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設備小委 16-4 新潟県中越沖地震に対する東京電力株式会社柏崎刈羽 原子力発電所 6 号機の建物 構築物の健全性評価に係る報告書 平成 21 年 2 月 原子力安全 保安院

目 次 Ⅰ. はじめに 3 Ⅱ. 主な経緯 5 Ⅲ. 建物 構築物に対する保安院の見解 6 Ⅳ. 建物 構築物に対する保安院の評価の進め方 8 Ⅴ. 点検 評価計画書に関する保安院の評価 10 1. 点検 評価の対象となる建物 構築物 10 2. 点検 評価の手法 10 1) 点検 評価に関する基本的考え方 10 2) 点検方法 11 3) 地震応答解析手法 12 4) 点検 評価の体制 13 Ⅵ. 建物 構築物の健全性に関する保安院の評価 14 1. 原子炉建屋の健全性評価 14 1) 原子炉建屋の点検結果 14 (1) 原子炉建屋の耐震性能に係る点検結果 14 (2) 原子炉建屋の遮へい性能に係る点検結果 18 (3) 原子炉建屋の耐漏えい性能に係る点検結果 20 2) 原子炉建屋の地震応答解析結果 21 (1) 地震応答解析手法 21 (2) 地震応答解析結果 22 3) 原子炉建屋の健全性の総合評価 24 2. タービン建屋の健全性評価 24 1) タービン建屋の点検結果 24 (1) タービン建屋の耐震性能に係る点検結果 24 (2) タービン建屋の遮へい性能に係る点検結果 27 (3) タービン建屋の耐漏えい性能に係る点検結果 28 2) タービン建屋の地震応答解析結果 29 (1) 地震応答解析手法 29 1

(2) 地震応答解析結果 30 3) タービン建屋の健全性の総合評価 30 3. 排気筒の健全性評価 31 1) 排気筒の点検結果 31 2) 排気筒の地震応答解析結果 32 (1) 地震応答解析手法 32 (2) 地震応答解析結果 33 3) 排気筒の健全性の総合評価 33 4. 非常用取水路の健全性評価 34 1) 非常用取水路の点検結果 34 2) 非常用取水路の地震応答解析結果 35 (1) 地震応答解析手法 35 (2) 地震応答解析結果 36 3) 非常用取水路の健全性の総合評価 37 5. 点検 評価体制に関する保安院の評価 37 Ⅶ. まとめ 39 2

Ⅰ. はじめに 平成 19 年 7 月 16 日 平成 19 年 (2007 年 ) 新潟県中越沖地震 ( 以下 中越沖地震 という ) が発生した 当時 東京電力株式会社柏崎刈羽原子力発電所 ( 以下 柏崎刈羽原子力発電所 という ) では 3 号機 4 号機及び7 号機が運転中 2 号機が起動中であったが 運転中及び起動中の原子炉は 地震発生直後に設計どおり自動的に停止した 1 号機 5 号機及び6 号機は定期検査のため停止中であった 一方 各原子炉建屋基礎版上において観測された最大加速度は 基準地震動に基づく原子炉建屋の地震応答解析から求められる基礎版上の最大応答加速度を大きく超えていた このため 原子力安全 保安院 ( 以下 保安院 という ) は 1 中越沖地震による柏崎刈羽原子力発電所設備 ( 建物 構築物 ) の健全性への影響の検討 2 中越沖地震による原子炉建屋基礎版上の最大加速度が設計時に想定された最大加速度を上回った要因 3その要因を踏まえ今後柏崎刈羽原子力発電所において考慮すべき活断層の評価や地震動の想定 4それに基づく安全上重要な設備の耐震安全性評価等の項目について 総合エネルギー調査会原子力安全 保安部会耐震 構造設計小委員会 ( 以下 小委員会 という ) において検討を行うこととした 小委員会での検討に当たっては 1 中越沖地震発生時の原子力事業者による自衛消防体制 情報連絡体制等の在り方 2 中越沖地震から得られる知見を踏まえた耐震安全性評価 3 中越沖地震発生時における柏崎刈羽原子力発電所の原子炉の運営管理の状況と設備の健全性及び今後の対応について審議をするために設けられた総合資源エネルギー調査会原子力安全 保安部会 中越沖地震における原子力施設に関する調査 対策委員会 との連携の下 小委員会の下に設置されている 地震 津波ワーキンググループ 及び 地質 地盤ワーキンググループ による 合同ワーキンググループ 並びに 構造ワーキンググループ ( 以下 構造 WG という ) において検討を行うこととした このうち 中越沖地震による柏崎刈羽原子力発電所の建物 構築物の健全性への影響については構造 WGにおいて検討を行っているところであり 7 号機の建物 構築物の健全性については既に検討を終え平成 20 年 10 月 23 日に保安院において報告書をとりまとめたが 今般 6 号機の建物 構築物の健全性への影響に係る検討が終了した 本報告書は 中越沖地震に対する6 号機の原子炉建屋等の建物 構築物の健全性について 保安院の立入検査や構造 WGの現地調査 ( 以下 立入検査等 という ) の結果 構造 WGの検討結果を踏まえ 保安院の見解を取りまとめたものである 3

なお 中越沖地震に対する6,7 号機以外の各号機の設備 ( 建物 構築物 ) の健全性への影響については引き続き構造 WGにおいて検討を行うとともに 中越沖地震で得られた知見を踏まえ新たに策定された基準地震動 Ssに対する6 号機の安全上重要な設備の耐震安全性については 今後 構造 WGにおいて検討を実施する 4

Ⅱ. 主な経緯中越沖地震発生以降の柏崎刈羽原子力発電所 6 号機の建物 構築物の健全性評価に関する主な経緯については 以下のとおりである 1) 平成 19 年 7 月 16 日 中越沖地震が発生 2) 同日 保安院は 東京電力に対して 1 今回の地震時に取得された地震観測データの分析 2 今回の地震に対する安全上重要な設備の耐震安全性の確認を報告するよう指示 3) 東京電力は 平成 19 年 7 月 30 日に中越沖地震時に取得された地震観測データ 同年 8 月 22 日に中越沖地震の余震に係る地震観測データを保安院に提出 4) 平成 19 年 11 月 9 日 保安院は東京電力に対して 新潟県中越沖地震を受けた柏崎刈羽原子力発電所の設備の健全性に係る点検 評価計画について により発電所内の各設備の詳細な点検 評価を実施するに当たっての考え方を示し 号機ごとに点検 評価計画書を策定し 保安院に提出するよう指示 5) 平成 20 年 5 月 20 日 東京電力は 柏崎刈羽原子力発電所 6 号機新潟県中越沖地震後の設備健全性に係る点検 評価計画書 ( 建物 構築物編 ) を保安院に提出 6) 平成 20 年 6 月 20 日から 保安院は 東京電力による6 号機の原子炉建屋等の建物 構築物の点検状況について 点検 評価計画書どおり実施されているかを確認するため立入検査を開始 6 号機の建物 構築物に関する立入検査は 7 月 8 月 9 月も実施 7) 平成 20 年 6 月 20 日 構造 WGは 柏崎刈羽原子力発電所 6 号機の建物 構築物の状況について専門家 (4 人 ) による現地調査を実施 現地調査は 8 月 (6 人 ) も実施 8) 平成 20 年 12 月 25 日 東京電力は 6 号機の原子炉建屋を含む建物 構築物について点検 評価結果をとりまとめた 柏崎刈羽原子力発電所 6 号機新潟県中越沖地震後の設備健全性に係る点検 評価報告書 ( 建物 構築物編 ) を保安院に提出した 9) 平成 20 年 1 月 4 日 東京電力は 柏崎刈羽原子力発電所 6 号機新潟県中越沖地震後の設備健全性に係る点検 評価報告書 ( 建物 構築物編 )( 改訂 1) を保安院に提出した 10) 平成 21 年 2 月 12 日 保安院は 構造 WGの検討結果等を踏まえ 6 号機の設備 ( 建物 構築物 ) の健全性評価報告に対する保安院としての見解をとりまとめた 5

Ⅲ. 建物 構築物に対する保安院の見解 保安院は 中越沖地震に対する6 号機の建物 構築物の健全性について 構造 WGの検討結果等を踏まえ 以下のとおり 保安院の見解を取りまとめた なお コントロール建屋については 6 号機と7 号機の共用設備になっていることから 7 号機の耐震安全性評価に係る報告書 東京電力株式会社柏崎刈羽原子力発電所敷地 敷地周辺の地質 地質構造 基準地震動 Ss 及び地震随伴事象の評価並びに基準地震動 Ss に対する 7 号機の耐震安全性の評価に係る報告書別添 3 中越沖地震に対する 7 号機コントロール建屋の健全性評価に係る保安院の見解 において 中越沖地震に対して健全性を確保していることを確認している 1. 原子炉建屋原子炉建屋の健全性について 立入検査等の結果 地震応答解析結果等から総合的に検討を行った 立入検査等の結果 原子炉建屋には構造上問題となるひび割れは認められず 耐震性能等の要求性能を損なう損傷部位は認められなかった 地震応答解析の結果 耐震壁や鉄筋コンクリート製格納容器 ( 以下 RCCV という) の各階のせん断ひずみはひび割れが発生するせん断ひずみの目安値 (0.25 10-3 ) を下回るとともに せん断応力度は設計配筋量のみで負担できる短期せん断応力度及びコンクリートのみで負担できる短期せん断応力度のいずれに対しても下回ること 屋根トラスの発生応力度と短期許容応力度の比較結果は評価基準値を満足することから 原子炉建屋は中越沖地震に対して概ね弾性範囲であったことを確認した また 点検方法や地震応答解析手法についても問題ないことを確認した 立入検査等の結果と地震応答解析の検討結果を照合し総合的に検討した結果 原子炉建屋は健全性を確保していると判断した 2. タービン建屋タービン建屋については 耐震重要度分類ではBクラスに属するが 同建屋内に設置されているSクラスの非常用補機冷却系に対して波及的影響を及ぼさないよう地震時の耐震性能の維持が要求される耐震壁 ( 以下 機能維持部位 という ) を含め その健全性を立入検査等の結果 地震応答解析の結果等から総合的に検討した 立入検査等の結果 タービン建屋には構造上問題となるひび割れは認められず 耐震性能等の要求性能を損なう損傷は認められなかった 地震応答解析の結果 機能維持部位のせん断ひずみはひび割れが発生するせん断ひずみ目安値 (0.25 10-3 ) を下回るとともに せん断応力度は設計配筋量のみで負担できる短期せん断応力度及びコンクリートのみで負担できる短期せん断応力度のいずれに対しても下回ることから 機能維持部位は中越沖地震に対して概ね弾性範囲であったことを確認した また 点検方法や地震応答解析手法等についても問題ないことを確認した 6

