PowerPoint プレゼンテーション

Similar documents
Microsoft Word - ①【修正】B型肝炎 ワクチンにおける副反応の報告基準について

10038 W36-1 ワークショップ 36 関節リウマチの病因 病態 2 4 月 27 日 ( 金 ) 15:10-16:10 1 第 5 会場ホール棟 5 階 ホール B5(2) P2-203 ポスタービューイング 2 多発性筋炎 皮膚筋炎 2 4 月 27 日 ( 金 ) 12:4

九州支部卒後研修会症例

佐賀県肺がん地域連携パス様式 1 ( 臨床情報台帳 1) 患者様情報 氏名 性別 男性 女性 生年月日 住所 M T S H 西暦 電話番号 年月日 ( ) - 氏名 ( キーパーソンに ) 続柄居住地電話番号備考 ( ) - 家族構成 ( ) - ( ) - ( ) - ( ) - 担当医情報 医

72 20 Ope / class Alb g/ cm 47.9kg : /min 112/60m

<4D F736F F D F90D290918D64968C93E08EEEE1872E646F63>


1 8 ぜ 表2 入院時検査成績 2 諺齢 APTT ALP 1471U I Fib 274 LDH 2971U 1 AT3 FDP alb 4 2 BUN 16 Cr K4 O Cl g dl O DLST 許 皇磯 二 図1 入院時胸骨骨髄像 低形成で 異常細胞は認め

<8C9F8DB85F3338E4508CB495612E786C73>

10,000 L 30,000 50,000 L 30,000 50,000 L 図 1 白血球増加の主な初期対応 表 1 好中球増加 ( 好中球 >8,000/μL) の疾患 1 CML 2 / G CSF 太字は頻度の高い疾患 32

59 20 : 50 : : : : : 2 / :20 / 25 GTP /28 5/3 5/4 5/8 6/1 1 7kg 6/9 :178.7cm :68.55kg BMI:21.47 :37.3 :78 / :156/78mmHg 1

33 NCCN Guidelines Version NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines ) (NCCN 腫瘍学臨床診療ガイドライン ) 非ホジキンリンパ腫 2015 年第 2 版 NCCN.or

日本呼吸器学会雑誌第48巻第6号

/12/28 UP 3+, TP 4.2g/dl, Alb 1.9g/dl PSL 50mg/day 1/17 PSL 45mg/day PSL 2006/4/4 PSL 30mg/day mpsl mpsl1000mg 3 2 5/ :90 / :114/64 mmhg

慈大呼吸器_25-1_02T_CS5.indd

PowerPoint プレゼンテーション

094.原発性硬化性胆管炎[診断基準]

PowerPoint プレゼンテーション

当院の血液検査室の概要 血液検査 system 自動血球分析装置塗抹標本作製装置 La-vietal LS (Sysmex 社 ) XN-3000 (Sysmex 社 ) XN 台 ( RET WPC PLT-F の各チャンネル ) XN 台 SP-10 (Sysmex

末梢神経障害

生化学検査 臨床検査基準値一覧 近畿大学病院 (1) 検査項目 基準値 単位 検査項目 基準値 単位 CRP mg/dl WBC /μl Na mmol/l M RBC K mmol/l F 3.86-

脂質異常症を診断できる 高尿酸血症を診断できる C. 症状 病態の経験 1. 頻度の高い症状 a 全身倦怠感 b 体重減少 体重増加 c 尿量異常 2. 緊急を要する病態 a 低血糖 b 糖尿性ケトアシドーシス 高浸透圧高血糖症候群 c 甲状腺クリーゼ d 副腎クリーゼ 副腎不全 e 粘液水腫性昏睡

日本呼吸器学会雑誌第47巻第6号

血糖高いのは朝食後のため検査項目 下限値上限値 単位名称 9 月 3 日 9 月 6 日 9 月 15 日 9 月 18 日 9 月 21 日 9 月 24 日 9 月 28 日 10 月 1 日 10 月 3 日 10 月 5 日 10 月 9 日 10 月 12 日 10 月 15 日 10 月

