相続について ② 相続 で損をしないために知っておきたいこと 低く抑えながら贈与することが可能なので す 相続時精算課税制度 とは 現 在 の 日 本 は 長 引 く 不 況 下 で 消 費 が 低 迷 し て お り 景 気 刺 激 策 に よ る 消 費 拡 大 が必要ですその一つとして 消費意 しかし 財産分与は亡くなった後にしか まわせない現役世代 への資金のシフトを 教育費や住宅ローンでお金がなくて消費に 贈 与 税 の 確 定 申 告 時 に 相 続 時 精 算 課 税制度 を選択すると 歳以上の親から 歳 以 上 の 子 へ の 贈 与 は 累 計00万 がちですが 実は贈与税にはいくつかの特 ので 贈 与 に よ る 財 産 分 与 は 敬 遠 さ れ な り ま す 00万 円 を 超 え た 場 合 に 円まで 贈与の時点では税金がかからなく 図 相続時精算課税制度とは 特別控除額 受贈者単位で累計00万円まで贈与税が非課税 特別控除額を超過する部分については一律0 課税 受贈額 00万円 0 贈与税額 贈与を受けた年の翌年月日 月日までの間に贈与税申告書に 相続時精算課税選択届出書 を添付して税務署に提出する 父 母それぞれ個別に選択 いったん 相続時精算課税制度 を選択するとその贈与者 父または母 については 一般の贈与税基礎控除年額0万円は使えなくなる 相続時 相続発生時に同制度により贈与を受けた価額を相続財産に加算して相続 税を算出するその際 支払済み贈与税は控除する 生前贈与 相続税のしくみ 前号に引き続き 相続について をテー マとしてとりあげます 今回は 生前贈与 と 相続税のしくみ を中心にお話ししたいと思います 生前贈与は喜ぶ顔が見られる 皆 さ ん 財 産 を 引 き 継 ぐ と 言 う と 出来ないわけではありませんむしろ 死 促進するため 国は親から子に生前に贈与 欲は少ないが 多くの金融資産を持ってい んでから財産を相続させても 子供たちの しても 相続発生時まで税金の支払いを先 遺産相続のように亡くなってからというイ 喜ぶ顔 や 感謝の言葉 を受けること 送りする制度をつくりましたこれが 相 るお年寄り から 消費意欲は旺盛だが はありませんそれに対し 生前に住宅購 続時精算課税制度 です 図 参照 メージを持っていらっしゃいませんか 入資金や教育費など資金が必要なタイミン グに合わせて子供たちに贈与すると 本当 に喜んでもらえると思います は 超過額に の贈与税がかかります 贈 与 税 は相 続 税に比 較して税 率 が高い 6 例 が あ り こ れ ら を 利 用 す れ ば 税 率 を 0 6歳以上の親から0歳以上の子への贈与 平成6年月日までに受けた住宅資金の贈与については親の年 齢条件がない 0 70
図 住宅取得等資金の贈与税の非課税制度 平成年,00万円 700万円 平成6年,000万円 00万円 そして 相続発生時にこれまでの贈与額 を 遺 産 と 合 算 し て 相 続 税 を 計 算 し 支 払 済みの贈与税とで差額を精算します が 歳未満であっても特例を利用すること が可能 平成 年 月 日まで また 婚姻期間が 年以上の配偶者への ありますので 最終的に税金を支払うこと 000万 円 以 上 の 大 き な 基 礎 控 除 額 が に 非 常 に 有 効 な 特 例 で す 相 続 税 に は では年間0万円まで非課税で贈与する 通 常の贈 与 も有 効です 通 常の 贈 与 にまとまった金額を贈与するのでなければ 子供への生活費や教育費の支援等 一度 将 来 住 宅 の 売 却 を 検 討 さ れ て い る 場 の住宅の持分の贈与を検討されてはいかが 長年の感謝の気持ちを込めて 奥さまへ 適用期限 平成6年月日まで 等資金の贈与に係る非課 与 す る 場 合 の 住 宅 取 得 子供や孫に住宅資金を贈 はその都度 金額 時期等を調整して行う 険性がありますので注意が必要です贈与 たものとみなされて贈与税を課税される危 一定額を連年で贈与すると 一度に贈与し 次 に 有 効 な 特 例 として 税制度 があります,000万円 (贈与税基礎控除を合算す ると,0万円 贈与を受けた年の翌年月日 月 日までの間に贈与税申告書に非課税の 特例を受ける旨記載して税務署に提出 する メリット 自宅の土地の一部だけでなく 建物の 一部も贈与すれば 将来売却した場合 に 譲渡所得の計算上 000万円の 特別控除を夫婦それぞれが適用可能で 夫婦合計で最高6000万円の特別控除 を受けることが可能となる 必要があります 非課税限度額 年中の住宅資金 婚姻期間0年以上の夫婦間の自宅不 動産または自宅購入資金の贈与 平成 宅 取 得 の 場 合00万 円 まで子 供に住 宅取 得 資 金 を 贈 与 し て も そ の 時点では税金がかからな の 贈 与 に つ い て は 一 般 の 住 宅 取 得 で700万 円 省 エ ネ 耐 震 