H2208 肝パス案(資料4-4)

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はじめに この 成人 T 細胞白血病リンパ腫 (ATLL) の治療日記 は を服用される患者さんが 服用状況 体調の変化 検査結果の経過などを記録するための冊子です は 催奇形性があり サリドマイドの同類薬です は 胎児 ( お腹の赤ちゃん ) に障害を起こす可能性があります 生まれてくる赤ちゃんに

佐賀県肺がん地域連携パス様式 1 ( 臨床情報台帳 1) 患者様情報 氏名 性別 男性 女性 生年月日 住所 M T S H 西暦 電話番号 年月日 ( ) - 氏名 ( キーパーソンに ) 続柄居住地電話番号備考 ( ) - 家族構成 ( ) - ( ) - ( ) - ( ) - 担当医情報 医


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はじめに 連携パス とは 地域のと大阪市立総合医療センターの医師が あなたの治療経過を共有できる 治療計画表 のことです 連携パス を活用し と総合医療センターの医師が協力して あなたの治療を行います 病状が落ち着いているときの投薬や日常の診療はが行い 専門的な治療や定期的な検査は総合医療センターが

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放射線併用全身化学療法 (GC+RT 療法 ) 様の予定表 No.1 月日 経過 達成目標 治療 ( 点滴 内服 ) 検査 処置 活動 安静度 リハビリ 食事 栄養指導 清潔 排泄 / 入院当日 ~ 治療前日 化学療法について理解でき 精神的に安定した状態で治療が

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人間ドック結果報告書 1/5 ページ 所属 : 株式会社 ケンコウタロウ健康太郎 様 性別 / 年齢 男性 / 49 歳 生年月日 昭和 40 年 3 月 17 日 受診日 平成 26 年 5 月 2 日 受診コース 人間ドック ( 胃カメラ ) 問診項目 今回前回前々回平成 26 年 5 月 2

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糖尿病経口薬 QOL 研究会研究 1 症例報告書 新規 2 型糖尿病患者に対する経口糖尿病薬クラス別の治療効果と QOL の相関についての臨床試験 施設名医師氏名割付群記入年月日 症例登録番号 / 被験者識別コード / 1/12

目 次 はじめに C 型慢性肝炎は C 型肝炎ウイルスに感染することにより 検査のすすめ 1 なぜ検査を受けたほうがよいのですか? 3 C 型慢性肝炎について 2 C 型慢性肝炎とは どんな病気ですか? 5 発症する病気です 日本には150~200 万人の患者さんがいると考えられていますが 自覚症状

減量・コース投与期間短縮の基準

消化器病市民向け

患者さま情報 あなたのお名前 かかりつけ医 電話 : 調剤薬局 緊急時連絡先 ( ) 年 ( ) 月 ( ) 日からペグインターフェロン ( ペガシス ペグイントロン ) 注射を週 1 回 合計 ( ) 週間の予定で開始しま した 併用療法の場合は リバビリン ( コペガス レベトール ) という

肝臓の細胞が壊れるる感染があります 肝B 型慢性肝疾患とは? B 型慢性肝疾患は B 型肝炎ウイルスの感染が原因で起こる肝臓の病気です B 型肝炎ウイルスに感染すると ウイルスは肝臓の細胞で増殖します 増殖したウイルスを排除しようと体の免疫機能が働きますが ウイルスだけを狙うことができず 感染した肝

はじめに 我が国の肝がん死亡者数は,2005 年頃を最多とし, その後はゆっくりと減少しつつあります しかし, いまだに年間死亡者数は 3 万人を超えており, 依然として対策が極めて重要な病気です 原因としては,C 型肝炎,B 型肝炎, 非アルコール性脂肪肝炎 (NASH: ナッシュ ) やアルコー

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BD( 寛解導入 ) 皮下注療法について お薬の名前と治療のスケジュール ( 副作用の状況を考慮して 抗がん剤の影響が強く残っていると考えられる場合は 次回の治療開始を延期することがあります ) 薬の名前作用めやすの時間 1 日目