013 多発性硬化症/視神経脊髄炎

1 2 2 ANCA pouci immune IgG C3 ANCA 68 '01 '02 7 UN 14mg/dl, Cr 0.7 mg/dl, -, - ' UN 45mg/dl, Cr 2.4 mg/dl, Ht 29.5%, 4+, cm 61


遡及調査にて77日前の献血時のHBVウイルス血症が確認できた急性B型肝炎の一例

イルスが存在しており このウイルスの存在を確認することが診断につながります ウ イルス性発疹症 についての詳細は他稿を参照していただき 今回は 局所感染疾患 と 腫瘍性疾患 のウイルス感染検査と読み方について解説します 皮膚病変におけるウイルス感染検査 ( 図 2, 表 ) 表 皮膚病変におけるウイ

血管周囲に細胞浸潤と肉芽腫形成を認めた Figure した ステロイドを漸減し 9月29日プレドニゾロ 3 ン25 mg/dayで退院となった 退院時の下腿筋MRI 入院後経過 Figure 4 検査でも改善を認めた Figure 2b 以後ステロイド サルコイドーシスと診断 プレドニゾロン60 m

2010 年 6 月 25 表 身体所見 134 cm 31 kg /60 mmhg 83/ ,

知っておきたい関節リウマチの検査 : 中央検査部医師松村洋子 そもそも 膠原病って何? 本来であれば自分を守ってくれるはずの免疫が 自分自身を攻撃するようになり 体のあちこちに炎 症を引き起こす病気の総称です 全身のあらゆる臓器に存在する血管や結合組織 ( 結合組織 : 体内の組織と組織 器官と器官

2019 年 6 月 1 日 TMM 講座 論文を書きましょう! 何を書けばいいんですか? 新潟大学医歯学総合病院魚沼地域医療教育センター高田俊範

2)HBV の予防 (1)HBV ワクチンプログラム HBV のワクチンの接種歴がなく抗体価が低い職員は アレルギー等の接種するうえでの問題がない場合は HB ワクチンを接種することが推奨される HB ワクチンは 1 クールで 3 回 ( 初回 1 か月後 6 か月後 ) 接種する必要があり 病院の

Microsoft Word - 1 糖尿病とは.doc

387 ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( ) ( )

125 2 P 1st washout 2 PB P mg/dL nd washout 2 P 5.5mg/dL< mg/dL <2.5mg/dL P P 2 D D 3 Ca 10

BA_kanen_QA_zenpan_kani_univers.indd

37, 9-14, 2017 : cefcapene piperacillin 3 CT Clostridium difficile CD vancomycin CD 7 Clostridium difficile CD CD associate

BMP7MS08_693.pdf

日本呼吸器学会雑誌第44巻第10号

医療関係者 Version 2.0 多発性内分泌腫瘍症 2 型と RET 遺伝子 Ⅰ. 臨床病変 エムイーエヌ 多発性内分泌腫瘍症 2 型 (multiple endocrine neoplasia type 2 : MEN2) は甲状腺髄様癌 褐色細胞腫 副甲状腺機能亢進症を発生する常染色体優性遺

2017 年 8 月 9 日放送 結核診療における QFT-3G と T-SPOT 日本赤十字社長崎原爆諫早病院副院長福島喜代康はじめに 2015 年の本邦の新登録結核患者は 18,820 人で 前年より 1,335 人減少しました 新登録結核患者数も人口 10 万対 14.4 と減少傾向にあります

<4D F736F F F696E74202D B CE8D9590E690B694AD955C2E B93C782DD8EE682E890EA97705D>

検体採取 患者の検査前準備 検体採取のタイミング 5. 免疫学的検査 >> 5G. 自己免疫関連検査 >> 5G010. 記号 添加物 ( キャップ色等 ) 採取材料 採取量 測定材料 F 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( 青 細 ) 血液 3 ml 血清 H 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( ピンク

院内がん登録における発見経緯 来院経路 発見経緯がん発見のきっかけとなったもの 例 ) ; を受けた ; 職場の健康診断または人間ドックを受けた 他疾患で経過観察中 ; 別の病気で受診中に偶然 がん を発見した ; 解剖により がん が見つかった 来院経路 がん と診断された時に その受診をするきっ

頸椎症性脊髄症(けいついしょうせいせきずいしょう)

