜 8% 口蓋 3% と続く (2) 治癒率は発生部位によりわずかに異なるが 全 OSCC 患者の 5 年累積生存率は概ね 60~70% である しかし 病期別に見ると StageⅠ85~95% StageⅡ80~95% StageⅢ60~75% StageⅣ40~60% となり癌の進行に伴って予後は急速に悪化する 進行癌においては 救済された患者でも程度の差こそあれ 摂食 嚥下 および構音など日常生活の根本に関わる口腔機能および審美に影響を残す そのため 生命予後 QOL の両面から 早期発見 早期治療の重要性が示唆される 近年 OSCC の診断は MRI や PET-CT などの新たな画像診断機器の開発や技術の向上により 確実に進歩してきた 治療においても 再建技術の進歩に伴う手術範囲の拡大や新規抗癌剤の認可により治療法の選択肢は多岐にわたるようになった しかし これらの進歩にもかかわらず OSCC を含む頭頸部癌患者の生存率の劇的な向上には至っていない (3) その要因として難治性癌の存在 すなわち抗癌剤耐性 放射線耐性 あるいは高転移 浸潤能を獲得した癌細胞の存在が想定されている これらの問題を解決するためには 上述のような悪性度の高い癌細胞の形成に関わる機構の解明が重要で そのことが新たな治療法の開発や予後予測因子の発見に繋がっていくと期待される OSCC の発生過程 OSCC には de novo に発生するものと 多段階的に発生し前癌病変としての上皮異形成 上皮内癌を経て浸潤癌へと進展するものがある (4) 上皮異形成については 世界保健機構 (WHO) によって細胞異型および組織異型の程度より上皮異形成の病理学的基準が定義されており (5) 上皮異形成の発生には細胞増殖と上皮組織の成熟に関わる機構の異常が関連しているとされる (6, 7) また その異常は浸潤癌へと移行した OSCC の増殖 分化にも深く関与していると考えられる 以上より OSCC 発生過程における増殖 分化機構破綻の分子機構を解明しそ 6

10 の理解を深めることは 新たな治療方法の開発や予後予測に寄与するものと考えられる 癌幹細胞 (CSC) と研究の現状 正常組織中には組織幹細胞 (Tissue stem cell;tsc) が存在し それらを頂点とする階層的な細胞社会が構成され それらに基づいて器官形成 組織修復 恒常性維持が行われている 1960 年代の Till McCulloch Becker らによる血液幹細胞の同定などを皮切りに (8) 各種組織で活発な増殖能 多分化能( 複数の異なった機能を持つ成熟細胞へ分化する能力 ) 自己複製能( 不均等分裂により自己と同じ幹細胞を維持する能力 ) を兼ね備えた組織幹細胞の存在が明らかになりつつある CSC の概念は これら正常幹細胞に関する知見に加え 1 癌組織が遺伝子に変異を来たした異常増殖をする単一の細胞集団であるという概念では再発や転移を説明することに限界があるのではないか 2 癌組織の一部には癌組織を再構築する能力に非常に長けた性質を持つ細胞集団が存在するのではないか という考え方に端を発する概念で 癌研究の比較的初期から提示されてきた (9) Dick らによって細胞表面マーカーによる分離技術と動物移植手法の確立によって白血病の CSC 集団の特定が報告されると CSC は癌根治のためのパラダイムシフトをもたらす有益な研究対象であるとして認識されはじめ その後の固形癌における CSC の発見も相まって急速な研究展開がみられるようになった 固形腫瘍における CSC の特定は乳癌 脳腫瘍 大腸癌 膵臓癌などをはじめ頭頸部癌でも進んでおり 種々のマーカーを応用して CSC 分画の同定が進んでいる ( 表 1) また 現在はその性状解析へと研究の対象は移行しているが OSCC の発癌過程における CSC 関連分子の発現の変化やその分子が果たす役割についての検討はあまり多くない 7

11 表 1. 各癌腫における代表的 CSC マーカー 以上より OSCC において CSC 関連分子の発現解析や機能解析を行なうことは OSCC の CSC ひいてはその分化 増殖機構の理解に繋がり治療や予後予測にも寄与しうると考えられる そこで 本研究においては近年新たに同定された幹細胞関連分子 Nucleostmein と従来から幹細胞に関わりが深いとされている Notch signaling に焦点をあてた 各々の分子の病理組織標本や培養細胞での発現解析を行なうと共に それらの分子が OSCC において果たす役割についての検討を行なった 8

12 5-2. Nucleostemin Nucleostemin は腫瘍抑制タンパク質である p53 と結合し 細胞増殖を調節する新規の核小体蛋白質として Tsai 博士らによって同定された分子である NS は最初に成獣ラットの脳幹細胞で特定され 続いて骨髄や胚由来の幹細胞や数種の変異細胞株 腫瘍細胞で発現していることが見出された Caenorhabditis elegans, Drosophila melanogaster Xenopus laevis zebrafish mouse rat human などの遺伝子にコードされており アミノ酸配列は種間で良く保存されている 核小体局在には GTP との結合が必要であり GTP binding domain がこの分子の局在に重要である また種々の Nucleostemin 結合タンパク質が同定されており なかでも p53 MDM2 Nucleophosmin TRF1 などの分子は細胞周期調節に関わっている分子であり注目されている ( 図 1 図 2) (10) その後いくつかのグループから Nucleostemin が種々の幹細胞や癌細胞の細胞株でも発現していることが報告されている (11-13) 図 1 Nucleostemin の基本的構造 9

13 図 2 癌細胞 幹細胞における Nucleostemin の機能 Nucleostemin は一般的に増殖能の高い前駆細胞が細胞周期を脱し ある分化段階に進入する際にその発現が抑制される (10, 14, 15) また Nucleostemin の発現を抑制することで幹細胞や癌細胞の増殖が著明に阻害されることがわかっている (12, 16-21) これら初期の知見は Nucleostemin が幹細胞の多分化能や癌あるいは幹細胞の増殖の調節に関与している可能性を示唆しうるものであった CSC においても Nucleostemin は重要な機能を果たしていることが知られている 多形神経膠芽腫においては Nucleostemin の存在下で特異的に応答するプロモーターを搭載した GFP 発現ベクターを応用したマウスモデルで Nucleostemin 強発現分画にある腫瘍細胞で腫瘍形成能や浸潤能が高いことが分かっており CSC 分画と非常に近似している細胞集団と Nucleostemin 発現量との密接な関係が示唆されている (22) 乳癌においても悪性度が高い組織型で Nucleostemin が高発現しており MMTV-Wnt1 や MMTV-PyMT マウス乳癌モデルでは悪性度と Nucleostemin の発現に相関が認められ かつ Nucleostemin が高発現している乳癌細胞は非常に高い造腫瘍能や幹細胞関連分子の発現を認め その形質は Nucleostemin 依存的であったとする報告がある (23) また Hela 細胞を用いた研究では Nucleostemin やその類縁分子である GNL3L を過剰発現させた 10

14 場合に多能性幹細胞マーカーや腫瘍形成能が上昇し 放射線感耐性を獲得することが報告され その形質変化から Nucleostemin の高発現腫瘍細胞と CSC との強い関連が示唆されている (24) しかしながら 最近の研究で Nucleostemin が実際には正常な増殖能を有する細胞にも腫瘍細胞と同じレベルで広範囲に発現していることが分かってきている (25-27) 一方で Nucleostemin が口腔扁平上皮およびそれに由来する OSCC においてどのような発現パターンを示し どのように OSCC の発生に関わるのかについてはあまりよく分かっていない そこで本研究において OSCC 発生における Nucleostemin の重要性を明らかにするために 舌の正常上皮 前癌病変 ( 上皮異形成 ) そして浸潤癌の組織切片上での Nucleostemin の発現様式を検討した 続いて Nucleostemin 特異的な small interfering RNA(siRNA) を用いて Nucleostemin の発現を抑制し 腫瘍増殖と Nucleostemin の関係を明らかにした 最後に 角化促進実験を行い Nucleostemin 発現が上皮分化マーカーの発現に及ぼす影響について検討を行った 11

15 5-2. Notch signaling Notch signaling 伝達経路は 多細胞生物において進化的に保存された経路で 発生の過程及び幹細胞において細胞の運命の決定を調節する 神経 心臓 免疫及び内分泌系の発生においては多様に整列した細胞の運命が制御されているが その際に隣接する細胞間の近傍分泌型 (Juxtacrine) シグナル伝達を示すことが知られている (28-31) Notch 受容体は 1 回膜貫通型タンパク質で 機能的な細胞外ドメイン (NECD) 膜貫通ドメイン(TM) 及び細胞内ドメイン(Notch intracellular domain;nicd) からなる 受容体の種類は全部で 4 種類あり Notch1,2,3,4 の名称が付けられている 哺乳類では シグナルを送る側の細胞に存在する Delta like(dll1 DLL3 DLL4) 及び Jagged ファミリー (JAG1 JAG2) が Notch シグナル受容体に対するリガンドとして働く ( 図 3) 図 3. 哺乳類における Notch signaling 関連蛋白質の種類と構造 リガンドが結合すると直ちに NECD は TACE (ADAM メタロプロテアーゼ TNFα 変換酵素 ) によって TM-NICD ドメインから切り離される (S2 切断 ) この NECD はリガンドに結合した状態を維持し この複合体はシグナル送信側の細胞内でエンドサイト シスとリサイクリング / 分解を受ける シグナル受信側の細胞内では -secretase が TM から NICD を遊離する (S3 切断 ) が これによって NICD は核内へ移行し そこで CSL (CBF1/Su(H)/Lag-1) ファミリー転写因子複合体と会合するが その結果 基本的な Notch の標的遺伝子である Myc p21 及び HES ファミリーメンバーの活性化が起こる ( 図 4) 12