住 宅 で は 00万 円 ま で が 非 課 税となります 図 参照 合計額 平成 年一般の住 と 併 用 で き る の で そ の 相続時精算課税制度 いことになります 住宅取 きるメリットもあります 相続税を支払っている人は わずか00人に4人 十 数 年 前 の 話 で す が 日 本 の 相 続 税 が 諸外国に比較して高いので 田中角栄元首 相の遺族が 都内の広大な土地を相続した ものの 相続税の支払いのため 一部を物 納せざるをえなかったというニュースが話 題になりました 皆さんのなかには相続税は大変だと思わ れている方も多いかもしれませんね 実は現在の税制では 相続税の支払いを しなければならないのは 亡くなられた方 のわずか だけです 例えば妻と子供 なっているということです 図 参照 遺 産 総 額の多 くがその範 囲 内で非 課 税に 基礎控除額 があり 亡くなられた方の そ の 理 由 の一つ が 相 続 税 に は 大 き な 課税です 贈与税の申告は必要 なく 贈与が可能になるケースも多いと思 ことができます いったん 相続時精算課 対象住宅の床面積は0m 以下となります 東日本大震災の被災者を除 く 省エネ 耐震住宅とは省エネ等級または耐震基準以上 免震建築物 をいう でしょうか 図 参照 います 合には 奥さまにも居住用不動産の売却益 贈与を受けた年の翌年月日 月日までの間に贈与税申告書 に非課税の特例を受ける旨記載して税務署に提出する相続時精 算課税制度との併用も可能です 子供への住宅取得資金の贈与は ただし 毎年贈与する 約束を交わして 税制度 を選択するとその贈与者について 0万円とは別枠で000万円まで非 住用の不動産の購入資金について 通常の 贈与については 居住用の不動産または居 0 に係わる特別控除額000万円が適用で 年間0万円以内の贈与は非課税 は基礎控除額0万円が使えなくなる 相続時精算課税制度 は生前贈与 6 6 図 結婚0年以上の夫婦間の贈与 得資金贈与の場合には親 人の場合には8000 Vol. 7 左記以外の住宅 非課税限度額 省エネ 耐震住宅 父母や祖父母からの住宅の取得または増改築にあてる資金の贈与
図 相続税の基礎控除額,000万円,000万円 法定相続人の人数 例えば妻と子供が人の場合,000万円,000万円 人 8,000万円 万 円 が 基 礎 控 除 額 と な り ま す 8000万円以上の相続財産が無いと相続 分の または 分の で評価できる場合が 相 続 税 独 自の評 価 方 法 があ り ま すので 注 意しましょう それでは計算方法を順に見ていきましょ 場が000万円だとすると 路線価はそ う 図 参照 また 相続財産の評価 では 遺 産の そのうえ 亡くなられた方が住宅や事業 ね取引相場 の 程度となっています に使われる 路線価 は 公示価格 概 低 く 評 価 し て い ま す 相続財産の評価 こと 資産の多くの部分を占める宅地につ の基礎控除額が000万円以上と大きい これまでお話ししてきたように 相続税 の80万円が相続税評価額になります 宅地の減額が適用できると その 分の などがそれに当たります 図 参照 金 死亡退職手当 弔慰金のうちの一定額 外 し ま す 具 体 的 に は お 墓 や 生 命 保 険 が あ り ま す そ れ を 相 続 税 の 計 算 か ら 除 相続財産の中には 非課税となる財産 用に使っていた宅地については 小規模宅 80 路線価億円の自宅敷地00m を同居していた長男が相続した場合 の相続税評価額 億円 0 00 80 億円 60 00,600万円 路線価とは不動産の相続税評価額を算出する基準 国税庁のHP に掲載されている ②相続財産の課税価額の評価 相続人の生活基盤の維持という観点から 居住用または事業用宅地のうち 一定の面積 まで評価額の一定割合を減額する特例が設けられています 要件 具体例 減額割合 減額となる面積 居住用 80% 0m 事業用 80% 00m 貸付用 0% 00m 減額割合と 減額面積 ほとんどの方が相続税の心 ことなどから 現段階では 権 年金受給権などそれぞれの資産につい うに土地 建物 預金 株式 ゴルフ会員 先ほど申し上げた土地の価 額 評 価のよ て 相続税計算上での価額の評価方法が決 まっています各資産別の評価方法にした がい評価を行い 相続財産全体の課税価額 を計算します 亡くなられた方に借金等がある場合に ③債務と葬式費用の控除 と思いますので 相続税の は その債務額を控除しますまた葬式費 ポイントは 実際の遺産 相続開始前 ④贈与額の加算 年以内の相続人に対する贈 用も控除できます 分割とは関係なく法定相続 ます 計算方法についてご説明し が気がかりな方もおられる そうは言っても 相続税 相続税の計算方法 なっているのです 配がいらないということに 7 に合わせて その 相続税 算し 次に実際の遺産分割 