9 乳がんがん検診 ~ 超音波検査 ~ 超音波検査は 乳腺の濃度が高い若い女性の乳房に適しているといわれています しこりの性状や良性 悪性の鑑別がある程度できます 良性はあんぱんまんのように丸い感じのしこりですが 悪性はモンスターのようにとげとげしています 超音波検査は乳がん死亡率が下がるというデータがありませんので 一般的には まだ普及していません 若い女性には適しているのではと 超音波検査 嚢胞 ( 良性 ) 線維腺腫 ( 良性 ) 腫瘤の性状を観察 良性 悪性の鑑別 がある程度できる 乳がん ( 悪性 ) 乳がん ( 悪性 ) いう声もでていますので 今後は超音波検査も普及してくるかもしれません 10 乳がんがん検診受診率 各国の乳がん死亡率の比較をみます各国の乳がんがん死亡率死亡率の比較 (WHO 統計 ) と イギリス アメリカ等は死亡率が欧米の検診受診高いのですが 1990 年以降は減少率 60-80% しています これは 乳がん検診と早期の受診が徹底してきているためです アメリカの乳がん検診受診率は60~80% で 死亡率は 20~30% 減っています 一方 日本の乳がん死亡率は右肩上がりに増加しています 日本の乳がん検診受診率は20~30% 新潟県は 日本の検診受診率 20% 前後死亡率を減少減少させるにはさせるには 乳がん検診受診率を上げる必要があります! ( 目標は 50% 以上 ) 23%(2007 年 ) と全国平均並です 乳がんで死亡する方を減らすには 乳がん検診受診率を50% 以上にすることで 死亡率が下がるといわれています 自分が受ける際に 1 人 2 人と誘えば 受診率は上がると思っています - 6 -
11 乳がんのがんの症状 乳がん患者さんの約 8 割位はしこりを自覚しての来院者です ご自身でわかるかなという大きさは約 1cmぐらいからです しこり以外の症状では 皮膚にえくぼ症状が現われて乳がんだとわかる人がいます これは しこりができたために皮膚が引っ張られて へこんでえくぼ状になることがあるためで 鏡でみて気がつかれるようです オレンジの皮のように赤くなり毛穴が開いた感じになることもあります 乳がんのがんの症状 1 腫瘍 ( しこり ) 触ってわかるリンパ節の腫大皮膚に見られるられる凹凸症状 2 えくぼえくぼ症状 (1) オレンジオレンジの皮症状 (3) 乳頭にみられるにみられる症状 3 湿疹湿疹 びらんびらん ただれ (2) 血性血性の異常分泌 乳頭形態異常 特殊なタイプで 乳腺炎と間違われることもあります 乳腺炎は 授乳期が多く 授乳期以外で乳腺炎になる場合は 陥没乳頭のことが多いです 授乳期や陥没乳頭でないのに乳房が赤くなる場合は 受診をお勧めします 乳頭の症状では 乳頭に湿疹 びらん ただれがみられることがあり これをパジェット病といって 特殊な乳がんの場合があります また 赤または茶色の分泌物が片方の乳頭からでる場合は乳がんの症状のことがあります 乳頭からでる透明または白い分泌物はあまり心配がないことが多いです 12 乳がんのがんの大きさ 乳がんの細胞が1つから2つへ分裂するまでを ダブリングタイム とい い その期間は 90 日といわれています がん細胞が生まれてから約 30 回の細胞分裂を繰り返して1cmの大きさになるといわれており その大きさになるまでに要する時間は5~10 年といわれています 自分で触って見つけることができる大きさは 1 円玉 ( 直径 2 cm ) くらいです ビー玉くらいであれば 1.7 cm位 細胞数 10 12 10 10 10 8 10 6 10 4 10 2 分裂回数 年数 10cm 自己検診で検出可能検出可能 触診で検出可能 2cm X 線で検出可能 1cm 5mm 非常に早期 1mm ( 発見不可能 ) 臨床的乳がん 0 10 20 30 40 0 5 10 乳がんがん細胞細胞ダブリングタイム ( 倍加時間 )= 約 90 日 90 日 (1 回の分裂に要する日数 )x40 回 ( 分裂を繰り返す )=3600 日 ( 約 10 年 ) - 7 -
ですが その位の大きさを自己触診で発見することが理想です 2cm以下であれば早期がんといわれていますので しっかり自己触診していれば早期で見つけることは可能です それよりも小さな乳がんは マンモグラフィや超音波を使った画像で検査をすることで発見することができます 13 乳がんのがんの好発年齢 乳がんの年代別罹患 ( りかん ) 率をみま すと 30 代から増え始め 40 代 50 代がピークとなっています アメリカ等のピークは 60 代から 80 代です 日本の場合は 発症ピークが早いのが 特徴です ピークが若いからといって 年配の方が乳がんに罹患 ( りかん ) しない わけではありません 時々 患者さんで 私は年をとってい るので乳がんになるとは思っていなかっ 0 140 120 罹患率100 80 罹患率((((人口人口人口人口10 60 40 万対万対万対万対))))20 1975~2003 年罹患率0 女性乳がんの年齢別罹患率 40~50 歳前後が発症発症のピーク 1975 2003 1998 1995 1990 1985 1980 20 25 30 35 40 45 50 55 60 65 70 75 80 85 年齢 ( 歳 ) 大島明ほか編 がん 統計白書 - 罹患 / 死亡 / 予後 -2004 ( 篠原出版新社 ),139, 