市民公開講座

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乳がんの現状は? 予防できるの? 遺伝するの? 今日の内容 なってしまったらどうすればよいの? 治療は? なおるの? 良い病院 良い先生にかかりたい! いくらかかるの?

乳癌かな?!と思ったら

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スライド 1

がん登録実務について

最近 乳がんの人が増えている? 最近 芸能人で乳癌になった人多くない? 乳がんって増えているの? なったら助からないんでしょ?

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筆頭演者の利益相反状態の開示 すべての項目に該当なし

1)表紙14年v0

平成29年度沖縄県がん登録事業報告 背表紙印字

乳がんってどんな病気? 手術 放射線療法 薬物療法といった治療があります 乳がんの治療法には がんが一部にとどまっている場合に そこを集中的に治療する 局所療法 と がんが全身に広がっている可能性のある場合に行う 乳がんは 乳房全体をおおうようにはりめぐらされている乳腺にできる腫瘍 です 乳腺は乳汁

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院内がん登録における発見経緯 来院経路 発見経緯がん発見のきっかけとなったもの 例 ) ; を受けた ; 職場の健康診断または人間ドックを受けた 他疾患で経過観察中 ; 別の病気で受診中に偶然 がん を発見した ; 解剖により がん が見つかった 来院経路 がん と診断された時に その受診をするきっ

付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 ): 施設 UICC-TNM 分類治療前ステージ別付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 原発巣切除 ): 施設 UICC-TNM 分類術後病理学的ステージ別付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 UIC


付表 登録数 : 施設 部位別 総数 1 総数 口腔咽頭 食道 胃 結腸 直腸 ( 大腸 ) 肝臓 胆嚢胆管 膵臓 喉頭 肺 骨軟部 皮膚 乳房 全体

33 NCCN Guidelines Version NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines ) (NCCN 腫瘍学臨床診療ガイドライン ) 非ホジキンリンパ腫 2015 年第 2 版 NCCN.or

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頭頚部がん1部[ ].indd

付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 ): 施設 UICC-TNM 分類治療前ステージ別付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 原発巣切除 ): 施設 UICC-TNM 分類術後病理学的ステージ別付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 UIC


付表 登録数 : 施設 部位別 総数 1 総数 口腔咽頭 食道 胃 結腸 直腸 ( 大腸 ) 肝臓 胆嚢胆管 膵臓 喉頭 肺 骨軟部 皮膚 乳房

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外来在宅化学療法の実際

佐賀県肺がん地域連携パス様式 1 ( 臨床情報台帳 1) 患者様情報 氏名 性別 男性 女性 生年月日 住所 M T S H 西暦 電話番号 年月日 ( ) - 氏名 ( キーパーソンに ) 続柄居住地電話番号備考 ( ) - 家族構成 ( ) - ( ) - ( ) - ( ) - 担当医情報 医

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はじめに この冊子は レトロゾール錠 2.5mg アメル による乳がんのホルモン療法を受ける患者さんが 安心して治療に取り組めるように 乳がんのホルモン療法や薬の効果 副作用について解説しています 冊子を読んでもわからないことや 不安に感じることがありましたら 担当医師や看護師 薬剤師に遠慮なくご相

2. 転移するのですか? 悪性ですか? 移行上皮癌は 悪性の腫瘍です 通常はゆっくりと膀胱の内部で進行しますが リンパ節や肺 骨などにも転移します 特に リンパ節転移はよく見られますので 膀胱だけでなく リンパ節の検査も行うことが重要です また 移行上皮癌の細胞は尿中に浮遊していますので 診断材料や

原発不明がん はじめに がんが最初に発生した場所を 原発部位 その病巣を 原発巣 と呼びます また 原発巣のがん細胞が リンパの流れや血液の流れを介して別の場所に生着した結果つくられる病巣を 転移巣 と呼びます 通常は がんがどこから発生しているのかがはっきりしている場合が多いので その原発部位によ

