目 次 1 はじめに (1) 策定の趣旨 1 (2) 計画の位置づけ 2 2 計画の範囲 (1) 対象施設 3 (2) 計画期間 3 3 施設等の現状及び今後の見通し (1) 四日市港の現状 4 (2) 施設の現状 6 (3) 維持管理 修繕 更新等に係る中期的な経費の見込み 7 4 施設の総合的か

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四日市港管理組合 インフラ長寿命化計画 平成 29 年 3 月 四日市港管理組合

目 次 1 はじめに (1) 策定の趣旨 1 (2) 計画の位置づけ 2 2 計画の範囲 (1) 対象施設 3 (2) 計画期間 3 3 施設等の現状及び今後の見通し (1) 四日市港の現状 4 (2) 施設の現状 6 (3) 維持管理 修繕 更新等に係る中期的な経費の見込み 7 4 施設の総合的かつ計画的な管理に関する基本的な方針 (1) 基本的な考え方 8 1 施設の長寿命化による財政負担の軽減 平準化 2 安全 安心の確保 3 施設の適切な配置と規模 (2) 港湾施設等の管理に関する実施方針 9 1 点検 診断等の実施方針 2 維持管理 修繕 更新等の実施方針 3 安全確保の実施方針 4 耐震化の実施方針 5 長寿命化の実施方針 6 統合や廃止の推進方針 (3) 海岸保全施設の管理に関する実施方針 10 1 点検 診断等の実施方針 2 維持管理 修繕 更新等の実施方針 3 安全確保の実施方針 4 耐震化の実施方針 5 長寿命化の実施方針 6 統合や廃止の推進方針 (4) 計画の進め方 12 1 総合的かつ計画的な管理を実現するための体制の構築方針 2 フォローアップの実施方針

1 はじめに (1) 策定の趣旨四日市港は 明治 32 年の開港以来 中部圏を代表する国際貿易港として 背後圏産業の近代化 工業化を物流面から支える役割を担うとともに 高潮 津波等の自然災害から 背後地の住民や企業 港の利用者等を守り 安全 安心を支えてきました 四日市港の港湾施設や海岸保全施設は 高度経済成長期に整備された施設が多く 老朽化が進行しています 今後も 背後圏産業の物流を支えるとともに 住民等の安全 安心を確保するためには 施設の修繕や更新が必要となっています このため 四日市港管理組合では 厳しい財政状況のなか 施設の効率的 効果的な維持管理を行うとともに 維持管理計画等の策定に取り組んできたところです 国においては インフラの老朽化が急速に進展することへの対応として 平成 25 年 11 月に インフラ長寿命化基本計画 ( 以下 基本計画 という ) が策定され 国民の安全 安心を確保し 中長期的な維持管理 更新等に係るトータルコストの縮減や予算の平準化を図るための方向性が示されました また この基本計画では 各省庁や地方公共団体等は所管するインフラの維持管 理 更新等を着実に推進するための 行動計画 を策定することとされました これを受け 国土交通省においては 平成 26 年 5 月に 国土交通省インフラ長寿命化計画 ( 行動計画 ) がとりまとめられたところです このような状況を踏まえ 四日市港管理組合では 国の方針と歩調を合わせ 限られた財源の中で 将来にわたって必要なインフラの機能を発揮し続けるこ とができるよう 維持管理 更新等を着実に推進するための中期的な取組の方 針として 四日市港管理組合インフラ長寿命化計画 を定めることとしました この計画を着実に遂行していくことにより 四日市港の物流機能の維持や安全 安心の確保を図るとともに 四日市港長期構想における基本理念である 地域に貢献する なくてはならない存在としての四日市港づくり の実現を目指 します 1

