目 次 1 消費税増税スケジュール P.2. 2 消費税転嫁対策特別措置法 P.2~P.5 Ⅰ 消費税の転嫁拒否等の行為の是正に関する特別処置 P.2~P.3 Ⅱ 消費税の転嫁を阻害する表示の是正に関する特別処置 P.3 Ⅲ 価格表示に関する特別処置 P.4 Ⅳ 消費税の転嫁及び表示の方法の決定に係

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❸ 商品購入 役務利用 利益提供の要請 特定事業者は 消費税の転嫁を受け入れる代わりに 特定事業者の指定する商品を購入させたり 役務 ( サービス ) を利用させたり また 経済上の利益を提供させる行為を行ってはいけません 具体例 消費税率引上げ分の全部又は一部を上乗せすることを受け入れる代わりに

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6 転嫁カルテル 表示カルテルの独占禁止法適用除外 今般の消費税率の引上げに伴い 消費税を円滑かつ適正に転嫁できる環境を整備するため 消費税転嫁対策特別措置法では 事業者又は事業者団体は 公正取引委員会に事前に届け出ることにより 消費税の転嫁及び表示の方法の決定に係る共同行為 ( 転嫁カルテル 表示

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消費税の 円滑かつ 適正な 転嫁のために 10% 引上げ対応版 内閣官房 内閣府 公正取引委員会 消費者庁 財務省 経済産業省 中小企業庁


ことも認められています 施行日前 ( 平成 26 年 3 月 31 日以前 ) にリース契約を締結し リース資産の引渡しを行ったリース取引についてこの特例により賃貸借処理を行っている場合には 旧税率の 5% が適用されます 3. 資産の貸付け に関する経過措置指定日の前日 ( 平成 25 年 9 月

資料 2 平成 25 年における消費税転嫁対策の取組について 平成 26 年 1 月 24 日公正取引委員会 はじめに今般予定されている消費税率の引上げに際し, 消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保することを目的として, 消費税の転嫁の拒否等の行為の是正に関する特別措置等を内容とする, 消費税の円滑かつ

消費税の転嫁状況に関するモニタリング調査 (10 月調査 ) の結果について 平成 30 年 11 月 経済産業省 1. 調査概要 調査手法書面郵送調査 調査時期平成 30 年 10 月 1 日 ( 月 )~10 月 16 日 ( 火 ) 対象事業者数 40,000 者 対象事業者の従業員規模分布

総額表示義務に関する消費税法の特例に係る不当景品類及び不当表示防止法の 適用除外についての考え方 平成 25 年 9 月 10 日一部改定平成 27 年 4 月 1 日一部改定平成 28 年 4 月 1 日一部改定平成 28 年 11 月 28 日消費者庁 第 1 はじめに 1 法律の概要等消費税の

消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法の遵守の徹底について

3. 改正の内容 法人税における収益認識等について 収益認識時の価額及び収益の認識時期について法令上明確化される 返品調整引当金制度及び延払基準 ( 長期割賦販売等 ) が廃止となる 内容改正前改正後 収益認識時の価額をそれぞれ以下とする ( 資産の販売若しくは譲渡時の価額 ) 原則として資産の引渡

23-24

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消費税率の引上げについて 社会保障 税一体改革関連法により 消費税率が段階的に引き上げられることとなりました < 消費税率引上げのスケジュール > 平成 24 年 8 月 22 日社会保障 税一体改革関連法公布 平成 26 年 4 月 1 日消費税率 5% 8% 適用 平成 27 年 10 月 1

消費税率引上げ時期の変更に伴う対応について 消費税関係 資料 1 税率引上げ関係 軽減税率関係 軽減税率財源確保関係 転嫁対策 改正前 1 税率引上げ時期 : 平成 29 年 4 1 ( 税制抜本改 法で規定 ) 2 請負契約等に係る経過措置の指定 : 平成 28 年 軽減税率実施時期

13. 平成 29 年 4 月に中古住宅とその敷地を取得した場合 当該敷地の取得に係る不動産取得税の税額から 1/2 に相当する額が減額される 14. 家屋の改築により家屋の取得とみなされた場合 当該改築により増加した価格を課税標準として不動産 取得税が課税される 15. 不動産取得税は 相続 贈与

