超高齢社会に向けた 口腔医療 推進のための 実態 聞き取り調査 発起人 医療ジャーナリスト 塩田芳享 アドバイザー 歯科医 角町正勝歯科医 舘村卓歯科医 米山武義 後援 勇美記念財団 1
超高齢社会に向けて歯科医療には重要な役割があると考えています つまり 口腔機能の回復を通じて 高齢者の健康寿命を延ばし 社会参加 復帰を支援すること です しかし それはまだ十分に果たされているとは言えません その大きな理由は 多くの国民が 高齢者のための歯科医療 を認知しておらず その効果がほとんど知られていないことです そこで 本調査では 高齢者のための歯科医療 の実態を全国的に調べ その知られざる 効果 を広く伝えることを目的として行います 歯科医療が高齢者に提供している医療を本調査では 口腔医療 という造語を使って分類します これまでに 適当な言葉がなかったからです 口腔医療 とは 病院 介護施設 在宅などで療養されている高齢者等に対して 歯科医師や歯科衛生士が提供できる医療 を指し 実際に本調査で以下のような治療 ケアと分類します 専門的口腔ケア 口腔機能訓練 義歯治療 咬合の回復 摂食 咀嚼 嚥下機能の回復 誤嚥性肺炎 低栄養の予防に配慮した口腔の管理 実際に全国でどんな 口腔医療 が行われ どんな 効果 が得られているのか? 本調査では どんな 行為 が行われているかだけではなく それによりどんな 客観的評価 が得られたかを重要視して行うことが大きな特色です そして 画期的な成果が報告された地域には 私が現地に赴き 医療者と患者家族に対して 詳しい聞き取り調査の実施も計画しております 今後本格的に始まる超高齢社会に備えて 口腔医療 がもつ正当な評価を一人でも多くの人に知ってもらうために 是非とも本調査へのご協力をよろしくお願い致します なお 本調査は 勇美記念財団のご厚意による助成金で運営されております ジャーナリスト 塩田芳享 2
発起人 医療ジャーナリスト 塩田芳享 1957 年東京生まれ 日本テレビ フジテレビなどの報道番組の演出 文藝春秋 新潮社などの雑誌や書籍の執筆 講演などマルチな分野で活動している 主な活動分野は 救急医療 高齢者医療 在宅医療 歯科医療 週刊文春で 理想の病院 理想の看取り 理想の在宅医療 などを執筆し 超高齢社会を救うモデルケースとなるような医療現場を数々取材している 今後の医療にとって最も大切なことは 高齢者が無駄な医療に頼らず 口腔ケアなどのサポートにより 自分自身も持っている力を最大限に引き出すこと と考えている 著書に 医療に頼らない理想の最期 僕の延命治療拒否宣言 ( 日清報道刊 ) 再会 死んだ家族にもう一度逢える ( 文藝春秋刊 ) がある アドバイザーからの言葉 塩田氏へのエール 急激に進行している高齢化の中で 要介護高齢者の終末期が 寝たきり状態の中 チューブ栄養で命が繋がれているように感じています 言葉を発するわけでなく 気持ちを表情に表すわけでもなく 果たしてそれでよいのだろうかと 私は疑問を感じながら 要介護高齢者の訪問歯科診療を行っています 人らしく人生の最後を迎えるということはどんなことなのでしょうか 明確な言葉でこの事を表現できる分けではありませんが ありがとう おいしかった など 自らの意思をしっかりと語りながら 人生の終焉の時を迎えることができたらと思っています 私は 今回の塩田芳享氏の調査活動によって 医療関係者はどのように人生をサポートすべきか という道筋に明かりが灯ることを期待しています その答えが見えた時 医療は 真に安心安全な社会をサポートできると思っています 塩田氏の今回の調査活動に期待しています 角町歯科医院角町正勝 3
何が, なぜ, どう足りないのか, 塩田氏の調査に期待したい. 歯科医療のゴールは, 摂食咀嚼嚥下機能と音声言語機能の二大口腔機能の回復による生活参加の支援であり, 感染症としての歯科疾患の治療はその過程に過ぎない.1947 年に寿命が 50 歳を越え,2 年に1 歳の速さで超高齢化した日本社会が求める医療は, 複数の治らない病気をもつ高齢者の生活参加の支援である. しかしながら, 歯科界は, チェアに仰臥できて意志疎通が可能な人の歯科疾患の治療をゴールにして, 時代に沿った変化を拒んでいるように見える. 全国老人保健施設協会調査では,2011 年に 3350 老健施設の利用者 315020 人の 85% が認知症と脳血管障害を有し, 口腔機能の障害があるものの勤務する歯科医師は 49 人であり十分な対応はとれていない. 歯科は斜陽産業であると言われるが, 老健での実態だけを見ても当然に見える. 