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1 機器分光分析 表面分析 光電子分光分析 : XPS, AES, UPS, XES, XAS 2017 年 5 月 8 日 筑波大学数理物質系物質工学域近藤剛弘

2 スペクトロスコピーと計測 スペクトロスコピー : 物理的観測量の強度を周波数 エネルギー 時間などの関数として示すことで 対象物の定性 定量あるいは物性を調べる科学的手法 スペクトル : 電磁波 ( 光 ) をプリズムや回折格子といった分光器を通すことにより得られる 電磁波の波長 ( エネルギー ) ごとの強度の分布を ( 分光 ) スペクトルという ( 逆に言うと横軸がエネルギー 波長 波数などでないものはスペクトルと呼ばない ) 刺激 プローブ 電子 イオン 光子 分子 ( 原子 ) 中性子 電場 磁場 熱 力 表面 測定対象物質 - + 応答 信号 2 次電子 イオン 光子 分子 ( 原子 ) 中性子 トンネル電流 電場 磁場 力

3 講義内容 1. 光電子分光の概要と原理 2.XPS 装置の原理と構造 X 線源 分析器 検出器 仕事関数の取扱 3.XPS は表面分析平均自由行程 脱出深さ 4.XPS スペクトルに含まれる情報定性分析 定量分析 状態分析 ( オージェ電子 スピン軌道相互作用 サテライト 分解能 化学シフト ( 最先端分析 )) 関連測定法 (UPS XES XAS) フェルミ準位近傍 深さ分析

4 1.X 線光電子分光 (X-ray Photoelectron Spectroscopy) の概要 エネルギーバンド, 状態密度がそのままスペクトルとして出てくる X 線を固体表面に照射し表面から放出される光電子のエネルギーを分析する手法 分析器 XPS スペクトル X 線 XPS 装置の X 線源は AlK : ev(0.8ev) MgkK : ev(0.7ev) 括弧内は自然幅 光電子 DOS を反映 試料 ポイント (1) 光電効果エネルギー保存則 光電子の運動エネルギー 入射 X 線のエネルギー 試料の仕事関数 電子の結合エネルギー 試料の電子の状態密度 (DOS)

5 1.X 線光電子分光 (X-ray Photoelectron Spectroscopy) の原理 (1) 始状態 (2)X 線入射 (3) 光電子発生 (4) 終状態 入射 X 線のエネルギー (hv) が既知なので光電子の運動エネルギー (E kin ) を測定することで内核の電子の結合エネルギー (E B ) が求まる 導電性の試料の場合 : 試料の仕事関数 Φ s は装置と分析管のフェルミ準位が揃うために考慮はいらないが分析管の仕事関数 Φ A を考量する必要がある ( 後述 )

6 2.X 線光電子分光 (X-ray Photoelectron Spectroscopy) 装置 ポイント (2): 装置は超高真空チェンバー内の (1)X 線源 (2) 電子エネルギー分析器 (3) 電子検出器で構成されている 超高真空チェンバー 分析器 X 線源 レンズ 検出器 試料 筑波大学の共同研究棟にある XPS 装置 真空ポンプ PC

7 (1)X 線源 市販の XPS の X 線はフィラメントから出る電子を 10 kv 程度の高電圧で加速し陰極である Mg や Al に当てた結果生じる特性 X 線を用いる モノクロメータを用いた単色化した X 線を使用することもできるが強度が減少する 放射光施設では制動放射したシンクロトロン放射光を用いる 高速電子 原子核 制動放射 L K Kα 2 Kα 1 l=+1 l= -1n=2 l=0 l=0 n=1 特性 X 線 高エネルギーで衝突する電子エネルギーの 99% は熱に変換されるため冷やす必要が有る Al 箔により制動放射による連続 X 線をさえぎるほかフィラメントからの電子をさえぎる *Al 箔が破けると電子が試料に当たり試料が定常的に負に帯電するために 測定するエネルギーがずれる Mg と Al をそれぞれ両サイドに置くのがツインカソードと呼ばれるタイプ