1. 来院経路別件数 非紹介 30 他疾患経過 10 自主受診観察 紹介 20 他施設紹介 合計 患者数 割合 12.1% 15.7% 72.2% 100.0% 27.8% 72.2% 100.0% 来院経路別がん登録患者数 がん患者がどのような経路によって自施設を受診し

cm 以上の腫瘍では悪性化していることも考慮する必要があります ただし 良性腫瘍でも長期間放置すれば大きくなりますので サイズが大きいからと言って悪性とは限りません 成長速度: 悪性度の高い腫瘍では 大きくなるスピードが速くなります 腫瘍がいつからあったか 最近はどのくらいのスピードで大きくなってき


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膵臓癌について

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健康だより Vol.71(夏号)

Taro-18_2特別講演.jtd

5. 乳がん 当該疾患の診療を担当している診療科名と 専門 乳房切除 乳房温存 乳房再建 冷凍凝固摘出術 1 乳腺 内分泌外科 ( 外科 ) 形成外科 2 2 あり あり なし あり なし なし あり なし なし あり なし なし 6. 脳腫瘍 当該疾患の診療を担当している診療科名と 専

          

図 1 乳管上皮内癌と小葉上皮内癌 (DCIS/LCIS) の組織像 a: 乳頭状増殖を示す乳管癌 (low grade).b: 篩状 (cribriform) に増殖する DCIS は, 乳管内に血管増生を伴わない時は,comedo 壊死を形成することがあるが, 本症例のように血管の走行があると,

モノクローナル抗体とポリクローナル抗体の特性と

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前立腺癌は男性特有の癌で 米国においては癌死亡者数の第 2 位 ( 約 20%) を占めてい ます 日本でも前立腺癌の罹患率 死亡者数は急激に上昇しており 現在は重篤な男性悪性腫瘍疾患の1つとなって図 1 います 図 1 初期段階の前立腺癌は男性ホルモン ( アンドロゲン ) に反応し増殖します そ

福島県のがん死亡の年次推移 福島県におけるがん死亡数は 女とも増加傾向にある ( 表 12) 一方 は 女とも減少傾向にあり 全国とほとんど同じ傾向にある 2012 年の全のを全国と比較すると 性では高く 女性では低くなっている 別にみると 性では膵臓 女性では大腸 膵臓 子宮でわずかな増加がみられ

( 後期 1 年目 ) アップ 2. 外来薬物療法を理解し実施できる ( 化学療法 内分泌療法 30 例の達成 ) 3. 乳癌関連基礎研究 ( トランスレーショナルリサーチ ) についての理解 4. 乳腺疾患の診断手技の実施 ( 穿刺吸引細胞診 20 例 針生検 20 例の達成 ) 5. 画像診断の

実地医家のための 甲状腺エコー検査マスター講座

一次サンプル採取マニュアル PM 共通 0001 Department of Clinical Laboratory, Kyoto University Hospital その他の検体検査 >> 8C. 遺伝子関連検査受託終了項目 23th May EGFR 遺伝子変異検

094 小細胞肺がんとはどのような肺がんですか んの 1 つです 小細胞肺がんは, 肺がんの約 15% を占めていて, 肺がんの組 織型のなかでは 3 番目に多いものです たばことの関係が強いが 小細胞肺がんは, ほかの組織型と比べて進行が速く転移しやすいため, 手術 可能な時期に発見されることは少

子宮頸がん 1. 子宮頸がんについて 子宮頸がんは子宮頸部に発生するがんです ( 図 1) 約 80% は扁平上皮がんであり 残りは腺がんですが 腺がんは扁平上皮がんよりも予後が悪いといわれています 図 1 子宮頸がんの発生部位 ヒトパピローマウイルス (HPV) 感染は子宮頸がんのリスク因子です

Microsoft PowerPoint - 印刷用 DR.松浦寛 K-net配布資料.ppt [互換モード]

院内がん登録について 院内がん登録とは がん ( 悪性腫瘍 ) の診断 治療 予後に関する情報を収集 整理 蓄積し 集計 解析をすることです 登録により収集された情報は 以下の目的に使用されます 診療支援 研修のための資料 がんに関する統計資料 予後調査 生存率の計測このほかにも 島根県地域がん登録