立入検査等の結果と地震応答解析の検討結果を照合し総合的に検討した結果 タービン建屋は健全性を確保していると判断した 3. 排気筒排気筒は Sクラスの非常用ガス処理系用排気筒 Cクラスの換気空調系用排気筒 鉄塔部等から構成されているが これらを含めた排気筒の健全性について立入検査等の結果 地震応答解析結果等から総合的に検討した 立入検査等の結果 非常用ガス処理系用排気筒 換気空調系用排気筒及び鉄塔には顕著な損傷は認められなかった なお 換気空調系用排気筒の第一支持点において筒身を鉄塔で支持させるためにその間を繋ぐ部材 ( 以下 つなぎ材 という ) に座屈変形が確認されたが つなぎ材の筒身を支持させる引張り部材としての要求機能が損なわれるものではないと判断された このつなぎ材については耐力の大きいつなぎ材に取り替えられることを確認した 地震応答解析等の結果 非常用ガス処理系用排気筒 これを支持する換気空調系用排気筒 鉄塔部及び基礎部については 当該部位に発生する応力度と短期許容応力度を比較した結果 これらは中越沖地震に対して弾性範囲であったことを確認した また 点検方法や地震応答解析手法等についても問題ないことを確認した 立入検査等の結果と地震応答解析の検討結果を照合し総合的に検討した結果 排気筒の健全性は確保されるものと判断した 4. 非常用取水路非常用取水路の取水機能の健全性について立入検査等の結果 地震応答解析の結果等から総合的に検討した 立入検査等の結果 非常用取水路には軽微なひび割れが認められたが取水機能に影響を与えるようなものではなく顕著な損傷は認められなかった 地震応答解析の結果 スクリーン室 取水路 補機冷却用海水取水路 ( 南側及び北側 ) の最大層間変形角は限界層間変形角を下回り 構造物の各部位に作用するせん断力はせん断耐力を下回ることから 非常用取水路は中越沖地震に対して取水機能を損なうことはなかったことを確認した また 構造 WGにおける検討の結果 点検方法や地震応答解析手法についても問題ないことを確認した 立入検査等の結果と地震応答解析の検討結果を照合し総合的に検討した結果 非常用取水路は取水機能の健全性を確保していると判断した 以上のことから 6 号機の建物 構築物については健全性が確保されていると判断した 7

Ⅳ. 建物 構築物に対する保安院の評価の進め方 保安院は 中越沖地震後の柏崎刈羽原子力発電所の建物 構築物等の健全性の評価に当たっては 建物 構築物等の点検結果と地震応答解析結果を照合し 総合的に評価を行うこととした このため 保安院は 平成 19 年 11 月 9 日 新潟県中越沖地震を受けた柏崎刈羽原子力発電所の設備の健全性に係る点検 評価計画について により 東京電力の柏崎刈羽原子力発電所の各号機の設備の健全性に係る点検と地震応答解析による評価が適切に実施されるよう 点検 評価の対象 点検手法 地震応答解析手法 点検 評価の体制等の考え方を示し これに基づき 1 号機から 7 号機の各号機ごとに点検 評価計画書を作成し 保安院に提出するよう東京電力に対して指示を行った 保安院の主な指示内容は以下のとおりである 1 点検 評価の対象 工事計画本文に記載のあるすべての設備を対象とすること 工事計画本文に記載がない場合でも 耐震評価にあたって考慮している支持構造物等は対象とすること 2 評価手法 耐震安全上重要な建物 構築物については 点検に加え 地震応答解析による評価を実施し 両者の結果を踏まえて健全性を評価すること その他の設備については 点検の結果等により健全性を評価すること 3 点検手法 各設備の種類 設置方法等から地震時に想定される損傷の形態を分析し 点検手法に反映させること 解析によって裕度が比較的少ない結果が出た場合は 仮に外観上特に異常が認められない場合であっても その想定される損傷の形態に照らして適切な非破壊試験 材料 寸法試験等の追加的な点検を実施すること 4 解析手法 各設備の種類 設置方法等から地震時に想定される損傷の形態を分析し 解析手法に反映させること 地震応答解析に当たっては 今回の中越沖地震で観測された地震動を踏まえ 各設備に作用したと想定される地震動を求め それを用いて解析すること 5 点検 評価の体制等 点検の実施者については 適切な力量を持った者を選任すること 点検 評価の実施に当たっては 客観性 透明性の確保に留意すること 点検結果については記録を作成するとともに 適切に保存管理すること 8

これを受け 東京電力は 平成 20 年 5 月 20 日 柏崎刈羽原子力発電所 6 号機の点検 評価計画書 ( 建物 構築物編 ) を保安院に提出した ( 以下 これらを 点検 評価計画書 という ) 東京電力は 平成 20 年 12 月 25 日 原子炉建屋を含む建物 構築物の点検 評価結果を取りまとめた報告書 柏崎刈羽原子力発電所 6 号機新潟県中越沖地震後の設備健全性に係る点検 評価報告書 ( 建物 構築物編 ) を保安院に提出した( 以下 これらを 点検 評価報告書 という ) 保安院では 構造 WGを開催し 東京電力の点検 評価計画書が保安院の指示内容に沿ったものとなっているかどうか確認を行った 点検 評価報告書については 立入検査等により建物 構築物の損傷状況を直接把握するとともに 東京電力による点検が点検 評価計画書のとおり実施されているかどうか検討した また 地震応答解析モデルの妥当性や解析結果の評価内容の妥当性について 構造 WGの専門家の意見を聴きつつ 検討を行った 保安院では 立入検査等の結果と地震応答解析結果を照合し 中越沖地震後の柏崎刈羽原子力発電所の建物 構築物等の健全性について総合的に評価を行うこととした 立入検査等に当たっては 東京電力による点検の実施状況 点検結果の記録の状況 第三者機関による点検結果の確認状況が点検 評価計画書に従って実施されているかどうか以下の観点から確認を行った 1 原子炉建屋 タービン建屋 排気筒及び非常用取水路について点検が行われているか 2 建物 構築物の構造形式 要求性能ごとに地震時に想定される影響を把握した点検が行われているか 3 東京電力 協力企業及び第三者機関による検査体制及び検査プロセスは適切か 4 点検に当たっては 実施者の力量管理が適切に行われているか 5 目視点検によって健全性が十分確認できない場合は 適宜非破壊試験等が実施されているか 6 点検により確認されたひび割れ等の損傷については 損傷の形態 発生部位 位置 方向等が記録されているか また 損傷の要因及び損傷による健全性への影響の判定 補修の実施について 判定基準に従い適切に評価されているか 7 損傷の点検結果 損傷の要因 損傷の判定結果及びその記録内容が 立入検査等により確認された現場の状況と整合するか 8 第三者機関から東京電力への報告書及び同機関の委員会議事録により 同機関が東京電力の点検方法及び点検結果をどう評価したか 9

Ⅴ. 点検 評価計画に関する保安院の評価 点検 評価計画に対する保安院の検討結果は以下のとおりである 1. 点検 評価の対象となる建物 構築物 点検 評価計画書によると 東京電力は点検 評価の対象とする建物 構築物として 原子炉建屋 タービン建屋 排気筒及び非常用取水路を選定している 構造 WGの検討の結果 原子炉建屋 タービン建屋 排気筒及び非常用取水路は 保安院の点検 評価に係る指示内容に従い 工事計画本文に記載のある建物 構築物 工事計画本文に記載がない場合でも耐震安全上重要な機器の間接支持構造物に該当する建物 構築物として選定されていると認められた これらのことから 保安院は 点検 評価対象として選定された建物 構築物について妥当なものと判断した 2. 点検 評価の手法 1) 点検 評価に関する基本的な考え方 点検 評価計画書によると 東京電力は点検 評価に関する基本的な考え方として 選定された建物 構築物について点検を実施し そのうち 耐震安全上重要な建物 構築物については地震応答解析を行い 点検結果と地震応答解析結果を照合して健全性の総合評価を行うとしている 点検は 各建物 構築物を対象に共通的に実施する目視点検により行い 目視点検で異常が確認された場合は 非破壊試験等の追加点検を行い 必要に応じ補修を実施することを検討するとしている 地震応答解析は 中越沖地震の観測記録をもとに評価を実施するとしている 総合評価は 点検および地震応答解析による評価の結果を踏まえて以下のとおり行うとしている 10

表 -1 総合評価 ( 解析 - 点検 ) 点検による評価 異常なし 異常あり 地震応答解析 の結果に基づ 裕度があ 評価終了 く構造評価 る ( 健全 ) 損傷の原因究明 裕度が比 下記検討を実施 損傷の健全性への影響を評価 較的少な より詳細な追加解析 い モックアップ試験等 構造 WGの検討の結果 点検 評価計画書に示された建物 構築物の点検 評価に関する基本的な考え方は 保安院の点検 評価に係る指示内容を踏まえたものになっていることが認められた これらのことから 保安院は 点検 評価に関する基本的な考え方について妥当なものと判断した 2) 点検方法 点検 評価計画書によると 東京電力は 点検は目視点検により行うこととし 対象とする建物 構築物に要求される性能及び構造形式をもとに 点検すべき部位 コンクリートのひび割れなどの損傷の形態 ひび割れの有無やひび割れ幅など損傷の程度が健全性に与える影響の評価や補修等についての具体的な判定基準を定めた点検方法を作成している また 目視点検によって健全性が十分確認できない場合は 適宜非破壊試験等の実施を検討するとしている 構造 WGの検討の結果 点検 評価計画書に示された建物 構築物の点検方法は 発電用原子力設備に関する技術基準を定める省令 日本非破壊検査協会コンクリート構造物の目視試験方法 日本建築防災協会震災建築物の被災度区分判定基準及び復旧技術指針 土木学会原子力土木委員会原子力発電所屋外重要構造物の耐震性能照査指針 等の法令 学協会規格を踏まえるとともに 保安院の点検 評価に係る指示内容を踏まえたものになっていることを確認した また 構造 WGでは 点検 評価計画書の鉄筋コンクリート構造物の点検方法において 東京電力が健全性に係る影響を詳細に検 11