8 (2) 電子エネルギー分析器 原理 : ある電圧をかけて電場を作り その電場で通過可能な ( 特定の運動エネルギーの ) 電子を検出器に導く 電圧を変化させることでスペクトルを得ることが可能になる 偏向型 ( 静電型 : 低エネルギー電子の分析 ) XPSで用いられる阻止電場型 ( 磁場型 : 高エネルギー電子の分析 ) 静電型 : 円筒鏡面型 静電型 :180 度同心半球型 入射レンズの役割 :1 光電子を入り口へフォーカスさせる 2 減速によって分解能を調節 入射レンズの方式 :1 初期エネルギーから一定の比率に減速させる (CRR, Constant Retarding Ratio) 2 一定の通過エネルギー ( パスエネルギー ) に減速 (FRR,Fixed Retarding Ratio),FRR は相対分解能が一定となり一般的に用いられる * 測定は スキャンする測定対象電子の運動エネルギーをパスエネルギーに設定し 強度をプロットしながらスキャンする パスエネルギー以外のものは次段のアナライザではじかれる 表面分析技術選書 X 線光電子分光法 日本表面科学会編丸善出版

9 (2) 電子エネルギー分析器 通常用いられているモードパスエナジーが一定 FRR,Fixed Retarding Ratio ( 分解能が一定となる ) モード 例 : これがパスエネルギー E で固定値をこちらから設定する Pass Energy (E) = 5 evのときv =2 (V) V 内球 =V ref +1 (V) V 外球 =V ref -1 (V) 加速 ( 減速 ) 電圧 V ref をスキャンしてスペクトルを計測している * 測定は スキャンする測定対象電子の運動エネルギーをパスエネルギーに設定し 強度をプロットしながらスキャンする パスエネルギー以外のものは次段のアナライザではじかれる

10 (2) 電子エネルギー分析器 大事な性能 :(1) 強度 ( 分析器の明るさ ) (2) エネルギー分解能 ( E/E が小さいほどよい ) W: スリット幅 V: 電極間電圧 分析器内の通過によって生じるエネルギーの広がり 電子の運動エネルギー 広がり角度 α が大きいほど分析器の明るさが大きくなるが分解能は低下する ( スリット幅についても同じことが言える )

11 (3) 電子検出器 2 次電子増倍管 (SEM) を用いて高感度に電子を検出する 多段電極型 :BeCu などの 2 次電子放出量の多い材料で作られる 初段から後段に行くほど高い電圧がかけられており まず初段で壁に衝突した光電子によって複数の電子が放出され 段数が大きくなるとさらに多数の電子が放出されネズミ算的にその数が増大する 1 個の光電子に対して 10 6 ~10 8 個の 2 次電子が放出され これを電流として検出する 連続電場型 : 導電性セラミックスでできている 10 8 程度の増倍率を持つ チャンネルトロン 検出器で収集 増幅された電子は通常プリアンプでさらに増幅された後 計数回路でパルス計測される 計数回路内の1つのパルスは有限の時間幅 ( 不感時間 ) を持つため 検出する電子の数が多くなると各パルスの重なりが起こり数え落とし (x%) を生じることになる 計数量をNとすると - N ln(1-x/100) で表される ex: = 200 nsのとき10 5 cpsに対しては2% の数え落しがある (cps:count per sec) スーパーカミオカンデの光電子増倍管も光を電子に変えた後は同じ原理で増倍

12 2.X 線光電子分光 (X-ray Photoelectron Spectroscopy) 装置 * ポイント (3): 試料の仕事関数は考慮しなくてよい理由 まず光電子の運動エネルギー E kin は入射光のエネルギー hν と内殻電子の結合エネルギー E b と試料の仕事関数 Φ A より E kin = hν - E b Φ A となる 注意 : 結合エネルギーはフェルミエネルギーを 0 として見たエネルギーであるため 電子ドーピングなどにより試料のフェルミ準位が動くと結合エネルギーも変化する この現象は試料の仕事関数が変化したために起こった結合エネルギー変化とも理解できる ここで注意すべき点はこの場合であっても 結合エネルギー 自体が本質的に変化したのであって 試料の仕事関数が測定事態に影響したわけではないので得られたデータに対して試料の仕事関数を考慮した補正などは一切必要ない ここで導電性試料の場合 XPS 装置の分析器と試料のフェルミ準位が一致するので 分析器の仕事関数を Φ SP とすると以下のように結合エネルギー E b は試料の仕事関数 Φ A によらずに決まることがわかる E kin = hν - E b Φ A + (Φ A - Φ SP ) = hν - E b Φ SP 表面分析技術選書 X 線光電子分光法 日本表面科学会編丸善出版