密封小線源治療 子宮頸癌 体癌 膣癌 食道癌など 放射線治療科 放射免疫療法 ( ゼヴァリン ) 低悪性度 B 細胞リンパ腫マントル細胞リンパ腫 血液 腫瘍内科 放射線内用療法 ( ストロンチウム -89) 有痛性の転移性骨腫瘍放射線治療科 ( ヨード -131) 甲状腺がん 研究所 滋賀県立総合病

を優先する場合もあります レントゲン検査や細胞診は 麻酔をかけずに実施でき 検査結果も当日わかりますので 初診時に実施しますが 組織生検は麻酔が必要なことと 検査結果が出るまで数日を要すること 骨腫瘍の場合には正確性に欠けることなどから 治療方針の決定に必要がない場合には省略されることも多い検査です

地域公開講演会 2007.3.24

1. Caov-3 細胞株 A2780 細胞株においてシスプラチン単剤 シスプラチンとトポテカン併用添加での殺細胞効果を MTS assay を用い検討した 2. Caov-3 細胞株においてシスプラチンによって誘導される Akt の活性化に対し トポテカンが影響するか否かを調べるために シスプラチ

するものであり 分子標的治療薬の 標的 とする分子です 表 : 日本で承認されている分子標的治療薬 薬剤名 ( 商品の名称 ) 一般名 ( 国際的に用いられる名称 ) 分類 主な標的分子 対象となるがん イレッサ ゲフィニチブ 低分子 EGFR 非小細胞肺がん タルセバ エルロチニブ 低分子 EGF

インスリン局所注射部の 表在超音波検査について

北海道医療大学歯学部シラバス

法医学問題「想定問答」(記者会見後:平成15年  月  日)

ANSWER BREST CANCER 自分の病気を理解するために 担当医に質問してみましょう 私の乳がんは どのようなタイプで 病状はどのようなものですか 病理検査の結果を 説明してください 私のがんは どの病期 ステージ ですか がんはリンパ節やほかの 臓器にも広がっていますか 治療の選択肢 手

学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 小川憲人 論文審査担当者 主査田中真二 副査北川昌伸 渡邉守 論文題目 Clinical significance of platelet derived growth factor -C and -D in gastric cancer ( 論文内容の要旨 )

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第58回日本臨床細胞学会 Self Assessment Slide

1. ストーマ外来 の問い合わせ窓口 1 ストーマ外来が設定されている ( / ) 上記外来の名称 ストマ外来 対象となるストーマの種類 コロストーマとウロストーマ 4 大腸がん 腎がん 膀胱がん ストーマ管理 ( 腎ろう, 膀胱ろう含む ) ろう孔管理 (PEG 含む ) 尿失禁の管理 ストーマ外

32 子宮頸癌 子宮体癌 卵巣癌での進行期分類の相違点 進行期分類の相違点 結果 考察 1 子宮頚癌ではリンパ節転移の有無を病期判定に用いない 子宮頚癌では0 期とⅠa 期では上皮内に癌がとどまっているため リンパ節転移は一般に起こらないが それ以上進行するとリンパ節転移が出現する しかし 治療方法

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市民公開講座 乳がんなんて 〇〇 には何が入るのでしょうか? 新潟市民病院乳腺外科天願敬

がんに罹患する確率 ~ 累積罹患リスク (2005 年データに基づく ) 部位 生涯がん罹患リスク 何人に1 人か 男性 (%) 女性 (%) 男性 ( 人 ) 女性 ( 人 ) 全がん 54 41 2 2 食道 2 0.4 52 246 胃 11 6 9 18 全結腸 8 7 12 15 肝臓 4 2 26 50 膵臓 2 2 54 52 肺 9 4 12 26 前立腺 6 子宮頚部 1 94 子宮体部 1 103 卵巣 1 93 乳房 ( 女性のみ ) 6 16

がんで死亡する確率 ~ 累積死亡リスク (2009 年データに基づく ) 部位 生涯がん死亡リスク (%) 何人に1 人か ( 人 ) 男性 女性 男性 女性 全がん 26 16 4 6 食道 1 0.2 84 485 胃 4 2 24 51 全結腸 3 2 35 44 肝臓 3 1 37 76 膵臓 2 1 58 68 肺 6 2 16 47 前立腺 1 73 子宮頚部 0.3 344 子宮体部 0.2 543 卵巣 0.5 189 乳房 ( 女性のみ ) 1 74

乳がんとは?

