原理 a) 組織の固定 mrna を細胞内に保存する- 細胞が死ぬと細胞内の mrna の分解が急速に進むため この分解を防ぎ出来るだけ生きている時と近い状態に細胞や組織を保存する必要がある これを固定と呼ぶが in situ hybridazation (ISH) 法においては この作業が実験の成

Similar documents
プロトコール集 ( 研究用試薬 ) < 目次 > 免疫組織染色手順 ( 前処理なし ) p2 免疫組織染色手順 ( マイクロウェーブ前処理 ) p3 免疫組織染色手順 ( オートクレーブ前処理 ) p4 免疫組織染色手順 ( トリプシン前処理 ) p5 免疫組織染色手順 ( ギ酸処理 ) p6 免疫

パナテスト ラットβ2マイクログロブリン

ISOSPIN Blood & Plasma DNA

■リアルタイムPCR実践編

Western BLoT Rapid Detect

TaKaRa PCR Human Papillomavirus Detection Set

組織からのゲノム DNA 抽出キット Tissue Genomic DNA Extraction Mini Kit 目次基本データ 3 キットの内容 3 重要事項 4 操作 4 サンプル別プロトコール 7 トラブルシューティング 9 * 本製品は研究用です *

Western BLoT Immuno Booster

DNA/RNA調製法 実験ガイド

ChIP Reagents マニュアル

培養細胞からの Total RNA 抽出の手順 接着細胞のプロトコル 1. プレート ( またはウエル ) より培地を除き PBSでの洗浄を行う 2. トリプシン処理を行い 全量を1.5ml 遠心チューブに移す スクレイパーを使って 細胞を掻き集める方法も有用です 3. 低速遠心 ( 例 300 g

ISOSPIN Plasmid

プロトコル 細胞 増殖 / 毒性酸化ストレス分子生物学細胞内蛍光プローブ細胞染色ミトコンドリア関連試薬細菌研究用試薬膜タンパク質可溶化剤ラベル化剤二価性試薬イオン電極 その他 機能性有機材料 酵素 (POD,ALP) を標識したい 利用製品 < 少量抗体 (10μg) 標識用 > Ab-10 Rap

PanaceaGel ゲル内細胞の観察 解析方法 1. ゲル内細胞の免疫染色 蛍光観察の方法 以下の 1-1, 1-2 に関して ゲルをスパーテルなどで取り出す際は 4% パラホルムアルデヒドで固定してから行うとゲルを比較的簡単に ( 壊さずに ) 取り出すことが可能です セルカルチャーインサートを

Microsoft Word - iBind Western System 日本語簡易取扱説明書

ÿþ

650 Fluorophore 690 Fluorophore DMSO ( 1 x 500 μl) 1 x 1.5 ml) Opal polymer HRP Ms+Rb ( 2 x 50mL) Blocking/Ab Diluent (1 x 100 ml) 4 x 250ml) * 数量は Op

Microsoft Word ab205921_自動染色プロトコール_YU_IS.docx

Microsoft Word - Dr. Abe.doc

MANUAL TSA Research Reagents Caution: For Laboratory Use. A research chemical for research purposes only. TSA Biotin Systems Tyramide Signal Amplifica

コメDNA 抽出キット(精米20 粒スケール)

土壌溶出量試験(簡易分析)

1-4. 免疫抗体染色 抗体とは何かリンパ球 (B 細胞 ) が作る物質 特定の ( タンパク質 ) 分子に結合する 体の中に侵入してきた病原菌や毒素に結合して 破壊したり 無毒化したりする作用を持っている 例 : 抗血清馬などに蛇毒を注射し 蛇毒に対する抗体を作らせたもの マムシなどの毒蛇にかまれ

MEGALABEL™

Oligotex ™-dT30 <Super> mRNA Purification Kit (From total RNA)

目次 IPS 細胞の継代... 3 細胞継代後の培地交換... 5 IPS 細胞の凍結... 6 凍結ストックの解凍... 8 細胞融解後の培地交換 融解後 1 日目 ON-FEEDER IPS 細胞を FEEDER-FREE 条件にて継代する方法 参考資料 AC