16 図 4. Notch signaling 伝達経路の概要 Notch signal は 種々の疾患と関連があるため治療標的としての有用性が検 討されてきた (32, 33) 機能欠失型の Notch 受容体及びリガンドの変異は JAG1 過 剰発現や Notch2 変異により発症するアラジール (Allagille) 症候群や 常染色体優性型の大脳動脈症であり Notch3 の変異によりは生じる CADASIL などの数々の疾患への関与が示唆されている さらに NICD の核内への蓄積に結び付くような Notch 受容体の活性化型変異は 成人 T 細胞急性リンパ芽球性白血病及びリンパ腫に共通しており (34, 35) その他の悪性腫瘍でも Notch signaling の異常が癌の発症や進展に関与しているという報告がある (36-42) しかし Notch signaling が腫瘍に促進的に作用するのか 抑制的に作用するのかは細胞系譜や同じ系譜の細胞でもそれを取り巻く環境によって変化するとされている 元来 Notch シグナルは種々の細胞の発生 分化 増殖など細胞の運命決定を司ることが知られているが (43, 44) これは組織幹細胞の運命決定において Notch siganling が重要な役割を果たしているということである したがって 最近では悪性腫瘍における CSC の制御にも深く関与している可能性が示唆されている (45-52) CSC と Noctch signaling の関わりを示す重要な根拠は乳癌 (53-56) 胚性脳腫瘍 (57) (58, 膠芽腫 59) で最も良く示されている -secretase inhibitor によって種々の乳癌細胞株や患者から採取した癌細胞の mammosphere 形成が著しく阻害され (54) 非浸潤性乳管癌においても様々な系統のスフェロイドを形成する能力が -secretase inhibitor 抗 Notch4 モノクローナル抗体あるいはゲフィニチブの投与によって劇的に減少する (55) この知見は EGFR と Notch4 が非浸潤性乳管癌の CSC 維持に協調的に機能していることを示すものである また Her2/Neu (60) を過剰発現している腫瘍においては CSC の維持に Her2/Neu と Notch 13

17 signaling の feedback loop が関与しているという根拠が示されている (61, 62) Sansone らはヒト乳癌患者から作製した mammosphere では IL-6 によって JAG1 の発現が誘導され Notch3 signaling が活性化し CSC の性質の一つである低酸素抵抗性を示すようになると報告している (63) Fan らは CD133 高発現分画の変化と色素排出能を指標とした実験系を用いて Notch signaling の阻害によって髄芽腫や膠芽腫の CSC が選択的に除去されることを示している (57, 58) また 膠芽腫に発現している Notch は CSC の放射線耐性にも関わっている可能性も示唆されている (59) この研究では -secretase inhibitor 処理により 膠芽腫の CSC 分画のみが選択的に放射線性細胞死を増加させることが分かっている その効果は Notch1 あるいは Notch2 の発現抑制によっても惹起され Mcl-1 の発現上昇や AKT signaling の抑制あるいは阻害が関与していることが示されている 他の癌腫についても積極的に研究が進められており 例えば肝細胞癌の CSC 維持には Notch や STAT3 TGF- が関わっている可能性が示唆されている (64) ジェムシタビン耐性膵臓癌細胞株では Notch signaling を介して Epithelial to Mesenchymal Transition (EMT) が起こっており EMT は Weinberg らの提唱するモデルでは幹細胞維持に関与しているとされていることから Notch signaling は間接的に転移能が高い CSC の維持に関わると考えられる (65) また -secretase inhibitor (58) (66) や抗 DLL4 抗体を用いて Notch signaling を阻害すると CSC の数が減少し 造腫瘍能も抑制されることが臨床前モデルで示されている 頭頸部扁平上皮癌においては 網羅的遺伝子解析などにより Notch signaling が腫瘍発生に関わっている可能性が示される (67-69) 一方 同じ扁平上皮癌である皮膚癌においては腫瘍抑制的に機能することが報告されている (37, 70) OSCC においては Notch signaling 関連分子の発現やその意義についての検討がなされてきているが (71-76) 未解明な部分が多い また 口腔扁平上皮およびそれに由来する OSCC において Notch ファミリーがどのような発現パターンを示し どのように OSCC の発生や進展に関わるのかについては現在も研究が進められている状況である 本研究においては OSCC における Notch signaling の機能を明らかにするために Notch1 および代表的なリガンドの一つである JAG1 に着目し 舌の正常上皮 前癌病変 ( 上皮性異形成 ) そして浸潤癌の組織切片上での Notch1 の発現様式を検討した また 発癌過程における同分子の発現パターンを確認する目的でラット発癌モデルにおいてもその発現を検討した Notch1 特異的 small interfering RNA(siRNA) および Notch signaling の代表的な阻害剤である secretase inhibitor 用いて Notch1 の発現を抑制し 腫瘍増殖能と Notch signaling の関係を検討した 最後に 腫瘍の浸潤能と Notch1 発現との関係を明らかにするために代表的な細胞浸潤マーカーである Laminin5 2 chain (L5 2) 14

18 との発現様式の相関を Notch1 の免疫組織化学染色で用いたのと同じ検体上で検討し そこから得られた結果をもとに更に in vitro にて細胞の遊走能 浸潤能に Notch1 が及ぼす影響について解析した 15

19 6. 対象と実験方法 6-1. Nucleostemin に関する実験 患者検体 患者検体は熊本大学医学部附属病院歯科口腔外科を受診した患者の生検材料を対象とした 内訳は治療前の舌扁平上皮癌 (TSCC)10 例 舌上皮異形成 (dysplasia)25 例 および異形上皮と連続する形態学的に正常な舌上皮 (normal tongue)10 例とした 組織標本は全て 10% ホルマリン固定後にパラフィン包埋されたものを用いた 上皮異形成の組織標本抽出にあたっては 高分化型の上皮異形成が存在することを念頭に置き (77) まず組織標本より薄切した切片に hematoxylin & eosin (HE) 染色を施して病理診断を行ったのち World Health Organization (WHO) 分類 (5) に従って上皮異形成と診断できた検体のみを使用した 免疫組織化学染色と評価法 組織はホルマリン固定後にパラフィン包埋して 厚さ 4 m に薄切し MAS-GP コートスライド (Matunami Glass Ind., LTD., Osaka, Japan) に接着 固定した 切片はキシレンで脱パラフィン後 エタノールにて再水和を行い 0.01 mol/l クエン酸緩衝液 (ph 7.0) を用いオートクレーブ ( 分間 ) で抗原の賦活化を行った その後 0.3% H 2 O 2 含有メタノールにて 30 分間処理し 内因性ペルオキシターゼ活性の除去を行った 非特異的反応のブロッキングには Protein Block Serum Free Reagent (Dako, Glostrup, Denmark) を用い 15 分間 湿潤状態で室温にて反応させた 1 次抗体には各々 Nucleostemin ( 希釈倍率 1:200,R&D Systems,Abingdon,UK) Ki-67 ( 希釈倍率 1:100,MIB-1,Dako) を用い 湿潤状態で 4 一晩反応させた なお 希釈液には Dako Real TM Antibody Diluent (Dako) を使用した 続いて 2 次抗体として EnVision+ System-HRP Labelled Polymer (Dako) を標識させ 発色は Liquid DAB+ Substrate Choromogen System (Dako) を用いて行った 脱水 封入に先立って hematoxylin にて核染色を行った 組織染色の評価として Ki-67 は核が茶褐色に染色されたものを Nucleostemin は核小体に一致して茶褐色の染色を認めるものを陽性と判断した 評価には 2 人の研究者があたり まず 200 倍視野で染色性の比較的強い部位を 5 カ所選定し 400 倍視野の顕微鏡下で視野内の全陽性細胞数をカウントした 標識率 (labelling index, 以下 LI) を視野内の全細胞数で全陽性細胞数を除し 16

