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せとかかやぬま
5 years ago
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1 受付ロボットの積極性及び外見が与える印象のユーザ属性別分析 2017 年 2 月 2 日大阪工業大学情報科学部情報メディア学科ヒューマンインタフェース研究室 C 中川弘也

2 研究の背景近年, 人との社会的なインタラクションが可能な対話ロボットが普及日本人はロボットをロボット = 人型, ロボット = コミュニケーション可能と認識する割合が高い [1]. Softbank Pepper ロボットが受付や道案内といった, 人間の役割を補う機会が増えている神田らは, 人間とかかわろうとするロボットの外見は, 人間のロボットに対する印象に大きく影響する事を示した [2]. [1] 日戸浩之, 谷山大輔, 稲垣仁美. ロボット AI 技術の導入をめぐる生活者と受容性と課題日米独 3 ヵ国調査.NRI 知的資産創造, PP ,2016 [2] 神田崇行, 石黒浩, 石田亭. 人間 - ロボット間相互作用にかかわる心理的評価. 日本ロボット学会誌 Vol.19 No.3 pp ,2001 [3] 山田誠二監著, 角所考, 小野哲雄, 小川浩平, 中野有紀子. 人のロボットの < 間 > をデザインする. 東京大学出版局,2007 1

3 関連研究受付ロボットの研究例として, 原文雄らの受付ロボット SAYA が挙げられる [5]. 人間の顔の皮膚や質感, うなずきなどを実装する事で, 人間の表情, 行動を忠実に表す事が出来る. 現在, 受付ロボット SAYA は実用化されている. 受付ロボット SAYA [5] 原文雄, 小林宏 : 顔という知能, 共立出版 (2004) 2

4 関連研究受付や接客に用いられるロボットの振舞い設計として, 一般的に以下の3つがある. 1) 相手に気づく 2) 相手と視線を合わせる 3) 相手に言葉を発する岡田らの研究では, 上記の行動をロボットが能動的に行う事で, 印象が向上した [4]. [4] 岡田明帆, 菅谷みどり. ロボットの能動的な行動設計によるユーザの印象評価の向上. 情報処理学会インタラクション 2016 予稿集, pp ,

5 研究の目的岡田らの研究では, 実験参加者を属性に分類しておらず, またロボットの外見を考慮していない. ロボットとの会話に対して不安に感じている人は少なからず存在している. ロボットに対する不安で属性分けをして HRI を評価する. 人間のロボットに対する不安に焦点を当て, 測定するための対ロボット不安尺度 RAS(Robot Anxiety Scale) を使用 [6]. 本研究では実験参加者を対ロボット不安尺度 RAS(Robot Anxiety Scale) のロボット会話不安を用いて分類し, 受付ロボットに対する不安及び, 受付ロボットの振舞いの積極性の有無と外見の違いが, 受付ロボットの印象に与える影響を調べる. [6] 野村竜也, 神田崇行, 鈴木公啓, 山田幸恵, 加藤謙介.Human-Robot Interaction(HRI) における人の態度不安行動.Fuzzy System Symposium

6 仮説本研究では, 実験参加者を,RAS を用いて中央値 (15.5) で 2 分割した. RAS 高群 : ロボットとの会話に対して不安に感じている人. RAS 低群 : ロボットとの会話に対して不安に感じていない人. 不気味の谷現象 : ロボットが外見や動作において, 人間らしく作られるようになるにつれ, 印象は向上するが, ある時点で不気味に感じ, 印象が低下する [7]. RAS 高群は人間らしい外見をしたロボットに対して不気味に感じやすいと我々は考え, 仮説 1 RAS 高群は人間らしい外見をしたロボットに対して親近性が低くなる. RAS 高群はロボットの人間らしい受付行動を嫌うと考え, 仮説 2:RAS 高群は人間らしい受付行動を行うロボットに対して親近性が低くなる. RAS 低群はロボットの外見に関わらず, ロボットの人間らしい受付行動を好むと考え, 仮説 3:RAS 低群は人間らしい受付行動を行うロボットに対して親近性が高くなる. [7] 森政弘不気味の谷 Energy 第 7 巻第 4 号エッソスタンダード石油 ( 株 ) 1970 年頁 5

7 実験の概要実験前に属性分けアンケートに回答してもらい受付を想定したシチュエーションで, ロボットと会話してもらい, その後ロボットに対する印象評価アンケートに回答してもらう. 人間らしい受付行動として以下の行動を実装した. 1) 首を動かして周りを見て, 実験参加者に気づく 2) 実験参加者と視線を合わせる. 3) 実験参加者の方を向き, 頷いた後, 言葉を発する. 実験条件として,RAS 要因 (RAS 高群,RAS 低群 ) 積極性要因 ( 人間らしい受付行動あり, 人間らしい受付行動なし ) ロボット外見要因 ( 人間的なロボット, 機械的なロボット ) 実装した人間らしい受付行動 6