遺伝子検査の基礎知識

MANUAL TSA Research Reagents Caution: For Laboratory Use. A research chemical for research purposes only. TSA Fluorescence Systems Tyramide Signal Amp

Cytotoxicity LDH Assay Kit-WST

Microsoft Word - タンパク質溶液内酵素消化 Thermo

BKL Kit (Blunting Kination Ligation Kit)

生物学に関する実験例 - 生化学 / 医療に関する実験例 ラジオアッセイ法によるホルモン測定 [ 目的 ] 本実習では, 放射免疫測定 (Radioimmunoassay,RIA) 法による血中インスリンとイムノラジオメトリックアッセイ ( 免疫放射定測定 Immunoradiometric ass

MLPA 法 Q&A 集

Microsoft Word - ライカIHCRefineNovoLinkキットS-100 第3版記載整備.d

Gen とるくん™(酵母用)High Recovery

<4D F736F F D20834E E815B82CC8DEC90BB B835A838B838D815B835882F08E E646F6378>

TaKaRa Bradford Protein Assay Kit

実験操作方法

Microsoft Word - Zenon Mouse IgG Labeling Kit_J1_28Apr2008.doc

遺伝子検査の基礎知識

TaKaRa PCR Human Papillomavirus Typing Set

TaKaRa BCA Protein Assay Kit

Microsoft PowerPoint - ELISA MAX Standard Protocol

[PDF] GST融合タンパク質バッチ精製プロトコール

Taro-kv12250.jtd

形態科学を基盤とした遺伝子発現解析法 in situ hybridization 法を中心に Methods for the Analysis of Gene Expression Based on Morphological Science Focusing on in situ Hybridiz

Probe qPCR Mix

基質溶液 ( 脂質成分を含む製品では 本手順はデータの精度に大きく影響します 本手順の記載は特に厳守ください ) 添付の基質溶液は希釈不要です 融解し室温に戻した後 使用直前に十分に懸濁してください (5 分間の超音波処理を推奨いたします ) 解凍後の基質溶液の残りは 繰り返しの凍結融解を避けるため

Microsoft Word - FMB_Text(PCR) _ver3.doc

Microsoft PowerPoint - LEGEND MAX Protocol

PrimeScript® II 1st strand cDNA Synthesis Kit

Pyrobest ® DNA Polymerase

TaKaRa POD Conjugate For Mouse Tissue/For Tissue

酵素の性質を見るための最も簡単な実験です 1 酵素の基質特異性と反応特異性を調べるための実験 実験目的 様々な基質を用いて 未知の酵素の種類を調べる 酵素の基質特異性と反応特異性について理解を深める 実験準備 未知の酵素溶液 3 種類 酵素を緩衝液で約 10 倍に希釈してから使用すること 酵素溶液は

Microsoft Word - Fluo4 Direct Calcium Assay Kits_J1_3Apr2009.doc

ウスターソース類の食塩分測定方法 ( モール法 ) 手順書 1. 適用範囲 この手順書は 日本農林規格に定めるウスターソース類及びその周辺製品に適用する 2. 測定方法の概要試料に水を加え ろ過した後 指示薬としてクロム酸カリウム溶液を加え 0.1 mol/l 硝酸銀溶液で滴定し 滴定終点までに消費

改訂履歴 登録 発行 年月日 文書番号 ( 改訂番号 ) 改訂内容 改訂理由 年月日 エンドトキシン簡便法 2 / 9 日本核医学会

pdf エンドトキシン試験法

土壌含有量試験(簡易分析)

8-7

プロトコル 蛍光色素を標識したい 利用製品 < 少量抗体 (10μg) 標識用 > ICG Labeling Kit- NH 2 [LK31] - アミノ基標識用 - R-Phycoerythrin Labeling Kit - NH 2 [LK23] Ab-10 Rapid Fluorescein

