土木学会論文集 E2( 材料 コンクリート構造 Vol. 70, ), No. 2, , C-S-H の組成がゲル空隙の量およびゲル空隙の空隙径分布に及ぼす影響 須田裕哉 1 佐伯竜彦 2 斎藤豪 3 1 正会員豊田工業高等専門学校助教環境都市工学科 (

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1 C-S-H の組成がゲル空隙の量およびゲル空隙の空隙径分布に及ぼす影響 須田裕哉 1 佐伯竜彦 2 斎藤豪 3 1 正会員豊田工業高等専門学校助教環境都市工学科 ( 豊田市栄生町 2-1) ysuda@toyota-ct.ac.jp 2 正会員新潟大学准教授工学部建設学科 ( 新潟市西区五十嵐 2の町 85 番地 ) saeki@eng.niigata-u.ac.jp 3 正会員新潟大学准教授工学部建設学科 ( 新潟市西区五十嵐 2の町 85 番地 ) tsaito@eng.niigata-u.ac.jp 本研究は, セメント硬化体の中で主要な水和物である C-S-H が保有しているゲル空隙に対し, その組成変化が及ぼす影響を明らかにすることを目的として検討を行った. 本研究では,C-S-H のゲル空隙について検討するため, エーライト水和試料の水蒸気吸着等温線に着目し, 水和物 (C-S-H) が保有している水分と毛細管空隙中の水分を分離した. 次に, 得られた C-S-H の水蒸気吸着等温線より,C-S-H の保有するゲル空隙の量や空隙径分布に対して C- S-H の組成が及ぼす影響について検討を行い,C-S-H の組成とゲル空隙の関係を明らかにした. その結果, その組成変化を考慮することで C-S-H のゲル空隙の量や空隙径分布を推定する方法を提案した. Key Words : C-S-H, C/S ratio, H/S ratio, gel pore, pore volume, pore size distribution 1. はじめにコンクリート構造物の性能照査型設計 維持管理体系への移行が進み, コンクリート構造物の性能を時間軸に沿って定量的に把握することが求められている. 適切な性能評価モデルの構築のためには, 供用開始からのコンクリート中で起きる水和反応および生成される水和物の組成, 基礎的な性質を適切に把握する必要がある 1), 2). その中で, 主要なセメント水和物であるケイ酸カルシウム水和物 (C-S-H) は, 結合材の種類にもよるが, セメント硬化体中での生成量は水和物の中で半分以上を占める. したがって,C-S-Hの組成や物理化学的性質がコンクリートの諸性能に及ぼす影響は大きいと考えられる. C-S-Hの組成であるCaO/SiO 2 モル比 (C/S 比 ) は, 一定ではなく結合材の種類, 配合, 材齢によって変化することが一般的に知られている.H 2 O/SiO 2 モル比 (H/S 比 ) もこれら要因によって影響され, 温度や湿度の変化によってもその値が変化する 3). さらには, それら組成の違いは,C-S-Hの物理的性質( 密度, 比表面積 ) を変化させ, ひいてはセメント硬化体の空隙構造に影響を及ぼすことも明らかになっている 4)6). 空隙構造は, 硬化体の力学的性質や気体, イオンの物質移動性状等のコンクリ ートのあらゆる性質に影響を及ぼすことから,C-S-Hの組成と空隙構造の関係を明らかにすることは重要である. また,C-S-Hはその構造内に数 nmオーダーの微細なゲル空隙を有している. ゲル空隙内の水分の移動は, 乾燥収縮やクリープといったセメント硬化体の体積変化に影響を及ぼすことが知られている 7). このような観点から, C-S-Hの微細構造に関する検討は数多く行われ, その微視的な構造モデルが提案されている. 一方で,C-S-Hの組成変化がゲル空隙の構造に及ぼす影響について検討した例は少なく, その影響は未だ明らかではない. そこで, 本研究では,C-S-Hのゲル空隙に着目し, ゲル空隙の量およびゲル空隙の空隙径分布に対してC-S-Hの組成変化が及ぼす影響について検討を行い,C-S-Hの組成とゲル空隙の関係を明らかにすることを目的とした. 2. C-S-Hの微細構造に関する既往の研究セメント硬化体内部の空隙構造は, 数 nm 程度の空隙をC-S-Hが保有しているゲル空隙,1nm~.1mmの水和物間に形成される空隙を毛細管空隙としてそれぞれ分類されている 8). これらセメント硬化体内部の空隙を測定する手法として, 水銀圧入法や気体吸着法がある. 水銀 134

2 圧入法はセメント硬化体内部の粗大な空隙を, 気体吸着法は微少な空隙をそれぞれ測定することが可能である. したがって,C-S-Hの微細構造に関する知見を得るため, 気体吸着法より多くの研究が行われ,C-S-Hの微視的構造モデルが提案されている.Powers 9) は, セメント硬化体の水蒸気吸着試験結果よりC-S-Hが保有する空隙をゲル空隙と定義した. また, その空隙内に存在する水分について, ゲル粒子内部または結晶内の層間の水を層間水とし, 粒子表面の水分は吸着水であるとした. さらに,C-S-Hのゲル空隙量は,C-S-Hの体積の28% であり, 大きさはおよそ14~28Å 程度であることを報告している. また,Feldman and Sereda 1) やDaimon ら 11) は, 水蒸気と窒素の吸脱着試験による吸着量の違いに着目し,C-S-Hの空隙について結晶内層間の空隙, 粒子内部の結晶間の空隙,C-S-H のゲル粒子間の空隙を定義している.Feldman らは, 水蒸気と窒素の吸着量の違いから, 水蒸気はC-S- Hの層間空隙に侵入可能であることを報告している. Jennings 12) は, 各温度や湿度で乾燥したC-S-Hの水分量, 密度および比表面積等の種々の検討結果に基づき,C-S- Hは層間を有した Globule が凝集した構造であると定義している. また,Globule 内の層間空隙をIntraglobular pores(igp),globuleに囲まれた空隙をその大きさに応じて,small gel pores(sgp),large gel pores(lgp) とした.IGPは1nm 以下の空隙,SGPは 1~3nmの空隙,LGPは 3~12nm の空隙として定義している. しかし,C-S-Hの微細構造に関する検討の多くは, ポルトランドセメントから生成されるC-S-Hであり, 混和材である高炉スラグ微粉末, フライアッシュおよびシリカフュームから生成されるC-S-Hに関する知見は少ない. 混和材から生成されるC-S-Hは, ポルトランドセメントから生成されるC-S-Hに比べC/S 比が低下し, その組成の違いがC-S-Hの微細構造, ひいてはコンクリートの性質に及ぼす影響は大きいものと考えられる. さらに, セメント硬化体のような多孔体の場合,C-S- Hのゲル空隙を評価するための水蒸気吸着等温線は, 高湿度において水蒸気が毛細管凝縮するとBrouwers 13) や Baroghel-Bouny 14), 丸山 五十嵐 15) によって報告されている. 永松ら 16) もセメント硬化体の水分逸散量の測定結果に基づき, 硬化体中の蒸発可能な水分を未水和水と水和生成物吸着水に分け, 低湿度では水和生成物吸着水が脱水し, 高湿度では水和生成物吸着水と未水和水の両者が脱水することを報告している. 以上のことから, 既往の研究に基づけばセメント硬化体の水蒸気吸着等温線は図 -1のように表されると考えられる. 図より, 低湿度における吸着では水和物 ( 主として,C-S-H) のゲル空隙といった微細な細孔壁面へ水蒸気の吸着が生じる. 高湿度における吸着ではゲル空隙への水分の充填に加え, ゲル空隙よりも粗大な空隙である 水蒸気吸着量 Capi Ger 毛細管水 吸着サイト 水和物 ゲル水水和物 (C-S-H) の吸着等温線 吸着サイト 水和物 毛細管空隙 相対湿度図 -1 セメント硬化体の水蒸気吸着等温線 毛細管空隙へ水蒸気が凝縮するものと考えられる. したがって,C-S-Hの微細構造を適切に評価するためには, ゲル空隙や毛細管空隙中の水分を定量的に把握した上で, 毛細管空隙の影響を分離する必要がある. そこで, 本研究では,Brouwersや永松らの検討を参考にC-S-Hのゲル空隙内の水分をゲル水, 毛細管空隙へ凝縮した水分を毛細管水とそれぞれ仮定した. なお, 本研究は, 水和物単独としての評価であること, 水和物の組成や性質の変化に着目し, それら影響を評価する点に特徴がある. さらに, 本研究の範囲内では, 分離後に評価したゲル空隙の妥当性を直接評価することができない. したがって, 実セメント硬化体中で生成されるC-S-Hを対象とした実証実験を行い, 本研究より定義したゲル空隙の妥当性や適用について検証を行った. 3. 合成 C-S-H および合成エーライトから水和生成した C-S-H の組成とゲル空隙の関係 本研究では,C-S-Hの組成変化が, そのゲル空隙の量や大きさに及ぼす影響に関して基礎的な検討を行うため, 単純な系である合成 C-S-Hおよび合成エーライトの水和によって生成するC-S-Hに着目し実験を行った. なお, 配合や養生条件がC-S-Hの組成や水分の吸着性状に及ぼす影響を把握する目的で, エーライト水和試料の水結合材比, 養生温度を変化させた. また,C-S-Hのゲル空隙についてより詳細な検討を行うため,Daimonら 11) の検討に基づき,C-S-Hの層間空隙まで評価することが可能な水蒸気吸着実験を行った. さらに, ゲル空隙と毛細管空隙の両者を分離し,C-S-Hの水蒸気吸着等温線の評価を試みた. (1) 実験概要 a) 合成 C-S-H の作製 C-S-H の合成は, 中村らの方法 17) に準拠した. 目標 C/S 比は,.8,1.,1.25,2. の 4 種類とし, 水酸化カルシウム飽和溶液とケイ酸エチルを C/S 比と液相のカルシウム濃度を考慮し, 所定の C/S 比となるよう混合した. 合成条件は, 窒素雰囲気下で 4C,48 時間である. 135