討する必要があるとした地震によるひび割れの幅の判定基準に関し 当初の点検 評価計画書では米国 EPRI(Electric Power Research Institute) NP-6695(Guidelines for nuclear Plant Response to an Earthquake) の基準値を参考にひび割れ幅 1.5mm としていたが その根拠 妥当性についてさらに検討を求めた その結果 東京電力は ( 財 ) 日本建築防災協会 震災建築物の被災度区分判定基準及び復旧技術指針 を参考にひび割れ幅の判定基準を 1.0mm に見直すこととした 構造 WGにおいて見直されたひび割れ幅について検討した結果 東京電力では地震による 1.0mm 以上のひび割れの場合は詳細検討を行い 1.0mm 未満のひび割れは補修を行うとしているが 同指針ではひび割れ幅が 1.0mm 程度までの場合にはエポキシ樹脂等の注入による補修を行えば従前の耐力をほぼ回復するとされていることから 詳細検討を行うひび割れ幅の判定基準を 1.0mm 以上とすることは妥当と認められた これらのことから 保安院は 点検 評価計画書に示された建物 構築物の点検方法について妥当なものと判断した 3) 地震応答解析手法 点検 評価計画書によると 東京電力は 耐震安全上重要な原子炉建屋 排気筒 タービン建屋の機能維持部位及び非常用取水路については 地震応答解析による構造評価を行い その結果と点検結果を踏まえた健全性の総合評価を行うとしている 原子炉建屋については 中越沖地震時に原子炉建屋の基礎版上で得られた観測記録をもとに 観測記録が得られている地上 2 階の観測結果と解析結果が整合するよう 設計時に用いた解析モデルの解析諸元をもとに構築し直した解析モデルを用いて地震応答解析を行うとしている 屋根トラスについては 燃料取扱床 ( 東京湾平均海面 ( 以下 T.M.S.L という )31.7m) より上部の構造部材で構成されることから 屋根トラスの地震応答解析モデルに原子炉建屋の燃料取扱床レベルの応答波形を入力し 地震応答解析を行うとしている 排気筒については 排気筒が原子炉建屋の屋上階(T.M.S.L.38.2m) に設置されていることから 排気筒の地震応答解析モデルに原子炉建屋の屋上階の応答波形を入力し 地震応答解析を行うとしている タービン建屋については 観測記録が得られていないため中越沖地震時に原子炉建屋の基礎版上で得られた観測記録に基づく入力地震動を用いて 原子炉建屋と同様に構築し直した解析モデル用いて地震応答解析を行うとしている 非常用取水路については 非常用取水路と地盤を連成させた解析モデルを作成し 原子炉建屋の基礎版上の観測記録をもとに算定された解析モデル下端における地震動を入力として地震応答解析を行うとしている 12

構造 WGの検討の結果 点検 評価計画書に示された地震応答解析を行う建物 構築物は 耐震安全上重要な建物 構築物が選定されており その解析手法は 保安院の点検 評価に係る指示内容を踏まえたものになっていることを確認した また 構造 WG では 審議の過程で 非常用取水路の地震応答解析のように 当該設備で直接 地震観測記録が得られておらず 原子炉建屋の基礎版の観測記録から当該設備の地震応答解析モデルの入力地震動を間接的に求める場合は その妥当性について確認することを求めた その結果 東京電力からタービン建屋 および非常用取水路の入力地震動の妥当性の確認方法として 中越沖地震による敷地内の解放基盤表面における地震動を用いた評価を行う方針であることが示された これらのことから 保安院は 点検 評価計画書に示された地震応答解析手法について妥当なものと判断した 4) 点検 評価の体制 点検 評価計画書によると 東京電力は 適切な力量を有するものが点検 評価を実施することとし 目視点検の実施者については JIS 規定の非破壊試験員に要求される近方視力を有するとともに業務経験年数等から適切な力量を有するものを配置し 必要に応じ設計者の意見を求めることが可能な体制とするとしている また 東京電力による建物 構築物の点検の計画及び点検 評価の客観性及び透明性を確保するために 第三者機関 ( 建築研究振興協会及び土木学会 ) の確認を受けるとしている 点検 評価の実施記録 評価の結果等については記録し 当該記録は原子炉施設を解体または廃棄した後 5 年が経過するまで保存するとしている 構造 WGの検討の結果 点検 評価計画書に示された建物 構築物の点検 評価の体制は保安院の指示内容を踏まえているものと認められた これらのことから 保安院は 点検 評価体制について妥当なものと判断した 13

Ⅵ. 建物 構築物の健全性に関する保安院の評価 建物 構築物の健全性に対する保安院の評価は以下のとおりである 1. 原子炉建屋の健全性評価 1) 原子炉建屋の点検結果 東京電力は原子炉建屋について 耐震性能 遮へい性能及び耐漏えい性能のそれぞれの観点から各部位について点検を実施している 東京電力による点検結果及び構造 WGの検討結果は次のとおりである (1) 原子炉建屋の耐震性能に係る点検結果 1 耐震壁等の鉄筋コンクリート構造部 ( 鉄骨鉄筋コンクリート構造部を含む ) 東京電力の点検 評価報告書によると 耐震壁 RCCV 及び新たに地震応答解析に考慮した補助壁 ( 以下 補助壁 という ) について 剥離 剥落及びひび割れの点検を行ったとしている ひび割れのうち 中越沖地震によって発生したことが否定できないひび割れについては 地震時水平力により生じる斜めひび割れ 地震時の繰返し荷重により X 型に生じるひび割れ 乾燥収縮 柱 梁等による拘束 コンクリートの打継等の地震以外の要因によると分類できないひび割れ 中越沖地震前の調査で記録されているひび割れのうち地震後進展のあったひび割れを 地震によって発生したことが否定できないひび割れとして認定している 点検 評価報告書によると 目視点検の結果 耐震壁 鉄筋コンクリート製格納容器 ( 以下 RCCV という ) 及び補助壁には剥離 剥落は生じていないが 中越沖地震によって発生したことが否定できないひび割れを確認したとしている これらの地震によって発生したことが否定できないひび割れの幅については 詳細検討を必要とするひび割れ幅の評価基準値 (1.0mm) を下回っているとしている また 耐震壁 RCCV 及び補助壁において 点検により確認された中越沖地震によって発生したことが否定できないひび割れについては適切な補修を行うとしている 原子炉建屋の柱 梁などのその他の構造部位において点検を行った結果 地震による影響がないことを確認したとしている なお 乾燥収縮等によるその他のひび割れについてもその幅が 0.3mm 以上のものは社内マニュアルにより管理 補修を行うとしている これらの点検の結果 原子炉建屋の耐震壁 補助壁 RCCV 等の鉄筋コンクリート 14

部には耐震性能を損なうような損傷はないとしている 原子炉建屋の各階の耐震壁 RCCV 及び補助壁において確認された中越沖地震で発生したことが否定できないひび割れの状況をそれぞれ表 -2 及び表 -3に示す 15

表 -2 6 号機原子炉建屋の耐震壁及び RCCV のひび割れ状況 階 場所 厚さ (mm) ひび割れ幅 (mm) 長さ (m) ひび割れ幅の評価 基準値 (mm) B3F RCCV 220 2,000 0.1 2.0 R7-RF~G 1,200 0.3 0.7 1F R7-RF~G 1,200 0.35 0.6 R7-RF~G 1,200 0.25 0.5 R2-RF~G 500 0.1 1.8 3F R2-RF~G 500 0.2 1.5 R2-RF~G 500 0.2 2.5 R2-RF~G 500 0.2 1.2 M3F R6-RD~E 500 0.1 1.6 R1-RA~B 400 0.15 1.5 R1-RA~B 400 0.1 1.9 1.0 R1-RA~B 400 0.2 1.5 R1-RA~B 400 0.1 1.3 R2-RA~B 500 0.2 2.5 R2-RA~B 500 0.2 1.2 R6-RF~G 500 0.2 4.0 4F R6-RF~G 500 0.1 1.2 R6-RF~G 500 0.1 2.0 R6-RF~G 500 0.2 4.5 R6-RF~G 500 0.1 2.0 R6-RF~G 500 0.1 2.0 R6-RF~G 500 0.1 1.8 R6-RF~G 500 0.1 2.0 R7-RF~G 400 0.2 2.6 16

表 -3 6 号機原子炉建屋の補助壁のひび割れ状況 階 場所 厚さ (mm) ひび割れ幅 *1 (mm) 長さ *1 (m) 本数 ひび割れ幅の評価 基準値 (mm) B3F R6~7-RB~C 600 0.2 1.3 7 B2F R5-RA~B 500 0.1 1.9 4 B1F R6~7-RD~E 300 0.25 1.6 22 1F R6-RF~G 600 0.15 3.1 4 1.0 2F R1~2-RC~D 300 0.1 1.7 1 3F R5~6-RF~G 300 0.2 2.8 14 *1) ひび割れ幅及び長さは各階における最大ひび割れ幅を有するひび割れについて記載 構造 WGでは 立入検査等の結果を踏まえ 東京電力による点検結果について検討を行った その結果 東京電力による原子炉建屋の耐震壁 RCCV 及び補助壁の剥離 剥落の有無やひび割れの点検は 点検 評価計画書の点検方法に従って行われていること 点検結果の記録についても 点検 評価計画書に従い 地震により発生したことが否定できないひび割れについてはひび割れ幅に関係なくひび割れの状況が記録されていること 乾燥収縮など地震以外の要因によるひび割れについてはひび割れ幅 0.3mm 以上のひび割れの状況が記録されていること ひび割れの状況についてはひび割れの発生部位 位置 方向 ひび割れ幅 長さが記録されていることを管理図面などの記録等から確認するとともに 立入検査等により現場でみられたひび割れの状況は記録の内容と整合していることを確認した また 立入検査等の際 現場確認において耐震壁 RCCV 及び補助壁には地震により発生したことが否定できないひび割れが認められたが いずれのひび割れも詳細検討を要するひび割れ幅の評価基準値 (1.0mm) を下回っていること 東京電力では耐震壁 RCCV 及び補助壁において確認された地震により発生したことが否定できないひび割れについては補修を行うとしていることから 耐震性能上問題となるものではないことを確認した これらのことから 保安院は 耐震壁 RCCV 及び補助壁には中越沖地震により耐震性能を損なうような損傷は生じていないと判断した 17

2 屋根トラス 東京電力の点検 評価報告書によると 屋根トラスの部材の変形 溶接接合部のきれつ ボルト接合部のボルト破断等について目視による点検を行ったが 屋根トラスには変形等の損傷はみられず 中越沖地震による影響はないとしている 屋根トラスの点検による確認状況を表 -4に示す 表 -4 6 号機原子炉建屋の屋根トラスの点検状況 対 象 項 目 発生の有無 部 材 変形 座屈 破断 なし 溶接接合部 きれつ 破断 なし ボルト接合部 ボルト破断 緩み なし 立入検査等の結果 現場で確認した範囲においては 屋根トラスには顕著な変形 座屈 破断 きれつ等がみられないことを確認した これらのことから 保安院は 屋根トラスには中越沖地震による損傷は生じていないと判断した (2) 原子炉建屋の遮へい性能に係る点検結果 東京電力の点検 評価報告書によると 目視点検の結果 遮へい壁には 剥離 剥落は生じていないが 地震によって発生したことを否定できないひび割れを確認したとしている 確認したひび割れの幅は詳細検討を必要とする評価基準値 (1.0mm) 以下であるとしている また 今回の地震によって発生したことが否定できないひび割れについては 適切な補修を行うとしている 乾燥収縮等によるその他のひび割れについてもその幅が 0.3mm 以上のものは社内マニュアルにより管理 補修を行うとしている これらの点検の結果 遮へい壁には 遮へい性能を損なうような損傷はないとしている 各階の遮へい壁の壁厚ごとのひび割れの状況を表 -5に示す 18

