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はなちゅうか
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1 福井県畜産試験場研究報告第 21 号 (2008) 乳牛の分娩前後の栄養管理技術の確立 ( 分娩前 3 週間の飼料給与試験 ) 佐藤智之栗原優佳子 1 松井司明間基生吉田茂昭 Establishment of the Nourishment Management Technology of before and after Childbirth of the Milk Cow(A feeding Examination of three weeks before child birth) Tomoyuki SATO, Yukako KURIHARA 1, Tsukasa MATSUI, Motoo AKEMA and Shigeaki YOSHIDA 1 福井県農林水産振興課要約乳牛の泌乳能力の向上に伴い分娩前後の疾病事故が多いことから乾乳期特に分娩前 3 週間の栄養管理技術について配合飼料の定量給与した区に対して配合飼料の段階的増給を行った区および配合飼料と麦の段階的増給を行った区の3 区を設け分娩後の影響を比較検討したその結果配合飼料の増給区では乳量増加がみられ配合飼料と麦の増給区では繁殖成績の改善と分娩後の体重回復が早くなる傾向がみられた飼料増給により分娩の難易度や産子体重には差がみられなかったまた飼料増給によって分娩前後の血中 NEFA 値はやや低く推移する傾向にあった Ⅰ 緒言近年泌乳能力が著しく向上した乳牛では特に分娩前後に疾病や事故が多く乳量や繁殖成績等を低下させ酪農経営に大きな損失を与えている分娩前後の代謝障害や繁殖障害は乾乳期の栄養管理との関連が指摘され乾乳期の栄養管理については様々な研究が行われている 5)13)15) しかし実際の酪農経営では搾乳牛に比べ乾乳牛の管理にはあまり注意が払われず分娩まで粗飼料多給のままで飼養されることが多い平成 17 年に県内酪農家における乾乳牛の飼養管理調査を行ったところ約 9 割の酪農家では乾乳牛への濃厚飼料の給与量を0~2kg としており分娩前に濃厚飼料を増給する酪農家は 1 割程度と少なかったその理由は乾乳牛には過肥にならないように餌はあまりかけない濃厚飼料を多給すると難産になる分娩前の増給により乳房のしこりや血乳が起きやすいなどで多くの酪農家では分娩前の飼料増給はマイナスの影響を懸念していることが解ったそこで分娩前 3 週間の栄養管理技術について県内酪農家の多くが実施している濃厚飼料の定量給与に対して栄養充足率を高めた2 形態の濃厚飼料の段階的増給が分娩前後の生理状態

2 乳牛の分娩前後の栄養管理技術の確立乳量および繁殖性等へ及ぼす影響について検討した Ⅱ 材料および方法 1. 供試牛ホルスタイン種雌牛のべ 44 頭を供した 2. 試験期間分娩予定日 3 週間前から分娩後 15 週まで調査したまた血液性状は分娩後最長までとした 3. 試験区の構成および飼料給与試験区は表 1に示すように配合増給区 : 乾乳用配合飼料の段階的増給配合大麦増給区 : 乾乳牛用配合飼料と大麦の段階的増給および : 乾乳用配合飼料の定量給与の3 区とした分娩前 3 週間の各区の飼料給与は表 1に示した増給区は濃厚飼料を 1 週間ごとに増量給与した粗飼料は購入チモシー乾草と場産のイタリアンライグラスサイレージを図 1の TDN を充足するように給与したなお分娩後は各区とも濃厚飼料を段階的に増給し粗飼料はイタリアンライグラスサイレージを中心に自由採食させた表 1 分娩予定 3 週間前からの濃厚飼料給与量と分娩直前の目標栄養充足率試験区名頭数分娩予定 3 週間前 ~ 分娩予定 2 週間前 ~ 分娩予定 1 週間前 ~ 配合増給区 13 配合飼料 2kg 配合飼料 3kg 配合飼料 4kg 配合麦増給区 14 配合 2kg+ 大麦 0.5kg 配合 2kg+ 大麦 1.5kg 配合 2kg+ 大麦 2.5kg 17 配合 2kg 配合 2kg 配合 2kg 5. 調査項目調査項目は分娩状況繁殖成績体重乳量乾物摂取量血液生化学値 (NEFA 値 LCAT 活性 Glu T-cho BUN GOT) とした Ⅲ 結果 1 乾物摂取量の推移乾物摂取量は図 2に示したとおりで配合増給区と配合麦増給区では分娩後においてもに比べて1 頭あたりの乾物摂取量が多い傾向を示した kg/ 日分娩日 -14 日図 2 分娩前後の乾物摂取量配合増給区 ( 4 頭 ) 配合麦増給区 ( 3 頭 ) ( 3 頭 ) 分娩日分娩日 +分娩日 +分娩日 + 2 乳量の推移分娩後 15 日目の乳量を 100 とした乳量増減率で比較すると調査終了時の分娩後 105 日まで配合増給区は高く推移したが配合麦増給区との増加は低く同様な傾向を示した ( 図 3) 配合飼料は市販乾乳用配合飼料 ( 乾物中 TDN74% CP18%) 粗飼料はチモシー乾草を 1 頭当たり 1 日 1.2kg 定量給与としイタリアンサイレージは目標栄養充足率にあわせて給与量を調整した配合増給配合麦増給配合定量 CP 充足率 ( 週 ) (%) 図 1 分娩前の栄養充足率配合麦増給区配合増給区 (%) ( 週 ) TDN 充足率 % 170% 150% 130% 110% 90% 70% 50% 配合増給区配合麦増給区 15 日 30 日 45 日 75 日 90 日 105 日図 3 乳量増減率の推移 ( 分娩後 15 日を 100%)