3 Ca(OH)2 Ca(OH)2 C/S ratio 2. C/S ratio 1.25 C/S ratio 1. C/S ratio.8 Silica gel 表 -1 での各塩類を用いた際の相対湿度 RH (%) 塩類 RH (%) 塩類 11C dry 66 NaNO 3 11 LiCl 75 NaCl 22 CH 3 COOK 8 NH 4 Cl 33 MgCl 2 6H 2 O 85 KCl 48 Zn(NO 3 ) 2 6H 2 O 9 ZnSO 4 7H 2 O CuKα 2θ/deg 図 -2 合成 C-S-HのXRDチャート図 -2 に, 合成 C-S-H の XRD チャートを示す. また, 併せてシリカゲルの XRD チャートも示す. 図より, 合成 C-S-H は,2θ=21 付近にシリカゲル由来のブロードな 18) ハローが見られないことや既往の研究と同様の回折チャートを示したことから,C-S-H の合成は適切に行われたものと判断した. また, 目標 C/S 比 2. の C-S-H は, 2θ=18 付近に水酸化カルシウムのピークが認められたため, 後述する熱重量分析により水酸化カルシウム量を測定し組成を補正した. その結果, 得られた C/S 比は目標に比べ低下し,1.52 となった. b) エーライトの合成エーライトの合成は,Yamaguchi and Takagi 19) が報告している Ca 16 Mg 2 (Na 1/4 K 1/4 Fe 1/2 )O 36 (Al 2 Si 34 O 144 ) の組成にしたがい特級試薬を用いて行った. 試薬の混合は, エタノールを用いて湿式混合で行った. 混合後, エタノールを揮発させ電気炉にて 16C で 3 時間焼成した. その後, 粉砕混合を行い, 再び電気炉にて焼成した. エーライトは, これらの操作を合計 3 回繰り返し合成した. 得られたエーライトの f-cao はセメント協会標準試験方法 A 法 による定量結果が.47% であり,XRD ではピークは確認されなかった. 得られたエーライトをボールミルにて粉砕し, ブレーン値を 34cm 2 /g に調整して実験に用いた. c) 水和試料の作製エーライトの水和試料はペーストとした. 養生温度は, 5C,C,4C とし, 水結合材比は 4% とした. また, 養生のみ水結合材比が 3%,5% の試料も作製した. 練混ぜ水には, イオン交換水を使用した. 合成したエーライトおよび練混ぜ水を養生温度と同じ温度に調整し, 3 分間ペーストの練混ぜを行った. 練混ぜ後, ペーストはプラスチック瓶に詰め, 窒素を封入し, それぞれ 5C, C,4C の恒温槽にて所定材齢 (1 日,3 日,7 日,28 日,91 日 ) まで封緘養生を行った. d) 試料の水和停止および乾燥条件測定の前処理として, 合成 C-S-H のスラリー状の試料は吸引濾過にて固液分離を行い, 硬化したエーライト水和試料はプラスチック瓶から取り出し 5mm 程度に粗砕した. その後, 試料をアセトン中に浸漬し,2 日後にアスピレーターで減圧させながらアセトンを揮発させ, 58 Mg(NO 3 ) 2 6H 2 O 97 K 2 SO 4 RH11% 環境下の真空デシケーター内で試料が恒量になるまで乾燥した. 乾燥後, ボールミルにてエーライト硬化体を粉砕し, 合成 C-S-H は, 塊を乳鉢で軽くほぐした後, それぞれ 9μm ふるいを全通させた. 全通後の試料は,RH11% 乾燥または 11C 乾燥により恒量になるまで乾燥させた.9μm 全通後の試料に関して,RH11% による乾燥期間は 1 週間から 2 週間ほど,11 による乾燥期間は 1 日から 3 日ほど行った. e) 強熱減量および水酸化カルシウム量の測定熱重量測定装置 (TGA) より, 試料の強熱減量および水酸化カルシウム量を測定した.TGA の測定は,N 2 フロー環境下で昇温速度 C/min で行い,RH11% 乾燥試料では,5C から 1C の重量減少量より,11C 乾燥試料では,11C から 1C までの重量減少量より試料の強熱減量を求めた. 水酸化カルシウム量は,45C 付近における DTG 曲線の変曲点を水酸化カルシウムの脱水によるものと仮定し算出した. f) エーライト水和試料の反応率の測定エーライトの反応率は,XRD/Rietveld 解析より算出した. 解析ソフトは,Topas 4.2 (Bruker AXS 社製 ) を使用した. 測定試料は 9μm 全通後の RH11% 乾燥試料を用い, 内部標準物質には特級試薬の α-al 2 O 3 を試料に対し内割りで 1% 混合した. 解析における定量対象は, エーライト, 水酸化カルシウム, カルサイト, ペリクリース, コランダムとした. 得られた未反応エーライト量より, 各材齢におけるエーライトの反応率を算出した. g) 合成 C-S-H, エーライト水和試料の水蒸気吸着実験水蒸気吸着量の測定は 9μm ふるいを全通後の 11C 乾燥を行った試料を用いた. 本研究では 11C 乾燥を RH% と定義した.11C 乾燥を行った試料は, 各種飽和塩類を用いて C 環境下で調湿した真空デシケーター内にて, 試料が恒量になるまで 2 週間から 4 週間ほど静置し水蒸気吸着量を得た. 恒量の判定は,1 日の質量変化率が.5% 以下となった時点とした. 調湿に用いた塩類を表 -1 に示す. 各塩類を用いて湿度を調整したデシケーター内には, 温湿度センサー ( 精度 RH±1%) を入れ, 湿度を確認した. センサーの測定では, 試料質量測定時の湿度は, 表 -1 に示す理論相対湿度の ±3% 以内に収まっていることを確認した. したがって, 本研究の 136

4 Water adsorption (g/g of sample at 11ºC) d 91d 1d 91d 1d 91d 91d 1d (a) W/B: 3% ºC (b) W/B: 4% ºC (c) W/B: 5% ºC (d) W/B: 4% 5ºC 図 -3 エーライト水和試料の水蒸気吸着量 (e) W/B: 4% 4ºC Specific surface area (m 2 /g) % ºC 4% ºC 5% ºC 4% 5ºC 4% 4ºC Age (days) 図 -4 エーライト水和試料の比表面積 Thickness of adsorbed water (nm) % ºC 3% ºC 91d 4% ºC 4% ºC 91d 5% ºC 5% ºC 91d 4% 5ºC 4% 5ºC 91d 4% 4ºC 4% 4ºC 図 -5 エーライト水和試料の統計的吸着層厚さ 検討で用いた相対湿度は, 表 -1 に示す理論値とした. また,BET 理論より, 水蒸気吸着量の測定結果から試料の BET 比表面積を算出した. (2) 実験結果 a) エーライト水和試料の水蒸気吸着等温線図 -3 に, 水結合材比, 養生温度を変化させたエーライト水和試料の水蒸気吸着量を示す. 図より, 各試料とも, 材齢の経過によって RH75% までの水蒸気吸着量が増加した. また, 高湿度では, 吸着量が急激に増加し, 一部の試料において若材齢の試料の水蒸気吸着量が長期材齢の試料に比べ増加する傾向を示した. ここで, 図 -3 に示される RH11%,RH22%,RH33% の水蒸気吸着量より BET 理論を用いてエーライト水和試料の BET 比表面積 ( 以下, 比表面積 ) を算出した. 算出した各配合の比表面積の経時変化を図 -4 に示す. 図より, 各配合とも, エーライト水和試料の比表面積は経時的に増加した. これは, エーライト水和試料において, 水蒸気の吸着サイトとなる C-S-H の生成量が経時的に増加したためと考えられる. 一方で, 図 -3 に示されるように, 高湿度 (RH75%~RH97%) における材齢 7 日の水蒸気吸着量は, 材齢 28 日や 91 日に比べ増加する傾向を示しており, この傾向を比表面積の影響のみで説明することはできない. これら高湿度における水蒸気の吸着について, Brouwers 13) や Baroghel-Bouny 14), 丸山 五十嵐 15) は, 各相対湿度における統計的吸着層厚さより考察している. Brouwers や Baroghel-Bouny は, セメント硬化体の RH5% 以下の水蒸気の吸着は水和物が保有するゲル空隙で生じ, RH5% 以上ではゲル空隙および毛細管空隙で生じることを報告している. 丸山 五十嵐も同様に, セメントペーストの統計的吸着層厚さの評価を行い,RH4% 以下では, 材齢の違いによらず吸着層厚さは一致するが, RH4% 以上では, 吸着層厚さは一致しないことを報告している. したがって, 本研究では, 水蒸気吸着量の測定試料は 9μm 以下に粉砕しているが,9μm 以下の毛細管空隙は試料中に存在していると予想される. 以上のことから, 本研究では, エーライト水和試料中の毛細管空隙の影響を把握する目的で, 以下の式より各相対湿度おける統計的吸着層厚さを評価した. A t S w ここで,t: 統計的吸着層厚さ (m),a: 水蒸気吸着量 (g/g),ρ w : 水の密度 ( g/m 3 ),S: 比表面積 (m 2 /g) である. 図 -5 に, エーライト水和試料の各相対湿度の統計的吸着層厚さを示す. 図より,RH%~66% の範囲における統計的吸着層厚さは, 材齢や配合, 養生温度の違いによらず同一曲線で示された. 一方で, (1) 137