口腔清掃を口腔ケアと言い換えて, 清掃すれば口腔機能が改善するというのは社会の理解を得にくい. 口腔医療ということばは議論もあろうかと思うが, この調査によって, 生活参加を口腔機能の回復により支援できているのかの実態を明らかにして本来の歯科医療のための教育や政策へ提言が得られることを期待する. 一般社団法人 TOUCH 舘村卓 塩田氏の調査に未来を託す 長い間 口腔は忘れさられていました ちょうど私が大学を卒業した 1979 年春 生まれて初めて特別養護老人ホームに訪問する機会がありました 今でも忘れません そこでの強烈な口臭と瓦礫のような残存歯との出会いでした その時 歯科治療の限界を強く感じました 要介護の方の口腔は誰かが日々管理して初めて 尊厳ある状態に維持されるのだと あの時から 老人ホームや在宅での口腔管理 口腔のケアの挑戦が始まりました そして テレビ番組の取材を通して ジャーナリスト塩田さんとの運命的な出会いがありました 塩田さんは バイタリティーに溢れ 正義感が強く 医療の本質を冷静にとらえる数少ないジャーナリストのお一人です 日本老年医学会の大内尉義理事長と胃ろう造設について歴史的な転換点となる意見交換がなされ これを機に患者さんや患者さんの家族の間で全国的な議論が沸き起こり 厚生労働省を動かした経緯があります 今回のアンケートと聞き取り調査は日本の高齢者医療と病院 在宅医療に大きな影響を与えるものと思われます 価値ある結果を得られるか否かは 皆さんの協力にかかっております どうか ご協力のほど 何卒よろしくお願い申し上げます 米山歯科クリニック米山武義 4
口腔医療 実態調査 1.( 記述 ) ご勤務されている病院名 ( 団体名 ) 職業 ( 歯科医師もしくは歯科 衛生士 ) お名前をご記入ください ( できれば記名が望ましいですが 匿名でも 構いません ) 2.( 記述 ) ご自分が勤務されている都道府県をご記入ください 集計の際に把 握しておきたいので 匿名の場合もお書きいただけますと幸いです 3. これまで口腔医療に携わっている年数はどのくらいですか? あてはまるものを選んで 回答用紙にアルファベットを記入してください a.5 年以内 b.5~10 年 c.11~15 年 d.16~20 年 e.21 年以上 4.( 記述 ) あなたが口腔医療にかかわったきっかけを教えてください 5. 主に口腔医療をどこで行っていますか? あてはまるものを選んで 回答用紙にアルファベットを記入してください ( 複数回答可 ) a. 病院 b. 介護施設 c. 在宅 d. その他 (d を選ばれた場合 内容も具体的にご記入ください ) 6. あなたの地域では 口腔医療 を十分にできていますか? あてはまるものを選んで 回答用紙にアルファベットを記入してください a. 十分満足にできている b. ほぼ満足にできている c. ほとんど満足にできていない d. まったく満足にできていない 口腔医療の定義については P.2 をご参照ください 5
7. 他業種との連携はうまく行えていますか? あてはまるものを選んで 回答用紙にアルファベットを記入してください a. 十分満足にできている b. ほぼ満足にできている c. ほとんど満足にできていない d. まったく満足にできていない 8.( 記述 ) 連携がうまくできているか できていないか それぞれの理由を教 えてください ( 例えば どんな施設や病院とうまくいっているかなど具体的にお願いします ) 9. 自分自身の施設では十分にできていますか? あてはまるものを選んで 回答用紙にアルファベットを記入してください a. 十分満足にできている b. ほぼ満足にできている c. ほとんど満足にできていない d. まったく満足にできていない 10. 口腔医療を始めるきっかけとなる患者さんの主訴で多いものは何ですか? あてはまるものを選んで 回答用紙にアルファベットを記入してください a. 義歯治療 b. 噛み合わせの回復 c. 口腔ケア d. 口腔リハビリ ( 口腔機能訓練 ) e. その他 (e を選ばれた場合 内容も具体的にご記入ください ) 11. 口腔医療をはじめるのは主に誰からの依頼が多いですか? あてはまるものを選んで 回答用紙にアルファベットを記入してください a. 歯科医師以外の医師 b. ケアマネ c. 施設職員 d. 本人 家族 e, その他 (e を選ばれた場合 内容も具体的にご記入ください ) 12. 実際に行っている口腔医療で 一番多いものは何ですか? あてはまるも のを選んで 回答用紙にアルファベットを記入してください a. 義歯治療 6