8 実験環境今回の実験で使用したロボット CommU*: 人間的な外見をしたロボットとして使用 Sota**: 機械的な外見をしたロボットとして使用 CommU* Sota** ロボットの人間らしい受付行動の制御は,eclipse を用いて Java プログラムで制御. 発話内容は誤認識を防ぐため,Woz(Wizard of oz) 法で制御 */**Vstone 社製社会的対話ロボット CommU/Sota 7

9 実験の内容パーティション実験参加者にギャラリーの印象評価と教示ギャラリー内にいる壷を紹介する受付ロボットと会話を行う.( 外見要因 (2) 積極性要因 (2) の計 4 回ランダム ) 実験参加者 : 大学生 20 人 ( 男性 17 人, 女性 3 人 ) に参加してもらった (19~22 歳 ). 実験期間は 20171/5~1/20 ロボットギャラリーの見取り図取得するデータは属性分けアンケートとして, 実験前に対ロボット不安尺度 RAS, 実験後に対ロボットに用いられる印象評価アンケート GODSPEED [8] を各条件ごとに取得した. 実験風景 [8]Bartneck, C., Croft, E., &Kulic, D. Measurement instruments for the anthropomorphism, animacy, likeability, perceived intelligence, and perceived safety of robots. International Journal of Social Robotics, 1(1),pp.71-81,2009 8

10 アンケート内容ロボットの印象評価アンケート :GODSPEED( 計 29 項目 (23 項目 +6 項目 )) 親近性 (5 項目 ) 人間性 (5 項目 ) アニマシー (6 項目 ) 機能性 (4 項目 ) 安全性 (3 項目 ) その他 ( 見かけ, 積極的な, 緊張するか, 話しやすさ, 性能の高さ, 接客の上手さ ) 実験参加者の属性分けアンケート :RAS(Robot Anxiety Scale)( 計 12 項目 ) ロボット会話能力不安 (3 項目 ) ロボット動作不安 (4 項目 ) ロボット会話不安 (4 項目 ) 9

11 仮説 1 の検証, 考察親近性において, 積極性要因, ロボット外見要因に主効果, ロボット外見要因と RAS 要因の間に交互作用が見られた. 仮説 1 RAS 高群は人間らしい外見をしたロボットに対して親近性が低くなる. RAS 高群は人間的なロボットより機械的なロボットの方が有意に親近性が高い RAS 高群はロボットの外見によって親近性が変化する仮説 1 は支持された RAS 低群は人間らしいロボットと機械的なロボットとの間に有意差がなかった RAS 低群はロボットの外見によって親近性が変化しない 10

12 仮説 2 の検証, 考察親近性において, 積極性要因, ロボット外見要因に主効果, ロボット外見要因と RAS 要因の間に交互作用が見られた. 仮説 2 RAS 高群は人間らしい受付行動を行うロボットに対して親近性が低くなる RAS 高群 RAS 低群 2 1 受付行動あり受付行動なし受付行動あり受付行動なし人間的なロボット機械的なロボット 11

仮説 2 の検証, 考察親近性において, 積極性要因, ロボット外見要因に主効果, ロボット外見要因と RAS 要因の間に交互作用が見られた. 仮説 2 RAS 高群は人間らしい受付行動を行うロボットに対して親近性が低くなる. 5 4.001.002.000.

13 仮説 2 の検証, 考察親近性において, 積極性要因, ロボット外見要因に主効果, ロボット外見要因と RAS 要因の間に交互作用が見られた. 仮説 2 RAS 高群は人間らしい受付行動を行うロボットに対して親近性が低くなる RAS 高群は受付行動ありの機械的なロボットにおいて値が有意に高い 3 RAS 高群 RAS 低群 RAS 高群はロボットの外見と受付行動の違いが親近性に影響を及ぼす 2 仮説 2 は支持されなかった 1 受付行動あり受付行動なし受付行動あり受付行動なし人間的なロボット機械的なロボット 12

14 仮説 3 の検証, 考察親近性において, 低群のみでロボット * 積極性で 2 要因分散分析した所, 積極性要因に主効果が見られた. 仮説 3 RAS 低群は人間らしい受付行動を行うロボットに対して親近性が高くなる. RAS 低群は人間らしい受付行動なしより人間らしい受付行動ありの方が有意に高い仮説 1 にて RAS 低群はロボットの外見によって親近性が変化しない RAS 低群において親近性を低下させる要因は受付行動の違いだけだと考えられる仮説 3 は支持された 13

15 全体の考察三要因分散分析の結果,[ 人間性 ],[ アニマシー ], [ 緊張するか ],[ 積極性 ],[ 話しやすさ ],[ 見かけ ] の項目において, 各項目に有意差が見られた. また全体的な傾向として, 親近性の評価と同様な傾向が見られた. このことから RAS 高群 : まずロボットの外見が, 親近性などの印象に影響を与えて, 次に人間らしい受付行動が印象に影響を与えていると考えられる. RAS 高群は人間的な外見をしたロボットに対して不気味に感じているのではないか ( 不気味の谷 ) と考えられる. RAS 低群 : ロボットの外見に関わらず, 人間らしい受付行動の違いだけが印象に影響を与えると考えられる. 14

