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よしおむらかわ
4 years ago
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1 条件付採録に対する回答文投稿論文番号 :2012JDP7055 ご査読に際し, 貴重なご指摘とご意見を頂きありがとうございました. 採録条件に対する回答と, 採録条件を満たすために, 投稿論文を加筆, 修正した点について, ご説明致します. 採録条件本論文では, 下記の点について新規性が主張されています. Nov1) タスク処理内容をプログラム形式で抽象的に記述することにより, 条件分岐や繰返しを含むような処理時間が変動するようなアプリケーションに対するシミュレーションを可能にしている. Nov2) タスク間の依存関係を記述できるタスク間で共有できる変数を定義できたり, あるタスクから別のタスクを起動したり, 待ちを解除する機能がある. Nov3) 同期に関する記述ができる. しかしながら, 本論文において参照のない, 下記論文ではモデルの表現や構成こそ差異点はありますが,Nov1~Nov3 をほぼ実現できていると考えます. Andreas Gerstlauer, Haobo Yu, and Daniel D. Gajski, "RTOS Modeling for System Level Design," Proc. Design, Automation and Test in Europe Conference and Exhibition 2003 (DATE2003), pp , 本論文が Ruby でタスク処理記述を与えるのに対し, 上記論文は SpecC で同様の記述を与えます. 本論文ではタスク処理記述ファイル中で一定時間のプロセッサ時間の消費や RTOS とのインターフェース, 同期や資源獲得 / 解放に関する記述を可能にしていますが, 上記論文も同様の記述ができるようです. システム開発論文であり, 本論文には上記論文とは異なる点が一定量認められますので, この点をもって不採録とはなりませんが, 上記論文は論文中で言及すべき先行研究です.

2 そこで採録条件として, (1) 上記論文への言及と (2) 上記論文に対する本論文の差異点の明記を提示します. 回答関連研究のご紹介ありがとうございます. ご紹介頂いた論文 ( 以下, 文献 [14] とする ) は,HW/SW の協調設計検証において,RTOS の振舞いを含めた, システムの機能的動作を確認することを目的としています. それに対して, 我々の提案システムは, モデル化したアプリケーションに適用するスケジューリングアルゴリズムを変えた時の振舞いの変化や, スケジューリングアルゴリズム自体の開発, 動作検証を目的としています. 両者の目的が異なる点を踏まえ, 採録条件に対して, 回答致します. 条件 (1) について文献 [14] を参考文献リストに追加しました. さらに,2 章の 10 段落目において, 文献 [14] に言及する文章を追記しました. 追加した文章は, 次の条件 (2) への回答でまとめてご説明します. 条件 (2) について本論文と文献 [14] の差異を明確にするため, 文献 [14] のシステムが満たしていない要件を以下に整理します. 1. タスクの処理内容を抽象化ができない 2. 実際に使用するアプリケーションを用いなければならない 3. 絶対時刻を指定したイベントについて述べられていない 4. タスクスケジューリングアルゴリズムは FPS(Fixed Priority Scheduling) しかサポートされていない 5. シングルコアスケジューリングを対象としており, マルチコアスケジューリングはサポートされていない 1. については, 文献 [14] のシステムでは, アプリケーションのソースコードに

3 実装されている, 外部デバイスとの通信内容や, 計算処理自体がタスクの実行時間になります. つまり, 処理の実行時間を抽象化することができませんので, 要件 1を満たしていません. 2. については, 実際に用いる処理内容が必要であるため, 実際に使用するアプリケーションが必要となります. したがって, 要件 5を満たしていません. 3. については, 割込み処理などのイベントを, 絶対時刻を指定して発生させることができるような記述や, それに相当する機能について言及されていないため, 要件 3を満たすかどうかを判断できません. 4. については,EDFS(Earliest Deadline First Scheduling) のような動的に優先度が変化するスケジューリングアルゴリズムをサポートしておりません. さらに,5. については, 文献 [14] の RTOS モデルはシングルコアスケジューリングを対象としているため, マルチコアスケジューリグはサポートされておりません. よって, 要件 4を満たすとは言えません. 以上を踏まえ, 本論文の第 2 章で整理した 6 つの要件に従って, 文献 [14] のシステムの機能を整理すると次のようになります. 要件 1: ( 上記,1. より ) 要件 2: 要件 3: ( 上記,3. より ) 要件 4: ( 上記,4.,5. より ) 要件 5: ( 上記,2. より ) 要件 6: ( 文献 A の目的とは異なるため言及されていない ) まず, 上記の内容を表 1 シミュレータの比較表に追加し,3 章 8 段落目に, 以下の記述を追加しました. 文献 [14] は,SpecC を用いてプロセッサと RTOS モデルを実装し, アプリケーションの動作を高速にシミュレーションする手法を提案している. アプリケーションは,RTOS モデルが提供する API を呼び出すことで, タスクスケジューリングを含めてシミュレーションできる. しかしながら,RTOS モデルの機能