13 3. 光電子分光は表面分析 エネルギーが低すぎるとプラズモン励起できないために逆に平均自由工程が長くなる 電子の平均自由行程 λ( 散乱で妨害されること無く進むことのできる距離の平均値 ) のエネルギー依存性 ( ユニバーサルカーブ ) 光 光電子 脱出深さ 表面 内部 ポイント (4): ev の光電子が出てこれる深さは数 A 程度 この為 XPS では主に表面を計測していることになる

14 光電子分光で何がわかるか? A. 定性分析 どの元素が入っているか B. 定量分析 各元素がどのくらい入っているか C. 状態分析 各元素の置かれてる環境はどうなっているか

15 A. 定性分析 定性分析だけであってもスペクトルピークにかかわる (1) スピン軌道相互作用 (2) オージェ電子 (3) サテライト (4) チャージアップ (5) 化学シフト (6) 化学ポテンシャルシフトを理解しておく必要が有る ( 後述 ) 各元素の内核電子は固有の結合エネルギーを持っている 光電子スペクトルからどのような元素が存在するかがわかる 例 : 炭素の 1s 軌道は 284 ev であるのに対して Ni の 1s 軌道は 8333eV と大きいこれは Ni の方が核の正電荷が大きいことから直観的にわかる

16 A. 定性分析 オージェ電子 : 原子核に近い原子軌道にある電子が電子捕獲されたり X 線や電子線で励起され光電子等として放出されたりすると 空いた軌道に外殻から電子が遷移する このときに放出される軌道間準位差に相当する大きなエネルギーを X 線として放出したものが特性 X 線であり 自己電離して同等のエネルギーを持つ電子として放出されるものがオージェ電子である 光電子 光電子を出した後の緩和過程で発生する電子! オージェ電子のエネルギー E E E E K L 1 L 2,3 X 線の入射エネルギーには依らない!

17 A. 定性分析 Ni2p 3/2 スピン軌道相互作用 ( 電子軌道により生じる磁場とスピンで生じる磁場の相互作用 ) でエネルギーが分裂 Ni2p 1/2 オージェ電子 j = l+1/2 j = l-1/2 2l+2 重に縮退 2l 重に縮退 j は全角運動量で軌道角運動量 l とスピン角運動量 s との和 オージェ電子によるピークか XPS ピークかは入射 X 線のエネルギーを変化させてスペクトルを見ることで分かる ( オージェ電子は入射 X 線エネルギーに依らずに同じエネルギーを示す )

18 A. 定性分析 サテライト ( 価電子励起 ) サテライトピーク : 主ピークのそばに現れるピーク 光電子の発生に付随する現象として生じるサテライトと原子から放出された光電子が固体と相互作用することによって生じるエネルギー損失サテライトがある ( ポイント : 運動エネルギーの余計なロスにより結合エネルギーが主ピークより少し高い位置に出てくる ) B. 半導体 絶縁体などの場合 1シェークアップサテライト 他の電子準位を励起する ( 揺り動かす ) e - ex:) グラファイトの π π* シェイクアップ 2 シェークオフサテライト 他の電子を一緒に連れて出ていく e - A. 金属の場合 Doniach-Sunjic shape ( ピーク非対称の原因は電子 - 正孔対励起 プラズモン励起 ) 3 電荷移動サテライト 配位子バンドの電荷移動を引き起こす e - e - 連続帯 非占有 占有 配位子バンド 内殻

