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3. 安全性本治験において治験薬が投与された 48 例中 1 例 (14 件 ) に有害事象が認められた いずれの有害事象も治験薬との関連性は あり と判定されたが いずれも軽度 で処置の必要はなく 追跡検査で回復を確認した また 死亡 その他の重篤な有害事象が認められなか ったことから 安全性に問

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Transcription:

総会フォーラム 高齢者における薬物療法 から 処方薬剤の削減で QOL が向上した事例 近藤和子 八幡朋子 京都市内の療養型病棟と老健施設 ( 介護老人保健施設 ) において, 医師と薬剤師が連携して患者 ( 入所者 ) への処方薬剤数を減らした結果, 高齢者の QOL が向上したケースの数例を以下にまとめてみた まず, 一般的に, 療養型病棟と老健施設の違いは, 表 1 のようである 両施設とも, 急性期を除いた回復期または慢性型で病状が比較的安定しているものの, 症状的には現在双方の患者は重なり合っている部分が多く, 退所時には双方とも在宅での生活が可能となることを目標としているが, 患者側の病状や家族側の受け入れ体制, または一人暮らしが困難な例が多く, 長期入所となって再度他の施設に入所する方が大部分となっているのが現状である 療養型病棟は介護保険とともに医療保険内で治療が可能なため, 老健施設より医師や看護師が多く配置されているため, やや重度の方が多いといえるが, 病院と比べると不十分な体制で夜間の看護等もこなしている また, 老健施設は入所者 1 人当たりの居住スペースは療養型より広く, 病院より老人ホームに近いと云えるが, 医療保険が適用できないため中心静脈栄養が必要な方などは体制的に受け入れることができない - 203 -

表 1 療養型病棟と老健施設の違い 療養型病棟 老健施設 医師患者 48 人に 1 人 1 人 ( 保険診療不可 ) 薬剤師患者 150 人に 1 人週 3 単位程 /100 床 居住空間 ( 患者 1 人当たり ) 6.4 m2 8 m2 報酬 ( 保険 ) 医療保険, 介護保険も可能介護保険のみ 薬剤包括 医療保険は 1,151 点 9 ランクに分けて支払い在宅への退所にボーナス点 薬剤包括 介護度 ( 軽度から重度 ) で支払いに差在宅への退所にボーナス点 利用者負担 1 割 ( 食事代, 居宅費負担 ) 1 割 ( 食事代, 居宅費負担 ) 将来 医療型を 15 万床削減, 介護型は廃止に? 薬に対しては, どちらも包括払いとなっているため, 薬の種類や剤数はできるだけ少なくすることが経営上求められるが, それ以上に在宅復帰へ向けた取り組みから, 患者の QOL を上げていくことが必要となり, 処方薬が見直されることが多い 両施設の特徴として病院に比べて長い入所期間があり, 患者の状態を観察しながら薬を減らしていくことができる点があげられる 以下に処方薬を減らすことによって患者の QOL が劇的に向上した事例, または減薬によっても症状の変化が見られなかった事例を上げてみた 事例 1~3 は老健施設, 事例 4~6 は療養型病棟における事例である 事例 1 の 80 代の男性は, 入所期間は 2 年に及び, 入所当初の診断名は 軽度痴呆, パーキンソン症候群, 甲状腺機能低下症, てんかん, 前縦角膜腫瘍, 視力障害 であり, 症状としては 座位困難, よだれ, ふるえ, 傾眠 などが強く食事も充分に摂れず, 何度も病状が悪化して病院へ入院を繰り返していたケースであるが, 現在は抗てんかん薬 1 剤となり, 姿勢もしっかりして, 活気が戻り意欲的になり, 食欲も旺盛になっている 事例 1の処方 入所時処方 ネオドパゾール 200mg 抗パーキンソン薬 アーテン 4mg 抗パーキンソン薬 チラージン S 100mg 甲状腺ホルモン フロセミド 20mg 利尿剤 ピロラクトン 25mg 利尿剤 (K 保持性 ) デパケン R 600mg 抗てんかん薬 現処方 ハイセレニン細粒 (40%) 400mg 抗てんかん薬 - 204 -