20 その数値に 100 をかけて算出した 5 視野の平均 LI をその組織の LI (%) とした 培養細胞 本研究で使用した培養細胞株は HSC-2 細胞 HSC-3 細胞 SAS 細胞 KB 細胞 Ca9-22 細胞である ヒト OSCC 由来の培養細胞株であるこれらの細胞は九州大学大学院歯学研究院口腔顎顔面病態学分野より御供与頂いた 培養に用いた全ての器具類は滅菌済みのものを使用し 全ての操作はクリーンベンチ内で無菌的に行った また 全ての細胞は 10% ウシ胎児血清 (Fetal bovine serum; FBS) を加えた Dulbecco s modified Eagles medium (DMEM; GIBCO, Gland Island, NY, USA) で 37 5% CO 2 下で静置培養した Western blotting 法. 細胞をプロテアーゼ阻害剤カクテル (Roche Diagnostics, Basel, Switzerland) を含んだ細胞溶解液 (150 mm NaCl, 1%triton X-100, 0.5% sodium deoxycholate, 0.1% SDS, 1mM EDTA-2Na, ph8.0, 1mM EGTA, ph mM sodium pyrophosphate 1mM β-glycerophosphate, 1mM Na2VO4, 1mM PMSF and 20 mm Tris-HCl, ph 7.5) で溶解した 細胞をボルテックス等で十分に溶解した後 15000rpm で 30 分間遠心器にかけ不要物を除去した 蛋白質の定量は BCA assay kit (Bio-Rad Laboratories, Hercules, CA) を用いて行い SDS サンプルバッファーで調製して 95 で 5 分間加熱処理した 等量のタンパク質を 0.1%SDS を含むポリアクリルアミドゲルを用いて電気泳動し (SDS-PAGE) PVDF 膜 (Millipore, Hamburg, Germany) に 116mA 1 時間で転写した 転写後の膜は 0.1%Tween 加 5% スキムミルクトリス緩衝生理食塩水 (TBST) 溶液で 1 時間ブロッキングを行った後 1 次抗体で 4 一晩反応させた TBST で洗浄後に HRP 標識 2 次抗体を室温で 1 時間反応させ 再度 TBST で洗浄した 発色は ECL Western Blotting Detection System (Amersham Pharmacia Biotech, Buckinghamshire, UK) を用いて行った 用いた 1 次抗体は表 2 の通りである ( 表 2) 17

21 表 2. 抗体リスト RNA 抽出と reverse transcriptase-polymerase chain reaction (RT-PCR) RNA は TRIZOL Kit (Invitrogen, Carlsbad, CA) を用いて培養細胞株から抽出した Oligo (dt) プライマーによる SuperScript Ⅲ First-Strand Synthesis kit (Invitrogen) を用いて 2μg の RNA から逆転写反応によって一本鎖 cdna を作成し ExTaq DNA ポリメラーゼ (Takara) を用い RT-PCR を行った RT-PCR 反応条件は denature annealing elongation をそれぞれ 30 秒ずつ行い denature は 94 elongation は 72 で行った NS p53 p21 p27 β-actin のプライマー配列は表 3 に示す通りである ( 表 3) PCR 産物は 1.5% アガロースゲルで電気泳動し エチジウムブロマイド染色法にて可視化した 18

22 表 3. PCR プライマー配列 蛍光免疫染色 培養細胞を蛍光免疫染色に使用する際には まず培養ディッシュの底面に滅菌処理した 24mm 24mm のカバーガラスを敷き その上で細胞培養を行った後に染色工程を進めた 細胞を 4% パラフォルムアルデヒドで 30 分間固定した後 0.1% Tween 加リン酸緩衝生理食塩水 (PBST) で 3 回洗浄した non-specific Staining Blocking Reagent (Dako) で 15 分間ブロッキングした後 カバーガラスを Nucleostemin 特異的 1 次抗体希釈溶液 (1:200)50 μl の上に注意深く被せた 4 一晩反応させた後に PBST で 3 回洗浄し Alexa Fluor 568 donkey anti-goat IgG (Molecular Probes, Eugene, OR) に 1 時間反応させた PBST で 3 回洗浄後 2000 倍希釈した 4',6-diamidino-2-phenylindole (DAPI, Sigma Aldrich) に 5 分間反応させ PBS で十分に洗浄した後 Gel Mount Aqueous Mounting Medium (Sigma Aldrich) で封入し 蛍光顕微鏡で観察した RNA 干渉 (sirna) 干渉実験では野生型 TP53 を有している SAS 細胞 (78), および変異型 TP53 を有 19

23 している Ca9-22 細胞 (79) を用いた いずれの実験も対数増殖期にある細胞を用いた Transfection 開始の 24 時間前に細胞を回収して新鮮な培地に希釈し 6 well プレートに播種した 通常と同様の条件下で培養を行い 播種より 24 時間後に Nucleostemin 特異的 small interfering RNA (sirna) および Stealth RNAi negative contorol を Lipofectamine RNAi MAX (Invitrogen) を用いて Transfection した Tarnsfection 時の細胞は 約 50% のコンフルエント状態で 終濃度は 40nM になるように sirna を調整した なお Nucleostemin 特異的 sirna の配列は以下の通りである Sense 5 - AAG AAC UAA AAC AGC AGC AGA dtdt -3 Antisense 5 -UUC UUG AUU UUG UCG UCG UCU dtdt -3 細胞は Transfection から 48 時間後に回収し Western blotting 法 蛍光染色 RT-PCR による解析に用いた 細胞増殖活性の測定 対数増殖期にある SAS 細胞を 2000 個 /100 l になるように希釈し 96 穴マイクロプレートに 100 μl ずつ播種した 播種から 24 時間後に Nucleostemin 特異的 small interfering RNA (sirna) および Stealth RNAi Negative Contorol を Transfection した 炭酸ガスインキュベーター内で任意の時間培養し Cell Counting Kit-8 溶液 (Dojindo, Kumamoto, Japan) を各ウェルに 10 μl ずつ添加した 炭酸ガスインキュベーター内で 2 時間呈色反応を行った後 マイクロプレートリーダーを用いて 450 nm の吸光度を測定した 測定は Transfection を行ってから 24 時間後 48 時間後に行った SAS 細胞の in vitro における角化誘導 角化を誘導する為に 約 80% コンフルエントの状態にある SAS 細胞を 0.5 mm の Ca 2+ を含有する keratinocyte serum-free free-ca 2+ medium (KSFM, GIBCO) で培養した コントロールとして Ca 2+ 濃度が 0.05 mm となるように調製した serum-free free-ca 2+ KSFM. でも SAS 細胞を培養した いずれの細胞も 37 5% CO 2 下で 5 日間培養し その間 2 日おきに培地交換を行った 角化の評価を行うために Rheinwald and Green (80, 81) の方法に従って Rhodanile Blue 染色を行った また 角化誘導における Nucleostemin 発現と扁平上皮分化マーカーの変化を観察するために細胞を回収し Western blotting 法による解析を行った mouse anti-human cytokeratin19 (CK19; Ks 19.1, PROGEN, Heidelberg, Germany) を未分化の Involucrin (Invo; mouse anti-human 20

24 involucrin, Ab-1, Thermo Fisher Scientific, Rockford, IL) を角化への分化マーカーとして用いた (82-85) 統計学的解析 Nucleostemin と Ki-67 の分布は Chi square test による適合度検定では正規分布していなかった したがって Kruskal-Wallis test と Bonferroni/Dunn test を用いて舌 OSCC (TSCC)10 例 上皮異形成 (dysplasia)25 例 および正常舌 (normal tongue)10 例の各グループの Nucleostemin と Ki67 の LI の差を検討した Nucleostemin と Ki-67 の発現量の相関関係は Pearson s correlation coefficient test を用いて行った Nucleostemin 特異的 sirna 導入細胞と Stealth RNAi Negative Contorol 導入細胞の増殖活性の差は Student s t-test を用いて行った 全ての解析には統計ソフト Statcel2 (OMS publisher, Saitama, Japan) を使用した 統計学的有意差は P 値 <0.05 とした 21

25 6-2. Notch signaling に関する実験 患者検体 患者検体は熊本大学医学部附属病院歯科口腔外科を受診した患者の組織標本を用いた 内訳は治療前の OSCC (OSCC)12 例 上皮異形成 (dysplasia)36 例 および異形上皮と連続する形態学的に正常な正常口腔上皮 (normal epithelium)12 例 固定方法や試料の取り扱いに関しては Nuclestemin に関する実験に準じた ラット舌検体 発癌化合物 4-nitroquinoline 1-oxide(4NQO) を用いて誘導した (86, 87) ラットの舌癌 異形成 および発癌誘導していない正常舌の組織検体を東海細胞研究所の田中卓二先生より御供与頂き 実験に用いた 免疫組織化学染色と評価法 1 次抗体には Notch1 (D1E11) XP Rabbit mab (Cell signaling Technology) L5 2 (clone 4G1, Dako) および JAG1 Rabbit monoclonal antibody (Epitomics, CA, USA) を用いた Notch1 L5 2 免疫染色の抗原賦活化には 1mM-EDTA Tris/HCl Buffe (ph 9.0) を 0.01 mol/l クエン酸緩衝液 (ph 7.0) を用いた以外は Nucleostemin Ki-67 の免疫組織化学染色と同様に行った 組織染色の評価として Notch1 JAG1 は細胞膜が L5 2 は細胞質が茶褐色に染色されたものを陽性と判断した 評価には 2 人の研究者があたり 染色強度を陰性 :1 ポイント 弱陽性 :2 ポイント 中等度陽性 :3 ポイント 強陽性 :4 ポイント 陽性細胞占有率を 5% 未満 :1 ポイント 6% 以上 35% 未満 :2 ポイント 36% 以上 70% 未満 :3 ポイント 71% 以上 :4 ポイントとしてスコア化し 合計スコアを算出した 合計スコアの平均が 4 以上であったものを陽性と判断した Notch1 と L5 2の2 重染色を行なう際には Notch1 の発色基質には DAB を L5 2 の発色基質には HistoGreen ペルオキシダーゼ基質キット (AbCys S.A., Paris, France) を用いた 22