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総合相談センターの応答事例

品券その他の有価証券三供応 ( 映画 演劇 スポーツ 旅行その他の催物等への招待又は優待を含む ) 四便益 労務その他の役務 ( 注 2) いわゆる ポイントサービス ( 購入額に一定率を乗じる等して算出された ポイント を次回購入時の支払に充てること等ができるサービスをいう ) は本条第 3 号の

消費税価格転嫁等総合相談センターの応答事例

03 改訂2版 別添_消費税QA(本体)

投資法人の資本の払戻 し直前の税務上の資本 金等の額 投資法人の資本の払戻し 直前の発行済投資口総数 投資法人の資本の払戻し総額 * 一定割合 = 投資法人の税務上の前期末純資産価額 ( 注 3) ( 小数第 3 位未満を切上げ ) ( 注 2) 譲渡収入の金額 = 資本の払戻し額 -みなし配当金額

障財源化分とする経過措置を講ずる (4) その他所要の措置を講ずる 2 消費税率の引上げ時期の変更に伴う措置 ( 国税 ) (1) 消費税の軽減税率制度の導入時期を平成 31 年 10 月 1 日とする (2) 適格請求書等保存方式が導入されるまでの間の措置について 次の措置を講ずる 1 売上げを税

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2 その他 H26 中間申告義務のない事業者が 届出 012 書を提出した場合には 自主的に中間申告 納付することができる旨を 検討したか ( 平成 26 年 4 月 1 日以 後開始課税期間より適用 ) 本則課税の場合科目等 No. 主な項目チェック摘要 1 課税事業者 H26 課税期間の基準期間

改正消費税法の実施に先立ち施行日をまたぐ取引の適用税率と経過措置の再確認(その1)

(4) 宅地建物取引士の欠格要件について定める第十八条第一項の五号の二の次に次の号が 付け加えられました 五の三暴力団員等 ( 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第二条第六号に規 定する暴力団員又は同号に規定する暴力団員でなくなった日から五年を経過しない者 ) (5) 更新日前でも手数料を

( 平成 35 年 (2023 年 )10 月 ~) 等の仕入税額控除可 税額計算( 注 ) 売上税額を 積上げ計算 する場合には 仕入税額も 積上げ計算 特例( みなし計算 簡易課税の事後選択 ) - その他適格等保存方式の導入 等保存方式 ( 現行制度 ) の記載事項 発行者の氏名又は名称 取引

【表紙】

CONTENTS 第 1 章法人税における純資産の部の取扱い Q1-1 法人税における純資産の部の区分... 2 Q1-2 純資産の部の区分 ( 法人税と会計の違い )... 4 Q1-3 別表調整... 7 Q1-4 資本金等の額についての政令の規定 Q1-5 利益積立金額についての政

消費税率引上げ時期の変更に伴う税制上の措置

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(消費税)確定申告書作成(一般課税)編

申告書の作成手順 申告書の作成は 次の手順で行います 課税標準額及び消費税額の計算 控除対象仕入税額等の計算 付表 5 の作成 納付 ( 還付 ) 税額の計算 納税地 欄等及び 付記事項 欄等の記載 Ⅰ ( 注 ) 経過措置により旧税率 (3% 又は4%) が適用された取引がある場合は 付表 5では

6 課税上の取扱い日本の居住者又は日本法人である投資主及び投資法人に関する課税上の一般的な取扱いは 下記のとおりです なお 税法等の改正 税務当局等による解釈 運用の変更により 以下の内容は変更されることがあります また 個々の投資主の固有の事情によっては異なる取扱いが行われることがあります (1)

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step.2 課税売上高の合計を計算する します step.21 欄の内容を転記します 表ロ 1~3 欄にそれぞれ記入します step.22 を転記します 表ロ 4~6 欄にそれぞれ記入します step.23 容を転記します 表ロ 7~9 欄にそれぞれ記入します step.24 その他の所得に係る収