糖尿病経口薬 QOL 研究会研究 1 症例報告書 新規 2 型糖尿病患者に対する経口糖尿病薬クラス別の治療効果と QOL の相関についての臨床試験 施設名医師氏名割付群記入年月日 症例登録番号 / 被験者識別コード / 1/12

untitled

診療科 血液内科 ( 専門医取得コース ) 到達目標 血液悪性腫瘍 出血性疾患 凝固異常症の診断から治療管理を含めた血液疾患一般臨床を豊富に経験し 血液専門医取得を目指す 研修日数 週 4 日 6 ヶ月 ~12 ヶ月 期間定員対象評価実技診療知識 1 年若干名専門医取得前の医師業務内容やサマリの確認

NEW版下_健診べんり2016_01-12

なくて 脳以外の場所で起きている感染が 例えばサイトカインやケモカイン 酸化ストレスなどによって間接的に脳の障害を起こすもの これにはインフルエンザ脳症やH HV-6による脳症などが含まれます 三つ目には 例えば感染の後 自己免疫によって起きてくる 感染後の自己免疫性の脳症 脳炎がありますが これは

共済だより.indd

幻覚が特徴的であるが 統合失調症と異なる点として 年齢 幻覚がある程度理解可能 幻覚に対して淡々としている等の点が挙げられる 幻視について 自ら話さないこともある ときにパーキンソン様の症状を認めるが tremor がはっきりせず 手首 肘などの固縮が目立つこともある 抑うつ症状を 3~4 割くらい

1508目次.indd

Sample2 g/dl Target1 : 6.01 g/dl TP Target2 : 8.39 g/dl

呼吸困難を呈し、            臨床的に閉塞性細気管支炎と  診断した犬の2例

(Microsoft PowerPoint - .pptx)

日本呼吸器学会雑誌第44巻第7号

頭頚部がん1部[ ].indd

WBC 5700 / l Gran 58.5% Lym 29.0% Eosin 0.3% RBC 499x10 6 / l Hb 14.8 g/dl Hct 44.40% PLT 15.3x10 3 / l PT 157% Fbg 616 mg/dl DD 0.99 g/ml GOT GPT LDH

標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討会

PowerPoint プレゼンテーション

2009年8月17日

Transcription:

clinical question 2017 年 11 月 20 日 横断性脊髄炎診断へのアプローチ 国立病院機構長崎医療センター総合診療科 総合内科作成者 : 道辻徹監修 : 森隆浩分野 : 神経テーマ : 鑑別診断

腰椎椎間板ヘルニアの既往があり ADL 自立した 50 歳代男性 主訴 両下肢の感覚異常 排尿障害 現病歴 来院 8 日前に感冒症状あり 市販薬で対症療法としていた 来院 6 日前に排尿困難が出現し近医を受診した 尿検査 エコーにて異常所見なく経過観察となった 同時期より便が出にくい感じも自覚していた 来院 5 日前から入浴時に両下肢でお湯を冷たく感じる感覚障害が出現した 来院前日に近医受診 感覚異常と排尿障害が改善ないため当科紹介受診した 外傷機転などなし

既往歴/ 併存症 腰椎椎間板ヘルニア (30 歳代 ) 高血圧(50 歳代 ~) 家族歴 特記事項なし 生活歴 喫煙 :52pack-years(20 歳 ~ 現在まで ) 飲酒 : ビール700ml 焼酎水割り5 杯 (65g/ 日 ) 仕事 : 鋳物工アレルギー : 食物なし 薬物なし 海外渡航歴 : なし ペット飼育歴 : なし 常用薬なし

一般診察 体温 36.5 血圧 140/86 mmhg 脈拍 81 / 分 呼吸数 12 / 分眼瞼結膜貧血なし 眼球結膜黄染なし 頚部リンパ節腫脹なし 呼吸音 : 清心音 : 整 心雑音なし 腹部 : 膨満 圧痛なし 腸蠕動音はやや減弱 下腿浮腫なし 直腸診 : 前立腺はくるみ大で弾性軟 表面平滑 辺縁整 圧痛なし anal tonusは弱い

神経学的診察 運動系 : 上肢 Barre 徴候 (-) Mingazzini 徴候 (-) 四肢 MMT 5/5 感覚系 : Th11 レベル以下で温痛覚低下あり 触覚異常なし 振動覚正常 びりびり じんじんとした異常感覚が両下肢にあり 病的反射 :Hoffmann -/- Tremner -/- Babinski +/+ 協調運動正常自律神経系 : 排尿困難あり 便秘あり 立ちくらみなし 独歩正常 温痛覚低下部位

これは 腰椎椎間板ヘルニアの増悪があり 膀胱直腸障害を来したに違いない! 手術の適応かもしれない! 急いで腰椎 MRI を撮像しよう!