乳房の構造 乳腺後隙 筋膜肋骨胸筋 こうげき 小葉腺葉 ( 小葉の集まり ) 乳管 乳頭 乳輪 皮下脂肪 クーパー靱帯 ( 乳腺実質を固定している ) 乳腺実質は 15~25 の腺葉からなっている

乳癌の発生部位 乳管内癌 乳管上皮細胞 非浸潤性小葉癌 壊死石灰化 筋上皮細胞 非浸潤性乳管癌 ( 乳管内癌 ) 石灰化 浸潤 Paget 病 乳管内癌 浸潤性乳管癌 乳がんは乳管上皮細胞から発生するといわれている中でも ほとんどが終末乳管小葉系 (terminal duct lobular unit: TDLU) から発生する 浸潤性乳管癌

乳がん検診と診断

女性乳癌罹患数の推移 ( 人 ) 70000 2007 年 :60,986 人 60000 50000 罹患数 40000 30000 20000 10000 0 1975 '80 '85 '90 '95 '00 '05 '07 ( 年 ) 13 国立がん研究センターがん対策情報センター (http://ganjoho.ncc.go.jp/professional/statistics/statistics.html)

癌の部位別罹患率の推移 500 男性 500 女性 全部位 年齢調整罹患率 ( 人口 10 万対 ) 100 10 胃肺肝白血病 大腸 前立腺 胆嚢 胆管 食道 膵 年齢調整罹患率 ( 人口 10 万対 ) 100 10 胃 子宮 大腸 全部位 卵巣 白血病 乳房肺肝膵胆嚢 胆管 食道 14 1975 '80 '85 '90 '95 '00 '05 '07( 年 ) 1975 '80 '85 '90 '95 '00 '05 '07( 年 ) 標準人口は1985 年の日本のモデル人口 1 1975~2002 年の上皮内がんは乳房 子宮のみ 2003 年以降の上皮内がんは全部位を含む 2 上皮内がんを含む集計は2003 年以降のみ 3 乳房と子宮は上皮内がんを含む 国立がん研究センターがん対策情報センター (http://ganjoho.ncc.go.jp/professional/statistics/statistics.html)

女性乳癌の年齢別罹患率 1975~2007 年 200 180 2007 罹患率 ( 人口 10 万対 ) 160 140 120 100 80 60 40 20 2000 1995 1990 1975 1985 1980 0 20 25 30 35 40 45 50 55 60 65 70 75 80 85 年齢 ( 歳 ) 15 国立がん研究センターがん対策情報センター (http://ganjoho.ncc.go.jp/professional/statistics/statistics.html)

都道府県別 (2007 年 2010 年 ) 乳がん検診

初発症状 ( 複数該当を含む ) (%) 100 症状なし 症状あり 癌研乳腺外科 n=14,691 90 80 70 88 87 81 78.3 1970~1979 1980~1989 1990~1999 2000~2002 60 2006 50 2007 17 40 30 20 10 0 23 17.8 11.7 8 8 なし ( 主として MMG 発見 ) 31 12 8 7.8 6.5 3.6 5 5.1 2.7 0.2 0.4 1.9 1 乳腺腫瘤疼痛乳頭分泌腋窩腫瘤 順天堂医院