5 1/V (g/cm 3 ) RH75% 以上の直線式より A を算出 W/B: 5% ºC RH66% 高湿度のゲル空隙の吸着量は 1 RH66% 以下の直線式を延長することで算出 ln(h) 図 -6 エーライトの水和試料における式 (5) の適用例 Density of water (g/cm 3 ) 1.6 RH66% 以下 3% ºC 91d 4% ºC 91d 1.4 5% ºC 91d 1.2 RH75% 以上 Amount of adsorbed water (g/g) 図 -7 水蒸気吸着量と水の密度の関係 RH66% 以上では, これら違いによって異なる曲線を示した. 高湿度で示された傾向は,Baroghel-Bouny が指摘しているようにセメント硬化体で生じる毛細管凝縮の影響によるものと考えられる. ここで,RH66% 以下の空隙径は,Kelvin 式よりおよそ 5nm 以下と算出され, ゲル空隙の空隙域に相当する. したがって, この湿度域の吸着水は,C-S-H が保有するゲル空隙内の水分 ( ゲル水 ) とし,RH66% 以上における吸着水は, ゲル空隙および毛細管空隙へ凝縮した水分としてゲル水と毛細管水と仮定した. なお, 実験結果に基づいたこれら仮定は, 本研究の範囲内で直接評価することはできない. しかし, 丸山 五十嵐 ) は 29 Si-NMR の検討で, 高湿度領域においても C-S-H の水の吸着サイトとなる Si の結合状態が変化することを指摘している. 湊ら 21) も, 2 H-NMR の測定から, 高湿度においてもバルクの水に比べ表面からの電気的な影響により拘束を受ける水分 ( 準吸着水 ) の存在を示唆している.4 章や 6 章で詳細に説明するが, 本研究においても, 高湿度におけるゲル水が C-S-H の C/S 比や比表面積の影響を受けることが示されている. また, 工学的な利便性を考慮した場合, 高湿度のゲル水を C-S-H の H/S 比の Hの一部として評価でき, さらには, 本研究で定義したゲル空隙に基づいてセメント硬化体の毛細管空隙量が一定の精度で評価できることなどから, 本研究では高湿度における水分をゲル水と毛細管水と仮定した. 水酸化カルシウムの水蒸気吸着量は C-S-H に比べ十分小さいことが著者ら 22) の検討より明らかになっており, 水蒸気の吸着は C-S-H のみで生じていると仮定した. 以上の検討から, 本研究ではエーライト水和試料に吸着する水分として,C-S-H のゲル空隙中のゲル水と毛細管空隙中の毛細管水を仮定した. b) ゲル水と毛細管水の評価本研究では,C-S-H の水蒸気吸着等温線を評価するため, ゲル水と毛細管水の評価を行った. なお, ゲル水と毛細管水の評価は, 毛細管空隙の影響がほとんどなく水和物のみの水蒸気の吸着が支配的である RH%~66% ま での吸着量を用いた. また, 内海 23) によって提案された水蒸気吸着等温線より, 高湿度の吸着量を算出した. 以下に, 内海が提案した吸着等温関係における空隙径分布特性を表現するモデル式を示す. U V a a V s R U hy a a ここで,V s : 吸着質が充填されていない空隙量 (m 3 /g),u a : 相対湿度と吸着量の相関に対して空隙の分布特性を決定づける定数 (m 3 /J),Φ a : 水の界面エネルギー (J/m 3 ),V : 飽和吸着量 (m 3 /g),r hy : 有効水理半径 (m) である. また, 吸着量 V(m 3 /g) と相対湿度 hより吸着等温関係式は以下の式で示される. V V ln v h (2) (3) a (4) URT a ここで,Ω: 無次元の定数,v a : 吸着質の比容積 (m 3 /mol),r: 気体定数 (J/mol K),T: 絶対温度 (K) である. また式 (4) は, 次式のように表記できる ln h V V V したがって, 実験より得られる吸着量の逆数を-ln(h) に対してプロットし, 式 (5) の傾きである 1/(ΩV ) および切片である 1/V を決定すれば, 式 (2) より任意の試料における空隙径分布を表現することが可能である. 図 -6 に, 本研究のエーライト水和試料に式 (5) を適用した結果の一例を示す. 吸着量の逆数 (g/cm 3 ) を算出する際の水の密度は 1. g/cm 3 とした. 図より,RH66% を境 ( 図中矢印 ) に, 湿度と吸着量の逆数が異なる直線式で示された. 内海の検討においても, 高湿度領域では水蒸気および窒素の吸着実験において同様の傾向が認められている. 低湿度領域で吸着する水分は, 物質表面からの影響を強く受け, その構造や密度といった性質がバル (5) 138

6 Water adsorption (g/g of sample at 11ºC) d 91d 1d 91d 1d 91d 91d 1d (a) W/B: 3% ºC (b) W/B: 4% ºC (c) W/B: 5% ºC (d) W/B: 4% 5ºC 図 -8 毛細管空隙の影響を分離したエーライト水和試料の水蒸気吸着量 (e) W/B: 4% 4ºC クの水分と大きく異なることが指摘されている 24). 図 -6 に示される RH66% 以上において異なる直線関係となった要因として, 低湿度の吸着水が C-S-H 表面からの影響を強く受け, その構造や密度といった性質がバルクの水と異なることが考えられる. 本研究では, 吸着量の逆数を算出する際は水の密度を 1. g/cm 3 としているが,C-S- H の層間空隙の水の密度は, 最大で 1.45 g/cm 3 程度になることも報告されている 25). この影響について検証するため, 高湿度の吸着量から得られた直線式を低湿度側へ外挿し, 各湿度における吸着量の逆数の実験値と計算値から以下の式を用いて水の密度を算出した. A ' (6) w w A' ここで,ρ w : 各湿度の水の密度 (g/cm 3 ),A: 水蒸気吸着量の実験値 (g/g),a : 高湿度側の直線式から得られる水蒸気吸着量の計算値 (g/g),ρ w : 水の密度 (1. g/cm 3 ) である. 図 -7 に, 各湿度における水の密度と水蒸気吸着量の関係を示す. 図より,RH66% 以下の水の密度は吸着量の増加によって低下し,RH66% 以上では 1. g/cm 3 程度の値を示した. この傾向は,C-S-H と同様に層間空隙を有するモンモリロナイトの膨潤挙動時の水の密度変化と同様である 26). また,RH66% 以下の水の密度は,Feldman and Ramachandran 25) の報告と同程度の値を示した. したがって, 中低湿度域の水分は C-S-H 表面からの影響を強く受けており, 高湿度域の水分はその影響が弱く, バルクの水の密度と同程度であることから毛細管空隙中に存在しているものと考えられる. さらに, 内海らの提案式は有限な空隙を有するセメント硬化体において, 低湿度から高湿度に至るまで直線関係が成り立つことが確認されている. 本研究では,C-S- H のゲル空隙を算定する際に, 硬化体中で生成される C-S-H は有限であり,C-S-H 内部のゲル空隙もまた有限であると判断し低湿度における直線式を外挿することで高湿度の水蒸気吸着量を補完した. なお, 仮定したゲル 11C 乾燥後 TGA 水蒸気吸着等温線結合水 ゲル水結合水 + ゲル水 RH i%: 11, 22, 33, 48, 54, 66, 75, 85, 9, 97, 1 図 -9 各相対湿度における結合水 + ゲル水量の概要空隙への吸着量の妥当性に関しては, 後述するセメント硬化体における実験より検証を行い, 本仮定に対する工学的な有用性を確認している. したがって, 高湿度における C-S-H のゲル水量を評価するため, 本研究では, 各エーライト水和試料の RH66% までの吸着量から得られた直線式 (5) を用いることで,RH66% 以上におけるゲル水量を算出した. 図 -6 に, 高湿度のゲル水量を算出するための模式図を示す. 図より, エーライト試料の高湿度におけるゲル水量は, 各試料の RH66% までの水蒸気吸着量から得られた直線式 (5) より,RH66%~1% の水蒸気吸着量を算出した. 高湿度におけるゲル水量の算出は, 全てのエーライト水和試料について行った. 毛細管空隙の影響を分離したエーライト水和試料の水蒸気吸着量を図 -8 に示す. 図より, 低湿度から高湿度に至るまで C-S-H のゲル水量は, 材齢の経過とともに増加した. 以上の検討より, ゲル空隙および毛細管空隙内の水分であるゲル水, 毛細管水を分離し, エーライト水和試料中の C-S-H のゲル水量を評価した. 次章では,C-S-H のゲル水量より,C-S-H の組成とゲル空隙の関係について検討した. 4. C-S-H の組成とゲル空隙の関係のモデル化本章では,C-S-H の組成とゲル空隙の関係について, エーライト水和試料から得られた結果を用いて基礎的な検討を行った. 検討項目は, ゲル空隙中のゲル水量とゲル空隙量, ゲル空隙の空隙径分布である. 139

7 Amount of combined water + gel water (%) RH% W/B Temp. 3% ºC 4% ºC 5% ºC 4% 5ºC 4% 4ºC RH48% y=.262x R 2 :.975 RH85% y=.286x R 2 :.955 (a) RH11% (b) RH22% (c) RH33% (d) y=.232x y=.244x y=.254x R 2 :.975 R 2 :.977 R 2 :.976 y=.21x R 2 :.97 (e) RH56% (f) RH66% (g) RH75% (h) y=.269x y=.276x y=.278x R 2 :.974 R 2 :.97 R 2 :.965 (i) RH9% (j) RH97% (k) RH1% (l) y=.293x y=.298x y=.35x R 2 :.947 R 2 :.937 R 2 : Reaction ratio (%) Reaction ratio (%) Reaction ratio (%) 図 -1 各相対湿度におけるエーライト水和試料の反応率と結合水 + ゲル水量の関係 Reaction ratio (%) 表 -2 各相対湿度での n の値 RH % 11% 22% 33% 48% 56% 66% 75% 85% 9% 97% 1% n (1) エーライトの反応率と各相対湿度の水分量の関係著者ら 5), 22) の検討より, 図 -9 に示すようにエーライト水和試料において,11 乾燥後, 試料を 1 まで強熱した際に得られる減量 ( 以下, 結合水量 ) に, 各相対湿度の吸着水量 ( ゲル水量 ) を加えることで,C-S-H の H/S 比の算定が可能である. したがって, 図 -8 に示されるゲル水量に基づいて, 各湿度における C-S-H の H/S 比を算出した. 図 -1 (a)~(l) に, 各相対湿度におけるエーライトの結合水 + ゲル水量と反応率の関係を示す. 図より, 湿度が同一の場合, エーライトの結合水 + ゲル水量と反応率の関係は, いずれの相対湿度においても水結合材比や養生温度によらず直線式で表すことができる. y k x (7) ここに,y : 各湿度における結合水 + ゲル水量 (%),x : エーライトの反応率 (%),k : 定数である. 式 (7) より,k は最小二乗法によるフィティングによって算出した. 得られた直線式を図 -1 中に示す. ここで, セメント硬化体中の水分として,Brouwers 13) は 1.1Pa の水蒸気圧となる過塩素酸マグネシウムを乾燥剤として使用した乾燥方法 (P-dry) によって逸散する水 分を蒸発性水分,P-dry 後の試料の水分を水和物と化学的に結合している水分として非蒸発性水分,P-dry 後の試料に吸着する水分をゲル水として定義した. 佐川ら 27) は,Brouwers の報告に基づき 15C 乾燥後のセメント硬化体の水分を水和物と化学的に結合した水分 ( 結合水 ) と定義している. 本研究では,Brouwers, 佐川らの報告に基づき RH% 時 (11 乾燥 ) の結合水量を化学的に結合した水分量と定義した. なお, 本研究における 11 乾燥後の結合水量が,Brouwers が定義した非蒸発性水分と同一であるかについてはより詳細な検討が必要である. しかし, 本研究の目的は,C-S-H の組成がゲル空隙に及ぼす影響を明らかにすることである. したがって,11 乾燥後の結合水量を非蒸発性水分と仮定しても,C-S-H の組成変化がゲル空隙の量や大きさに及ぼす影響についての相対的な比較は可能と考えられる. 以上のことから,RH1% を飽和状態とし,RH1% 時の結合水量 ( 結合水 + ゲル水 ) を全水分量として定義した. (2) C-S-H の C/S 比と H/S 比の関係図 -1 の直線式を用いて, 以下に示す化学反応式より 14