〇腰椎 MRI: L5/S1 では右椎間孔外で膨隆した椎間板による L5 右神経根の圧迫あり しかし 症状を来すほどのものではなさそうだ どこからくる症状なのか ここで思考が止まってしまった 両下肢の感覚障害と膀胱直腸障害を来す疾患群をどのように捉えていけばよいのか

ある特定の脊髄レベルでの神経学的異常所見 病歴と身体診察 ( 感覚障害のレベル 膀胱直腸障害 ) myelopathy か否か GBS などを考慮する ここからはじめてしまった 圧迫病変や炎症性 / 非炎症性の myelopathy の評価をしていく STEP1) 脊髄の圧迫病変をガドリニウム造影 MRI で評価構造的な異常や脊髄の腫瘤などの有無 STEP2) 脊髄の炎症の有無を評価 ; 腰椎穿刺 / 造影 MRI ガドリニウムでの造影効果 IgG index 上昇 髄液中の WBC 上昇 Immobilization 緊急手術の要否の判断 mpsl の点滴加療も考慮 感染症の評価 可能であれば治療 脳 / 視神経 + 脊髄 MS ADEM 全身の炎症性疾患の評価 炎症の場所の評価 脊髄のみ 特発性 TM 非炎症性の myelopathy 炎症性だが偽陰性 (2-7 日後に腰椎穿刺再検 ) 視神経 + 脊髄 NMO (UpToDate; Transverse myelitis; Figure1 改変 ) GBS:Guillain-Barré syndrome MS:Multiple Sclerosis ADEM:Acute disseminated encephalomyelitis NMO:Neuromyelitis optica

Clinical Question 1 どのようなときに横断性脊髄炎を疑うのか

ある特定の脊髄レベルでの神経学的異常所見 病歴と身体診察 ( 感覚障害のレベル 膀胱直腸障害 ) myelopathy か否か GBS などを考慮する 圧迫病変や炎症性 / 非炎症性の myelopathy の評価をしていく STEP1) 脊髄の圧迫病変をガドリニウム造影 MRI で評価構造的な異常や脊髄の腫瘤などの有無 STEP2) 脊髄の炎症の有無を評価 ; 腰椎穿刺 / 造影 MRI ガドリニウムでの造影効果 IgG index 上昇 髄液中の WBC 上昇 Immobilization 緊急手術の要否の判断 mpsl の点滴加療も考慮 感染症の評価 可能であれば治療 全身の炎症性疾患の評価 炎症の場所の評価 非炎症性の myelopathy 炎症性だが偽陰性 (2-7 日後に腰椎穿刺再検 ) 脳 / 視神経 + 脊髄 MS ADEM 脊髄のみ 特発性 TM 視神経 + 脊髄 NMO (UpToDate; Transverse myelitis; Figure1 改変 )

GBS など末梢神経障害との鑑別 GBSを疑う病歴 / 症状として 感冒症状 下痢の先行の有無(1-3 週間 ) などの確認 下肢から上行性の筋力低下( 約 10% は上肢や顔面の筋力低下 ) 呼吸筋への障害がきて呼吸器管理が必要となるのは10-30% 顔面神経麻痺を来すのは約 50% 動眼神経麻痺は15% 上下肢の麻痺/ 脱力は80% で認めるが 感覚障害はあっても軽度 診察では腱反射の減弱 ( 発症時には 90% 経過を通して全例で認める ) 弛緩性麻痺 線維束攣縮 などの所見を確認する (UpToDate clinical Features of Guillain-Barre syndrome)