表 -5 6 号機原子炉建屋の遮へい壁のひび割れ状況 階 場所 厚さ (mm) ひび割れ幅 *1 (mm) 長さ *1 (m) ひび割れ幅の評価 基準値 (mm) B3F R6~7-RB~C 600 0.2 1.3 RCCV 220 2,000 0.1 2.0 B2F R5~6-RC 700 0.1 1.5 B1F 1F R6~7-RA~B 350 0.2 2.0 R6~7-RD~E 300 0.25 1.6 R1~2-RC 400 0.3 1.2 R2~3-RD 650 0.15 1.0 0.7 *2 1.0 3F R2~3-RF~G 250 0.15 2.5 4F R6-RF~G 500 0.2 4.5 *1) ひび割れ幅及び長さは各階における最大ひび割れ幅を有するひび割れについて記載 *2) 近接した範囲にひび割れが数本発生している場合の 範囲の幅, 高さ を示す 構造 WGでは 立入検査等の結果を踏まえ 東京電力による点検結果について検討を行った その結果 遮へい壁の剥離 剥落の有無やひび割れの点検については点検 評価計画書の点検方法に従って行われていること 点検結果の記録についても点検 評価計画書に従い 耐震壁などと同様にひび割れの発生部位 位置 方向 ひび割れ幅及び長さが記録されていることを管理図面などの記録等から確認するとともに 立入検査等により現場でみられたひび割れの状況は記録の内容と整合していることを確認した また 立入検査等の際 現場確認において遮へい壁には地震よって発生したことが否定できないひび割れが認められたが いずれのひび割れも詳細検討を要するひび割れ幅の評価基準値 (1.0mm) を下回っていること 東京電力では遮へい壁において確認された地震によって発生したことが否定できないひび割れについては補修を行うとしていることから 遮へい性能上問題となるものではないことを確認した これらのことから 保安院は 遮へい壁には中越沖地震により遮へい性能を損なうような損傷は生じていないと判断した 19

(3) 原子炉建屋の耐漏えい性能に係る点検結果 東京電力の点検 評価報告書によると 目視点検の結果 原子炉建屋において液体状の放射性物質の漏えい拡大を防止するために設置されている堰等には 中越沖地震による剥離 剥落は生じていないが 軽微なひび割れを確認したとしている 堰等において確認したひび割れについてはその幅に関らず補修するとしている これらのことから 堰等の耐漏えい性能が損なわれることはないとしている 堰等におけるひび割れ状況を表 -6に示す 表 -6 6 号機原子炉建屋の堰等のひび割れ状況 階場所部位 ひび割れ幅 (mm) 長さ (m) 本数 R1~2-RB~C 床 0.1 0.9 1 R1~2-RD~E 床 0.1 2.1 2 R1~2-RE~F 床 0.1 1.6 1 R2-RC~D 床 0.1 1.1 1 R2~3-RA~B 床 0.1 1.5 1 R2~3-RB~C 床 0.1 0.9 1 R2~3-RD~E 床 0.1 2.6 1 R3~4-RA~B 床 0.1 0.5 1 R3~4-RA~B 床 0.1 1.0 1 R3~4-RE~F 床 0.1 1.2 0.7 2 - B3F R3~4-RF~G 床 0.1 0.8 1 R3~4-RF~G 床 0.1 1.8(0.5) 1 2 R3~4-RF~G 床 0.1 0.4 2 R3~5-RA~B 床 0.1 13.7(13.2) 1 1 R3~5-RE~F 床 0.1 0.4 2 R4~5-RA~B 床 0.1 1.1 2 R4~5-RE~F 床 0.1 0.6 1.0 2 - R4~5-RF~G 床 0.1 1.7 1 R4~5-RF~G 床 0.1 1.6(0.6) 1 2 R4~5-RF~G 床 0.1 0.6 2 R5~6-RA~B 床 0.1 1.4 1 R5~6-RD~E 床 0.1 0.5 1 20

R5~6-RE~F 床 0.1 1.3 1 R5~6-RF~G 床 0.1 0.9 1 R5~6-RF~G 床 0.1 0.4 0.5 2 - R6-RB~C 床 0.1 1.2 1 B3F R6~7-RA 壁 0.1 0.2 1 R6~7-RA~B 床 0.1 1.6 3.8 2 - R6~7-RA~C 床 0.1 1.2 7 R6~7-RB~C 床 0.1 1.7 1 R6~7-RF~G 床 0.1 0.7 2 R6~7-RF~G 床 0.1 0.6 1 1: 今回の地震により変動した可能性のあるひび割れを示す [( ) は記録がある地震前の値 ] 2: 近接した範囲に微小なひび割れが数本発生している場合の 範囲の幅, 長さ を示す 構造 WGでは 立入検査等の結果を踏まえ 東京電力による点検結果について検討を行った その結果 原子炉建屋内に設置されている堰等のひび割れの点検及びその記録については点検 評価計画書に従って行われていることを管理図面などの記録から確認するとともに 立入検査等による現場でみられたひび割れの状況は記録の内容と整合していることを確認した また 立入検査等の際 現場確認において堰等にはひび割れが認められたが 東京電力では堰等において確認されたひび割れについては補修を行うとしていることを確認した これらのことから 保安院は 堰等は中越沖地震後においても耐漏えい性能が損なわれることはないと判断した 2) 原子炉建屋の地震応答解析結果 (1) 地震応答解析手法 東京電力の点検 評価報告書によると 原子炉建屋の健全性評価を行うため 中越沖地震時に基礎版上で観測された記録を用いて弾性地震応答解析を行っている 地震応答解析は 耐震壁と RCCV のそれぞれに新たに補助壁を耐震要素として加え これらを集中質点系とし 建屋と地盤を連成させた解析モデルを用いて実施している 中越沖地震に対する原子炉建屋の水平方向の解析モデルについては 中間階の水平方向の観測記録と解析結果が概ね整合するように 設計時の解析モデルを共通の考え 21

方に基づき修正した解析モデルを構築している 具体的には 1 設計時にはコンクリートの設計基準強度をもとに算定していた鉄筋コンクリート部の剛性をコンクリートの実際の平均的な強度をもとに見直したこと 2 設計時には耐震要素として考慮していない補助壁についても その厚さや配置を踏まえ耐震要素として考慮したこと 3 設計時には建物と地盤の相互作用を反映するため Novak の水平ばねを考慮していたが 新たに回転ばねも考慮したこと 4ただし 設計時に地盤ばねとして考慮していた地盤表層部については 今回地震時の表層地盤の変状を踏まえ地盤ばねの考慮はしないことの修正を行い 水平方向の解析モデルを構築している 中越沖地震に対する鉛直方向の解析モデルは 水平方向の解析モデルの解析諸元をもとに構築したとしている また 東京電力は 上述の解析モデル ( 以下本章では 修正モデル という ) に加えて 床の柔性を考慮した多軸モデル ( 以下 多軸モデル という ) による水平方向の地震応答解析を行い 原子炉建屋の健全性を評価するとしている 構造 WGでは修正モデルの妥当性について検討を行った その結果 修正モデルについては 中越沖地震時の原子炉建屋の応答を再現するために実際的な建屋の剛性や地盤ばね 耐震要素として有効な補助壁を考慮して設計時の解析モデルが修正されていること 修正モデルによる中間階の最大加速度及び床応答スペクトルの解析結果は観測記録と概ね整合することから妥当なものと認められた また 床の柔性を考慮した多軸モデルによる水平方向の地震応答解析を追加実施することについては 中越沖地震時の各号機の原子炉建屋のシミュレーション解析結果を踏まえたものであり妥当なものと認められた これらのことから 保安院は 東京電力が6 号機の原子炉建屋の健全性評価に当たって 修正モデルを用いるとともに多軸モデルによる水平方向の評価も行うとしていることについては妥当なものと判断した (2) 地震応答解析結果 東京電力の点検 評価報告書によると 原子炉建屋の健全性については 原子炉建屋基礎版上の観測記録をもとに修正モデル及び多軸モデルを用いて弾性地震応答解析を行い 各階の耐震壁及び RCCV に生じるせん断応力度と設計配筋量のみで負担できる地震時の短期せん断応力度及びコンクリートのみで負担できる地震時の短期せん断応力度との比較 各階の耐震壁及び RCCV に生じるせん断ひずみと壁にひび割れが発生するせん断ひずみの目安値 (0.25 10-3 ) を比較することにより評価を実施している なお 設計配筋量のみで負担できる地震時の短期せん断応力度は鉄筋の降伏強度 コンクリートのみで負担できる地震時の短期せん断応力度はコンクリートの実 22

際の平均的な強度をもとに設定している なお 原子炉建屋の地震応答解析の結果 各階の耐震壁及び RCCV のせん断応力度が 設計配筋量のみによって負担できる短期せん断応力度に対して20% 以上の余裕がない場合は詳細な構造解析により個々の構造部材の応力度の評価を行い さらにその裕度が比較的少ない場合は 追加点検を含め詳細な検討を行うとしている 屋根トラスの健全性については 燃料取扱床のレベルより上部の鉄筋コンクリート造の柱 鉄骨造の屋根トラス等を立体的にモデル化した立体架構モデルを用い 原子炉建屋の水平方向及び鉛直方向の地震応答解析結果から得られる燃料取扱床のレベルの応答波形をもとに屋根トラスの地震応答解析を行い 各部材に発生する応力と 座屈の影響も考慮した短期許容応力度と比較し 建築学会の鋼構造設計規準による評価基準値以下であることにより評価を実施している 構造 WGの検討の結果 設計配筋量のみで負担できる短期せん断応力度やコンクリートのみ負担できる短期せん断応力度 トラス部材の短期許容応力度を用いた健全性の評価手法は 日本建築学会の鉄筋コンクリート構造計算規準及び鋼構造設計規準において建物 構築物の弾性設計に用いる許容応力度の考え方をもとにした妥当な手法であること せん断ひずみを用いたひび割れ発生の目安値による健全性の評価手法については原子炉建屋の耐震設計において弾性範囲の目安として用いられてきた実績のある手法であり妥当なものであることを確認した また いずれの地震応答解析結果によっても 耐震壁及び RCCV に生じるせん断応力度は設計配筋量のみで負担できる短期せん断応力度に対して 20% 以上の余裕があること せん断応力度はコンクリートのみで負担できる短期せん断応力度を下回ること また 各階のせん断ひずみもひび割れが発生するせん断ひずみの目安値 (0.25 10-3 ) を下回っていること 屋根トラスについては各部材の発生応力度と短期許容応力度の比較結果が評価基準値以下であることから 原子炉建屋は中越沖地震に対して概ね弾性範囲であったことを確認した ( 添付 1-1~1-5 参照 ) 保安院は これらの地震応答解析の検討結果から 原子炉建屋は中越沖地震に対して概ね弾性範囲にあったと判断した 23

