2 地域医療ビジョン 地域医療計画ガイドライン実践編 ステップ 8/7 評価指標の作成 ~ 患者 現場 地域に意味ある効果を ~ 発表者 埴岡健一 ( 東京大学公共政策大学院医療政策教育 研究ユニット特任教授 )
1 ガイドラインでの推奨内容 評価指標の作成とは :5 疾病 5 事業 在宅医療等に関する施策を評価する指標や数値目標を作成すること 推奨施策 ( PDCAサイクルと指標 の章において ) 1 施策 指標マップ に基づいた施策効果に関する評価の実施 2 PDCAサイクルと指標に関する研修の実施 3 PDCAサイクル向上ツールキット の提供 4 地域医療計画評価指標データサービス の提供 5 指標の開発 集計 表示に関する国と都道府県 等の財源の確保 推奨施策 ( プロセスガイドラインのステップ 8 において ) 地域医療計画情報 指標センターの設置 地域医療ビジョン / 地域医療計画策定ガイドライン実践編 2
1 ガイドラインでの推奨内容 推奨ツール 4 施策効果チェックシート 5 施策 指標マップ 7 施策優先度判定シート 11 施策抽出シート 12 施策 指標マップ使用の 10 のポイント 13 推奨施策リスト (5 疾病 5 事業 在宅医療分野の施策 指標マップ )(17 セット ) 推奨施策 ( プロセスガイドラインの総合施策として ) 地域医療計画情報支援センター ( 仮称 ) の設置 地域医療ビジョン / 地域医療計画策定ガイドライン実践編 3
1 ガイドラインでの推奨内容 5 疾病 5 事業 在宅医療で 17 セットの施策 指標マップと指標リストを提示 例示は 脳卒中 出典 :1 ガイドライン 地域医療ビジョン / 地域医療計画策定ガイドライン実践編 4
国のがん緩和ケア分野のマップ ( 説明 ) 国の計画の文章での記述を充実にたどりつつ構造化してロジックモデルにすることが可能 国の 100 余りの指標リストにある指標をそこに配置することができる 一定のアウトカム指標の目途が立っている 同時に空白指標もある 情報源は医療機関での調査 機能調査 患者体験調査など 地域医療ビジョン / 地域医療計画策定ガイドライン実践編 5
がん緩和ケア分野のマップ ( 図 ) 出典 :2 地域医療ビジョン / 地域医療計画ガイドラインプロセス編 ( 評価指標の作成 ) 暫定版 地域医療ビジョン / 地域医療計画策定ガイドライン実践編 6
がん緩和ケア分野のマップ ( 表 ) 区分番号指標番号 A 1 がん患者のQOLの状況 : がん患者のからだのつらさ D10 A 2 がん患者のQOLの状況 : がん患者の疼痛 D11 A 3 あなたは がんによる体の痛みがありますか 全 2 A 4 がん患者のQOLの状況 : がん患者の気持ちのつらさ D12 A 5 あなたは がんによる心の痛みを感じていますか 全 3 A 6 家族ケアの状況 : 家族の介護負担感 D15 A 7 経済的な負担のために治療を変更 断念したことがありますか 全 14 B 1 緩和ケア専門サービスの普及状況 : 専門的緩和ケアサービスの利用状況 D4 B 2 終末期がん患者の緩和ケアの質の状況 : 医療者の対応の質 D13 C 1 緩和ケア専門人材の配置状況 : 専門 認定看護師の専門分野への配置 D5 C 2 緩和ケアに関する地域連携の状況 : 地域多職種カンファレンスの開催状況 D9 C 3 医療用麻薬の利用状況 : 主要経口 経直腸 経皮医療用麻薬消費量 D3 C 4 一般医療者に対する教育状況 : 緩和ケア研修修了医師数 D6 C 5 一般市民への普及状況 : 一般市民の緩和ケアの認識 D7 C 6 一般市民への普及状況 : 一般市民の医療用麻薬に対する認識 D8 地域医療ビジョン / 地域医療計画策定ガイドライン実践編 7
がん緩和ケア分野のマップ ( 図 2) 有 有 M M 有 = 指標有り P= 患者体験調査指標有り M= 医療従事者体験調査指標有り 有 M 有 P M M 有 P M 有 有 P 有 M 有 M 出典 :2 地域医療ビジョン / 地域医療計画ガイドラインプロセス編 ( 評価指標の作成 ) 暫定版 地域医療ビジョン / 地域医療計画策定ガイドライン実践編 8
奈良県の指標の作り方 ( がん診療 ) 県の指標 委員発の指標 国の指標を色分け 施策アウトプット 中間アウトカム 最終アウトカムに構造化 情報源分類を表示 9
奈良県の指標の作り方 施策 指標マップの形式を採用 国の施策と指標を施策 指標マップとして理解 県が必要な指標を配置 空白指標に関しても一定の対処 患者調査 機能調査などで指標を補足 委員からも指標を追加 評価の仕方についても検討を開始 出典 :2 地域医療ビジョン / 地域医療計画ガイドラインプロセス編 ( 評価指標の作成 ) 暫定版 地域医療ビジョン / 地域医療計画策定ガイドライン実践編 10
実践への課題と論点整理 ( 論点整理 ステップ 4/3 と共通 ) (1) それぞれの都道府県の努力だけに負わせることなく 全国で共有できる仕組みを作ること (2) 継続的 計画的に整備して 各都道府県の関係者が安心して活用 参加 協力できるようにすること (3) 各都道府県には難度が高い 指標の開発については 全国的な知恵の共有の仕組みを作ること (4) データの収集と分析の意味と体系がよく理解できるような説明と情報提供を行うこと (5) それを評価する方法と仕組みが整備されてこそ 施策の改善とアウトカムの向上につながるため 分析と評価に関するガイドを作成する必要がある ( ステップ 3/4 既存施策の評価参照 ) 出典 :2 地域医療ビジョン / 地域医療計画ガイドラインプロセス編 ( 評価指標の作成 ) 暫定版 地域医療ビジョン / 地域医療計画策定ガイドライン実践編 11