26 培養細胞 Nucleostemin に関する研究で用いた培養細胞株に加えて SCC-KN 細胞 OSC-20 細胞 OSC-19 細胞 HOC-313 細胞を使用した ヒト OSCC 由来の OSCC 細胞株であるこれらの細胞のうち SCC-KN 細胞は九州大学大学院歯学研究院口腔顎顔面病態学分野より OSC-20 細胞 OSC-19 細胞 HOC-313 細胞は金沢大学大学院がん医科学専攻がん細胞学講座細胞浸潤学分野より御供与頂いた 培養に用いた全ての器具類は滅菌済みのものを使用し 全ての操作はクリーンベンチ内で無菌的に行った また 全ての細胞は FBS を加えた DMEM(GIBCO, Gland Island, NY, USA) で 37 5% CO 2 下で静置培養した Western blotting 法. 基本的に Nucleostemin に関する研究と同様の手技および方法にて行った Nucleostemin に関する研究で用いた抗体以外に Notch signaling に関する研究で新たに用いた 1 次抗体は以下に示す通りである ( 表 4) 表 4. 抗体リスト RNA 抽出と RT-PCR Nucleostemin に関する研究と同様に行った 各標的遺伝子のプライマー配列を表 5 に示す ( 表 5) PCR 産物は 1.5% アガロースゲルで電気泳動し エチジウムブロマイド染色法にて可視化した 23

27 表 5. PCR プライマーリスト secretase inhibitor 処理 - secretase inhibitor による細胞処理は SAS 細胞を用いて行なった - secretase inhibitor には InSolution TM -secretase inhibitor X (CALBIOCHEM, Darmstadt, Germany) を使用した 処理 24 時間前に細胞を播種し 終濃度が 5mM 10mM となるように InSolution TM -secretase inhibitor X を添加した コントロールとして 溶媒である Dimethyl sulfoxide (DMSO; WAKO, Osaka, Japan) を培地に添加した InSolution TM -secretase inhibitor X と等量加えた 添加より 48 時間後に細胞を回収し Western blotting 法に使用した また 増殖活性の検討においては 添加より 24 時間後 48 時間後にの増殖活性の測定を行った 24

28 RNA 干渉 (sirna) 干渉実験にあたっては SAS 細胞を用いた 基本的に Nucleostemin に関する研究と同様の手技にて Notch1 特異的 small interfering RNA (sirna) および Stealth RNAi negative contorol を Lipofectamine RNAi MAX (Invitrogen) を用いて Transfection した Notch1 特異的 sirna の配列は以下の通りである Sense 5 - UCG CAU UGA CCA UUC AAA CUG GUG G -3 Antisense 5 -CCA CCA GUU UGA AUG GUC AAU GCG A -3 細胞は Transfection から 48 時間後に回収し Western blotting 法に用いた 細胞増殖活性の測定 対数増殖期にある SAS 細胞を 2000 個 /100 l になるように計数 希釈し 96 穴マイクロプレートに 100 μl ずつ播種した 播種から 24 時間後に InSolution TM -secretase inhibitor X を前述のように添加 または Notch1 特異的 small interfering RNA (sirna) および Stealth RNAi negative contorol を Transfection した 炭酸ガスインキュベーター内で任意の時間培養し Cell Counting Kit-8 溶液 (Dojindo, Kumamoto, Japan) を各ウェルに 10 μl ずつ添加した 炭酸ガスインキュベーター内で 2 時間呈色反応を行った後 マイクロプレートリーダーを用いて 450 nm の吸光度を測定した 測定は Transfection を行ってから 24 時間後 48 時間後に行った 傷付けアッセイ SAS 細胞を 6 ウェルプレートに播種し 100% コンフルエントになるまで培養し 200 l ピペット (Molecular BioProducts, SAN, USA) にて可及的に直線となるように傷付けを行なった PBS にて 2 回洗浄を行なって新鮮培地に交換後 コントロール群には DMSO を 実験群には InSolution TM -secretase inhibitor X を加えて 24 時間通常条件化で培養を行なった 傷付け直後と 24 時間後の傷の幅を測定し Wound healing area (%) = (24 時間後の傷の幅 / 傷つけ直後の傷の幅 ) 100 で算出した 尚 InSolution TM -secretase inhibitor X および DMSO の添加量は -secretase inhibitor 処理の量に従った 25

29 マトリゲル細胞浸潤試験 浸潤試験は マトリゲルでコートされた 8 m ポアサイズの PET メンブレン ( 直径 7mm) からなるセルカルチャーインサート (BD BioCoat TM cell culture insert, BD Biosciences) を使って行った カルチャーインサートを直径 16 mmのウェル内に置き 血清無添加の DMEM 500 l 中に 個のSAS 細胞を調整して カルチャーインサート上に播種した 下部ウェルには 750 l の DMEM (5% FBS) を入れておいた SAS 細胞を TNF- (25 g/ml) で処理したものをコントロールとし 更に DMSO InSolution TM -secretase inhibitor X を加えた また Notch1 発現を抑制した細胞を用いる際には播種する 24 時間前に Notch1 特異的 sirna および Stealth RNAi negative contorol の SAS 細胞への導入を 60mm ディッシュ上で行い 同数の細胞をカルチャーインサートに播種して TNF- 処理を行なった 24 時間後 インサートメンブレンの上面に付着した非浸潤細胞とマトリゲルを取り除いた 浸潤細胞はマトリゲルとインサートメンプレンを通過し メンブレン下面に付着しているため メンプレンを Diff-Quick stain (Systemex, Hyogo, Japan) で固定 染色した 顕微鏡下で 4 か所の視野で浸潤した細胞数を計測し 平均値によって評価した 統計学的解析 Notch1 JAG1 および L5 2 の各病変におけるスコアおよび傷つけアッセイに関する多重比較検定は Bonferroni/Dunn test を用いて行なった Notch1 と L5 2 の発現量の相関関係は Pearson s correlation coefficient test および Mann Whitney s U test を用いて行った Notch1 特異的 sirna 導入細胞と Stealth RNAi negative contorol 導入細胞および DMSO 添加群と InSolution TM -secretase inhibitor X 群の細胞との増殖活性の差は Student s t-test を用いて行った 全ての解析には統計ソフト Statcel2 (OMS publisher, Saitama, Japan) を使用した 統計学的有意差は P 値 <0.05 とした 26

30 7. 結果 7-1 Nucleostemin 組織標本における Nucleostemin と Ki-67 の免疫染色の結果 OSCC における Nucleostemin 発現と発癌の関係を調べるために 免疫組織化学染色を用いて正常舌 (normal tongue) 上皮異形成 (dysplasia) 舌扁平上皮癌 (TSCC) の各組織における Nucleostemin の発現パターンを検討した また Nucleostemin は細胞の増殖能と関連するという報告があることから 同一の組織にて増殖マーカーの一つである Ki-67 の免疫染色も同時に行った Nucleostemin Ki-67 ともに核に陽性像が認められた Nucleostemin は正常舌上皮から浸潤癌に到る全ての病理組織学的段階で発現が認められた また 全ての組織において Nucleostemin の方が Ki-67 よりも LI が高い傾向にあった ( 図 5) 図 5. 各病理組織における Ki-67 および Nucleostemin の発現パターン 27

31 正常舌では Nucleostemin Ki-67 ともに最も低い LI を示した いずれの蛋白質も傍基底細胞層に最も多く発現していたが Ki-67 が同層に非常に特異的に発現しているのとは対照的に Nucleostemin は基底細胞層だけでなく有棘細胞層にもその発現を認めた その詳細は以下の通りとなる すなわち 正常舌において Ki-67 は傍基底細胞層に数は少ないが散在しており 基底細胞層や有棘細胞層にはほとんど認められなかった 一方で Nucleostemin の LI は Ki-67 に比べると基底細胞層 傍基底細胞層 有棘細胞層 全ての層で高かったが Nucleostemin の発現自体は Ki-67 と同様に傍基底細胞層で最も高かった ( 図 6) 図 6. 各細胞層における Ki67 および Nucleostemin の陽性率 (LI) Nucleostemin Ki-67 の LI はともに病変が浸潤癌へ進行していくにつれて高くなる傾向にあった 特に 中等度異形成 (moderate dysplasia) から舌扁平上皮癌 (TSCC) にかけては正常舌 (normal tongue) と比較すると有意に LI が高かった (mild dysplasia; n.s., moderate, severe dysplasia, TSCC; P<0.01) ( 図 7A および B) 散布図上で Nucleostemin と Ki-67 の LI の間には相関関係があると考えられたので 統計学的に解析したところ P<0.01 で有意に両者は正の相関関係にあった (r = 0.67) ( 図 7C) これらの結果から 組織において Nucleostemin の免疫染色の結果は正常細胞 28

32 と腫瘍性細胞 両者の増殖活性と関係していることが示唆された 図 7. 正常 異形成 扁平上皮癌における免疫染色 (A) 正常 異形成 扁平上皮癌における Ki-67 および Nucleostemin の免疫染色の染色パターン スケールバー,20 μm 病変が進行するにつれ段階的に陽性細胞数が増加している (B) 各病変における Ki-67 および Nucleostein の LI 値は平均値と標準偏差を示している 一部のグループ間で LI に有意差が認められる 統計学的有意差は Kruskal-Wallis test と Bonferroni/Dunn test にて行なった *, は P<0.05 **, は P<0.01 で有意差あり n.s., は有意差なしを示す (C) Ki-67 と Nucleostemin の散布図 X 軸は Ki67 の LI を Y 軸は Nucleostemin の LI を示している Ki67 と Nucleostemin の LI の間には正の相関関係を認める Ki-67 と Nucleostemin の相関関係は Pearson s correlation coefficient test を用いて評価した *, は P<0.05 **, は P<0.01 で有意差あり n.s., は有意差なしを示す OSCC 細胞株における Nucleostemin の遺伝子および蛋白質の発現 29