改正された事項 ( 平成 23 年 12 月 2 日公布 施行 ) 増税 減税 1. 復興増税 企業関係 法人税額の 10% を 3 年間上乗せ 法人税の臨時増税 復興特別法人税の創設 1 復興特別法人税の内容 a. 納税義務者は? 法人 ( 収益事業を行うなどの人格のない社団等及び法人課税信託の引

平成23年度税制改正の主要項目

本則課税の場合科目等 No. 主な項目チェック摘要 1 課税事業者 H27 課税期間の基準期間における課税売上高を確 の判定 014 認したか H27 事業年度を変更している場合等 前々事業年 015 度が1 年未満の場合の基準期間を確認したか ( 法人の場合 ) H27 基準期間が1 年でない場合

[Q1] 復興特別所得税の源泉徴収はいつから行う必要があるのですか 平成 25 年 1 月 1 日から平成 49 年 12 月 31 日までの間に生ずる所得について源泉所得税を徴収する際 復興特別所得税を併せて源泉徴収しなければなりません ( 復興財源確保法第 28 条 ) [Q2] 誰が復興特別所

租税特別措置法 ( 昭和三十二年法律第二十六号 ) 第十条の二 第四十二条の五 第六十八条の十 租税特別措置法 ( 昭和三十二年法律第二十六号 ) ( 高度省エネルギー増進設備等を取得した場合の特別償却又は所得税額の特別控除 ) 第十条の二青色申告書を提出する個人が 平成三十年四月一日 ( 第二号及

3 平成 25 年 4 月に給与の支給規程を改訂し 平成 24 年分 10 月にまでさかのぼって実施する こととなり 平成 25 年 4 月の給与支給日に支払うこととなった平成 24 年 10 月から平成 25 年 3 月までの給与改訂差額 A 3 1 給与所得の収入金額の収入すべき時期は 契約又は

収益認識に関する会計基準

[2] 株式の場合 (1) 発行会社以外に譲渡した場合株式の譲渡による譲渡所得は 上記の 不動産の場合 と同様に 譲渡収入から取得費および譲渡費用を控除した金額とされます (2) 発行会社に譲渡した場合株式を発行会社に譲渡した場合は 一定の場合を除いて 売却価格を 資本金等の払戻し と 留保利益の分

る 増税による混乱を避けるには 欧州のやり方が参考になる 消費税率引上げによる駆け込み需要と反動減といった経済の振れをコントロ ールし 需要変動を平準化する具体策を政府一丸となって検討する必要がある 2 月 20 日の経済財政諮問会議で 安倍首相が指示した際に 欧州の事例にも 学びつつ と 触れたこ

平成29事務年度国税庁実績評価実施計画

step.2 課税標準額を計算する ( 申告書 1) step.2-1 課税売上高の合計 ( 表イ 16 欄 ) に 100/108 を掛けます 課税売上高 ( 税込み ) = 1 課税標準額 表イ 17 欄を使用します step.2-2 step.2-1 の計算結果 ( 表イ 17

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税額控除限度額の計算この制度による税額控除限度額は 次の算式により計算します ( 措法 42 の 112) 税額控除限度額 = 特定機械装置等の取得価額 税額控除割合 ( 当期の法人税額の 20% 相当額を限度 ) 上記算式の税額控除割合は 次に掲げる区分に応じ それぞれ次の割合となります 特定機械

所得税確定申告セミナー

土地の譲渡に対する課税 農地に限らず 土地を売却し 譲渡益が発生すると その譲渡益に対して所得税又は法人税などが課税される 個人 ( 所得税 ) 税額 = 譲渡所得金額 15%( ) 譲渡所得金額 = 譲渡収入金額 - ( 取得費 + 譲渡費用 ) 取得後 5 年以内に土地を売却した場合の税率は30

49 年 12 月 31 日までの間 源泉徴収される配当等の額に係るの額に対して 2.1% の税率により復興 特別が源泉徴収されます b. 出資等減少分配に係る税務個人投資主が本投資法人から受取る利益を超える金銭の分配 ( 分割型分割及び株式分配並びに組織変更による場合を除く 以下本 1において同じ

間の初日以後 3 年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間 6 高額特定資産を取得した場合の納税義務の免除の特例事業者 ( 免税事業者を除く ) が簡易課税制度の適用を受けない課税期間中に国内における高額特定資産の課税仕入れ又は高額特定資産に該当する課税貨物の保税地域からの引取り ( 以下 高