(2) 計画の位置づけ 四日市港管理組合インフラ長寿命化計画 は 国の 基本計画 に基づき策定される地方公共団体の 行動計画 であり 個別施設ごとの具体的な対応方 針を定める個別施設計画の上位計画として定めるものです インフラ長寿命化基本計画 ( 基本計画 ) 国 ( 行動計画 ) 国 インフラ長寿命化計画 ( 各省庁が策定 ) ( 行動計画 ) 地方公共団体 四日市港管理組合インフラ長寿命化計画 ( 個別施設計画 ) ( 個別施設計画 ) 港湾道路河川 港湾施設 海岸保全施設 庁舎等 維持管理計画 1 長寿命化計画 3 維持管理計画 予防保全計画 2 図 -1 四日市港管理組合インフラ長寿命化計画の体系 ( イメージ ) 1 1 維持管理計画 : 港湾施設の効率的 効果的な維持管理 更新等を図ることを目的として 岸壁や防波堤等の施設毎に点検診断や補修対策の時期 方法等を定めた計画 2 予防保全計画 : 港湾施設の効率的 効果的な維持管理 更新等を図ることを目的として 施設の利用上の重要性や劣化度等から港全体の港湾施設の維持管理優先順位を定めた計画 3 長寿命化計画 : 護岸 胸壁 水門等の海岸保全施設全体について 点検や修繕の方法 実 施時期等を定めた計画 2

2 計画の範囲 (1) 対象施設四日市港管理組合が所有又は管理 ( 法令等により四日市港管理組合が点検や修繕等をする権限や義務があるものを含む ) する下記の施設を対象とします 対象施設 施設の範囲 港湾施設 水域施設外郭施設係留施設臨港交通施設荷さばき施設保管施設船舶役務用施設廃棄物処理施設港湾環境整備施設 航路 泊地防波堤 護岸岸壁 物揚場 浮桟橋等道路 橋梁等上屋 荷役機械 荷さばき地等野積場 石炭等保管用地給水設備廃棄物埋立護岸緑地 公園 海岸保全施設 護岸 胸壁 水門 樋門 排水機場 陸閘等 庁舎等四日市港ポートビル等ポートビル 駐車場等 (2) 計画期間 計画期間は 平成 29 年度から平成 38 年度の 10 年間とします ただし 計画期間内であっても 必要に応じて計画の内容を見直します 3

3 施設等の現状及び今後の見通し (1) 四日市港の現状 ( 港の役割 ) エネルギーや食料の多くを海外に依存する我が国において 製造品の輸出や食料 資源の輸入などの貿易が 経済活動と国民生活を支えています 港湾は その輸出入貨物量の 99% 以上を取扱っており 重要な物流 生産基盤となっ ています また 港湾の背後には多くの人口 資産が集積しているため 高潮 津波等の災害から 人命 財産を直接防護する港湾 海岸保全施設の役割は非常に重要です 四日市港は 明治 32 年の開港以来 主に羊毛 綿花の輸入港として栄え 昭和 30 年代前半に大規模な石油化学コンビナートが誕生すると 原油の輸入が羊毛を追い抜き 工業港としての性格を強めるなど 産業構造の変化に対応しながら 国際貿易港として発展してきました 現在は 我が国有数の石油化学コンビナートを擁するエネルギー供給拠点 三重県を中心とした中部圏及び近畿圏の一部を背後地域に抱える外内貿貨物の 物流拠点として 原油や LNG 石炭をはじめ多くのバルク貨物やコンテナ貨物等を幅広く取り扱うなど 国際総合港湾として背後圏産業を物流面から支えています また 四日市港は 南海トラフ地震やこれに伴う津波等により被災した場合における緊急物資 避難者等の輸送活動や防災活動の拠点として 復旧 復興活動を支える役割を担っています 4

( 港勢 ) 四日市港の総取扱貨物量は 過去 5 年 6,200 万トン前後で推移しており 輸出では 化学薬品 石油製品 自動車部品 輸入では 原油 LNG 石炭の取扱量が多くなっています ( 単位 : 千トン ) 70,000 60,000 62,471 61,534 61,882 62,963 61,363 50,000 40,000 30,000 42,942 41,772 41,574 42,247 40,509 外貿 内貿 20,000 10,000 19,529 19,762 20,308 20,716 20,854 0 H24 H25 H26 H27 H28 H24~H27 は確定値 H28 は速報値 図 -2 四日市港の総取扱貨物量の推移 原油 LNG 化学薬品石油製品自動車部品 完成自動車合成樹脂等石炭 LPG その他 31.0 22.2 12.1 8.6 7.8 18.3 輸出 化学薬品石油製品自動車部品 完成自動車 合成樹脂等 その他 46.2 36.7 5.6 3.0 2.1 6.3 輸入 原油 LNG 石炭 その他 石油製品 LPG (%) 図 -3 輸出入貨物の品目別割合 (H28 速報値 ) 5