3) 原子炉建屋の健全性の総合評価 東京電力の点検 評価報告書によると 原子炉建屋は 点検結果及び地震応答解析結果を踏まえて健全性の総合評価を行った結果 中越沖地震後においても健全性が確保されているとしている 構造 WGでは 原子炉建屋の健全性について立入検査等の結果 地震応答解析結果等から総合的に検討を行った 立入検査等の結果 原子炉建屋には構造上問題となるひび割れは認められず 耐震性能等の要求性能を損なう損傷部位は認められなかった 地震応答解析の結果 各階の耐震壁及び RCCV のせん断ひずみはひび割れが発生するせん断ひずみの目安値 (0.25 10-3 ) を下回るとともに せん断応力度は設計配筋量のみで負担できる短期せん断応力度及びコンクリートのみで負担できる短期せん断応力度のいずれに対しても下回ること 屋根トラスの発生応力度と短期許容応力度の比較結果は評価基準値を満足することから 原子炉建屋は中越沖地震に対して概ね弾性範囲であったことを確認した また 構造 WGにおける検討の結果 点検方法や地震応答解析手法についても問題ないことを確認した 保安院は 立入検査等の結果と地震応答解析の検討結果を照合し 総合的に検討した結果 原子炉建屋は健全性を確保していると判断した 2. タービン建屋の健全性評価 1) タービン建屋の点検結果 東京電力はタービン建屋について 耐震性能 遮へい性能及び耐漏えい性能のそれぞれの観点から各部位について点検を実施している 東京電力による点検結果及び構造 WGの検討結果は次のとおりである (1) タービン建屋の耐震性能に係る点検結果 東京電力の点検 評価報告書によると 目視点検の結果 耐震壁及び新たに地震応答解析において考慮した補助壁には 剥離 剥落は生じていないが 中越沖地震によって発生したことが否定できないひび割れが確認されたとしている これらのひび割れについては 詳細検討を必要とするひび割れ幅の評価基準値 (1.0mm) を下回っているとしている なお 耐震壁において確認された今回の地震によって発生したことが否定できないひび割れについては適切な補修を行うとしている タービン建屋の 24

柱 梁などのその他の構造部材について点検を行った結果 地震による影響がなかったことを確認したとしている また 乾燥収縮等によるその他のひび割れについては その幅が 0.3mm 以上のものは社内マニュアルにより管理 補修を行うとしている これらの点検の結果 タービン建屋には耐震性能を損なうような損傷はないとしている タービン建屋の各階の耐震壁及び補助壁において確認された中越沖地震で発生したことが否定できないひび割れの状況を要約しそれぞれ表 -7 及び表 -8に示す 表 -7 6 号機タービン建屋の耐震壁のひび割れ状況 最大 ひび割れ幅の 階 壁厚 本数 ひび割れ幅 最大長さ 評価基準値 (mm) (mm) (m) (mm) B2F 300~1400 15 0.4 3.5 (2) (0.2) (3.0) MB2F 800~1100 11 0.4 3.1 (0) (-) (-) B1F 300~1200 30 0.5 3.5 (15) (0.3) (7.0) 1F 300~1400 39 0.65 4.1 (5) (0.15) (3.3) 1.0 2F 300~1150 47 0.25 4.8 M2F 400 3 0.3 2.2 ( ) は機能維持が要求される基礎版と 2 階床との間の耐震壁のひび割れ 25

表 -8 6 号機タービン建屋の補助壁のひび割れ状況 最大 ひび割れ幅の 階 壁厚 本数 ひび割れ幅 最大長さ 評価基準値 (mm) (mm) (m) (mm) B2F 500 5 0.65 2.0 MB2F 1000 21 0.4 3.4 1.0 B1F 900 8 0.4 2.9 1F 400 2 0.55 2.1 構造 WGでは 立入検査等の結果を踏まえ 東京電力による点検結果について検討を行った その結果 東京電力によるタービン建屋の耐震壁 補助壁の鉄筋コンクリート部の剥離 剥落の有無やひび割れの点検については点検 評価計画書の点検方法に従って行われていること 点検結果の記録についても点検 評価計画書に従い 地震により発生したことが否定できないひび割れについては ひび割れ幅に関係なくひび割れの状況が記録されていること 乾燥収縮など地震以外の要因によるひび割れについてはひび割れ幅 0.3mm 以上のひび割れの状況が記録されていること ひび割れの状況については ひび割れの発生部位 位置 方向 ひび割れ幅 長さが記録されていることを管理図面などの記録等から確認するとともに 立入検査等により現場でみられたひび割れの状況は記録の内容と整合していることを確認した また 立入検査等の際 現場確認において耐震壁及び補助壁には地震により発生したことが否定できないひび割れが認められたが いずれも詳細検討を要するひび割れ幅の評価基準値 (1.0mm) を下回っていること 東京電力では耐震壁及び補助壁において確認された地震により発生したことが否定できないひび割れについては補修を行うとしていることから ひび割れは耐震性能上問題となるものではないことを確認した これらのことから 保安院は耐震壁及び補助壁には中越沖地震により耐震性能を損なうような損傷は生じていないと判断した なお 立入検査等の結果 タービン建屋の地下 2 階の原子炉補機冷却系の取水ポンプ室の A 系及び C 系の床面に亀甲状のひび割れが確認されたことから ひび割れをまたぐ位置で採取されたボーリングコアを確認した結果 床面のひび割れは 表面のモルタル部においてのみに見られるものであることから 鉄筋コンクリートの躯体に起因するひび割れではないことを確認した 26

(2) タービン建屋の遮へい性能に係る点検結果 東京電力の点検 評価報告書によると 目視点検の結果 遮へい壁には中越沖地震による剥離 剥落は生じていないが 地震により発生したことを否定できないひび割れを確認したとしている ひび割れ幅は全て詳細検討を必要とする評価基準値 (1.0mm) を下回るとしている 遮へい壁において確認された地震によって発生したことが否定できないひび割れについては適切な補修を行うとしている また 乾燥収縮等によるその他のひび割れについては その幅が 0.3mm 以上のものは社内マニュアルにより管理 補修を行うとしている これらの点検の結果 タービン建屋の遮へい壁には遮へい性能を損なうような損傷はないとしている 各階のひび割れ状況を表 -9に示す 表 -9 6 号機タービン建屋の遮へい壁のひび割れ状況 最大 ひび割れ幅の 階 壁厚 本数 ひび割れ幅 最大長さ 評価基準値 (mm) (mm) (m) (mm) MB2F 700~1000 3 0.4 3.4 B1F 500~950 3 0.4 2.9 1F 600~1400 3 0.4 3.2 1.0 M2F 400 1 0.3 2.2 3F 300 1 0.35 2.6 構造 WGでは 立入検査等の結果を踏まえ 東京電力による点検結果について検討を行った その結果 タービン建屋の遮へい壁の剥離 剥落の有無やひび割れの点検については 点検 評価計画書に従って行われていること 点検結果の記録についても 点検 評価計画書に従い 耐震壁と同様にひび割れの発生部位 位置 方向 ひび割れ幅及び長さが記録されていることを管理図面などの記録等から確認するとともに 立入検査等により現場でみられたひび割れの状況は記録の内容と整合していることを確認した また 立入検査等の際 現場確認において遮へい壁には地震によって発生したことが否定できないひび割れが認められたが いずれのひび割れも詳細検討を要するひび割れ幅の評価基準値 (1.0mm) を下回っていること 東京電力では遮へい壁において確認された地震によって発生したことが否定できないひび割れについては補修を行うとしていることから ひび割れは遮へい性能上問題となるようなものではないことを確認した これらのことから 保安院は タービン建屋の遮へい壁には中越沖地震により遮へ 27

い性能を損なうような損傷は生じていないと判断した (3) タービン建屋の耐漏えい性能に係る点検結果 東京電力の点検 評価報告書によると 目視点検の結果 タービン建屋において液体状の放射性物質の漏えい拡大を防止するために設置されている堰等には 中越沖地震による剥離 剥落は生じておらず 軽微なひび割れを確認したとしている 堰において確認されたひび割れについては幅に関わらず補修するとしている これらのことから 堰等の耐漏えい性能を損なうようなことはないとしている 堰におけるひび割れ状況を表 -10に示す 表 -10 タービン建屋堰等のひび割れ状況 最大 階部位本数 ひび割れ幅 (mm) 最大長さ (m) B2F 床 壁 89 0.3 11.3 構造 WGでは 立入検査等の結果を踏まえ 東京電力の点検結果について検討を行った その結果 タービン建屋内に設置されている堰等のひび割れの点検及びその記録については 点検 評価計画書に従って行われていることを管理図面などの記録から確認するとともに 立入検査等により現場でみられたひび割れの状況は記録の内容と整合していることを確認した また 立入検査等の際 現場確認において堰等にひび割れが認められたが 東京電力では堰等において確認されたひび割れについては補修を行うとしていることを確認した これらのことから 保安院は中越沖地震後においても堰等が耐漏えい性能を損なうようなことはないと判断した 28

2) タービン建屋の地震応答解析結果 (1) 地震応答解析手法 東京電力の点検 評価報告書によると タービン建屋は耐震重要度分類では B クラスに属する設備であるが 基礎版上に S クラスの原子炉補機冷却系の機器 配管が設置されていることから 基礎版と 2 階床 (T.M.S.L.20.4m) との間の耐震壁 ( 以下 機能維持部位 という ) はその破損により当該冷却系に波及的影響を及ぼさないことが要求されるとしている 中越沖地震に対するタービン建屋の水平方向の解析モデルについては タービン建屋の設計時の解析モデルを原子炉建屋の解析モデルと同様に修正し さらに地震時の弾塑性応答を把握するため復元力特性を考慮して構築している 鉛直方向の解析モデルは水平方向の解析モデルの解析諸元をもとに構築したとしている タービン建屋の解析モデルへの入力地震動については タービン建屋基礎版上における観測記録がないことから 中越沖地震時に原子炉建屋の基礎版上で観測された記録をもとに算出した原子炉建屋の基礎版下端における地震動からタービン建屋の基礎版下端等における地震動として求めたものを用いるとしている また 解放基盤表面において推定された中越沖地震の地震動から算定したタービン建屋の基礎版下端等における地震動を入力地震動とした解析も合わせて行うとしている 構造 WGでは修正モデルの妥当性について検討を行った その結果 タービン建屋の修正モデルは 中越沖地震のタービン建屋の応答を再現することを目的として 原子炉建屋と同様の修正が行われていることから妥当なものと認められた また 入力地震動については タービン建屋基礎版上における観測記録がないことを踏まえ 原子炉建屋基礎版上における観測記録から求めた入力地震動に加えて解放基盤表面上において推定された地震動から求めた入力地震動も用いるとしていることは妥当なものと認められた これらのことから 保安院は 東京電力がタービン建屋の機能維持部位の健全性評価に当たって 原子炉建屋基礎版上における観測記録から求めた入力地震動及び解放基盤表面における中越沖地震の地震動から求めた入力地震動を用いて修正モデルにより解析を行うとしていることは妥当なものと認められた 29