1 検査の背景 (1) 租税特別措置の趣旨及び租税特別措置を取り巻く状況租税特別措置 ( 以下 特別措置 という ) は 租税特別措置法 ( 昭和 32 年法律第 26 号 ) に基づき 特定の個人や企業の税負担を軽減することなどにより 国による特定の政策目的を実現するための特別な政策手段であるとさ

Microsoft Word - ?281110 表紙等(導入オチ)

15 18 定率減税の縮減 (15% 控除 7.5% 控除 (2 万円上限 )) 資本金等の額 ( 税法に規定する資本金等の額又は連結個別資本金等の額 ) が 50 億円超 800,000 円 10 億円超 50 億円以下 540,000 円 1 億円超 10 億円以下 130,000 円 1 千万

はじめに 令和元 (2019) 年 10 月 1 日から消費税率が10% に引き上げられることに合わせて 食品と新聞に対して8% の軽減税率が導入されます そのため 消費税率は8% と10% の複数税率になります 食品や新聞を取り扱っている事業者は 軽減税率や複数税率への対応が必要となりますが 売上

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【問】適格現物分配に係る会計処理と税務処理の相違

Ⅰ 電気通信利用役務の提供に係る内外判定基準の見直し 電子書籍 音楽 広告の配信などの電気通信回線 ( インターネット等 ) を介して行われる役務の提供を 電気通信利用役務の提供 と位置付け その役務の提供が消費税の課税対象となる国内取引に該当するかどうかの判定基準 ( 内外判定基準 ) が 役務の

第1回 消費税率引上げに向けての経過措置の対応

N 譲渡所得は 売却した土地や借地権 建物などの所有期間によって 長期譲渡所得 と 短期譲渡所得 に分けられ それぞれに定められた税率を乗じて税額を計算します この長期と短期の区分は 土地や借地権 建物などの場合は 売却した資産が 譲渡した年の1 月 1 日における所有期間が5 年以下のとき 短期譲

1 収入すべき金額の総額各事業年度において収入することが確定した金額で その事業年度の収入として経理されるべきその事業年度に対応する収入をいいます ( 通 ( 県 )3 章 4 の 9 の 1 4 の 9 の 3) 注 1. 貸倒れが生じたとき又は値引きが行われたときは 貸倒れが生じた日又は 値引き

産業廃棄物税は 最終処分される産業廃棄物に課されるものであり 排出事業者から中間処理に委託された廃棄物すべてに課税されるわけではありません 中間処理業者の方が排出事業者から処理料金に含めて受け取る税相当額は 中間処理によって減量化されたり リサイクルされた分を除いた中間処理後に最終処分される産業廃棄

●租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律案

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2. 個別対応方式 一括比例配分方式 のどちらを採用するか検討する際のポイントを押さえましょう 課税売上高が 5 億円を超える事業者は 1 納税額 2 実務への影響度合 ( 作業負担 ) を考慮して どちらを採用するか検討します 個別対応方式 1 納税額 : 2 実務への影響度合 : 一括比例配分方

JV 工事における取下金の分配についての消費税取扱いは JV 工事における出資金の請求での消費税取扱いは 立替金の請求は税込みでスポンサー会社に請求するが 消費税の対象外と して税抜きで請求する場合とは 各構成員が消費税を申告する際に 仕入税額控除を個別対応方式で計算する 場合に必要な計算要素は J

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収益事業開始届出 ( 法人税法第 150 条第 1 項 第 2 項 第 3 項 ) 1 収益事業の概要を記載した書類 2 収益事業開始の日又は国内源泉所得のうち収益事業から生ずるものを有することとなった時における収益事業についての貸借対照表 3 定款 寄附行為 規則若しくは規約又はこれらに準ずるもの

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(1) 相続税の納税猶予制度の概要 項目 納税猶予対象資産 ( 特定事業用資産 ) 納税猶予額 被相続人の要件 内容 被相続人の事業 ( 不動産貸付事業等を除く ) の用に供されていた次の資産 1 土地 ( 面積 400 m2までの部分に限る ) 2 建物 ( 床面積 800 m2までの部分に限る