推奨施策 ( その 1) 1 PDCA サイクル向上ツールキット の提供 ( 改 ) 地域医療計画の策定等に関わる審議会等の委員や地方自治体職員は 施策 指標マップ などを含む PDCA サイクル向上ツールキット を活用して施策の作成や 合意形成のプロセスを進める 2 評価指標データサービス の提供 ( 改 ) 各都道府県や 2 次医療圏などの SPO 指標 各地の施策と目標設定 施策の好事例候補 各地で実施されている調査票と結果などを全国から収集し 比較可能 検索可能とする 地域医療計画情報支援センター の設置 ( 改 ) 出典 :2 地域医療ビジョン / 地域医療計画ガイドラインプロセス編 ( 評価指標の作成 ) 暫定版 地域医療ビジョン / 地域医療計画策定ガイドライン実践編 12
推奨ツール 1 施策 指標マップ 作成ガイド ( 試行版 ) だれでも無理なく 段階的に理解していけるための支援ツール 基本用語集 (PDCA サイクル セオリー評価 プロセス評価 インパクト評価 費用対効果評価 ロジックモデル インプット アウトプット アウトカム ストラクチャー プロセス アウトカム ) 基本的な考え方 ( コア指標 アウトプットとアウトカム 患者視線包括指標 患者体験調査 医療の質を示す指標 医療従事者調査 ) 施策 指標マップ 10 のポイント ( 次ページ ) FAQ( よくある質問と回答集 ) も必要出典 :2 地域医療ビジョン / 地域医療計画ガイドラインプロセス編 ( 評価指標の作成 ) 暫定版 地域医療ビジョン / 地域医療計画策定ガイドライン実践編 13
マップ活用 10 のポイント 7 全体を何度か見直す 4 それに結びつく施策候補 2 それに結びつく中間アウトカム 1 分野アウトカムから考える 3 あるべき指標 9 情報源は医療データと患者調査 5 中間アウトカム効果で優先付 8 ないデータは開発を検討 6 つながりを確認する 10 数値目標は現状値を把握してから 出典 :2 地域医療ビジョン / 地域医療計画ガイドラインプロセス編 ( 評価指標の作成 ) 暫定版 地域医療ビジョン / 地域医療計画ガイドライン ( 暫定版 ) 14
医療計画を中心とした医療改革のロジックモデル 出典 : 患者アドボカシーカレッジ6 1 医療提供体制の再構築 ~いかに 総論賛成 各論反対 を脱するか~ 地域医療ビジョン / 地域医療計画策定ガイドライン実践編 15
推奨施策 ( 全体施策 ) 地域医療計画情報支援センター 出典 :2 地域医療ビジョン / 地域医療計画ガイドラインプロセス編 ( 評価指標の作成 ) 暫定版 地域医療ビジョン / 地域医療計画策定ガイドライン実践編 16
地域医療計画情報支援センター 1 ガイドラインでの提案について 賛同が多いが 実現性の確保と 十分に機能する体制にすること が課題とされた そこで案を改訂 強化 運営 : 国が設置を支援するが 運営体制は第三者機関とし 中立的かつ機動的に運営する 同センターの目標や目指すべき姿を明確にしたうえで 同センターの運営の PDCA サイクルを回す 人材 : オールジャパン体制で人材を集結させる それぞれの技術 事業 サービスの専門家と同時に 組織のチームマネジメントができる人材が 目的に向かって力を引き出せるように 環境や処遇などを含めて整えることとする 出典 :2 地域医療ビジョン / 地域医療計画ガイドラインプロセス編 ( 評価指標の作成 ) 暫定版 地域医療ビジョン / 地域医療計画策定ガイドライン実践編 17
地域医療計画情報支援センター 資金 : 各地の地域に実際に役立つサービスを提供するためには 一定規模の人員と活動資金が必要となる 国の資金を含めた財源を確保することが必要である 同時に 多様な資金を呼び込み 活用する工夫も求められる 設置主体 : 一カ所を想定 ただし 補完的な活動をするサブセンターが県単位あるいはブロック単位にあって同センターと連携することも考えられる 他のステークホルダーとの関わり : 同センターがサービスの提供と目的の達成を牽引すべきである 同時に社会の多様なステークホルダーがそれに参加し 支援し 補完し 普及活動に取り組み 共に浸透させていくことも重要である 出典 :2 地域医療ビジョン / 地域医療計画ガイドラインプロセス編 ( 評価指標の作成 ) 暫定版 地域医療ビジョン / 地域医療計画策定ガイドライン実践編 18
まとめ 使える / 役立つ評価指標は 簡単ではないが 道が開けつつある 苦行でなく やりがいのある活動にすることが重要 施策 指標マップの考え方と使い方の普及がカギ 客観調査 患者体験調査 医療提供者調査でマップの指標はほぼカバーされる 施策 指標マップなどを共有する仕組みを構築することで PDCA サイクルが動く可能性が出てくる 地域医療計画情報支援センターの設置がカギ 出典 :2 地域医療ビジョン / 地域医療計画ガイドラインプロセス編 ( 評価指標の作成 ) 暫定版 地域医療ビジョン / 地域医療計画策定ガイドライン実践編 19
ありがとうございました ~ 意味が見いだせる デザイン を ~