8 Water content (wt% of saturated C-S-H) Synthesized C-S-H (Total water) Synthesized C-S-H (Combined water) Gel water Total water Combined water Average C/S ratio (mol/mol) 図 -11 飽和状態におけるC-S-HのC/S 比と水分量の関係 Average H/S ratio (mol/mol) Synthesized C-S-H (RH%) Synthesized C-S-H (RH11%) Thomas et al. (D-dry) Eq. (12) RH11% Eq. (12) RH% Average C/S ratio (mol/mol) 図 -12 C-S-HのC/S 比とH/S 比の関係 各相対湿度における C-S-H の C/S 比,H/S 比を算出した. なお, ゲル水は C-S-H のみが保有していると仮定した. acs b Ha CSH 3 3 n a C SH c CH (8) p q 式 (8) の各係数は, 物質収支から以下の式で表される. n b a (9) p 3 ca (1) q n c a (11) q p3 n (12) 式 (8) より,a はエーライトの反応量,b は各湿度における結合水 + ゲル水量,p は C/S 比,q は各湿度における H/S 比,c は生成した水酸化カルシウム量である. また式 (9) は, エーライトと水の分子量を考慮すれば, 図 -1 の傾き k を用いて以下の式で表される. n k (13) 表 -2 に, 各相対湿度で得られた n の値を示す. また式 (12) より,H/S 比である qは C/S 比である pと比例関係にある. したがって,n の値を決定すれば, 式 (12) より C-S-H の H/S 比は, 水結合材比や養生温度の違いによらず C/S 比の関数として表すことが可能となる. なお, 本研究より飽和状態における C-S-H の組成として,C/S 比が 1.7 のとき H/S 比は 2.6 となる. 一般的に, 飽和状態における C-S-H の H/S 比は 4. と報告されており, 本検討結果はこの値と比較して小さい. これら違いについて,Thomas ら 28) は, 中性子準弾性散乱 (QENS) により, 合成 C 3 S とポルトランドセメントの水和試料中の水分の測定を行い,C-S-H の水分状態の評価を行っている. 各水和試料の QENS による測定から, 水和試料中の水分として自由水 ( 液状水 ) と構造水 ( 化学結合水 + 層間空隙中の水 ) 以外の水分があることを確認し, その水分を拘束水と定義した. また,C 3 S ペーストの測定結果から, 各水分状態における C-S-H の組成 (H/S 比 ) と して, 構造水と拘束水を C-S-H が保有している水分とし両者の合計を全水分と定義した. このとき,C-S-H の組成は C/S 比が 1.7 とすると,H/S 比が 2.7 になることを報告している. また,H/S 比 4. は, 自由水も含めた値であることを報告しており, 本研究における飽和状態の H/S 比 2.6 は,Thomas らが報告した全水分における H/S 比 2.7 とほぼ一致した. したがって, 本検討より得られた飽和状態の H/S 比は,Thomas らが示した全水分を評価しているものと考えられる. (3) C-S-Hの組成とゲル水量の関係本節では,C/S 比の変化がC-S-Hのゲル空隙の量に及ぼす影響を明らかにするため, エーライトから生成したC- S-Hに着目し検討を行った.4 (2) 節の検討より, 各相対湿度におけるC-S-HのH/S 比は,C/S 比を関数として表すことができる. したがって,RH1% のH/S 比である q RH1% とRH% 時のH/S 比であるq RH% を用いて, 飽和状態におけるC-S-H のゲル水量は, 以下の式より算出できる. G w q q RH 1% RH % p q RH 1% 1 (14) ここで,G w :C-S-Hのゲル水量(wt% of saturated C-S-H) である.H/S 比がC/S 比の関数として表されることから, 式 (14) よりC-S-Hのゲル水量もC/S 比を関数とした式で表される. 式 (14) より得られる飽和状態におけるC-S-Hの C/S 比と結合水量および全水分量の関係を図 -11 に示す. 図には, 合成 C-S-Hより求めたC/S 比と結合水量および全水分量の関係も併せて示す. なお, 全水分量から結合水量を差し引いた水分量はゲル水量である. 図中の実線は式 (14) より算出したC/S 比と結合水量, 全水分量であり, 図中のプロットは合成 C-S-Hの結果である. 図 -5に示されるように, 合成 C-S-Hもゲル空隙と毛細管空隙を分離し, ゲル空隙の水蒸気吸着量を用いて水分量の評価を行った. 図より,C/S 比が低下するとC-S-Hの結合水量は減少した. 全水分量はほぼ一定であり, ゲル水量はC/S 比の低下に伴い増加する傾向を示した. 特に,C/S 比の低 141

9 Gel pore (vol% of saturated C-S-H) Average C/S ratio (mol/mol) 図 -13 飽和状態におけるC-S-HのC/S 比とゲル空隙の関係 Amount of absorbed water (g/g of C-S-H at %RH) C/S ratio 1.8 C/S ratio 1. C/S ratio 図 -14 C-S-Hのゲル空隙への吸着等温線 27) 下によってゲル水量が増加する傾向は, 佐川らの結果 と同様である. また, エーライトから得られた結果は, 合成 C-S-Hの結合水量および全水分量とほぼ一致したため, 式 (14) のゲル水量の算定は妥当であると判断できる. 一方で, 本研究では,11 による乾燥を行った試料を用いてゲル水量の評価を行った.11 による乾燥は, C-S-Hの層間空隙内の水分を逸散させ, 層間空隙の構造を変化させることが報告されている 29). また, 高炉スラグ微粉末から生成するC-S-H は, その骨格であるSiの一部にAlやMgが置換することが明らかになっている 3). 本研究で使用したエーライトから生成したC-S-HもAlやMg といった微量成分が僅かではあるが置換されていると考えられる. したがって,C/S 比が同一でもAlやMgの置換によって水分量にも影響を及ぼすものと考えられる. しかし,11 による乾燥の影響が微量成分の影響に比べ大きく作用し, 図 -11に示されるように材料の違いによらずC/S 比を用いて整理できた可能性もある. 本研究では, この点について検討するため,11 乾燥よりも弱いRH11% 乾燥を行った合成 C-S-Hおよびエ-ライトから生成したC-S-Hの水分量の結果を用いて検証を行った. 図 -12に,RH11% 環境下におけるエーライトから水和生成したC-S-HのC/S 比とH/S 比の関係を示す 4). また同図に, 合成 C-S-H,11 乾燥 (RH%) を行ったエーライト水和試料中のC-S-HのC/S 比とH/S 比の関係および既往の研究結果 31) も併せて示す. 図より,RH11% 乾燥下におけるC/S 比とH/S 比の直線式は, 合成 C-S-Hの結果と一致した. また,RH% における関係も合成 C-S-HおよびD- dryを行った既報の結果と一致した. ここで,Jenningsが提唱しているGlobule 12) は,RH11% 乾燥下で層間の水が保持されるため, 乾燥によるC-S-Hの表面性状の変化は小さいものと考えられる. したがって,RH11% 乾燥と RH% 乾燥後のC-S-Hが同様の傾向を示したことや全水分量の結果がThomasら 28) の結果と同様であったことから, 異なる材料を用いたとしても, 生成されるC-S-Hのゲル水量の評価においては, 乾燥条件による影響は少ないと考えられる. 1/V (g/m 3 ) 2.5x1 7 C/S ratio.8 2.x x1 7 5.x ln(h) 図 -15 式 (5) によるC-S-Hの吸着等温線と相対湿度の関係 (4) C-S-Hの組成とゲル空隙量の関係 C-S-Hのゲル水量の結果を基にC/S 比と単位体積あたりのゲル空隙量の関係について検討を行った.C-S-Hのゲル空隙量はゲル水量を用いて以下の式によって表される. G G v p w g sscsh (15) ここで,G p :C-S-Hの単位体積当たりのゲル空隙量 (vol.% of saturated C-S-H),v g : 水の比体積 (cm 3 /g), ρ sscsh : 飽和状態におけるC-S-Hの密度 (g/cm 3 ) である. 水の比体積に関して, 本研究ではBrouwers 13) の報告を参考に.9 cm 3 /gとした. また, 飽和状態のC-S-Hの密度は, 著者ら 5) が検討したRH11% 乾燥時のC-S-Hの密度を基準とし, 飽和状態とRH11% 乾燥時のC-S-Hの組成を考慮することで, 以下の式より算出した. 1 7 sscsh 1 w 1 / wv C/S ratio 1. C/S ratio 1.8 表 -3 得られたC-S-Hの ΩとU a Ω U a (m 3 /J) R RH 11%CSH g q q RH 1% RH 11% w p q RH 11% 1 (16) (17) ここで,w:RH11% 乾燥時のC-S-Hに対する飽和状態のゲル水量 (wt% of C-S-H at RH11%),ρ RH11%CSH :RH11% 142