1. ウイルス性肝炎とは ウイルス性肝炎とは 肝炎ウイルスに感染して 肝臓の細胞が壊れていく病気です ウイルスの中で特に肝臓に感染して肝臓の病気を起こすウイルスを肝炎ウイルスとよび 主な肝炎ウイルスには A 型 B 型 C 型 D 型 E 型の 5 種類があります これらのウイルスに感染すると肝細胞

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10,000 L 30,000 50,000 L 30,000 50,000 L 図 1 白血球増加の主な初期対応 表 1 好中球増加 ( 好中球 >8,000/μL) の疾患 1 CML 2 / G CSF 太字は頻度の高い疾患 32

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AC 療法について ( アドリアシン + エンドキサン ) おと治療のスケジュール ( 副作用の状況を考慮して 抗がん剤の影響が強く残っていると考えられる場合は 次回の治療開始を延期することがあります ) 作用めやすの時間 イメンドカプセル アロキシ注 1 日目は 抗がん剤の投与開始 60~90 分

情報提供の例

診療科 血液内科 ( 専門医取得コース ) 到達目標 血液悪性腫瘍 出血性疾患 凝固異常症の診断から治療管理を含めた血液疾患一般臨床を豊富に経験し 血液専門医取得を目指す 研修日数 週 4 日 6 ヶ月 ~12 ヶ月 期間定員対象評価実技診療知識 1 年若干名専門医取得前の医師業務内容やサマリの確認

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医師 医療スタッフ ( メッセージ 特記事項 ) 患者さん ご家族 ( 日々の記録や医療者に伝えたいこと ) 受付 ( 受診日 医療機関名 診療科 ) をご記入下さい 医師 医療スタッフ ( メッセージ 特記事項 ) 患者さん ご家族 ( 日々の記録や医療者に伝えたいこと ) 受付 ( 受診日 医療

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九州支部卒後研修会症例

目次 1. 肝臓の病気 2. 肝炎ウイルスとは 3. ウイルス性肝炎とは 4. 急性肝炎 5. 慢性肝炎 6. 肝硬変 7.A 型肝炎 8.B 型肝炎 9.C 型肝炎 10.B 型肝炎の治療 11.C 型肝炎の治療 12. 予防方法 13. 肝炎の医療費助成制度 14. おわりに 1

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「             」  説明および同意書

1. 尿毒素に関する検査 尿素窒素 (BUN) 70~90 mg/dl タンパク質の燃えカスです タンパク質の過剰摂取 透析不足 消化管出血などで上昇します 筋肉でエネルギーとして使われた後の代謝 クレアチニン (Cr) 16 mg/dl 以下 物質で 筋肉量の多い人は高値になります 透析不足でも上

B型肝炎ウイルスのキャリアで免疫抑制・化学療法を受ける患者さんへ

基礎知識 1. 肝臓について 肝臓は腹部の右上にあり 成人で 800~1,200g と体内最大の臓器です ( 図 1) 肝臓の主な役割は 食事から吸収した栄養分を取り込んで体に必要な成分に変えることや 体内でつくられた有害物質や体外から摂取された有害物質を解毒し 排出することです また 脂肪の消化を

50 生化学検査 420 3J 総ビリルビン 数字 PQ 5 NNN.N mg/dl mg/dl 3J010 総ビリルビン 3J 生化学検査 430 3B GOT(AST)

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094.原発性硬化性胆管炎[診断基準]

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3. 今後 起こりうる可能性のある病状に対する治療法について肝硬変が進行してゆくと 肝癌の発生率が高くなり 肝癌死および門脈圧亢進症を呈し腹水や食道静脈瘤を呈し 肝不全になり死亡することが知られています 食道静脈瘤出血に対しては内視鏡的治療 肝癌に対しては手術や抗癌剤といった治療法がありますが その

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2. 転移するのですか? 悪性ですか? 移行上皮癌は 悪性の腫瘍です 通常はゆっくりと膀胱の内部で進行しますが リンパ節や肺 骨などにも転移します 特に リンパ節転移はよく見られますので 膀胱だけでなく リンパ節の検査も行うことが重要です また 移行上皮癌の細胞は尿中に浮遊していますので 診断材料や

