第 2 学年 2 組 技術 家庭科学習指導案 平成 1 8 年 7 月 3 日 ( 月 ) 第 5 校時被服室指導者新潟市立松浜中学校教諭西埜雅美 1 題材名わたしたちの成長と家族 幼児と遊ぼう B 家族と家庭生活 ( 2 ) ア 2 題材の目標 幼児の遊びの意義と遊びから育まれる能力についてわかる 幼児の心身の発達に応じた遊び道具や安全な遊び場所について考えることができる 3 題材の評価規準生活や技術への関心 意欲 態度 1 中学生の生活と比較して幼児にとっての遊びの意味を知ろうとしている 2 遊びが育てる子どもの能力について関心をもち 遊びを考えようとしている 3 自分の幼児期を思い出し 遊び道具と安全な環境について考えようとしている 生活を工夫し創造する能力 1 幼児の生活の中心は遊びであることを知り 幼児とのかかわり方を工夫することができる 2 年齢や遊びの種類によって発達する能力を理解し 幼児の遊びを工夫することができる 3 遊びを豊かにする遊び道具と安全な環境について工夫し 一緒に遊ぶことを考えることができる 生活の技能 1 遊びを通して 育つ能力についてまとめたり 発表したりすることができる 生活や技術についての知識 理解 1 幼児にとっての遊びの意義を説明できる 2 年齢や遊びの種類によって育つ能力を具体的に説明することができる 3 遊び道具や安全な遊び場について 説明することができる 4 題材と生徒 ( 1 ) 題材について現在の家族形態は核家族化 少子化が進み 家族に幼児のいる生徒は少なく 日常生活の中で中学生が幼児と接する機会は少ない状況にある そのため 中学生は年少者に対する関心や思いやりの気持ちを育てる機会に恵まれることなく 自己主張が多く 自分本位の考えで簡単に物事を判断し 行動することも多い また 周りの人々への配慮や思いやりの心 感謝する気持ちなども薄れているのが現状である 幼児の遊びの学習を通して 自分自身の幼児期を振り返り 家族をはじめ多くの人々の愛情や心づかいを受けて成長してきたことに気づき 温かい心情や幼児への関心を深め よりよい家庭や社会を築こうとする意欲や態度を養うことにつなげたいと考え この題材を設定した ( 2 ) 生徒について授業を行う 2 年 2 組は 男子 2 1 名 女子 1 9 名 計 4 0 名のクラスである 家庭科の授業の取組については 質問に対して自分なりの考えを素直に発言することができる雰囲気がある また 創作活動には意欲的に取り組んでいる しかし 学習用具を持ってこなかったり 私語をしたりして 授業に集中して取り組むことができない生徒もいる 幼児に関する事前アンケートによると 家族に幼児がいる生徒は 4 名いるが 身近に関わる幼児がいない生徒はクラスの半数近くいた 普段はあまりかかわらないが近所や親戚に幼児がいるという生徒も半数いることがわかった また 中学 2 年生が幼児に対するイメージを聞いてみると 以下のような意見があった かわいい 1 7 小さい 8 わがまま 3 元気がある 3 無邪気 2 素直 2 生意気 2 うるさい 2 世話が大変 2 遊んでいて楽しい 2 親しみやすいよく動く泣く話がおもしろい何でも投げる肯定的な意見が多く 幼児への関心はあるようだが 生徒自身にも精神的にまだ幼さが残っているため 積極的なかかわりができないようである
5 指導の構想 H 1 8 年度中学校家庭科課題研修講座テーマ ~ 進んで生活を工夫 創造する能力と態度を育てる家庭科の授業改善 ~ 生活の自立と衣食住 の学習内容は 生徒の興味 関心も高く 学習したことがすぐに 生活に生かすことができる しかし 家族と家庭生活 の内容の中でも特に 幼児とのかかわり については 現時点での生徒の生活状況では臨場感に欠けるため できるだけ興味 関心を高め 生活を工夫 創造できるような資料の提示や学習環境を整える必要がある そこで 幼児を身近に感じられるように ビデオを見たり 教師の幼児期の写真や絵を見せたりした また 生徒自身の幼児期を振り返らせ いろいろな思い出を例に挙げて授業を進めている 今まで学習してきた幼児の心身の発達や生活習慣の形成において学んだことを生かし 幼児と遊ぼう の題材では 実際に幼児と一緒に遊んだらどうなるかということをさまざまな場面を設定して授業を展開しながら 幼児の気持ちを考え 生徒自身がその場面でどのように行動したらいいか 