10 Cumulative pore volume (vol% of saturated C-S-H) C/S ratio.8 C/S ratio 1. C/S ratio Pore diameter (m) 図 -16 各 C/S 比におけるC-S-H の積算空隙量 dv/dlogd (vol. %/m of saturated C-S-H) C/S ratio.8 C/S ratio 1. C/S ratio Pore diameter (m) 図 -17 各 C/S 比におけるC-S-H の微分空隙径分布 乾燥時のC-S-Hの密度 :y=.453x+1.36 (g/cm 3 ) である. 以下に, 飽和状態のC-S-HのC/S 比と密度の関係式を示す p sscsh (18) 図 -13に, 式 (15) より評価したC-S-HのC/S 比とゲル空隙量の関係を示す. 図より,C-S-Hのゲル空隙量は,C/S 比が低下すると増加した. したがって, 高炉スラグ微粉末やフライアッシュから生成されるC-S-Hは, ポルトランドセメントから生成されるC-S-Hに比べC/S 比が低下するため, 混和材から生成されるC-S-Hのゲル空隙量はC/S 比の低下によって増加すると考えられる. ここで,C/S 比が1.7の時のゲル空隙量は.5% となった. Powers 9) が報告している28% と比べると本研究結果はゲル空隙量を過小評価した. この差異の要因として,4 (2) 節に述べたように, 飽和状態のC-S-HのH/S 比が一般的な4. に比べ, 本研究結果は2.6と小さいことが考えられる. Jennings 12) は,Thomasら 28) が示した全水分におけるH/S 比 2.7の時のC-S-Hの空隙量は,19% 程度になることを報告しており, 本研究結果の.5% とほぼ一致する. さらに, そのときの水分はIGPやSGP 内に存在していることを指摘している. したがって, 本研究のC-S-HのC/S 比とゲル空隙の関係は,C-S-Hの層間空隙とC-S-Hのゲル粒子で囲まれた微少な空隙を評価していると考えられる. (5) C-S-Hの組成とゲル空隙の空隙径分布の関係本研究では,C-S-HのC/S 比とゲル空隙の空隙径分布を評価するため, 内海によって提案された吸着等温関係式 ( 式 (2)~(5)) を用いた 23). 本研究より,C-S-Hの水蒸気吸着量は,C-S-Hの組成から次式によって表される. A CSH q q RH % p q RH % (19) ここで,A CSH :C-S-Hの水蒸気吸着量 (g/g of C-S-H at RH%) である. 図 -14に, 式 (19) よりC/S 比を変化させた C-S-Hの水蒸気吸着等温線の一例を示す. 図中のプロットは, 表 -2 中の各相対湿度におけるC-S-Hの水蒸気吸着 量である. 図より,C-S-Hの水蒸気吸着量は,C/S 比が低下すると増加した. この傾向は, 五十嵐 丸山 32) の水蒸気吸着による合成 C-S-Hの測定結果と同様であり,Bentur ら 33) の水蒸気吸着やBeoudoinら 34), 中村ら 17) の窒素吸着による比表面積の測定で明らかになっているように,C/S 比の低下によってC-S-Hの比表面積が増加しているためである. また, 図 -14の水蒸気吸着量の結果について, 式 (5) に対応するようプロットした結果を図 -15に示す. なお, 水蒸気吸着量の逆数 (g/cm 3 ) を算出する際には, 水の比体積を.9 cm 3 /gとした. 図より, 各 C/S 比ごとに, -ln(h) と1/Vの間には直線関係が示された. 各 C/S 比において相関係数は,.993となった. 図 -15より, 両者の間に直線関係が示されたことから, 式 (2), 式 (19) を用いてC- S-Hのゲル空隙の空隙径分布について検討を行った. ここで, 図 -15の直線式の傾きと切片より得られたΩ およびU a の値を表 -3に示す. なお,U a を算出する際には, 水の比容積は (m 3 /mol) とした. 表 -3より,Ω およびU a は,C/S 比の違いによらず, それぞれ.85, (m 3 /J) となった. 内海は, セメントペーストおよびモルタル供試体においてΩの値は,.25~.98 程度, U a の値は ~ 程度になることを報告している. 本研究より得られたΩおよびU a の値は内海が報告した結果の範囲内にある. 以上の結果を用いて, 式 (2) から各 C/S 比ごとの積算空隙量を算出した. なお, 式 (2) 中の空隙量 V は, 本研究結果より式 (15) のC/S 比とゲル空隙量の関係を用いることで評価した. 図 -16に, 算出したC/S 比ごとの累積空隙量の一例を示す. 図より, 算出した空隙径は1nm 以下であり低 C/S 比のC-S-Hほど積算空隙量が増加した. 図 -17に,C/S 比の異なるC-S-Hの微分空隙径分布の一例を示す. 図より,C-S-Hの空隙は,.1nm~1nmの範囲に存在している. 空隙径分布におけるピーク値はC/S 比の違いによらずおよそ1.2nmとなった. これは,Chiang ら 35) がSANSによって測定した層間空隙の大きさと同程度である.Chiangらは,C 3 Sの水和によって得られたC-S- Hを用いてSANSによって水分量に応じた層間空隙の変 143

11 Globule: RH11% IGP 1nm 本研究の対象 i) 毛細管空隙の空隙量の評価 水和収縮 毛細管水 = 毛細管空隙 Capilary pore 12nm- Vol.% 水セメント 水和物 ゲル水結合水反応したセメント 全水分 LGP 3-12nm SGP 1-3nm t= t =t ii) 毛細管空隙の空隙径分布の再現 図 -18 C-S-H の構造モデル 12) 化について報告しており,C-S-H の水分量が 17% の時, 層間は 9.29Å,3% の時,11.33Å になることを示している. さらに,Alizadeh 36) は,C/S 比の異なる合成 C-S-H について XRD による (2) 面の測定より, 層間距離は 1.11nm~ 1.28nm 程度になると報告している.C/S 比の違いによら ず空隙径分布におけるピーク値が同一であった本研究結果は,ChiangらやAlizadehの結果と同様である. したがって,C-S-HのC/S 比は, ゲル空隙の量に影響を及ぼすが, その大きさに関しては影響を及ぼさないと考えられる. 特に, 本研究より示された1.2nmの空隙径のピーク値は,1.1nmトバモライトのCaO 層の層間距離とほぼ同程度である. また,C/S 比がゲル空隙の大きさに影響を及ぼさない点やC/S 比とH/S 比の関係が一対一である点を考慮した場合,C/S 比の変化に伴うC-S-Hの構造変化は, Nonat 37) が指摘しているように, トバモライトの構造を維持したまま, 架橋結合したケイ酸塩の四面体がCa(OH) 2 と置き換わること ( またはその逆 ) で生じるものと考えられる. これらC-S-Hの構造変化は, 実験等によりその妥当性を検証する必要があるため今後の課題としたい. 一方で, 図 -16,17より, ゲル空隙の空隙径分布は 1nm 以下となり, 本研究結果は粗大な径もゲル空隙として含めている. これは, 図 -7に示されるように, 水分の吸着による水の密度の動的な変化を考慮していないことが考えられる. したがって, ゲル空隙の空隙径分布に対してより定量的な評価を行っていくためには, バルクとは異なる条件下での水の密度等の変化も考慮する必要がある. しかし,5 章で詳細に説明するセメント硬化体の空隙径分布の評価において, 本研究のゲル空隙径分布を用いて算定された毛細管空隙径分布は実験値と一致した. したがって, マクロな空隙構造を評価する上では, 本研究で提案したC-S-Hのゲル空隙径分布を用いても, 工学的に問題はないと考えられる. (6) C-S-Hの微細構造に関する考察本研究では,C-S-Hの組成がゲル空隙の量や空隙径分布に及ぼす影響を明らかにした. 本節では, これまでの 水蒸気吸着量 Cumulative pore volume 積算空隙量微分空隙量 dv/dlogd Pore diameter Pore diameter 毛細管水ゲル水相対湿度 図 -19 ゲル空隙の妥当性の検証概要検討より得られた結果に基づきC-S-Hの微細構造について,Jennings のCM-IIモデルを参考に考察を行った. 図 -18に,Jenningsによって報告されているC-S-Hの微細構造を示す.2 章で述べたように,Jennings はC-S-Hの微細空隙に関して,IGP,SGP,LGPのそれぞれの空隙を定義している. また,LGPや毛細管空隙は水和の進行によって新たな Globuleが形成されるため, その大きさや体積は減少する. さらには,RH11% 乾燥ではGlobule 内部の層間やGlobule 粒子の表面に水分が保持される. ここで, 一般的に, 水和進行によってC-S-HのC/S 比は低下することが明らかになっており,Jenningsの定義したLGPは,C/S 比の低下 ( 水和進行 ) によって空隙の量が減少し, 空隙径も小さくなるもの考えられる. 一方で, 本研究で検討を行ったゲル空隙について,C/S 比の低下によってゲル空隙の量は増加し, 空隙径分布はC/S 比によって影響されない. また, 著者ら 4), 5) の検討より, RH11% 乾燥時の式 (12) のnの値は3.47であり, この値は本研究の吸着側でのRH66% のnの値 3.5とほぼ等しい. したがって, 吸着側 RH66% におけるC-S-Hの水分は, Jenningsが示しているようにIGPや Globule 粒子表面に存在しているものと考えられる. さらに,4 (4) 節で述べたように, ゲル水を含めたC-S-HのH/S 比やゲル空隙量が Jenningsの定義したIGPや SGPの結果と一致していることからも,RH66% 以上における水蒸気は,SGPといった微少な空隙内で充填していると考えられる. 以上のことから, 図 -18の実線の丸( 赤色 ) で示されるように, 本研究で評価対象となるゲル空隙は,Globule 内部やGlobule 間で形成された空隙と考えられる. 144