Mouse IgG EIA Kit

PrimeScript RT reagent Kit (Perfect Real Time)

【Webinar】蛍光免疫染色の基礎

しょうゆの食塩分測定方法 ( モール法 ) 手順書 1. 適用範囲 この手順書は 日本農林規格に定めるしょうゆに適用する 2. 測定方法の概要 試料に水を加え 指示薬としてクロム酸カリウム溶液を加え 0.02 mol/l 硝酸銀溶液で滴定し 滴定終点までに消費した硝酸銀溶液の量から塩化ナトリウム含有

P TOYOPEARL TOYOPEARL DEAE-650S, M, C TOYOPEARL CM-650S, M, C TOYOPEARL SP-650S, M, C TOYOPEARL SuperQ-650S, M, C TOYOPEARL QAE-550C TOYOPEARL

GMP-140 (P-selectin) EIA Kit

Microsoft Word - NPK-801F取説(10-04) doc

(Microsoft Word - \230a\225\266IChO46-Preparatory_Q36_\211\374\202Q_.doc)


目 次 Ⅰ. キットの構成 3 Ⅱ. その他必要な器具 装置 3 Ⅲ. 試薬の調製法 4 Ⅳ. 操作手順 ( ローレンジ法 ) 5 小麦タンパク質濃度の算出法 6 標準曲線の例 6 グルテン含量の算出法 7 Ⅴ. 操作手順 ( ハイレンジ法 ) 7 グルテン含量の算出法 8 Ⅵ. キットの保存条件と

研究用試薬 ブタ胚ガラス化保存液キット (PEV-SK) を用いたブタ胚のガラス化保存と融解 ( 加 温 希釈 ) 方法 製品番号 IFP16PVSK 株式会社機能性ペプチド研究所

Microsoft Word - ケミストリープロトコル_v5_2012_Final.doc

はじめてのリアルタイムPCR

プロトコル 細胞 増殖 / 毒性酸化ストレス分子生物学細胞内蛍光プローブ細胞染色ミトコンドリア関連試薬細菌研究用試薬膜タンパク質可溶化剤ラベル化剤二価性試薬イオン電極 その他 機能性有機材料 タンパク質を定量したい 使用製品 -Proteostain- Protein Quantification

コメDNA 抽出キット(精米、玄米1 粒スケール)

Influenza Virus Typing Set

Microsoft PowerPoint - No7_Pap染色の基本原理.ppt

本実験では 複製された DNA や転写された RNA を個々の細胞で可視化して細胞核の 機能と細胞周期の制御を理解すること 及び 染色体標本の作成により染色体の構造 多様性 分配機構について理解することを目的とする 実習の流れ 第一回実習説明 複製された DNA 複製の検出と観察 第二回染色体標本の

すとき, モサプリドのピーク面積の相対標準偏差は 2.0% 以下である. * 表示量 溶出規格 規定時間 溶出率 10mg/g 45 分 70% 以上 * モサプリドクエン酸塩無水物として モサプリドクエン酸塩標準品 C 21 H 25 ClFN 3 O 3 C 6 H 8 O 7 :


14551 フェノール ( チアゾール誘導体法 ) 測定範囲 : 0.10~2.50 mg/l C 6H 5OH 結果は mmol/l 単位でも表示できます 1. 試料の ph が ph 2~11 であるかチェックします 必要な場合 水酸化ナトリウム水溶液または硫酸を 1 滴ずつ加えて ph を調整

Microsoft PowerPoint - 免疫染色における.ppt

TNT820-1 化学的酸素要求量 (COD) (DR1900 用 ) DOC 加熱分解法方法 ULR (1~60 mg/l COD) TNTplus TM 820 用途 : 下水 処理水 地表水 冷却水 : 本測定方法は 分解を必要とします 測定の準備試薬パッケ