(2) 地震応答解析結果 東京電力の点検 評価報告書によると タービン建屋の機能維持部位については 原子炉建屋の基礎版上の観測記録から求めた入力地震動及び解放基盤表面における中越沖地震の地震動から求めた入力地震動をもとにタービン建屋の修正モデルを用いて弾塑性地震応答解析を行い 機能維持部位に生じるせん断応力度と設計配筋量のみで負担できる短期せん断応力度及びコンクリートのみで負担できる短期せん断応力度との比較 機能維持部位に生じるせん断ひずみと壁にひび割れが発生するせん断ひずみの目安値 (0.25 10-3 ) の比較 弾塑性地震応答解析による機能維持部位の最大応答が弾性範囲内かどうかの検討から 機能維持部位の健全性の評価を実施している 構造 WGの検討の結果 タービン建屋の機能維持部位の健全性の評価手法については 原子炉建屋と同様な手法及び機能維持部位の地震時の最大応答が弾性範囲にあるか塑性範囲にあるか弾塑性地震応答解析を用いて評価する手法によっており 妥当なものであることを確認した また いずれの入力地震動を用いた地震応答解析の結果 機能維持部位において発生するせん断応力度は設計配筋量のみで負担できる短期せん断応力度及びコンクリートのみで負担できる短期せん断応力度のいずれに対しても下回っていること せん断ひずみもひび割れが発生するせん断ひずみの目安値 (0.25 10-3 ) を下回っていることから 機能維持部位は概ね弾性範囲であることを確認した ( 添付 2-1 及び 2-2 参照 ) 保安院は これらの地震応答解析の検討結果から タービン建屋の機能維持部位は中越沖地震に対して概ね弾性範囲にあったと判断した 3) タービン建屋の健全性の総合評価 東京電力の点検 評価報告書によると タービン建屋及びその機能維持部位は 点検結果及び地震応答解析結果を踏まえて健全性の総合評価を行った結果 中越沖地震後においても健全性が確保されているとしている 構造 WGでは タービン建屋及びその機能維持部位の健全性について 立入検査等の結果 地震応答解析の結果等から総合的に検討した 立入検査等の結果 タービン建屋には構造上問題となるひび割れは認められず 耐震性能等の要求性能を損なう損傷は認められなかった 地震応答解析の結果 機能維持部位のせん断ひずみはひび割れが発生するせん断ひずみの目安値 (0.25 10-3 ) を下回るとともに せん断応力度は設計配筋量のみで負 30

担できる短期せん断応力度及びコンクリートのみで負担できる短期せん断応力度のいずれに対しても下回ることから 機能維持部位は概ね弾性範囲にあることを確認した また 構造 WGにおける検討の結果 点検方法や地震応答解析手法等についても問題ないことを確認した 保安院は 立入検査等の結果と地震応答解析の検討結果を照合し 総合的に検討した結果 タービン建屋は健全性を確保していると判断した 3. 排気筒の健全性評価 1) 排気筒の点検結果 東京電力は排気筒について耐震性能の観点から変形や座屈などの損傷の有無について点検を実施している 東京電力による点検結果及び構造 WGの検討結果は次のとおりである 東京電力の点検 評価報告書によると 排気筒はSクラスの非常用ガス処理系用排気筒 Cクラスの換気空調系用排気筒 鉄塔部等から構成されるとしている 東京電力では 排気筒の筒身及び支持鉄塔の各部材の変形 座屈 破断 溶接接合部のきれつ 破断及びボルト接合部のボルトの破断やゆるみについて目視による点検を行ったところ 非常用ガス処理系用排気筒及び換気空調系用排気筒の筒身並びに鉄塔部には変形 座屈 破断 溶接接合部のきれつ 破断及びボルト接合部のボルト破断 緩みは確認されなかったとしているが 第 1 支持点におけるつなぎ材の軸方向に最大 30mm 程度の変形が確認されたとしている なお 今回の点検により変形が確認されたつなぎ材については耐力の大きいつなぎ材に取り替えるとしている 点検結果を表 -11に示す 表 -11 6 号機 排気筒 ( 身及び支持鉄塔 ) の点検状況 対象 項目 発生の有無 非常用ガス処理系用排気筒及 び換気空調系用排気筒の筒身 部材 変形 座屈 破断 並びに鉄塔部に変形 座屈 破 断はない なお 第 1 支持点の つなぎ材に座屈変形あり 溶接接合部きれつ 破断なし ボルト接合部 ボルト破断 ゆるみ なし 31

構造 WGでは 立入検査等の結果を踏まえ 東京電力による点検結果について検討を行った その結果 現場で確認した範囲においては 非常用ガス処理系用排気筒及び換気空調系用排気筒の筒身並びに鉄塔部には顕著な変形 座屈 破断等の損傷がみられないことを確認した また 第 1 支持点におけるつなぎ材に座屈と見られる変形を確認したが 筒身を鉄塔に支持させる引張り部材としての要求性能を損なうものではないと判断した なお 変形が確認されたつなぎ材については耐力の大きいつなぎ材に取り替えるとしていることを確認した これらのことから 保安院は 中越沖地震により排気筒には健全性が損なわれるような損傷は生じていないと判断した 2) 排気筒の地震応答解析結果 (1) 地震応答解析手法 東京電力の点検 評価報告書によると 排気筒については非常用ガス処理系用排気筒及び換気空調系用排気筒を鉄塔が支持する構造であるとしている 非常用ガス処理系用排気筒は 換気空調系用排気筒の内部に設置され 水平方向を換気空調系用排気筒によって拘束されているとしている また 排気筒は原子炉建屋屋上 (T.M.S.L.38.2m) に設置されているとしている 排気筒については 非常用ガス処理系用排気筒及び換気空調系用排気筒を含む排気筒全体の健全性について地震応答解析モデルをもとに 原子炉建屋の基礎版上の観測記録に基づく地震応答解析から得られる建屋屋上の応答波形を用いて評価を行うとしている 排気筒の地震応答解析モデルは 水平方向については コンクリート基礎部 鉄塔部及び換気空調系用排気筒の筒身部を立体的にモデル化した解析モデルを用い 鉛直方向については水平方向の解析モデルの解析諸元をもとに構築している なお 非常用ガス処理系用排気筒についてはその剛性が換気空調系用排気筒の剛性と比較して極めて小さいことから 換気空調系用排気筒の付加質量として考慮している 構造 WGの検討の結果 排気筒の解析モデルは 鉄塔部 換気空調系用排気筒の筒身部及びコンクリート基礎部の構造を反映し 線材要素からなる適切な立体架構モデルとしていること 入力波形としては原子炉建屋屋上の応答波形の水平 鉛直及び回転成分を用いていることから妥当なものと認められた これらのことから 保安院は 東京電力が排気筒の健全性評価に用いる解析モデルについては妥当なものと判断した 32

(2) 地震応答解析結果 東京電力による点検 評価報告書によると 排気筒が設置されている原子炉建屋の屋上部の応答波形をもとに排気筒の地震応答解析を行い 鉄塔部の各部材及び換気空調系用排気筒については 作用する軸力 曲げモーメントからそれぞれに発生する応力度を 座屈も考慮した短期許容応力度と比較し 日本建築学会の鋼構造設計規準による評価基準値以下であることにより健全性の評価を行っている また 非常用ガス処理系用排気筒については その剛性が小さく 水平方向変位を換気空調系用排気筒により拘束されていることから 地震応答解析による換気空調系用排気筒の変位を強制変位として与えることにより非常用ガス処理系用排気筒に発生する応力度を求め これと座屈も考慮した短期許容応力度を比較し 上記規準による評価基準値以下であることにより健全性の評価を行っている コンクリート基礎部については 地震応答解析の結果得られる軸力 曲げモーメント及びせん断力をもとに応力解析を行い コンクリート部 アンカーボルト部及び鋼管部に発生する応力度が短期許容応力度以下であることにより健全性の評価を行っている 構造 WGにおいて排気筒の健全性の評価手法について検討を行った その結果 評価手法は 日本建築学会の鉄筋コンクリート構造計算規準及び鋼構造設計規準において建物 構築物の弾性設計に用いる許容応力度をもとにした妥当な手法であることを確認した また 非常用ガス処理系用排気筒 換気空調系用排気筒 鉄塔部 基礎のコンクリート部等については 当該部位に発生する応力度と短期許容応力度を比較した結果 評価基準値以下であることから 中越沖地震に対して弾性範囲であったことを確認した ( 添付 3-1 及び 3-2) 保安院は これらの地震応答解析の検討結果から 非常用ガス処理系用排気筒 換気空調系用排気筒 鉄塔部等は中越沖地震に対して弾性範囲にあったと判断した 3) 排気筒の健全性の総合評価 東京電力の点検 評価報告書によると 排気筒は 点検結果及び地震応答解析等の結果を踏まえて健全性の総合評価を行った結果 中越沖地震後においても健全性が確保されているとしている 構造 WGでは 排気筒の健全性について立入検査等の結果 地震応答解析結果等から総合的に検討した 立入検査等の結果 非常用ガス処理系用排気筒には構造上の損傷は認められなかった 換気空調系用排気筒及び鉄塔部には つなぎ材に変形が確認 33

されたものの 構造上の損傷は認められず つなぎ材については耐力の大きいつなぎ材に取り替えるとしていることを確認した また 地震応答解析等の結果 非常用ガス処理系用排気筒 換気空調系用排気筒 鉄塔部及び基礎部については 当該部位に発生する応力度と短期許容応力度を比較した結果 評価基準を満足することから 中越沖地震に対して弾性範囲であったことを確認した また 構造 WGにおける検討の結果 点検方法や地震応答解析手法等についても問題ないことを確認した 保安院は 立入検査等の結果と地震応答解析の検討結果を照合し 総合的に検討した結果 排気筒の健全性は確保されるものと判断した 4. 非常用取水路 1) 非常用取水路の点検結果 東京電力は非常用取水路については 取水機能に影響を与えるような損傷の有無の観点からその健全性を評価することとし 非常用取水路の頂版 側壁 隔壁 底版及びスクリーン室地上部のコンクリート部を対象に ひび割れ 剥離 剥落について点検を行っている また 取水路に設けられた耐震ジョイントの変位量や損傷の有無について点検を行っている 保安院では 東京電力による点検の妥当性を確認するため立入検査等を実施した 東京電力による点検結果並びに構造 WGの検討結果は以下のとおりである 東京電力の点検 評価報告書によると 目視点検の結果 取水路の側壁 隔壁及び底版のコンクリート部については 中越沖地震による剥離 剥落はないが ひび割れが認められ そのうち 最大のひび割れ幅は 0.6mm( 長さ 6.2m) であるが 構造的に問題となるようなひび割れは認められないとしている スクリーン室上部では ひび割れ及び無筋部のわずかな剥離 剥落が認められるが ひび割れについてはその幅が最大のものでも 0.4mm ( 長さ 0.2m) 程度であり 取水機能に影響を及ぼすようなものではないとしている 確認された剥離 剥落及びひび割れについては社内マニュアルにより管理 補修をするとしている 耐震ジョイントについては 地震後 一部のジョイントにおいて伸び 段差 ずれが生じており それぞれの最大値は伸びが 20mm 段差が 20mm ずれが 15mm であるが これらは 耐震ジョイントの限界性能が伸び 300mm 段差 400mm ずれ 400mm であることを考慮すると 取水機能に影響を及ぼすものではないとしている 構造 WGでは 立入検査等の結果を踏まえ 東京電力による点検結果について検討を行った その結果 東京電力による非常用取水路の剥離 剥落 ひび割れの点検については点検 評価計画書の点検方法に従って行われていること 点検結果の記録についても点検 評価計画書に従い 非常用取水路の剥離 剥落の位置及び面積 ひび割れの発生部位 34