4 が少なく, タスクの処理内容を抽象化することもできないため, 要件 1 を満たすことができない. さらに,RTOS のスケジューリングアルゴリズムとして, FPS しかサポートされていないため, 要件 4 を満たすこともできない. 参考意見査読者の専門領域外ですので具体的な文献を多くは挙げられませんが, 上記の論文 (Gerstlauer, 2003) に限らず, デザインオートメーションの分野にまだまだ参考研究が多くありそうな心象です. 上記論文以外は精読はしていませんが, Google Scholar で real time application scheduling simulator RTOS あたりをキーワードに指定してみると, 本論文と関連していそうな論文が多数見受けられます. 本論文のサーベイの範囲はリアルタイムスケジューリング分野にやや偏っていると思われます. デザインオートメーション分野の関連研究を一通り調査されることを強く勧めます. 参考意見に対する回答関連研究に関する有益なご意見ありがとうございます. ご指摘の通り, 我々の調査の範囲がリアルタイムスケジューリングの分野に偏っておりました. デザインオートメーション分野の関連研究を広く調査した結果, ソフトウェアやハードウェアの設計検証, またそれらの協調設計検証を目的としたシミュレーション環境を構築する研究が数多く存在することが分かりました. 調査した論文の中から, 本論文と強く関連している以下の論文を, 本論文の関連研究リストに追加しました. [15] P. Hastrono, S. Klaus and S.A. Huss, An integrated SystemC framework for real-time scheduling. Assess- ments on system level, In Proceedings of IEEE International Real-Time Systems Symposium, Dec [16] H. Posadas, E. Villar and F. Blasco, Real-Time Op- erating System modeling in SystemC for HW/SW co- simulation, In Proceedings of the

5 Conference on De- sign of Circuits and Integrated Systems, [17] R. Le Moigne, O. Pasquier and J.-P. Calvez, A Generic RTOS Model for Real-time Systems Simu- lation with SystemC, In Proceedings of the Design, Automation and Test in Europe Conference and Ex- hibition Designers, pp.82 87, Feb [18] H. Zabel and W. Muller, An Efficient Time Anno- tation Technique in Abstract RTOS Simulations for Multiprocessor Task Migration, In Proceedings of Distributed Embedded Systems: Design, Middleware and Resources, IFIP International Federation for In- formation Processing, pp , [19] S. Mahadevan, K. Virk, and J. Madsen, ARTS: A SystemC-Based Framework for Multiprocessor Systems-on-Chip Modelling, In Proceedings of De- sign Automation for Embedded Systems, pp , Dec [20] K. Yu, Real-Time Operating System Modelling and Simulation Using SystemC, PhD Thesis, University of York, Jun さらに, 上記の論文の内容と, 本論文の提案システムとの違いを明確にするため, 第 3 章 7 段落以降に, 以下の文章を追加しました (2 段落目は, 採録条件の条件 (2) に関する文章です ). タスクスケジューリングに着目したシミュレーション環境を構築する目的で開発されたものではないが,SpecC[12] や SystemC[13] などのシステムレベル記述言語を用いて, ハードウェアデバイス,CPU,RTOS のモデルを作成し, アプリケーションの動作を高速高精度でシミュレーションするためのシミュレーション環境が開発されている. 文献 [14] は,SpecC を用いてプロセッサと RTOS モデルを実装し, アプリケーションの動作を高速にシミュレーションする手法を提案している. アプリケーションは,RTOS モデルが提供する API を呼び出すことで, タスクスケジューリングを含めてシミュレーションできる. しかしながら,RTOS モデルの機能が少なく, タスクの処理内容を抽象化することもできないため, 要件 1 を満たすことができない. さらに,RTOS のスケジューリングアルゴリズムとして,

6 FPS しかサポートされていないため, 要件 4 を満たすこともできない. 文献 [18][19] は,SystemC を用いてマルチコアのハードウェアアーキテクチャのモデルを実装する方法を提案しており, シングルプロセッサ向けのスケジューリングアルゴリズムに加えて, マルチコア向けのスケジューリングアルゴリズムをシミュレーションできる可能性がある. しかしながら, タスクの処理記述の方法や RTOS のモデルについて詳細に述べられておらず, シミュレーション精度が評価されていないため, 有効性を判断できない. 文献 [20] は,SystemC を用いて, プロセッサと RTOS の高精度なモデルを構築する手法を提案している. 単純なアプリケーションを用いて, 命令セットシミュレータ (ISS と呼ぶ ) によるシミュレーション結果と比較した結果, 最大誤差 4% 程度のシミュレーション精度を,500 分の 1 程度のシミュレーション時間で得られることを示した. これらの研究は,ISS と同程度のシミュレーション精度で, より高速にシミュレーションできるという特徴がある. その一方で, 高いシミュレーション精度を実現するために, プロセッサ, 周辺デバイス,RTOS などのモデルを追加したことで, シミュレータの構成が複雑化している. ソースコードが公開されておらず, スケジューリングアルゴリズムを追加拡張する方法は規定されていないため, 同じアプリケーションのモデルを用いて, モデル作成手順やシミュレーション結果などを比較することは難しい. さらに, 要件 5 と 6 で述べた, アプリケーション自動生成ツールやログ解析ツールなどは用意されていない. 以上より, 独自のスケジューリングアルゴリズムの評価や, アプリケーションに最適なスケジューリングアルゴリズムを探索するという目的には向かないと考える. 査読結果を踏まえて, 論文を加筆, 修正した点は, 以上です. この改訂により, 採録条件を十分に満たすことができたと考えます. 大変有益な査読コメントを頂き, ありがとうございました. 再度ご査読のほど, よろしくお願い致します.

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