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( 注 ) 役務の提供を受ける者の本店又は主たる事務所が日本にあれば課税 ということですので 国内に本店がある法人の海外支店に対して インターネットを介してソフトウェア等を提供した場合は 提供者が国内 国外いずれの事業者であっても国内取引に該当し消費税が課税されます ( 国税庁作成の 国境を越えた役

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はじめに 会社の経営には 様々な判断が必要です そのなかには 税金に関連することも多いでしょう 間違った判断をしてしまった結果 受けられるはずの特例が受けられなかった 本来より多額の税金を支払うことになってしまった という事態になり 場合によっては 会社の経営に大きな影響を及ぼすこともあります また

損金算入できる税金 1. 概要消費税の計算を税抜経理処理して決算時点で課税売上割合が 95% 未満になった場合 控除対象外消費税が出てきます この仮受消費税と仮払消費税の差額と 確定納付額のずれは 損金算入できます 課税売上割合が 80% 以上 95% 未満の場合は 全額を租税公課として損金計上でき

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目 次 問 1 法人税法における当初申告要件及び適用額の制限に関する改正の概要 1 問 2 租税特別措置法における当初申告要件及び適用額の制限に関する改正の概要 3 問 3 法人税法における当初申告要件 ( 所得税額控除の例 ) 5 問 4 法人税法における適用額の制限 ( 所得税額控除の例 ) 6


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平成 25 年 10 月 8 日 0

目 次 1 消費税増税スケジュール P.2. 2 消費税転嫁対策特別措置法 P.2~P.5 Ⅰ 消費税の転嫁拒否等の行為の是正に関する特別処置 P.2~P.3 Ⅱ 消費税の転嫁を阻害する表示の是正に関する特別処置 P.3 Ⅲ 価格表示に関する特別処置 P.4 Ⅳ 消費税の転嫁及び表示の方法の決定に係る共同行為に関する特別処置 P.4~P.5 3 消費税増税に伴う契約金額のトラブル解決方法 ( 不動産貸付業他継続的取引 ) P.6 4 印紙税を節税する方法 ( 建設業等請負業 ) P.7 5 小売業における消費税増税の対応 P.8~P.9 6 飲食業における消費税増税の対応 P.9 7 経過措置等について P.10 8 改正への実務上の対応 P.11 1

1 消費税増税スケジュール 消費税引き上げ施行日 平成 26 年 4 月 平成 27 年 10 月 税率 5% 8% 8% 10% 2 消費税転嫁対策特別措置法 Ⅰ 消費税の転嫁拒否等の行為の是正に関する特別措置 平成 26 年 4 月 1 日以降に供給する商品又は役務について, 消費税の転嫁を拒む行為等が禁止されます 適用対象となる主な取引及び禁止される行為は以下のとおりです 転嫁拒否をする側 ( 規制対象 )( 買手 ) 転嫁拒否をされる側 ( 売手 ) 大規模小売事業者大規模小売事業者と継続的に取引を行っている事業者資本金 3 億円以下の事業者 個人事業資本金 3 億円以下の事業者者と継続的に取引を行っている法人事個人事業者業者 禁止される行為具体例 1 減額本体価格に消費税分を上乗せした額を対価とする旨契約していたが, 消費税分の全部又は一部を事後的に対価から減じること 2 買いたたき原材料費の低減等の状況変化がない中で, 消費税率引上げ前の税込価格に消費税率引上げ分を上乗せした額よりも低い対価を定めること 3 購入強制 役務の利用強制 不当な利益提供の強制消費税率引上げ分を上乗せすることを受け入れる代わりに, 取引先にディナーショーのチケットを購入させること 4 税抜価格での交渉の拒否 2