19 オージェ過程について ( 補足 ) e - e - e - e - e - ノーマルオージェ 傍観型オージェ 参与型オージェ Spectator Auger Participator Auger 光電子と競合する

20 A. 定性分析 XPS ピークの半値幅 ( 分解能 ) E E E E 2 2 X L A E 結合エネルギー E X E L E A 照射 X 線の固有幅 電子のエネルギー準位の幅 エネルギー分析器によって生じる誤差の半値幅

21 E 高分解能化に向けて E E E 2 2 X L A バンド幅, 回折格子 結晶の精度 パスエネルギー, 光電子強度 光源 h E h / E 紫外レーザー 7 ev ~ 0.4 mev 軟 X 線放射光 800 ev ~ 70 mev 硬 X 線放射光 7940 ev ~ 100 mev 現在東大 & 理研の辛グループが全ての領域で世界最高分解能を達成 From Prof. Harada

22 高分解能化の流れ 2005 年現在の世界最高分解能 ~ 0.4 mev!! 2005 年現在の世界最高分解能 2009 年現在ではエネルギー分解能 150 μev 角度分解能 0.1 程度の高精度の測定が可能 (Wikipedia) From Prof. Harada

23 補足 : 光電子励起光のエネルギー 可視光線 X 線 軟 X 線 硬 X 線 赤外線 紫外線 真空紫外線 光の波長 (nm) 光のエネルギー (ev) UV-Laser He, He Synchrotron Radiation From Prof. Harada

24 定性分析例 :Vasa 号の XPS による腐食解析 in Nature Vasa 号 : 国力を示すために大砲を積みまくったスウェーデンの軍艦 1628 年初航海であっという間に沈没 1961 ストックホルムバーサ号博物館 From Prof. Harada

25 硫黄酸化物と硫黄による腐食が樫 ( カシ ) で出来た船板表面で進行している様子を XANES と XPS で定量的に解析 by M. Sandstrom, Nature 415, 893 (2002). 外側 内側 表面近傍に硫黄酸化物と硫黄が存在していることがわかった

26 B. 定量分析 光電子の量は X 線入射角度 光電子検出角度 X 線の量 試料における X 線のスポット ( 密度 ) 元素固有の断面積 ( 感度 ) 脱出深さ 装置の検出効率を用いて評価することができる

27 B. 定量分析 元素固有の ( イオン化 ) 断面積 ( クロスセクション ) * 入射 X 線のエネルギーによって異なる 元素ごと 軌道ごとの光電子放出断面積を考慮して元素の数密度に換算し元素それぞれの量の違いを評価する

28 B. 定量分析 相対感度係数法 : 相対感度は一般的にフッ化リチウムの F1s 強度が基準に用いられる ハンドブックに載っている 元素 A の割合 (at%) = ( 元素 A の XPS ピーク面積 )/( 元素 A の相対感度 ) Σ{( 元素 i の XPS ピーク面積 )/( 元素 i の相対感度 )} i このバックグラウンドはなんなのかを理解しておく必要が有る

29 B. 定量分析 定量分析の阻害要因 多電子励起効果 非弾性散乱効果 弾性散乱効果 定量分析をする際の留意点 (1) 試料深さ方向の原子の分布 (2) 試料の平坦性の均一性 (3) バックグラウンドの引き方 (4) 標準試料の使い方 (5) 感度係数の限界 巨大なバックグラウンド! 非弾性散乱 弾性散乱 定量分析は全ての効果を取り入れてもなかなか実際の化学組成を完璧には導き出せない難しさがある ( 具体例 X 線光電子分光法日本表面科学会編丸善 )

30 C. 状態分析 :XPS スペクトルに現れる化学シフト ( ポイント 5) 化学シフト : 外殻電子の結合に伴う内核電子の結合エネルギーシフト ( 原子の内殻軌道の結合エネルギーは核の正電荷による引力作用と他のすべての電子の負電荷による反発作用および周囲の原子の作る静電ポテンシャルによって決まる この原子の形成する結合によって変化したために起こるスペクトルピークの シフト ) 価数静電ポテンシャル = k q+ V 電気陰性度の高い元素との反応により外殻電子が供給されると電気的中性を保つために内核電子は核に近づき結合エネルギーを高める