乳癌診断の基本的な手順 視 触診 腫瘤 (-) マンモグラフィ 超音波 腫瘤 (+) マンモグラフィ 超音波 所見異常なし 所見異常あり 所見異常あり 所見異常なし 穿刺吸引細胞診 ABC(FNA) 乳頭異常分泌あり 乳頭異常分泌なし 腫瘍像あり 腫瘍像なし ( 石灰化 ) 悪性疑 悪性 良性 乳頭異常分泌の診断 分泌液細胞診 分泌物内腫瘍マーカー 超音波ガイド下 ABC CNB マンモトーム マンモトーム 太針穿刺組織診 CNB 乳管造影 乳管内視鏡 ( 乳管鏡 ) 組織診 ( 吸引 擦過液 ) MRI 良性 悪性 悪性 乳がん 良性 経過観察 定期検診自己検診 18

視 触診 乳房のしこりのほか 乳房の皮膚の変化や乳頭からの異常分泌物などの有無を調べる 腰に手をあてた状態で 皮膚の微細な変化を観察する 腕を挙げると乳房下面の皮膚の陥没が明らかとなる ( えくぼ症状 Delle) 皮膚の微細な変化のある部分を両側から軽くつかむと陥没が顕著となる ( えくぼ症状 Dimple) 19

マンモグラフィ (MMG) とその特徴 内外斜位方向撮影 (MLO;mediolateral oblique) スピクラの著明な腫瘍陰影 乳頭陥凹 腫瘍陰影 乳頭にまで及んでいる悪性微細石灰化 皮膚変化著明 頭尾方向撮影 (CC;craniocaudal) 低エネルギー X 線を用いた乳房専用の X 線撮影のことで 乳腺などの正常な軟部組織と腫瘍のごくわずかな X 線吸収値の差を描出して病巣を診断 良好な画像を得るためには乳房を適度に圧迫する必要がある 触知できない早期の乳癌 ( 小さい腫瘍 石灰化した微細な乳癌 ) も高感度に検出可能である MLO と CC の 2 方向撮影を行って補完し 立体像を組み立てて診断する しこりの部分だけを圧迫拡大撮影することもある 20

乳房超音波検査 (US) とその特徴 探触子 ( プローブ ) 被験者に直接接触して超音波を送受信する部分 撮影法 低エコー腫瘍像 ( 黒い部分 ; 硬癌 ) 後方エコー減弱欠損 乳房に 7.5~15MHz の超音波をあて 乳房内部からの反射波をとらえて画像化し病巣の割面を描出する マンモグラフィ (MMG) に比べて 非触知乳癌の検出能はやや劣るが 小さい浸潤癌や非浸潤癌の検出能や病巣内部の質的診断に優れる MMG に比べ 乳腺が密な閉経前女性の乳癌の検出能に優れる X 線被曝の心配がなく 安全かつ容易に繰り返し行える 嚢胞内に発生した癌 ( 嚢胞内癌 ) 21

穿刺吸引細胞診 (ABC または FNA) とその特徴 専用の吸引ピストルを用いた細胞吸引採取 線維腺腫 :2 相性のある細胞群がシート状になっている 癌 : 細胞質が明るく 核が濃染した大型の細胞が集塊状に認められる ( 左と同倍率 ) 超音波ガイド下での細胞採取 細い針 ( 通常 21~23 ゲージ程度 ) を腫瘍に穿刺して 細胞塊を吸引し これをスライドガラスに吹きつけて染色し 細胞学的な良性 悪性所見を顕微鏡で検査する方法 侵襲が少なく 手技が簡単であるが 診断に必要な細胞量を採取するためには 習熟を要す 硬癌や小葉癌は 診断成績が低下しやすい 非触知例や腫瘍が小さい場合は 超音波ガイド下での採取が行われる 22

太針生検 (CNB) とその特徴 バードモノプティ針 (14 ゲージ ) 超音波ガイド下での採取 穿刺中の超音波画像 マンモグラフィ (MMG) や超音波検査 (US) で腫瘤を認める病変の生検に用いられる 細胞診より太い針を病変に刺入して組織片を採取し 病理組織診断を行う方法 超音波ガイド下で行い 確実に腫瘍に穿刺していることを確認する 組織診以外に ER PgR HER2 などを同時に検査するために 通常 3 回の穿刺を行う 癌である場合に乳房温存手術が可能と判断された時は 外科的生検を避け 太針生検を正確に行って判断する 組織標本の観察 (HE 染色 ) 23