12 表 -4 各種結合材の化学成分 表 -5 普通ポルトランドセメントの鉱物組成 (%) 化学成分 (%) C 3S C 2S C 3A C 4AF Gypsum Bassanite SiO 2 Al 2O 3 Fe 2O 3 CaO MgO SO 3 Na 2O 3 K 2O N N BFS 表 -6 フライアッシュの鉱物組成 (%) FA Mulite Quartz Magnetite Gypsum Glass FA Glass FA セメント硬化体のC-S-Hの組成とゲル空隙本章では, ゲル水量やC-S-Hの組成とゲル空隙の関係の妥当性を検証するため, セメント硬化体を用いた. なお, 検証は, 以下に示す2つの方法で行った. i) 全空隙量とゲル空隙量の差である毛細管空隙量の評価と実測値との比較 ii) C-S-H( ゲル水 ) の吸着等温線に基づいたセメント硬化体の空隙径分布の再現図 -19に, 各検証方法の概要を示す.i) の毛細管空隙量の評価では, 飽和状態におけるセメント硬化体の相組成から水和物の組成に基づき, 結合水, ゲル水, 全水分の量を算出する. 毛細管水の量は, 練混ぜ時の水分量から全水分量を差し引いた量として算定される. 得られた毛細管水量から空隙量を算定する. さらに, 算定された空隙量を水銀圧入法 (MIP) の結果と比較する. これは, 一般的に,MIPの測定によって毛細管空隙を評価できるためである.ii) の空隙径分布の再現では, セメント硬化体の各湿度における毛細管水量から空隙径分布を評価し, MIPより得られる空隙径分布と比較する.i) の方法では, C-S-Hのゲル水量やゲル空隙量の妥当性を,ii) の方法では, 提案したC-S-Hの水蒸気吸着等温線やゲル空隙の空隙径分布の妥当性を検証できる. なお,2 章,4 章で述べたように, 本研究では高湿度の水分の一部もC-S-Hのゲル水として定義している. また,MIPより得られる空隙の情報は, 本研究のゲル空隙に関する情報を直接評価することは困難である. しかし, 毛細管空隙の評価にMIP が広く利用されていることから, 本研究ではゲル空隙の妥当性を間接的に検証することは可能と判断した. (1) 実験概要 a) 材料および配合セメント硬化体は, 結合材として普通ポルトランドセメント ( 密度 :3.17g/cm 3, 比表面積 :348cm 2 /g), 普通ポルトランドセメントの一部を高炉スラグ微粉末 ( 密度 :2.88g/cm 3, 比表面積 :396cm 2 /g) またはフライアッシュ ( 密度 :2.14g/cm 3, 比表面積 :35cm 2 /g), シリカフュームで置換した試料を用いた. 表 -4に各種結合材の化学成分を示す. 普通ポルトランドセメントおよびフライアッシュの鉱物組成は,XRD/Rietveld 解析により測定 した. 普通ポルトランドセメントの鉱物組成を表 -5, フライアッシュの鉱物組成を表 -6に示す. なお, フライアッシュの鉱物組成の測定では, 非晶質量をフライアッシュのガラス質とした. フライアッシュの鉱物組成および化学成分からガラス質の化学成分を算出した. 算出結果を表 -4のFA Glassに示す. セメント硬化体の配合, 養生条件は, 普通ポルトランドセメント (N) では水結合材比を35%,45%,55% とした. 普通ポルトランドセメントに高炉スラグ微粉末 (NB) またはフライアッシュ (NF) を置換した試料では45%,55%, 普通ポルトランドセメントにシリカフューム (NS) を置換した試料では45% とした. 高炉スラグ微粉末は, 置換率を35%,5%,7%, フライアッシュでは15%,3%, シリカフュームでは4%,8% とした. 水和試料はペーストとし の恒温室にて所定材齢 (7 日,28 日,91 日 ( フライアッシュ置換試料のみ )) まで封緘養生を行った. セメント硬化体が所定材齢に達した後, 試料をアセトン中に浸漬し, 水和停止を行った. b) セメント硬化体の相組成の測定相組成測定の前処理は,3 (1) f) と同様である. 解析の定量対象は,C 3 S,C 2 S,cubic-C 3 A,orthohombic-C 3 A, C 4 AF, 水酸化カルシウム (CH), エトリンガイト (AFt), モノサルフェート (AFm), ハイドロガーネット (HG), カルサイト, ペリクリース, ライム,2 水石膏, 半水石膏, コランダムとした.NBでは, ハイドロタルサイト (HT) を,NFでは, 石英, ムライト, マグネタイトを定量対象として加えた. 非晶質量はコランダムの定量値から式 () によって算出した. G 1 AR / A 1 / 1 R () ここで,G: 非晶質量 (%),R: コランダムの添加量 (%),A: コランダムの定量値 (%) である. 未反応スラグ量は, 佐川 名和 38) が報告している手法により測定を行った. したがって, 水和試料を9 で 3 分間加熱後,XRD/Rietveld 解析により結晶化したスラグであるゲーレナイト, オケルマナイト, メルビナイトおよびC 3 Sの分解により生成するα -C 2 Sを定量対象として加え, 未反応スラグ量を定量した. 未反応フライアッシュ量, 未反応シリカフューム量は, 大沢ら 39) によって提案された塩酸および炭酸ナトリウム 145

13 CSH CH AFt AFm HG CAH CFH HT (BFS) 表 -7 水和物の組成と密度乾燥条件組成密度 (g/cm 3 ) 1C RH% RH11% Saturated 1C RH% RH11% Saturated 1C RH% RH11% Saturated 1C RH% RH11% Saturated 1C RH% RH11% Saturated 1C RH% RH11% Saturated 1C RH% RH11% Saturated 1C RH% RH11% Saturated C x SH C x SH x-.35 C x SH x+.47 C x SH x+.86 CaO Ca(OH) 2 Ca(OH) 2 Ca(OH) 2 C 6 AS3 H C 6 AS3 H 7 C 6 AS3 H 28.8 C 6 AS3 H 32 C 4 AS H C 4 AS H 9 C 4 AS H 11.7 C 4 AS H 12 C 3 AH C 3 AH 6 C 3 AH 6 C 3 AH 6 C 4 AH C 4 AH 7 C 4 AH 13 C 4 AH 19 C 3 FH C 3 FH 6 C 3 FH 6 C 3 FH 6 M 6 AH M 6 AC H 12 M 6 AC H 12 M 6 AC H x x x ) ) ) ) による選択溶解法により定量した. 選択溶解後の不溶残分は,11 で乾燥させ質量を測定し, 未反応フライアッシュ量を求めた. フライアッシュ単独およびシリカフューム単独でこの操作を2 回行った結果, 平均値として 91.7%,93.9% が不溶分として残存したため, この値を用いて試料の不溶残分を補正した. なお, 水酸化カルシウムの一部は, 非晶質として存在することが指摘されている 4). 結晶質を定量するRietveld 解析は,TGAに比べ水酸化カルシウム量が少なく定量されることも報告されている 41). 結晶質のみを定量する Rietveld 解析では, 式 () より算定される非晶質の中に, 非晶質の水酸化カルシウムも含まれているものと考えられる. したがって, 本研究では水酸化カルシウム量は TGAの結果を用い,TGAから得られた水酸化カルシウム量からRiettveld 解析から得られた水酸化カルシウム量を差し引くことで非晶質の水酸化カルシウム量を算出した. 加えて,Nペーストでは, 式 () から非晶質の水酸化カルシウムを差し引くことで, 非晶質量を補正した. 以下に, 式 () の補正式を示す. G' G CH CH (21) TGA Rietveld 混和材が置換された試料では, 式 () より得られる非晶質量に, 非晶質の水酸化カルシウム量および未反応スラグ量, フライアッシュの未反応ガラス質および未反応シリカフューム量が含まれる. したがって, 混和材が置換された試料の非晶質量は, 式 (21) から未反応混和材量を差し引くことで算出した. また本研究では,Rietveld 解析では直接定量されないC- A-H,C-F-H,C-S-HおよびC-S-HのC/S 比を算出するため, 丸山ら 42) の手法を参考にした. したがって, 各種クリンカー鉱物の反応量, 水和物生成量, 高炉スラグ微粉末, フライアッシュ, シリカフュームの反応量を用いて繰り返し計算によるCaO,SiO 2,Al 2 O 3,Fe 2 O 3 の物質収支より C-A-H,C-F-H,C-S-HおよびC-S-HのC/S 比を算出した. なお, 算出する際には, 表 -7に示す各水和物の組成を仮定し, 生成量および水分量を評価した. 飽和状態のC-S- 43) Hの密度は, 式 (18) を用い, 他の水和物は, 既往の研究より報告されている値を用いた. c) 水銀圧入法による空隙径分布の測定水銀圧入法 (MIP) による測定は,5mm 程度に粗砕した試料をシリカゲルを用いた真空デシケータ内で 環境のもと恒量になるまで乾燥させた. 乾燥に要した期間は, およそ4 週間ほどである. 温湿度センサーによる測定では, この時の相対湿度は1.36% であった. 真空乾燥後の試料を3g 程度用いて,MIPにより空隙径分布の測定を行った. なお,MIPの測定では, 加圧過程および減圧過程における空隙径分布の測定を行った. 空隙の測定範囲は,6nm~μmである. d) セメント硬化体の水蒸気吸着量の測定水蒸気吸着量の測定は,3 (1) g) で示した方法と同様であるが, 測定には2.5mm 以上の硬化した試料を用いた. デシケータ内で試料を静置した期間は,2 週間から4 週間ほどである. 前処理として,11 にて試料が恒量になるまで3 日から1 日ほど乾燥させた. なお, 水蒸気吸着量の測定結果は, 同一試料の2 試験体の平均値として表した. e) セメントペーストの空隙量の測定所定の養生終了後, スチロール棒瓶に詰めた封緘状態の水和試料を鉄乳鉢にて約 1cm 角,1g 程度に砕き, 真空ポンプにより減圧した. 減圧したまま注水し, 飽水状態にした後, 表面乾燥飽水状態質量を測定した. その後, 乾燥炉にて 11 で試料が恒量になるまで乾燥させ, 空隙量を算出した. なお, 測定結果は同一試料の 3 試験体の平均値とした. また, 表面乾燥飽水状態質量と 11 乾燥後の質量を用いて, 飽和状態 (RH1%) の硬化体の水蒸気吸着量を算出した. 146

