石川県病院厚生年金基金の 年金受給者 受給待期者のみなさまへ ~ 基金解散方針決議 のお知らせ ~ 拝啓時下 ますますご清祥のこととお慶び申し上げます 年金受給者並びに受給待期者の皆様には 日頃より基金の事業運営にご理解をいただき厚くお礼申し上げます さて 当基金は 昭和 63 年に加入事業所に働く方々の老後の安定と福祉の向上を図ることを目的として設立され 事業主の皆様の御支援とご協力により 約 27 年間その役割を果たしてきました しかしながら 平成 25 年 6 月の通常国会で 基金制度の廃止を内容とする法律が成立し 昨年 4 月に施行されました 厚生年金基金の一部には国から預かっている 代行部分 の資産を満たしていない基金もあり このことが厚生年金本体の財政に影響を与えかねないとして 厳しい存続要件を満たす基金以外は 施行日から 5 年以内に解散させる法律となっています 当基金におきましても 法改正の内容と基金の財政状況等を踏まえ今後の運営について この 2 年間あらゆる方策を検討してまいりましたが 6 月 29 日に開催いたしました第 61 回代議員会でやむなく 基金解散の方針 を議決し 解散認可に向けた手続きを進めていくことになりました 基金解散後の年金給付につきましては 代行部分については国に返還され 国 ( 年金事務所 ) から年金が支払われることになります また 代行部分以外の事業主負担による基金独自の上乗せ部分につきましては 年金としての給付はなくなりますが 代行部分の資産を国に返還し なお残余財産があった場合には 受給者 受給待期者及び加入者の皆様に分配する予定です 基金の解散には 国の認可が必要となりますが 解散認可取得には約 2 年 ( 解散予定日 : 平成 29 年 5 月 ) を要します 今後 正式に解散認可となりましたら改めてお知らせいたします 皆様には 大変なご心配とご迷惑をおかけいたしますが 何卒事情ご賢察のうえ ご理解賜りますようお願い申し上げます 敬具 1 平成 27 年 8 月石川県病院厚生年金基金理事長菊地誠
1. 改正法の内容 改正法の概要 厚生年金基金制度見直し法により 基金存続が困難に 1 平成 26 年 4 月 1 日 ( 施行日 ) 以降は厚生年金基金の新設は認められません 2 代行割れ ( 注 1) している基金は 施行日から 5 年以内に解散することになっています 3 施行日から 5 年時点で 存続要件 ( 注 2) を満たす健全基金は 厚生年金基金として存続するか 代行返上または解散を選択することになります 4 当基金のように 代行部分の債務は確保していても存続要件を満たさない 代行割れ予備軍 の基金は 法施行後 5 年以降に存続要件を満たさなくなると 厚生労働大臣が第三者委員会の意見を聴いて解散命令を発動することになっています ( 注 1) 代行割れ 代行部分の債務となる最低責任準備金を確保できていないこと ( 注 2) 存続要件 最低責任準備金の 1.5 倍または最低積立基準額の資産を確保していること 当基金の場合 平成 26 年度決算 ( 見込み ) では 年金資産は最低責任準備金を超え 代行部分は確保してい ますが 最低責任準備金比は 1.16 倍 最低積立基準額比は 0.94 倍と存続基準を下回っています 現在の資産状況と新基準 代行割れしているかどうかの基準である最低責任準備金比は 1.16 倍の積立水準を確保しているものの 今後 新基準である 1.50 倍 ( 旧基準 1.05 倍 ) を満たすためには 更に 70 億 7 千万円以上の積立金の積み増しが必要となり そのためには以下の対応が必要となります 1 掛金で対応 今後 1.4%( 一人当たり月 3,640 円 ) の掛金率の上積みが必要 2 資産運用で対応 毎年 収益率が国より 1.3% 上回ることが必要 医業経営の現況から 掛金率引き上げは事業主負担が一層増加し また 資産運用で対応の場合ハイリスク ハイリターンの運用の必要性が生じ 経営や雇用に多大なる影響が出る恐れがあります 2. 解散方針決議について 制度見直しにかかるこれまでの検討概要 当基金の運営方針は 平成 20 年に 当基金の在り方 ( 存続 解散 代行返上 ) についての検討会 が設置され 検討結果として 現在の経済情勢から現状は維持するが 代行返上の時期は今後検討する ことが同年 9 月開催の代議員会で承認されました このことにより 基金運営方針は 代行返上 ( 代行部分を国に返上し 上乗せ部分で新たに創設する DB 制度に権利義務を移転 ) を基本に 代行返上のタイミングを計っていたところです しかしながら 基金制度見直し法 が平成 26 年 4 月に施行されたことに伴い 当基金では 平成 24 年 8 月から 27 年 6 月まで計 8 回の代議員会や説明会 勉強会の開催 また 事業主への 基金制度見直しに関する意向調査 を実施し 検討を重ねてまいりました その結果 基金存続 のために改正法による積立水準を永続的に達成することは 掛金負担や運用リスクの面から難しいこと 代行返上 の場合は 新制度 に現行の積立不足も承継され掛金負担が増大することから 全ての事業所の同意取得が実務面で難しい状況と判断され 最終的にやむなく 解散 の方針となりました 2