横断性脊髄炎 (Transverse Myelitis;TM) とは 疫学 : 発症率 1.3-8 例 /100 万人年 発症の好発年齢 :10 歳代 30 歳代 性差はなし 病理 : 脱髄 軸索障害 星状膠細胞 Astroglia/ 小膠細胞 Microgia の活性化を認め リンパ球と単球の集簇を認める (N Engl J Med. 2010 Aug 5 ; 363;6 654-572)

CQ1) どのようなときに横断性脊髄炎を疑うのか 急性経過( 数日の経過 ) で 対称性/ 非対称性の下肢の不全対麻痺 / 対麻痺や 麻痺の進行 体幹の感覚障害 背部痛 膀胱直腸障害 性機能不全 両側のBabinski 反射陽性などから疑う

追加で確認した神経学的診察 脳神経 : 視野 : 中心暗点あり 簡易診察でも視力低下あり 瞳孔 3mm/3mm 対光反射 +/+ 左 RAPD 陽性 眼球運動障害なし 顔面感覚左右差なし 顔面麻痺なし 構音障害なし 筋トーヌス上肢正常 下肢足クローヌス pseudo/pseudo 折りたたみナイフ現象なし 神経学的所見のまとめ : 左視力低下 /RAPD 陽性 Th11レベル以下の感覚障害両下肢腱反射亢進 両下肢病的反射 膀胱直腸障害

Clinical Question 1 どのようなときに横断性脊髄炎を疑うのか 2 横断性脊髄炎を疑った時のアプローチはどのように進めるか

ある特定の脊髄レベルでの神経学的異常所見 病歴と身体診察 ( 感覚障害のレベル 膀胱直腸障害 ) myelopathy か否か GBS などを考慮する 圧迫病変や炎症性 / 非炎症性の myelopathy の評価をしていく STEP1) 脊髄の圧迫病変をガドリニウム造影 MRI で評価構造的な異常や脊髄の腫瘤などの有無 STEP2) 脊髄の炎症の有無を評価 ; 腰椎穿刺 / 造影 MRI ガドリニウムでの造影効果 IgG index 上昇 髄液中の WBC 上昇 Immobilization 緊急手術の要否の判断 mpsl の点滴加療も考慮 感染症の評価 可能であれば治療 全身の炎症性疾患の評価 炎症の場所の評価 非炎症性の myelopathy 炎症性だが偽陰性 (2-7 日後に腰椎穿刺再検 ) 脳 / 視神経 + 脊髄 MS ADEM 脊髄のみ 特発性 TM 視神経 + 脊髄 NMO (UpToDate; Transverse myelitis; Figure1 改変 )

画像所見 頚髄 MRI: 脊髄に異常信号なし C5/6 に椎間板突出や黄色靭帯肥厚による脊柱管狭窄あり 胸椎 MRI: 脊髄の異常信号なし 外部からの圧迫なし 腰椎 MRI: 脊髄の異常信号なし L5/S1 では右椎間孔外で膨隆した椎間板による L5 右神経根の圧迫あり 外部からの圧迫所見などなし

圧迫の他に考慮するべき鑑別疾患 腰椎変性疾患 : 腰椎椎間板ヘルニア 脊柱管狭窄症脊髄近傍での膿瘍形成血管性 : 脊髄梗塞 脊髄硬膜動静脈瘻代謝 栄養性 :Vitamin B12 銅 Vitamin D Vitamin E 欠乏悪性腫瘍性 : 脊髄腫瘍 中枢神経系原発リンパ腫 血管内リンパ腫放射線性など

ある特定の脊髄レベルでの神経学的異常所見 病歴と身体診察 ( 感覚障害のレベル 膀胱直腸障害 ) myelopathy か否か GBS などを考慮する 圧迫病変や炎症性 / 非炎症性の myelopathy の評価をしていく STEP1) 脊髄の圧迫病変をガドリニウム造影 MRI で評価構造的な異常や脊髄の腫瘤などの有無 STEP2) 脊髄の炎症の有無を評価 ; 腰椎穿刺 / 造影 MRI ガドリニウムでの造影効果 IgG index 上昇 髄液中の WBC 上昇 Immobilization 緊急手術の要否の判断 mpsl の点滴加療も考慮 感染症の評価 可能であれば治療 全身の炎症性疾患の評価 炎症の場所の評価 非炎症性の myelopathy 炎症性だが偽陰性 (2-7 日後に腰椎穿刺再検 ) 脳 / 視神経 + 脊髄 MS ADEM 脊髄のみ 特発性 TM 視神経 + 脊髄 NMO (UpToDate; Transverse myelitis; Figure1 改変 )