消化器人間ドックのご案内

肺がん術後連携パス

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要旨 平成 30 年 2 月 21 日新潟県福祉保健部 インターフェロンフリー治療に係る診断書を作成する際の注意事項 インターフェロンフリー治療の助成対象は HCV-RNA 陽性の C 型慢性肝炎又は Child-Pugh 分類 A の C 型代償性肝硬変で 肝がんの合併のない患者です 助成対象とな

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1. はじめに今回 あなたに参加していただきたい試験は 臨床試験と言われるもので 新しい治療法の安全性と有効性を検討するものです 新しい治療法の安全性と有効性を検討するには 患者さんにご協力いただき その治療効果及び副作用の両面から研究しなければなりません また この臨床試験は 医療法人いたの会久留

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1 8 ぜ 表2 入院時検査成績 2 諺齢 APTT ALP 1471U I Fib 274 LDH 2971U 1 AT3 FDP alb 4 2 BUN 16 Cr K4 O Cl g dl O DLST 許 皇磯 二 図1 入院時胸骨骨髄像 低形成で 異常細胞は認め

都道府県単位での肝炎対策を推進するための計画を策定するなど 地域の実情に応じた肝炎対策を推進することが明記された さらに 近年の状況等を踏まえ 平成 28 年 6 月に基本指針の改正を行い 肝炎対策の全体的な施策目標を設定すること等が追記された 都は 肝炎をめぐる都内の状況や基本指針の改正を踏まえ

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診療工房 診診連携機能説明資料 診療工房について 1. 新しい診診連携機能 2. 情報提供 ( 診診送信 ) の仕方 3. 受信確認の仕方 4. システム設定の受信設定タブ 5. 新しいログイン管理 6. 検査データコピー機能ランチャーについて 7. 県中のボタン医師署名システムについて 8. 医師


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知っておきたい関節リウマチの検査 : 中央検査部医師松村洋子 そもそも 膠原病って何? 本来であれば自分を守ってくれるはずの免疫が 自分自身を攻撃するようになり 体のあちこちに炎 症を引き起こす病気の総称です 全身のあらゆる臓器に存在する血管や結合組織 ( 結合組織 : 体内の組織と組織 器官と器官

ダクルインザ・スンベブラの使用経験とこれからの病診連携

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蛋白 総蛋白 (TP) 6.6 ~ 8.1 血液中に含まれる蛋白の総量です 数値が低い場合は栄養障害 ネフローゼ症候群 がんなど 高い場合は多発性骨髄腫 慢性炎症 脱水などが疑われます アルブミン (ALB) 4.1 ~ 5.1 血液中で最も多く含まれる蛋白です 肝臓で合成されます 肝臓障害 栄養不

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血糖高いのは朝食後のため検査項目 下限値上限値 単位名称 9 月 3 日 9 月 6 日 9 月 15 日 9 月 18 日 9 月 21 日 9 月 24 日 9 月 28 日 10 月 1 日 10 月 3 日 10 月 5 日 10 月 9 日 10 月 12 日 10 月 15 日 10 月


白血病治療の最前線

第 4 章感染患者への対策マニュアル ウイルス性肝炎の定義と届け出基準 1) 定義ウイルス感染が原因と考えられる急性肝炎 (B 型肝炎,C 型肝炎, その他のウイルス性肝炎 ) である. 慢性肝疾患, 無症候性キャリア及びこれらの急性増悪例は含まない. したがって, 透析室では HBs

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症例報告書の記入における注意点 1 必須ではない項目 データ 斜線を引くこと 未取得 / 未測定の項目 2 血圧平均値 小数点以下は切り捨てとする 3 治験薬服薬状況 前回来院 今回来院までの服薬状況を記載する服薬無しの場合は 1 日投与量を 0 錠 とし 0 錠となった日付を特定すること < 演習

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NEW版下_健診べんり2016_01-12

がん登録実務について

Transcription:

4-4 肝がんパス連携ノート ( 患者用 ) 兵庫県統一版 (Ver.2.0 ) 連携ノート 名 前 がん診療連携拠点病院 病院

肝がん術後地域連携パス もくじ 地域連携パスとは私の診療情報決定した連携医療機関の一覧治療について肝がんについてあなたの主治医の役割おもな症状退院後の日常生活について肝がん治療に関する連携計画書血液検査の説明患者さん用メモ連携ノートの使い方