31 XPS スペクトルに現れる化学シフト ( 重要 ) 具体例 Li O への電荷移動により O1s の結合エネルギーは低くなる Li O への電荷移動により Li1s の結合エネルギーが高くなる Li1s 電気陰性度の高い元素との反応により外殻電子が供給されると電気的中性を保つために内核電子は核に近づき結合エネルギーを高める

32 XPS スペクトルに現れる化学シフトの例 C1s スペクトルピークの化学シフト Intensity (cps) Intensity (cps) C の電荷増加減少 C1s の結合エネルギー 弱い強い

33 XPS スペクトルに現れる化学シフトの例 Si2p スペクトルピークの化学シフト Intensity (cps) Si の電荷 Si2p の結合エネルギー 増加 弱い 減少 強い Intensity (cps)

34 XPS スペクトルの化学シフトによってわかる分析例 phema コンタクトレンズと phema-pvp コンタクトレンズの C1s スペクトル C1s C1s Intensity (cps) Intensity (cps) phema コンタクトレンズでは HEMA に対応して C-O : O=C-O = 2 :1 となっている phema-pvpコンタクトレンズでは evにpvpに起因するo=c-n 成分がある ナノサイエンス株式会社 HP より

35 XPS スペクトルの化学シフトによってわかる分析例 窒素原子をドーピングしたグラファイト表面における窒素種の解析 Graphitic N N 1s, h = 700 ev Intensity (cps) Graphitic-N 54.3% After 900 K Pyridinic-N 31.4% N : 2.7 at% Pyridinic N H C N Graphitic-N は正に帯電しており結合エネルギーが Pyridinic-N に比べて約 3eV も高い T. Kondo et al., Phys. Rev. B 86 (2012)

36 XPS スペクトルの化学シフトによってわかる分析例 X-ray Photoelectron Spectroscopy (XPS) 放射光施設の XPS が持つ高いエネルギー分解能により吸着している窒素分子の 2 つの N を区別して計測 Stanford Synchrotron Radiation Lab HP より

37 表面敏感にした XPS 光電子の脱出深さの違いを利用し入射角度を変化させて計測 表面敏感 d 1 > d 2 であるため試料を傾けると表面敏感になる

38 プラズマ処理されたコンタクトレンズの C1s 表面状態解析 検出角度が大きい (90 ) 検出角度が小さい (10 ) 表面で炭素と酸素の結合が増え複数の結合を持つことがわかる

39 化学状態の深さ方向分析 ( 表面を破壊しながら計測 ) 試料破壊の方法 イオンスパッタリング 試料研磨 化学エッチング ハードディスク表面の深さ方向分析 Ar + Y. Ishida et al., Phys. Rev. Lett. 91, (2003)

40 XPS に関連する測定 (1):AES オージェ電子分光 (Auger electron spectroscopy: AES): 真空中で X 線または電子線を測定対象に照射し 放出されるオージェ電子の速度 ( 運動エネルギー ) を分析する手法 オージェ電子のエネルギーは入射粒子線のエネルギーに依らない ( 運動エネルギーは元素によって異なり一定 ) 特徴 (1) 試料極表面 ( 数 nm~ 数 μm 程度 ) の領域についてLiより大きい原子番号の元素の組成分析が可能 (2) 低速電子線回折 (LEED) 装置と併用で使用でき XPS よりも小規模なスペースで測定が可能

41 XPS に関連する測定 (2):UPS 紫外光電子分光法 (Ultraviolet Photoelectron Spectroscopy: UPS): 紫外光照射により光電効果で放出される電子の運動エネルギー分布を測定する手法 特徴 (1) 試料極表面 ( 数 nm 程度以下 ) の価電子状態が分かる (2) エネルギー線幅が狭い光であるためフェルミ準位近傍の電子状態を高感度且つ高分解能で測定可能 測定試料の仕事関数値よりも高いエネルギーを持つ紫外光を照射することで 試料表面から電子が放出 ( 紫外光 :He I 線 21.22eV, He II 線 :40.8 ev ) フェルミ準位近傍の電子状態 (3) 高エネルギー分解能を利用して材料の仕事関数測定が可能 これ以上深いところは入射エネルギーを超えるため見れない MST HP より