( 別添 ) ヒラメからの Kudoa septempunctata 検査法 ( 暫定 ) 1. 検体採取方法食後数時間程度で一過性の嘔吐や下痢を呈し, 軽症で終わる有症事例で, 既知の病因物質が不検出, あるいは検出した病因物質と症状が合致せず, 原因不明として処理された事例のヒラメを対象とする

大学院博士課程共通科目ベーシックプログラム

神戸女子短期大学論攷 57 巻 27-33(2012) - ノート - 果実によるタンパク質分解酵素の活性検査 森内安子 Examination of the Activation of Enzyme Decomposition in Fruits Yasuko Moriuchi 要旨果実に含まれて

タンパク質は 電気泳動後にタンパク質を可視化するための最も簡単で迅速な方法です バイオ ラッドは感度 定量性 質量分析計対応に合わせた可視 蛍光剤を取り扱っています CBB クマシーブリリアントブルーは を行ったゲル中のタンパク質をするための最も一般的な方法です バイオ ラッドでは 用途に合わせて2

イルスが存在しており このウイルスの存在を確認することが診断につながります ウ イルス性発疹症 についての詳細は他稿を参照していただき 今回は 局所感染疾患 と 腫瘍性疾患 のウイルス感染検査と読み方について解説します 皮膚病変におけるウイルス感染検査 ( 図 2, 表 ) 表 皮膚病変におけるウイ

Microsoft Word - flagipt1bul_ Edit.doc

無細胞タンパク質合成試薬キット Transdirect insect cell

TaKaRa DEXPAT™

PowerPoint プレゼンテーション

DNA Blunting Kit

取扱説明書

Multiplex PCR Assay Kit

SSH資料(徳島大学総合科学部 佐藤)

HVJ Envelope VECTOR KIT GenomONE –Neo (FD)

ウェスタンブロッティング

Dr, Fujita

Transcription:

切片 in situ ハイブリダイゼーション習得キット Section in situ hybridization starting Kit 製品マニュアル Cat No.AA-4020 ~ご使用前に本誌をよくお読みいただき 正しいお取り扱いをお願い致します~ 製品説明 本製品は in situ hybridazation (ISH) を初めて実施する方のため これまで 2~3 日かかっていた作業時間を出来るだけ短縮し 1 日でより簡便に切片 ISH を体験できるよう開発したハイブリダイゼーション練習用キットです ISH 法は 原位置 (in situ) での核酸 (RNA DNA) の発現場所を形態的に評価する手法であり 浸透性の良い胚などを用いた方法 ( ホールマウント in situ hybridization) と組織を薄く切った切片を用いた方法 ( 切片 in situ hybridization) の 2 種類があります 本製品は 切片を用いて mrna の発現を評価するキットです プローブ作製の練習用キットであるプローブ合成トライアルセット (Cat No.AA-4010) の姉妹品です 製品内容 製品内容マウス精巣切片プリザベーションプレート ( プローブ ) Hybridization buffer( ハイブリ溶液 ) 内容量 10 枚 400ng/spot 10 spots/ 枚 2 枚 200μl 16 保存方法 :4 使用期限 : 製品の外箱に別途記載 取扱い注意 一般的注意 本試薬はなるべく早く使用し 有効期限を過ぎた試薬は使用しないで下さい 記載された使用方法及び使用目的以外の使用については 染色結果の信頼性を保証できないので 記載内容に従い使用して下さい 本試薬は直射日光に当てないで下さい 本試薬は微生物に汚染されないようにして下さい 本試薬が皮膚および粘膜に直接接触することを避け 万一触れた場合は 水で十分洗い流して下さい 本試薬の使用後は封をきちんと閉めて下さい 製品内の容器および付属品等は他の目的に転用しないで下さい 使用後の容器を廃棄する場合には 廃棄物に関する規定に従い 実験産業廃棄物等区別して廃棄して下さい 染色上の注意 反応の際には組織が乾燥しないように注意し 必要に応じて湿潤箱を使用して下さい 実験操作中は RNase( 汗や唾液に含まれる ) を混入させないように注意し 操作を行って下さい - 1 -