b. 噛み合わせの回復 c. 口腔ケア d. 口腔リハビリ ( 口腔機能訓練 ) e. その他 (e を選ばれた場合 内容も具体的にご記入ください ) 13.( 記述 ) どんな種類の口腔医療を行っていますか? 具体的に教えてくださ い 14.( 記述 ) その ( 評価 ) はしっかりと行っていると思いますか? 具体的に教 えてください 15.( 勤務している歯科医院以外で ) 週に何人くらいの患者さんを診ていますか? あてはまるものを選んで 回答用紙にアルファベットを記入してください a.1~5 人 b.6~10 人 c.11~20 人 d.21~30 人 e.31 人以上 16. 口腔医療を最初に受ける際の本人 家族の認知度はどのような状態ですか? あてはまるものを選んで 回答用紙にアルファベットを記入してください a. ほとんどの人が知っている b. 知っている人も多い c. 知っている人は少ない d. ほとんどの人は知らない 17. 口腔医療の技術はどこで学びましたか? あてはまるものを選んで 回答用紙にアルファベットを記入してください a. 歯科大学 b. 他の歯科医から c. 他の職種から d. 独学 e. その他 ( ) 18. 現在のご自身の口腔医療の活動に満足されていますか? あてはまるもの を選んで 回答用紙にアルファベットを記入してください a. 大変満足している 7
b. 満足している c. 満足していない d. まったく満足していない 19. 口腔医療を行っていて どんな変化がありましたか? それぞれの場合について どのような変化がどの程度みられたか 各項目に対しアルファベットを選んで回答用紙に記入してください 1. 大きく変化がみられた 2. 多少の変化がみられた 3. どちらともいえない 4. 変化はみられなかった 専門的口腔ケアを行った場合 1 食べられるようになった 2 会話ができるようになった 3 笑顔がみられた 4 口臭が消えた 5 むせが減った 6 認知症の改善 ( されたように思える ) 7 外出が増えた 8 体重が増えた 9 発熱することが減った 8
10 イキイキとしてきた 11( 記述 ) その他にみられた変化があれば自由にお書きください 口腔リハビリ ( 口腔機能訓練 ) を行った場合 1 食べられるようになった 2 会話ができるようになった 3 笑顔がみられた 4 口臭が消えた 5 むせが減った 6 認知症の改善 ( されたように思える ) 7 外出が増えた 8 体重が増えた 9 発熱することが減った 10 イキイキとしてきた 11( 記述 ) その他にみられた変化があれば自由にお書きください 9
義歯治療 咬合の回復を行った場合 1 食べられるようになった 2 会話ができるようになった 3 笑顔がみられた 4 口臭が消えた 5 むせが減った 6 認知症の改善 ( されたように思える ) 7 外出が増えた 8 体重が増えた 9 発熱することが減った 10 イキイキとしてきた 11( 記述 ) その他にみられた変化があれば自由にお書きください 20.( 記述 複数回答可 ) 口腔医療がどんな効果を生み 具体的に患者さんは どう変わりましたか? 想像以上の効果を生んだ事例がありましたら 詳しく教 えて下さい ( 特に興味深い事例を後日聞き取り調査させて頂きます ) 10
21. 口腔医療を受けた本人 家族は満足されていますか? あてはまるものを選んで 回答用紙にアルファベットを記入してください a. 大変満足されている b. 満足されている人は多い c. 満足されている人は少ない d. ほとんど満足されていない 22.( 記述 ) これまで口腔医療にかかわってきた中で 本人 家族の反応で記 憶に残っているものがあったら教えてください 23. 経済面では満足していますか? あてはまるものを選んで 回答用紙にアルファベットを記入してください a. 十分に満足している b. ほぼ満足している c. 満足していない d. まったく満足していない 24.( 記述 ) 経済面での不満があったらその理由を具体的に教えて下さい 25.( 記述 ) 環境面 制度面で変わってほしいと思うことはありますか? 具体 的に教えてください 26.( 記述 ) 今回の 口腔医療 の定義について ご意見を聞かせてください 27.( 記述 ) 口腔医療普及のために 今もっとも必要なことは何だと思います か? 具体的に教えてください アンケートのご協力 ありがとうございました 11