地域連携パスとは 地域連携パスとは 地域のかかりつけ医と 病院の医師が あなたの治療経過を共有できる 地域連携計画書 のことです 連携パス を活用して かかりつけ医と 病院の医師が協力してあなたの治療を行います 病院 ( 担当医 ) 節目の診察 連携ノート 連携ノート 患者さん 地域医療連携担当者 ( 看護師 MSW) 連携の総合的な情報 連携ノート 連携ノート 介護チーム ( ケアマネージャーなど ) 日々の介護 地域の診療所 ( かかりつけ医 ) 日々の診察介護 看護 服薬の情報 かかりつけ薬局 訪問看護ステーション 連携ノート 日々の診察 一般病院 ( かかりつけ医 ) この 連携パス を活用することで 地域のかかりつけ医と 病院が協力し 患者さんの視点に立って安心で質の高い医療を提供する体制をつくることを目指していきます 1

私の診療情報 記載日年月日 名 前 生年月日 M T S H 年月日 住 所 電 話 緊急連絡先電話番号 血液型型身長 cm 体重 kg アレルギー 今までにかかった病気 アレルギー性疾患 ( ) 心臓 肺の病気 ( ) その他 ( ) 介護情報について 2

決定した連携医療機関の一覧 かかりつけ医 ( 電話 - - ) 調剤薬局 ( 電話 - - ) 訪問看護ステーション 居宅介護支援事業所等 ( 電話 - - ) 連携病院 ( 電話 - - ) 病院 担当医 ( ) ( 電話 : - - ) その他 3

治療について 1. 治療日治療法 2. 治療日治療法 3. 治療日治療法 4. 治療日治療法 年 月 日 年 月 日 年 月 日 年 月 日 4

肝がんについて 肝がんの患者さんの約 9 割が C 型肝炎やB 型肝炎というウイルス感染を合併しています さらに自己免疫 アルコール 脂肪肝などが関与することもあります そのため たいていの方が慢性肝炎や肝硬変といった病気を併存しています 従って肝がんの治療に際しては がんと平行して平素から肝機能のチェックや注射 投薬が必要となりますが この日常の診療をかかりつけ医に行っていただきます CT MRIやエコーなどの肝がんの専門的な定期検査は 病院で受けていただきます 肝がんは治療しても高率に再発する病気ですが その時の肝機能や肝硬変の程度を天秤にかけながら がんの治療法を考えていく必要があります CTなどで再発が見つかった場合は 病院で腫瘍の大きさや場所と肝予備能を検討した上で 各々に適した治療を受けていただきます 5

肝がんの治療には以下のものがあります 1) 肝切除術 2) 穿刺焼灼療法 ( ラジオ波 マイクロターゼ ) 3) エタノール注入療法 4) 経肝動脈化学塞栓療法 5) 肝動注療法 6) 全身化学療法 ( 抗癌剤内服 / 静注 ) 7) 放射線 粒子線療法 8) 肝移植 ( 脳死 生体 ) 9) 経皮的肝灌流化学療法 * それぞれの治療には適応基準があり 各患者さんの肝予 備能と腫瘍の状況を考え合わせながら 最善の治療法を検討いたします なお 肝移植 ( 脳死 ) は神戸大学病院 肝移植 ( 生体 ) は 神戸大学病院 神戸市立医療センター中央市民病院において実施しています * 経皮的肝灌流化学療法は 神戸大学病院において自費診療として実施しています 6

あなたの主治医の役割 1. かかりつけ医では肝がんの治療が終了し 病院を退院された後は 地域のかかりつけ医の先生に日常診療をしていただきます おもに 1)1ヶ月毎の肝炎の血液検査 2) 肝炎治療薬を含めたお薬の処方 3) 肝炎治療の注射が必要な方は その注射を 4) 腹水やむくみが出てきた時の診療と治療 5) 風邪をひいたりして 熱が出た時の診察と治療などを行っていただきます 7