3 福井県畜産試験場研究報告第 21 号 (2008) 3 体重の推移分娩後の体重変化の程度を示すため分娩前の体重を 100 として体重の増減率を図 4に示した体重の減少は分娩前のエネルギー摂取量が高かった配合麦増量区で最も少なく分娩後の体重回復も早かった配合増給区とは同様に低い傾向を示した表 3 分娩後の繁殖状況試験区頭数産歴初回種付日数受胎までの日数種付回数配合増給区 ±1.9 97±33 197± ±2. 2 配合 + 麦増給区 ± ±54 141± ± ± ±63 197± ± 配合麦増給区配合増給区日 0 日 30 日 90 日図 4 分娩後の体重増減率の推移 ( 分娩直前を 100%) 4 産子体重および分娩難易度産子体重および分娩難易度を表 2に示した分娩難易度は乳用牛群検定の難易コードを用い交雑種および ET 和子牛は除いた産子体重および分娩難易度について各区に有意差はなく分娩前の濃厚飼料増給の産子体重への影響は見られなかったなお本試験期間中分娩において廃用や淘汰につながるような重大な疾病や事故はなかった 6 血液性状分娩前後の NEFA 値の推移を図 5に示した試験期間中の測定値は分娩時から分娩直後に上昇しその後低下する傾向にありこれまでの他の報告と同様に推移した 10)11)13) また分娩前後の NEFA 値は分娩前の栄養水準を反映して配合増給区の値が低く推移した試験期間中の NEFA 値の推移を夏期分娩 (7 月 1 日 ~9 月 30 日の間に分娩したもの ) とそれ以外に分類すると夏期分娩は分娩前から分娩後の全期間にかけて夏期以外の分娩に比べ高く推移した ( 図 6) ( meq / L ) 配合麦増給区配合増給区表 2 産子体重および分娩難易度試験区頭数産歴産子体重分娩難易配合増給区 ± ±4 1. 6±1. 1 備考乳房炎発熱 1 頭食欲不振 1 頭図 5 図 4 分娩前後のNEFA の推移配合 + 麦増給区 ± ±4 1. 7± ± ±5 1. 6±1. 0 発熱食欲不振 1 頭ケトージス 1 頭 1 乳用牛群検定の難易コードを使用 2 交雑種 E T 和牛を除く < 難易コード > 1 : 介助なしの自然分娩 2 : ごく軽い介助 3 : 2-3 人を必要とした助産 4 : 数人の助産を必要とした難産 5 : 外科手術を必要とした難産または分娩時母牛死亡 5 分娩後の繁殖状況分娩後の初回種付日数および受胎に要した日数について表 3に示した受胎に要した日数は体重減少率の低い配合麦増量区が最も短く種付回数も少なかった ( meq/l) 1. 0 夏期分娩夏期分娩夏期分娩以外夏期分娩以外図 6 夏期分娩での分娩前後のNEFA の推移

4 乳牛の分娩前後の栄養管理技術の確立血中 LCAT 活性の推移を図 7に示した血中 LCAT 活性は分娩直後に低下し分娩後 10 日頃からは上昇する傾向にあったが特に配合増給区でその傾向が強かったその他の分娩前後の血液成分を表 4に示したが各成分ともに各区で大きな違いは見られずほとんどが正常範囲であった (U) 配合増給区図 7 血中 LCAT 値の推移配合麦増量区表 4 血液分析値項目配合増給区配合麦増給区 Gl u - 67±5 65±5 65±5 mg/dl - 63±12 66±4 66±27 58±7 55±12 55±18 63±6 58±8 70±1 69±7 79±15 65±14 58±7 53±8 55±4 53±8 62±7 70±14 65±7 63±5 56±13 56±11 56±13 48±10 60±10 62±3 58±13 BUN mg/dl T-cho mg/dl G0 T mg/dl ± ± ± ± ± ± ± ± ± ± ±54 117±29 95±13 115±51 84±16 127±21 139±56 202±30 230±25 207±23 59±44 65±33 66±30 79±38 105±37 49±45 58±38 100±21 103±15 80± ± ± ± ± ± ± ± ± ± ± ±16 86±12 82±13 99±32 107±28 148±46 172±47 148±46 