く形のプリントを配布して展開される高等学校の社会系教科の授業が思い浮かべられる事実, 高等学校でのプリント使用率の高さも調査で明らかになっている 1 しかし, 一概に授業プリントと言っても, 小西 (1981) や工藤 (2000) のように教師の持つ目的や経験値, 授業構成の考えに基づいて作

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ゆりなとくやす
5 years ago
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1 草原ゼミ発表題目 2016/01/26 M 山田薫社会系科目 ( 主に日本史 B) の授業プリントの実態把握修士論文題目社会系教科におけるプリントを用いた授業の実態高校日本史で用いられる授業プリント分析を通して発表構成 1. はじめに 2. 問題の所在 3. 研究の方法 3-1. 調査対象 3-2. 調査方法 4. 調査結果 4-1. 社会系教科における授業プリント使用の実態 4-2. 日本史 B における授業プリントの実態 5. 分析 5-1. 分析視点 5-2. 日本史 B における授業プリントの分析 6. おわりに 1. はじめに本研究の RQ であるなぜ高校日本史教師はプリントを用いて授業するのかを明らかにするためには, 第一段階として日本史授業プリントの実際を把握する必要があるよって, 本発表では日本史の授業プリントの比較分析を通して, 実態を明らかにすることを目的とする 2. 問題の所在社会科教育学の分野では, 多くの良い授業開発が行われる一方で, 事項を埋めてい 1

2 く形のプリントを配布して展開される高等学校の社会系教科の授業が思い浮かべられる事実, 高等学校でのプリント使用率の高さも調査で明らかになっている 1 しかし, 一概に授業プリントと言っても, 小西 (1981) や工藤 (2000) のように教師の持つ目的や経験値, 授業構成の考えに基づいて作られており, かつ内容のカバーと授業進度を担保しているため, 実施された授業そのものであると言えるそれにも関わらず, 授業プリントに関わる研究はプリントを用いた授業開発や, 授業プリントの開発提案を行っている研究 2 がいくつか行われているのみで, 授業プリントの中身を分析する研究は見られない教師の意図や, 実施された授業が現れている個々によって作成された授業プリントの実際を分析することで社会系教科の授業の現実が見えるのではないだろうかそこで本研究では, 高校日本史 B を取り上げその実態に迫り, なぜ高校日本史教師はプリントを用いて授業するのかを研究課題として明らかにするそのために, 本発表では第一段階として社会系教科のプリント使用の実態を示した上で, 日本史 B の授業プリントの実態を明らかにすることを目的とするよって本発表の RQ を以下のように設定する RQ: 高校日本史 B で教員が作成し用いられている授業プリントには, それぞれどのような特徴が見られるか 3. 研究の方法 3-1. 調査対象調査対象の母集団は, 平成 27 年度の X 大学教育学部第二類社会系コースの 1 年次生 24 名,2 年次生 24 名の計 48 名であるこれらの学生に対してアンケート調査を行ったアンケートの回答は,1 年次生 15 名,2 年次生 22 名の計 37 名から得られた回収率は 77.1% であった 3-2. 調査方法まず, 社会系科目における授業プリントの使用実態について尋ねるアンケートを行った実施したアンケートの質問項目と回答方法は次ページ表 1 の通りである (1) は回答者の基本情報を聞き取るためである (2) と (3) は社会系科目でどの程度プリントを用いた授業が行われているかの実態を把握するためである (4) はプリントの提供をお願いできるかどうかを判断するための質問である 1 ベネッセ教育総合研究所第 5 回学習指導基本調査 ( 高校版 ) [2010 年 ], 第 5 節授業の方法より (2015 年 11 月 22 日最終閲覧 ) 全国の教員 3,070 名の調査結果 2 プリントを用いた授業開発としては本庄 (2010), 江口 (2001), 授業プリントの開発提案としては小西 (1981), 高田 (1995) が挙げられる 2