幼児にとってよりよい環境にするにはどうしたらいいのかを考えさせる そして 今までの学習活動における学びや思いを 次の課題である 幼児のための絵本作り に活かせるように進めていきたい 6 指導と評価の計画 全 2 時間 本時 2 / 2 評価規準評価の観点時 ねらい 学習活動おおむね満足 (B ) 間関工技知 評価方法 1 幼児にとっての遊 幼児の遊びや育つ 1 2 1 1 生徒への指導 びの大切さを理解 能力について関心 2 2 する をもち 幼児にと 幼児の生活の中心は っての遊びの意義 遊びであることを知 を理解することが る できる 遊びの種類を遊び方 観察 学習プリント の違いに分類し 心 身の発達に応じて育 つ能力に違いがある ことを知る (本時) 遊びを豊かにする遊び道具と安全な環境について考える 場面設定された遊び場所で幼児と一緒に遊ぶとき 楽しく遊ぶために必要なおもちゃや安全な環境について考える 幼児と楽しく遊ぶことができるおもちゃについて考えることができる 発言 学習プリント 遊び場所の危険を予測し 安全な環境を作るために 具体的な取組を考えることができる 話し合い 発言 学習プリント 3 1 3 十分満足できる (A ) 幼児の遊びの意義を理解し 年齢に合った遊びや発達する能力について具体的な例を挙げることができる 3 幼児の心身の発達を考慮して 楽しく遊ぶことができるおもちゃについて考えることができる 遊び場所の危険を多く予測し 安全な環境を作るために 具体的な取組を提案することができる 努力を要する (C) 幼児期の遊びを思い出させ 遊びの特徴から どのような能力が育つのか考えさせる 1 友達の意見を聞きながら 自分なりの遊び方を見つけられるようにする 幼児期に危険なことがなかったか 思い出させる 7 本時の学習 ( 1 ) 本時のねらい 遊びを豊かにする遊び道具と安全な環境について考えることができる ( 2 ) 本時の評価規準 幼児と楽しく遊ぶことができるおもちゃについて考えることができる 遊び場所の危険を予測し 安全な環境を作るために 具体的な取組を考えることができる
( 3 ) 本時の指導の構想普段幼児と接する機会が少ない生徒たちに 幼児と遊ぶことをイメージしやすいように場面設定をし 一緒に楽しく遊ぶために使いたいおもちゃと遊ぶ場所の安全と危険について考えさせる ここでは 部屋 ( 室内環境 ) と外 ( 屋外環境 ) の二場面で 3 歳児の幼児の遊び相手をする場合である さらに生徒の興味 関心を引き出すため 部屋 ( 室内環境 ) の様子を実際に再現して 実践的 体験的な学習からいろいろなことが考えられるようにする 始めに 部屋と外の絵 ( 環境 ) から 3 歳児の心身の発達の特徴をとらえて 一緒に楽しく遊べるおもちゃについて考えさせる 市販のおもちゃだけでなく 自然の素材や身の回りのものも遊び道具になることにも気づかせたい 次に 同じ絵の資料から 危険な箇所や危険が予想されることを考えさせ 幼児を危険から守り 安全な保育環境を作るためにはどうしたらいいか 具体的な方策を考えさせ 社会生活に生かそうとする態度を養いたい ( 4 ) 本時の展開と評価学習内容 活動 教師の働きかけと生徒の反応 指導上の留意点と評価 1. 本時の課題を確認する 前時の学習を簡単に復習しな 前時の学習内容を確認す がら 本時の課題に対する意る 遊びを豊かにするおもちゃと安全な環境について考えよう欲を図る 2. 設定された遊び場所 ( 部屋の中 ) において 3 歳児とどんなおもちゃを使って遊ぶことができるか考える また 部屋の状況で何か気がついたことを考える 1 班 ~ 4 班は男の子 5 班 ~ 8 班は女の子と遊ぶ場合について考える 実際に部屋の様子を観察する 考えたものを各自プリントに記入し 班で意見交換をする 班の代表が発表する 3. 