髄液検査 外観初圧細胞数 Lymph 組織球 TP Glu Cl オリゴクローナルバンドミエリンベーシック蛋白 IgG index 無色透明 120 mmh2o 45/ul 87% 13% 45 mg/dl 65 mg/dl 124 meq/l (-) 1620 pg/ml 0.57 ( 同時血糖 120mg/dl)

ある特定の脊髄レベルでの神経学的異常所見 病歴と身体診察 ( 感覚障害のレベル 膀胱直腸障害 ) myelopathy か否か GBS などを考慮する 圧迫病変や炎症性 / 非炎症性の myelopathy の評価をしていく STEP1) 脊髄の圧迫病変をガドリニウム造影 MRI で評価構造的な異常や脊髄の腫瘤などの有無 STEP2) 脊髄の炎症の有無を評価 ; 腰椎穿刺 / 造影 MRI ガドリニウムでの造影効果 IgG index 上昇 髄液中の WBC 上昇 Immobilization 緊急手術の要否の判断 mpsl の点滴加療も考慮 感染症の評価 可能であれば治療 全身の炎症性疾患の評価 炎症の場所の評価 非炎症性の myelopathy 炎症性だが偽陰性 (2-7 日後に腰椎穿刺再検 ) 脳 / 視神経 + 脊髄 MS ADEM 脊髄のみ 特発性 TM 視神経 + 脊髄 NMO (UpToDate; Transverse myelitis; Figure1 改変 )

検査所見 WBC Neutro Lymph Mono Eosino RBC Hb Plt ESR PT(%) APTT D-dimer 血液学 6200 /µl 70.3 % 23.2 % 4.8 % 1.4 % 5.24 10 6 /µl 16.6 g/dl 26.0 10 4 /µl 3.0 mm/hr 凝固 125.6 % 25.1 sec 0.2 µg/ml Na K Cl TP Alb BUN Cre T.Bil AST ALT LDH ALP γgtp CK CRP Glu 生化学 血清学 140 meq/l 4.8 meq/l 102 meq/l 7.8 g/dl 4.9 g/dl 13.7 mg/dl 0.70 mg/dl 1.4 mg/dl 19 IU/l 32 IU/l 162 IU/l 303 IU/l 65 IU/l 52 IU/l <0.14 mg/dl 114 mg/dl RPR 法定性 (-) TPHA 定性 (-) HTLV-1 抗体 (-) TSH 2.326 µiu/ml RF 31 IU/ml 抗核抗体 (-) 抗 SS-A 抗体 (-) 抗 SS-B 抗体 (-) PR3-ANCA (-) MPO-ANCA (-)

ある特定の脊髄レベルでの神経学的異常所見 病歴と身体診察 ( 感覚障害のレベル 膀胱直腸障害 ) myelopathy か否か GBS などを考慮する 圧迫病変や炎症性 / 非炎症性の myelopathy の評価をしていく STEP1) 脊髄の圧迫病変をガドリニウム造影 MRI で評価構造的な異常や脊髄の腫瘤などの有無 STEP2) 脊髄の炎症の有無を評価 ; 腰椎穿刺 / 造影 MRI ガドリニウムでの造影効果 IgG index 上昇 髄液中の WBC 上昇 Immobilization 緊急手術の要否の判断 mpsl の点滴加療も考慮 感染症の評価 可能であれば治療 全身の炎症性疾患の評価 炎症の場所の評価 非炎症性の myelopathy 炎症性だが偽陰性 (2-7 日後に腰椎穿刺再検 ) 脳 / 視神経 + 脊髄 MS ADEM 脊髄のみ 特発性 TM 視神経 + 脊髄 NMO (UpToDate; Transverse myelitis; Figure1 改変 )

眼科診察 視力: RV=1.2 LV=0.06 視野: 左中心暗点あり 眼圧: 15mmHg/15mmHg 中心フリッカー値: 37-40Hz/19-22Hz 角膜 前房 水晶体に異常所見なし 眼底には左視神経乳頭の隆起あり 左視神経炎の所見