(2) 施設の現状 ( 港湾施設等 ) 港湾施設の多くは高度経済成長期の昭和 40 年代までに建設されており 特 に 四日市地区において老朽化が進んでいます そのため 平成 23 年度から施設ごとの維持管理計画の策定を進めるとともに 予防保全計画に基づき 効率的 効果的な維持管理に取り組んでいます 係留施設 ( 公共岸壁 物揚場 ) については 総延長約 11.6km のうち 約 40% が建設後 50 年を超えており さらに 10 年後には 建設後 50 年を 超える施設が約 80% に達する見込みです このような中 老朽化や陳腐化等 により利用度が低下した一部の係留施設については 事故防止や費用対効果の観点から 使用制限や使用停止等の措置を講じているところです 上屋等についても 計 18 棟のうち 約 40% が築後 50 年を超え 老朽化が進んでいます 平成 20 年度には当時の上屋等計 20 棟を対象に耐震診断を実施し 17 棟が耐震基準を満たしていないことが判明しました そのため 平成 22 年度に 上屋等改修基本計画 を策定し 計画的な改修 (2 棟の撤去 含む ) に取り組んでいます また 四日市港ポートビルは 平成 11 年に竣工し 現在 17 年が経過しています 建設年代 整備延長 (m) 四日市地区 霞地区 累計整備累計延長延長 (m) 割合 (m) 延長 (m) 割合 S24 以前 (1949 以前 )1,704 1,704 27% 200 200 4% S25~S34 (1950~59) 1,725 3,429 54% 513 713 14% S35~S44 (1960~69) 1,695 5,124 81% 83 796 15% S45~S54 (1970~79) 477 5,601 88% 3,015 3,811 72% S55~H1 (1980~89) 356 5,957 94% 520 4,331 82% H2~H11 (1990~99) 0 5,957 94% 260 4,591 87% H12~ (2000~) 405 6,362 100% 690 5,281 100% 整備延長 (m) 四日市地区 霞地区 1,000m 2,000m 3,000 4,000m 合計 6,362 - - 5,281 - - 総延長 11,643m 図 -4 公共岸壁 物揚場の建設年代と整備延長 6

( 海岸保全施設 ) 四日市港管理組合が管理する護岸 胸壁 水門 陸閘等の大部分は 伊勢湾台風後の昭和 40 年頃に整備されており 総延長 21.7km( 民有護岸含む ) の 80% 以上が建設後 50 年以上を経過し老朽化が進んでいます 平成 26 年 6 月の海岸法の改正や国の 海岸保全基本方針 の見直しを踏まえ 耐震 耐津波調査を行ったところ 17.1km( 民有護岸含む ) について対策が必要であることが判明しました また 排水機場についても その多くが昭和 40 年頃に建設されていること から 老朽化が進んでおり 設備の更新時期を迎えています このような中 施設の防護機能を維持するため 点検 修繕 更新等を行うとともに 海岸保全施設の長寿命化計画の策定に取り組んでいるところです (3) 維持管理 修繕 更新等に係る中期的な経費の見込み今後 10 年間 ( 平成 29 年度から平成 38 年度 ) の維持管理 修繕 更新等に係る経費 2 4 について 総務省が提供している更新費用試算ソフト及び個別施 設計画等に基づき試算したところ 1 年あたり平均として約 14.9 億円を要する結果となりました これは 過去 5 年間 ( 平成 24 年度から平成 28 年度 ) の 1 年あたりの平均約 10.9 億円 35 に対し 約 1.4 倍に相当します ( 単位 : 百万円 / 年 ) 1,600 1,400 1,200 約 1.4 倍 1,000 800 600 400 200 1,088 1,494 0 過去 5 年間の平均今後 10 年間の平均 ( 見込み ) 図 -5 今後の想定される維持管理 修繕 更新費 ( 事業費 ) 4 当行動計画の策定時点で 把握している範囲に限る 具体的には 総務省が提供している更新費用試算ソフトにおいて試算可能な施設に係る経費 ( 対象施設 : 臨港交通施設 ( 道路 ) 庁舎等 ) 並びに個別施設計画等を策定済みで 中長期コストを試算している施設に係る経費 ( 対象施設 : 水域施設 外郭施設 係留施設 ( 岸壁 物揚場 ) 臨港交通施設 ( 橋梁 ) 荷さばき施設 ( 上屋等 ) 及び海岸保全施設 ) 5 当経費の対象施設は 今後 10 年間の維持管理 修繕 更新等に係る経費 の対象施設 と同じ 7