3 表 1 アンケートの質問項目及び回答方法質問項目回答方法 (1) 出身県と出身高校を教えてください記述 (2) 高校で履修していた地理歴史科の教科を教えてください地理 A,B, 世界史 A,B, 日本史 A,B から履修していたものにをつける (3) 履修していた教科の授業でプリント 3 を用いていたものを, 全記述て教えてください (4) 高校時代使っていたプリントは現在, 家もしくは実家に持って持っている持っていないますか ( プリントを用いていた科目がある人のみ回答 ) いから選択このアンケートを行った後, 本研究が対象とする日本史 B の授業プリントを収集するために, 日本史 B 履修者でかつプリントを持っていると回答した者に, 別途授業プリント提供を依頼した 4. 調査結果 4-1. 社会系教科における授業プリント使用の実態計 37 名から回収されたアンケートに基づいて, 社会系教科における授業プリント使用の実態に関する調査結果を表 2 に示す表 2 社会系教科における授業プリント使用の実態に関する調査結果履修教科地理 A 地理 B 世界史 A 世界史 B 日本史 A 日本史 B 履修人数教科別プリント使用教科別プリント使用率 75% 67% 56% 71% 67% 72% 社会系教科別のプリント使用は, 全教科において 50% を越えていることが分かる A 科目と B 科目を比較すると, 地理については履修人数が少ないため逆転しているが, 概ね A 科目より B 科目の方が多い傾向にあると言える 3 このアンケートにおけるプリントについて, 1 年間の授業の大半 ( 目安として 8 割以上 ) で配布され, 使われていた紙教材 ( プリント ) のこと ( 使い方や形式は問いません ) と明記 3

4 また, 履修教科で分けない場合, 社会系教科でプリントを使用していた人数は 37 人中 35 人 ( 使用率 95%) であったつまり,95% 以上の人がプリントを使って社会系科目の授業を受けたことが示される以上より, 社会系科目において授業プリントの使用率の高さと, より学習内容が増える B 科目において授業プリントを使う割合が多い傾向があるということが実証される 4-2. 日本史 B における授業プリントの実態表 2 で示した日本史 B における授業プリント使用者 21 名のうち,13 名の学生から日本史 B の授業プリントの提供を受けた提供された授業プリントの範囲とプリントの提出範囲の理由や授業での使われ方など ( 備考欄 ) を表 3 に示す表 3 提供された授業プリントの概略提出された範囲備考 1 安土桃山 ~ 現代安土桃山以前は探したが見つからなかったため 2 平安時代 ~ 明治時代プリント ( 穴埋め ) とノートの併用ノートには教師の発言や板書のメモ古代 ~ 奈良時代まではノートのみ 3 全部プリントは穴埋めではないが, プリントに沿って授業を行った 4 古代 ~ 室町時代 2 年生の時のものしか持っていないため室町時代まで 5 全部 6 古代 ~ 大正時代 7 古代 ~ 江戸時代 2 年生で江戸時代までやって,3 年生では世界史になった 8 平安時代 ~ 現代古代を重視する先生だったためノートだった 9 全部授業前の数歩先を行く予習プリント的なもの授業は板書で行っていた 10 戦国時代 ~ 江戸時代 1 年の総復習の時, ワークテキストのコピーを配られた 11 古代 ~ 室町時代江戸時代以降もあるが, 今は持っていないため 12 古代 ~ 江戸時代 2 年で日本史 A を行ったため, 日本史 B は近現代無し 13 全部表 3 に示すように, 提供された授業プリントで古代から現代まで全て揃っているものは 3,5,9,13の 4 つしかないそれ以外は, 前半の一部がないものが1,2,8,10の 4 つ, 後半の一部がないものが2,4,6,7,10,11,12の 7 つである理由としては大きく 3 つに分けられ, 第一にプリント授業だったが手元にないため, 第二にカリキュラムの制約上残っていないため, 第三に教師の意図によりプリント学習ではないためであるなお, 提供されたプリントを返却する際気になった点を訊ねたところ,9と10については授業中に使用したものではないとのことだったので分析対象からは除く 4

5 5. 分析 5-1. 分析視点分析する視点の 1 つとして適用できないかと考えているものが, ノートや板書といった似た教具の分類の仕方であるノートや板書についての研究は, その重要性や事例, 指導法など複数見られるその中から 2 つの視点を応用して分析していく 1 つは機能の面であるノートと板書において, それぞれいくつかの機能が提示されている例えば, ノートの機能であれば, 練習帳的機能, 備忘録的機能, 整理保存的機能, 探求的機能の 4 つが提示されている 4 板書であれば, 確認を図る昨日, 発問を分からせる機能, 定着を図る機能, 比較させる機能など 5 があるこのようにそれぞれが持つ独自の機能が表われているおそらく授業プリントにも特徴としていくつかの機能が見られると考えられるよって, 機能という側面から個々の教師または共通の授業プリントの特徴を捉えたいもう 1 つは内容の面である谷村 (1986) において板書分類の観点を 2 つ示しているそのうちの 1 つが教科書による規定である板書をした際の教材構成がどの程度教科書に規定されていて, どの程度教師によって自主編成されているかを見ることで, 教師の意図を明らかにし, 自己診断の手段として用いているこれは授業プリントにおいても同じことが言えるだろう授業プリントも作成した教師の意図によって教科書に規定されているところと, その教師独自の視点が含まれていると想定されるよって, 教科書の内容と照らし合わせることで, 教師がどのように授業プリントを構成しているのかが見えてくと考えられる今回は, まず機能の視点から見ることで, それぞれの授業プリントの特徴を明らかにする 5-2. 日本史 B における授業プリントの分析授業プリントを分析するにあたり, 範囲を絞るまずは以下に示した範囲を分析対象とする詳説日本史 B ( 山川出版 ) 第 1 部原始古代第 1 章日本のあけぼの 1 文化のはじまり ( 日本列島成立 ~ 縄文時代 ) 4 日本社会科教育学会編 (2012) 社会科教育事典 p 加藤辰雄 (2007) 誰でも成功する板書のしかたノート指導学陽書房 5