画像所見 頭部造影 MRI: 左視神経の腫大と STIR 高信号あり 一部は造影効果を伴う 右でも一部 STIR 高信号 / 造影効果を伴う部分あり 脳実質内には異常信号なし 大脳白質に FLAIR 高信号域が散在している 造影効果と視神経の左右差をが認められる ( 黄色矢印 ) 白質病変が認められる

ある特定の脊髄レベルでの神経学的異常所見 病歴と身体診察 ( 感覚障害のレベル 膀胱直腸障害 ) myelopathy か否か GBS などを考慮する 圧迫病変や炎症性 / 非炎症性の myelopathy の評価をしていく STEP1) 脊髄の圧迫病変をガドリニウム造影 MRI で評価構造的な異常や脊髄の腫瘤などの有無 STEP2) 脊髄の炎症の有無を評価 ; 腰椎穿刺 / 造影 MRI ガドリニウムでの造影効果 IgG index 上昇 髄液中の WBC 上昇 Immobilization 緊急手術の要否の判断 mpsl の点滴加療も考慮 感染症の評価 可能であれば治療 全身の炎症性疾患の評価 炎症の場所の評価 非炎症性の myelopathy 炎症性だが偽陰性 (2-7 日後に腰椎穿刺再検 ) 脳 / 視神経 + 脊髄 MS ADEM 脊髄のみ 特発性 TM 視神経 + 脊髄 NMO (UpToDate; Transverse myelitis; Figure1 改変 )

経過 Th11 以下の感覚異常 視神経炎を認めており 脱髄性疾患を疑った 視神経炎に対してmPSL 1000mg 3 日間で加療開始 治療反応はよく 膀胱直腸障害は翌日には改善 視力 / 異常感覚も改善傾向となった 第 16 病日にフォローの頭部 MRIで脳室周囲深部白質に新規病変を認めた 以上の経過より 空間的 時間的多発性が証明され 多発性硬化症と診断した 髄液オリゴクローナルバンド陽性も矛盾しない経過であった ステロイドパルス 4 クールで新規病変の出現はなく症状はほぼ改善した 再発予防薬として IFN-1β の自己注射を開始し外来フォロー中である

ある特定の脊髄レベルでの神経学的異常所見 病歴と身体診察 ( 感覚障害のレベル 膀胱直腸障害 ) myelopathy か否か GBS などを考慮する 圧迫病変や炎症性 / 非炎症性の myelopathy の評価をしていく STEP1) 脊髄の圧迫病変をガドリニウム造影 MRI で評価構造的な異常や脊髄の腫瘤などの有無 STEP2) 脊髄の炎症の有無を評価 ; 腰椎穿刺 / 造影 MRI ガドリニウムでの造影効果 IgG index 上昇 髄液中の WBC 上昇 Immobilization 緊急手術の要否の判断 mpsl の点滴加療も考慮 感染症の評価 可能であれば治療 全身の炎症性疾患の評価 炎症の場所の評価 非炎症性の myelopathy 炎症性だが偽陰性 (2-7 日後に腰椎穿刺再検 ) 脳 / 視神経 + 脊髄 MS ADEM 脊髄のみ 特発性 TM ここについて考えてみる 視神経 + 脊髄 NMO (UpToDate; Transverse myelitis; Figure1 改変 )

診断基準 (Transverse Myelitis Consortium Working Group) 1) 両側性 ( 対称性 or 非対称性 ) の運動 感覚 自律神経の中枢性障害 2) 感覚異常の脊髄レベルが明確であること 3) 発症から4 時間 ~21 日で症状のNadirを認めること 4) 脊髄の炎症所見 (CSF 細胞数増加 IgG index 上昇 造影 MRIでの増強効果 ) 5) 圧迫 放射線後 悪性腫瘍 血管病変の除外ができること (Neurology 2002;59:499-505) ただし 4) の炎症所見は認めない例も数多くあるとされており これがないことでTMを否定するものではない (Neurology. 2005 Dec27;65(12):1950-3.)