222±29 223±95 52±27 62±12 58±27 68±60 65±55 53±50 84±8 53±50 68±10 44± ± ± ± ± ± ± ± ± ± ± ±16 97±23 83±22 91±18 105±15 143±28 160±65 211±11 256±37 212±74 52±27 50±14 52±25 67±40 52±49 78±43 67±42 90±27 75±11 39±37 Ⅳ 考察近年乳牛の事故疾病防止のために分娩前後特に移行期の栄養管理が重要であることが指摘されている 5)13)14) 本試験では分娩前 3 週間に濃厚飼料を段階的に増給し栄養充足率を高めた2 形態と定量給与を行う方法を比較検討したところ乾乳前の栄養水準が最も高い配合飼料増給区で他の区に比べ乳量の増加が多い傾向が見られたこれは分娩後 2 週以降の乾物摂取量が高かったこともあるが乾乳後期の飼料中蛋白水準を高めると乳腺細胞の再生を促進し泌乳初期のエネルギー不足を筋肉内の蛋白質が補うことなどから産乳性が向上するといった報告があり 13) このことも要因と考えられる体重の推移については分娩後の TDN 摂取量が最も多い配合麦増給区が分娩後の体重減少が少なく体重回復も早かったまた体重回復が早かったため繁殖機能の回復が早く他の区に比べ受胎に要する日数も少なかったと考えられた分娩後の顕著な体重減少は泌乳量の急激な上昇に伴うネルギー不足を補うための体脂肪が動員されるとされており今回の配合麦増給区で体重回復が早かったのは乳量増加が低かったことも一因と考えられる NEFA 値は体脂肪動員の指標でありエネルギー不足により増加する分娩前の NEFA 値が高い場合は肝機能の低下や蛋白摂取不足の関連が指摘されており 11) 今回の試験でも分娩前の蛋白給与水準が最も高かった配合増給区の NEFA 値が低く推移したのは分娩前の栄養水準を反映したものと考えられたまた夏期分娩とそれ以外で NEFA 値の推移を比較した結果全試験期間において夏期分娩がそれ以外に比べ高い傾向を示し夏期分娩においては分娩前の栄養水準の影響よりも暑熱ストレスの方が大きいことが示唆された LCAT 活性の値は試験期間中全ての区において脂肪肝の目安となる 800U 以下であったが 6)8) 試験期間中に周産期病は特にみられなかったまた T-cho は 100 mg/dl 以下が脂肪肝の目安とされているが 6)8) 試験期間中全ての区で概ね

5 福井県畜産試験場研究報告第 21 号 (2008) 100mg/dl を越えており極度な負のエネルギーバランス状態のものはなかったと考えられた以上のことから分娩前に濃厚飼料の段階的増給を行うことにより分娩後の体重回復や分娩後の産乳繁殖成績の向上が期待できる特に蛋白水準を高く設定した配合飼料の段階的増給は泌乳初期の乳量増加に効果が高いものと考えられたまた夏期は暑熱の影響が分娩前の栄養水準の影響を大きく上回るため十分な暑熱対策が必要である参考文献 1)( 独 ) 農業技術研究機構日本標準飼料成分表 (2001 年版 ). 中央畜産会. 東京. 2) 松永章弘望月克浩海野晃好武藤照治土屋好文乳牛の分娩前後における血液代謝像の変化. 静岡県畜産試験場研究報告,19:1-8 3) 西田武弘栗原光規寺田文典 Agung PURNOMOADI 柴田正貴乳牛の妊娠末期におけるエネルギー水準が血漿代謝産物およびホルモン濃度に及ぼす影響. 日本畜産学会報,70(8):J123-J131 4) 農林水産省農林水産技術会議事務局編日本飼養標準. 乳牛 (1999 年版 ). 中央畜産会. 東京 5) 園中篤南繁宮野正章鈴木隆秀安倍健彦初谷敦小岩正照乳牛の周産期病発生要因とその予防. 家畜診療,358: ) 芝野健一井上雅介山城幸夫大西真美乾乳牛のレシチンコレステロールアシルトランスファーゼ活性値を用いた脂肪肝発生予察. 日本獣医師会報,58: ) 杉村博幸松田寿彦岡正久保正満大江貞男,1995. 乳牛の周産期における血液成分値と周産期病の関係. 家畜診療,385: ) 植田 ( 中川 ) 寿美加藤憲夫乳牛とレシチン : コレステロールアシルトランスファーゼ. 獣医生化学,37(1) ) 森山直樹高木光博大谷昌之宮澤清志宮本明夫松井基純三宅陽一ホルスタイン種乳用牛の周産期における血液と乳成分および体重の変動と分娩後の卵巣活動の関連性. 家畜臨床誌,30(2): ) 山田恭嗣中尾敏彦乳牛の乾乳期および泌乳初期における代謝プロファイルテストの成績と排卵同期化定時人工授精の受胎率との関係. 日獣会誌 59, ) 佐藤繁河野充彦村山勇雄高橋孝幸鈴木利行乳牛における分娩前の血糖および遊離脂肪酸と分娩後の負のエネルギーバランスの関係. 