2. 病院では原則として3 4ヶ月毎に通院していただき 検査と診察を受けていただきます 検査としては 血液検査と腹部 CT 検査 ( または腹部超音波検査 腹部 MRI 検査 ) を3 4 ヶ月毎に受けていただきます その結果は 毎回 かかりつけ医に報告致します 肝がんの再発が疑われた場合は 肝機能や肝硬変の程度 さらに画像診断の追加などで腫瘍の場所や大きさを考えながら治療法を検討し 入院加療を予定いたします また 肝性脳症 ( 意識がおかしくなる ) や難治性の腹水が出現した時も入院を検討いたします 8

主な症状 肝臓は無言の臓器といわれますが 症状としては一般に 肝がんの進行もしくは肝炎 肝硬変がすすんで肝機能が 低下するための症状がおもになります 全身倦怠感 肝機能低下 栄養不良 腹部膨満 息切れ 腹水 胸水貯留 出血傾向 凝固因子減少 血小板減少 吐血 下血 びらん性出血性胃炎 食道静脈瘤破裂 門脈圧亢進症 脚気 こむら返り 乳酸の増加 / 肝代謝低下 意識朦朧 手の震え アンモニア増加 / 肝性脳症 下腿浮腫 低蛋白 低アルブミン / 肝代謝低下 黄疸 肝機能低下 9

1. 安静と運動 退院後の日常生活について 過去には安静が強調されてきましたが 現在では適度な運動が必要です 適度な運動とは 1 日 30 分程度の散歩で 毎日 続けることが大切です ただし 腹水 黄疸 肝性脳症 ( 意識がおかしくなる ) があるときや AST(GOT) ALT(GPT) が高い時 (200 以上 ) は安静が必要です 2. 食事 穀類を中心に野菜を多くとって下さい 脂肪 塩分はとりすぎないようにして下さい 過剰な鉄分も必要ありません タンパク質は動物性 ( 肉など ) よりも植物性 ( 大豆 豆腐など ) のものを多くとって下さい 食後 1 時間は安静にして下さい 肝性脳症を起こしたことがある人はタンパク質 ( 特に肉類 ) のとりすぎに注意して下さい 腹水の貯まったことのある人は特に塩分を控えて下さい 10

3. アルコール 基本的に肝臓が悪い人は飲酒できません 4. 風呂 熱い風呂 長風呂は避けて下さい 食後 1 時間は入浴をさけて下さい 5. 旅行 腹水 黄疸 肝性脳症がなければ 可能です ただし 無理のないスケジュールで 6. 肝炎ウイルス感染予防 出血時の血液付着物の処理は自分でして下さい かみそり 歯ブラシなどは共用しないようにして下さい 乳幼児との接触は特に問題はありませんが 食べ物の口移しはしないようにして下さい 11

肝がん治療後の再発抑制治療と注意点について 1.B 型肝炎ウイルスによる慢性肝炎 肝硬変を合併している場合 1) 病態によっては抗ウイルス薬の内服を行うことがあります 2.C 型肝炎ウイルスによる慢性肝炎 肝硬変を合併している場合 1) 病態によってはウイルスの排除を目的として インターフェロンと内服薬の併用療法が行われることがあります 2) 肝臓の炎症を抑える注射や内服薬を続けることがあります 3) 再発抑制のためインターフェロンを少量 長期間注射することがあります 3. 肝硬変を合併している場合 1) 腹水や 肝性脳症の出現にも気をつける必要があります 2) 食道静脈瘤のチェックをするために定期的な内視鏡検査が必要です 12

肝がん治療に関する連携計画書 (1~6 ヶ月 ) 診療場所経過月日検査 病院かかりつけ医かかりつけ医 退院時 1 ヶ月 2 ヶ月 月 日 月 日 月 日 血液検査 血液検査 血液検査 検尿 検尿 検尿 レントゲン ( 胸 ) お腹の CT または MRI またはエコー 内服薬注射 / 点滴 ALT AlB T-Bil PT(%) NH3 AFP PIVKA-Ⅱ RBC Hb Plt BUN Crea 症状など 体重 kg kg kg むくみ 痛み * 食欲不振 * 不眠 * 不安 * 気持のつらさ * その他 * 症状など の 痛み 食欲不振 不眠 不安 気持ちのつらさ は 0 症状ない 1 現在の方法で満足 2ひどくないが 方法があるなら教えてほしい 3 我慢できないことがあり 対応してほしい 4ずっと我慢できない状態が続いているで記載 13