乳がんの治療戦略 1 手術

乳癌外科治療の先達 華岡青洲 (1760~1835) なが 紀州那賀の外科医 文化元年 ( 1804 年 10 月 13 日 ) に 世界で初めて通仙散の内服による全身麻酔下で乳癌摘出を行った 呉秀三著華岡青洲先生及其外科より 10 月 13 日は 麻酔の日

乳癌の基本的な治療方針 術式の選択 しこりの大きさ 拡がり 位置 悪性度 リンパ節への転移状況 その他の所見 術前療法 ( 化学療法 内分泌療法 抗 HER2 療法 ) 乳房切除術 乳房温存手術 ( 胸筋合併乳房切除術 ) 胸筋温存乳房切除術 扇状部分切除術円状部分切除術腫瘍摘出術 術中の病理診断 術中 術後の病理診断 取り残しあり 手術法の変更 ( 追加切除 ) 取り残しなし 術後の病理診断 取り残しあり ( 乳房内再発の可能性高い ) 再手術 ( 追加切除 ) 乳房内再発の可能性少ない 放射線照射 乳房内再発の可能性が非常に少ない 放射線照射なし 26 術後の治療方針の決定 ( 化学療法 内分泌療法 抗 HER2 療法 )

乳癌の主な術式と切除範囲 切除 郭清範囲 術式名 全乳房 一部乳房 腫瘍 リ腋ン窩パ節 小胸筋 大胸筋 リ胸ン骨パ傍節 リンパ節 鎖骨上 Bt Bp Tm Ax SN Mn Mj Ps Sc 乳房温存手術 乳房切除術 腫瘍摘出術 乳房部分切除術 乳房扇状部分切除術 乳房円状部分切除術 拡大乳房切除術 [ ] 胸筋合併乳房切除術 胸筋温存乳房切除術 皮膚温存乳房切除術 (Skin-Sparing Mastectomy:SSM) 乳頭温存乳房切除術 (Nipple Sparing Mastectomy:NSM) (SSM) (NSM) 27 切除 郭清する [ ] 郭清しないこともある : 現在では例外的な進行例にのみ適応 状況に応じてどちらかとなる ( センチネルリンパ節術中転移陽性で 腋窩郭清追加の場合は SN Ax と記載する ) 日本乳癌学会 / 編 : 臨床 病理乳癌取扱い規約第 16 版,2008. 日本乳癌学会 / 編 : 臨床 病理乳癌取扱い規約第 17 版,2012 より作図 ( 監修 : 霞富士雄先生 )

乳癌の主な術式乳房温存術 乳房扇状部分切除術 癌が乳管内を乳頭側に向かって拡がっている場合に乳頭を中心に扇状に切除する方法 SNB 陰性ならばそのまま 陽性ならば腋窩リンパ節郭清を行う 乳房円状部分切除術 1~2cm の安全域を含め 癌を円状に垂直に切除する方法 SNB 陰性ならばそのまま 陽性ならば腋窩リンパ節郭清を行う 腋窩リンパ節 SNB 腫瘍腋窩リンパ節 SNB 腫瘍 小胸筋大胸筋乳腺肋骨小胸筋大胸筋乳腺肋骨 腫瘍摘出術 正常乳腺をほとんど切除しないで しこりのみを切除する方法 SNB 陰性ならばそのまま 陽性ならば腋窩リンパ節郭清を行う SNB 腋窩リンパ節 腫瘍 小胸筋大胸筋乳腺肋骨 28