33 OSCC における Nucleostemin の発現を確認するため OSCC 細胞株 HSC-2, HSC-3, SAS, KB, Ca9-22 を用いて遺伝子レベル 蛋白質レベルでの解析を行った RT-PCR で全ての細胞株に mrna レベルでの Nucleostemin の発現を認め ( 図 8A) Western blotting 法でも同様に全ての株で Nucleostemin の蛋白質発現を認めた ( 図 8B) また 蛍光染色でも核内に明らかな NS の局在を認めた ( 図 8C) これらの結果から他の癌腫と同様に Nucleostemin は OSCC 由来の細胞においても遺伝子 蛋白質レベルで発現していることが明らかとなった 図 8. OSCC における Nucleostemin の発現 (A) (B)OSCC 細胞株における Western blotting 法および RT-PCR の結果 全ての細胞株で Nucleostemin の蛋白質および遺伝子レベルでの発現が確認できる 各レーンは以下の細胞株を示している (C) SAS 細胞における Nucleostemin の蛍光免疫染色の結果 Nucleostemin (Alexa Fluor 568, 赤 ) が SAS 細胞の核 (DAPI, 青 ) 中心部に明瞭に観察できる スケールバー, 10 μ m sirna による Nucleostemin の発現抑制が細胞増殖活性に及ぼす影響と細胞周期調節分子の発現の変化 30

34 細胞増殖における Nucleostemin の役割を明らかにするために sirna を用いて Nucleostemin の発現抑制を行い Western blotting 法にて細胞分裂関連マーカーの変化を観察した 加えて Nucleostemin 特異的 sirna 導入後の細胞増殖活性を MTT assay 法を用いて観察した また 過去の報告では Nucleostemin は p53 と結合しその機能を阻害することで細胞増殖能を促進すると考えられている (10) このことから本実験においては wild-type TP53 を保有しているとされる SAS および, mutant TP53 を有しているとされる Ca9-22 について p53 をはじめとした細胞周期調節分子の変化を観察した Western blotting 法にて Nucleostemin 特異的 sirna 導入後の SAS で明らかな Nucleostemin および細胞分裂マーカーである phospho histone H3 (p-h3) の減少を認めた ( 図 9A) 蛍光免疫染色でも Nucleostemin の明らかな発現減少を認めた ( 図 9B) MTS assay 法による細胞増殖活性の観察でも Nucleostemin 特異的 sirna を導入した SAS は contorol sirna を導入した SAS に比べて明らかな増殖活性の低下を認めた ( 図 9C, P<0.05) また 図 9D に示すようにアポトーシスの代表的マーカーである cleaved caspase-3 (C-casp3) の発現は Nucleostemin 特異的 sirna 導入後 48 時間で増加していた これらの結果から Nucleostemin は培養下にある OSCC 細胞株の増殖能にも重要な役割を担っていると結論付けた 加えて Nuclestemin 発現抑制下での p53 p21 p27 などの細胞周期調節分子の発現変化を p53 が wild type である SAS mutant type である Ca9-22 両方の細胞を用いて観察したところ 図 9D および図 9E に示すように Western blotting 法 RT-PCR いずれにおいても p53 の発現レベルに明らかな変化は認めなかった 一方で Nuclestemin 特異的 sirna を導入した細胞において遺伝子レベル 蛋白質レベルの両方で contorol sirna 導入細胞と比較して p21 p27 の発現上昇を認めた これらの結果から Nucleostemin の発現抑制によって生じる OSCC 細胞株の増殖活性の低下および細胞周期停止 アポトーシスは p53 非依存的であるが p21 p27 は関わっている可能性があることが示唆された 31

35 32

36 図 9. Nucleostemin が細胞増殖と細胞周期調節関連分子の発現に及ぼす影響 (A) Stealth RNAi negative contorol (si-cont.) (B) および Nucleostemin 特異的 sirna (si-ns) 導入から 48 時間後の SAS 細胞における Nucleostemin および mitosis マーカー :phospho-histone H3(p-H3) の発現変化 Western blotting 法にて Nucleostemin 特異的 sirna 導入細胞で明らかな Nucleostemin および p-h3 の発現低下を認める NT は未処理の SAS 細胞を示す (C) Stealth RNAi negative contorol (si-cont.) および Nucleostemin 特異的 sirna (si-nucleostemin) 導入 SAS 細胞の蛍光免疫染色 Nucleostemin 特異的 sirna 導入細胞で明らかな Nucleostemin の発現の消失を認める スケールバー, 10 μm (D) MTS 法を用いた Stealth RNAi negative contorol および Nucleostemin 特異的 sirna 導入 SAS 細胞の経時的増殖活性測定の結果 導入後 48 時間後 Nucleostemin 特異的 sirna 導入 SAS 細胞において Stealth RNAi negative contorol 導入細胞と比較して著明な増殖活性低下を認める 統計学的有意差は Student s t -test を用いて検討した *, は P<0.05 **, は P<0.01 で有意差あり n.s., は有意差なしを示す (E) Stealth RNAi negative contorol および Nucleostemin 特異的 sirna 導入後の SAS 細胞および Ca9-22 細胞における細胞周期関連蛋白質の発現変化 (Western blotting 法 ) 分子によっては Stealth RNAi negative contorol および Nucleostemin 特異的 sirna 導入細胞間で発現に変化を認める (F) Stealth RNAi negative contorol および Nucleostemin 特異的 sirna 導入後の SAS 細胞における Nucleostemin, p53, p21, および p27 遺伝子の発現変化 (RT-PCR 法 ) 遺伝子によっては Stealth RNAi negative contorol および Nucleostemin 特異的 sirna 導入細胞間で発現に変化を認める 33

37 SAS 細胞株における in vitro 角化誘導実験と Nucleostemin 表皮角 化マーカーの発現パターン 培養下での SAS 細胞の分化に伴って Nucleostemin の発現が変化するのかを確認するために in vitro での角化誘導実験とその際の Nucleostemin 上皮分化マーカーである cytokeratin19 Involucrin の発現量の変化を観察した Involucrin は舌を含む口腔粘膜 皮膚の有棘細胞層の上方から発現し始める分子で 角化へと分化方向を定めた上皮細胞の有用なマーカーである (88-90) したがって 舌を含む OSCC の分化マーカーとしても用いられてきた (82, 83, 85) cytokeratin19 は重層上皮の基底細胞層マーカーである (84) Ca 2+ は上皮の分化を司る調節因子の一つとしてよく知られている 細胞内の Ca2 + レベルの上昇は培養下の OSCC 細胞株の最終分化 ( 角化 ) を惹起する OSCC 細胞株における分化能の欠落は適正なレベルの Ca 2+ に到達するための機構に欠陥があることに起因するとされている (91-93) これらの報告を元に Ca 2+ free である KSFM を用いて細胞外の Ca 2+ 濃度を調節することとした Rhodanile blue 染色による確認の結果 SAS 細胞の角化は 0.5mM の高 Ca 2+ 濃度で観察されたが 0.05mM の低 Ca 2+ 濃度では観察されなかった ( 図 10A) 次に 分化した SAS 細胞と未分化の SAS 細胞での Nucleostemin と上皮分化マーカーの蛋白質レベルでの発現を比較した その結果 Involucrin と cytokeratin19 は両者の間で顕著な変化を示したが Nucleostemin の発現レベルには大きな変化は無かった ( 図 10B) これらの結果から Nucleostemin の発現レベルは in vitro における OSCC 細胞株の分化状態とは関係が無いことが示唆された 34

38 図 10. SAS 細胞を用いた in vitro における角化誘導実験と Nucleostemin および上皮分化マーカーの発現パターンの変化 (A) 高濃度および低濃度 Ca 2+ 存在下で 5 日間培養した SAS 細胞の Rhodanile Blue 染色の結果 赤く染色される部分は角化が亢進している部分を示す 0.5 mm Ca 2+ 存在下で角化が増強されている スケールバー, 200 μm (B) 角化誘導後の Nucleostemin および上皮分化マーカーの発現変化 Involucrin および Cytokeratin19 は上皮分化マーカーとして用いている 分化マーカーの変動は認めるが Nucleostemin の発現に明らかな変化は認めない 35

39 7-2. Notch signaling 組織標本における Notch1 JAG1 の発現様式 Notch signaling の代表的なレセプターである Notch1 と代表的リガンドであ る JAG1 の正常口腔上皮 normal epithelium) 異形成 (dysplasia) 扁平上皮 癌 (OSCC)の各段階における発現様式を明らかにするために 組織標本を用いて 免疫染色を行なった 図 11 に示すように Notch1 は正常から異形成 扁平上皮 癌になるにつれて染色性が強くなる傾向があった また JAG1 についても同様の 結果が得られた 図 12 図 11. 正常 異形成 扁平上皮癌における Notch1 の染色結果 正常から異形成 扁平上皮癌になるにつれて染色性が強くなる傾向がある 36