かかりつけ医における採血に関して Ⅰ) 原則はパスの通りに行う Ⅱ) ただし 症例によっては 採血期間をかかりつけ医の判断にて変更することができる 病院かかりつけ医かかりつけ医 病院 3 ヶ月 4 ヶ月 5 ヶ月 6 ヶ月 月 日 月 日 月 日 月 日 血液検査 血液検査 血液検査 血液検査 検尿 検尿 検尿 検尿 レントゲン ( 胸 ) レントゲン ( 胸 ) お腹の CT お腹の CT または MRI または MRI またはエコーまたはエコー あり なし あり なし kg kg kg kg あり なし 上記の受診日はおおまかなめやすです 定期受診日以外でも必要があれば診察します また 症状に応じて 適宜血液検査 画像検査 その他の検査などを行います 14

肝がん治療に関する連携計画書 (7 ヶ月 ~1 年 ) 診療場所経過月日検査 かかりつけ医かかりつけ医 病院 7 ヶ月 8 ヶ月 9 か月 月 日 月 日 月 日 血液検査 血液検査 血液検査 検尿 検尿 検尿 レントゲン ( 胸 ) お腹の CT または MRI またはエコー 内服薬注射 / 点滴 ALT AlB T-Bil PT(%) NH3 AFP PIVKA-Ⅱ RBC Hb Plt BUN Crea 症状など 体重 kg kg kg むくみ 痛み * 食欲不振 * 不眠 * 不安 * 気持のつらさ * その他 * 症状など の 痛み 食欲不振 不眠 不安 気持ちのつらさ は 0 症状ない 1 現在の方法で満足 2ひどくないが 方法があるなら教えてほしい 3 我慢できないことがあり 対応してほしい 4ずっと我慢できない状態が続いているで記載 15

かかりつけ医における採血に関して Ⅰ) 原則はパスの通りに行う Ⅱ) ただし 症例によっては 採血期間をかかりつけ医の判断にて変更することができる かかりつけ医かかりつけ医 病院 10 ヶ月 11 ヶ月 1 年 月 日 月 日 月 日 血液検査 血液検査 血液検査 検尿 検尿 検尿 レントゲン ( 胸 ) お腹の CT または MRI またはエコー 胃内視鏡 メモ kg kg kg 上記の受診日はおおまかなめやすです 定期受診日以外でも必要があれば診察します また 症状に応じて 適宜血液検査 画像検査 その他の検査などを行います 16

肝がん治療に関する連携計画書 (1 年 1 ヶ月 ~1 年 6 ヶ月 ) 診療場所経過月日検査 かかりつけ医かかりつけ医 病院 1 年 1 ヶ月 1 年 2 ヶ月 1 年 3 ヶ月 月 日 月 日 月 日 血液検査 血液検査 血液検査 検尿 検尿 検尿 レントゲン ( 胸 ) お腹の CT または MRI またはエコー 内服薬注射 / 点滴 ALT AlB T-Bil PT(%) NH3 AFP PIVKA-Ⅱ RBC Hb Plt BUN Crea 症状など 体重 kg kg kg むくみ 痛み * 食欲不振 * 不眠 * 不安 * 気持のつらさ * その他 * 症状など の 痛み 食欲不振 不眠 不安 気持ちのつらさ は 0 症状ない 1 現在の方法で満足 2ひどくないが 方法があるなら教えてほしい 3 我慢できないことがあり 対応してほしい 4ずっと我慢できない状態が続いているで記載 17

かかりつけ医における採血に関して Ⅰ) 原則はパスの通りに行う Ⅱ) ただし 症例によっては 採血期間をかかりつけ医の判断にて変更することができる かかりつけ医かかりつけ医 病院 1 年 4 ヶ月 1 年 5 ヶ月 1 年 6 ヶ月 月 日 月 日 月 日 血液検査 血液検査 血液検査 検尿 検尿 検尿 レントゲン ( 胸 ) お腹の CT または MRI またはエコー メモ kg kg kg 上記の受診日はおおまかなめやすです 定期受診日以外でも必要があれば診察します また 症状に応じて 適宜血液検査 画像検査 その他の検査などを行います 18