4 施設の総合的かつ計画的な管理に関する基本的な方針 3 施設等の現状及び今後の見通し を踏まえ 適切な施設管理と持続可能な財政運営の双方を達成できるよう 以下の基本的な考え方や各施設の実施方針等に基づき 施設の総合的かつ計画的な管理を行います (1) 基本的な考え方 1 施設の長寿命化による財政負担の軽減 平準化 四日市港管理組合が所有 管理する施設は 今後 10 年間でさらに老朽化が進み 安全性の低下や維持管理 更新等にかかる経費の増大が懸念されます 厳しい財政状況下で必要なインフラの機能を維持していくためには 的確に維持管理 更新等を行うことで中長期的なトータルコストの縮減や予算の平準化を図る必要があります そのためには 施設の大規模な修繕や更新をできるだけ回避することが重 要であり 損傷が軽微である早期段階に予防的な修繕等を実施することで機能の保持 回復を図る 予防保全型維持管理 46 により 施設の長寿命化に取り組みます 2 安全 安心の確保 施設は 住民や利用者等の安全 安心を確保したうえで 必要な機能を確実に発揮し続けることが大前提です 利用状況や自然環境等に応じて施設の劣化や損傷は進行が異なり その状態は刻々と変化するため 定期的な点検 診断により施設の状態を正確に把握することが重要です このため 点検 診断の結果に基づき 必要な対策を適切な時期に 着実 かつ効率的 効果的に実施するとともに これらの取組の情報を記録し 次期点検 診断等に活用していきます さらに 南海トラフ地震等により危惧される地震 津波や高潮等による災害から人命 財産を守るため 護岸等の海岸保全施設や上屋等の港湾施設について 劣化対策や耐震対策等に取り組みます 6 予防保全型維持管理 : 施設等の損傷が発生してから措置する対症療法型管理ではなく 定期的な点検等で早期に損傷を発見し 事故や大規模補修等に至る前の軽微な段階で補修するなど 長く使用することを目的とした管理手法 対になる管理手法は 事後保全型維持管理 8

3 施設の適切な配置と規模 今後 グローバル化や地球温暖化の進展等の社会経済情勢の変化に伴い インフラに求められる役割や機能も変化していくものと考えられます このため 施設の更新等にあたっては 施設の役割や機能 将来の利用需要を十分検討し 社会経済情勢の変化に応じた機能向上や機能転換 他の施設との集約化を図るなど 最適な配置 規模となるよう取り組みます (2) 港湾施設等の管理に関する実施方針 1 点検 診断等の実施方針 港湾施設については 国の港湾の施設の技術上の基準を定める省令及び告示 港湾の施設の点検診断ガイドライン に基づき 5 年に 1 回 ( 損壊し た場合に 人命 財産又は社会経済活動に重大に影響を及ぼすおそれのある施設については 3 年に 1 回 ) 近接目視による定期点検を実施し 健全度を診断するとともに 日常的に巡視 点検を実施します 庁舎等については 施設管理者又は専門業者による日常 定期点検を実施します また 修繕などの対策を適切な時期に 的確に実施できるよう 点検 診 断 修繕の履歴を蓄積し 次期点検 診断 修繕に活用していきます 2 維持管理 修繕 更新等の実施方針 損傷が明らかになってから修繕を行う従来型の 事後保全型維持管理 か ら 修繕等を計画的に行う 予防保全型維持管理 に転換し 施設の健全な状態を維持しながら長寿命化を図り ライフサイクルコストの縮減を目指します 個別施設計画 ( 維持管理計画 予防保全計画等 ) に基づき 計画的な修繕 更新等を実施します なお 機能維持のための早期対策が必要と判断される劣化や損傷等が確認 された施設については 応急対策を実施します 施設の更新等にあたっては 施設が果たしている役割や機能を再確認したうえで 将来の利用需要を見据えて 社会経済情勢の変化に応じた機能向上や機能転換 他の施設との集約化等について十分検討するとともに 維持管理しやすい構造とすることを検討します また 環境負荷の低減や省エネルギーにも取り組みます 9