14 RH11% Ig. loss (%) -Exp N NB NF NS RH11% water content (%) -Cal.- 図 - 各水和物の水分量の総計と強熱減量の比較 N55 N55 NB5535 NB555 NF5515 NF d NS458 NS458 C/S 1.65 C/S 1.27 C/S 1.43 C/S Composition (vol.% of saturated sample) 図 -22 セメント硬化体の相組成 Cement BFS, FA, SF Hydrate Gel pore Capillary pore NB 結合材 W/B 置換率 Pore (vol.% dried at 5ºC) -Exp N NB NF NS Pore (vol.% dried at RH11%) -Cal.- 図 -21 セメント硬化体の空隙量の比較 Total pore (vol.%) -MIP N NB NF NS Capillary pore (vol.%) -Calc.- 図 -23 計算値の毛細管空隙量と MIP の全空隙量の比較 (2) 実験結果 a) セメント硬化体の相組成本研究では, 表 -7 に示す水和物の組成より算定したセメント硬化体の相組成の妥当性を検証した. 検証方法は,RH11% 時の水和物の水分量の積算値と TGA より測定した強熱減量の比較,RH11% 時の空隙量の計算値と実測値の比較を行った. なお, 空隙量の比較において, 計算値は RH11% 時, 実験値は 5 乾燥時の空隙量とした. ここで, 空隙量の計算値と実験値の乾燥条件が異なるが, 著者ら 44) の検討より,RH11% 乾燥後の結合水量と 5 乾燥後の結合水量がほぼ一致することが示されている. したがって, 本研究の範囲では RH11% と 5 乾燥は, 乾燥条件として同一であると判断した. 図 - に, 水分量の比較結果を, 図 -21 に, 空隙量の比較結果をそれぞれ示す. 図より, 水分量および空隙量の計算値と実験値はほぼ一致した. したがって, 本研究の相組成は, 実セメント硬化体の相組成を概ね反映できていると考えられる. 一方で,N に関して, 計算値の水分量が実験値を過大に評価した. これらは相組成の算定に仮定する水和物種の違い等が考えられる. 図 -22 に, 一例としてセメント硬化体の相組成を示す. 図中の毛細管空隙量は, 各試料の水結合材比から各水和物生成量より得られる全水分量を差し引くことで算出し, 表 -7 の水和物密度より水和前後の体積変化を加味した. 図より, 相組成の大部分は水和物が占めており,C-S-H の C/S 比は混和材の置換によって低下した. b) セメント硬化体の毛細管空隙量の評価図 -23 に, 相組成より算定した毛細管空隙量と MIP の全空隙量の比較結果を示す. 図より,N に関しては, 計算値が実験値を過小評価した. 本研究において毛細管空隙量の算定は, 全空隙量からゲル空隙量を差し引くことで算定しており, 毛細管空隙量とゲル空隙量は相補関係にある. したがって, ゲル空隙量は C-S-H の水分量から算定を行うため, 図 -23 の差異は,N の水分量の計算値が実験値を過大に評価したことに起因している. これらは, 相組成の算定方法における仮定する水和物の種類の違いが要因として考えられる. 今後,SEM-EDS による形態や組成観察によって, 各種材料から生成する水和物について詳細な検討が必要である. しかし, 全体的な傾向として, 相組成より評価した毛細管空隙量は MIP より得られた空隙量と概ね一致した.MIP の空隙量は必ずしも本研究で定義した毛細管空隙量と同一ではないが, 計算値が実験値を概ね評価できたことは, 本研究のゲル空隙量の評価方法が妥当であると考えられる. また, 浅本 石田 45) は,15 乾燥後のセメントペーストに対して, 水と潤滑油, エタノール, メタノールによる浸漬試験を行い, その飽和度の違いや数値計算による解析結果から, 潤滑油, エタノール, メタノールは毛細管空隙のみに侵入できることを指摘している. 浅本 石田は, 潤滑油, エタノール, メタノールを使用した際 147

15 Water adsorption (g/g) Gel water Experiment(11ºC-dry) Experiment(5ºC-dry) Water adsorption (g/g) Gel water Experiment(11ºC-dry) Experiment(5ºC-dry) Water adsorption (g/g) Gel water Experiment(11ºC) (a) NC55 ºC (b) NB5535 ºC (c) NF5515 ºC 91d 図 -24 セメント硬化体の水蒸気吸着量とゲル空隙への吸着等温線 の試料の飽和度は, 材齢 28 日の W/C 比が 35% のセメントペーストで 59.6~62.%,W/C 比が 6% で 73.3~76.1% になることを報告している. ここで, 本研究の材齢 28 日における N35 と N55 の全空隙量に対する毛細管空隙の割合 ( 飽和度 ) は,N35 で 57.% と N55 で 8.6% となった. なお, 本研究の全空隙量の測定は 11 による乾燥を行っており, 浅本 石田が報告した試料は高性能 AE 減水剤や石灰石微粉末を使用している. したがって, 本研究と浅本らの結果を単純比較することはできないが, 本研究結果は浅本 石田の結果とほぼ一致した. 以上のことから, 既往の研究と概ね一致したことからも本研究の範囲内において毛細管空隙量は適切に評価できたと考えられる. c) セメント硬化体の空隙径分布の比較水和物個々の生成量と水蒸気吸着量を積算することでセメント硬化体中の水和物の水蒸気吸着等温線を算出した.C-S-H 以外の水和物である水酸化カルシウムやカルシウムアルミネート系水和物の各相対湿度における水蒸気吸着量は, 著者ら 22) の結果を用いた. 図 -24 に, 相組成より算出した水和物の吸着等温線の結果を示す. また同図に,11 乾燥を行ったセメント硬化体の水蒸気吸着量の実験結果も示す. なお, 材齢 28 日の N55 と NB5535 の試料は,5 乾燥後に水蒸気吸着量の測定を行ったため, その結果も併せて示す.5 乾燥後の試料の水蒸気吸着量は 11 乾燥後の試料に対する量とした. 図より, 低湿度における水和物の吸着等温線 ( 図中実線 ) は, 実験値 (11 乾燥 ) の水蒸気吸着量とよく一致した. 水和物への吸着性状を表す吸着等温線が低湿度において硬化試料の水蒸気吸着量と一致したことは, 硬化試料においても水蒸気の吸着に対する毛細管空隙の影響が少なく, 水和物への吸着が支配的であると考えられる. 一方で,RH48% 以上における水蒸気吸着量の実験値は, ゲル空隙への吸着量よりも多いことから, 実験値の高湿度における水分は毛細管水も存在していることが考えられる. また,11 乾燥と 5 乾燥の試料は高湿度領域で水 蒸気吸着量が一致した.4 (3) 節で説明したが 5 乾燥を RH11% 乾燥と同一とした場合,5 乾燥では C-S-H の層間水は保持される. つまり,11 乾燥によって C- S-H の層間水が一度逸散したとしても, 再度水分を吸着させることで,C-S-H の層間に水が保持されていた状態に戻ると考えられる. したがって, 本研究では, 毛細管空隙の評価は, 高湿度の水蒸気吸着量より行っており, 11 乾燥による C-S-H の構造変化が本研究の毛細管空隙の評価に及ぼす影響は小さいと考えられる. 本研究では, 図 -24 に示される各水蒸気吸着量を用いて, 毛細管空隙の空隙径分布を算定した. 算定方法は, RH48% 以上の水蒸気吸着量の実験値と水和物の吸着等温線の差から毛細管空隙中の水分量を算定し, 水蒸気吸着量による毛細管空隙量の算出の妥当性を検証した. なお,RH48% 以上の水蒸気吸着量は, 実験値の吸着量を適当な関数を用いて最小二乗法によるフィッテングを行い, 毛細管空隙中の水分量を算出した. フィッテングを行った際の相関係数は, いずれの試料において R 2 値で.98 以上であった.RH48% 以上における各湿度に応じた空隙径は, 桂ら 46) によって提案された Kelvin 式を用いた円筒細孔モデルより算出した. 桂らは, 水分と空隙構造の関係について円筒細孔を仮定した Kelvin 式より両者の関係を定式化した. その結果,MIP と水蒸気吸着等温線は, 良好な対応関係にあることが示されている. 以下に, 桂らによって提案された円筒細孔における相対湿度と細孔半径の関係を示す. r 3 V / RTln p / p (22) m ここで,r: 空隙半径 (m),γ: 水の表面張力 ( N/m),V m : 水のモル体積 ( m 3 /mol), R: 気体定数 ( J/mol K),T: 絶対温度 (293K), p/p : 相対湿度である. なお,MIP と水蒸気吸着実験では前処理条件が異なるが, 水蒸気吸着実験では径の小さな空隙から大きな空隙へ水蒸気が充填していくのに対し, MIP では大きな径から小さな径へと水銀が侵入していく. また, 図 -24 に示されるように, 前処理条件の違いによ 148

