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スライド -3 日本語版 SF-6D に関しては すでに開発と検証が終わっていまして 6 つの下位尺度からなる尺度として利用が始まっています その 6 つの下位尺度とは ここに挙げている身体機能 日常役割機能 社会生活機能 身体の痛み 心の健康 活力といったもので これらの組み合わせで 1 万スライド - 3 8,000 通りの健康状態の表現が可能となっています オリジナルに則した翻訳にはなっていますが 日本においては身体 精神に関する日常役割機能は同じ回答パターンを示すと言われるため 全体的な頻度を問う質問に変更されたという経緯があります スライド -4 しかしながら この SF-6D の運用上の問題点として 効用値算出のために現在この 36 項目全て回答することが求められているという点が挙げられます これ自体は非常に項目数が多く 効用値を求めるだけのためには効率が悪いということが挙げられています そのため より少ない項目で健康関連 QOL を測定する SF-8 や SF-12 から効用値が求められれば 非常に簡便なツールとなり得ることが期待されています また 今まで蓄積されてきた SF-8 や SF-12 のデータを用いた効用値の算出が可能となり 既存のデータを用いた費用効果分析などの研究の発展が期待できると思われます スライド - 4 スライド - 5 スライド -5 そこで 私たちは Mapping Approach というものを用いて SF-8 や SF-12 の回答から効用値の推定を試みましたので報告します これは簡単に説明しますと まず SF-36 ならびに SF-8-228 -

セッション 5 / ホールセッション がともに含まれた質問紙調査のデータを用います 第一ステップとして SF-36 の回答項目を用いて効用値を算出します これは先ほど申した既存のアルゴリズムで換算することができます これを従属変数として それに対して SF-8 や SF-12 の回答項目を説明変数とするような当てはまりの良いモデルを構築するという 原理としては非常に単純な仕組みになっています スライド -6 今のことをもう一度かい摘んで説スライド - 6 明しますと SF-36 の結果から効用値を算出します ただ 日本で今までマッピングを用いた効用値の算出がなされたことがないので 英国の結果と比較して 日本のデータのマッピングの可能性を検討しました その上で 推定された効用値を従属変数 SF-8 ならびに SF-12 の項目を説明変数とした複数のモデルを作成して 当てはまりの評価を行いました さらには 当てはまりのよいとされたモデルを別の validation sample を用いた検証を実施して確認するというプロセスを含んでいます これは SF-12 においても同様のことをしていますが 今回はSF-8の結果についてのみご説明します スライド -7 初期モデルの作成に関しては まず 以下の2つの観点から作成し比較しました まずは 説明変数の候補を何にするかということですが 1 つ目のモデルは メンタル コンポーネント サマリー (MCS) フィジカル コンポーネント サマリー(PCS) ロール コンポーネント サマリー (RCS) を説明変数の候補としました これらはSFツールの回答結果から算出される身体 精神 役割機能の各サマリースコアをスライド - 7 連続変数として用いたモデルです 2 つ目は 8 つの下位尺度得点を連続変数として用いたモデル 3 つ目は この 8 つの下位尺度の結果を順序変数として扱い ダミー変数化して用いたモデル 以上のような説明変数の候補となるセットを準備しました なお 実際に適用する初期モデルとしては 最尤推定を用いた線形回帰分析と あとは Tobit モデルの 2 つ - 229 -

をモデルとしています スライド -8 そして この初期モデルのほうで最も当てはまりがよいとされたモデルを またさらに当てはまるように拡張していくことをしています 例えば説明変数に対スライド - 8 して MOST term これはSF-8の項目で最悪の項目を付けたような人を示す変数ですが こういうものを説明変数に加えました さらには性 年齢などを加えて 当てはまりを改善するという方法を試みました そしてさらには 2 段階モデルへの応用も試みました 具体的には 1 つ目の最尤推定法に基づく線形回帰を行った後に リニア スプラインモデルあるいはキュービック スプラインモデルを用いました スライド - 9 スライド -9 モデルの当てはまりの評価に関しては 平均 標準偏差 最小値 最大値 二乗平均平方根誤差 平均絶対誤差 平均誤差 さらには赤池情報量基準など 多面的に判断し行っています また 今回の発表では割愛していますが 従属変数の効用値を区間ごとに分け その各区間での当てはまりの評価も実施しています スライド -10 さて 結果ですが 対象者の特性を述べさせていただきます 2,304 名の患者さんに対して 2 対 1 で Derivation data set と Validation data set に分割しています その患者さんの背景は年齢 51 歳が平均で 女性が 48 49 パーセント SF-6D は 0.68という平均値でした そして 分布に関しては右の図で スライド - 10-230 -

セッション 5 / ホールセッション 示しています 英国の結果と比較して ばらつきに関しても 多少点数は低いものの概ねばらついていると判断し マッピングは可能だろうという判断に至りました スライド -11 次は初期モデルの結果からの抜粋ですが 最も当てはまりのよかった 2 つのモデルを提示しています 結果 dummy variable つまりダミー変数で入れたモデルの当てはまりが最も良好でした その中で最尤推定法に基づく線形回帰と Tobit モデルの結果を示しています ただ 少し図で分かりにくいかもしれませんが 誤差を見ると 高い推定値においては推定値との差が大きくなっており 当てはまりが悪いことがそれぞれ示されています ここを改善する必要があるということが初期モデルからは明らかになりました なお さまざまな当てはまりの指標を見ますと 最大値以外は線形回帰分析のほうがよろしいので そちらを使用することとしました スライド - 11 スライド - 12 スライド -12 そのモデルを拡張したモデルの結果をお示しします これは 性 年齢 さらには先ほど申しました MOST terms を入れて 2 段階で用いたものです やはりまだ こちらのよい健康状態のところの当てはまりは少し悪いのですが だいぶ改善されてきて 最大値は 0.90 になっています そしてまた validation data set でも良好な当てはまりが確認され 本モデルの使用は問題ないであろうという判断に至りました スライド - 13 スライド -13 考察です - 231 -

最尤推定の線形回帰分析に基づく拡張モデルで 各項目をダミー変数として投入し さらには性 年齢 MOST terms を投入したモデルが良好な推定能を満たすということが明らかとなりました ただ 本研究の限界としては 高い効用値域 特に 0.9 以上の効用値域においては推定能が低下するという問題点があり すなわち非常に健康状態の良好な方に対して本研究より得られたモデルは使いにくい点が挙げられます 反面 中等度域のものに関しては高い推定能を有していますので 病院の入院患者さん等に関しては十分使用可能であろうということが示唆されました スライド -14 結語です SF-8 の項目から 効用値を換算可能な推定式の算出を行いました 性 年齢などの変数投入 ならび 2 段階のモデルの使用により 推定能の向上に成功しました 今後さらなるモデルの改良を予定しています スライド -14 質疑応答 座長 : この推定結果を利用した研究は かなり進んでいるのですか? 山本 : はい 推定の論文を執筆中でして その結果の公表され次第 恐らく本推定方法を用いた研究が拡がるものと思われます すなわち 短い項目の質問紙からでも効用値が算出できるようになるというメリットを社会に還元できるものと思います 座長 : データベースをきちっと整理しておけばしておくほど 将来非常に面白い研究ができますね 山本 : フィードバックして その結果をまたさらに分析するということを繰り返していくことで どんどん精度が高まってくると思われますので そのようなことを期待しているところでございます - 232 -

セッション 5 / ホールセッション 座長 : ぜひ頑張ってください 山本 : ありがとうございます - 233 -