2004 国立がんセンターがん対策情報センター (http://ganjoho.ncc.go.jp/professional/statistics/statistics.html) た という声を聞きますが 高齢化が進んでいますので 今後 ピークの層が高齢者 のほうに移行していく可能性もあります 14 乳がんのがんの発生部位発生部位と進展 乳房は横からみると 乳首のところから乳管 ( 乳汁を運ぶ管 ) と小葉 ( 乳汁を作る工場 ) があります 乳がんの9 割は乳管にがんが生まれるといわれています 残りは小葉から生まれます 乳管を拡大してみると 乳管の中でがんが生まれ 増殖していきます 乳管内の増殖で留まっているものを乳管内がん 乳管を突き破って増殖したものを浸潤性乳管がんと言います そして 非浸潤性小葉癌 乳がんの発生部位と進展 乳管内癌 単層乳管上皮 石灰化 Paget 病 血管 リンパ管 壊死石灰化 筋上皮 非浸潤性乳管癌 ( 乳管内癌 ) 乳管内癌 浸潤性乳管癌 浸潤性乳管癌 小葉癌 転移 - 8 -
- 9 - 手術療法手術療法薬物療法薬物療法放射線療法放射線療法乳房乳房乳房乳房に対するするするする手術手術手術手術腋窩腋窩腋窩腋窩リンパリンパリンパリンパ節の手術手術手術手術乳房部分切除乳房部分切除乳房部分切除乳房部分切除乳房切除術乳房切除術乳房切除術乳房切除術腋窩腋窩腋窩腋窩リンパリンパリンパリンパ節郭清節郭清節郭清節郭清センチネルリンパセンチネルリンパセンチネルリンパセンチネルリンパ節生検節生検節生検節生検乳房乳房乳房乳房に対するするするする照射照射照射照射リンパリンパリンパリンパ節に対するするするする照射照射照射照射胸壁胸壁胸壁胸壁に対するするするする照射照射照射照射抗がんがんがんがん剤ホルモンホルモンホルモンホルモン療法療法療法療法分子標的薬分子標的薬分子標的薬分子標的薬乳がんのがんのがんのがんの治療治療治療治療局所療法局所療法全身療法全身療法個々の乳がんのがんのがんのがんの性質性質性質性質に合わせてわせてわせてわせて治療治療治療治療を組み合わせますせますせますせます! 個々の乳がんのがんのがんのがんの性質性質性質性質に合わせてわせてわせてわせて治療治療治療治療を組み合わせますせますせますせます! 手術手術手術手術によるによるによるによる治療治療治療治療 手術手術手術手術の目的目的目的目的 : 目に見えるがんをきちんとえるがんをきちんとえるがんをきちんとえるがんをきちんと取り除く 手術手術手術手術の方法方法方法方法 : しこりのしこりのしこりのしこりの有無有無有無有無やがんのやがんのやがんのやがんの広がりでがりでがりでがりで異なるなるなるなる乳房温存術乳房温存術乳房温存術乳房温存術乳房温存術乳房温存術乳房温存術乳房温存術乳房切除術乳房切除術乳房切除術乳房切除術乳房切除術乳房切除術乳房切除術乳房切除術しこりがしこりがしこりがしこりが小さくさくさくさく 乳房内乳房内乳房内乳房内の 1 か所にとどまっているにとどまっているにとどまっているにとどまっている場合場合場合場合しこりがしこりがしこりがしこりが大きいきいきいきい またはまたはまたはまたは乳房内乳房内乳房内乳房内の広がりががりががりががりが大きいきいきいきい場合場合場合場合周囲の血管やリンパ管に入り込み 場合によっては 肺 骨 肝臓に転移して広がっていきます 乳がんの治療は手術療法 放射線療法 薬物療法を組み合わせて行う時代となりました 局所療法は 手術や放射線で乳房に直接 治療をします 全身療法は 細かいがん細胞が全身にちらばっているものを治療します 以前は 手術の後に放射線と薬物で治療を行うことがほとんどでしたが 最近は薬物療法を先に行うこともあります 乳がんの性質も個々で違うため 最も効果があるように 3 者を組み合わせたオーダーメイドの治療を行っています 手術の目的は 目に見えるがんをきちんと取り除くことです 手術の方法としては がんのある場所や広がりで異なってきます 乳房温存術は がんが小さく 乳房内の 1 か所に留まっている場合に行われ 乳房の膨らみを残します 乳房切除術は がんが大きい または乳房内の広がりが大きい場合に行われ 乳腺を全部 切除します 局所療法として 放射線療法もあります 乳房温存手術の場合 温存した乳腺に放射線を照射して再発を防ぎます 乳がんのがんのがんのがんの治療治療治療治療 乳がんのがんのがんのがんの手術手術手術手術
右の映像のように 白く丸く写っていて1か所に留まっているのであれば 部分切除が可能になります しかし 乳房全体に広がれば 部分切除ではとり切れないので乳房切除になります MRI で病変の広がりを診断 乳房温存術が可能乳房切除術が必要 17 乳がんのがんの手術手術の事例紹介乳房全摘の場合 乳房全部をとりますので 平な胸になります 乳房温存でも その方の乳房の大きさや がんの位置や広がり方で切除する範囲が変わるので ひきつれたり 乳頭の位置が変わり変形の度合いは 個人差が大きいのが現状です 乳がんの手術による変形や喪失は 患者さんによっても感じ方が違い 医療者側からみればきれいに切除できたなと思っていても 本人はひきつれが気になったり 感じ方も個人差が大きく 心の負担になっている方もいます 10~20 年前の手術では リンパ節や大胸筋も切除してしまうのが標準の治療法で そのため 肋骨が浮きでる えぐれてしまう 腕が上げにくかったりするなど 大きな手術でした - 10 -