基金解散の概要 当基金は平成 27 年 6 月 29 日の代議員会において解散方針を議決しました 基金解散後 代行部分の年金給付は国の厚生年金の一部として支給されます 基本プラスアルファ部分 加算部分の給付は基金解散により終了します 国への代行部分の資産返還後 残余財産があった場合は分配金をお支払いします 3. 基金解散による影響 解散前後の年金給付の変更 現在の年金給付 解散後の年金給付 厚生年金のみの加入期間 厚生年金基金の加入期間 すべての厚生年金の加入期間 国から支給 1( 厚生年金 ) 報酬比例部分 加算年金 基本プラス α 定額部分 ( 老齢基礎年金 ) 2 厚生年金基金基本年金 ( 代行部分 ) 基金から支給 国から支給 残余財産があれば 分配して清算 1( 厚生年金 ) 報酬比例部分 (2 代行部分を含む ) 定額部分 ( 老齢基礎年金 ) 厚生年金基金が支払っていた 代行部分 の年金は 国から支払われます 代行部分について 代行部分 の年金資産と基金加入記録は国へ返還され 解散後は国から支払われることになります 加入員の皆様が負担されていた基金の掛金は 厚生年金本体 ( 国 ) の保険料の一部でしたので 最低責任準備金 ( 代行部分の債務 ) を国に返すことにより 代行部分に係る年金資産は保全されます したがって 皆様が負担された基金の代行部分の掛金が解散によって消滅することはありません 受給待期者の皆様へ解散認可後は 当基金でお支払いする予定であった基金加入期間 ( 代行部分 ) の年金につきましては 国 に引き継がれ 将来 国 から老齢厚生年金として支給されます このため 解散認可後に受給待期者の皆様が老齢厚生年金を受けられる際には 基金ではなく 国 ( 年金事務所 ) に年金の裁定請求手続きを行っていただきますようお願いいたします 国へ返還後の給付制限 ( 代行部分の基金独自給付部分 ) について 基金解散後 代行部分の年金支給義務が基金から国へ返還されることにより 返還後の年金給付が制限される場合があります 国が定める併給調整 支給調整に該当すると 基金が独自に支払ってきた年金額の全部または一部の支給が停止されます 3
1 支給要件 2 在職老齢年金の支給調整 確認事項当基金国 加入期間 1 ケ月以上 在職中は支給額の調整あり ( ただし 当基金に加入していない事業所に在職の場合は調整なし ) 25 年以上 ( 消費税引き上げに合わせて 10 年以上となる予定 ) 在職中は支給額の調整あり 370 歳以上被用者の支給調整 ( 平成 12 年 4 月 2 日生以降の者 ) 支給額の調整なし 支給額の調整あり 4 雇用保険と 失業給付 併給調整あり 併給調整あり との併給調整 高年齢雇用継続給付 併給調整あり 併給調整あり 5 障害年金 遺族年金との併給調整 併給調整なし 併給調整あり 1 支給要件基金では 加入期間が 1 ケ月以上から年金を支給しますが 国へ返還後は国の支給要件を満たしていない場合 年金が受けられません 2 在職老齢年金の支給調整基金では 基金に加入している事業所に在職中の受給者の年金について 国と同様の支給停止の調整を行っていますが 当基金に加入していない事業所に在職中の人には支給停止の調整を行っていません 国へ返還後は調整の対象になります 370 歳以上被用者の支給調整 70 歳以上で事業所に使用されている基金の年金受給者 ( 昭和 12 年 4 月 2 日生以降の方 ) は 支給額の調整は行っていませんが 国へ返還後は報酬と年金との調整の対象となります 4 雇用保険との併給調整基金では 失業給付 高年齢雇用継続給付を受給中の人の年金には 併給調整を行っていますが 国へ返還後も従来どおり調整の対象になります 5 障害年金 遺族年金との併給調整基金では 本人の年金と障害または遺族年金との併給調整は行っていませんが 国へ返還後は調整の対象になります 基金の 加算年金 基本プラスアルファ の給付はなくなります 国に代行部分の資産返還後に受給者 受給待期者 加入員に残余財産の分配で清算します 上乗せ部分について 解散後は上乗せ部分 ( 加算年金及び基本プラスアルファ ) の給付はなくなります ( この 上乗せ部分 に係る掛金は 全額事業主負担によるものです ) 解散後 残余財産の範囲内で基金規約に基づき受給者 受給待期者及び加入員に分配されます 分配金は 一時金で受取るか 企業年金連合会にこれを移して 通算企業年金 として受取るかを選択できます 残余財産の分配について解散認可後に清算業務を行い 国へ返還する 最低責任準備金 確定後に残余財産があれば 基金規約に基づき 受給者 受給待期者 加入員の皆様へ分配されることとなりますが 解散後およそ 1 年半の期間を要すると考えられます 決定次第ご連絡いたしますので ご理解の程よろしくお願い申し上げます 4