42 フェルミ準位近傍のスペクトル Intensity (arb. units) Au 4f Binding Energy (ev) フェルミ ディラック分布関数に従う状態密度であることがスペクトルの温度依存性からわかる

43 フェルミ準位近傍のスペクトル Intensity (arb. units) Au 4f Binding Energy (ev) フェルミ ディラック分布関数に従う状態密度であることがスペクトルの温度依存性からわかる

44 フェルミ準位近傍のスペクトル例 : 超伝導ギャップの観測 クーパー対 : 電子同士がフォノン ( 格子振動 ) を仮想的に交換 ( 或いはフォノンを介して運動量を交換 ) することによって 電子同士に引力が働くと考える この引力によって生じる電子対 ( スピンは互いに逆向き かつ対の全運動量がゼロ ) をクーパーついと呼ぶ

45 フェルミ準位近傍のスペクトル例 : 超伝導ギャップの観測 クーパー対 : 電子同士がフォノン ( 格子振動 ) を仮想的に交換 ( 或いはフォノンを介して運動量を交換 ) することによって 電子同士に引力が働くと考える この引力によって生じる電子対 ( スピンは互いに逆向き かつ対の全運動量がゼロ ) をクーパーついと呼ぶ フェルミエネルギー近傍の測定は超高分解能の光電子分光装置と比べても原子レベルの空間分解能を持ち測定が可能な走査トンネル分光 (STS) の方が優れているのが現状

46 XPS に関連する測定 (3):XES X 線発光分光法 (X-ray Emission Spectroscopy: XES): 光電子の放出後に X 線の吸収などによって生じる X 線発光を分析することで 測定対象の物質の電子状態を観測 X 線の吸収の特徴である元素選択性を利用して 物質中の元素ごとに部分的に電子状態を観測することができる特徴がある X-ray Emission Spectroscopy (XES) 水平方向の発光スペクトル 試料基盤に対して垂直方向を z 方向とすると垂直方向の発光スペクトルには P x P y 成分の電子状態が水平方向 x 方向の発光スペクトルには P y P z 成分の電子状態が反映される ( 発光の方向と軌道の向きとの間に対応関係がある ) 光電子が出た後の緩和の際に出る X 線を分光する計測が XES 垂直方向の発光スペクトル P. Bennich, A. Nilsson et al., Phys. Rev. B 57 (1998) 9274

47 XPS に関連する測定 (4):XAS X 線吸収分光法 (X-ray Absorption Spectroscopy: XAS): 測定原理 :X 線を物質に照射して 内殻電子が励起され 非占有軌道などの高い準位に入る際の X 線の吸収を測定する ( この際の電子遷移は双極子遷移であり 全軌道角運動量 L の基底状態と励起状態の差 L=±1 を満たす遷移が許容となる ) 特徴 : 物質中の対象原子固有の状態密度や局所原子構造や格子パラメータや分子配向や結合長を測定可能を求めるために使われている手法 測定対象となる物質は 気体 固体 液体 溶液などと幅広い 強度は非占有準位の状態密度を反映 形はコアレベルの状態密度を反映 入射光角度の違いにより電場ベクトルが相互作用するダイポールが異なるために軌道をダイポール選択的に観測可能