40 図 12. Notch1 および JAG1 の代表的な染色パターン Notch1 および JAG1 の代表的な染色像を示す 免疫染色結果のスコア化に際し 図中の代表的な染色像を参考に陰性 :1 ポイント 弱陽性 :2 ポイント 中等度陽性 :3 ポイント 強陽性 :4 ポイントとスコア化して染色強度の判定を行った そこで Notch1 および JAG1 の免疫染色結果をスコア化して再評価したところ Notch1 JAG1 ともに正常口腔上皮 (normal epithelium) から異形成 (dysplasia) 扁平上皮癌 (OSCC) と病理組織学的な悪性度が高くなるにつれて免疫染色スコアは段階的に高くなる傾向がみられ 正常口腔上皮 (normal epithelium) におけるスコアと比較した場合に扁平上皮癌 (OSCC) において有意にスコアが高かった また 陽性と判定した検体の割合もスコアと同様に段階的に増加していた ( 図 13) 37

41 図 13. Notch1 および JAG1 の免疫染色スコアの結果 Notch1 JAG1 ともに正常口腔上皮 (normal epithelium) から異形成 (dysplasia) 扁平上皮癌 (OSCC) と病理組織学的な悪性度が高くなるにつれて免疫染色スコアは段階的に高くなる傾向がみられ 正常口腔上皮 (normal epithelium) におけるスコアと比較した場合に扁平上皮癌 (OSCC) において有意にスコアが高い また 陽性と判定した検体の割合もスコアと同様に段階的に増加している 統計学的有意差は Kruskal-Wallis test と Bonferroni/Dunn test にて行なった *, は P<0.05 **, は P<0.01 で有意差あり n.s., は有意差なしを示す 38

42 7-2-2.ラットモデルにおける正常口腔上皮 4-nitroquinoline 1-oxide 4-NQO) 誘導性異形成 扁平上皮癌での Notch1 の発現様式 ヒト口腔粘膜組織で得られた結果の妥当性を検討する目的で ラットに発癌 誘導物質 4-nitroquinoline 1-oxide 4NQO)を長期間投与することで誘発した舌 の上皮異形成 dysplasia 扁平上皮癌 OSCC および 4-NQO 未投与のラット 正常舌上皮 normal epithelium おける Notch1 の発現変化を免疫染色にて観 察した 図 14A,B に示すように 染色強度 陽性細胞の割合はともに正常舌 上皮異 形成 扁平上皮癌になるにつれて高くなり 陽性と判定した検体数の割合は扁 平上皮癌のグループで明らかに高かった 図 14C 尚 検体の陽性 陰性の判 断基準はヒトの検体において用いた方法にしたがった 39

43 図 14. ラット発癌モデルにおける正常口腔上皮 異形成 扁平上皮癌での Notch1 の発現様式 (A) 正常口腔上皮 異形成 扁平上皮癌における Notch1 の代表的染色像 ( 弱拡大 ) (B) 正常口腔上皮 異形成 扁平上皮癌における Notch1 の代表的染色像 ( 強拡大 ) 扁平上皮癌組織で腫瘍細胞に強く Notch1 が発現している (C) 各病変における Notch1 陽性 陰性標本数 扁平上皮癌において Notch1 陽性と判定した標本が多く存在する 40

44 OSCC 細胞株における Notch1 蛋白質および Notch signaling 関連遺伝子の発現 組織標本上で Notch1 JAG1 の発現上昇が認められたことから 細胞株においても Notch signaling 関連分子が発現しているかを確認するために Western blotting 法で Notch1 および Notch signaling の活性化によって生じる NICD 蛋白質の発現を RT-PCR で Notch signaling 関連分子の遺伝子発現を観察した Western blotting 法で大部分の OSCC 細胞株に Notch1 および NICD の発現が認められ SAS 細胞および Ca9-22 細胞では特にその発現が高かった ( 図 15) RT-PCR では Notch1 や JAG1 以外に Notch signaling の代表的標的遺伝子である Hes1 Hey1 の発現も確認できた ( 図 15) 図 15. OSCC 細胞株における Notch1 蛋白質および Notch signaling 関連遺伝子の発現 RT-PCR では大部分の OSCC 細胞株で Notch1 や JAG1 の発現や Notch signaling の代表的ターゲットである Hes1 Hey1 の発現が確認できる また Western blotting 法 ( 図中 WB) でも Notch1 の蛋白質レベルでの発現と Notch siganling の活性化に伴って生じる NICD の発現を認める 41

45 Notch signaling が細胞増殖能に及ぼす影響 OSCC 細胞株における Notch1 の機能を検討するために Notch signaling の阻害が腫瘍細胞の増殖能に及ぼす影響を secretase inhibitor および Notch1 特異的 sirna 導入を行なって観察した なお 実験には Notch1 の発現が最も高い細胞株の一つであった SAS 細胞を用いた 図 16A に示すように SAS 細胞に secretase inhibitor を添加すると顕微鏡下で浮遊した死細胞の割合が明らかに増加し Weatern blotting 法で secretase inhibitor を投与した場合に Notch receptor の活性化で生じる NICD と細胞増殖マーカーである p-h3 の発現低下を認めた MTS アッセイにおいても secretase inhibitor 処理した細胞でコントロールにもちいた DMSO よりも有意に細胞増殖活性が低下していた ( 図 16B) Notch1 の発現抑制を行なった場合にも Notch1 特異的 sirna 導入より 24 時間後での SAS 細胞はコントロール群に比較して細胞数が少なく MTS アッセイでも著しい増殖活性の低下が認められた また p-h3 の発現低下も認めた ( 図 17A B) 42

46 図 16. Notch signaling の阻害が細胞増殖能に及ぼす影響 (A) DMSO GSI 添加時の SAS 細胞の顕微鏡像と Weatern blotting 法の結果 SAS 細胞に secretase inhibitor(gsi) を添加したものでは浮遊した死細胞の割合が明らかに増加している Weatern blotting 法では secretase inhibitor を投与した細胞で NICD と細胞増殖マーカーである p-h3 の発現低下を認める (B) DMSO GSI 添加時の細胞増殖活性の変化 GSI 添加群で DMSO 添加群に比べて有意に増殖活性の低下を認める 統計学的有意差は Student s t-test を用いて検討した *, は P<0.05 **, は P<0.01 で有意差あり n.s., は有意差なしを示す 43

47 図 17. Notch 発現抑制が細胞増殖能に及ぼす影響 (A) Notch1 特異的 sirna 導入時の SAS 細胞の顕微鏡像と Weatern blotting 法の結果 Notch1 特異的 sirna を導入した SAS 細胞はコントロール群と比較して細胞数が明らかに少ない Weatern blotting 法では Notch1 特異的 sirna 導入細胞で Notch1 の発現抑制が確認できる また 細胞増殖マーカーである p-h3 の発現低下を認める (B) Notch1 特異的 sirna 導入時の SAS 細胞の増殖活性の変化 Notch1 特異的 sirna 導入細胞 (si-notch1) で コントロール群 (si-control) と比較して有意な増殖活性の低下を認める 統計学的有意差は Student s t-test を用いて検討した *, は P<0.05 **, は P<0.01 で有意差あり n.s., は有意差なしを示す 44

48 腫瘍組織における Notch1 陽性細胞の特徴的な局在と浸潤マーカー L5 2 との関係 腫瘍組織検体において 図 18A に示すように Notch1 陽性細胞が腫瘍の浸潤先端部に多く見られる傾向があった このことから Notch1 の発現と腫瘍細胞の浸潤能との関連を検討するために浸潤マーカーとして用いられる L5 2 の免染を Notch1 で用いた検体で行い 両者の相関関係と局在を検討した 結果 L5 2 は Notch1 陽性部位と近似した部位に陽性像が存在し 免疫染色スコアは Notch1 のスコアと正の相関関係 (r = 0.617) を認めた ( 図 18B C) 45

49 図 18. 腫瘍組織における Notch1 陽性細胞の特徴的な局在と浸潤マーカー L5 2 との関係 (A) 扁平上皮癌組織における Notch1 の局在 腫瘍浸潤部を中心に Notch1 の染色像を認める (B) Notch1 と L5 2 の 2 重染色像 Notch1 は茶色で L5 2 は緑色で可視化されている この標本上では 両者は腫瘍胞巣の辺縁部に集中して発現しており その局在は近似している (C) Notch1 の発現と L5 2 の免疫染色スコアの関係 Notch1 陽性標本では有意に Notch1 陰性標本よりもスコアが高い 統計学的有意差は Mann Whitney s U test を用いて検討した *, は P<0.05 **, は P<0.01 で有意差あり n.s., は有意差なしを示す Notch signaling が細胞遊走および細胞浸潤能に及ぼす影響 46

50 Notch signaling が SAS 細胞の遊走能や浸潤能に影響を与えるかを調べるために in vitro において検討を行なった 図 19A B に示すように secretase inhibitor 処理を行なうと傷付けアッセイでは細胞遊走能の低下が有意にみられた また マトリゲル細胞浸潤試験では TNF- 依存的な SAS 細胞の浸潤は secretase inhibitor によって明らかに抑制された ( 図 19C D) さらに Notch1 発現抑制を行なった SAS 細胞を用いた場合には TNF- 依存的細胞浸潤はコントロール群に比較して有意に低下していた ( 図 19E F) 47