位置 方向 ひび割れ幅及び長さ 耐震ジョイントの伸び 段差 ずれの程度が記録されていることを管理図面などの記録等から確認するとともに 立入検査等により現場で見られたひび割れ等の状況は記録の内容と整合していることを確認した また 立入検査等の際 現場確認において非常用取水路にはひび割れが認められたが その幅は大きくても 0.6mm 程度であること 剥離 剥落は無筋部に認められたこと ひび割れや剥離 剥落については補修等を行うとしていることなどから 取水設備の取水機能に影響を及ぼすようなものではなく 耐震性能上問題となるものではないことを確認した これらのことから 保安院は 非常用取水路には中越沖地震により取水機能に影響を及ぼすような損傷は認められないと判断した 2) 非常用取水路の地震応答解析結果 (1) 地震応答解析手法 東京電力の点検 評価報告書によると 非常用取水路の取水機能に影響を与えるような損傷の有無について評価を行うため スクリーン室 取水路 補機冷却用海水取水路ごとに それぞれの断面と周辺の地盤を T.M.S.L.-60mまで連成させた解析モデルを作成し 原子炉建屋の基礎版上の観測記録をもとに一次元波動論により求めた非常用取水路の解析モデルの下端レベルの入力地震動を用いた地震応答解析を行うとしている また 東京電力は 6 号機の解放基盤表面における中越沖地震の地震動から算定したモデル下端レベルの入力地震動を用いた地震応答解析も行うとしている 構造 WGでは解析モデルの妥当性について検討を行った その結果 解析モデルは スクリーン室 取水路 補機冷却用海水取水路 ( 南側及び北側 ) ごとにその構造物及び周辺地盤の状況を反映して 構造物及び周辺地盤をそれぞれ線材要素及び平面要素に適切にモデル化していることから妥当なものと認められた また 地震応答解析に当たっては 非常用取水路における観測記録がないことから 原子炉建屋の基礎版上の観測記録から求めた解析モデル下端レベルの入力地震動を用いることに加え 解放基盤表面における中越沖地震の地震動から算定した入力地震動を用いた解析を行うとしていることは妥当なものと認められた これらのことから 保安院は 東京電力が非常用取水路の取水機能の影響評価に当たって 原子炉建屋の基礎版上の観測記録から求めた解析モデル下端レベルの入力地震動を用いることに加えて 6 号機の解放基盤表面における中越沖地震の地震動から算定した解析モデル下端レベルの入力地震動を用いた地震応答解析を行うとしていることは妥当なものと判断した 35

(2) 地震応答解析結果 東京電力の点検 評価報告書によると 非常用取水路については スクリーン室 取水路 補機冷却用海水取水路 ( 南側及び北側 ) ごとに解析モデルを用いて 構造物に作用する水圧 土かぶり圧等の荷重を考慮した上で地震応答解析を行い その結果得られる構造物の最大層間変形角と限界層間変形角の比較及び構造物の各部位に作用するせん断力とせん断耐力の比較により 非常用取水路の取水機能に影響を与えるような損傷の有無について評価を行っている 構造 WGにおいては 非常用取水路の取水機能の影響評価手法について検討を行った その結果 非常用取水路の影響評価手法は土木学会の 原子力発電所屋外重要土木構造物の耐震性能照査指針 によっており妥当なものであることを確認した また 原子炉建屋の基礎版上の観測記録から求めた入力地震動及び解放基盤表面における中越沖地震の地震動から求めた入力地震動を用いた地震応答解析及びその評価結果については いずれも スクリーン室 取水路 補機冷却用海水取水路 ( 南側及び北側 ) の最大層間変形角は限界層間変形角を下回り 構造物の各部位に作用するせん断力はせん断耐力を下回ることから 非常用取水路は取水機能を損なうようなことはなかったことを確認した また 構造 WGでは 地震応答解析の結果 取水路の隔壁に発生する曲げモーメントがひび割れ発生曲げモーメントを超えるにもかかわらず 点検結果では曲げひび割れが認められないことの要因について 東京電力の分析結果をもとに検討を行った 東京電力では 非常用取水路のコンクリートの実強度 近接構造物の影響等を考慮した地震応答解析を行い その結果得られる水平荷重 自重 土圧等を考慮して取水路の応力解析を行うことにより分析を行っている その結果 取水路の隔壁に最大荷重が作用するときには隔壁上下端に引張ひずみが発生するが 除荷後には上載荷重により圧縮状態となり ひび割れが閉じて密着した状態となることから 取水機能に影響するものではなく 点検結果とも整合することを確認した さらに 構造 WGでは 中越沖地震時における非常用取水路のスクリーン室 取水路及び補機冷却用海水路のそれぞれのブロック間の軸直交方向の相対的な水平及び鉛直変位による影響について検討した結果 通水機能が損なわれるような変位が生じる恐れはないことなどが確認された ( 添付 4) 保安院は これらの地震応答解析の検討結果から 非常用取水路は中越沖地震に対して取水機能を損なうようなことはないと判断した 36

3) 非常用取水路の健全性の総合評価 東京電力の点検 評価報告書によると 非常用取水路の取水機能は 点検結果及び地震応答解析による構造評価結果を踏まえ 健全性の総合評価を行った結果 中越沖地震後においても健全性が確保されているとしている 構造 WGでは 非常用取水路の取水機能の健全性について立入検査等の結果 地震応答解析の結果等から総合的に検討した 立入検査等の結果 非常用取水路には軽微なひび割れが認められたが取水機能に影響を与えるようなものではなく顕著な損傷は認められなかった 地震応答解析の結果 スクリーン室 取水路 補機冷却用海水取水路 ( 南側及び北側 ) の最大層間変形角は限界層間変形角を下回り 構造物の各部位に作用するせん断力はせん断耐力を下回ることから 非常用取水路は取水機能を損なうことはなかったことを確認した また 構造 WGにおける検討の結果 点検方法や地震応答解析手法についても問題ないことを確認した 保安院は 立入検査等の結果と地震応答解析の検討結果を照合し 総合的に検討した結果 非常用取水路は取水機能の健全性を確保していると判断した 5. 点検 評価体制に関する保安院の評価 点検 評価計画書において 東京電力は 点検 評価の体制として 適切な力量を有するものが点検 評価を実施することとし 目視点検の実施者については JIS 規定の非破壊試験員に要求される近方視力を有することを確認するとしている また 東京電力の点検 評価の客観性及び透明性を確保するために 第三者機関 (( 社 ) 建築研究振興協会及び ( 社 ) 土木学会 ) が 建物 構築物の点検方法及び点検結果の妥当性について確認することとしている 保安院では立入検査を行い 点検実施に係る記録から点検 評価の実施者は建物 構築物に関する業務経験等から適切な力量を有し JIS 規定の非破壊試験員に要求される近方視力を有することを確認した また 保安院の立入検査の結果 第三者機関から東京電力への報告書及び同機関の委員会議事録から 以下のとおり 東京電力の点検方法及び点検結果が妥当であるという第三者機関の評価を確認した ( 社 ) 建築研究振興協会は 建物関係の調査のため 2007 年新潟県中越沖地震後の柏崎刈羽原子力発電所建物 構築物の点検 評価委員会 を設置し 現地調査 報告書及び事業者へのヒヤリングにより事業者の点検結果は妥当であるとしている ( 社 ) 土木学会は 構築物関係の調査のため 新潟県中越沖地震後の柏崎刈羽原子力発電所土木構造物健全性評価ワーキンググループ を設置し 検討内容の審議及び現地調査によ 37

り事業者の点検方法及び点検結果は妥当であるとしている 38

Ⅶ. まとめ 東京電力による中越沖地震に対する6 号機の建物 構築物の健全性評価報告に対する 保安院としての見解は以下のとおりである 6 号機の建物 構築物の点検については 立入検査等の結果から 点検 評価計画書に沿って適切に実施されているものと評価する 立入検査等の結果から 原子炉建屋及びタービン建屋には構造上問題となるひび割れがないこと 排気筒の筒身及び支持鉄塔の部材 溶接部には要求性能を損なうような変形 座屈 破断がないこと 非常用取水路の取水機能に影響を与える水路の破損等がないことを確認した 原子炉建屋 タービン建屋 排気筒及び非常用取水路の地震応答解析については 設計モデルに実際の剛性等を考慮し地震観測記録と概ね整合する解析モデルを用いるなどにより地震応答解析が行われていることを確認した 地震応答解析の結果については 原子炉建屋 タービン建屋及び排気筒に発生する応力は いずれの部位でも弾性範囲内であること 取水路については変形量が基準値以下であることを確認した 6 号機の建物 構築物については 構造 WGの検討結果等を踏まえ 点検結果と地震応答解析結果を照合し 総合評価を行った結果 保安院として健全性が確保されていると判断した また 東京電力は 6 号機の原子炉建屋 タービン建屋及び非常用取水路のほか 7 号機との共用設備であるコントロール建屋において確認された地震によって発生したことが否定できないひび割れについては補修を行うとしている また 東京電力は屋根トラス及び排気筒のボルト接合部については目視点検によりボルトのゆるみがないとしているが 保安院としては 念のためボルトの締め付け力の確認を行う必要があると思料する このため 保安院は 東京電力に対して原子炉建屋等の点検において確認された地震によって発生したことが否定できないひび割れの補修やボルトの締め付け力の確認が完了したあと 速やかに 補修等の実施内容及び実施結果について報告を求め 必要に応じ現場の確認も行うこととする 39

( 添付 1-1) 原子炉建屋の耐震壁のせん断応力並びに設計配筋量のみで負担できる短期せん断応力度及びコンクリートの短期せん断応力度 せん断応力 設計配筋量のみで負担できる短期せん断応力度 コンクリートのせん断応力度 ((σ c /20( 短期 )) (σ c /30( 長期 ))) T.M.S.L.(m) 49.7 屋上 σ c /30 σ c /20 K6 R/B T.M.S.L.(m) 49.7 屋上 σ c /30 σ c /20 K6 R/B クレーン階 クレーン階 4 階 4 階 3 階 3 階 2 階 2 階 1 階 1 階 地下 1 階 地下 1 階 地下 2 階 地下 2 階 基礎上 -8.2 0 2 4 6 せん断応力 (N/mm 2 ) 基礎上 -8.2 0 2 4 6 せん断応力 (N/mm 2 ) σc = コンクリートの実強度 せん断応力 ( 南北方向 ) せん断応力 ( 東西方向 ) 40