消費税抜価格 ( 本体価格 ) で交渉したいという申出を拒否すること 5 報復行為転嫁拒否をされた事業者が,1~4の行為が行われていることを公正取引委員会などに知らせたことを理由に, 取引の数量を減らしたり, 取引を停止したりするなど, 不利益な取扱いをすること 違反行為を防止又は是正するため, 公正取引委員会, 主務大臣, 中小企業庁 長官が必要な指導 助言を行います また, 違反行為があると認めるときは, 公正取引委員会が勧告を行い, その旨が公表されます Ⅱ 消費税の転嫁を阻害する表示の是正に関する特別措置 平成 26 年 4 月 1 日以降に供給する商品又は役務の取引について, 消費税分を値引きする等の宣伝や広告が禁止されます 禁止される表示は以下のとおりです 禁止される表示 1 取引の相手方に消費税を転嫁していない旨の表示 2 取引の相手方が負担すべき消費税に相当する額の全部又は一部を対価の額から減ずる旨の表示であって消費税との関連を明示しているもの 3 消費税に関連して取引の相手方に経済上の利益を提供する旨の表示であって2に掲げる表示に準ずるもの 禁止される表示の具体例 消費税は転嫁しません 消費税は当店が負担しています 消費税率上昇分値引きします 消費税相当分, 次回の購入に利用できるポイントを付与します いわゆる 消費税還元セール など 消費税と関連づけた宣伝広告は取締り の対象となります 違反行為を防止又は是正するため, 消費者庁, 公正取引委員会, 主務大臣, 中小企業庁長官が必要な指導 助言を行います また, 違反行為があると認め るときは, 消費者庁が勧告を行い, その旨が公表されます 3

Ⅲ 価格の表示に関する特別措置 (1) 平成 25 年 10 月 1 日以降, 消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保や事業者の値札の貼り替えなどの事務負担に配慮する観点から, 表示価格が税込価格であると誤認されないための措置を講じていれば, 税込価格 を表示しなくてもよいとする特例が設けられます 消費者への配慮の観点から, 上記の特例を受ける事業者はできるだけ速やかに 税 込価格 を表示するよう努めることとされています 具体的な表示の例 ( 例 1) 値札, チラシ, ポスター, 商品カタログ, インターネットのウェブページ等において, 商品等の価格を次のように表示する 円 ( 税抜 ) 円 ( 税抜価格 ) 円 ( 本体価格 ) 円 + 税 ( 例 2) 個々の値札等においては 円 と税抜価格のみを表示し, 別途, 店内の消費者が商品等を選択する際に目に付きやすい場所に, 明瞭に, 当店 の価格は全て税抜価格となっています といった掲示を行う (2) 事業者が, 税込価格に併せて, 税抜価格を表示する場合において, 税 込価格が明瞭に表示されているときは, 景品表示法第 4 条第 1 項 ( 不当表示 ) の規定は適用しないこととされました Ⅳ 消費税の転嫁及び表示の方法の決定に係る共同行為に関する特別措置 平成 26 年 4 月 1 日以降に供給する商品又は役務を対象にした, 事業者又は 事業者団体が行う転嫁カルテル 表示カルテルが独占禁止法の適用除外となり ます ( 公正取引委員会が定めた期間内にあらかじめ届け出ることが必要です ) (1) 転嫁カルテル ( 消費税の転嫁の方法の決定に係る共同行為 ) ( 例 1) 事業者がそれぞれ自主的に定めている本体価格に, 消費税額分を上乗 せすること ( 例 2) 消費税額分を上乗せした結果, 計算上生じる端数について, 切上げ, 4

切捨て, 四捨五入等により合理的な範囲で処理すること 税込価格や税抜価格 ( 本体価格 ) を決めることは, 適用除外の対象にはなりません ( 独占禁止法に違反する行為ですので注意してください ) 転嫁カルテルについては, 参加事業者の3 分の2 以上が中小事業者であることが必要です 中小事業者の範囲 資本金等の額常時使用する従業員数又は ( 会社 ) ( 会社又は個人 ) 製造業 建設業 運輸業 3 億円以下 300 人以下 卸 売 業 1 億円以下 100 人以下 サ ー ビ ス 業 5 千万円以下 100 人以下 小 売 業 5 千万円以下 50 人以下 政令で定める業種業種ごとに政令で定める金額以下 業種ごとに政令で定める数以下 上記以外の業種 3 億円以下 300 人以下 (2) 表示カルテル ( 消費税についての表示の方法の決定に係る共同行為 ) ( 例 1) 税率引上げ後の価格について, 消費税込価格 と 消費税額 とを 並べて表示する方法を用いること ( 例 2) 税率引上げ後の価格について, 消費税込価格 と 消費税抜価格 とを並べて表示する方法を用いること 5