横断性脊髄炎の原因検索 感染症 全身性の炎症疾患 / 自己免疫疾患 悪性腫瘍の検索 原因に応じた治療 Partial TM 頭部 MRI での脱髄 オリゴクローナルバンド IgG index の上昇 脊髄炎のさらなる評価 Longitudinally extensive TM 頭部 MRI で NMO パターンの脱髄もしくは脱髄がない 抗 AQP4 抗体 (+) High risk for MS Low risk for MS 再度 病歴へ NMO 〇 MS の頭部 MRI 画像 : 脳室周囲に多く 散在性 〇 NMO の頭部 MRI 画像 : 従来は頭部病変がないことが診断基準のひとつであったが 広範な白質病変 視床下部病変 延髄中心管病変など MS と異なる頭部病変をしばしば来す 感染症の先行 ワクチン接種の先行 TM:Transverse Myelitis Postinfectious TM Idiopathic TM Postvaccination TM N Engl J Med. 2010 Aug 5 ; 363;6 654-572 改変

二次性横断性脊髄炎 脱髄性疾患: 多発性硬化症視神経脊髄炎急性散在性脳脊髄炎など 感染症罹患後 / ワクチン接種後 CMV EBV HSV VZV インフルエンザウイルス HIV 麻疹 風疹 A 型肝炎 B 型肝炎 エンテロウイルス Lyme 病 マイコプラズマ 梅毒など 傍腫瘍症候群 ( 進行例 再発例など ) 自己免疫疾患: 全身性エリテマトーデス (Systemic lupus erythematosus;sle) シェーグレン症候群 (Sjogren syndrome;sjs) 抗リン脂質抗体症候群 Bechet 病 サルコイドーシスなど

二次性の鑑別のために考慮する検査 〇 TM 疑いの全患者に施行が推奨 全脊髄の単純 + 造影のMRI; 圧迫病変の除外と脊髄異常信号の評価 頭部の単純 + 造影 MRI;MSを示唆するような頭部病変の評価 髄液穿刺; 細胞数 蛋白 糖 VDRL オリゴクローナルバンド IgG index 細胞診 血清; 抗 AQP4 IgG 抗体 VitB12 メチルマロン酸 HIV 抗体 梅毒血清学的検査 抗核抗体抗 SS-A 抗体 抗 SS-B 抗体 TSH 〇脊髄に長く病変を認めた際には以下を追加することが奨励 血液検査;ESR CRP RF ANCA 抗リン脂質抗体 胸部 CT; サルコイドーシスの検索 Neurol Clin. 2013 Feb;31(1)79-138.

特発性横断性脊髄炎 横断性脊髄炎の診断基準を満たす症例のうち 約 15.6% を占める 感染後の免疫反応により発症すると考えられる 診断基準の項目を全て満たす+ 除外基準をすべて満たすこと > 除外基準 10 年以内に脊髄に放射線治療が照射されている 前脊髄動脈の血栓を疑う神経脱落症状がある 脊髄硬膜動静脈瘻を示すような画像所見( 脊髄の周囲に拡張した脊髄静脈 ) 血清学的/ 臨床的にサルコイドーシス Bechet 病 Sjogren 症候群 SLEの診断 Lyme 病やHIVなどの中枢神経系への感染を示唆する徴候がある 頭部 MRIで多発性硬化症を示唆する所見がある 臨床的に視神経脊髄炎を示唆する病歴がある (Neurology 2005 Dec27;65(12):1950-3.) (Neurology 2002 Aug27;59(4):499) 治療法: ステロイドをfirst lineとして IVIG 血漿交換 cyclophosphamide(cy) などが施行される 領域として治療法のエビデンスは乏しい 疼痛があればNSAIDs 基本的には再発がなく 長期の免疫抑制療法は不要

Take Home Message 急性経過 ( 数日の経過 ) で対称性 / 非対称性の下肢の不全対麻痺 / 対麻痺や 麻痺の進行 体幹の感覚障害 背部痛 膀胱直腸障害 性機能不全 両側の Babinski 反射陽性などがあれば 横断性脊髄炎を疑う 横断性脊髄炎を来す疾患は多数あり 原因によって治療法も変わるため 慎重に鑑別していく必要がある 鑑別にあたっては視神経の所見が重要となる