この男性の入所前の主たる病名であるパーキンソン様症状は, 薬の副作用から生じたものと 推察され, 薬の中止により症状はなくなっている 事例 2 の 70 代の男性も入所 2 年以上になるが, 中度の知的障害がベースにあり, 独居中に大量飲酒で病気になり入院となった後施設入所したケースである 入所当初の診断名は パーキンソン症候群, アレルギー性皮膚炎, 精神遅滞 となっていたが, 性格的にはこだわりが強く, 几帳面で, 対人関係に問題がある点から, 自閉症の高機能型ではないかと思われる しかし, そのような性格的な点を除いては, なんら病的な症状はないため, 服薬をすべて中止した その後も問題はまったく現れていない 事例 2 の処方 入所時処方ドプス 200mg 抗パーキンソン薬 現処方 ポララミン イクロール ウルゲント グルコン酸カリウム なし 4mg 抗ヒスタミン薬 400mg H2 ブロッカー 4mg 排尿改善薬 ( 抗コリン作用 ) 2mg カリウム製剤 事例 3 の 70 代の男性は入所 3 か月になっているが, 入所当初の診断名は てんかん, 糖尿病, 脳血管性痴呆, 高血圧, 高脂血症, 大腸がん ( 肝転移, 腹膜播種性転移 ) であり, 徘徊, 興奮, せん妄, 入眠困難 の症状があり, 尿道カテーテルを設置した状態で施設内を歩き回り, カテーテルを引き抜く行為が多く職員が付ききりの状態であった 事例 3 の処方 入所時処方 リピトール 10mg スタチン剤 バイアスピリン 100mg 抗血小板薬 アキネトン 1mg 抗パーキンソン薬 パナルジン 200mg 抗血小板薬 アレビアチン 300mg 抗てんかん薬 グラマリール 300mg 抗精神病薬 ロヒプノール 1mg 睡眠薬 テトラミド 10mg 抗うつ薬 ( 四環系 ) リスパダール液 3mg 抗精神病薬 セルベックス 100mg 抗潰瘍薬 現処方 ニチアスピリン 100mg 抗血小板薬 チアリール 50mg 抗精神病薬 アレビアチン 300mg 抗てんかん薬 アンデプレ 25mg 抗うつ薬 グッドミン 0.25mg 睡眠薬 - 205 -

しかし, カテーテルを取り, 眠前に服用していた抗精神薬のリスパダール液 3ml と, 高脂血症薬のリピトール 10mg を中止して, 同効薬を整理して, せん妄に対する薬の量も 6 分の 1 に減らしていった 現在では入所前の病院で四肢を拘束されていたとは思えないほど穏やかで良くなっている 事例 4 のケースは 膀胱炎と胸膜炎 で一般病棟に入院された 90 代の女性です 感染症が改善された後に,10 か月間療養病棟に入院されたので, その間に 5 種類も出されていた高血圧薬を中止するなど薬の整理を行った結果, 胃潰瘍が改善され,4 剤のみとなっている 退院後は糖尿病と年相応の軽い認知症はあるものの 1 人で生活されている 事例 4 の処方 入院時処方 ラシックス 20mg 高血圧, むくみ アルダクトン A 25mg 高血圧, むくみ コリネール L10 20mg 高血圧 ロンゲリール 10 20mg 高血圧 ニチイネート 200mg 高血圧, 高脂血症 タケプロン 30 30mg 抗潰瘍薬 ブタマイド 250mg 糖尿病 センナリド 1T 便秘薬 退院時処方 ブタマイド 500mg 糖尿病 センナリド 1T 便秘薬 カマグ 0.5g 便秘薬 ボウイオウギトウ 2.5g 関節痛, むくみ 事例 5 のケースは 80 代の男性で, 食欲不振, 脱水, 意識レベル低下 で入院されている 当初の病名は パーキンソン症候群, 陳急性心筋梗塞, 認知症 であったが,4 か月の入院期間中に入れ歯の上下装着により, 食事摂取が可能となり, 全身状態の改善が見られて, 睡眠薬その他の薬が不要になり, 現処方は 1 剤のみで自宅に退院されている 事例 5 の処方 入院時処方 エパンド Cp 300mg 閉塞性動脈硬化症 ダイケンチュウトウ 2.5g 腹が冷えて痛み腹部膨満感 バイアスピリン 100mg 抗血小板薬 ロヒプノール 1mg 催眠鎮静薬 トーファルミン 50mg 抗パーキンソン薬 フェロミア 50mg 鉄剤 退院時処方 エンセロン 30mg 脳梗塞後のめまい 塩 1g - 206 -