3 安全確保の実施方針 点検 診断等で劣化 損傷等が認められた施設については すみやかに修繕 改修を検討します また 危険性が認められた施設や 老朽化し 今後とも利用見込のない施設については 施設の撤去等を行います 施設の撤去等に時間を要する場合にあっては 防護柵の設置等立入禁止措置を講じ 利用者及び第三者の安全の確保に十分な配慮を行います 4 耐震化の実施方針 上屋等については 上屋等改修基本計画 に基づき耐震改修を実施します また 係留施設等の更新にあたっては 現行基準の耐震性能を有することとします 5 長寿命化の実施方針 施設の利用上の重要性や劣化度から 四日市港全体の港湾施設の維持管理優先順位を定めたうえで 施設特性と安全性 経済性等を踏まえ 経年によ る機能 性能の劣化が軽微である早期段階に予防的な修繕等の実施による機能回復や 耐震性能及び省エネルギー化などの社会的要求水準の向上に合わ せた機能向上に取り組みます 6 統合や廃止の推進方針 老朽化や陳腐化等により利用度が低下した港湾施設については 利用者との調整を行い 事故防止や費用対効果の観点から 使用制限や使用停止等の措置を講じます また 将来の利用需要を見据え 四日市港港湾計画等に基づき 施設の機能転換 集約化など適切な施設配置を進めます (3) 海岸保全施設の管理に関する実施方針 1 点検 診断等の実施方針 国の 海岸保全施設維持管理マニュアル に基づき 巡視 点検を実施し 健全度を診断します また 修繕などの対策を適切な時期に 的確に実施で きるよう 点検 診断 修繕の履歴を蓄積し 次期点検 診断 修繕に活用していきます 10

2 維持管理 修繕 更新等の実施方針損傷が明らかになってから修繕を行う従来型の 事後保全型維持管理 から 修繕等を計画的に行う 予防保全型維持管理 に転換し 施設の健全な 状態を維持しながら長寿命化を図り ライフサイクルコストの縮減を目指します 個別施設計画 ( 長寿命化計画 ) を策定し 計画に基づき 修繕 更新等を行います なお 機能維持のための早期対策が必要と判断される劣化や損傷等が確認さ れた施設については 応急対策を実施します 施設設備については 設備の特性や重要度を考慮し 機能水準や耐用年数などの総合的な評価を行い 更新について見極めることとします 3 安全確保の実施方針 点検 診断等により背後地住民等に被害が発生すると判断された場合には 緊急的な修繕を実施します 4 耐震化の実施方針 四日市港管理組合が所管する海岸保全施設のうち 17.1km について耐震 耐津波対策が必要であることから 国の支援制度等も活用しながら 現行基準の耐震性能に対応するよう順次整備を進めます 5 長寿命化の実施方針施設の適正供用が図れるよう 海岸保全施設を対象に策定する 長寿命化計画 に基づき 点検 診断を定期的に実施するとともに 巡視を行い その結果を踏まえた修繕等の予防保全型維持管理を実施し 施設の長寿命化に取り組みます 6 統合や廃止の推進方針利用頻度の低い防潮扉について 利用者との調整を行い 常時閉鎖化 壁化を進めます 11

(4) 計画の進め方 1 総合的かつ計画的な管理を実現するための体制の構築方針国土交通省や三重県等で開催される研修や説明会に参加し 職員の技術力 向上を図ります また 国と港湾管理者で課題の状況を継続的に把握 共有し 効果的な老朽化対策を推進します 施設の管理を外部に委託する場合においても この基本方針を踏まえた維持管理を行うものとします 2 フォローアップの実施方針 個別施設計画に基づく点検 診断等の実施 維持管理 更新等のコストや利用状況の分析などを踏まえ 適宜 計画の必要な見直しを行います 12