家畜臨床誌,28(1):1-6 12) 植田郁恵石黒裕敏沼邊孝飼料給与法の改善による高品質牛乳の生産と繁殖性に関する研究宮城県畜産試験場試験成績書業務年報 13) 楠原徹足立憲隆宇田三男小林宏子小堤知行阿部正彦壁谷昌彦籠橋太史富田道則島崎香山上善久芹澤正文加藤雅通秋本俊二林登吉村善久野垣琢哉岩間仁志藤井清和谷口和紀塩崎達也妻由道明野中敏道猪野敬一郎稲田司森崎征夫清島和生清水正祐新宅敏博寺田文典野中最子, 松本光人田辺忍移行期の栄養水準が産乳と繁殖に及ぼす影響. 茨城県畜産センター研究報告 32 号 P1-51(2002 ー 3) 14) 小林宏子移行期における蛋白質給与水準がホルスタイン種乳牛の産乳性および繁殖性に及ぼす影響ティリーシャハン 15) 和田和明小福田満郎野上興志郎大谷啓介田治茂. 高泌乳牛の分娩前後における飼養給与水準の検討岡山県畜産センター研究報告,1:13~18 16) 清宮幸男菊池文也山口直己菅原薫中嶋芳世日本畜産学会報,72(10):J

6 乳牛の分娩前後の栄養管理技術の確立 Establishment of the Nourishment Management Technology of before and after Childbirth of the Milk Cow(A feeding Examination of three weeks before childbirth) Tomoyuki SATO, Yukako KURIHARA 1, Tsukasa MATUI, Motoo AKEMA and Shigeaki YOSHIDA In late years, with the milk cow that ability for secretion of milk improved, a lot of illness / acc idents of childbirth before and after is done if breeding management for the stop milking period is important as measures. As a result of having managed two forms that I increased it, and raised nou rishment sufficiency rate of the stage by the ward that I increased of the stage of the assorted feed and assorted feed / wheat for the ward where a fixed-quantity salary made assorted feed three wee ks before childbirth ago, volume of milk increase was seen in the assorted feed increase in salary ward, and the tendency that became early improvement of the breeding, recovery of the weight after the childbirth in assorted feed / the wheat increase in salary ward was seen. The childbirth degree of difficulty and the influence on parishioner weight were not thought to be both wards either. In addition, I tended the rise of blood NEFA value of childbirth before and after to be restrained. Esta blishment of the nourishment management technology of childbirth before and after of the milk cow (A feed salary examination of three weeks before childbirth)

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< F31312D93FB8B8D82CC95AA95D8914F8CE382CC8E94977B8AC7979D> 乳牛の分娩前後分娩前後の飼養管理技術飼養管理技術マニュアル ( 乳牛の分娩前後分娩前後の栄養管理技術栄養管理技術の確立試験 ) 畜産試験場飼養管理研究 G 近年乳牛は泌乳能力が著しく向上し特に分娩前後に疾病事故が多く乳量や繁殖成績等を低下させ酪農経営に大きな損失を与えています分娩前後の代謝障害や繁殖障害は乾乳期の栄養管理との関連が強く当場で実施した乳牛の分娩前後の栄養管理技術の確立