原理 a) 組織の固定 mrna を細胞内に保存する- 細胞が死ぬと細胞内の mrna の分解が急速に進むため この分解を防ぎ出来るだけ生きている時と近い状態に細胞や組織を保存する必要がある これを固定と呼ぶが in situ hybridazation (ISH) 法においては この作業が実験の成否に大きく影響する mrna の分解は急速に進むものと考えられているので 一秒でも早く固定しなければならない ( 実験動物の場合 潅流固定することを推奨する ヒトの場合も 数分以内には固定するのが好ましい ) 固定法には 一般的に 2 つの方法 ( アルデヒド固定とアルコール固定 ) が開発されてきたが 研究目的に応じて最適の固定法を検討する必要がある in situ hybridazation (ISH) 法においては 一般的に 4% パラフォルムアルデヒド (PFA) を固定法として用いる場合が多い 1. アルデヒド固定 (PFA 固定 ホルマリン固定 ) アルデヒド系の固定液を用いてタンパク質を架橋することにより固定する 2. アルコール固定 (FAA 固定など ) アルコールで タンパク質を変形させることにより固定する b) プローブの調製固定により細胞内に保存した目的の mrna を検出するため その mrna と特異的にハイブリダイズする ( 目的の mrna と相補的な配列を持つ )RNA プローブが必要である 目的の mrna とハイブリダイズしたプローブの位置を可視化するために RNA プローブにはあらかじめ標識物質を結合させ 酵素抗体法または蛍光抗体法により可視化を可能にする * 目的の mrna と相補的な配列の RNA プローブをアンチセンスプローブ (AS) と呼び ネガティブコントロールとして 目的の遺伝子と同じ配列で組織内の mrna とはハイブリダイズしない RNA プローブをセンスプローブ (SE) と呼ぶ c) 前処理固定した組織に対するプローブの非特異的な吸着を防ぐ目的と結合組織などを分解しプローブの浸透性を良くする目的で行う プローブの浸透性を良くするために タンパク質分解酵素 (ProteinaseK) を用いて処理を行う タンパク質分解酵素の処理に関しては 組織の種類 固定法と密接に関係し in situ hybridazation (ISH) の結果に大きく左右する重要な因子であるため 実験ごとに濃度 反応時間 反応温度などの条件を十分検討しなければいけない d) Hybridization 目的の mrna と相補的な配列を持つ DIG を標識した RNA プローブをハイブリダイズさせるが それぞれの遺伝子ごとにハイブリ温度 (Tm 値 ) が決定され その遺伝子の至適温度でハイブリダイズさせる Tm は塩基配列の GC 塩基対の含量 配列の長さ ハイブリ溶液の塩濃度や組成などによって変化する 経験的な式を下記に記す < 完全に塩基対が一致している場合 > Tm=81.5+16.6(logM)+0.41(%GC 含量 )-0.72(%formamide 濃度 )-500/L ( M= 一価の正イオンのモル濃度 L= プローブの長さ (base)) DNA は A=T または G C という相補的な塩基の水素結合により安定な 2 重らせん構造を形成している DNA の水素結合を切り離し ( 変性させ ) 1 本鎖にする方法の一つとして 加熱が用いられる 温度を徐々に高くすると DNA の 2 重らせんが切り離され 1 本鎖になっていくが 温度が低い時の DNA をヘリックス 100% とし 高温で吸光度が一定になる状態をヘリックス 0% とすると ヘリックス 50% になる温度 ( 融解温度 (Tm) と呼ぶ ) を決定することができる ハイブリ温度は Tm より 5 ~20 低い温度で行う どの程度塩基対のマッチを許容するかを stringency というが Tm より 20 低 い温度でハイブリさせると stringency は非常に高くなる - 2 -

e) プローブの検出 ( 酵素抗体法または蛍光抗体法 ) 適当な抗原 ( 標識物質 ) を結合させた核酸 (RNA) を合成し その抗原に対する抗体を用いて 発色または蛍光により可視化する 本キットでは 酵素抗体法を使用し検出することを推奨する DIG 標識プローブにアルカリホスファターゼ (AP) を標識した DIG に対し特異的な抗体を反応させる そして アルカリホスファターゼ (AP) の基質を反応させ発色により検出する 原理 f) 観察と記録 結果を顕微鏡で観察し 写真として記録する 染色の例 : マウス精巣における protamine1 遺伝子の発現 発色基質 :NBT/BCIP 対比染色 :Nuclear Fast Red - 3 -