肝がん治療に関する連携計画書 (1 年 7 ヶ月 ~2 年 ) 診療場所経過月日検査 かかりつけ医かかりつけ医 病院 1 年 7 ヶ月 1 年 8 ヶ月 1 年 9 ヶ月 月 日 月 日 月 日 血液検査 血液検査 血液検査 検尿 検尿 検尿 レントゲン ( 胸 ) お腹の CT または MRI またはエコー 内服薬注射 / 点滴 ALT AlB T-Bil PT(%) NH3 AFP PIVKA-Ⅱ RBC Hb Plt BUN Crea 症状など 体重 kg kg kg むくみ 痛み * 食欲不振 * 不眠 * 不安 * 気持のつらさ * その他 * 症状など の 痛み 食欲不振 不眠 不安 気持ちのつらさ は 0 症状ない 1 現在の方法で満足 2ひどくないが 方法があるなら教えてほしい 3 我慢できないことがあり 対応してほしい 4ずっと我慢できない状態が続いているで記載 19

かかりつけ医における採血に関して Ⅰ) 原則はパスの通りに行う Ⅱ) ただし 症例によっては 採血期間をかかりつけ医の判断にて変更することができる かかりつけ医かかりつけ医 病院 1 年 10 ヶ月 1 年 11 ヶ月 2 年 月 日 月 日 月 日 血液検査 血液検査 血液検査 検尿 検尿 検尿 レントゲン ( 胸 ) お腹の CT または MRI またはエコー 胃内視鏡 メモ kg kg kg 上記の受診日はおおまかなめやすです 定期受診日以外でも必要があれば診察します また 症状に応じて 適宜血液検査 画像検査 その他の検査などを行います 20

肝がん治療に関する連携計画書 (2 年 1 ヶ月 ~2 年 6 ヶ月 ) 診療場所経過月日検査 かかりつけ医かかりつけ医 病院 2 年 1 ヶ月 2 年 2 ヶ月 2 年 3 ヶ月 月 日 月 日 月 日 血液検査 血液検査 血液検査 検尿 検尿 検尿 レントゲン ( 胸 ) お腹の CT または MRI またはエコー 内服薬注射 / 点滴 ALT AlB T-Bil PT(%) NH3 AFP PIVKA-Ⅱ RBC Hb Plt BUN Crea 症状など 体重 kg kg kg むくみ 痛み * 食欲不振 * 不眠 * 不安 * 気持のつらさ * その他 * 症状など の 痛み 食欲不振 不眠 不安 気持ちのつらさ は 0 症状ない 1 現在の方法で満足 2ひどくないが 方法があるなら教えてほしい 3 我慢できないことがあり 対応してほしい 4ずっと我慢できない状態が続いているで記載 21

かかりつけ医における採血に関して Ⅰ) 原則はパスの通りに行う Ⅱ) ただし 症例によっては 採血期間をかかりつけ医の判断にて変更することができる かかりつけ医かかりつけ医 病院 2 年 4ヶ月 2 年 5ヶ月 2 年 6ヶ月 月 日 月 日 月 日 血液検査 血液検査 血液検査 検尿 検尿 検尿 レントゲン ( 胸 ) お腹のCT またはMRI またはエコー メモ あり なし あり なし あり なし あり なし あり なし あり なし kg kg kg あり なし あり なし あり なし 上記の受診日はおおまかなめやすです 定期受診日以外でも必要があれば診察します また 症状に応じて 適宜血液検査 画像検査 その他の検査などを行います 22