16 全体の考察三要因分散分析の結果,[ 性能の高さ ],[ 機能性 ], [ 安全性 ] の項目において, 有意差がなかった. 5 RAS 高群, 低群ではこれらの印象の評価に差がない 4 3 RAS 高群 RAS 高群, 低群関係なく, ロボットに対する不安, 人間らしい受付行動, ロボットの外見に関係なく, どの条件も等しく機能的で, 安全であると評価されたと考える. 2 1 受付行動あり受付行動なし受付行動あり受付行動なし人間的なロボット機械的なロボット RAS 低群 15

17 全体の考察三要因分散分析の結果,[ 接客の上手さ ] の項目において, 積極性に主効果が見られ, 以下のような傾向がみられた RAS 高群 : 人間らしい受付行動, ロボットの外見の違いで, 評価が変わる傾向があると考えられる. RAS 低群 : 人間らしい受付行動, ロボットの外見によって, 評価が変わらない傾向があると考えられる受付行動あり受付行動なし受付行動あり受付行動なし RAS 高群 RAS 低群人間的なロボット機械的なロボット 16

18 結論受付ロボットに対する不安及び, 受付ロボットの振舞いの積極性の有無と外見の違いが, 受付ロボットの印象に与える影響を調べた. 受付ロボットに対して不安に感じる要因は, ロボットの外見である事が示された. この結果は今後の受付ロボットの振舞い設計, 外見設計に貢献できると考えられる. 人間らしい受付行動を行い, 人間的な見た目より, 機械的な見た目で設計した方が RAS 高群, 低群に好まれると考えられる. 17

不気味の谷現象の研究で用いられたロボットの画像 [9] [9]Maya B. Mathura, David B. Reichlingb.

19 今後の展望受付ロボットに対して不安に感じる要因は, ロボットの外見である事が示された. 本実験では受付ロボットの外見が2 種類しかなかった. 受付ロボットの外見の種類を増やし,RAS 高群低群で不安に感じる見た目に違いがあるのか. 不気味の谷現象が起こる見た目に違いがあるのか. 不気味の谷現象の研究で用いられたロボットの画像 [9] [9]Maya B. Mathura, David B. Reichlingb. Navigating a social world with robot partners: A quantitative cartography of the Uncanny Valley. Cognition Volume 146, January 2016, Pages

20 補足 :RAS 得点分布 25 RAS 得点分布中央値 RAS 得点

21 補足 : アンケート内容ロボットの印象評価アンケート :GODSPEED( 親近性, 人間性, アニマシー, 機能性, 安全性 ), 見かけ, 積極的な, 緊張, 話しやすさ, 性能の高さ, 接客の上手さ実験参加者の属性分けアンケート :RAS(Robot Anxiety Scale) 以下のスケールに基づいてロボットの印象を評価してください偽物のような自然な機械的人間的意識を持たない意識を持っている人工的生物的ぎこちない動き洗練された動き死んでいる生きている活気ない生き生きとした機械的な有機的な人工的な生物的な不活発な対話的な無関心な反応のある嫌い好き親しみにくい親しみやすい不親切な親切な不愉快な愉快なひどい良い無能な有能な無知な物知りな無責任な責任のある知的でない知的な愚かな賢明な見かけが怖い見かけがかわいい消極的な積極的な緊張する弛緩する話しにくい話しやすい性能の低い性能の高い接客が下手接客がうまい以下のスケールに基づいてあなたの今の心の状態を評価してください不安な落ち着いた動揺している冷静な平穏な驚いたロボットの印象評価アンケート (GODSPEED とその他 ) 全く不安に思わないほとんど不安に思わないあまり不安に思わない少し不安に思うかなり不安に思う非常に不安に思うロボットが会話中に的外れなことを話すのではないかロボットとの会話は融通がきかないのではないかロボットは難しい話が理解できないのではないかロボットがどのような動きをするのかロボットが何をしてくるのかロボットがどのくらいの力を持っているのかロボットがどのくらいの速さで動くのかロボットにどう話しかけたらいいのかロボットから話しかけられた時にどう答えたらいいのかロボットに自分のした話の内容が理解されているのかロボットから話しかけられた内容が自分には理解できないのではないか実験参加者の属性分けアンケート (RAS)

22 補足 : フローチャート. 人間らしい受付行動ありの動作制御フローチャート 21

卒業研究　進捗報告

卒業研究　進捗報告卒業研究発表会生物性を実装したロボットのミスに対する許容度 2015.2.10 大阪工業大学情報科学部情報メディア学科ヒューマンインタフェース研究室 C11-067 西島智史,C11-069 西村佑太 1 背景従来, ロボットは産業用ロボットなどとして特殊環境で使用されることが多かった近年, ロボットは家庭にも普及しており, 我々にとって身近なものになってきているルンバ *,Pepper**