3 消費税増税に伴う契約金額のトラブル解決方法 ( 不動産貸付業他継続的取引 ) 賃貸借契約書 賃料月額 105,000 円 ( 消費税等を含む ) 賃料月額 105,000 円の中に消費税等も含まれていると解釈できるので 消費税 増税後の賃料月額 105,000 円のまま変わらないとされる可能性があります 解決方法 改めて契約書の作成をするか 別途覚書を作成する必要があります ( また 8% から 10% に上がることもほぼ確定しています ) < 賃貸借契約書作成例 > 賃貸借契約書賃料月額 100,000 円消費税等 8,000 円合計額 108,000 円税法の改正により消費税の税率が変動した場合には 改正以降における上記消費税等相当額は変動後の税率により計算する 賃貸借契約書請負金額 108,000 円 ( 消費税等 8,000 円を含む ) 税法の改正により消費税の税率が変動した場合には 改正以降における上記消費税等相当額は変動後の税率により計算する 6

4 印紙税を節税する方法 ( 建設業等請負業 ) ( 例 1) 請負契約書請負金額 500 万円消費税等 40 万円合計額 540 万円 ( 例 2) 請負契約書 請負金額 540 万円 ( 消費税等 40 万円を含む ) ( 例 3) 請負契約書 請負金額 540 万円 ( 消費税等を含む ) 例 1 2 契約金額が税抜 500 万円と判断印紙税 2,000 円例 3 契約金額が税込 540 万円と判断印紙税 10,000 円 印紙税は税務調査の重点事項 印紙税の納付は 通常 作成した課税文書に所定の額面の収入印紙をはり付け 印章又は署名で消印することによって行います この印紙をはり付ける方法によって印紙税を納付することとなる課税文書の作成者が その納付すべき印紙税を課税文書の作成の時までに納付しなかった場合には その納付しなかった印紙税の額とその 2 倍に相当する金額との合計額 すなわち当初に納付すべき印紙税の額の 3 倍に相当する過怠税が徴収されることになります ただし 調査を受ける前に 自主的に不納付を申し出たときは 1.1 倍に軽減されます また はり付けた 印紙を所定の方法によって消印しなかった場合には 消印されていない印紙の額面に相当する金額の過怠税が徴収されることになります なお 過怠税は その全額が法人税の損金や所得税の必要経費には算入されませんのでご注意ください 7

5 小売業における消費税増税の対応 1 レジの設定の変更 消費増税への対応として まず初めに思いつくのがレジの設定変更 これは全国チェーンを展開する大手企業だけでなく 小規模の店舗でも避けられないことです 基本的に この作業は消費税の税率が変わるジャストのタイミングで行う必要があります そのため 特に慎重な対応が求められるのは 深夜営業などを行っている店舗の場合 消費税率が変わる前日 ( 平成 26 年 3 月 31 日 ) から変わる日 (4 月 1 日 ) になる瞬間のギリギリのタイミングを待って 一発勝負で変更作業をすることが求められるからです 余計な混乱を招いてお客様に迷惑をかけないためにも 今から周到な準備を進めておくことが肝要です 2 全商品の値札張替 小売業では 小さな店でも 1000 点を超えるような商品があるのは当たり前 この全ての商品の値札を貼り替える作業をする必要に迫られます 貼り替え作業だけでも最低半日や一日かかるでしょう それに加えて 値札自体の作成にかかる時間も考えておかなければなりません これについても かなり前から準備を始めておきましょう 3 価格表示における特別処置 先程お話ししましたように 平成 25 年 10 月 1 日から小売店等における消費税の表示方法を 総額表示 ではなく 税抜表示 でも許容する特別措置もあります これは増税分の価格転嫁の確保や値札貼り替えなどの事務負担軽減のために導入された制度 表示価格が税込価格であると誤認されないための措置を講じていることが条件となっています この制度を利用するかどうかも検討項目のひとつでしょう 4 Web の価格情報書き換え (Web サイト Web 広告など ) 商品の値札だけではなく Web サイト上の価格情報も全て変える必 要があります 例えば 自社ホームーページ ショッピングサイト 広告 8