4. 今後のスケジュール ( 予定 ) 日程 概要 解散の方針を決議 ( 平成 27 年 6 月 ) してから解平成 27 年 6 月 : 解散方針決議散認可までには 記録整備など諸手続きに時間がかかり 通常 2 年程度かかります 認可を受けてから分配金の支払いまで 国に返平成 29 年 5 月 : 基金解散の認可す資金の正確な計算を行うため 1 年半程度かかります 平成 30 年 11 月頃には 代行部分の必要原資 ( 最低責任準備金 ) を国に納付した後 残余財産の平成 30 年 11 月 : 分配金の支払い分配を予定しています この残余財産が確定するまでは 分配金の計算はできませんので ご了承願います スケジュールは 記録整備の進ちょく状況で解散 分配の時期は変動します 5. 基金解散についての Q&A Q1 なぜ基金を解散しなければいけないのですか? A1 基金を存続していくためには 国の厚生年金の運用利回りを常に上回らなければならないという運用リスクが付きまといます さらに 今般の法改正により 基金が財政基準をクリアできなかった場合 短期に資産が回復するよう 大幅な掛金引き上げ が求められています 本来 基金制度は長期の視点で運営するものですが 短期での不足に対しても早急な対応が必要となるのです 大幅な掛金引き上げは加入事業所の存続や雇用にも関わる厳しい対応であり また 不足が生じてからの基金解散は 財政状況が悪い状態での解散となるため 国に返還する資産を保有しているうちに基金を早期に解散する判断により 解散方針が決議されました Q2 基金解散はもう確定したのですか? A2 現状では 代議員会において基金解散方針が議決された段階です 今後 事業主ならびに加入員の皆様の 3 分の 2 以上の同意を得たうえで解散の議決を行い 国へ申請し 認可を得て基金解散が確定することとなります Q3 基金が解散すると 現在受給中の年金はどうなりますか? A3 厚生年金基金の給付は 代行部分 ( 掛金は 事業主と加入員の折半負担 ) 代行部分に付加した基本プラスアルファ部分 ( 掛金は 事業主負担 ) 及び加算部分 ( 掛金は 事業主負担 ) で構成されています 給付の多くを占める代行部分に関しては 解散後は国に支給義務が移転され 国の厚生年金から支給されることになります ( このための手続きは不要です ) 基本プラアルファ部分や加算部分は 基金解散に伴い終了となります 5
Q4 基金が解散した場合 年金が無くなってしまうケースもあるのですか? A4 基金の年金は基金規約に基づいて給付していますので 仮に 1 ケ月の基金加入期間があれば年金給付の対象となります 代行部分を国に返しますと厚生年金保険法に基づく給付となりますので 国の受給資格が無い方は 年金の給付がなくなる可能性があります 受給資格等につきましては お近くの年金事務所にご相談してください Q5 現在 加算年金を受給していますが 一時金で受け取ることができますか? A5 加算部分の年金は 20 年保証の終身年金です 年金給付を開始して保証期間 20 年を経過していない場合は 残りの期間を一時金で受け取ることができます 基金が解散すると 国に資産を返還した後の残余財産は 受給者 受給待期者 加入員に分配されます 解散時の残余財産によっては 一時金を下回る可能性がある旨 ご承知おきください ( 注 ) 加算年金の保証期間は 平成 17 年 4 月 1 日以前に受給権を取得している方は 15 年となっています Q6 いつから基金の給付はなくなるのですか? A6 基金からの給付がなくなるのは 国から解散認可を受けた後 ( 予定 : 平成 29 年 5 月 ) です 解散認可を受けるまでは基金から従来どおり年金が支給されます それ以降は 代行部分の年金は国の厚生年金から支給されます Q7 これから年金を請求するのですが 解散したらどうなりますか? A7 解散までは 基金加入期間分の請求は基金にしていただくことになります 解散後は 基金の加入期間も含めて国に請求していただくことになります Q8 これまで納めた掛金は 掛け捨てになってしまうのですか? A8 過去に加入員として負担した基本標準掛金 ( 代行部分の基本部分 ) は 解散しても厚生年金保険として国に引き継がれることになりますので これは掛け捨てとはなりません 一方 解散しますと現役の加入員 受給者 受給待期者を問わず上乗せ給付はなくなりますが 上乗せ給付に備えた掛金 ( 加算標準掛金等 ) は事業主がすべて負担したものです なお 解散後に残余財産がある場合には 皆様に分配金が支払われます 以上 6