センチネルリンパ節生検 (SNB) SNB:Sentinel lymph node biopsy SNB の結果と治療方針 手術 SN の同定と摘出 手術中の迅速検査 同定不能 腋窩リンパ節郭清 転移あり 腋窩リンパ節郭清 転移なし 郭清省略 29 センチネルリンパ節 (SN) 腫瘍 SN とは : 癌からのリンパ管流が最初に流れ着くリンパ節 癌が最初に転移するリンパ節と考えられる SNB の方法 : 色素法 RI 法 転移あり 腋窩リンパ節郭清 ( または腋窩照射 ) 手術後の検査 経過観察 転移なし 術後療法 ( 術後化学 内分泌療法 ) SNB 適応の目安 : 腫瘍の大きさが 3cm 以下で 触診や画像診断でリンパ節転移陰性と考えられる症例

乳がんの治療戦略 2 放射線治療

乳癌における放射線療法の主な適応 1 乳房温存術後の乳房照射 2 乳房切除術を行った局所進行例に対する術後照射 ( 例 : 腋窩リンパ節転移陽性例 ) 3 手術を施行しない局所進行乳癌に対する乳房および所属リンパ節照射 4 再発 転移巣に対する照射 a) 局所 領域再発 b) 骨転移 c) 脳転移 癌性髄膜炎など 31 参考資料光森通英ほか : 癌の臨床, 46(5), 773, 2000 日本乳癌学会 / 編 : 科学的根拠に基づく乳癌診療ガイドライン 1 治療編, 2011 年版.

乳房温存療法における乳房照射 通常の照射スケジュール 1 週間 1 2 3 4 5 6 7 乳房全体に接線二門照射 X 線 1 回 1.8 2.0Gy 週 5 日間継続 4.5 5.5 週間実施 ( 計 45 50.4Gy) 腫瘍床への追加照射を行う場合 : 電子線 boost 照射 全乳房への接線照射 + ( 電子線追加照射 ) 通常 1 回 2Gy を 5 8 回 ( 計 10 16Gy) 乳房温存手術後の照射野として全乳房照射が強く勧められ 癌遺残の疑いのあるものは 腫瘍床への追加照射を考慮する 全乳房照射の線源は通常 4~6MV の X 線を使用し 肺等への影響を減らすために接線状に照射し 線量を均一にするために対向 2 門照射を行う 乳房内の線量をできるだけ均一にするために ウェッジフィルターを用いて補正する 32 参考資料日本乳癌学会 / 編 : 科学的根拠に基づく乳癌診療ガイドライン 1 治療編, 2011 年版. 河守次郎ほか : 映像情報 Medical, 38(12), 1166, 2006.

乳がんの治療戦略 3 ー 1 薬物療法 ホルモン剤

乳腺に影響を及ぼすホルモン 視床下部 脳下垂体後葉 LH-RH オキシトシン ACTH 脳下垂体前葉 LH FSH TSH 甲状腺 成長ホルモン プロラクチン 乳汁の合成と分泌 乳房の発達 乳汁排出 乳腺に影響を及ぼすホルモン 甲状腺ホルモン乳房の発達 腺葉 ( 小葉の集まり ) 小葉 ( 腺房の集まり ) 卵巣 エストロゲン 乳管の発達 プロゲステロン エストロゲンプロゲステロン成長ホルモン 胎盤 腺房 or 小葉の発達 乳管 副腎皮質 糖質コルチコイド乳房の発達 34 参考資料中野昭一編 図解生理学 ( 医学書院 ),1981 ほか

主な乳癌内分泌療法の作用点 閉経前 視床下部 主に閉経後 LH-RH アゴニスト LH-RH CRH LH FSH ACTH 卵巣 下垂体 副腎 エストロゲン 卵巣摘出 抗エストロゲン作用 下垂体 - 副腎 卵巣系に対するフィードバック MPA ( メドロキシプロゲステロン酢酸エステル ) 抗エストロゲン剤 (SERM または SERD) 脂肪組織 筋肉 肝臓など エストロゲン アロマターゼ アンドロゲン アロマターゼ阻害剤 LH-RH : 性腺刺激ホルモン放出ホルモン CRH : コルチコトロピン放出ホルモン LH : 性腺刺激ホルモン FSH : 卵胞刺激ホルモン ACTH : 副腎皮質刺激ホルモン SERM :Selective Estrogen Receptor Modulator SERD :Selective Estrogen Receptor Downregulator 乳癌増殖 乳癌組織内 エストロゲン アロマターゼ アンドロゲン 35