51 48

52 図 19. Notch signaling の遮断が細胞増殖能に及ぼす影響 (A) 傷つけアッセイ開始後 12 時間目の培養ディッシュ底面 secretase inhibitor(gsi) 処理したものでは傷つけた部位への細胞遊走が明らかに阻害されている (B) 傷つけアッセイ開始 12 時間後に SAS 細胞が遊走した面積の比較 実験は別日に計 3 回行い 統計学的有意差は Student s t-test を用いて検討した *, は P<0.05 **, は P<0.01 で有意差あり n.s., は有意差なしを示す (C) GSI 処理時のマトリゲル細胞浸潤試験の結果 未処理 (control) の SAS 細胞はほとんど浸潤を起こさないが TNF- 処理 (TNF- ) によって著明に浸潤が惹起される また その細胞浸潤は secretase inhibitor(gsi) の溶媒である DMSO 処理 (TNF- +DMSO) ではあまり変化しないが secretase inhibitor 処理 (TNF- +GSI) によって著明に抑制される (D) 各処理における 1 視野当たりの浸潤細胞数 実験は日時を異にして計 3 回行った 統計学的有意差は Kruskal-Wallis test と Bonferroni/Dunn test にて行なった *, は P<0.05 **, は P<0.01 で有意差あり n.s., は有意差なしを示す (E) Notch1 特異的 sirna 導入下でのマトリゲル細胞浸潤試験の結果 Stealth RNAi 49

53 negative contorol を導入した SAS 細胞 (si-control) では TNF- 処理 (si-control+ TNF- ) による浸潤能の上昇が見られるが Notch1 特異的 sirna を導入した SAS 細胞 (si-notch1+tnf- ) では TNF- 依存的な細胞の浸潤が減少している (F) 各処理における 1 視野当たりの浸潤細胞数 実験は日時を異にして計 3 回行った 統計学的有意差は Kruskal-Wallis test と Bonferroni/Dunn test にて行なった *, は P<0.05 **, は P<0.01 で有意差あり n.s., は有意差なしを示す 8. 考察 50

54 8-1. Nucleostemin に関する考察 本研究において 正常舌 前癌病変 浸潤癌を含む切除標本の Nucleostemin 発現のプロファイルを比較し 同時に OSCC 細胞株における内在性の Nucleostemin をノックダウンすることで核小体蛋白質である Nucleostemin が舌扁平上皮癌の発癌や進展に関与する可能性について検討した 本研究では まず OSCC の腫瘍組織の大部分に正常組織と比較して Nucleostemin が高頻度で発現していることが明らかとなった また 注目すべき点として Nucleostemin は軽度 中等度 高度全ての上皮異形成組織においても発現上昇がみられた これらの知見は Nucleostemin が OSCC の発癌過程において非常に早期に発現が上昇している可能性を示しており 舌の前癌病変のバイオマーカーとして利用できうる可能性を示唆するものである 今回の結果では Nucleostemin は異形成や浸潤癌組織においては大部分の細胞に 正常口腔上皮においては最終分化をきたした角化細胞層以外の細胞層に広範に発現していた 近年 Nucleostemin は細胞周期の進行に必須であるリボソーム生合成だけでなく分化しつつある細胞に必要な蛋白質の合成にも必要であることが報告されてきている (94-97) これらの既報告などを踏まえると Nucleostemin は口腔扁平上皮においても幹細胞や癌細胞および最終分化に向かいつつある細胞の増殖活性や分化に必要な蛋白質の合成などに関与している可能性が考えられる ゆえに 口腔扁平上皮において Nucleostemin は単に正常細胞や癌細胞の細胞周期を司ることで幹細胞あるいは CSC の出現に関与する分子ではなく 増殖や分化に広く関わる分子であると考えられる 以上の考察から Nucleostemin が正常舌組織においても広範に発現していることが説明できる 次に Nucleostemin が今回用いた OSCC 培養細胞株のうち Nucleostemin の発現が同程度であった SAS 細胞と Ca9-22 細胞の増殖において機能的な役割を果たしているかどうかを検討した SAS 細胞において Nucleostemin の発現を抑制した状態で増殖活性が有意に低下したことは Nucleostemin が口腔癌細胞の増殖能維持に重要であることを示す結果であり 増殖活性を失った細胞集団の出現は過去の他の癌腫における報告とも一致していた (10-12, 18, 21) また 口腔扁平上皮における分化である角化と Nucleostemin の発現の関係について角化誘導実験を用いて検討した 本検討に用いた Involucrin は細胞質蛋白質で 表皮の最終分化すなわち角化の際にクロスリンク結合によって不溶性の高分子複合体を形成する膜物質の一部である角化膜の前駆体であり 重層扁平上皮における最終分化の過程を観察するのに適したマーカーとされている (98, 99) この分子はまた 過去の報告で舌扁平上皮癌の分化マーカーとして用いられ 51

55 てきた (82, 83, 85) また cytokeratin19 は単層上皮や重層上皮の基底細胞層のマーカーとして知られ 角化細胞が involucrin を生成し始めるとその発現が減少することが知られている分子である (84) 過去に非角化上皮から分離培養した上皮を角化誘導した際に involucrin が高発現し cytokeratin19 の発現が反比例するように減少したという報告がある (100) SAS 細胞を in vitro で角化誘導した際にも同様の現象が観察されたが Nucleostemin の発現レベルに変化はなかった これらの結果は OSCC 培養細胞株における分化マーカーの発現と Nucleostemin が関係していないということを示しており 前述のように Nucleostemin が幹細胞や癌細胞に特異的な分子ではなく広く増殖活性を有する細胞に発現していることを示唆するものである 最近の研究で 筋細胞の分化においても Nucleostemin が幹細胞分画に特異的な分子ではないという報告もあり 本研究の結果を支持するものであると考えられる (97) したがって Nucleostemin は CSC を含む幹細胞の維持あるいは分化を調節する因子としてではなく 増殖能を司る因子として舌を含む OSCC でその機能を果たしていると思われる 加えて OSCC 培養細胞株において Nucleostemin をノックダウンすると 細胞複製の停止とアポトーシスが起こった際にどのような機構が働いているのかを検討した 発見当初から Nucleostemin は MDM2 と競合して p53 と結合し 16S リボソーム系による p53 の分解を阻害することで p53 を介した細胞増殖停止を妨げて増殖能の維持に関与しているとされてきた (101) しかしながら GST プルダウンアッセイによって Nucleostemin と p53 の結合を確認した実験結果以外にはこの仮説を支持するような更なる知見は報告されていない (10) そこで p53 の status が異なる SAS 細胞と Ca9-22 細胞を用いてこの仮説を確認することとした 本検討においては p53 の突出したエフェクター分子であり 細胞周期調節機能が知られる p21 (102) と 別の細胞周期調節分子である p27 の発現を観察した 過去の報告から Nucleostemin の発現抑制によって p53 の分解が阻害され p53 の機能が活性化することで p53 の厳密な発現調節下にある p21 の発現は劇的に増加し 細胞周期進行を抑制されることが予測された (103) しかし 本実験結果では Nucleostemin のノックダウンによって明らかな細胞増殖活性の低下とアポトーシスが観察されたのにも関わらず p53 の発現に明らかな変化は認めなかった ただし SAS 細胞においては p21 の発現にわずかに変化が認められ p53 の本来の機能を喪失している Ca9-22 細胞においても同様の結果が観察された 他の研究で p53 の両アレルを欠失させた HeLa 細胞において Nucleostemin の発現抑制によって細胞増殖活性が著しく減少する結果が得られており (18) これらの結果は Nucleostemin の細胞増殖促進機能が 単に p53 と結合することによって発揮されるものではないことを示すデータではないかと考えられる 52

56 一方 SAS 細胞 Ca9-22 細胞いずれにおいても Nucleostemin の発現抑制下で p27 の著しい発現上昇を認めた p27 は主に cyclin D CDK4 複合体に作用して細胞周期の停止に関わっているが in vitro では種々の cyclin CDK 複合体に作用することが知られている ( ) したがって この結果は Nucleostemin が p27 の発現調節そのものや p27 を介した細胞周期停止を司っている可能性を示すものであると思われる p21 p27 は共に細胞周期進行の鍵となる分子である ( ) OSCC において これらの分子の発現は悪性形質と予後に関係しているとされている ( ) それゆえにこれらの分子の制御機構を明らかにすることは悪性形質や腫瘍そのものの制御に有用であると考えられる 本研究において Nucleostemin は p53 非依存的に細胞周期を制御する可能性が示された 同時に Nucleostemin が p27 の転写制御を含めた発現調節に関与し OSCC 細胞株の無限増殖能という悪性形質を抑制している可能性が示唆された しかし 詳細な機構の解明には更なる研究が必要であると考えられる これまでの研究では Nucleostemin はいくつかの組織の幹細胞における機能に関して報告されてきた (15, 19, 22, 113, 114) 岡本らは Nucleostmin が Twist の発現調節を介して細胞遊走や浸潤に関与し 更に TERT BRG1 と形成する複合体が CSC 維持に重要であると報告している (24) しかしながら 本研究では Nucleostemin は正常あるいは腫瘍性の口腔粘膜上皮や OSCC 細胞株で広範に発現しており これらの結果から 少なくとも同分子が口腔扁平上皮や OSCC の幹細胞に特異的なものではないことが示唆される 8-2. Notch signaling に関する考察 53