バナーなど 変更作業は業者に依頼するのか自社で対応できるのか 税率 が変わるタイミングで 一斉に書き換えるにはどうすればいいのかなど あらかじめ考えておく必要があります 5 印刷物の価格情報書き換え チラシ パンフレットなど 紙の印刷物についても同様 新しい価格情報のものを発注しておくなど 準備が必要になります そして 古い価格情報のものをどのように回収して新しいものと入れ替えるかも検討しておきましょう さらには古い印刷物の在庫数を確認しつつ 多めに刷らないように注意していくことも求められます やむを得ず残った在庫についての取扱いも検討しておきましょう 例えば 訂正シールなどで対応する 別紙の差し込みで対応するなどです 6 その他の検討課題 その他にも 今から検討しておくべきことは山ほどあります 価格転嫁 価格改定についてどうするか検討 税抜き ( 外税 ) 表示にするかどうかの検討 消費者への心理的影響を減らす工夫 税率変更の店内表示の検討 次の 10% への増税時に負担が少ない方法の検討 繁忙期と重なる場合 早めの準備を検討 作業のための人員の確保 臨時休業が必要かの検討 6 飲食業における消費税増税の対応 基本的には 小売業における対応と同じですが 飲食店で注意しなければならないのがコース料理の予約 3 月までにお客さんがコース料理を予約しても実際に飲食を提供するのが 4 月以降になる場合は 8% で計算することになります トラブルにならないように事前にお客さんに説明しておかなければなりません 歓迎会や花見予約などで注意が必要です 9

7 経過措置等について 1 長期割賦販売 ( 別紙 Q&A P12) 平成 26 年 3 月 31 日以前に行った長期割賦販売等については 経過措置と して施行日以後に売り上げを計上する分についても税率 5% を適用すること ができます 2 リース契約 ( 別紙 Q&A P13) 平成 20 年 4 月 1 日以降に行われるリース取引は 原則的な売買取引とし て処理する場合も 賃貸借処理とする場合も リース資産の引渡時の税率 を適用することになります 3 サービス提供 水道光熱費 定期代 ( 別紙 Q&A P15) 電車代等については 支払を施行日前に行った場合については旧税率が適用されます また 水道光熱費も同様に税率引き上げ後に使用した分であっても 翌月中に検針等をうけたものについては旧税率が適用されます 4 売上返品 貸倒れ ( 別紙 Q&A P16) 消費税率 5% で納品した商品については その返品が施行日以降にされた場合であっても 旧税率が適用されることになります そのため 施行日以降に返品を受けた場合にはその税率に注意するとともに 帳簿に税率を明記する必要があります 貸倒れについても上記と同様の処理となります 5 もう一度来る建設業等請負業の指定日 ( 別紙 Q&A P9) 指定日の前日指定日施行日 平成 25 年 9 月 30 日平成 25 年 10 月 1 日平成 26 年 4 月 1 日 平成 27 年 3 月 31 日平成 27 年 4 月 1 日平成 27 年 10 月 1 日 10

8 改正への実務上の対応 1 会計システムやレジなどの対応 ( 別紙 Q&A P17~19) 以下について複数税率 (5% 8% 10%) 軽減税率を念頭に置いて対策を行う必要があります 販売管理システムのバージョンアップ 会計システムのバージョンアップ レジシステムのバージョンアップ 2 駆け込み需要の取り組みと反動減への対応策 ( 別紙 Q&A P26) まずは駆け込み需要を取り逃さないことにより収益機会を確保して下さ い また 増税後にもセールの開催等の企画を予め計画して反動減を最小 限に抑える対策を行いましょう 3 増税前の設備投資等への対応 もう一度消費税増税前に設備投資等が無いかを確認して下さい ただし テレビ等のエコポイント 自動車のエコカー補助金終了後の様に 消費税増税後に需要と供給のバランスが崩れ 本体価額の値下がりがあるような商品については再検討が必要です 11