乳がんの治療戦略 3 ー 2 薬物療法 抗がん剤

主な抗癌剤の作用点 プリン環生合成阻害 プリン合成 ピリミジン合成 メトトレキサート イリノテカンエトポシド注 1) ドキソルビシンエピルビシンアクラルビシンピラルビシンミトキサントロン dtmp 合成阻害 DNA 損傷修復阻害 DNA インターカレーション RNA 合成阻害 リボヌクレオチド 酵素など デオキシリボヌクレオチド DNA RNA (Transfer Messenger Ribosomal) 蛋白 微小管 dtmp 合成阻害 DNA 合成阻害 DNA クロスリンク 微小管の機能阻害 シクロホスファミドマイトマイシン C カルボプラチン注 2) パクリタキセルドセタキセルエリブリン 5-FU テガフール UFT ドキシフルリジン シタラビンゲムシタビン HER2 蛋白チロシンキナーゼ 増殖刺激 VEGF 受容体 トラスツズマブ 抗体依存性細胞障害作用等 ラパチニブ VEGF ベバシズマブ VEGF 活性阻害 注 1) 本邦では乳癌の適応なし注 2) 本邦ではタキサン系薬剤およびトラスツズマブとの併用時のみ乳癌の適応あり 37 参考資料国立がんセンター内科レジデント編 がん診療レジデントマニュアル第 4 版 ( 医学書院 ), 356, 2007 より一部改変

乳がんの治療戦略 3 ー 3 薬物療法 分子標的薬

抗 HER2 療法薬について 作用概念図 薬剤名分類主な作用適応症 トラスツズマブ ( 抗体 ) HER2 HER2 自己リン酸化 NK 細胞単球など 抗体依存性細胞障害作用 トラスツズマブ ( 点滴静注 ) 抗 HER2 ヒト化モノクローナル抗体 抗体依存性細胞障害作用 HER2 受容体に結合して HER2 受容数を減少させることにより増殖シグナルを低減させ 抗腫瘍効果を発現 HER2 過剰発現が確認された乳癌 ラパチニブ ( チロシンキナーゼ阻害剤 ) 細胞内シグナル伝達 ラパチニブ ( 経口 ) EGFR/HER2 受容体型チロシンキナーゼ阻害剤 チロシンキナーゼ活性を阻害し 下流へのシグナル伝達を抑制. この結果として 抗腫瘍効果を発現 HER2 過剰発現が確認された手術不能または再発乳癌 各製品の製品情報概要をもとに記載 適応症例の詳細 用法 用量等は製品添付文書を参照 39

転移 再発の治療

転移性乳癌に対する治療の考え方 (Hortobagyi) 1) 転移性乳癌の診断 転移臓器 転移状況の診断 ホルモンレセプター状況の把握 無病期間 年齢 閉経状況 ホルモン感受性あり生命を脅かす転移なし 一次内分泌療法 ホルモン感受性なし生命を脅かす転移あり 一次化学療法 効果あり 効果なし 病状の増悪なし 病状の増悪あり 病状の増悪なし 病状の増悪あり 二次内分泌療法 二次化学療法 効果あり 効果なし 病状の増悪なし 病状の増悪あり 病状の増悪なし病状の増悪あり三次内分泌療法効果あり 効果なし 三次化学療法 サポーティブケア 41 補足 : 日本乳癌学会による転移 再発後の治療アルゴリズムは ガイドラインをご参照ください 2) 1)Hortobagyi, G.N.,:N. Engl. J. Med., 339, 974, 1998. 2 ) 日本乳癌学会 / 編 : 科学的根拠に基づく乳癌診療ガイドライン 1 治療編, 2011 年版.

敵を知り己を知れば百戦 敵とは 乳がん全般 己とは 自分の乳がんの性質 病気の状態 百戦 診断 ~ 手術 ~ 術後の治療 など様々な段階

乳がんなんて 怖くない!

乳がんなんて 〇〇 あなたは何を?