して 相続税の総額 を計 分 ど お り に 相 続 したと 仮 定 は 年以内に限らず 全て加算します 相 続 時 精 算 課 税 制 度 を 選 択 した 贈 与 っている場合には相続税から差し引きます 続財産に加算します贈与税をすでに支払 与は相続税の課税対象となりますので 相 の 総 額 を 各 相 続 人 に 按 分 することです また 財産の評価方法も 相 続 財 産 全体の課 税 価 格から基礎 控 除 ⑤基礎控除額の控除 80 亡くなられた方または同一生計の親族が 居住用 事業用 貸 付用 に利用していた宅地であること 同一生計とは同居に限らず 生活費の仕送りをする等家計をとも にしていること その宅地を相続した親族が その宅地を相続税の申告期限まで の間 居住用 事業用 貸付用 として利用していること 別居の子が相続し 居住用 にする場合には子が相続開始前年 間に自分または配偶者の持家に住んでいないことが条件 地等の特例 を使うと 一定の面積まで いて相続税を計算する場合の評価額が低い ①非課税財産の控除 例えば自宅の土地 0 の取引相 あります 図 参照 の の00万円程度 さらに小規模 税はかからないということです 大きな部分を占める土地を取引相場より 6 図 小規模宅地等の特例 7
図 6 相続税計算の流れ 相続財産の課税価格 非課税財産の控除 ( 図 7) 生命保険金 死亡退職金の非課税額 弔慰金など お墓 仏壇 仏具等 相続財産の課税価額の評価 土地 建物 預貯金 株式 会員権などそれぞれの基準で評価 債務と葬式費用の控除 借金がある場合はその額を控除 葬式費用を控除 贈与額の加算 相続開始前 年以内の贈与は相続財産に加算する ( 贈与税は税額控除 ) 相続時精算課税制度による贈与は全て相続財産に加算する ( 図 ) 課税遺産総額 基礎控除額の控除 ( 図 ) 相続税の計算例 相続人妻と長男 ( 歳 ) 次男 ( 歳 ) 相続財産自宅 ( 土地 000 万円 建物 00 万円 ) 預貯金 000 万円生命保険金 000 万円退職金 000 万円 税法上 生命保険金 退職金は みなし相続財産 となります 非課税財産 生命保険金 00 万円 法定相続人 人 =00 万円 ( 非課税額 ) ア 退職金 00 万円 法定相続人 人 =00 万円 ( 非課税額 ) イ 相続財産の課税価額の評価 ( ) が相続する 自宅の土地 00m ( 小規模宅地等の特例適用 ) 000 万円 (-80%)=600 万円ウ ( 妻 ) 自宅の建物( 固定資産税評価額 ) 00 万円エ ( 妻 ) 預貯金 000 万円 ( 妻が000 万円オ 次男が000 万円カ ) 生命保険金 000 万円 00 万円ア=00 万円キ ( 長男 ) 退職金 000 万円 00 万円イ=00 万円ク ( 次男 ) 債務と葬式費用の控除 葬式費用 00 万円ケ 贈与額の加算 相続開始前 年以内の贈与なし 相続時精算課税制度選択なし 相続財産の課税価格 600 万円ウ+00 万円エ +000 万円オ +000 万円カ +00 万円キ+00 万円ク 00 万円ケ=9800 万円コ 6 相続税の総額の算出 7 各人の相続税算出 相続税総額 実際の相続税 配偶者の税額軽減 配偶者は または の大きい額まで実際に相続した額の範囲で非課税 億 6000 万円 法定相続分 (0~00%) 未成年者控除 0 歳になるまでの年数 6 万円を税額から控除 贈与税額控除 相続開始前 年以内の贈与や相続時精算課税制度による贈与の各相続人の支払済み贈与税を控除する 相続税額の 割加算 相続人が配偶者 子 父母 ( 代襲相続人を含む ) 以外の場合には相続税を 割加算する 基礎控除額の控除 9800 万円コ (000 万円 +000 万円 人 )=800 万円サ 6 相続税の総額 の算出法定相続分どおりに相続したと仮定 ( 妻 / 子 人 /) 妻の税金 800 万円サ / 0%=90 万円子の税金 800 万円サ / 0%= 万円 ( 図 8 参照 ) 相続税の総額 90 万円 + 万円 人 =80 万円シ 7 各人の相続税の算出実際の相続分に応じて相続税を按分する 妻が自宅の土地と建物 預金 000 万円を相続葬式費用負担 600 万円ウ+00 万円エ+000 万円オ-00 万円ケ =800 万円 億 6000 万円未満のため相続税 0 円 長男( 歳 ) が生命保険 000 万円を相続 00 万円キ 80 万円シ 9800 万円コ =6,800 円 (00 円未満切り捨て ) 次男( 歳 ) が退職金 000 万円と預金 000 万円を相続 00 万円ク+000 万円カ 80 万円シ =6,87 円 9800 万円コ 未成年者控除 (0 歳 歳 ) 6 万円 =0 万円 6,87 円 0 万円 =,800 円 (00 円未満切り捨て ) 妻 0 円 + 長男 6,800 円 + 次男,800 円 =98,600 円 7 Vol.