57 本研究において 正常口腔粘膜 前癌病変 浸潤癌を含む切除標本および OSCC 培養細胞株における Notch1 の発現プロファイルを比較した また in vitro において OSCC 細胞株の内在性 Notch1 が伝達する Notch signaling を Notch1 特異的 sirna の導入あるいは -secretase inhibitor を用いて阻害し Notch1 およびその伝達経路が OSCC において果たす役割について検討した まず ヒト OSCC の腫瘍組織の大部分に正常組織と比較して Notch1 および JAG1 が高頻度で発現していることが明らかとなり ラット発癌モデルにおいても Notch1 の発現が同様のプロファイルを示した この結果は OSCC では 正常粘膜に比べて JAG1 や Notch1 などをはじめとする Notch signaling 関連遺伝子が増幅されているという報告を支持するものであると考えられる (67-69) 今回の検討では Notch1 は正常口腔粘膜では一部の基底細胞に陽性を認めた以外にほとんど観察されず 上皮性異形成の段階からわずかに発現上昇が認められ始め 浸潤癌で明らかに強発現していた OSCC における Notch1 の発現プロファイルについてはこれまでにも同様の報告が散見されるが (75, 76, 115) 本検討の結果からも Notch1 やリガンドである JAG1 が OSCC の発癌過程の後期あるいは浸潤癌において過剰発現あるいは異常蓄積を起こしている可能性が高いと考えられる また 培養細胞においても多くの細胞株で Notch1 や JAG1 を始めとする Notch signaling 関連分子や Notch signaling の活性化によって生じる NICD の発現が確認されたことから Notch signaling が OSCC において何らかの機能を果たしている可能性が示唆される 次に Notch1 の発現が最も高かった SAS 細胞を用いて Notch signaling が OSCC 培養細胞株において果たす機能について検討した MTS assay の結果から -secretase inhibitor を細胞に添加した場合 Notch1 特異的 sirna を導入した場合のいずれにおいても SAS 細胞の増殖活性は抑制されることがわかった 癌細胞に対する -secretase inhibitor の増殖抑制作用は 大腸癌細胞 白血病細胞 リンパ腫細胞 前立腺癌細胞 乳癌細胞などで報告されている ( ) OSCC においても -secretase inhibitor による培養細胞の増殖活性低下が報告されており (74, 75) 今回の結果も過去の報告と同様に Notch signaling が OSCC の増殖活性の維持に重要であることを示唆すると考えられる また 近年直接的な抗腫瘍効果だけでなく 腫瘍細胞が抗癌剤に対して獲得した薬剤耐性を -secretase inhibitor が抑制することもわかっており注目されている ( ) 実際に -secretase inhibitor はある腫の腫瘍に対して臨床試験が始まっており (127) 今後は -secretase inhibitor の OSCC に対する治療応用も様々な角度から検討していく必要があると考えられる 近年 Notch signaling と腫瘍の浸潤 転移に関する報告が数多くなされてお 54

58 り (121, ) 本研究でも組織標本において Notch1 の局在が腫瘍の浸潤先端に偏っていたことから Notch1 と腫瘍細胞の浸潤能との関係を検討した まず 腫瘍浸潤の有用なマーカーである L5 2 と Notch1 の発現の関係を免疫染色および 2 重染色を用いて検討した L5 2 は腫瘍の浸潤に際して重要な役割を果たす分子として知られており (131, 132) 胃癌 肝臓癌 卵巣癌 胆嚢癌 皮膚癌などの多くの癌腫でも腫瘍浸潤のマーカーとしてまた腫瘍細胞の浸潤能獲得に関わる分子として報告がなされている ( ) OSCC においてもその過剰発現が報告され (137) 腫瘍浸潤マーカー 予後予測因子としての有用性が報告されている (138, 139) 今回の予備実験の結果では L5 2 の免疫染色スコアは Notch1 と同様に 組織型が正常から異形成 浸潤癌へと変化するにつれて高くなる傾向がみられた また Notch1 の免疫染色スコアとの間に正の相関関係を認めた 加えて 同一組織切片上での Notch1 と L5 2 の免疫 2 重染色の結果では Notch1 と L5 2 の局在は近似しており Notch1 陽性細胞における L5 2 の免疫染色スコアは Notch1 陰性細胞におけるスコアよりも有意に高かった 以上ことから Notch1 の発現はある種の浸潤マーカーの発現と相関関係にあり Notch1 が腫瘍細胞の浸潤能に関わっている可能性が示唆される また 組織学的に OSCC の浸潤先端周囲に TNF- の最大の供給源であるマクロファージが集族していたこと 実際に OSCC 組織で TNF- の濃度が高くなっているという諸家の報告が存在したこと (140, 141) そして Notch signaling 経路において S2 cleavage において重要な役割を果たす TACE ( ) の活性化に TNF- が寄与しているという報告が過去になされていたことから (145) TNF- 依存的な細胞浸潤において Notch signaling が果たす役割についても in vitro において検討を加えた in vitro にて傷つけアッセイおよびマトリゲル細胞浸潤試験を行なって Notch1 および Notch signaling が細胞遊走能や浸潤能に及ぼす影響について観察を行なった 傷つけアッセイにおいて Notch signaling を阻害する -secretase inhibitor を用いると SAS 細胞の遊走能は有意に低下した また TNF- 依存的な SAS 細胞の浸潤能も -secretase inhibitor によって明らかに抑制された また Notch1 特異的 sirna を導入した SAS 細胞を用いた場合にも SAS 細胞の浸潤能が低下する結果となった 以上の結果から Notch1 はある種の口腔癌細胞の遊走能あるいは TNF- 依存的な浸潤能の制御に関与していることが示唆される 近年 腫瘍細胞の浸潤 転移および CSC を含めた幹細胞の制御に関して上皮間葉転換 (epithelial-to-mesenchymal transition;emt) という概念が提唱されている ( ) Notch signaling と EMT の関係についても最近研究が進みつつあり Notch は E-Cadherin をコードしている遺伝子 CDH1 に抑制的に機能する転写因子 SNAIL(SNAI1) と SLUG(SNAI2) の発現上昇を介して EMT を引き起こしていることが 55

59 示唆されている 乳癌では JAG1 が Notch signaling を活性化し SLUG の発現上昇を起こして EMT を惹起することが報告されている (149) また 前立腺癌では JAG1 が Notch signaling そしてその下流の AKT signaling を介して EMT を調整している可能性も示唆されている (150) これらの知見は Notch signaling が EMT を介して腫瘍の浸潤 転移に関与していることを示しており 本研究でも Notch1 が TNF- によるリガンド非依存的なシグナルの活性化を介して OSCC 細胞の遊走 浸潤に関与していることが示唆された しかし 本研究においては Notch signaling の下流で細胞遊走や浸潤を調節している分子機構を解明するには至らなかった 今後 どのような分子機構が存在しているかを更に研究を進める必要があると考えられる 本研究において Notch1 の発現は正常粘膜と比較して OSCC で亢進しており 腫瘍細胞の増殖活性の維持 遊走能や浸潤能の制御に部分的に関与している可能性が示された しかし最近 頭頸部扁平上皮癌において Notch1 の inactivation mutation が高頻度に検出され Notch signaling 活性化機構の破綻が予測されることが報告されている (151, 152) 同報告では Notch は OSCC においては腫瘍抑制的に作用していると結論付けており 本研究の結果とは相反する しかしながら 同報告は遺伝子配列解析および機能予測によって前述のような結論に至っており 具体的な機能的な解析に踏み込んだ報告ではない また Notch signaling は組織や細胞によって様々な機能を発揮するいわゆる context dependent なシグナル伝達経路であり Notch signaling が OSCC において果たす真の役割は未だ未解明であるといえる さらに 少なくとも 本研究からは Notch signaling は OSCC の増殖 遊走 浸潤などの様々な形質を多岐にわたって調節しており 腫瘍制御に重要な役割を果たす可能性が示唆された したがって 今後も過剰発現している Notch の意義については更なる慎重な検討が必要であると考えられる 9. 結語 56

60 今回 Nucleostemin は癌細胞の増殖活性の維持に重要な役割を果たしていることが示唆されたが 角化誘導実験や正常組織における発現プロファイルから考えると 口腔扁平上皮においてはこれまでに報告されているような幹細胞分画特異的な分子ではないものと考えられた 一方 Notch1 は腫瘍組織で高頻度に発現しており その局在は腫瘍浸潤先端に高い傾向にあった in vitro の実験結果は Notch signaling と腫瘍細胞の遊走 浸潤能の間に何らかの関連があることを示しており Notch1 および Notch signaling は腫瘍細胞の増殖活性維持や遊走 ある種の浸潤能を介して OSCC の悪性度に関与している可能性が考えられた しかし 本研究では Notch signaling が OSCC においてどのように CSC の維持に関わるかを解明するには至らなかった 今後更なる検討を重ねる必要があると思われる 癌の成り立ちを考えると 一つの分子の制御のみで CSC を含め癌細胞のコントロールが可能であるとは考えにくい 種々の CSC 関連分子の研究が進んでいる現在 様々な角度からの知見が統合されることで OSCC における CSC 研究も進展すると考えられる 近年 CD44 CD133 やポリコーム蛋白質といった分子が OSCC の幹細胞形質のマーカーであるという報告がなされてきている (153, 154) 今後 口腔癌研究においてこれら幹細胞マーカーや幹細胞の研究が進むことで OSCC における CSC の存在の有無や CSC 分画の性質 ひいてはそのような細胞集団への有効な治療方法の開発が期待される また CSC の実態が明らかになるにつれて Nucleostemin が広く正常細胞や腫瘍性細胞で発現していることの意義や Notch signaling が腫瘍の形成や進展にどのように寄与しているかが改めて明らかになると予想される 10. 参考文献 57

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