外の遊び場所で 3 歳児とどんなおもちゃを使って遊ぶことができるか考える また 外の状況で何か気がついたことを考える 1 班 ~ 4 班は男の子 5 班 ~ 8 班は女の子と遊ぶ場合について考える 考えたものを各自プリントに記入し 班で意見交換をする 幼児と遊ぶ場所 ( 部屋の中 ) の絵を掲示する 部屋の状況については 実物で再現したものも提示する 発問 :3 歳児の遊び相手をすることになりました この部屋で どんなおもちゃを使って遊ぶことができますか また この状況から気づいたことをそれぞれ 5 つずつ考えてみよう 生徒からの意見を聞き 板書する 生徒の反応 おもちゃ : ぬいぐるみ 絵本積み木 ミニカー 電車 気づき : 針やタバコを口に入れる アイロンのコードにひっかかる 花瓶を倒す ポットのお湯でやけどする 幼児と遊ぶ場所 ( 外の遊び場 ) の絵を掲示する 発問 :3 歳児の遊び相手をすることになりました 公園で どんなおもちゃを使って遊ぶことができますか また この状況から気づいたことをそれぞれ 5 つずつ考えてみよう 生徒からの意見を聞き 板書する 学習プリントを配付する 3 歳児の心身の特徴について確認できる資料を壁面に掲示しておく 評価 : 室内で幼児と楽しく遊ぶことができるおもちゃについて考えることができる 発言 学習プリント C: 友達の意見を聞きながら 自分なりの遊び方を見つけられるようにする 絵の中に限ることなく 予想される危険を考えるように促す 評価 : 遊び場所の危険を予測し 安全な環境を作るために 具体的な取組を考えることができる 話し合い 発言 学習プリント C: 幼児期に危険なことがなかったか 思い出させる 自然のものを使った遊びについてもふれる 評価 : 屋外で幼児と楽しく遊ぶことができるおもちゃについて考えることができる 発言 学習プリント C: 友達の意見を聞きながら 自分なりの遊び方を見つけられるようにする
指名された人が発表する 生徒の反応 おもちゃ : 三輪車 スコップバケツ ボール公園の遊具気づき : 転ぶ 砂が目に入る道路に飛び出す猫にひっかかれるゴミ箱にはまる 4. 幼児が安全に遊べる環境とはどのようなものか考える 各自プリントに記入し 班で意見交換をする 指名された人が発表する 発問 : 幼児が安全に自由に伸び伸びと遊ぶことができる環境とはどういうものか 考えてみよう 生徒の反応 いろいろな遊び道具がある 危険な場所がない 部屋を整理整頓しておく 家族が見守ってあげる 評価 : 遊び場所の危険を予測し 安全な環境を作るために 具体的な取組を考えることができる 話し合い 発言 学習プリント C: 幼児期に危険なことがなかったか 思い出させる おもちゃの安全マークについて紹介する 5. 自分が好む遊びのタイプを知る 子どもと遊ぼう YES NO チェックシート を活用し 自分がどんな遊びを子どもに薦めるのか そのタイプを知る 子どもをもつ親の立場を理解したり 個性に応じた遊びのパターンがあることを実感させたりすることにより 遊びに対する意識を高揚させる チェックシートを各班に 1 枚配布し 自分のタイプのところに名前を書かせる 6. 本時のまとめをする 今日の授業を振り返らせ 課題を達成できたか考えさせる 学習プリントを回収する 参考文献 人間と家族を学ぶ家庭科ワークブック 牧野カツコ編著国土社 8 成果と課題 ( 1 ) 成果被服室内に幼児と遊ぶ部屋 ( 室内環境 ) を再現することにより 生徒たちは幼児と遊ぶことについてイメージしやすく 本時の学習に興味をもって取り組んでいた また 前時までに学習した内容の資料を教室の壁面に貼っておくことで 発達段階を確認したり 振り返ったりしながら 学習を進めることができた 発問に対しては ほとんどの生徒が学習プリントに記入することができており 幼児と一緒に遊ぶためのおもちゃや遊ぶ場所の安全と危険について 十分に考えることができていた ( 2 ) 課題実物で再現した部屋の様子を生徒に提示したとき 興味 関心をもって見ている生徒は多かったが 近くにきて観察したり 実際におもちゃで遊ぼうとしたりする積極的な生徒は少なかった 生徒全員が近くで観察できるような資料の提示方法に工夫が必要であった また 普段 幼児と接する機会が少ない生徒たちにとって 今回の学習で学んだことを実生活で生かす場面や教師が見取る場面がほとんどないというのが現状である しかし 次時の課題である 絵本作り において 学習したことを生かしながら製作活動に取り組むことができると考える 学校や地域の実情もあり難しいが 保育園や幼稚園などの訪問や実習などを学習活動に取り入れ 幼児と触れ合えるような環境を設定することにより 生徒の学習意欲や実践する態度が向上すると考えられる
* 成果は生徒の変容から述べる その際 教師の印象からでなく 評価規準の達成状況なども合わせ て述べるのが望ましい * 課題は 解決できなかった点を羅列するのではなく 改善の方向 代案を提案するように心がける