図7 非課税となる財産 ⑥ 相続税の総額 の算出 額を控除します れ て い ま す 法 定 相 続 分 の 範 囲 で 相 続 す を 考 慮 し て 税 額 を 軽 減 す る 措 置 が と ら されています 600万円 法定相続人の数とすることと 除額を大幅に引き下げて 000万円 0万円 000万円超 000万円以下 0% 00万円 000万円超 億円以下 0% 700万円 億円超 億円以下 0% 700万円 億円超 0% 700万円 計算例 法定相続分に基づく相続額7000万円の場合 7000万円 0% 700万円=00万円 人の場合に る財産 または 億6000万円までの相 % 例 え ば 相 続 人 が 妻 と 子 相 続 税 の 総 額 は 実 際 の 遺 産 分 割 と は 続財産のどちらか多い金額まで非課税とな 基礎 控除額の範 囲内で相続税を納めなく 関 係 な く 決 ま り ま す 法 定 相 続 分 ど お り 000万円超 000万円以下 は 現 行 で あ れ ば 8000万 円 ま で が ただし 配偶者の相続分を増やすと当面 り 相続税を納める必要がありません 贈与税額控除 相続税については 現状では一部の方の 問題でしかありませんが 今後の税制改正 の動向によっては対応策を考えなくてはな らない方が増えることも予想されます の試算では 相続税納税対象者が現在の 今回の法案どおり法改正されると財務省 支払い済みの贈与税を控除します から に上昇する見込みとのことです 亡くなられた方の配偶者や た場合には相続税は 割加算されます 族 代襲相続人を含む 以外の方が相続し 親等の血 相続税の 割加算 ④贈与額の加算 の対象となった方が 円を超えると相続税の対象となります て も す み ま す が 改 正 案 だ と800万 次相続 に 大きな相続税が の相続税は軽減されますが 配偶者が亡く に 相 続 し た と 仮 定 し て 相続税の総額 を算出します ⑦各人の相続税の算出 なった時 かかってしまいますので注意が必要です 0% わたり ご説明してきました 以上 相続対策と相続税について 回に 実際に相続する相続財産の価額に合わ せて 相続税の総額 を按分し 各人の 000万円以下 未成年者 障害者には控除額があります その他税額軽減 税率 6 相続財産の評価方法など複雑な部分が 以上が相続税の計算方法です 談 や 信 託 銀 行 等 が 主 催 している 相 続 相 談 地 方 公 共 団 体 で 実 施 している 無 料 法 律 相 門家にご相談されることをお勧めします 年度税制改正大綱で相続税の改 の 影 響 で 審 議 が 棚 上 げ と な り 再 度 検 討 することとなっています法案では基礎控 執筆 協会職員 塚本伸明 ければ幸いです 前の準備が必要であることをご認識いただ 喜ばれる財産分与 をするためには 事 ではありません 争族 とならないため 相 続 問 題は決してお金 持 ちだけの問 題 多いので 相続税がご心配な方は是非 税 平成 税制改正の動向について 勧めします 会などを利用するのも良いでしょう 相続問題で困った時には弁護士などの専 配偶者の税額軽減 図8 相続税の速算表 相続税額を算出します 理士に相談のうえ 対策を立てることをお 配 偶 者 に は 亡 く な ら れ た 方 の 財 産 形 控除額 法定相続分に応ずる取得金額 正が予定されていましたが 東日本大震災 成に寄与していることや相続後の生活保障 お墓 仏壇 仏具 相続人が取得した生命保険金のうち一定額 00万円 法定相続人の人数 相続人が取得した死亡による退職金のうち一定額 00万円 法定相続人の人数 相続人等が受ける弔慰金 葬祭料 業務上の死亡 賞与以外の普通給与の年分 業務外の死亡 賞与以外の普通給与の6ヶ月分 7