原子炉建屋の耐震壁のせん断ひずみ ( 添付 1-2) T.M.S.L.(m) 49.7 屋上 せん断ひずみひび割れ発生の目安値 K6 R/B T.M.S.L.(m) 49.7 屋上 せん断ひずみ ひび割れ発生の目安値 K6 R/B クレーン階 クレーン階 4 階 4 階 3 階 3 階 2 階 2 階 1 階 1 階 地下 1 階 地下 1 階 地下 2 階 地下 2 階 基礎上 -8.2 0 0.1 0.2 0.3 0.4 せん断ひずみ ( 10-3 ) 基礎上 -8.2 0 0.1 0.2 0.3 0.4 せん断ひずみ ( 10-3 ) せん断ひずみ ( 南北方向 ) せん断ひずみ ( 東西方向 ) 41

( 添付 1-3) 原子炉建屋の RCCV のせん断応力並びに設計配筋量のみで負担できる短期せん断応力度及びコンクリートの短期せん断応力度 せん断応力 設計配筋量のみで負担できるせん断応力度 コンクリートのせん断応力度 ((σ c /20( 短期 )) (σ c /30( 長期 ))) T.M.S.L.(m) 49.7 屋上 K6 R/B T.M.S.L.(m) 49.7 屋上 K6 R/B クレーン階 クレーン階 4 階 σ c /30 σ c /20 4 階 σ c /30 σ c /20 3 階 3 階 2 階 2 階 1 階 1 階 地下 1 階 地下 1 階 地下 2 階 地下 2 階 基礎上 -8.2 0 2 4 6 せん断応力 (N/mm 2 ) 基礎上 -8.2 0 2 4 6 せん断応力 (N/mm 2 ) σc = コンクリートの実強度 せん断応力 ( 南北方向 ) せん断応力 ( 東西方向 ) 42

原子炉建屋の RCCV のせん断ひずみ ( 添付 1-4) T.M.S.L.(m) 49.7 屋上 せん断ひずみひび割れ発生の目安値 K6 R/B T.M.S.L.(m) 49.7 屋上 せん断ひずみ ひび割れ発生の目安値 K6 R/B クレーン階 クレーン階 4 階 4 階 3 階 3 階 2 階 2 階 1 階 1 階 地下 1 階 地下 1 階 地下 2 階 地下 2 階 基礎上 -8.2 0 0.1 0.2 0.3 0.4 せん断ひずみ ( 10-3 ) 基礎上 -8.2 0 0.1 0.2 0.3 0.4 せん断ひずみ ( 10-3 ) せん断ひずみ ( 南北方向 ) せん断ひずみ ( 東西方向 ) 43

原子炉建屋屋根トラスの発生応力 ( 添付 1-5) : 最大応力発生位置を示す 評価部位 ( R D 通り ) 最大応力比 ( R D 通り ) 部材 発生応力評価基準値発生応力 / (N/mm 2 ) (N/mm 2 ) 評価基準値 上弦材下弦材 ( 引張 ) ( 圧縮 ) 31.6 48.6 325.0 228.0 ( 曲げ ) ( 曲げ ) 62.2 50.3 325.0 325.0 0.29 0.37 位置 TU 1 TL 6 使用部材 H-428 407 20 35 H-400 408 21 21 斜材 ( 圧縮 ) 101.7 273.0 0.38 O 12 H-400 400 13 21 束材 ( 圧縮 ) 36.9 166.0 0.23 V 2 2[s-200 90 8 13.5 44

( 添付 2-1) タービン建屋のせん断力応力並びに設計配筋量のみで負担できる短期せん断応力度及びコンクリートの短期せん断応力度 (1/2) T.M.S.L (m) 44.3 38.6 a 軸 b 軸 30.9 25.8 c 軸 20.4 12.3 1~5 は機能維持範囲 4.9-1.1 TA -5.1-7.9 T1 T9 TK T.M.S.L.20.4m 2 階 地震方向 : 機能維持範囲 σc : コンクリートの実強度を含む部位せん断応力せん断応力度せん断応力度設計配筋量のみで負担できる短期せん断応力度許容せん断応力度 (pw σy) 許容せん断応力度 (pw σy) コンクリートのせん断応力度 ((σ c /20( 短期 )) (σ c /30( 長期 ))) 1 階 地下 1 階 地下中 2 階 基礎上 -5.1m 0 1 2 3 最大せん断応力度 (N/mm (N/mm 2 ) 2 ) 機能維持部位 1 0 1 2 3 最大せん断応力度 (N/mm 2 (N/mm ) 2 ) 機能維持部位 2~5 機能維持部位のせん断応力 ( 南北方向 ) 45

タービン建屋のせん断力応力並びに設計配筋量のみで負担できる短期せん断応力度及びコンクリートの短期せん断応力度 (2/2) T.M.S.L (m) 44.3 b 軸 d 軸 f 軸 h 軸 a 軸 c 軸 e 軸 g 軸 i 軸 38.6 30.9 1~8 は機能維持範囲 25.8 20.4 12.3 4.9-1.1 TA -5.1-7.9 T1 地震方向 T9 TK : 機能維持範囲を含む部位 σc : コンクリートの実強度 T.M.S.L.20.4m 2 階 せん断応力度せん断応力度せん断応力度設計配筋量のみで負担できる短期せん断応力度許容せん断応力度 (pw σy) 許容せん断応力度 (pw σy) 許容せん断応力度 (pw σy) コンクリートのせん断応力度 ((σ c /20( 短期 )) (σ c /30( 長期 ))) 1 階 地下 1 階 地下中 2 階 基礎上 -5.1m 0 1 2 3 0 1 2 3 機能維持部位 1~3 機能維持部位 4~6 機能維持部位 7~8 機能維持部位のせん断応力 ( 東西方向 ) 0 1 2 3 せん断応力 (N/mm 2 ) せん断応力 (N/mm 2 ) せん断応力 (N/mm 2 ) 46

( 添付 2-2) タービン建屋のせん断ひずみ (1/2) T.M.S.L (m) 44.3 38.6 a 軸 b 軸 30.9 25.8 c 軸 20.4 12.3 4.9 1~5 は機能維持範囲 T.M.S.L.20.4m 2 階 -1.1-5.1-7.9 T1 地震方向 : 機能維持範囲せん断ひずみひび割れ発生の目安値 T9 TK TA せん断ひずみひび割れ発生の目安値 1 階 地下 1 階 地下中 2 階 基礎上 -5.1m 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0 0.1 0.2 0.3 0.4 最大せん断ひずみ ( 10 ( 10-3 ) -3 ) 最大せん断ひずみ ( 10 ( 10-3 ) -3 ) 機能維持部位 1 機能維持部位 2~5 機能維持部位のせん断ひずみ ( 南北方向 ) 47

タービン建屋のせん断ひずみ (2/2) T.M.S.L b 軸 d 軸 f 軸 h 軸 (m) 44.3 a 軸 c 軸 e 軸 g 軸 38.6 i 軸 30.9 25.8 20.4 12.3 4.9-1.1-5.1-7.9 T1 T.M.S.L.20.4m 2 階 地震方向 : 機能維持範囲を含む部位せん断ひずみひび割れ発生の目安値 T9 TK TA せん断ひずみひび割れ発生の目安値 1~8 は機能維持範囲を含む せん断ひずみひび割れ発生の目安値 1 階 地下 1 階 地下中 2 階 基礎上 -5.1m 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0 0.1 0.2 0.3 0.4 最大せん断ひずみ ( 10 ( 10-3 ) -3 ) 最大せん断ひずみ ( 10 ( 10-3 ) -3 ) 最大せん断ひずみ ( 10 ( 10-3 ) -3 ) 機能維持部位 1~3 機能維持部位 4~6 機能維持部位 7~8 機能維持部位のせん断ひずみ ( 東西方向 ) 48

排気筒の各部の最大応力比 ( 添付 3-1) 箇所 部材 N M A Z σc σb fc fb (kn) (kn m) (cm 2 ) (cm 3 ) (N/mm 2 ) (N/mm 2 ) (N/mm 2 ) (N/mm 2 ) σc σb + fc fb 主柱材 4087 487 298.4 4320 137.0 112.8 314.0 325.0 0.79 鉄塔 斜材 343-29.94-114.6-241.0-0.48 水平材 194-29.94-64.8-220.0-0.30 筒身 - 482 4589 529 37100 9.1 123.7 172.0 187.0 0.71 記号の説明 N: 軸力 ( 圧縮を正とする ) M: 曲げモーメント A: 断面積 Z: 断面係数 fc: 許容圧縮応力度 fb: 許容曲げ応力度 σc: 圧縮応力 (N/A) σb: 曲げ応力 (M/Z) 排気筒の各部位の最大応力比 箇所 鉄塔部基礎 部材 発生応力 評価基準値 発生応力 / (N/mm 2 ) (N/mm 2 ) 評価基準値 ( 引張 ) 127.0 180.0 *1 0.71 ( せん断 ) 24.7 135.0 *2 0.19 ( 曲げ ) 289.2 345.0 *3 0.84 ( せん断 ) 0.77 1.47 *4 0.53 鋼管 ( 圧縮 ) 164.2 325.0 *5 0.51 基礎アンカーボルト 基礎コンクリート 筒身部基礎 基礎アンカーボルト ( 引張 ) 99.9 180.0 *1 0.56 *1: ボルトの短期許容引張応力度を示す *2: ボルトの短期許容せん断応力度を示す *3: 鉄筋の短期許容引張応力度を示す *4: コンクリートの短期許容せん断応力度 ( 実強度 ) を示す *5: 鋼管の短期許容圧縮応力度を示す 49

( 添付 3 2) 排気筒のつなぎ材について ( 第三支持点 ) 6 号機排気筒 ( 第二支持点 ) 第一支持点のつなぎ材 ( 第一支持点 ) コンクリート基礎部 入力地震動 6000 主柱材 つなぎ材 筒身 (φ30,ss400) 水平材 第一支持点の構造概要 (T.M.S.L.48.0 m) 50

つなぎ材の詳細図 補強前 補強後 51

( 添付 4) 非常用取水路の評価結果 層間変形角による照査結果 評価位置 層間変形角 Rd 限界層間変形角 Ru Rd/Ru スクリーン室取水路補機冷却用海水取水路 ( 南側 ) 補機冷却用海水取水路 ( 北側 ) 頂版 ~ 底版頂版 ~ 底版頂版 ~ 底版頂版 ~ 底版 0.0938/100 1/100 0.094 0.198/100 1/100 0.20 0.127/100 1/100 0.13 0.125/100 1/100 0.12 せん断力による照査結果 スクリーン室取水路補機冷却用海水取水路 ( 南側 ) 補機冷却用海水取水路 ( 北側 ) 評価位置 せん断力せん断耐力 V d (kn) V 1 yd (kn) V d /V yd 頂版 147 496 0.30 底版 331 1475 0.22 側壁 423 1649 0.26 隔壁 460 1386 0.33 頂版 825 3337 0.25 底版 791 3039 0.26 側壁 488 1708 0.29 隔壁 719 1069 0.67 頂版 763 2481 0.31 底版 666 2574 0.26 側壁 489 1447 0.34 隔壁 666 889 0.75 頂版 661 2610 0.25 底版 579 2653 0.22 側壁 594 1642 0.36 隔壁 589 855 0.69 52