事例 6 のケースは入院期間が 8 か月になる 80 代の女性で, 骨粗鬆症, 高脂血症, 尿路結石, 不眠, 腰痛, 肛門狭窄, 便秘症, めまい 等の病名がつけられていたが, 入院中に運動療法等に取り組みながら, 薬を徐々に減らしてゆくことができ, 最終的には便秘薬と昇圧薬のみで自宅に退院となっている 事例 6 の処方 入院時処方 ウブレチド 5mg 低緊張性膀胱の排尿障害 ルボックス 75mg 抗うつ薬 ナウゼリン 15mg 吐き気止め メトリジン 6mg 昇圧薬 モービック 10mg 消炎鎮痛薬 マシンニンガン 2.5g 便秘薬 ダイオウカンゾウトウ 2.5g 便秘薬 グッドミン 0.5mg 睡眠薬 イソバイド 60ml 抗メニエル病薬 セディール 15mg 抗不安薬 退院時処方 メトリジン 2mg 昇圧薬 セチロ 4T 便秘薬 ダイオウカンゾウトウ 2.5g 便秘薬 センナリド 2T 便秘薬 以上 6 つの実例をやや詳しく紹介したが, これらの施設内で薬剤を減らしてゆくに当たって問題となった点を整理してみると以下のようになる 一般的に高齢者は複数の疾患をもつため, その疾患毎に処方が出ているケースが多く, 多剤処方となりやすい 老健施設では医師は 1 人であり, 療養型病棟でも医師は少なく, 他の専門医がそれぞれに処方した薬を整理することは難しく, パーキンソン病や精神症状のように検査データに表れない病状や, 長期投与により日内変動がある場合は薬剤の変更や整理は, 専門医でない医師は躊躇することが多い 臨床検査のデータから病気の確認が可能な, 糖尿病や電解質, 甲状腺ホルモンなどの変動などは, ある程度訓練を積んだ内科医であれば対処が可能であり, これらの同効薬の多剤処方例などは, 実践されている 反面, 高血圧については, 高齢者は壮年と同じように降圧剤を使用すると,QOL を損なうとする見解が増えているにも関わらず, 血圧を下げることになりがちである 最近, 内科医などでも SSRI などの抗精神科薬をよく処方され, 長期間高齢者に使用される例が増えているが, 抗精神薬については処方に当たって精神科医の受診が必要と思われる また, 高齢者に高脂血症薬 ( スタチン剤 ) がよく使用されているが, 果たして必要なものかどうか疑問である 最後に薬剤整理による患者の QOL の効果を判定するために, 整理前と整理後の QOL を測定す - 207 -

る 日常生活動作評価規準 が必要であり, このような規準は医師, 看護師, 介護士などの協力のもとに作成できると考えられる ( こんどう かずこ老健西ノ京 ) ( やわた ともこ吉祥院病院 ) - 208 -