48 XPS に関連する測定 (4):XAS スペクトルでは内殻電子がX 線を吸収し始めるエネルギーで吸収量が急激に変化するため この閾値部分が吸収端 (absorption edge) と呼ばれている 吸収端は 励起される内殻 ( コアレベル ) によってエネルギーが大きく異なるため 励起される内殻電子の主量子数 n =1,2,3に対応してK 端, L 端, M 端などと呼ばれる エックス線吸収微細構造 (near-edge X- ray absorption structure:nexafsまたはx-ray absorption near edge structure:xanes):x 線吸収原子の電子構造 局所構造の対称性などの幾何学的情報が得られる広域 X 線吸収微細構造 (Extended X-ray Absorption Fine Structure:EXAFS) 光電子が隣接する原子により散乱され 光電子とその散乱波との干渉により 内殻電子の励起確率 すなわちX 線吸収係数が変化する この解析から隣接する原子位置などの情報が得られる

49 XPS に関連する測定 ( 4 ):XAS の具体例 窒素ドープグラファイト表面の CO 2 の吸着構造測定 O 1s XAS on CO 2 /N-doped HOPG@ SPring-8, BL27 ビームダメージを避けるため試料スキャンをしながら測定 0deg (σ sensitive) E 70 deg (π sensitive) Intensity (arb.units) Intensity (arb.units) CO 2 /N-HOPG O 1s K-edge XAS 530 1s π* 535 1s σ* 540 Photon energy (ev) Photon Energy (ev) 0 deg 70 deg 545 hν N-HOPG X-ray adsorption corresponds to excitation of core-electron CO 2 の分子軸が表面と平行であることを示している Energy (ev) H.Kiuchi, S. Shibuya et al., Nano. Res. Lett. 11 (2016) 127. σ* π* 1s E

50 X 線照射に伴う電子遷移などのまとめ コアレベルの励起 (Creation of Core Holes) コアレベルの緩和 (Decay of Core Holes) 共鳴 (Resonant Processes) Resonant Processes

51 光電子分光の発展形 : 角度分解光電子分光 (ARPES) Angle-integrated Density of states Angle-resolved Band dispersion (k x ) 1 (k y1 ) (k x ) Binding energy Binding energy Binding energy Angle-integrated PES Angle-resolved PES (k x ) 2 (k y2 ) Z Z X X Y Y Binding energy

52 角度分解光電子分光 (ARPES) によるバンドマッピング 結晶中で光によって励起された電子は 真空に飛び出す前に結晶の表面を通過しますが その際 運動量の表面に平行な成分は結晶内外で保存される という性質がある この為光電子は 結晶中での運動量についての情報を持ったまま真空中に出て来る また 光の運動量は電子に比べて小さいので 基本的には光電子の運動量を元々電子が持っていた運動量と対応付けて良いと考えられる 表面に平行な運動量成分は 放出角度を測定することで決定できる よって detector の角度を連続的に変えて光電子測定を行えば 電子のエネルギーと運動量 ( 波数 ) の関係 ( バンド分散 ) を実験的に決定することができる T. Takahashi et al., J Electron Spectrosc. Relat. Phenom (1998).

53 補足 : 電子状態密度 (DOS) とは何か? まず 固体の電子状態を考えるにあたり : 分子軌道の形成と同じようにバンド構造の形成を考える 電子軌道の重なり : 混成軌道の形成 相互作用の大きさ E 1 S 重なり積分 空間が広がると電子のエネルギーが下がる α+β α+ 2β α α α-β α- 2β 原子 分子の軌道からバンドの形成

54 補足 : 電子状態密度 (DOS) とは何か? 波の波数 kに対するエネルギーの変化は軌道の形によって異なる p 軌道 s 軌道 各エネルギーにおける電子状態の数 ( 密度 ) エネルギー分散関係 電子状態密度 Density of States (DOS) DOS は空間的に分布を持つため ある特定の場所での DOS を局所状態密度 (LDOS) と呼ぶ

55 演習問題 (1)XPS とはどのような計測手法であるか原理を説明せよ (2)XPS 装置の構成を説明せよ (3)XPS が基本的に物質の表面分析であることの理由を説明せよ (4)2 つの異なる金属試料の XPS スペクトルを比べる際に それぞれの金属試料の仕事関数の違いはどのように考えたらよいかを述べよ (5)XPS で重要な概念である化学シフトを説明せよ

56 Macroscopic Vs Microscopic Electronic spectroscopy is a Macroscopic technique, To understand the overall property.

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