6 範囲は, 山川出版の詳説日本史 B に基づいて設定した第 1 部からにした理由は 2 点ある 1 つは, 適度な史資料と学習内容に限定されること, もう 1 つは日本史 B 授業の最初に位置するため教師が力を入れて作成している可能性があるためであるまた 1 文化の始まりは日本史 B 全体の導入部分にあたり, 工夫に違いが見られると思われるためであるこの範囲に基づいて, 実際の授業プリントをまとめたものが別添資料 Ⅰであるなお資料中の右上の数字は表 3 に対応しており, 古代のプリントが提供されている3,4,5, 6,7,11,12,13をまとめている今回は力不足で詳細な分析まで至ることができなかったため, 特徴を概観できる表 4 にまとめることで特研までの分析とつなげたい表 4 日本列島成立 ~ 縄文時代の授業プリントの特徴概観教科書に沿って羅列的な配置穴埋めにすでに埋まっている余白部分にメモ欄を作成している導入として歴史とは何か紀年法日本史の概観旧国名を覚えようが設けられている生徒に親しみやすい縄文度テストが組み込まれている時代についてまとめる表が組み込まれている関連する写真を余白に組み込んでいる参照する図表のページ数が書かれている名称と対応する図が書かれている独自のテーマ設定を行い, かつそこに空欄を作っている ( はじめにと関連している ) 問いに答える形式の箇所があるひとやすみという関連コラムがある史料を利用している作業でスケッチや色分け等をさせている導入として地球誕生などあらゆるものの誕生を取り上げている生徒自身が絵を書く欄が設けられている裏面により深く知るための雑誌の引用がある導入に歴史を学ぶための基礎知識がある表や矢印で事項の関連が示されている 6

7 6. おわりに今回は調査結果に基づき, 全体を概観することはできたが, 詳細な分析まで到達することができなかったため, 特研までに必ず行うそして, 実態が見えた後, 今後の研究をどのように進めていくかを検討し方向性を固めていかなければならないまた, 今回準備する際につまずいたことが授業プリントをどう提示するかである今日は大体どのようなプリントが収集できたかを報告するため, 指定した範囲の部分を全て印刷したがこれだけでも量は多いしかし, 学習する内容によって見られる工夫が違うことも確かである例えば, 文化の範囲では提示している史資料や, まとめ方の違いが見られたり, 荘園のような難しいところになると説明の仕方や, 扱う量に差が見られたりするそのため, 今後どう提示していくかが課題の 1 つである参考文献江口孝之(2001) 問いを組み込んだプリントによる授業歴史と地理 (541),pp55-58 加藤辰雄(2007) 誰でも成功する板書のしかたノート指導学陽書房小西正雄(1981) 高校地理教育の改善に関する一試案学習ノートの意義とその背景社会科教育論叢第 28 号,pp 高田準一郎(1995) 中学校地理におけるワークシート教材の開発選択肢の意味と教材の構成地理科学第 50 号 (3),pp 谷村潤太(1986) 板書による社会科授業の自己診断社会科研究第 34 号,pp 日本社会科教育学会編(2012) 社会科教育事典藤井治(1981) 図説小学校指導技術基礎講座学習ノートぎょうせい本庄豊(2010) 核のない世界をめざしてワークシートを使った中学公民の授業歴史地理教育 (754),pp

社会系(地理歴史)カリキュラムデザイン論発表

社会系(地理歴史)カリキュラムデザイン論発表社会系 ( 地理歴史 ) カリキュラムデザイン論発表批判的教科書活用論に基づく中学校社会科授業開発 (1): 産業革命と欧米諸国の場合発表担当 :5 班 ( ごはんですよ ) 論文の構成論文の構成 Ⅰ. 問題の所在 : 教養主義の授業づくりでは国家社会の形成者は育成できない批判的教科書活用論に基づく授業を開発 Ⅱ. 産業革命と欧米諸国の教授計画書と実験授業の実際 Ⅲ. 産業革命と欧米諸国