プロトコール 必要な試薬 器具 機器 ( 試薬 ) 必要量については容量が 30mL の染色バットを使用した際の目安となります 使用する染色バットの容量に応じてご用意ください 必要試薬必要量組成備考 1 PBS 200 ml 137mM NaCl, 2.7mM KCl, 8mM Na2HPO4, 1.5 mm リン酸二水素カリウム 塩酸あるいは水酸化ナトリウムで ph7.4 にあわせオートクレーブで滅菌する ( 室温保存 ) 2 キシレン 100 ml キシレン 3 100% エタノール 50 ml 100% エタノール 4 70% エタノール 50 ml 70% エタノール /PBS 5 50% エタノール 50 ml 50% エタノール /PBS 6 25% エタノール 50 ml 25% エタノール /PBS 7 ProteinaseK /PBS 50 ml 1 ug/ml ProteinaseK/PBS 20 mg/mlproteinasek ( 滅菌水に溶解 ) を事前に調整しストックしておく ( 遮光 -20 保存 ) 反応直前に PBS で希釈し使用する ( 用事調整 ) 8 PBS-Glycine 50 ml 2 mg/ml Glycine/PBS ( 室温保存 ) 9 4 SSC 150 ml 10 0.1 SSC 50 ml 11 TTBS 300 ml 0.6 M NaCl 0.06 M sodium citrate 15 mm NaCl 1.5 mm Sodium citrate 5 M NaCl 20 mm Tris-HCl (ph8.0) 0.1%Tween20 水酸化ナトリウムで ph7.0 にあわせオートクレーブで滅菌する ( 室温保存 ) 4 SSC を 40 倍希釈して用いる ( 室温保存 ) ( 室温保存 ) 12 Prehybridization buffer 保湿液 150 ml 2 SSC / 50 % ホルムアミド 4 SSC に等量のホルムアミドを加える ( 室温保存 ) 13 ブロッキング溶液 5 ml 14 抗体溶液 2 ml 15 発色バッファー 60 ml 16 発色液 10 ml 17 TE (ph8.0) 50 ml 1% (w/v)blocking powder*/ttbs *Roche 1 096 176 Anti-Digoxigenin-AP* 500 倍希釈 *Roche 1 093 274 ブロッキング溶液 100 mm NaCl, 100 mm Tris-HCl (ph9.5) 50 mm MgCl 2, 0.1 % Triton X-100 450ug/ml NBT *1 175ug/ml BCIP *2 発色バッファー 10mM Tris-HCl(pH8.0), 1mM EDTA 65 中で振盪しながら完全に溶解する ( 用事調整 ) 用事調整 用時調整 70mg/mL NBT/70% ジメチルホルムアミドおよび 50mg/ml BCIP/100% ジメチルホルムアミドをそれぞれ事前に調整しストックしておく ( 遮光 -20 保存 ) 発色直前に発色バッファーで 450 ug/ml NBT 175 ug/ml BCIP に希釈し使用する ( 用事調整 ) ( 室温保存 ) 18 滅菌水 1000 ml ( 室温保存 ) 19 封入剤 10 ml 70% Glycerol / H 2 O ( 室温保存 ) Wash バッファーセット (AA-4021) として別販売している試薬です - 4 -