16 dv/dlogd (vol./vol./m) Capillary pore Gel pore MIP 加圧過程 減圧過程 dv/dlogd (vol./vol./m) Capillary pore Gel pore MIP 加圧過程 減圧過程 dv/dlogd (vol./vol./m) Capillary pore Gel pore MIP 加圧過程 減圧過程 Pore diameter (m) (a) NC55 ºC Pore diameter (m) (b) NB5535 ºC 図 -25 各セメント硬化体の空隙径分布 Pore diameter (m) (c) NF5515 ºC 91d らず高湿度における水蒸気吸着量は一致した. したがって, 比較的粗大な毛細管空隙の評価を試みる本研究の範囲において, 材料の違いによる空隙径ピーク位置の変化や空隙径分布の形状の変化といった空隙構造の特徴を評価する上では, 前処理条件の違いによる影響は小さいと考えられる. 図 -25 に, 各セメント硬化体の水蒸気吸着量から得られた毛細管空隙の空隙径分布と MIP より得られた空隙径分布を示す. また, 併せて C-S-H のゲル空隙の空隙径分布も示す. 図より, 水蒸気吸着より評価された空隙径分布は,MIP の加圧過程より得られた結果に比べ, 空隙径が 1 オーダーほど大きくなった. 従来から MIP による測定では, インクボトルのような空隙が存在すると入り口細孔の奥にある空隙を小さな径として評価することが知られている. したがって, これら要因によって水蒸気吸着より得られる空隙径分布が MIP の結果を 1 オーダーほど大きく評価したものと推察される. 一方で, 水蒸気吸着より評価された空隙径分布は,MIP の減圧過程より得られる空隙径とほぼ一致した. 桂ら 46) は,MIP の加圧過程と水蒸気吸着等温線の脱着過程から得られる空隙径分布は同様であると報告している. さらに,MIP の減圧過程と水蒸気吸着等温線の吸着過程から得られる空隙径分布もインクボトル空隙量を除けば同様であることを示している. ここで, 本研究より評価された微分空隙量が, 水銀圧入法の減圧過程より得られる空隙量に比べ増加した. 水銀圧入法の減圧過程は, 空隙同士が連結した連続空隙を評価しているため, インクボトル型の空隙内には, 水銀が残存していることが考えられる. 水蒸気吸着では小さな径より水分が充填していくため, 水蒸気吸着によって評価された空隙径分布は, インクボトル空隙も網羅しているものと考えられる. 一方で, 水のように極性を有する吸着質の場合, 親和性のある表面では表面からの比較的強い相互作用によって, 水の性質がバルクの状態と異なることが知られている. 特に, 空隙の小さな径では, 液体の表面張力が平らな面よりも大きく,1nm 以下の空隙径からその影響が 顕著になると報告されている 24). したがって, そのような空隙では Kelvin 式を適用することができない. しかし, 図 -25 より, 本研究の毛細管空隙の評価は 1nm 以上であり, 式 (22) ではバルクの水の表面張力の値を使用し, その結果, 空隙径分布が MIP の結果と一致した. つまり, 毛細管空隙を評価対象とした本研究の空隙内の水はバルクの水と同じ性質を有しており, 固体の表面近傍での影響は小さいものと考えられる. 以上のことから, 水蒸気吸着実験の結果から空隙径分布を評価しても MIP と同様にセメント硬化体のマクロな空隙径分布を評価することが可能と考えられる. 今後は, 水蒸気の脱離過程を測定し, 空隙構造の評価に対してより詳細な検討を行っていく予定である. d) 既往の空隙構造モデルとの比較次に, セメント硬化体の空隙径分布を再現できる既往のモデルと比較を行い, 本研究より得られる毛細管空隙の空隙径分布, ゲル空隙の空隙径分布の妥当性を検証した. 検証に用いた既往のモデルは Fujikura and Oshita 47), Ishida ら 48) によって提案された空隙構造モデルである. Fujikura and Oshita のモデルは, セメント粒子の粒度構成や粒子の配置を考慮し, 水和物個々の粒度分布を仮定した上で水和反応に伴うセメント硬化体の空隙構造の形成を再現している. 特に, コンクリートの物性評価に MIP より得られる空隙径分布が広く採用されていることから, MIP より得られる空隙径分布との比較を重視したモデルである.Ishida らは, セメント硬化体中の空隙を 3 つに分類し ( 毛細管空隙, ゲル空隙, 層間空隙 ), 空隙構造のモデル化を行っている. モデルにおいて, 各空隙量や空隙径分布は, セメントの水和度, 結合水量, ゲル粒子の保有空隙量や比表面積等に基づき再現されている. これらのモデルより評価される空隙構造は, 実測値の空隙径分布との比較やコンクリートのマクロな諸性質の評価といった方法によって, 直接または間接的にその精度が確認されている. したがって, 既往のモデルより評価される空隙径分布と比較を行うことは, 本研究のゲル空隙, 毛細管空隙の妥当性, それらの工学的な有用性を判断す 149

17 Cumulative pore volume (vol./vol.) Capillary pore Gel pore Fujikura NC Pore diameter (m) Pore diameter (m) (a) N45 ºC (b) NB555 ºC 91d 図 -26 既存の空隙構造モデルとの比較 (a) Fujikura and Oshita 47),(b) Ishida ら 48) dv/dlogd (vol./vol m) Capillary pore Gel pore Ishida B54 168d る上で重要と考えられる. 図 -26 に, 既往の空隙構造モデルと本研究より得られた毛細管空隙の空隙径分布, ゲル空隙の空隙径分布を比較した結果を示す. なお, 比較を行う際の本研究の配合は, 既往のモデルで評価されている配合と可能な限り近い試料の結果を用いた. まず, 図 -26 (a) より, 本研究結果と Fujikura and Oshita のモデルとの比較において, 本研究より得られた毛細管空隙量の積算値は,Fujikura and Oshita のモデルとほぼ同程度であった. これは, 図 -23 の空隙量の比較と同様である. 空隙径分布においては, 図 -25 と同様に本研究より得られる空隙径は Fujikura and Oshita の結果に比べ 1 オーダーほど過大に評価した. Fujikura and Oshita のモデルは,MIP の加圧過程より得られる空隙径分布との比較に重点を置いていることから, 水蒸気吸着法より得られた本研究の空隙径分布と一致しないものと考えられる. 次に, 図 -26 (b) において,Ishida らの結果はコンクリート供試体であること, 置換率や材齢が本研究と異なるため, 両者を単純比較することはできないが, 本研究の算定値である毛細管空隙径はモデルより評価された空隙径とほぼ同程度の範囲である. したがって, 本検討より混和材置換の効果によるセメント硬化体の空隙構造の変化を評価できているものと考えられる. 以上の検討から, 既存の空隙構造モデルと比較すると, 本研究結果はセメント硬化体の空隙量や空隙径分布の特徴等の傾向を概ね捉えることが可能である. したがって, 本研究より提案した C-S-H の組成とゲル水, ゲル空隙の量および空隙径分布の関係の適用については, より詳細な検討が必要であるが, それら関係に基づきセメント硬化体の空隙構造を再現することは可能と考えられる. 今後は, 本研究より評価される空隙径分布からコンクリートのマクロな性質を評価することで,C-S-H の組成とゲル空隙の関係の適用についてより詳細な検討を行う予定である. 6. まとめ 本研究では, 合成 C-S-Hおよびエーライト水和試料を用いてC-S-Hの組成がゲル空隙量やゲル空隙の大きさに及ぼす影響について検討を行った. 以下に, 本研究より得られた結果を示す. (1) 合成 C-S-Hおよびエーライト水和試料の水蒸気吸着等温線を測定した結果, 相対湿度 66% 以上の水蒸気の吸着は, 毛細管空隙とゲル空隙で生じている. また, 毛細管空隙の影響を分離することでC-S-Hのゲル空隙への吸着等温線を評価した. (2) 各相対湿度においてC-S-HのC/S 比とH/S 比は, 比例関係にある. また, その関係は材料や配合および養生温度によらず同一である. (3) C-S-Hのゲル水量は,C/S 比の低下に伴って増加する傾向を示し, ゲル水量の変化をC-S-Hの組成に基づいて評価することが可能な式を提案した. (4) C-S-Hのゲル空隙の量は, その組成であるC/S 比によって影響され,C/S 比が低下するとゲル空隙の量は増加する. これは,C-S-Hの比表面積がC/S 比の低下によって増加するためである. (5) C-S-Hのゲル空隙の空隙径分布に関して, 空隙径のピーク値はおよそ1.2nm 程度である. また, ゲル空隙の大きさは,C/S 比の違いによらず同一である. (6) 水和物の水蒸気吸着量は, 低湿度においてセメント硬化体の水蒸気吸着量と一致した. (7) 実測値や既存のモデルとの比較から本研究より提案したゲル空隙量, ゲル空隙の空隙径分布の妥当性が示された. 参考文献 1) セメント系材料の時間依存性挙動に関する研究委員会耐久性力学 WG: コンクリート構造物の耐久性力学, 社団法人日本コンクリート工学協会,7. 2) 社団法人セメント協会 : セメント硬化体研究委員会報告書,pp.19-,1. 15

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19 37) Nonat, A.: The structure and stoichiometry of C-S-H, Cement and Concrete Research, Vol. 34, pp , 4. 38) 佐川孝広, 名和豊春 : リートベルト法及び選択溶解法による高炉スラグの反応率測定, コンクリート工学年次論文集,Vol.28,No.1,pp.9-214,6. 39) 大沢栄也, 坂井悦郎, 大門正機 : フライアッシュ セメント系水和におけるフライアッシュの反応率, セメント コンクリート論文集,No.53,pp.96-11, ) Ramachandran, V. S.: Differential Thermal Method of Estimating Calcium Hydroxide in Calcium Silicate and Cement Paste, Cement and Concrete Research, Vol.9, pp , ) 松下哲郎, 平尾宙, 丸山一平, 野口貴文 : リートベルト解析によるセメントの水和反応の定量解析, 日本建築学会構造系論文集,Vol. 73,No. 623,pp. 1-8, 8. 42) 丸山一平, 松下哲郎, 野口貴文, 細川佳史, 山田一夫 : エーライトおよびビーライトの水和反応速度に関する研究 - ポルトランドセメントの水和機構に関する研究その 1-, 日本建築学会構造系論文集,Vol. 75,No. 65,pp ,1. 43) Balonis, M. and Glasser, F. P.: The density of cement phase, Cement and Concrete Research, Vol. 39, pp , 7. 44) 須田裕哉, 斎藤豪, 佐伯竜彦 : 各種セメント硬化体の相組成と圧縮強度に関する研究, セメント コンクリート論文集,No.66,pp ,12. 45) 浅本晋吾, 石田哲也 : 微細空隙中の液体特性に着目したコンクリートの時間依存変形機構の検討, 土木学会論文集,Vol.63,No.76,pp ,4. 46) 桂修, 漆崎要, 吉野利幸, 鎌田英治 : 水銀圧入法によるセメント硬化体の細孔径分布と水の脱着挙動, コンクリート工学論文集,Vol. 1,No. 1,pp , ) Fujikura, Y. and Oshita, H.: Pore Structure Model of Hydrates Comprising Various Cements and SCMs Based on Changes in Particle Size of Constituent Phases, Journal of Advanced Concrete Technology, Vol. 9, No. 2, pp ,11. 48) Ishida, T., Luan, Y., Sagawa, T. and Nawa, T.: Modeling of early age behavior of blast furnace slag concrete based on microphysical properties, Cement and Concrete Research, Vol. 41, pp , 1. ( 受付 ) EFFECT OF CHEMICAL COMPOSITION OF C-S-H ON VOLUME AND PORE SIZE DISTRIBUTION OF GEL PORE Yuya SUDA, Tatsuhiko SAEKI and Tsuyoshi SAITO C-S-H is a dominant hydration product of cementitious materials. Therefore, its chemical composition and physical properties affect the properties of concrete. With regard to the pore structure of C-S-H, it is known that the gel pore volume of C-S-H is 28% and the gel pore size is about 2nm. However, the gel pore of C-S-H generated from various materials, such as cement, blast furnace slag, fly ash and silica fume have not been completely clarify. Therefore, the purpose of this study is to estimate chemical composition and gel pore of C-S-H, such as pore volume and pore size distribution. From the experimental results, The gel pore volume of C-S-H was affected by the C/S ratio. Based on the composition of C-S-H, the inversely relationship between the gel volume and the C/S ratio of C-S-H was clarified. And, it was clarified that the gel pore size distribution of C-S-H was not influenced by the change of the C/S ratio from these results. 152

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