肝がん治療に関する連携計画書 (2 年 7 ヶ月 ~3 年 ) 診療場所経過月日検査 かかりつけ医かかりつけ医 病院 2 年 7 ヶ月 2 年 8 ヶ月 2 年 9 ヶ月 月 日 月 日 月 日 血液検査 血液検査 血液検査 検尿 検尿 検尿 レントゲン ( 胸 ) お腹の CT または MRI またはエコー 内服薬注射 / 点滴 ALT AlB T-Bil PT(%) NH3 AFP PIVKA-Ⅱ RBC Hb Plt BUN Crea 症状など 体重 kg kg kg むくみ 痛み * 食欲不振 * 不眠 * 不安 * 気持のつらさ * その他 * 症状など の 痛み 食欲不振 不眠 不安 気持ちのつらさ は 0 症状ない 1 現在の方法で満足 2ひどくないが 方法があるなら教えてほしい 3 我慢できないことがあり 対応してほしい 4ずっと我慢できない状態が続いているで記載 23

かかりつけ医における採血に関して Ⅰ) 原則はパスの通りに行う Ⅱ) ただし 症例によっては 採血期間をかかりつけ医の判断にて変更することができる かかりつけ医かかりつけ医 病院 2 年 10 ヶ月 2 年 11 ヶ月 3 年 月 日 月 日 月 日 血液検査 血液検査 血液検査 検尿 検尿 検尿 レントゲン ( 胸 ) お腹の CT または MRI またはエコー 胃内視鏡 メモ kg kg kg 上記の受診日はおおまかなめやすです 定期受診日以外でも必要があれば診察します また 症状に応じて 適宜血液検査 画像検査 その他の検査などを行います 24

血液検査の説明 ALT(GPT) 酵素の一種です 肝機能障害などで上昇します AlB( アルブミン ) 蛋白質の一種です 健康や栄養状態を調べます T-Bil( 総ビリルビン ) 黄疸の指標です 肝疾患 溶血性貧血などで上昇します PT(%) 血液が固まるまでの時間を調べます 血液をサラサラにする薬を服用している場合は 薬の効果の目安になります NH3( アンモニア ) 肝機能検査の一つで 肝硬変の場合などで上昇します RBC( 赤血球数 ) 貧血の有無を調べます Hb( ヘモグロビン ) 酸素を運びます 貧血の診断に用います Plat( 血小板数 ) 出血を止める時に働きます BUN( 尿素窒素 ) Cre( クレアチニン ) 蛋白質の老廃物です 腎臓から尿中へ排出されるので腎臓機能の目安になります 血液学検査 WBC( 白血球数 ) 身体の防御等に関係した血液中の細胞です 炎症性の病気などで増加し 抗癌剤で骨髄機能が障害されると低下します 生化学検査 AST(GOT) 酵素の一種です 肝機能障害や心筋梗塞で上昇します γ-gtp 酵素の一種です 肝機能障害 胆道の障害 過度の飲酒などで上昇します ALP 酵素の一種です 肝臓や胆道系の病変で上昇します TP( 総蛋白 ) 血清中の蛋白の総量です 肝臓病や栄養障害で低下します T-chol( 脂質 代謝 ) 総コレステロール脂肪の一種 栄養障害では低下します 腫瘍マーカー PIIVKA-Ⅱ AFP 再発すると上昇することがあり再発の目安になります 25

年月日 患者さん用メモ 連絡事項等あればご記入ください 医師 看護師のコメント 26

年月日 患者さん用メモ 連絡事項等あればご記入ください 医師 看護師のコメント 27

連携ノートの使い方 連携ノートには 以下の内容が綴られています 1. 私の診療情報 2. 決定した連携医療機関の一覧と連絡先 3. 地域連携計画書 ( 患者さん用連携パス ) 5 年 ~10 年先までの診療の計画をたてたものです いつ どこを受診するのか といった予定が一目でわかるほか 検査結果なども記入できるようになっています 4. 自己チェックシート ( 任意 ) 患者さんの手術後の体の状態をチェックする用紙です 5. おくすり手帳 ( 任意 ) 患者さんの状態や思いは 連携ノート を通して情報交換を行います 連携ノートは 患者さんと医療機関が連携して患者さん中心の治療を切れ目なく続けるための貴重な資料です 患者さんの個人情報が含まれますので 患者さんご自身でしっかりと管理していただく必要があります 連携の総合的な情報 日々の診察 看護 介護 服薬の情報 節目の診察 * 医療機関を受診される際には忘れずお持ちください 28

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