( 器具 ) 器具 参考器種 使用工程 1 染色バット アズワン #1440001; 乾熱滅菌をかけたものを使用すること 全行程 2 ピンセット 乾熱滅菌をかけたものを使用すること 全行程 3 湿潤箱 耐熱性のものを使用すること PreHybridization Hybridization, 抗体反応 発色反応 4 パップペン フナコシ S-PAP-M など Blocking 前 5 パラフィルム Hybridization 6 50 ml ビーカー ハイブリ後の洗浄 7 使い捨て手袋 全行程 8 キムワイプ キムタオル 全行程 9 カバーガラス マツナミ 22mm 22mm #C0022221 など 封入 10 マニュキュア トップコート 封入 11 マイクロピペット 全行程 ( 機器 ) 機器参考機種使用工程 1 ハイブリダイゼーション インキュベーター タイテック HB-80 など PreHybridization Hybridization 洗浄 2 ブロックインキュベーターアステック BI-516H B など RNA Probe 溶出 3 光学顕微鏡 観察 - 5 -

操作手順 1 スライドガラスのラべルスライドガラス ( マウス精巣切片 ) のフロスト部分に プローブ名 ( アンチセンスプローブ (AS) センスプローブ(SE) と区別がつくように ) 等を記入する 2 プローブの溶出本製品の hybridization 溶液 200μl 中に プリザベーションプレートのろ紙 ( 紙チップ ) を一枚落とし 65 度に温めたブロックインキュベーターにて プローブの溶出を行う *60 分を目安にハイブリダイゼーションの工程の前にあらかじめ溶出させておく < プローブ溶出方法 > 取り出す部分のアルミシールを剥がした後 ( カッターなどで 1 箇所分にカットするとよい ) フィルムを外し ピペットチップの先などを使い 紙チップをハイブリバッファーの入ったチューブへ落とし 65 度にてインキュベーションを 1 時間程度行う 1 2 3 4 2 前処理 表に記載の試薬を上から順に指定の時間 温度で反応させ 液交換を行う 1) 組織が浸る程度に染色バットに試薬を移す 2) スライドガラスを染色バット内の溶液に浸し 指定の時間静置する 3) ピンセットでスライドガラスを溶液から取り出し 次の試薬を入れた 処理工程試薬名時間温度 キシレン 10 分室温 キシレン 10 分室温 染色バットに移す 4) 反応したあとの試薬は 指定の廃棄方法に従って廃棄し 精製水 ( 滅菌済み ) でバット内を洗浄し 新しい液に交換する 脱包埋剤処理 タンパク質 分解酵素処理 100% エタノール 5 分 室温 70% エタノール /H 2 O 5 分 室温 50% エタノール /PBS 5 分 室温 25% エタノール /PBS 5 分 室温 PBS 5 分 室温 proteinasek/pbs 10 分 室温 Glycine /PBS 2 分 室温 PBS 5 分 室温 3 プレハイブリダイゼーション 染色バット内に Prehybridization buffer (2 SSC/50% ホルムアミド ) を組織が浸るぐらい入れ 65 度で 5 分間静置する あらかじめ Prehybridization buffer (2 SSC/50% ホルムアミド ) は 65 にあたためておくとよい - 6 -

4 ハイブリダイゼーション 1) ピンセットで保湿液 (2 SSC/50% ホルムアミド ) からスライドガラスを取り出し 組織に触れないように注意し スライドガラスに付着している水滴をキムワイプなどでよく取り除く 2) スライドガラス上の組織切片に あらかじめ溶出したプローブ溶液 (2μg/ml) 全量を切片を覆うようにマイクロピペットで滴下する ( プローブの種類とラべルした切片の種類が間違っていないか確認して プローブをのせる ) 3) ピンセットを用いて空気が入らないように 切片にパラフィルムを注意深くかぶせる ( 右写真 ) 4) 湿潤箱にキムワイプを敷き 保湿液 (2 SSC/50% ホルムアミド ) を適量しみこませる 5) 湿潤箱に スライドガラスを置き蓋を閉め ハイブリダイゼーションインキュベーターの中に入れて 65 度で 60 分以上反応させる 5 プローブ洗浄 ハイブリ後 スライドガラスを 4 SSC の中に移し 液中内で切片の剝離に注意して 静かにパラフィルムを取り除く ( 下写真 ) ピンセットでパラフィルムを除去したスライドガラスを取り出し 右表の通りプローブの洗浄を行う 処理工程 試薬名 時間 温度 2XSSC/50% ホルムアミド 5 分 65 Probe Wash 0.1XSSC 5 分 65 TTBS 30 分 室温 1 2 6 ブロッキング 抗体反応 抗体洗浄 1) ピンセットでスライドガラスを取り出し 水滴をよく取り除き スライドの縁に沿ってパップペンで切片の周りを囲み 湿潤箱に載せる 2) パップペンで囲まれた部分に ブロッキング溶液を約 500μl 注ぎ 5 分室温で反応させる 3) ブロッキング溶液の液を切り 同様に抗体溶液 (500 倍希釈 ) を約 500μl 注ぎ 30 分室温で反応させる 4) 抗体の液をよく切り 染色バット内に入れた TTBS で 10 分間室温にて静置し 抗体の洗浄を行う これを 4 回繰り返す 7 発色反応 ~ 封入 1) ピンセットでスライドガラスを取り出し キムワイプで水滴をよく取り除く 2) 約 500μl 発色液を注ぎ 30 分間アルミホイルなどで遮光し 室温で反応させる 3) 発色液を切り 染色バット内に入れた TE で 5 分間室温にて静置し 発色反応を停止させる 4) ピンセットでスライドガラスを移し PBS で 5 分間室温にて静置する 5) スライドガラスを染色バットから取り出し 水滴をよく取り除き 70% グリセロールにて封入する カバーガラスが動かないようマニュキュアなどでカバーガラスの縁を塗り固定する 必要に応じて 対比染色 (nuclear Fast Red など ) を行う - 7 -

簡易プロトコール 工程 使用試薬 時間 ( 分 ) 回数 温度 備考 チェック スライドラベルプローブ溶出 ハイブリバッファー 60 分 65 キシレン 10 分 2 回 染色バット 室温 100 % エタノール 5 分 染色バット 室温 脱パラフィン 70 % エタノール 5 分染色バット室温 50 % エタノール /PBS 5 分染色バット室温 25 % エタノール /PBS 5 分 染色バット 室温 PBS 5 分 染色バット 室温 前処理 ProteinaseK/PBS 10 分 染色バット 室温 反応停止 Glycine /PBS 2 分 染色バット 室温 洗浄 PBS 5 分 染色バット 室温 プレハイブリ ダイゼーション Prehybridization buffer* 5 分染色バット 65 * 予め 65 で温めておく ハイブリ ダイゼーション RNA Probe/ Hybridization buffer 60 分湿潤箱 / 保湿液 65 パラフィルムでカバーする 脱パラフィルム 4 SSC 染色バット 室温 4XSSC 中で静かにパラフィルムを剥がす プローブ洗浄 Prehybridization buffer* 5 分 染色バット 65 * 予め 65 で温めておく 0.1XSSC* 5 分 染色バット 65 * 予め 65 で温めておく TTBS 30 分 染色バット 室温 ブロッキング パップペン 組織の周りの余分な液を拭き取った後 周りを囲うように描く ブロッキング溶液 5 分 湿潤箱 /H 2 O 室温 組織の上に滴下する 抗体反応 抗体溶液 30 分 湿潤箱 /H 2 O 室温 組織の上に滴下する 抗体洗浄 TTBS 10 分 4 回 染色バット 室温 室 発色発色液 30 分湿潤箱 /H 2 O 温 遮光 組織の上に滴下する 反応停止 TE 5 分染色バット室温 PBS 5 分染色バット室温 封入 70% グリセロール /PBS 室温カバーガラスの縁をマニュキアで固定する 株式会社アワジェニック 771-0360 徳島県鳴門市瀬戸町明神字板屋島 124-4 Tel 088-683-7178 Fax.088-683-7212 E-mail report_ourgenic@ourgenic.com - 8 -